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四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼

感想・レビュー
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suntalk
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著者の本初読み。2年前に歩き遍路を経験していなければ手に取ることもなかっただろう。四国八十八カ所の遍路道は路地(同和地区)沿いに通っているらしい。著者は歩き遍路をしながら路地を取材して歩く。その過程で何故遍路道に沿って路地が点在しているのかや、最近映画になった『福田村事件』のことにも話が及び、最後は草遍路(職業遍路、プロ遍路)に辿り着く。私が歩いて見聞きした四国遍路とは全く違う側面から語られる遍路の歴史や草遍路の話は興味が尽きなかった。ただ歩き遍路をしたことのあるような人でないとなかなか手にしない本かな。
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きじょん
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路地出身の上原氏が、四国遍路をしながら「路傍に落ちている小さく悲しい話」を拾い集める。遍路と路地の関わり、福田村事件被害者の故郷、ハンセン病患者が通った遍路道など読み応えあり。托鉢も体験していて、喜捨が20円しかない日は「気が滅入って仕方ない」とはそうでしょうねー。托鉢と野宿で巡礼を続ける草遍路については「確実に浄化され本質的な何かを取り戻す」とのこと、なるほど。 上原氏は”同じこと書いてる感”もあるが、人間のどうしようもない業、弱さや惨めさなど、彼にしか書けないワールドがあると思う。もうちょい読みたい。
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Shoji
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私は昭和30年代に四国で生まれました。お遍路さんの姿は日常風景で、別に畏敬の眼で見ることもなければ、蔑む対象でもありませんでした。ただ、そっと見守るだけのことでした。私の地方ではお遍路さんを「お四国さん」と呼んでいたのを覚えています。この本は、ずっと違和感が付きまといました。お遍路さんと同和や貧困を無理やり結びつけて語っています。西日本のどこに行ってもあるように、四国にも同和地区はありますし、そもそも遍路に廻るくらいだから、人に言えない過去を持つ人が多いのは事実だと思います。消化不良の一冊でした。
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曲月斎
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個人的な話を。2007年に四国遍路をした。後に鬼国と呼ばれた土佐には5年住んだ。確かにあの当時、筆者の言う草遍路は居たし、巡っている方々を論じるだけの材料はない。住んでいた地域には同和地区はあり、そのエリアは既に寂れているように感じた。「子供の頃はへんどさんに近付いたらいかんと言われてきた」と聞いたこともある。ただ自分の知見を振り返るに、本書は少し焦点が合わない感じが否めない。同和問題を主題に据えるなら、赤松啓介の著作の方が成程と思えるし、本書では後半は人物ルポになる。大仰な書名に過ぎるように思う。
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kinkin
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著者は自身の出自である同和問題をテーマにした本を書いている。この本は四国遍路道の脇に多く点在する同和地区(著者は路地と呼ぶ)沿いの遍路を始める。四国遍路といえば一時期大ブームが起きたことを覚えている。またそれにともなって様々なトラブルもあったようだ。著者も遍路の途中に逃亡中の殺人犯と出会い過去のことを語ったり対話するシーンも出てくる。どちらかというと人に重きをおいた遍路だと思う。個人的には素描のような遍路紀行を期待していたのだが・・・図書館本
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moyin
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友人は歩行で四国遍路をしたが、草遍路の人にあったことがなかったという。四国遍路の裏面というか、色々な知らなかったこと、この一冊を読んで初めてわかった。同和地区のこともそうだが、福田村のことは一番ショックだった。信仰の裏面は訳のない恨みか。
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Sakie
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遍路道と被差別部落の分布が重なる点に着目した著者は四国を歩き始めた。遍路は重たいものを抱えた者、行き場のない者、逃げる者を受け止める。『遍路に出る人はみな何かあるから遍路をする』。そして遍路は、巡り続けることができるのだ。著者は遍路だけで暮らす草遍路に惹かれ、追い始める。それぞれの事情で、歩き続けることによって生きる人生を選ぶ人たち。やっぱり遍路には形式でない、深いなにかがある。山頭火や西行に比べ、現世生身の人間はどうしたって生臭さ金臭さが先に立つが、巡り続けるうちに至る境地は彼らに近づくのだと思った。
つちのこ

