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2024年2月の読書メーターまとめ

夜間飛行
読んだ本
9
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3271ページ
感想・レビュー
9
ナイス
2225ナイス

2024年2月に読んだ本
9

2024年2月のお気に入り登録
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2024年2月のお気に入られ登録
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  • nadja
  • ジャガラモガラ
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2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

夜間飛行
この作者としてはグロ控えめ、とはいえ変態性と背徳性はかなりのもの。ネタバレせぬよう内容には触れないが、特殊設定により人の意識そのものが謎であり罠である。要するに登場人物の意識を介して受け止めた小説世界が何度もひっくり返される。それもメビウスの輪のようにしれっと反転し、前の記述を裏切らないのが凄い。変わり目では一瞬何が起きたのかわからなくなる。後半に入って推理に参加する頃には、人の意識を信用しちゃダメというルールが読者にちゃんと共有されている。ただしロジックが余りにも煩瑣でついていくしかないのは残念だった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年2月の感想・レビュー一覧
9

夜間飛行
心の中に分離が生じ、思わぬことをしてしまう、その原因がコンプレックスだという。いわば自我の外から来る意志、私の中の別の私のようなもの。それは強い感情を伴って自我を脅かす。だがユングはそこに人格を発展させる働きを見出した。その際、人間関係の布置が重要になる。家族や社会の中にいるトリックスターの破壊力が新たな関係を生み、コンプレックスは解消へと向かう。私が夢分析の先生にいつも言っていること「治るのが今の自分の否定なら治りたくない」…固く結ばれた紐のようだと思うけれど、この思いを著者もわかってくれているようだ。
夜間飛行
2024/03/15 14:07

alto弾きさん、凄くはないですよ。私も先生と意見が違うことが多いです。違うことに意味があるんですね、多分。「先生の言葉や表情を分析しながら」という方が凄いと思います。5年間と書きましたが、その中間に1年くらいブランクがあって、それは分析家の先生とうまく噛み合わなくなったせいです。信頼関係があるなど思わない方が、のびのびできていいですね。ところで、私の参加している「夢人島」というコミュニティに来て頂けませんか。気楽に夢を語る場所で、何もせずに居て頂くだけでも大丈夫です。もしよろしければ、覗いてみて下さい。

alto弾き
2024/03/15 22:05

「違うことに意味がある」ことに気がついたとき、目が開かれる思いでした。これからもたくさん心の目が開いていくのでしょうね。先生との「信頼関係があるなど思わなくなったとき」、私も絵画や箱庭を作れるようになるのかもしれません。夢語りのコミュニティ、少し覗かせていただきました。皆さんの静かな語り口と豊富な知識に惹かれました。参加させていただきますね。心理学を学んでいるので、これからいろいろ教えてください。

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夜間飛行
フロイトの精神分析は禁欲的な自己分析から生まれた。ゆえに治療の場でもセラピストとクライアントが自由連想と禁欲原則の下に協力して無意識を探る。ラジオでは「対象喪失」「力動」「治療機序としての情緒的絆」に興味を引かれた。またメラニー・クラインの「妄想分裂ポジション」を実生活に応用する話、森先生の臨床経験談もよかった。大場先生のユング講義は、神話や昔話への洞察がそのまま実人生に役立つという話である。例えば神のカインへの酷い仕打ちは、人間化のプロセスと見ることもできる。母と魔女の両義性なども実感あると私は思った。
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夜間飛行
或る武道の達人の境位をユング心理学の立場から考察していく本。その達人は体が自然に動く…これを著者は自我の外から来る鬼神力とよび、ユングのいうコンプレックスの働きと見なしている。一方、達人の受けた霊的啓示の重要性を指摘しつつ、その啓示の内容を、祖先の罪業によって〝陰〟の鬼神力が〝陽〟の観音力から分断されたものと捉えている。ここでの武術修行は、分断された鬼神力と観音力の統合という意味を持つらしい。4章からの修行実践の話は体験しないと頭ではわからない。とはいえ、日常生活や行動を起こす際の指針には、十分なり得る。
夜間飛行
2024/02/22 22:00

霊的な話も多いが、むしろ印象に残るのは、そうした状況で達人が踏み止まり、霊的な世界と自分の距離を見定めつつも軽々しく近づこうとしない強靱な意志である。そうしているうちに、流祖の霊の方から働きかけてくる。こうした変容過程にはトリックスター(人を騙しもするが癒やしもする両義的な原型)が関わっている。つまり流祖の霊もコンプレックス(或る共通の感情的色彩を帯びた表象やイメージが原型を核として集まったもの)なのだ。修行とはコンプレックスを意識へ統合していく過程であり、「トラウマを負った武術を癒やす試み」なのである。

夜間飛行
2024/02/22 22:00

強大な力を持つ原型的なものと意識が接触するためには、儀式(意識的に行う象徴性な行為)が必要である…考えてみれば当たり前のことなのだが、未開社会でごく普通に行われているこうした行為が市場経済の中でどうなっているのか、両面からちゃんと考えないと。

