読書メーター KADOKAWA Group

2025年11月の読書メーターまとめ

kero385
読んだ本
5
読んだページ
1818ページ
感想・レビュー
5
ナイス
437ナイス
  • Xでシェア
  • facebookでシェア

2025年11月に読んだ本
5

2025年11月のお気に入り登録
2

  • PSオットット
  • あや

2025年11月のお気に入られ登録
3

  • PSオットット
  • Masako33
  • あや

2025年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

kero385
「ヴェニスに死す(原題”Der Tod in Venedig”)」は、短い作品ながら幾層にもわたる深さを有するトーマス・マン屈指の小説。したがってこの作品を語るには様々な可能性が開かれている。 今回は、19世紀に活躍したドイツの詩人アウグスト・フォン・プラーテンとの関係を切り口としてみたい。 プラーテンは、1796年南ドイツ・アンスバッハ生まれ。「美と死」の交差する情感を堅牢な形式で歌い上げる詩風。ことに古典的な14行詩ソネットやペルシャの詩の形式ガゼーレなどで秀逸な作品がある。
kero385
2025/11/03 09:01

マーラーの写真を見ながら読んでみて欲しい。しかしそれだけでなく、ヴィスコンティが映画で第四楽章をテーマに使ったからでもなく、作品そのものの構造から私は第五交響曲全体との類似性を感じている。)、など気になる考察点は他にも沢山ある。 しかしながら、このプラーテンの人生と詩との関連は極めて深い。そしてそれを知ることは「ヴェニスに死す」の深層にある詩的領域に触れる重要な鍵のひとつである。

kero385
2025/11/03 09:01

なおこの説は研究者の間では広く周知の事実です。私もいくつかの論文を読んでいます。 その上で今回の読書で、自分自身で読んだプラーテンの詩より、「ヴェニスに死す」との関連を探ってみました。

が「ナイス!」と言っています。

2025年11月の感想・レビュー一覧
5

kero385
ここ1か月、手塚富雄氏の大著「ヘルダーリン」を読んでいた。通しで読むのは久しぶりだった。手塚氏の主著といわれるだけあり、計り知れない心血がそそがれており、読むには相応の覚悟が必要だった。そのような張り詰めた読書の後には、余韻にひたりたい。 そんな思いで高橋英夫氏の「ドイツを読む愉しみ」を開いた。このエッセイ集は、現実のドイツに触れることは殆どなく、いずれの話題も日本のドイツ文学者の目を通して、どのようにドイツの文学・音楽が日本語で捉えられてきたかに焦点が絞られている。
kero385
2025/11/27 14:29

手塚富雄著「ヘルダーリン」を読むなかで、私は、ヘルダーリンを「遠景の詩人」「三和音の三度音程の詩人」という私なりの手がかりを見出した。この本の語りかける力は強い。それは、手塚氏の無限の探求心が充溢した、本そのものが放つ啓示であったろう。またそれまでのドイツ文学者たちの心血をも自然と包摂していたからであろう。高橋氏はそのエッセンスを的確にとらえ、師手塚富雄の主著へ尊敬と愛情に満ちた評でこの文章を結んでいる。

kero385
2025/11/27 14:46

「たしかにこれは氏の意志がなしとげた大業である。これから後、折に触れてはこれを繙いては胸の結ほれをほどき、詩心の養いを与えられるのは、何という浄福だろうか。」私はドイツ文学を学んだ端くれの人間として、これからも高橋英夫氏の本を繙いていくだろう。無比の清らかな幸福感に満ちた憧れを求めつづけるように。

が「ナイス!」と言っています。
kero385
手塚富雄氏著「ヘルダーリン」下巻は、上巻の韻律・音色考察に続き、冒頭でヘルダーリンの詩的構造の考察が展開される。規模の大きいヘルダーリンのオードに分類される詩は、3つの詩節が1組になる「トリアーデ」という構造単位を持っている。「トリアーデ」をなす3つの詩節は、それぞれ「テーゼ」「アンチテーゼ」「ジンテーゼ」というように弁証法的な構成となり、それが次の「トリアーデ」の内容を規定していくという。1つの詩節は、15行とか18行というように3の倍数からなり、詩節の数も3の倍数となっている。
kero385
2025/11/20 09:20

血管は、心臓で別れてまた心臓に帰る。そしていっさいは、一なる、永遠の、灼熱している生命なのだ。そう私は思った。いずれまた。

kero385
2025/11/21 07:41

*訂正:「トリアーデ」の例で「パトモス」の1詩節の行を18行と記載いたしましたが、15行の誤りです。3の倍数ではありますが誤情報を記載いたしましたことお詫び申し上げます。

