り本国から正式な権限を付与されていなかったため効果的な働きかけが難しく、本国へインテリジェンスを提供することが精一杯だった。しかし米英ソの直接交渉の場がヨーロッパになった後、そこで得られるインテリジェンスが日米両政府における和平交渉に非常に重要な役割を担ったことは間違いなく、実際駐ソ大使佐藤尚武はそこから得られた情報を元にソ連仲介の和平交渉の仲介は絶望的で、一刻も早く降伏せねば日本本土は焦土と化し帝国は滅亡の一途を辿らざるを得ないと東郷外相に強く勧告している。後半になるにつれ読んでるこちらの緊張感と、無為

に時間だけが過ぎていく焦燥感を感じさせる非常に読ませる文章だった。 他にもバチカン経由の和平工作を扱った書籍があるとのことなので、ぜひそちらも読んでみたい。