読書メーター KADOKAWA Group

2024年12月の読書メーターまとめ

kero385
読んだ本
10
読んだページ
3353ページ
感想・レビュー
9
ナイス
409ナイス

2024年12月に読んだ本
10

2024年12月のお気に入り登録
17

  • なるみ
  • NAO
  • マー兄
  • trazom
  • キムチ
  • HANAMARU
  • nori
  • H2A
  • まどの一哉
  • Masaya F
  • Tomoko.H
  • 佐島楓
  • 名無し
  • 風に吹かれて
  • Märklin(メルクリン)
  • 水蛇
  • こばやしこばやし

2024年12月のお気に入られ登録
17

  • ケイトKATE
  • なるみ
  • NAO
  • キムチ
  • trazom
  • マー兄
  • HANAMARU
  • H2A
  • nori
  • まどの一哉
  • Masaya F
  • 佐島楓
  • 名無し
  • 風に吹かれて
  • 水蛇
  • こばやしこばやし
  • Reiwa1dokusho

2024年12月にナイスが最も多かった感想・レビュー

kero385
「墓地への侵入者」は、前作「行け、モーセ」で白人に諂わない黒人ルーカス•ビーチャムが、白人を後ろから射殺したとの嫌疑を受け、リンチされる恐れがある中、一人の白人少年が真犯人を見出しそれを救うという話。推理小説めいたプロットで、それ自体は興味深い。ところが、文章がかなり難解で、本来なら「。」であるはずの句点の位置に、読点「、」でもない、本来日本語では使われない「.」が使われ、おそらく「;」のような完全に終結してない文章として延々と続いていると思われ、しかも突然関係のない描写に広がって行く、
kero385
2024/12/29 18:54

また、アメリカ南部の奴隷制度の解決についても独特の倫理観で語られる(特に10章)、ある意味フォークナーの小説の中でも解釈が難しい小説と思う。フォークナーの中では比較的短い小説だが読了までかなりかかってしまった。今まで、この小説だけ一行も読んだことがなかった小説で、まだ十分読み取れたとは言えない。

kero385
2024/12/29 18:59

ただ、伯父のギャヴィン・スティーブンズが唱える奴隷制度の解決、北部との戦争の敗北という形で押し付けられた解放ではなく、南部の贖罪から生まれる解放にこそ真の融和が生まれ、それがひいては合衆国の自由となるとという主旨の主張や、ルーカスを救おうかどうか逡巡し、半ば成り行きで救う形になったのを、同じくギャヴィン伯父が少年に言うセリフ「誇らしく思うのはかまわない、威張ったってかまやせん。ただやめちまっちゃだめだ」というところは、かなり共感は覚える。

が「ナイス!」と言っています。

2024年12月の感想・レビュー一覧
9

kero385
前作、前前作で登場したギャヴィン・スティーブンスを、いわば、シャーロック•ホームズに見立て、ロンドンならぬヨクナパトゥーファ郡での殺人事件(最後の中編は異なる)に挑ませる、推理小説テイストの六篇からなる小説集。最後の中編を除いて、文章の歯切れがよく、「水をつかむ手」などハードボイル風。フォークナーの小説を読まれる方ならお馴染みの、ウィスキーの砂糖水割りとでもいうのかトディという南部独特の飲み物が鍵になる「調合の誤り」は、実際に作者自身が推理小説のコンテストに応募して、二等を取ったらしい。
kero385
2024/12/31 19:17

確かに1930年代に書かれた重量級の作品群に比べると物足りないところはあるが、例え翻訳を通してとはいえ、こういうストレートな文体も駆使でき、わかりやすい小説も書け、鑑賞に耐える作品を生み出せることは、それはそれですごいと思う。なお、ギャヴィン・スティーブンスは、この後の長編でも登場する後期フォークナーの重要人物であり、この小説集は彼の来歴を語る意味でも興味深い作品。

kero385
2024/12/31 19:26

なお本の感想ではありませんが、今年10月からの新参者でありながら、私の拙い感想にいいねを下さったり、お気に入りに入れていただいた方々、本当にありがとうございました。皆様のお読みになった本、読んだものは自分と違う視点でとても参考になり、読んでいない本では、こういう本もあるのかと改めて驚愕しておりました。皆様が良いお年を迎えられますこと祈願いたします。

が「ナイス!」と言っています。
kero385
「墓地への侵入者」は、前作「行け、モーセ」で白人に諂わない黒人ルーカス•ビーチャムが、白人を後ろから射殺したとの嫌疑を受け、リンチされる恐れがある中、一人の白人少年が真犯人を見出しそれを救うという話。推理小説めいたプロットで、それ自体は興味深い。ところが、文章がかなり難解で、本来なら「。」であるはずの句点の位置に、読点「、」でもない、本来日本語では使われない「.」が使われ、おそらく「;」のような完全に終結してない文章として延々と続いていると思われ、しかも突然関係のない描写に広がって行く、
kero385
2024/12/29 18:54

また、アメリカ南部の奴隷制度の解決についても独特の倫理観で語られる(特に10章)、ある意味フォークナーの小説の中でも解釈が難しい小説と思う。フォークナーの中では比較的短い小説だが読了までかなりかかってしまった。今まで、この小説だけ一行も読んだことがなかった小説で、まだ十分読み取れたとは言えない。

kero385
2024/12/29 18:59

ただ、伯父のギャヴィン・スティーブンズが唱える奴隷制度の解決、北部との戦争の敗北という形で押し付けられた解放ではなく、南部の贖罪から生まれる解放にこそ真の融和が生まれ、それがひいては合衆国の自由となるとという主旨の主張や、ルーカスを救おうかどうか逡巡し、半ば成り行きで救う形になったのを、同じくギャヴィン伯父が少年に言うセリフ「誇らしく思うのはかまわない、威張ったってかまやせん。ただやめちまっちゃだめだ」というところは、かなり共感は覚える。

が「ナイス!」と言っています。
kero385
「行け、モーセ」は、中編の傑作で単独でも読まれる「熊」の主人公アイザック・マッキャスリンの祖父で、道徳的な罪を犯したキャロラーズ・マッキャスリンから始まる、男系、女系、そして黒人の男系の三つのマッキャスリン一族の物語。「アブサロム、アブサロム!」であの悲劇を生んだ二つの要因を(それを避けるために悲劇が起こったのだが)、マッキャスリン一族はその呪いをすでに負っている。男系マッキャスリンの正統な後継者であるアイザックが、その呪いの呪縛を解くために重要な決意をする過程が、この小説のクライマックスと言ってもいい。
kero385
2024/12/22 01:06

なお、三番目の「黒衣の道化師」だけ、とても陰惨な話で異色だが、マッキャスリン一族の黒人に対する宥和的な姿勢は特異的な物で、黒人と白人は分かり合えるはずがなく、ちょっとしたきっかけで白人の暴力による黒人への制裁が起こる現実の状況が、この物語全体の背景にあることを提示しているものと解釈している。そして喜劇調で始まったこの小説も、感動的なアイクの決断も、最後には人間としての生の残酷さの影の中で物語りは終焉する。

kero385
2024/12/22 01:06

一つ一つを独立して読んでも鑑賞に耐える作品群だが、長編として読んでこそ、有機的な繋がりが感じられ、それらの素晴らしさが生きる。他にももっと書きたいことが。この小説、私は、フォークナーの作品の中で一番好き、でもここで筆を置こう。でも最後に、最初のページのある人物への献辞。これだけでも心を打つ。

が「ナイス!」と言っています。
kero385
「土にまみれた旗」「サンクチュアリ」「征服されざる人々」などで、どこか卑劣で不快な人物として登場してくるスノープス一族。そのスノープス一族を中心に据えた長編小説。全体は四篇九章からなるが、九つの緩やかな連作からなる長編という構造。文章も一部詩的な章もあるが、どちらかといえば平板な語り口で、あえて言えば民話の様な土俗的な調子。ただ緩やかな連作とは言ったが、第一篇の第一章北軍の埋蔵金の話、第二章の馬のことで騙される話の二つが、第四篇第一章フレムが絡んでいるはずの馬購入の詐欺、第二章フレムが企てた埋蔵金詐欺と、
kero385
2024/12/19 23:21

明らかにシンメトリカルな構成を意図しているのも伺える。 フレム・スノープスという一族でも切れ者の主要人物が登場するが、登場する割合は極めて少ないし、会話も内面もほとんど描かれない。けれどどこかで暗躍している雰囲気があり、得体のしれなさ抜け目のなさは、あえて「描かないこと」で描いている様に思う。ただ、今回この「村」を読んで改めて思ったのは、この長編の主人公をフレムと想定して読むのは違う様に思う。解説で、作家の三枝和子氏が書かれている様に、この小説は、「村」、フォークナーが自ら書いた地図によれば、

kero385
2024/12/19 23:23

ヨクナパトゥーファ群南東の土地、フレンチマンズベンドそのものが主人公であり、その視点で読むとこの小説の本当の面白さに浸れるということ。この小説の語り口が、フォークロアを思わせるのもその土地そのものを語ろうとしたそこにあるのではないかと思った。

が「ナイス!」と言っています。
kero385
この翻訳では、表紙だけに英語で「エルサレムよ、我汝を忘れなば」という副題が添えられている。これは当初フォークナーがこの小説につけようとした題で、この副題はハリーの最後の独白を予感させ、やはり主なる物語がハリーとシャーロット二人の物語であることがよく理解できる。いつも読んで思うのだけど、第五章(「野生の棕櫚」としては第三章)のウィスコンシン州の湖畔での場面は、どこかエデンの園を思わせ、その後の話しは、その楽園を取り戻そうと足掻くが結局、その足掻きが更なる喪失を呼ぶ「人間の生」の残酷さを思い知らされてしまう。
kero385
2024/12/15 00:46

初めて読んだ時から変わらず、いや歳を重ねたからこそより切実に、ハリーのあの最後の独白が自分の胸に響く。「野生の棕櫚」の悲劇に、「オールドマン」が対旋律として喜劇を奏でるが、どちらにも通奏低音として響いているのは、不条理の運命と、それを耐えしのんで生きなければならない人間の姿、そしてそれをかろうじて支える「記憶」。

kero385
2024/12/15 01:04

8月に「ポータブルフォークナー」を読んで、フォークナーの作品を最初から順番に読もうと読書計画を立てた手前、7月に冨山房の全集版で読んだし、「オールドマン」も「ポータブルフォークナー」で読んだので、飛ばして、次の「村」を読もうかなとも思ったのだが、順番に読むとまた他の作品との関連なども浮き彫りになり、やはり飛ばさずに読んでよかった。「八月の光」で明確に出てきた、「耐え忍んで生きる」というフォークナーの大きな主題が、全面的に展開されたのが「野生の棕櫚」だとつくづく思う。

が「ナイス!」と言っています。
kero385
平安の文学は、私にはかなり難しい印象で、高校大学をかけてこの新潮日本古典文学集成で「源氏物語」をかろうじて読んだのが精一杯だった。なのでたとえ短くても、せいぜい「伊勢物語」くらいで、その他のものはほとんど手を出さなかった。かといって現代語訳を読む気はしなかった。やはり文学は原典を最初に読むべきだとこだわっていた。(じゃあなんで外国文学を翻訳で読んでんだろ)。でいつものごとくなんとなく手にしたのだけれど、、、、構成の8割以上が、男女の和歌のやりとり。ほぼ9ヶ月の間に交わされる中で、
kero385
2024/12/09 18:32

次第にお互いの心情が募って行く(といっても比較的早い時期にそういう関係は結んでいるようだが)。一文一文噛み締めながら、和歌のやりとりの意味を考えながら感じながら読んでくると、男女の心の動きが痛いほど伝わってきて、とても1000年前とは思えない。中盤の「手枕の袖」のやり取りで女が最後に織り込んで返す歌を読んで不覚にも涙してしまった。多分こういうのは高校くらいの自分では理解出来なくて当然だったろう。

kero385
2024/12/09 18:32

この新潮日本古典文学集成は、注釈が豊富で、なおかつ地の文にもわかりにくい箇所には現代語訳がルビのように振られているので、大変読みやすい。変な思い込みで平安の文学を敬遠してたけど、帰ってこれから読む楽しみができたかも。

が「ナイス!」と言っています。
kero385
詩を読んでいて音楽を感じるのは誰もが経験すると思うが、私はとくに宮澤賢治と中原中也は、読んでいていつも音楽が聴こえる。と言うか音楽そのもののように感じる時がある。例えば賢治の「無声慟哭」の三篇と中也の「月の光」の二篇。両方とも大切な存在を失った悲しみの詩だけれど、賢治のそれが様々な心象風景の一つ一つが織りなすポリフォニックな音楽とすれば、中也のそれは何もない虚無の中で孤独にささやくような独奏曲という趣がある。高橋英夫氏のこのご著書は、そういった詩に触発される音楽がどこからくるのかを視点にして、
kero385
2024/12/09 18:12

近代の著名な詩人を短い文章で論じたもの。この内賢治と中也は、それぞれ四つの章を重ねており、最も長い。特に賢治の心象風景が織りなす多声音楽という前々から私が感じていたこととほとんど同じことを書かれているのに出会い、なんとも言えない感慨に浸っている。中也に関しては、私の感じ方よりももっともっと深淵で核心の音楽を引き出していて、さすがと思う。なお、このご本の中でも感動的なのは、高村光太郎を論じた三篇。素晴らしい!高橋氏の批評の言葉からも確かに音楽が聞こえる!

が「ナイス!」と言っています。
kero385
「絞首台の歌」という物騒な表題がついているけど、由来は怖い物知らずの肝試しのためもと絞首刑が行われた高台でピクニックし、そこで馬鹿騒ぎをするさいの即興で作った子供じみた悪ふざけの歌だそう。著作権が切れているので、Gutenberg Project-DEで全文ドイツ語原文で読める。単純な詩だけれど、日本語にするのは難しい。さすが博覧強記の種村季弘先生、上手いなぁと思う。「狼男(Der Werwolf)」という詩が面白いなと思ったら、この詩をネタにyoutubeでいくつかアニメが上がっていた。
kero385
2024/12/04 09:34

ナンセンス詩、音声詩、カリグラフィーなど実験的なものもあるが、意外とほろりとくる詩も多い。なんと言っても種村季弘先生の巻末の解説が、いやこれ単なる解説にとどまらず当時の言語批判の傾向まで射程に入れた優れたエッセーになっていると思う。クリスチャン・モルゲンシュテルンは、ドイツ詩のアンソロジーなどで幾つかは読んだことはあるが、まとまった詩集は初めて。リルケやホフマンスタールと同時代の詩人だが、全然作風が異なって興味深い。

kero385
2024/12/04 09:41

二本の酒壜  二本の酒壜がベンチにいる/ 片方はデブ、片方はヤセ/ 二人ともお互い結婚したい/ だけど誰に媒酌を頼めばいいのかな?  二つの片目で二人とも/ 青空仰いで悩んでる……/ けれど誰も天から降りてきて/ 二人を結んでくれはしない

が「ナイス!」と言っています。
kero385
「土にまみれた旗」で老人として登場した主要人物オールド・ベイヤード・サートリスの12歳から24歳までを描いた教養小説的な作品。個別に発表された短編を改作し、物語の最終話としてフォークナーの短編の中でも傑作の誉高い「美女桜の香り」(「バーベナの香り」「クマツヅラの匂い」等の訳もあり)を新たに書き加えて、長編小説に整えた、限りなく愛おしさを感じさせる作品。殊更フォークナーは読みにくい難解と言われるが、この小説にはそのような評価は当たらないだろう。しかし、フォークナーが繰り返し主題にした深南部の伝統や因習、
kero385
2024/12/04 04:27

差別の問題、憎しみによる暴力の連鎖とその否定などが10代から20代にかけてのベイヤードの清々しい目で捉えられていて、フォークナーの主題が余すことなく展開されている。フォークナー入門には最適な長編かと思う。 同じ年同じ月に生まれ同じ乳を飲んで育った、サートリス家の跡取りベイヤードと黒人奴隷のリンゴー。物語の初めは、対等の幼馴染として共に協力し合い活躍する姿が描かれ痛快である。けれど二人が成長し最後の「美女桜の香り」では、ベイヤードがリンゴーの主として振る舞いリンゴーも立場をわきまえて行動する姿が描かれる。

kero385
2024/12/04 04:28

これがその当時の南部の事実であり、露骨な差別を描くよりも、むしろもっと哀しく胸が痛くなる。「美女桜の香り」は、それだけ読んでも十分鑑賞に耐える短編だが、長編「征服されざる人々」の最終章として読むと、青年となったベイヤードが今までの経験を通してなぜあのような選択したかがより深く感じられる。こんな素晴らしい作品が入手しがたい状態で、尚且つ1975年のこの翻訳以降新訳が出ていないのが残念だ。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2024/10/21(101日経過)
記録初日
2023/02/04(726日経過)
読んだ本
100冊(1日平均0.14冊)
読んだページ
33049ページ(1日平均45ページ)
感想・レビュー
63件(投稿率63.0%)
本棚
0棚
自己紹介

2024年10月に参加したばかりですが、よろしくお願い申し上げます。

ここしばらくは、学生時代好きだったフォークナーを読み直しています。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう