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2025年1月の読書メーターまとめ

tonpie
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感想・レビュー
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470ナイス

2025年1月に読んだ本
5

2025年1月のお気に入り登録
7

  • dubonnet
  • 釣れんボーイ
  • tomo*tin
  • 安南
  • ホシ
  • yumemizuki
  • 火の壁

2025年1月のお気に入られ登録
2

  • 釣れんボーイ
  • 火の壁

2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

tonpie
読みでのある、濃厚な逸品。その味わいには3つの要素があり、どれもがトップレベルの知的操作で成立しているので、ボ-ッとしてると、きっとついていけない。 1【世紀末の文体見本帳として】 文頭から絶品の「人工的」自然描写。植物、昆虫がエミールガレのガラス工芸のように展開する。装飾品のような美しい細部を堪能した。86pのヘンリー卿のスピーチの異様な描写部分も超絶技巧だ。272pのドリアンが影響を受けた本(ユイスマンス「さかしま」)の、ローマ皇帝の残虐描写の羅列もすごい。↓
tonpie
2025/01/13 13:27

→ そして全編にちりばめられたヘンリー卿の皮肉な警句の見事な味わい。ワイルドはどんな時も、とことん「詩人」なのでした。   2【ゲイの心理ドラマとして】  画家とドリアンとヘンリー卿は全体を読めば明らかにゲイの三角関係だが、同性愛の具体的言及がないため、靄がかかったような「謎」のムードがある。同性愛を踏まえれば、ドリアンの女優との恋愛、破局、女優の自殺なども、「罪」の色合いが変わって見える。ドリアンの「誘惑者」としての悪評の意味も変わってくる。↓

tonpie
2025/01/13 13:35

→ 3【ゴシックホラーの始祖として】   肖像画に「老い」と「罪」を引き受けさせて、自分は「いつまでも若く」というのは、当時の上流社会の「切実な要求」だったのだろう。これを実現してしまった時、その「秘密」が、物語を生む。猟の最中に、復讐者をウサギと間違えて撃ち殺してしまう部分、そしてドリアンが「撃たないで」と願う部分は、一種の「奇蹟」である。 最近、三島由紀夫、澁澤龍彦に興味があるので、彼らがこの本をどう読んだかが気になってしまう。三島は、きっと計り知れないほど影響されたのでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。

2025年1月の感想・レビュー一覧
5

tonpie
渡辺京二初読みなのだが、この人の「歴史観」に感服してしまった。「歴史」もフィクションである。というか、歴史こそフィクションなのだが、そのリアリティを保証するものは何か?「その時代の雰囲気がどうであったかというのは、その時代に生きていた人々の課題が何であったかということですね。それを具体的に明らかにできなければ、歴史など書けない」p208引用。 この本は、明治の「士族反乱」「民権運動」の精神について、山田風太郎、司馬遼太郎を論評するなかで明らかにしてゆく。↓
tonpie
2025/01/25 23:37

→その批評によって著者自身の立ち位置を明確にしており、この本は渡辺京二を初めて読むのに最適なチョイスだったと思う。実は私は、どうしても西郷隆盛が分らなかった。江藤淳の「南洲残影」を読んで、この鋭利な論客が何を言っているのか、全く理解できずに呆然としたのはそんなに昔のことではない。また三島由紀夫「豊饒の海」二巻「奔馬」の「神風連」も、理解しにくかった。そんなムラムラした気分でこの本を読むと、かなり見えてくるものがあった。↓

tonpie
2025/01/25 23:38

→ 幕末から明治の「人の心」を解析する渡辺京二の仕事は、文中でも述べているように橋川文三の遺産に連なっているのだろう。橋川文三は三島が「文章の書ける唯一の学者」と評した人だ。渡辺京二と橋川文三のふたりを案内人として、自分の晩年の課題の一つとしてわれらが父祖の「近代史」を巡ってみたいと思う。

が「ナイス!」と言っています。
tonpie
ネタバレ澁澤の晩年期の短編8編からなる小説集。 怪異譚なのだが、ちょっと脱力したユーモアがあって予想外の独特の味わいだった。登場人物は谷崎の言うように「愚かという美徳を十分に持っている」品のある人々で、怪異そのものより、それを語る人の端正な表情が印象に残る。 「日本霊異記」を思わせる説話スタイルだが、もちろん洗練された現代日本語。作者コメントが自在に参加してくるなど、現在と地続きの怪異が描かれていると感じさせる。エロチックな女色の話柄が多いが、それと対比するように男同士の交際、友情を感じさせる話も多かった。↓
が「ナイス!」と言っています。
tonpie
読みでのある、濃厚な逸品。その味わいには3つの要素があり、どれもがトップレベルの知的操作で成立しているので、ボ-ッとしてると、きっとついていけない。 1【世紀末の文体見本帳として】 文頭から絶品の「人工的」自然描写。植物、昆虫がエミールガレのガラス工芸のように展開する。装飾品のような美しい細部を堪能した。86pのヘンリー卿のスピーチの異様な描写部分も超絶技巧だ。272pのドリアンが影響を受けた本(ユイスマンス「さかしま」)の、ローマ皇帝の残虐描写の羅列もすごい。↓
tonpie
2025/01/13 13:27

→ そして全編にちりばめられたヘンリー卿の皮肉な警句の見事な味わい。ワイルドはどんな時も、とことん「詩人」なのでした。   2【ゲイの心理ドラマとして】  画家とドリアンとヘンリー卿は全体を読めば明らかにゲイの三角関係だが、同性愛の具体的言及がないため、靄がかかったような「謎」のムードがある。同性愛を踏まえれば、ドリアンの女優との恋愛、破局、女優の自殺なども、「罪」の色合いが変わって見える。ドリアンの「誘惑者」としての悪評の意味も変わってくる。↓

tonpie
2025/01/13 13:35

→ 3【ゴシックホラーの始祖として】   肖像画に「老い」と「罪」を引き受けさせて、自分は「いつまでも若く」というのは、当時の上流社会の「切実な要求」だったのだろう。これを実現してしまった時、その「秘密」が、物語を生む。猟の最中に、復讐者をウサギと間違えて撃ち殺してしまう部分、そしてドリアンが「撃たないで」と願う部分は、一種の「奇蹟」である。 最近、三島由紀夫、澁澤龍彦に興味があるので、彼らがこの本をどう読んだかが気になってしまう。三島は、きっと計り知れないほど影響されたのでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
tonpie
句点が少ない独特の文体は、英語のthat節がクセになったのかもしれない。読みなれるとバロック音楽のような覚醒感がある。古典と酒に明け暮れた趣味人のようなイメージがあるかもしれないが、「本当に重要な件」では、吉田健一はかくも過激な正論家であった。(以下引用)   【「思想」について】 言葉をせいぜい符牒位に見てこれを継ぎ合わせていることで得られるのも符牒であることことを免れなくてそれが今日用いられている意味での思想に丁度当て嵌まる。その思想ももとは考えるということをした結果だった筈である。↓
tonpie
2025/01/02 02:12

考えた結果よりも考えるということそのものが人間にとって大事なのであってこの行為は生命とともに続けられて振幅を増し、これが最後に掴むものは生命そのものでなければならない。(略)初めから符牒を継ぎ合わせるのを考えることと心得ている時にそこに生命の躍動は見られなくて継ぎ合わせた結果が思想で通用するのはこれが死物で取りつきやすいからである。↓

tonpie
2025/01/02 02:19

→【出版ジャーナリズムについて】目立つものでなければならない。或はもし目立つものでなければそれを目立たせる工夫をする(略)又その工夫の余地のないものは敬遠される。したがってそういう目立つ特徴があれば、或はそのように目立たせて扱えるならば一人の人間が書くものが実際に読むに値するかどうか、もっと平板に言って読んで面白いかどうかは顧る必要がない。この方式でどの位多くの人間が書いたものが日本で紹介されてその時は真面目に兎に角読まれたか(引用終わり)平然と書かれているが、すごいことを言っていますよ。

が「ナイス!」と言っています。
tonpie
先月読書会で三島の怪談集(文豪怪談傑作選ちくま文庫)を読み、次回が澁澤龍彦「うつろ舟」なので、澁澤の三島関係の発言を読み直してみた。「三島由紀夫氏を悼む」「絶対を垣間見んとして・・・」の二編は、40年前に桃源社の「集成」版で読んだ記憶があり、今回再読してほぼ同じ印象を持った。それは表現者の死の「観方」の作法の「熱さ」「激烈さ」であり、澁澤龍彦の共鳴版が唸る、暗い音を聴き取った。「断章」は同時代を生きた友達の横顔を写した、生き生きとしたデッサンだ。↓
夜長月🌙
2025/01/02 11:51

tonpieさん、最後に演説したバルコニーは現在の防衛省・市ヶ谷記念館として残され実際に見学できます。平日の午前と午後にツアーガイドがあり午後の方が詳しいです。電話予約してからネット申し込みとなりますが競争率が高くなかなか取れません。

tonpie
2025/01/02 12:20

そうなんですか。ツアーガイドですか。行ってみたい気がしますが、怖くもあります。詳しく教えていただき、感謝します。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/04/09(1778日経過)
記録初日
2020/01/24(1854日経過)
読んだ本
391冊(1日平均0.21冊)
読んだページ
132422ページ(1日平均71ページ)
感想・レビュー
283件(投稿率72.4%)
本棚
1棚
自己紹介

長いトンネルをひとりで歩いている夢。出口のことなど気にならない。

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