Sakieさん、こんにちは。四国辺土は上原さんの著作の中でも力作ですね。被差別部落と遍路道のつながりを調査し、職業遍路に同行し、托鉢を体験するというルポは読みごたえがありました。私もお遍路中に、托鉢をしながら30年以上歩き続けているという80才の職業遍路に出会いました。その人は自分のことを乞食遍路と呼んでいましたが、草遍路という言葉は知らないようでした。その人曰く、バブル崩壊時には200人くらいいた職業遍路も今では四国全土で5人ほどしかいないようです。

07/19 14:12
Sakie

つちのこさん、こんにちは。上原さんの本を読むと、今生きている現実に、新しいフィルターをかけて物事を見ることができるように感じます。自分に見えているものだけが現実ではないのですね。私は83番札所一宮寺と80番札所国分寺の間で生まれ育ちましたが、ルートから外れているせいか、お遍路さんと接する機会はあまりありません。バスや自転車のお遍路さんは増えたように感じますが、職業遍路さんは減っているのですね。荷物の大きい人とは限らないでしょうから、話してみないとわからなそうです。

07/19 15:57
3件のコメントを全て見る
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こっこ
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★★★★★ アンダーグラウンド四国遍路。白川氏の「マイ遍路」のネガ版とでも言えば良いか。
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Mitsuhito Shiraha
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草遍路、あるいはプロ遍路とは。 身分制度が厳然と存在した時代、底辺とされた人々の生きるための遍路を知る。筆者の実際の遍路体験、托鉢の難しさは興味深い。 そして過去を隠している草遍路たちから聞き出すそれぞれの人生は示唆に富んでいて、なぜに草遍路へと至ったのかの動機を物語っている。
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tom
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私の出自は四国の南予。小学校に入る前後、祖父母の家に行くと、お遍路さんがやってきて、お経をあげることがあった。私が何かをいうと、祖母が「そんなことを言ってはならない」とか言いながら、5円玉を渡し(そのころの5円は、それなりの値打ちがあったはず)、手を合わせていた。そんな記憶がよみがえった。四国では、どこででもお遍路さんが歩いていた。普通の風景だった。20歳のころ、四国南岸徒歩旅行をしたけれど、みなさん親切だった。四国という土地、独特のものがあるのかもしれない。そして、遍路と解脱がつながるのかと驚いた。
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flawless
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数年かけて四国遍路をし結願したが、生活として遍路をしている方々がいるとは知らなかった。自分の無知に唖然とする。本書で紹介されていた、そんな「草遍路」の一人のヒロユキさんの言葉「暮らしていくためには食べ物と住まいも必要だが、人とのつながりとか、生きがいも同じくらい必要」は人が人たる所以をついていると思う。そしてヒロユキさんが言うからこその重みを感じた。人間の健康、健全、幸せとは、立派な住まいや満ち足りた栄養があるだけでは育まれない。ヒロユキさんの人生が、最後に幸せだったと思えるものになりますように。
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masshib
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四国遍路ではなく辺土というタイトルの意味 過去の四国遍路のやや暗い部分にフォーカスした歴史的な四国遍路の記録。いわゆる歩き遍路の紀行文とは趣が異なり四国遍路しか選択肢がなかった人々の事実についてタブーとせずに正面からノンフィクションタッチで記述。知られざる四国遍路のもう一つの歴史的な事実が語られている。
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ゆいまある
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被差別部落を研究する筆者が、草遍路を追い求めたルポ。よくぞ書いてくれた。四国に住む人なら全員興味深く読める。草遍路とは遍路のプロ。病気や犯罪や何か抱えてる人が四国に辿り着き、遍路しながら生涯を終える。他の地域なら暴力を受けるところ、生き延びる余地があるのが四国である。ハンセン病患者が歩くカッタイ道のことは別の本でも読んだが、この本にも詳しい。野宿するお遍路さんなんていないと思っていたら、うちの近所らしき公園で野宿してる場面が出てきて己の無知を知った。四国の被差別部落の歴史も詳しい。ルーツが落ち武者とか。
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かみしも
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ネタバレ2021年刊。上原氏による四国遍路ということで、当然行く先々で「路地」(同和地区)やその痕跡を巡る旅となるのだが話はそれに留まらず、幻の芸となってしまった女相撲や関東大震災後に朝鮮人と間違われた香川県人が千葉県で虐殺されたという福田村事件など気になるエピソードがてんこ盛りだった。プロ遍路とも呼ばれる草遍路の逸話も単なる正邪で割り切れないものがあり、今日でもお遍路がセーフティ・ネットであり続けているというのは興味深い。お遍路をしてみたいとは思わないがもっとその奥底を覗いてみたくなる、そんな読後感だった。
きじょん

かみしもさん、こんにちは。 福田村事件、私も気になっています。森達也さんが監督を務める映画が、今秋、公開のようですね。 いつもながらの渋いセレクト、勉強になります。

05/15 14:28
かみしも

きじょんさん、コメントありがとうございます。その時々の興味関心で本を手に取っているのですが、ご参考にしていただけたなら幸いです。森達也氏による福田村事件の映画は自分も気にはなっているのですが、痛そうなあるいはバッドエンド一直線な映画・映像が年を取るにつれ受け容れがたくなっておりまして、映画をちゃんと観れるかは未知数です。でもこういった題材が映画化されるということ自体は、何かしらの形で応援したいです。

05/16 01:14
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K Goro
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四国に長く居ても知らないことばかりだった。最終的に何かしら救いのある終わり方になっていて良かった。
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takao
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ふむ
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tecchan
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四国遍路は、車使用で40ケ寺近く参拝したけれど,いつ結願できることやら。この作品は、草遍路,路地(部落)、門付など、違った視点から、著者が実際に遍路しながら回ったノンフィクション。「皆んな,何か心にあるから回る。しかし、それは自分が変わるきっかけにすぎない」との言葉が身にしみる。
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saba
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「プロ遍路=草遍路」という存在に衝撃を受けたのでその辺りのものを読みたくて手にとった。観光遍路も自分探し遍路、草遍路も全て同じ道に在るのだけれど、それぞれ微妙に交わらないし、場合によっては「見えてない」。四国は遍路の歴史の層が折り重なっている土地なんだ。。著者の作品は石器のは凄く面白かったのだけど、何となく今回は散漫な印象…。装丁が凄く良い。表紙の色味と水色のスピン(珍しい)のマッチングが秀逸。
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jackbdc
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ネタバレ遍路VS辺土は表と裏。単発と永年、観光産業VS乞食、願掛けVS贖罪という関係性。人間臭い辺土文化に興味をそそられる。二人の有名な辺土のていねいな取材も貴重。なぜ辺土を続けるのか。それしか出来ないのか、それとも償いなのか。支援者や著者自身が辺土に自分自身を投影しているかのよう。興味深い。著者が投げかける本質的なテーマは人間は変われるのか?というもの。後ろめたさを抱えて四国に来る辺土。歩いても祈っても決して罪自体が消える事はない。巡礼旅の非日常性に人の心を洗う効果を見出したいと願う著者の気持ちに共感できる。
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T S
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四国八十八ヶ所巡礼がテーマなのだが、メインテーマは「路地」の痕跡を巡る旅である。著者は自身のことを語るよりも誰かの物語りをする時に力量を発揮すると感じた。巡礼しているような気分になりつつ、草遍路にお遍路の本質、さらには旅する人間の本質を見ようとしている。息も絶え絶えに書いてるような感じもしたので、それがかえってお遍路の大変さが滲み出ていた。
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masa
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ネタバレそれが正しいのか間違いなのかわからないが、自身の持っていた四国遍路・四国八十八ヶ所巡礼に対するイメージとは全く違った。「セーフティ・ネット」こんな形もあるのかと勉強になった。路地についても勉強になった。
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真空
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完成度はともかく読ませるルポルタージュ 四国を周り続ける人と路地(部落)をめぐる旅
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書の旅人
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私が知るお遍路とは、半ば観光化してしまったイメージしかありません。しかし読み進むにつれ、かつてのお遍路とは…、観光とは違った面のお遍路とは等を知ることが出来ました。今作を読んだことにより、心の奥に埋もれていた記憶やハンセン病、関東大震災によって起きてしまった事件と、新たに知らなければならない事実に向き合う切っ掛けにもなりました。
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linbose
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★★★★☆
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GRAND ROYAL
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著者の本は何冊か読んでいるが、この本はテーマが散漫でぶれているように感じる。取材期間に5年ほどかけているとあるが、ネタをうまく消化できていない印象を受ける。
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Teruhiro Komatsu
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今の四国の子供達にも「へんど」は通じるんだろうか…以下引用【長い遍路の歴史の中で、この「へんど」という言葉はやがて乞食を意味するようになったが、昭和三〇年代くらいまでの子供たちは遍路が通り掛かるとよく石を投げたという。家で言うことを聞かない子は、親から「へんどに連れて行ってもらうぞ」と脅かされた】
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あんぱん
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2021年11月初版。 つい最近の本。知ってる人も出てきてた。 ジャーナリストらしい現実味のある視点で、過度の神聖視も蔑視もなくリアルに書いてあって興味深かった。著者の興味の有無を感じさせる、多少の偏り具合も人間もがあって良かった。 教科書には出ないかもしれないけど、これも人の暮らしの一部であり、ひとつの民俗学の資料になるんじゃないかと思う。
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つちのこ
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いつかはチャレンジしたい歩き遍路。これまでお遍路の関連本を多く読んできたが、これは異色作である。四国の遍路道沿いにちらばる路地を巡りながら、部落差別の歴史と実態を拾い集めていくのは被差別部落出身の著者ならでは。一方で遍路を生業にしている草遍路と呼ばれるプロの人々に目を向け、自らも野宿と托鉢を経験しながらその厳しさを実感していくのは著者の強い意志があってのこと。歩き遍路は結願によって達成感や虚栄心を満たすことはできるが、本質的には何も変わらない。しかし、退路を断って人生をかけた草遍路にこそ、人は確実に⇒
つちのこ

⇒浄化され昇華されると結ぶ。2020年に北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断した自分には、歩き旅の次の目標としての四国遍路を軽く考えていた。人それぞれだろうが、遍路に出ることに理由がいるのか。信仰心も薄い自分にはその資格はないのだろうか。読んでいて遍路の奥深さと意味深さに、益々分からなくなってしまった。

01/26 19:56
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ゆりのき
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ネタバレKADOKAWA書下ろし作品。四国遍路というとお遍路装束、手甲、脚絆、金剛杖・・TVやドラマ、映画などのイメージ だった。しかし、著者が5年をかけて実際に遍路をし、《草遍路》の人々と交流、加えて先々の同和地区《路地》の歴史もたどりながら執筆した辺土(遍路で生活する者)の旅ルポルタージュは想像もつかない世界だった。帰る場所もなく、浮草のように何年も四国に漂うように暮らす草遍路。遍路をする人も接待をする地元の人も、何を求めているのだろう。現代のような世知辛い犯罪が横行する社会で、読んでいて奇跡のように感じた。
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onepei
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四国は不思議なところだ
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アメヲトコ
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21年11月刊。大衆化・観光化したお遍路ではなく、喜捨に頼って四国を回ることを生業とする草遍路たちや、遍路道の周辺に存在する「路地」の世界を注視したルポ。私も学生時代にお遍路を廻ったときに、生活道具を満載したリヤカーを曳いた草遍路さんを見かけて衝撃を受けたことがあります。あれが本書に出てくる幸月さん本人だったのか、あるいは別の人だったのかは分かりませんが。美談だけでは語れない四国のもう一つの側面が浮き彫りにされる迫力の一冊です。装幀もとてもいい。
0255文字
Junko Yamamoto
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四国遍路の負の一面はまだ残っているのだな。いや、負というのはあくまで一般社会から見てで、そこで生きられない人をも受け止める救済の道でもある。
0255文字
a a
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かつて遍路の中には、辺土と呼ばれ、生活のために施しを受けながら四国を巡る人たちがいたらしい。その実態を自身も歩きながら追う。さらにはその道筋にまつわる人物たちの記憶を辿る。 現代の辺土と言える生活遍路たちや、腎臓バンクの杉山社長の係累の話や、女相撲の横綱の話など、記憶に残る逸話が多い。
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