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夜と灯りと (Shinchosha CREST BOOKS)

感想・レビュー
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ましろ
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暗さの中にも光を思う。人物たちの描き方に無駄がなく、読み始めた先から心掴まれた。どこか無骨にも思える文体から生まれる物語は、著者の知る社会であり、知る人々であることで独特の説得力を感じる。物語の背景にある壁崩壊後の旧東ドイツ、その後の世界を生きる人々の心にある深い闇とささやかでも灯る光を抱き留めたくなる。映画『希望の灯り』が好きだったこともあり、本書収録の原作「通路にて」は特別な思いで読んだ。閉塞感が立ち込める。けれど耳をすませばフォークリフトの音も波のざわめきに聞こえる。人と人との時間にある特別に浸る。
0255文字
辺野錠
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淡々とはしているけど突き放すほどではない距離感の描写が独自色になっていた。教師から囚人まで様々なままならない人生が描かれるがそういう描写だったので重い読後感ではなかった。ベルリンの壁崩壊後の東ドイツという舞台もドイツならではでまた独自色。
0255文字
riko
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煙草と酒、クスリ、女、刑務所、、、金もなくうまく行かないことばかりなのに悲壮感はなく、まあ人生そんなもんよという不思議な明るささえ感じられる短編集。主人公の目に見える半径数メートルの景色と会話文で進んでいく書き方が、その近視眼的思考を否応なくこちらに流し込んでくる感じで、一緒に街を、そして人生を彷徨ってるような気分になる。読みながらブコウスキーっぽいな(苦手…😅)と思ってたら後書でもそう言及されていて、唯一、酒や女に溺れず冷静に働く主人公が職場の人間関係を淡々と描く「通路にて」は好きだった。
0255文字
練りようかん
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旧東ドイツの人々を描いた12篇。歯がなかったり電気が止められていたり、現状のたよりなさがムワッと香り救いのない終わりが多いが、少し戻って良いこともあったと反芻したくなるささやかな温かさが残る。「おれの後ろの空は明るい」という言葉は前は?と反射的に思ったのだけど、篇を読み重ねるほど象徴する意味深さを感じた。特に感情移入したのは愛犬の手術費のため金策に走る男の「犬と馬のこと」。対岸にいると認識してる人も他者から見れば自分達は同じ岸にいる。孤独から浮かび上がる一瞬の紐帯に胸を突かれた「おれたちは旅をする」。
0255文字
まどの一哉
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解説によると作者はドイツ文壇には珍しくアカデミズムとは無縁のブルーカラー出身。いわゆる不良少年で少年拘置所体験もあり、様々な肉体労働を経て小説家になった人。そのせいか各短編の主人公の男は本格的なマフィアではないもののコカインなど薬物は使うし、人生そのものにもなんとなく投げやりなところがある。
まどの一哉

そこになんとなく格好良さがあって、ケンカしたり女を追いかけて旅をしているとそれだけで絵になる。これは実際そんなものなんだろうが、やや通俗的な印象があって物足りない。漫画家のつげ忠男作品に登場するアウトローたちもそういう格好良さがあるので、それと同じかもしれない。

12/31 20:31
まどの一哉

そんな中ではアウトローではない人間が登場する後半の3編が良かった。 ●就職したばかりの巨大倉庫でフォークリフトを操りながら働く男の、ほのかな恋やリーダーへの親愛を描いた「通路にて」●平和な家庭生活を捨ててある娼婦を追いけけ回すことなってしまった男「君の髪はきれいだ」●過疎化した農村に残り、老いてゆく動物たちと暮らす老人「老人が動物たちを葬る」 この3編は気取らない素直な味わいを感じた。

12/31 20:31
0255文字
takao
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ふむ
0255文字
いも茶
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『東独版トレインスポッティング』という謳い文句に誘われるようにして手に取った。統一後のドイツにおける東西格差の話は何となく聞き及んではいたが、その現実の一端を目の当たりにしたような、そんな感覚。基本的に、都市の不満足な人間を描いた作品は好みなはずなのだが、さほど乗り切れなかったのは文体のせいだろうか。郊外のスーパーマーケットのバックヤードで働く男女を描いた『通路にて』は、都市の裏面を表現した作品として良かった。
0255文字
みなみ
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ベルリンの壁が崩壊したあとの東ドイツの人々を描いた短編集。「犬と馬のこと」が一番理解できた気がする。「通路にて」は映画の原作になっているそうで、これも印象に残った。今回読んだのの3倍くらい時間をかけてじっくり読むともっとよく作品世界を理解できると思うんだけど、そうするほどには好みではなかったので、潔くザクザクと読み切ってしまいました。
0255文字
adrenaline
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孤独に人生の重荷に耐え、あるいは不当に扱われていると感じているすべてのひと
0255文字
shimuratakeda
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再読。文章が淡白なせいなのか、やっぱり文と文のつながりがちょっとわかりにくい。でも書かれている陰鬱で曇天みたいな世界はなんだか居心地良さそうだ。『南米を待つ』が一番好きかな。
0255文字
ガクガク
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ネタバレベルリンの壁崩壊後の旧東ドイツ。「二級市民」と呼ばれ、いまだ「負け組」として社会の底辺で生きる人々。その生き様のひとコマを鮮やかに切り取って見せる短編集。著者自身が様々なガテン系の職業を経験し、ドイツでは「文学界の刺青男」(実際両腕びっしりに入れ墨があるらしい)の異名を持つだけあって、登場する人物たちは確かなリアリティを持って読者に迫ってくる。削ぎ落とされた文体、感情を交えない乾いた表現であるにも関わらず、どこかに優しさと仄かな光を感じるのは、社会の底辺で生きる人々への眼差しに温かいものがあるからだろう。
0255文字
Ducklett21
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旧東ドイツのうまくいかない人たちを淡々と綴る物語たち。夢のような話がふわふわと飛び回ったり、ドラッグ系の幻想的な描写は苦手なんだけど、それ以上に描かれている人たちが味わい深く(なんとかw)読み切った。きつい環境でも悪意のある人物というのは登場しなくて、作者の人間に対する信頼を感じる。問題が解決してハッピーとはならないんだけど、こういう人生でも十分肯定する理由はあると言われている気がする。「通路にて」「川への旅」「犬と馬のこと」「おれたちは旅をする」「デブは恋してる」あたりが好きでした。
0255文字
Mark.jr
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ヘミングウェイ、リチャード・フォード、ブコウスキーが引き合いに出されるのも納得な、切り詰められた文体にアウトサイダーへの目線、そしてハードボイルド感。
0255文字
NAO
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ベルリンの壁崩壊後、旧東ドイツの人々の多くは再統一を歓迎しながらも体制の変化に対応しきれずに取り残され「二級市民」としての苦渋を舐め、未だに、旧東ドイツ地域と旧西ドイツ地域との格差は歴然としているという。東ドイツに生まれ育った作者による『夜と灯りと』は旧東ドイツを舞台とし、俗に「負け組」と言われている人々の日常を描いた短編集。彼らのあまりにもつましい日常を、作者は素っ気ないまでに簡潔な文章で描いていく。だが、その素っ気ない文章の奥底に、彼らへの深い共感と愛情が感じられる。
0255文字
こに
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映画「希望の灯り」の原作「通路にて」が収録されているとのことで読みたかった一冊です。ベルリンの壁崩壊から20年 「負け組」として生きる人々の12の物語を収録。少しだけ、希望や明るい未来が見えるものもありますが、どの物語も暗いです、辛いです、厳しいです。 「負け組」の人間模様から社会的矛盾を批判したりはしておらず、ただ、物語を書き、人々を描いています。物語にリアリティがあるのは作家自身の体験の裏付けがあるから、とのこと。旧東ドイツ出身の人々が西側に馴染むのは簡単なことではなかったのですね。
0255文字
algon
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東独、負け組の人物達を活写…というアピールだが東独という言わば負け国の住民の在りようを渇いて凝縮した文体で伝えた本、そんな感覚を得た。負け組と言ってもひどい負け様で刑務所行きもジャンキーもごくごく普通、死ぬ目が日常的に出てくるほどの内容で、まぁそれほどの国だったという事か。油断してると読み違えるほど短縮した描写が随所に出てそのひび割れたような感性が魅力ともいえる。「通路にて」はその中でも穏やかな経過で周囲との交流を描き、「希望の灯り」という優秀な映画になりベルリン映画祭で受賞した。本の中でも救いの一作。
0255文字
かんしゃします。
