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2025年11月の読書メーターまとめ

Mark.jr
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感想・レビュー
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2025年11月に読んだ本
36

2025年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Mark.jr
あえて十八番である特殊設定(ある意味"特殊状況"ものではありましたが)を抑えて、多重解決一本に絞ることで完成度を高めた「名探偵のいけにえ」に対して、その反動からか本書はガッツリ特殊設定もの。しかも、ややこしい。SF度は、今までで一番高いです。その上、モラルをどこかに置いてきたような世界観から、予想のつかない展開(ネタバレ無しで読むべき)。多重解決も過去一詰め込まれており、どこを取っても純度100%の白井智之ワールド。鬼才の面目躍如の一冊です。
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2025年11月にナイスが最も多かったつぶやき

Mark.jr

2025年10月の読書メーター 読んだ本の数:38冊 読んだページ数:12452ページ ナイス数:230ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/851906/summary/monthly/2025/10

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2025年11月の感想・レビュー一覧
22

Mark.jr
自分が好きな写真家は誰かと訊かれた時に、パッと出てくるのはこのWillam Egglestonです(あと、Wolfgang Tillmans)。本書に収録されている写真たちは、どれも特定の土地を思わせる風景や人物は写っていませんが。それでも、何も知らない人に見せたとしても、アメリカの南部で撮られた写真だと分かるのでないでしょうか(事実、本書の写真全てはアメリカ南部の地域で撮られています)。つまり、ある種のアメリカの原風景が、このなんの変哲もない風景やポートーレートには宿っているわけです。
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Mark.jr
「小さな本なの、十冊も読んだような印象」と評されてますが、自分も同感です。他の作品の引用を交えながら、こちらの予想を微妙に裏切るような展開の連続で、ギュッと複数の作品を圧縮したような印象を受けるのですが。一番凄いのは、それを不自然と感じさせない著者の筆力でしょう。
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Mark.jr
野球大国アメリカでクリケットやる小説は初めて読みましたし、ネザーランドことオランダではクリケット盛んなことも初めて知りました。そもそも、自分を含め日本の99%はクリケットのルールをよく知らないでしょう(解説によると、日本のクリケットの競技人口は1500人とのこと)。そして、移民とはクリケットを知らない国でクリケットを好んでやろうとする人たちのことではないか、そんな作品。
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Mark.jr
文才はあれども傲慢不遜な性格のせいで周りから敬遠されており、それ故に内心孤独を抱えている小説家アンジェリカことエンジェルの生涯を綴った小説です。人間的に鼻持ちならない主人公なのにエンジェル(天使)と名付けるところからも分かる通り、英国的な意地悪さが基本にある作品ですが。その意地悪さが文章には出てきてもストーリーに影響を与えない、色々な出来事も彼女の性格の悪さとは関係ないのがポイントでしょう。どんな人間だろうと様々なことが起こり得る、人生の不可思議さを捉えた一冊かと。
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Mark.jr
少年の一種の成長譚だった「風の影」から一転、その要素がほとんど抜けた本作は、作者の言うように"ゴシックな妹"作品と言えます。ミステリーとしては、そもそも前作からして推理要素がほとんどないので、個人的にはあまり評価できないのですが、クライマックスになるにつれバタバタと人が死に、窮地の中で主人公が奮闘する様は読み応えがあります。ただ、これは映画・映像的な良さで、せっかく小説という表現で、主人公が小説家で、本がキーアイテムなのに、言ってしまえばドタバタと恋愛で塗りつぶしてしまうのが、正直ちょっと不満でしたね。
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Mark.jr
著者の一番有名な作品「人のセックスを笑うな」を評して、豊崎由美氏がタイトルに対して内容が淡白過ぎないかという意のことを書いていましたが。打ち込んだサークル活動も、誰かを好きになった感情も、全部特別にならずにあっけなく終わってしまう。まさにタイトル通り"長い終わりの始まり"を捉えた本書は、著者の資質と題材が合致しており、淡々とした作風がプラスに作用しています。こういう陰りのある青春小説は好きですが、自分の大学時代が暗黒だったので、そのことを思い出して、ちょっと苦しくなっちゃいましたね。
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Mark.jr
山田詠美氏の短編を読んでて人付き合いの上手い人だろうなという感想を持ちましたが、著者もおそらく相当人付き合いは上手いでしょう。収録作どれも日本人の我々には縁遠いインド系アメリカ移民の視点から書かれておいますが。それでも自分の身近な問題・感情の話として読めるのは、物語そのものの普遍性が高いのと、作者が登場人物と読者の心地よい距離感を上手く測っているからでしょう。個人的なお気に入りは、父と娘の心理的掛け合いものと言える表題作。しかし、この作品に出てくるような人々を迫害しているトランプは、やっぱりクソですね。
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Mark.jr
戦国時代の甲州の農民の一族記ですが、これは怖い作品でしょう。作中"ボコ"と呼ばれるように、ボコボコと産まれる赤ん坊ですが、それと同じぐらいバタバタと一族が"お屋形様"と読んで敬う領主のせいで死んでいきます。(作中はっきりと恨みはあっても恩はないと書かれるぐらい)。解説で町田康氏が、作中の人物が作者の手によってコントロールされておらず独立しているという意のことを書いてましたが、自分も同感であると共に、だからこそ非常に冷徹な印象も受けました。何が起きても常に傍観者という、本物の神の視点から書かれた一冊。
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Mark.jr
「僕なんか別になんでもない。自分のことも何だかよくわからないし、人のことはもっとわからない。もう、どうでもいい。」 作家の中でも人なりが気になる作家と、たいして気にならない作家の2種類が存在しますが、自分の中ではこの作者は前者に入ります。そして、作家の中でも人間性が作品にあまり出ない人と、もろに出る人の2種類存在するわけですが、この人は完全に後者。自伝と銘打ってますが、ここまで泣き言ばかりのものは、なかなかないでしょう。極めつけは、"自伝"にあるまじき最後の一言。 「どうすればいいんですかね。」
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Mark.jr
〈夜な夜な女性を漁り、それを"猟人日記"として記録をつけていた本田一郎。しかし、自身と関係した女性が連続して殺され、殺害現場に居合わせたことから、罠にハメられる…。〉 正直、今読むと仕掛け自体は直ぐにピンと来るでしょうが。都会的で無機質な雰囲気のサイコサスペンスとして、よく出来ております。
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Mark.jr
広大で果てしなき道をトラックで突っ走っていくロードノベル×ティラノサウルス、ロボット、サド侯爵などが登場するタイムトラベルもの×様々な暗殺者・刺客が襲いかかるB級活劇×父と子の出会いの物語。非常にアメリカ的なSFをアメリカSFと定義するなら、これこそアメリカSFでしょう。
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Mark.jr
夫と妻とその愛人の三角関係の心理劇から次第に不条理演劇へと踏み込んでいく「役割ごっこ」。その「役割ごっこ」のリハーサル中に作者を探す登場人物たちが迷い込む、著者の戯曲の中で一番有名な「作者を探す六人の登場人物」。二巻目の「エンリーコ四世界」、「裸体に衣服を」に至るまで、あの時代にここまでフィクションが嘘・作り事であることを強く自覚しながら書いていた人は、ピランデッロぐらいなのかも。旧版よりも、こちらの方が翻訳が良い気がします。
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Mark.jr
おそらく日本で一番有名な中国の小説家であり、もはや古典みたいな位置にいる魯迅。その代表的短編をほとんど網羅したのが、本書です。「阿Q正伝」の矮小な主人公像など、今に至るまで読みつがれるのも納得の普遍性ですが、個人的に一番心に来たのが(意外という)「故郷」。中学生の頃に読んだ時はそれほどだったのですが、今読むと作中の社会状況の世知辛さと、主人公の寂寥感がよく分かるというか…。これが年を取るということでしょうよ。
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Mark.jr
神話、フォークロワ、詩、戯曲、民族学的解説・索引など様々なスタイルを横断しつつ、著者の両親が研究していたネイティブ・アメリカンの文化や敬愛するカルヴィーノやボルヘスといった作家のポストモダンの要素を盛り込みつつ、ちゃんとSFにもなっている作品。知名度こそ「ゲド戦記」などには及びませんが、これは著者の集大成というか、最高傑作でしょうよ。
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Mark.jr
現在までコテコテのミステリーを書き続ける門前典之氏。本書は、鮎川哲也賞候補になりがらも落選した後、自費出版として出された「死の命題」を改稿改題したものですが。閉ざされた吹雪の山荘、舞台を彩る怪しげなガジェット、次々と起きる殺人、「そして誰もいなくなった」直系のプロット。そのコテコテぶりの作風を当初から確立していたのが分かります。実は犯人自体は見当がつきやすかったりしますが、事件の全体像の確かにこれしかないなという納得感は、おそらく著者の作品の中でも一番かと。
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Mark.jr
モナコ王子の息子であるエンス・ボートがヨーロッパに対する愛憎の念からヨーロッパ撲滅運動〈トラストDE〉を起こし、ヨーロッパをめちゃくちゃにする。今のソローキン辺りの小説に通じる、破壊的ブラックノベル。
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Mark.jr
フィクションでも類型的に扱われて誤解され安い"ナルシズム"、"サディズム"、"マキャベリズム"、"サイコパシー"が、実際に心理学的にどう研究されてきたのか、またどういう精神構造をしているのかを解説した本になります。なので、このタイトルの「性格が悪い」から想起する、"嫌な奴"の心理解析というイメージから若干ズレてはいますが。むやみにセンセーショナルな書き方をせずに、堅実ながらも学術的に地に足ついた内容が、好印象の一冊でした。
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Mark.jr
夢とタイトルについている通り、全体的に悪夢感が強いのも特徴的ですが。後の作品と比べて、割とストーリーがあるというか、なんなら表題作なんかは、ほとんどエロシーンがなかったりします。あと、やはり個人的には本格的にデジタル作画取り入れる前の時期の絵が、一番好きです。
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Mark.jr
内容は動物に関する散文集なのですが。正直、そういう文章が邪魔くさく感じるぐらい、著者の本の中でも絵が凄い一冊だも思います。
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Mark.jr
大日本帝国のイデオロギーとして現在では否定されている日本単一民族国家説。本書は、その変遷を辿った力作です。意外のは当時の単一民族説と混合民族説、両方の結論は同じであるということ。だから日本人は他よりも優れた民族であると。柳田國男のようなビッグネームが唱えたものから、被差別部落を異民族とみなすトンデモまで取り上げていますが、どれも他の民族を見下した視点で成り立っており、読んでいると単一だろうが、混合だろうがどうでもよくなりますが。そういう神話から抜け出すことが重要なのだというのが、本書の結論だったりします。
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Mark.jr
著者の初期作品を集め短編集ですが。どの作品も、KやLといった固有名詞を避けた呼び名のキャラクターが醸し出す独特の雰囲気に、当時の学生運動に対する冷ややかな視点。艶やかさとグロテスクさが併存する世界観に貫かれており、日本の主流文学とは一線を画す作風の強固さが味わえます。
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Mark.jr
あえて十八番である特殊設定(ある意味"特殊状況"ものではありましたが)を抑えて、多重解決一本に絞ることで完成度を高めた「名探偵のいけにえ」に対して、その反動からか本書はガッツリ特殊設定もの。しかも、ややこしい。SF度は、今までで一番高いです。その上、モラルをどこかに置いてきたような世界観から、予想のつかない展開(ネタバレ無しで読むべき)。多重解決も過去一詰め込まれており、どこを取っても純度100%の白井智之ワールド。鬼才の面目躍如の一冊です。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2018/03/23(2822日経過)
記録初日
2017/01/24(3245日経過)
読んだ本
3639冊(1日平均1.12冊)
読んだページ
1240238ページ(1日平均382ページ)
感想・レビュー
2709件(投稿率74.4%)
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自己紹介

乱読者
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