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ネタバレ澁澤の晩年期の短編8編からなる小説集。 怪異譚なのだが、ちょっと脱力したユーモアがあって予想外の独特の味わいだった。登場人物は谷崎の言うように「愚かという美徳を十分に持っている」品のある人々で、怪異そのものより、それを語る人の端正な表情が印象に残る。 「日本霊異記」を思わせる説話スタイルだが、もちろん洗練された現代日本語。作者コメントが自在に参加してくるなど、現在と地続きの怪異が描かれていると感じさせる。エロチックな女色の話柄が多いが、それと対比するように男同士の交際、友情を感じさせる話も多かった。↓
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→特に「護法」は、三島由紀夫との交友を回顧したもののように感じられた。彦七が澁澤で乙天護法が三島である。そう思い出すと、彦七が歴史的な人物の家系につながっているという記述(澁澤栄一が親戚)や、幼馴染と結婚したが顔を変えてもらう話(澁澤の最初の妻は幼馴染で詩人の矢川澄子だったが後に離婚)など、自身の伝記的事実とイメージが重なる。↓

01/17 16:49
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→また、護法が術によって、腹を切って内臓を調整してしまうことや、首を切って頭部を入れ替えるシーンなどは、三島のあの事件を思わずにはいられない。最後に、死んだ女房が残した卵から龍が孵る。「あの龍はおれの子だったのだろうか、それとも護法の子だったのだろうか。どっちでもいいといえば、どっちでもいいようなものだが・・・」どうしても、「龍」を作品の謂いとして読んでしまいますよね。

01/17 16:52
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0255文字
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読書データ

プロフィール

登録日
2020/04/09(1778日経過)
記録初日
2020/01/24(1854日経過)
読んだ本
391冊(1日平均0.21冊)
読んだページ
132422ページ(1日平均71ページ)
感想・レビュー
283件(投稿率72.4%)
本棚
1棚
自己紹介

長いトンネルをひとりで歩いている夢。出口のことなど気にならない。

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