ネタバレ全国高校女子駅伝、アンカーサカトゥーが走る西大路の沿道にはかの有名な一団が。チームメイト、ライバルとの会話が心に沁みる（「十二月の都大路上下ル」）。「あなたには、火がないから」と彼女に振られた四回生の朽木は「八月の敗者」となり地獄の釜のような御所グラウンドで「たまひで杯」をかけて野球をする羽目に。中国人留学生烈女シャオさんもなぜか参戦、そしてさらに現れたものは？「みんな野球がやりたかったんだ」（表題作）。泣けてきます。万城目ワールドを満喫でき大満足。「新京極」「セカンドハウス」嬉しいです。祝直木賞受賞。

ネタバレ幾つになっても花模様のワンピースを着てお出かけしたい（「モッコウバラのワンピース」）。初恋の人と握手できて良かったね（「菜の花の家」）。小学二年生で友達との突然の別れ、異世界との往来、ハクモクレンが幻想的に描かれた「ハクモクレンが砕けるとき」。さくらさん、東海道・山陽新幹線ではワゴンによる車内販売が終了してしまった寂しいです（「表題作」）。読友さまに教えられた、それぞれの花が咲く季節に読み返したい本。

ネタバレ英国のリトル・キルトンに住むグラマー・スクール最上級生ピップは友人コナーの失踪した兄ジェレミーの行方を探すよう依頼され、ポッドキャストで調査の進捗を配信しリスナーから情報を得て推理していくのだが、恐るべき真相が暴かれる。前作の事件に関わる裁判にまさかの判決が下され、ピップが爆発する様子は本当に辛かった。相棒ラヴィ、お馴染みの友達、住民達、普通に暮らしていると思っていたのに‥‥私の推理はまるで歯が立たず、英国のJKミステリーはとてもホットでクールでハードです。

ネタバレ京都寺町通221Bに下宿するシャーロック・ホームズがスランプに陥りモリアーティ教授たちと「負け犬同盟」を結成しワトソンとハドソン夫人を嘆かせる。アイリーン・アドラーはワトソンの妻メアリと組んで探偵として活躍。洛西竹林「東の東の間」から舞台はロンドンへ。目眩く森見ワールド炸裂。私もハドソン夫人のバスケットを持って大文字山にピクニックに行きたいです。

ネタバレ気になる作家さんの48歳から50歳になるまでのWEB連載をまとめたもの。タイトルはアレだが「女の本音」が語られ面白かった。繰り返し書かれるダメ男に貢いだ過去、自虐ネタが多すぎる感もあるが、「女が終わるわけじゃなし。　五十路直前、滅びるか滅びないかは己次第」本当にそうですよ。次は「シニカケ日記」もお読みください、とのことですので読みたいと思います。

ネタバレいたずらこぎつねのホイテイが、ごちそうを食べたくて人間になりすますのだが、村の三人の女達はお見通しで、ホイテイをからかうために花嫁衣装のサリーを着せて「はなむこさんはどこ？」と囃し立てて追い払う。エキゾチックな絵、美味しそうなカレー、サリーのピンク色が鮮やかで手元に置いていたスリランカの絵本。

ネタバレ「人は、歳をとっても幸福になる権利がある」七十五歳になって、八十六歳のひとを好きになって、何が悪いの？脚本家と哲学者、出会ってすぐに恋に落ち、交わすメールはさすがに知的レベルが高く、読ませます、最初のうちは。いい歳をして‥‥自分でも思うし、他人にも言われるけれど、最後のパートナーと思い定め、亡妻の思い出、まさかの不倫相手の存在、年相応の心身の不調はあれど、双方の家族の理解も得て、あれ、ハッピーエンド？「あと最低十年元気でいてね」とても真似できませんがいつまでも恋ができる元気があるって羨ましい、かな？

ネタバレ笙野は母の勧める相手とお見合いをして、朱里と小西の関係も進展する。「それは全部田中さんが作った僕だ」「私はいつでも田中さんの味方です」「私も倉橋（朱里）さんの味方です」「失敗しに来たんです」と三好に向かって言う田中さん。友達がいるから大丈夫、憧れの人に体当たりできるようになったんだ！！ロマンティックなハッピーエンドのその先は？お互いかけがえのない存在になった田中さんたちのこれからも読みたい‥‥

ネタバレ笙野よ、田中さんのことポテンシャルしかない、スーパーモデルと崇めながら何故素直に自分の気持ちを表さない（めそめそ）。メークはたしかにアレだったけれど、ここで朱里ちゃんの出番！「世界の広がった瞬間のキラキラした笑顔を何度でも見てみたい」。わかるー。でも母親に弱いのは良い息子のお約束。田中さんは海外でダンスの勉強をする夢を持っているし。さてどうなる？

