毎度のことながら今年ももう半年が過ぎてしまった。年寄りの時間が早く流れるのは特殊相対性論の示すところ?今月は600頁超の大作『石油の帝国』を読んだので一応満足の読書量かな。 2024年6月の読書メーター 読んだ本の数:9冊 読んだページ数:2897ページ ナイス数:1501ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/703427/summary/monthly/2024/6
⇒飛び込んだ彼の地での活躍?苦行?などはともかく、無職・無収入の立場に陥りそうな状況を打開していく物語は興味深く感心した。京大白眉センターに採用され無収入を脱するわけだが、このような若手研究者育成組織があるのは知らなかった。故郷に錦を飾り民族衣装に正装して母校の高校で「凱旋講演」は聴いてみたかった。著者より30年前の我々の世代では研究者を志し博士号を得た者は直ちにどこかしらの大学に職を得てたような気が…。博士課程進学者数も減ってると言う。大丈夫か日本?本書内容で一番面白いのは勿論アフリカでの話。念のため。
⇒ニュートンが頭の上にリンゴが落ちてきたことで重力を発見したという俗説に対し、実は仏海軍がパリで較正した振り子時計(数学者ホイヘンス考案:振り子が長さに比例した一定周期で揺れ、長さ1m弱の振り子は1秒毎に左右に1回揺れる)が南米赤道近く仏領ギアナでは一回揺れるのに1秒より長くかかり1日では2分以上遅れることに気付いた。これは地球の観測場所により重力が異なることを示し、地球が両極が潰れた回転楕円体であることによるためと、ニュートンは『プリンキア』中で自らの重力方程式に基づき計算してる―という話は興味深い。⇒
⇒植物の分類法を編み出したのはカール・リンネだけではなかった。16世紀末、明代の中国で李時珍著『本草綱目』が刊行された。ヨーロッパと中国における博物学の発展は互によく似通っていた等々。ダーウインの進化論、相対論、量子力学、遺伝学などについても多くの興味深いストーリーが取り上げられている。日本人では徳川吉宗、石川千代松(生物学者)、田中館愛橘、長岡半太郎、高峰譲吉、仁科芳雄、湯川秀樹などが出てくる。
→なぜ性があるか?という点についても『鏡の国のアリス』のエピソードに因んで「赤の女王仮説」という、性による多様化の効果が高速で進化(変異)するウイルスに対する対抗手段だったという説は興味深い。現代社会では人間には有性生殖は必要なくなるだろう。相手を見つけて同意を得ることは面倒だから生殖は人工子宮などの技術で解決する方向に進み、女性は妊娠から解放され性差による不平等が解消されるだろうと言う。なんだか、つまらない世界になりそう。自分が生きてる間には実現しないだろうから心配はしないが…。
→このことが、その後の彼女の人生を切り開いたとも、逆に困難なものにしたとも言える。英語で教育を受けた富裕層出身者は、香港を捨てて海外移住の選択肢を持っているが、その他大多数の人々は広東語で教育を受け実質上香港を捨てる選択肢はない。およそ人口の10%の英語教育を受けた人々が文学、ジャーナリズム、芸術などの世界を独占、一般大衆が占める広東語世界を知らず、このエリート層が「香港」について世界に発信することになる。→
→著者の自伝部分が香港の政治的困難な面を反映してるとも言えるが、ひどく冗長に感じてしまったのですが…。雨傘運動や最近の国家安全維持法の成立とそれに対する抗議行動の経過なども勿論語られている。 私の知る香港は40年以上前の英領香港ですが、香港島セントラル(中環)の豪壮なビジネス街からトラムに乗って東西に離れるに従い、英語表記の看板等が次第に中国語表記のみの豪華ではないが活気のある商業街に変わっていたのを思い出す。自由で活気あふれる香港は消滅してしまうのだろうか?
→原子の世界、量子力学の世界の始まり。その後二度の大戦を挟み膨張宇宙の発見、原爆開発、素粒子…。そして物質科学の拡大に伴い核磁気共鳴、トランジスタ、レーザー、アイソトープ…工学方面への応用。ビックバンなど宇宙論創成。物理帝国は多方面へ展開する。そして21世紀への課題として時間空間の量子論が挙げられている。現代物理学の確立の歴史が具体的出来事を挙げながら語られるので大変興味深い。(尤も後半、最新の研究課題の内容については自分にはチンプンカンプンでしたが…。)
先月(2016.8)このサイトを見つけました。
表紙写真が表示されるの気に入り、最近10年くらいに読んだ本を少しづつアップしてます。
似たような傾向の本を読んでる方のコメントなどおもしろく拝見してます。
読メ登録、一年たちました。気まぐれですが、ちょこっと感想も書き始めました。(2017.9)
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⇒飛び込んだ彼の地での活躍?苦行?などはともかく、無職・無収入の立場に陥りそうな状況を打開していく物語は興味深く感心した。京大白眉センターに採用され無収入を脱するわけだが、このような若手研究者育成組織があるのは知らなかった。故郷に錦を飾り民族衣装に正装して母校の高校で「凱旋講演」は聴いてみたかった。著者より30年前の我々の世代では研究者を志し博士号を得た者は直ちにどこかしらの大学に職を得てたような気が…。博士課程進学者数も減ってると言う。大丈夫か日本?本書内容で一番面白いのは勿論アフリカでの話。念のため。