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映画「希望の灯り」の原作が「通路にて」として収録。
0255文字
futomi
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短編集。マイヤーさん初読み。 「通路で」の人物像の描かれなさが好き、仕事が順調すぎてドキドキしてしまった。
0255文字
nuit@積読消化中
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驚いた。初めてクレメンス・マイヤーという作家を知り、何気なく手を取ったらのめりこんだ。物語もそうだが、著者独特の文体や世界観にどっぷりと浸かったら抜け出せなかった。多様な登場人物、失業者、服役中の男、卸売市場の夜勤の従業員、さびれた村の老人、天才画家…けっして成功者の物語とは言えない、どちらかというと「負け組」の人間模様。しかし、その中にも何か温かさが感じられる。本書収録「通路にて」が『希望の灯り』という放題で映画化されている。こちらも必見。
0255文字
 本の紙魚
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ベルリンの壁が崩壊したとき、作者は12歳。同じ小学校に通っていたら、廊下ですれ違っていたかもしれない。日本にいた私は、おもちゃ屋でゴルバチョフのソフビ人形を見つけ、児童向け雑誌の付録マンガにはベルリンの壁崩壊のドラマが載っていた。占領下の日本では分割統治をロシアが主張したと親から聞かされた。同じ戦争で共に敗戦国となったドイツと日本。子どもたち、孫たちの生活がかくも明暗が分かれることになると、誰が思っただろう。暗い負け犬の物語?それが私たちの人生だったかもしれないと、日本人には考えることができるのだろうか。
0255文字
伊東
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何故かずっと気になってて読みたかった本。 すっごく文章読みづらかった!これは、、行間を読むというもの?か? 小説読みたい熱が高かったからなんとか勢いで読めたけど目が滑る滑る。 でも読んでる間は期待してた雰囲気も味わえたし、余韻はとてもよかった。 読みたかった本一つクリアした満足感。 裏に独版トレインスポッティングって書いてあってなるほど、いろんな意味でそうだなって思いました。
0255文字
Tokki
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ハレ(東ドイツ)出身の作家による12編の短編集。主人公は失業者や囚人など所謂社会の陰にいる人々。話にリアリティがあると思っていたら、あとがきを読んで作者が作家になる前に短編集に出ている仕事を行なっていたと知り納得。特に印象に残ったのは映画化にもなった夜勤の業務用スーパーでフォークリフトの運転をする男の話「通路にて」“In den Gängen“。ラストの余韻が秀逸であった。全体的に希望が見える短編ではなかったけれど、登場人物に正面から寄り添う感じが出ている所に好感を持った。
0255文字
遥かなる想い
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「ベルリンの壁」崩壊後の旧東ドイツの人々の生き様を描いた短編集である。 社会の周辺に生きる人たちを クールに描く。 心なしか アメリカ作家の短編集にも似て、 感情を抑えたタッチが 心地よい。 著者自身の体験に基づく 多様な視点は、 現代の東欧の実情なのか?ひどく 透明感のある世界だった。
0255文字
sk
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リアルでペーソスに満ちている。東ドイツ、厳しいね。
0255文字
ブラックジャケット
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ベルリンの壁が崩れて30年。著者が多感な十代の頃、東ドイツの人々は再統合の光と影の日々を送る。再統合の相手は高級車を世界中に売りまくる資本主義体制の優等生の西ドイツ。東ドイツなんて貧乏人の集まりくらいにか思っていない。しかしライプニッツ出身の著者は様々な職業を経て、小説家としての志を高めた。いわゆる東ドイツの「負け組」に最大のシンパシーをそそぐが、感傷を排した乾いた文章で短編小説を綴る。「川への旅」「通路路にて」は感銘深い。タトゥーの話が出てくるが、著者も多くのタトゥーがあり、独文壇を驚かせたらしい。
0255文字
ガーネット
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訳者あとがきにも、裏表紙の内容紹介にも「旧東ドイツの負け組の人々を、クールに、共感を持って描く」とあるせいで、レビューには「負け組」との言葉が並ぶ。果たして、彼らは負け組なのか。負け組、勝ち組という尺度では測れない「生きるってなんだ?」という深い疑問を、押し込めようと抑えている両手の間から、なお漏れ出てくる悲しみや憤りは、収められた短編すべてに感じる。「醒めてほしい」と思いながら、悪夢の中を彷徨うような閉塞感。もちろん居心地は良くないが、それを負け組と評するのは、経済至上主義に偏り過ぎてはいないか。
0255文字
ひるお
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「ベルリンの壁」崩壊後の旧東ドイツに「負け組」として生きる人々を描いた短編集。ドライな筆致だからこそ、ウェットな重みが際立つ。辛気臭く救いのない話が多く、誰にでも薦められるたぐいの本ではないが、それでも、登場人物の体温の気配は、読まずにおくには惜しいほどに色濃い。個人的には、『希望の灯り』として映画化された「通路にて」がいちばん良かった。やさしい人々と、彼らがそれぞれに背負う影のコントラストは、決して鮮明ではないがそれゆえに印象的。絶望も希望も、ひとりひとりに少しずつ分け与えられているのだと思いたい。
ひるお

「俺たちは旅する」は、初期のヤマシタトモコ作品のような感じ。喧嘩っ早い男が刑務所内で出会った人たらしのゲイと美人局をしながら旅をする話で、騙した相手からふたりで逃げるときや稼いだ金で豪遊するときの高揚感と、ふたりで並んで横になっているときの静寂の振幅がいい。ホモソーシャリティやブロマンスではなく、まさにBLといった風情の世界観。

06/17 20:54
0255文字
めえめえ
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今月鑑賞したドイツ映画「希望の灯り」(原題は「通路にて」)が入っている短編集。もしこの本にハッシュタグをつけるなら、現実、虚構、絶望、幻覚、幻視、囚人、不吉、どん底、負け組等々、明るい素材は感じられませんでした。それでも僅かな希望にすがりつく人々。登場人物たちは作者の分身でもあるのかな~。文章は読みにくいです。もう少し段落で区切って欲しかった。
0255文字
Nobuko  Hashimoto
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読了していないが記録。ドイツの映画「希望の灯り」を観たあと、原作「通路にて」を読みたくて図書館へ。原作は驚くくらい短かい。原作者が映画の脚本も書いたとのことで、映画はより深く厚みのある物語になっていた。ほかの短編もいくつか読んだが、う~ん… 失敗作?途中で終わってる?みたいなのが多くて全部読むのは放棄しようかな(^_^;) 脚本の方がいいんじゃないだろうか、この作家さん。映画と合わせてブログに記録。https://chekosan.exblog.jp/29396250/
0255文字
やまはるか
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図書館本。自覚なく再読した。場面と時制が織物のように重なっていて、独特の読み応えがある。甚だしいものでは行の中で場面が移り変わっている。
0255文字
勉誠出版営業部
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クレメンス・マイヤーの『夜と灯りと』を読了。ドイツ版『トレインスポッティング』とも称される作品も執筆されている方だそうで、この短編集も、なるほどいわゆる「負け組」たちの悲喜こもごもが巧く描かれている。
0255文字
ちえ
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読みながらずっと佐藤泰志の「海炭市叙景」を思い出していた。旧東ドイツの「負け組」といわれる人達の姿を切り取った12の短編。時系列がいきなり変わったり、文章も繋がりがわからなかったりで、読みやすくはない。よくわからない話もあったが、「川への旅」「通路にて」は好きだ。「犬と馬のこと」の終わりかたは(お願いだからやめて)と言いたくなる。
ガクガク

「犬と馬のこと」、けっしてハッピーエンドでは終わらないってことですよね。厳しいけれど、それが現実なのでしょう。

07/31 17:16
ちえ

読んでから5年近くなるんですね。細かいところは忘れていますが、独特な暗い、でも嫌いではない感じを覚えています。

07/31 20:29
0255文字
go
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この作者の文体なんだろうが言ってることがよくわからなくてめんどくさくなった。どこの国にも孤独な人がいるんだなと思った
0255文字
おにぎり
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東西統一後の旧東ドイツ側の人たちの物語。 短編集。 時系列が入り乱れたり、状況が読みとりにくいところもあったけど、まいったなあと思うくらいめちゃくちゃ好みの作品もあった。 独特の空気感にくるまれながら読んでいった。 決して明るくない暮らしを背景に、人間が心に持つ邪のない部分を見せてくる感じ。 抱きしめたくなる本だった。
0255文字
tiro
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東ドイツの空気。特に『通路にて』が好き
0255文字
ゆりあす62
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図書館本。★★☆☆☆ベルリンの壁が崩れ、その後の東ドイツの人々を描いている。十二の短編集。みんなどこか影があり病んでいる。西と東の格差は縮まったのだろうか。作者は東ドイツ生まれだから、詳しく書けるのだろう。あとがきに暗い物語にも最後には「光」が、とあったが私には勉強不足で、見いだすことが出来なかった。
0255文字
モルテン
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旧東ドイツを中心にした、そこに住むいわゆる「負け組」とされてしまう人々の短編集。失業者、服役中の者、道を踏み誤った教師、出所後に美人局をしながら旅を続ける2人の男、娼婦に入れ込むサラリーマン……。しかし、どの話にも絶望はなく、人びとは生きなくてはならず、ただ生きようとしている。個人的に、業務用スーパーの倉庫で淡々と働く人々を描いた短編が一番好き。そこには、緩やかな仲間意識と思いやりがあった。
0255文字
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