ネタバレベリーダンサーであることが会社に広まり落ち込む田中さん。またもや笙野が名言？を吐く。「宣伝不足です。田中さんは隠された名作映画です。これを利用して本来の魅力をプッシュしていきましょう！！」ふたりはついにデート？することに。朱里も腐れ縁の進吾と小西の言葉に触れてレッスンに励む。「自分を助ける最良の人は自分」たしかにそうです。

ネタバレ何と笙野が田中さんの思い人三好さんにダラブッカを習い始める。田中さんが持っていて私に欠けてるモノってなんだろう？モヤモヤする朱里の悩みを聞く小西。好きな男だけが全てじゃない。日々の生活も　家族も　友達も（下僕も）　全部利用して背筋を伸ばせばいい。「私にとっては田中さんが至高です!!」心を開けば世界も広がる素晴らしさよ。

ネタバレ田中さんにあこがれる朱里ちゃん、可愛すぎる‥‥「あなたに1ミリも下心を抱いてない」って言い切る笙野は本当にもう！‥‥みんなみんな愛おしく思えます。ゆっくり読んでいきます。

ネタバレヒューズの「誕生日の手紙」を読んだので、読むなら今、と積読にしていた本書に着手。無限に思える可能性、未来に対する若者の不安が巧みに表現されている表題作、通夜葬式をユーモラスに描いた「ミスター・プレスコットが死んだ日」、キャンプで遭遇した熊との顛末を書いた「五十九番目の熊」（ヒューズにも同じタイトルの詩があり興味深い）、児童書「これでいいのだスーツ」など柴田元幸氏の訳で面白く読め、シルヴィア・プラスがこんな短篇を書いていたことを知ることができて、良かったです。

ネタバレ全国高校女子駅伝、アンカーサカトゥーが走る西大路の沿道にはかの有名な一団が。チームメイト、ライバルとの会話が心に沁みる（「十二月の都大路上下ル」）。「あなたには、火がないから」と彼女に振られた四回生の朽木は「八月の敗者」となり地獄の釜のような御所グラウンドで「たまひで杯」をかけて野球をする羽目に。中国人留学生烈女シャオさんもなぜか参戦、そしてさらに現れたものは？「みんな野球がやりたかったんだ」（表題作）。泣けてきます。万城目ワールドを満喫でき大満足。「新京極」「セカンドハウス」嬉しいです。祝直木賞受賞。

ネタバレ昭和に建てられた団地に住むイラストレーター奈津子を幼なじみの非常勤講師ノエチが毎日のようやってきてお茶やご飯を食べながら「断捨離」番組を見る。団地のお年寄りの頼まれごとを引き受け手間賃をもらい、不用品をフリマで売り、四十年前に亡くなった空ちゃんの命日にはお家を訪ねる。そろそろ建て替えか？と思いつつもこのユートピア的空間。一緒に炬燵に入っているような感覚。束の間癒されました。

ネタバレ読み友さんに教えられて。「アンネの日記」の生き生きとした文章を思い出しながら読みました。日記は両親をはじめ支援者たち大人の尽力があってこそ書かれ、本の形となり私たちが読むことができるようになったものだとあらためて思う。子供の頃読んだ時、これはもう過去のこと、二度と戦争は起こらない、とどこか安心していた。でも今、現実に戦争が起こっている。アンネの言葉を聞いてほしい。「信じています。たとえいやなことばかりでも、人間の本性はやっぱり善なのだということを」（1944年7月15日）。

ネタバレ「汝、星のごとく」を未読なのに、続編を先に読んでしまった不届者です。前日譚の北原先生（「春に翔ぶ」）は他者への善意があまりにも強過ぎ（親譲りの自己犠牲）、敏腕編集者二階堂さんの夫はあまりにも自分本位過ぎ（「星を編む」）、両極端なキャラクターで興味深かったです。やはり情けは人の為ならず‥‥だよなぁ、などと語る資格もないのに申し訳ない！本編を必ず読みます。

ネタバレ激動の時代を生きた肖像画が美しく、見るだけでも楽しい。「十八世紀に生きた者でなければ、生きる歓びを知ったことにならない」（タレーラン）。池田理代子先生による解説を読んでると納得してしまう。「ベルばら」にも登場した肖像画家ヴィジェ＝ルブラン夫人の生涯を知ることができて嬉しい。

ネタバレ自分の町で起こった女子高生失踪事件を「自由研究」にする？何てスリリングなんだ！？先生のデリケート過ぎる、倫理的にどうなの？とのコメントはごもっとも。でも賢く勇敢な（かなり無謀な？）英国のJKピップはやってのける、犯人の弟とされていたラヴィと共に。分かりやすく整理してノートに書いてくれているのに、真犯人が全然わからなかった私。人種差別に心痛む。次作にも挑戦したい。