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2024年5月の読書メーターまとめ

夜間飛行
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2024年5月に読んだ本
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2024年5月のお気に入り登録
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2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

夜間飛行
ネタバレ著者は雑誌に載せた漫画「私が見た未来」に大津波の夢を描き、それを99年に単行本化した際、今度は夢に謎の西暦年が出てきて、意味不明のまま表紙に《大災害は2011年3月》と記した。これが図らずも東日本大震災の予言となった。漫画家を休業。絶版になった本は〝幻の予言漫画〟として10万円超の値がついたという。その後太平洋がボコンとなって大津波が押しよせる夢を二回見て、本書の筆を執った。人々が助け合う未来になるのはノアの箱舟に似ている。が、25年7月に何が起こるのか。二匹の竜とは何なのか。幾ら未来が良くても怖すぎる。
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2024年5月にナイスが最も多かったつぶやき

夜間飛行

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2024年5月の感想・レビュー一覧
15

夜間飛行
ネタバレ憎悪が積もり積もって惨劇を起こす話ばかりだが、読み出したら止まらない。表題作…舌、足、手を奪われ、息子を殺された剣の達人が、暴虐な城主に復讐する。牢内で助けた〝走ることしか出来ぬ男〟に背負われ、口に刀を咥えて殿様に斬りかかるシーンの迫力が凄かった。「面」…圧倒的な力で恐れられた父(前の城主)の面に脅かされる子(今の城主)が、その面を罪のない腰元に被せて斬り殺すことをくり返す。やがて妻を娶り子が生まれて城主の病は治ったかに見えるが、悲劇は終わらない。この二篇が秀逸。憤怒の形相を美しく描く画の力に圧倒された。
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夜間飛行
ネタバレ表題作は赤ん坊の未来を覗き見た両親の話。悲惨な未来を避けるための嬰児殺しが、もしかしたら土俗社会にはあったのかも知れないなあ。「手」は猛火から命がけで姫を救った男の話。顔が焼け爛れ、殿に裏切られ姫にも嫌われ、あげくの果てに殺されてしまう。怨念のこもった手は姫の首を掴んだまま癒着し、腐乱が姫の顔に広がっていく。楳図漫画にはいつも肉体変化の危うさがある。男の執着や妄想を描く「本」「ダリの男」でも、恐怖はやはり女性の軀の加工・変形として現れる。いずれにしても、負の情念を恐怖に転化するのは一種の昇華といえようか。
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夜間飛行
ネタバレ新しいおかあさまは、夫の研究室にいる紅グモを見てニヤリと笑う。おかあさまはこの寄生グモを使って幼い姉妹二人を殺し、財産を奪おうとする悪い女なのだ。紅グモを口に入れられた姉は墓の中で甦り、老婆の姿になる。そして復讐するため家政婦として家に入り込むが、おかあさまは残された妹の殺害にクモと老婆を利用しようとする。復讐する側の姉が老婆やクモに変身し、妹に怖がられ、最後は抜け殻になるのがやりきれなかった。こうした不条理を伴う恐怖は嫌いではないが、本作は結末がスッキリしない。友達が紅グモになる後日談もいらないと思う。
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夜間飛行
後書きによれば、ここには暗い色調の初期作品が集められている。「哲学者の小径」はSFを書き始める遙か前に発表の当てもなくノートに記したもの。悪友三人が過去の自分たちと出会う話で、そこに生じる対決はじめじめした青春への嫌悪を湛えている。SF作家としてデビューした頃の「ホムンを故郷を見よ」は、辺境惑星での古代文明発見と差別・民族自立という重い題材を扱いつつ、命がけの時空航行にロマンがあり、最後は見事な視点の転換に意表を突かれる。暗い話でも、想像力の飛翔が読む人の心を伸びやかにさせてくれる所にSFの魅力を感じた。
夜間飛行
2024/05/26 00:27

「召集令状」は、赤紙を受け取った若者がみな行方不明になる話。社会は大混乱に陥り、若者の《理由なき反抗》が《理由ある反抗》に変わる。そして諦め、送別の宴、万歳、やがて主人公の許にも赤紙が来る。「正午にいっせいに」…数寄屋橋交差点の広告塔、木製のボコボコいう歩道、笛をくわえた交通巡査、ワッペンだらけのランドセル、電話ボックスの娘のキチキチのスカートと、もくもく動く臀…この街に革命は来るのか? SFには悪ふざけのような、悲喜劇を高みの見物するような、無責任な笑いがあるけれど、それは自嘲と遠く繋がっているのかも。

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夜間飛行
少女の顔にドラマ性が集約されているといっていいくらい、表情のインパクトが強い。眼の見えない冬子さんが眼の大きな比奈子さんに、あなたの髪と着物の切れ端がほしいと頼む所で、はっとした。冬子さんは友達ともっと仲良しに…互いに眼の見えない親友同士になりたかったのだ。でも、視力を失っていく比奈子さん同様、呪いを掛ける冬子さんもなぜか憎めない。楳図漫画には醜く変貌していく人がよく出てくるが、この話の冬子さんは可憐なままであり、悪として未成熟に思えた。初期作品集のせいか、第4話以外は醜いものが出てこないのが新鮮だった。
夜間飛行
2024/05/24 22:26

ちなみに、表紙のようなグロテスクな画は作中にありません。

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夜間飛行
借金が帳消しになるならと、悪魔に身を任せる理恵夫人。彼女が躊躇うのは名門夫人だから。娘の百合子は〝令嬢〟なのだ。しかし二人を見ていると高貴なものの形だけあって中身がない。昭和も終わり近く、高貴なものを陵辱することの意味はすでに失われているのだ。とはいえ、幻灯でも見るようなノスタルジーがないわけではない。そこには高貴なものの価値を取り戻したい(裏を返せばもう一度壊したい)という願望が潜んでいるようだった。母「あ、悪魔ッ…人でなしッ」娘「いや、意地悪おっしゃっちゃ」「助けてッ…お母さまッ…」科白も昭和なのだ。
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夜間飛行
14年前の原宿。小泉今日子さん、ここに住んでたんですね。どうりで街に融けこむおしゃれが素敵。原宿は明るい街だ。今はもう無くなってしまったものが本当に貴重だったと思う。ウェンディーズやコロンバンにはよく行ったけど、店が移動して昔と変わってしまった。本書に出ているオーバカナルの、あの薄くてカリカリしたステーキや、その地下にあったウエストの美味しい珈琲とケーキがもう無い。さらに古くは…神宮前交差点のスパゲティ屋、文鳥堂書店、原宿平均律の頑固マスターと美人奥さん…どれもこれも記憶の遠い彼方に飛んでいってしまった。
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夜間飛行
名文に惑わされなくなり、自分らしい〝よい文〟が書けるようになる本。易しそうで難しい。《よい文の心を盗む》《説明不足は強調の常備薬》《一気に書き上げる》ボードレールは「推敲がいいことだというのは誤解だ」と言った…詩では推敲を重ねた彼も、散文についてはこの姿勢だったという。それくらい最初に書いたことが大事だと。もっとも著者がいうのは、手書き原稿を書いた直後に直さないということであり、ゲラになってから見直すそうだ。思うに、手書き原稿だと活字になった時の印象がわからないからであって、ワープロでは事情が異なるかと。
夜間飛行
2024/05/19 06:46

実用編では、日常的な文章だけでなく、小説、劇、評論から短い文章を引用して、鋭い批評を加えている。エドガー・アラン・ポー「アモンティリャアドの酒樽」、三島由紀夫「潮騒」、シェイクスピア「ロミオとジュリエット」、筒井康隆「走る取的」、吉本隆明「共同幻想論」、田中康夫「なんとなく、クリスタル」、蓮実重彦「批評あるいは仮死の祭典」、大江健三郎「死者の奢り」、倉橋由美子「パルタイ」、志賀直哉「城の崎にて」など。著者の文体論は文章を文体素に還元して、巨視的微視的に論ずるものと記憶しているが、本書にもその片鱗が窺える。

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夜間飛行
鉄道旅行は若いころ好きだったが、三十代以降、仕事か、家族としかしていない。一人旅を思い出すにはこの本いいな。駅弁を食べながら車窓の景色を眺める…幸せ。
兵士O
2024/05/19 16:19

駅弁、食べなくなって久しいです……。夜間飛行さんのレビューであの美味さを思い出しました。列車に乗って食べたい(>_<)

夜間飛行
2024/05/19 23:44

兵士Oさん、ローカル線に乗って行く気ままな旅を思い出します。やっぱり駅弁と景色は、一人でのんびり味わいたいです。

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夜間飛行
事例豊富。題の「つなわたり」とは、普遍的な倫理の独断論と極端な相対主義の間を行くという意味で、そこから心のあり方(徳倫理)を見直す試みである。その際、徳だけでは行為と結びつかないから、アリストテレスが中庸という概念で示唆したように、両者を繋ぐ〝思慮〟の吟味を必要とする。そこで、マッキンタイア、ヌスバウム、マクダウェル、フット、ハーストハウス、イグナティエフらの議論を参照しつつ切り込んでいく。明快な答は出ないにせよ、この試みは無駄に思えない。迷いに向き合う柔軟な思考そのものに倫理の力が宿っているようだった。
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夜間飛行
芸術家の対談を読むと、何となくその人のことがわかった気がするけれど、池田満寿夫の〝歓ぶ〟才能を日本人は軽視しているのではないかと思う。篠山紀信の回は「女の子を脱がす」というテーマで、女の人は裸になってもさらにもう一枚裸になる感覚を持っているとか、女性心理の話で面白かった。ただし、理屈を百万語言ってもダメというのは女性に限らず、人にものを頼む時全般にいえる気がした。躁状態の北杜夫の回は、北が語ろうとする「芥川賞の怖さ」とは何なのかよくわからないまま、吉行が躁病に気遣いながらユーモアを引き出す感じがよかった。
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夜間飛行
「一手一手の意味を理解することが重要です」「定石の意味を体に覚えさせて下さい」とある。本書は守る所はしっかり守るという考え方だが、私はどうしても「手抜くとどうなるか」に関心がいってしまう。それは正しい打ち方を〝体で覚える〟という本書の趣旨とは逆かも知れない。AIと打つようになってから、色んな手を試せるようになって、お手本を〝体で覚える〟のがつまらなくなった。と同時に、相手がAIだから負けることへの抵抗も減った。そして手本無しの自分がイヤになるくらい弱いことに気づいた。治勲先生、こんな私ってダメでしょうか?
きゃれら
2024/05/14 10:46

囲碁仲間で「受ける手」をAIで分析した人がいて、その結果僕らが思っているより全然小さいことが分かって驚いたことがあります。

夜間飛行
2024/05/14 20:27

きゃれらさん、ありがとうございます。本書にはAI定石も出ていますが、少しだけなので、それを目的にすると物足りない感じです。「受ける手」が小さいというお話は、わかる気がします。私は、AIと打っていて、相手の石を取りに行くと、外側に厚みを作られて失敗することがよくあります。石を取るというのがどれほど大変かをAIから教わりました。なので、陣地の傷も、全局的に碁盤を見る眼さえしっかりしていれば、守らなくてよい場合が多いのかも…逆にいうと、私は全局的に見ることをせず、守らなくてよい所まで守っているのかも知れません。

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夜間飛行
宗教による救いの力が退いた現代でも、救いを求める心は童話や歌に現れている。救いとは悪や苦などを超えた魂の状態に達すること。でも私はその悪や苦さえ漠然としたまま救いを求めている気がして、それが漠然としていると救いの在り処も見えない…だから、地獄図や悪を悪として描くお話があるのだろう。あと、宗教のわかりづらさは権力構造との補完的または対抗的な関係からも来ていて、そうした社会構造の中で宗教の果たす役割を考えることも大事だなあ。後半、宗教学、社会学、哲学と横断しながらウェーバーやヤスパースらの理論を紹介している。
が「ナイス!」と言っています。
夜間飛行
ネタバレ著者は雑誌に載せた漫画「私が見た未来」に大津波の夢を描き、それを99年に単行本化した際、今度は夢に謎の西暦年が出てきて、意味不明のまま表紙に《大災害は2011年3月》と記した。これが図らずも東日本大震災の予言となった。漫画家を休業。絶版になった本は〝幻の予言漫画〟として10万円超の値がついたという。その後太平洋がボコンとなって大津波が押しよせる夢を二回見て、本書の筆を執った。人々が助け合う未来になるのはノアの箱舟に似ている。が、25年7月に何が起こるのか。二匹の竜とは何なのか。幾ら未来が良くても怖すぎる。
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夜間飛行
祖父信定は商人と婚姻関係を結んで港を押さえ、父信秀は戦争と貿易に精を出して勢力を拡げた…こうした父祖の血を受け継ぐ信長はリアリストだった。彼が長生きしたら何をしただろう。フロイスらが危惧した自己神格化に関しては天皇との関係が無視できない。戦国時代に天皇は講和を保証できる唯一の存在として権威を持ったらしい。本書では、信長が正親町に譲位させ皇室権威を利用しようとしたが失敗したという今谷説と、譲位を迫った事実はないとする山室説が真っ向から対立。二人の丁々発止を読んで論点はわかったが、信長の最終目的は謎のままだ。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/10/31(4249日経過)
記録初日
2012/10/01(4279日経過)
読んだ本
1416冊(1日平均0.33冊)
読んだページ
403920ページ(1日平均94ページ)
感想・レビュー
1416件(投稿率100.0%)
本棚
36棚
性別
年齢
61歳
自己紹介

私の読書の旅は気球に乗った気ままな旅。
目的地はこの世界のどこかにあって、今はまだわかりません。
良い本に出会えれば、とりあえず今日はOK。
読書も一期一会だと思っています。
読書家のみなさまの耳寄りなお話、
楽しいお話、変なお話を、ぜひ聞かせて下さい。
★性的描写や暴力描写のきつい小説やエッセイの登録およびその感想も書きますので、苦手な方はお気に入り登録をなさらないよう(すでにしている方は解除とできればブロックを)お願いいたします。
★相性の悪い作家さんが何人かいて、その方の作品に対するレビューには、基本的にナイスをしません。しかし、それでも感想そのものにとても共感できる場合には、たまにナイスを入れることもあります。
★現在、読み友さんのレビューを拝見するのが手一杯なため、更新速度の速い方は此方からお気に入り登録をしていません。ご了承下さいませ。

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