が「ナイス!」と言っています。
kero385
手塚富雄氏著「ヘルダーリン」は、上下巻合わせて1000ページに及ぶ大著。詩人の国ドイツの錚々たる詩人たちの中でも比類のない高峰であるヘルダーリンの生涯と作品を詳細に論じる評伝である。 詩や小説だけでなく、ヘルダーリンやその親族・友人との手紙、証言などで立体的に彼の姿を再現する。そこに数多くの研究者の見解を引きそれぞれを吟味評価し、最終的に手塚氏自身の批評が展開される。その論述は、客観的学術的に徹していながら、生き生きとしたヘルダーリンの姿が浮かび上がってくる。
kero385
2025/11/17 14:39

ヨンデルさん、こんにちは。いつもありがとうございます。 この本は何度も読んでいる本なのですが、部分部分を用途に合わせて参考にするのが主で 通しで読むのは久しぶりです。 ところで芸術家肌は、ヨンデルさんの方ではないでしょうか。昔描いたとのことで掲載される絵、とても素敵ですよ。 私は何かを作り出す能力は持ち合わせていないので、 そうした創作の力をお持ちであることを本当に素晴らしいと思います。

ヨンデル
2025/11/20 12:56

kero385さん、今日は。そのお言葉、嬉しいような、こそばゆいような、嬉しい誤解です。良い一日を。

が「ナイス!」と言っています。
kero385
「ヴェニスに死す(原題”Der Tod in Venedig”)」は、短い作品ながら幾層にもわたる深さを有するトーマス・マン屈指の小説。したがってこの作品を語るには様々な可能性が開かれている。 今回は、19世紀に活躍したドイツの詩人アウグスト・フォン・プラーテンとの関係を切り口としてみたい。 プラーテンは、1796年南ドイツ・アンスバッハ生まれ。「美と死」の交差する情感を堅牢な形式で歌い上げる詩風。ことに古典的な14行詩ソネットやペルシャの詩の形式ガゼーレなどで秀逸な作品がある。
kero385
2025/11/03 09:01

マーラーの写真を見ながら読んでみて欲しい。しかしそれだけでなく、ヴィスコンティが映画で第四楽章をテーマに使ったからでもなく、作品そのものの構造から私は第五交響曲全体との類似性を感じている。)、など気になる考察点は他にも沢山ある。 しかしながら、このプラーテンの人生と詩との関連は極めて深い。そしてそれを知ることは「ヴェニスに死す」の深層にある詩的領域に触れる重要な鍵のひとつである。

kero385
2025/11/03 09:01

なおこの説は研究者の間では広く周知の事実です。私もいくつかの論文を読んでいます。 その上で今回の読書で、自分自身で読んだプラーテンの詩より、「ヴェニスに死す」との関連を探ってみました。

が「ナイス!」と言っています。
kero385
「回想のロンド(原題:Ich erinnere mich ganz genau -Autobiographie)」は、世界的指揮者カール・ベームの回想録。インタヴュアーのハンス・ヴァイゲルが巨匠の思い出を引き出し、それを速記者が記録していくという方法で書かれたという。本文からインタヴュアーの存在は周到に廃されている。その為、ベームが読者に直接語りかけてくれるような印象を受ける。 回想録からうかがえるベームの半生はミューズに深く愛されていたようだ。
kero385
2025/11/02 10:22

「当該の音楽作品を絵なり写真なりで解説する方法もあるが、これも間違っているとわたしは思う。なぜというに、聴衆はこれによって、本来聴くべきもの、聴こうと思うものから気をそらされるからである。そればかりか、音楽では『ジュピター交響曲』とか『運命交響曲』というタイトルも間違いだとわたしは思う。それは絶対音楽にあっては聴衆自身が自分なりのイメージをもつべきだという立場に立つからである。

kero385
2025/11/02 10:23

わたしの考えでは、作曲家自身、この作品はこうして体験すべきだという規則は、素朴な聴き手にも、教養ある聴き手にも与えてはならないし、与えることもできない。」  カール・ベームの芸術への態度を最もよく表している。そして芸術の扉は、解説や理解ではなく自分自身の主体的体験でこそ開く、と告げる巨匠の厳しい教えである。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2024/10/21(414日経過)
記録初日
2023/02/04(1039日経過)
読んだ本
168冊(1日平均0.16冊)
読んだページ
53572ページ(1日平均51ページ)
感想・レビュー
131件(投稿率78.0%)
本棚
6棚
自己紹介

最近、昔々40年前、まだ20代の頃読んだり、読みたかったけど読破出来なかった本を中心に読んでいます。
瞬発力や柔軟さは、今と比べるべくもなくあったけど、人生も愛も社会も知らない時代に読んだり読むのを欲した本を、曲がりなりにもそれらの苦しみも含め生きなければならなかった今までの経験でどう読めるか、そんな気持ちで読んでます。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう