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2024年9月の読書メーターまとめ

玄趣亭
読んだ本
7
読んだページ
2046ページ
感想・レビュー
7
ナイス
1172ナイス

2024年9月に読んだ本
7

2024年9月のお気に入り登録
3

  • ししおどし
  • うりぼう
  • ユキノ

2024年9月のお気に入られ登録
3

  • ししおどし
  • うりぼう
  • ユキノ

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

玄趣亭
菜食主義者のヨンヘを対象にして夫、義兄、姉、三者の視点から書かれた連作。肉を食べなくなったヨンヘの内面は彼女の夢のモノローグ以外殆ど語られない。必然的に彼女は作品内で大きな疑問符として存在し、周囲の人物はヨンヘを鏡として自身の姿を映し出す形になる。夫が思う結婚生活、アートに寄せた義兄の欲望、妹のようになっていたかもしれない姉の生き方……。どれもが歪んだ鏡像のように見えてしまう。ヨンヘが食べないから?生きようとする選択をしないから?わからない。そして本作の読者もヨンヘを語ろうとする時、自らの姿を映し出す。
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月にナイスが最も多かったつぶやき

玄趣亭

昨日(8月31日)、読書メーターに参加して10周年になりました!!10年というと流石に様々なことがありましたが、中断することなくここまで続けてこられたのは自分自身にとって大きな喜びです。もう高齢化していますが(^^;)、活字の本を読むことが出来る限り、まだまだ地道に続けていきます。皆様とのやり取りも楽しみつつ、これからもよろしくお願いいたします。(写真は感想をあげた本から見つくろって散りばめてみました。背景はお祝いにふさわしく「めで鯛」模様の手ぬぐいです。)

昨日(8月31日)、読書メーターに参加して10周年になりました!!10年というと流石に様々なことがありましたが、中断することなくここまで続けてこられたのは自分自身にとって大きな喜びです。もう高齢化していますが(^^;)、活字の本を読むことが出来る限り、まだまだ地道に続けていきます。皆様とのやり取りも楽しみつつ、これからもよろしくお願いいたします。(写真は感想をあげた本から見つくろって散りばめてみました。背景はお祝いにふさわしく「めで鯛」模様の手ぬぐいです。)
玄趣亭
2024/09/10 23:58

コットン様。ありがとうございます。先週後半は旅行中で、返事が遅くなりました。「濃密な投稿」……そうですね、読書メーターで感想を書き続けている内に、自分の気持ちにそぐわない言葉は使わないよう心がけることになりました。ただ「面白かった」ではなく、「どこが」「どんな風に」面白かったか、ですね。多芸多才なコットン様、これからもよろしくお願いします。

玄趣亭
2024/09/11 00:46

宵待草様。ありがとうございます。読書メーター参加少し前に新書『多読術』を読み、松岡正剛のこと気にかけてましたが、この10年矢継ぎ早に新刊が出るので、必死で追いかけました。また、その甲斐があった10年でした。正剛さんを通じて知った日本文化の魅力……「面影日本」「一途で多様な日本」。先日、松岡さんの著作経由で知った能楽師安田登の本を片手に、佐渡島まで薪能を観に行きました。まだまだ深掘りいたします。宵待草様も、何時も活発で弾けた感想&つぶやきで今後も楽しみですね。これからもよろしくお願いします。

が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
7

玄趣亭
就職難、子育て疲れ、故郷への思い、職場の軋轢……都会の生活に余裕のない人々が自然の「センス・オブ・ワンダー」を感じることで癒やされる短篇集。地球のコアに降る雪、鯨の歌、伝書鳩の帰巣本能、珪藻アート、偏西風……語られるイメージは詩的で美しいのだが、登場人物が一様にくたびれていて、その彼等が立ち直る「いい話」との印象で終わってしまって、物語が図式的なのが残念。唯一、最終話の『十万年の西風』が風船爆弾や原子力発電などを題材に技術者の抱えたジレンマを描いて単純に割り切れない分、作品として重みを残す。
玄趣亭
2024/10/08 22:48

コットン様。コメントありがとうございました。覆面本の交換会について簡単に書いてしまいましたが、実際は覆面本に自作の帯文句を付けて、興味を持った本をくじ順に選んでいくという、いささか凝った、しかし面白い試みでした。『あの本読みましたか?』で取り上げられていたのは、本書ではなく定時制高校を舞台にした『宙わたる教室』でした。理系作家という取り上げられ方が珍しかったので、記憶に残っていた次第です。

コットン
2024/10/09 00:03

なるほど!面白い試みですね

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玄趣亭
著者追悼として読む。現在の日本を「歌を忘れたカナリヤ」として、日本文化の捉えどころを説明していく。刊行後二十年以上経つが、語られる問題は今でもそのまま課題となっている。多くのキーワードが飛び交うけれど基本的なところは「一対の語り口(デュアル・スタンダードな日本)」、「一途で多様な日本」ということになるかと思う。日本の文化が他文化との比較のみでしか語られなかったり、強い日本あるいは弱い日本と一元的にしか語られなかったらそれは危うくも貧しい状況になってきていると、著者の日本文化論を読む度に感じる。
玄趣亭
2024/09/25 23:07

読書メーターでの感想800件め。区切りは一番多く読んできた松岡正剛の本にする。「面影の国日本」と著者は語る。私は松岡正剛の著作を通して日本文化の面影を感じてきた。さらに面影という言葉を自分の読書に近づけて言うなら、図書館に通い詰めた少年時代、文学青年していた若い頃の自分の姿、物語の中の憧れた世界、描かれた懐かしい風景が思い浮かぶ。面影はそこにあってそこにない、移ろうもの。自分が持つ面影を追いかけ、あるいは新たな面影を求めてこれからも本を読み続けていきたい。読書の感想は、その面影を追った報告になるのかな。

が「ナイス!」と言っています。
玄趣亭
ワキ方能楽師による著作。夢幻能において「ワキ」は霊である「シテ」に出会いその存在を見届ける「分かる」「分けられる」能力を持つという。では、何故ワキのみがシテに出会う力を持つのかと著者は考察する。世間との関係を断ち切ること、漂泊者であることなどがワキ的存在の条件の一つ。芭蕉『奥の細道』や漱石『草枕』も引用しつつ、消極的な力、欠落、乞う(恋)、無用のもの……負の側と思われるようなキーワードがワキ的視点という角度から捉え直される。能に留まらない魅力的な日本文化論であり、ワキ的「旅のすすめ」でもある。好著。
ミカママ
2024/10/03 22:11

いやいや、別に幽霊に出会いたくはないですけどね(笑)

玄趣亭
2024/10/03 22:44

「残念ながら」出会うことが出来ない(笑)。「疑似体験」で充分かと思います(^^)。

が「ナイス!」と言っています。
玄趣亭
菜食主義者のヨンヘを対象にして夫、義兄、姉、三者の視点から書かれた連作。肉を食べなくなったヨンヘの内面は彼女の夢のモノローグ以外殆ど語られない。必然的に彼女は作品内で大きな疑問符として存在し、周囲の人物はヨンヘを鏡として自身の姿を映し出す形になる。夫が思う結婚生活、アートに寄せた義兄の欲望、妹のようになっていたかもしれない姉の生き方……。どれもが歪んだ鏡像のように見えてしまう。ヨンヘが食べないから?生きようとする選択をしないから?わからない。そして本作の読者もヨンヘを語ろうとする時、自らの姿を映し出す。
が「ナイス!」と言っています。
玄趣亭
先日、友人を訪ねて佐渡島へ。旅の目的の一つが薪能を観ること。その時の旅のお供で、同行した友人達と読書会の課題として読んだ本(本書によると佐渡島は日本一能舞台密度の高い土地らしい)。ワキ方能楽師による能の入門書。研究者ではなく演じ手としての体験に根ざした著者の文章は親しみやすくわかりやすい。個々の演目の解説はせず、概論に徹して能の大まかなイメージを掴みやすくしたのが本書のポイントだろう。能を演じる効能や、能を観たい、習いたい、知りたい方などへの案内など新書らしく実用書的な面も。
玄趣亭
2024/09/14 11:41

kaoru様。コメントありがとうございます。残念ながら本書では日本映画と能についての関わりについては殆ど触れられていませんでしたが、高浜虚子、泉鏡花、夢野久作、三島由紀夫など日本文学に脈々と続く能の愛好家が紹介されています。梨木香歩や村上春樹の作品に能を感じるものがあるとも。夢幻能という物語構造から思い浮かぶ日本文化の作品、振り返れば沢山存在していそうです。

kaoru
2024/09/14 11:52

能と日本文学や映画の関わりは言い尽くせないほど深いものがありますね。能に詳しい母に倣って私もこれから少しずつ能を学ぼうと思っております。有難うございました。

が「ナイス!」と言っています。
玄趣亭
『しをかくうま』では馬を媒介に言葉を問う物語になっていたが、本作では建築。その建物の名、建物の意義を問うことで、本作の建築「東京都同情塔」は屹立する。それはどこか都市で佇む人の姿にも似てしまう。「私は陸上生物であるところのヒトを「思考する建築」「自立走行式の塔」と認識している」(26p)。建築材料は言葉。言葉によって人/建物はいかようにも立つ/建つものだから言葉は吟味される。「……でなければならない」「……べきだ」、強い言葉。だが、その言葉で本当にいいのかと訊ねる先は人?あるいはAI?
玄趣亭
2024/09/11 20:15

なな様、コメントありがとうございます。AIへの問いと書いてしまいましたが、AIへの疑念と書くべきでしたね。

なな
2024/09/11 20:28

疑念は確かにありますね。仕事の手紙の翻訳を丸投げとか、やったらまずいですよね。一応確認しないと。時々とんでも誤訳やらかしてくださいますし

が「ナイス!」と言っています。
玄趣亭
1986年、直木賞受賞作。遊女屋の娘ゆうと役者福之助の恋愛を軸に、幕末~明治初期の荒れた時代に翻弄される吉原や芝居小屋、場末に生きる江戸の人々を描いた時代小説。本書の鍵となる花は染井吉野。まだ一般のものとして定着していなかったこの桜は、主人公達が望んだ舞台の上での幻影の花か。あるいは福之助が憧れた沢村田之助のような散り様の、時代を飾る徒花か。主人公達は流転の生き方を定め旅まわりの芝居を続けていく。己を全うする生き方が毅然として美しい。それは著者の美学の反映でもあろう。極上の語りに酔い、読みふけった。名作。
玄趣亭
2024/09/03 17:43

mii22.様。桜の季節に『恋紅』を再読されるとのこと。わかるような気がします。主人公達の生き方、世間的に見れば綺麗な生き方ではないのかもしれないけれど、美しいと思いました。福之助を晴れの舞台に立たせたり、二人の場所が桜の花で飾られて欲しいと願いますが、このままで良いのだとも思わせる絶妙の味わいが本作にはあります。続編(『散りしきる花』)もあるらしいけど、この終わり方で作品としては満足しているので、どうしようか考え中です。mii22.様は読まれました?

mii22.
2024/09/03 18:27

玄趣亭さま、続編読みました。『散りしきる花』では、時代も明治に入りさらに厳しい試練や葛藤が描かれていたと思いますが(随分前に読んだので記憶が…)散りゆく桜もまた儚く美しいように、続編も己を全うする美しい生き方が描かれていたはず。『恋紅』のラストはずっと余韻浸っていたい気持ちになりますね。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/08/31(3833日経過)
記録初日
2014/07/03(3892日経過)
読んだ本
884冊(1日平均0.23冊)
読んだページ
259140ページ(1日平均66ページ)
感想・レビュー
832件(投稿率94.1%)
本棚
16棚
性別
血液型
O型
現住所
東京都
自己紹介

一介の本読み。

バイトしていた書店も無くなり、図書館で働いていたことも今は昔……
職場にあった書庫の夢は未だに見つつ、身の回りに本だけが残り、今も増殖しています。
積読本、読みたい本は多すぎるので登録は限定に。
感想・レビューは2014年9月読了分から。

多くの本で、感想で書き切れなかったことをコメントでつけ加えています。それぞれ途切れないようにまとめていますので、よろしかったらそちらもご覧いただければ幸いです。

基本的に本は購入して読みます。購入した以上は、なるべく楽しむ方向で本の感想をまとめています。

古書店で本を入手することが多く、流行りものには疎く、本の森を適当に彷徨っていますが、見かけることがあったら声をかけてやってください。

更新はPCにて。タイムラグ生じますが、ご容赦下さい。

画像はビアズリー「詩人の残骸」より。

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