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夜間飛行
ネタバレ「リボン」…二人の怪談マニアが廃屋で無数のリボンを見て興味本位に何本か持ち帰る。帰りのバイクや自室でリボンを目撃し、互いに相手の悪戯だという。お化けのせいで人間関係が歪んでいくって、怪談によくあるやつ。そのあと三木住職が部屋に呼ばれ、一面リボンだらけの状況に驚いて取ろうとするが、括りがキツくてカッターの刃を当てる。こういう細部のリアルさが三木さんの怪談の魅力である。「レンタル彼女」…前にTVで三木さんの話を聞いて知っていたが、今回は後日談として、呪いをかけた人がその後どうなったか知ることができてよかった。
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夜間飛行
大金を横領し恋しい男の下へ車を走らせるメアリが、寂れたモーテルに辿り着く。初めは恐る恐る宿を請うが、マザコン中年のノーマンに次第に気を許し、軽い優越感を持ち始める。そして二人が晩餐を共にする場面が怖い。軽い好奇心と同情からメアリは孤独な男の心の傷に触れていく。ノーマンが母親から抑圧されていることを読者は知っており、メアリが知らず知らず母親のポジションに立ち始めていることがわかる。そしてノーマンが子供のように叫び声をあげてもメアリは気づかない。映画のシャワー室の場面も怖いけれど、小説の食事の場面も怖かった。
えか
2024/02/15 00:06

夜間飛行さん、映画では、食事シーン、結構、あっさり目に描かれていましたね。小説では、そここそが、狂気の世界への入り口だったんだ。読んでみたくなりました。

夜間飛行
2024/02/15 00:08

えかさん、こんばんは。心理描写は映画よりも小説の方が向いているのかもしれません。

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夜間飛行
人生を夢幻と思わせる随筆集。ただし「ラムール」と自伝「彼」の二篇は小説といえる。冒頭で日夜犯罪を空想する自分をとんでもない人間だという。清少納言ならそんな違和感とは無縁だろう。乱歩はやはり紫式部…物語作家なのだ。十五才のころ稚児役として男たちから追いかけ回され美少年と相思相愛になったという体験から始まり、深夜浅草の「野外かげま」など病的なうらぶれた心象風景、人殺しや犯罪・恐怖の話を好んで採りあげる。同性愛文学の蘊蓄もちらほら。大衆文芸を擁護しながら探偵小説の大衆化を嘆く辺り、乱歩という人の複雑さも窺える。
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夜間飛行
日本の探偵小説は、明治20年代に初期の黄金時代があって、翻訳もの創作もの入り乱れて盛況だったらしい。やがて大衆の嗜好は実話ものへと移っていきブームは下火となる。黄金期に活躍した黒岩涙香、内田魯庵、島村抱月らの作品は入手が難しいし、いま読んで面白いかどうかわからないから、粗筋とさわりを読める本書は有難い。
が「ナイス!」と言っています。
夜間飛行
この作者としてはグロ控えめ、とはいえ変態性と背徳性はかなりのもの。ネタバレせぬよう内容には触れないが、特殊設定により人の意識そのものが謎であり罠である。要するに登場人物の意識を介して受け止めた小説世界が何度もひっくり返される。それもメビウスの輪のようにしれっと反転し、前の記述を裏切らないのが凄い。変わり目では一瞬何が起きたのかわからなくなる。後半に入って推理に参加する頃には、人の意識を信用しちゃダメというルールが読者にちゃんと共有されている。ただしロジックが余りにも煩瑣でついていくしかないのは残念だった。
が「ナイス!」と言っています。
夜間飛行
緑川夫人の黒蜥蜴が早苗に「物と物とがすなおにキスするような世界」を語る。それはお金の介在しない世界、人間は心を持たずオブジェになる世界、盗賊と芸術家だけがなしえる魔法の世界だ。でも黒蜥蜴に盗めないものが一つあった。あの人…明智の心である。盗むことしか知らない悲しい人は、一番大切なものを盗まれたいと密かに願っていたのではないか。原作にもあった黒蜥蜴と明智の恋を思いきり前面に出し、戦う二人の宿命を、西洋の小説にあるようなイロニカルな警句で飾っている。けれども底に流れる情緒は日本や中国の古典に通じるように思う。
夜間飛行
2024/02/04 11:17

巻末の座談会で、三島由紀夫・江戸川乱歩・芥川比呂志・杉村春子といった人々が、なぜかコックリさんに興じている。たいした意味のない座興ではあるが、魔法を是とする心がそんな所にも現れているように感じられた。黒蜥蜴や三島たちが盗もうとしたのは、近代の合理的な世界観だったのかも知れない。ただし、それを壊すのではなく、盗む所に近代人の自覚と精神の余裕がある(これはミステリ全般にいえる)。明智が勝てたのも合理的必然ではなく、ただの偶然なのだ…と私は思う。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/10/31(4288日経過)
記録初日
2012/10/01(4318日経過)
読んだ本
1433冊(1日平均0.33冊)
読んだページ
408374ページ(1日平均94ページ)
感想・レビュー
1433件(投稿率100.0%)
本棚
36棚
性別
年齢
61歳
自己紹介

私の読書の旅は気球に乗った気ままな旅。
目的地はこの世界のどこかにあって、今はまだわかりません。
良い本に出会えれば、とりあえず今日はOK。
読書も一期一会だと思っています。
読書家のみなさまの耳寄りなお話、
楽しいお話、変なお話を、ぜひ聞かせて下さい。
★性的描写や暴力描写のきつい小説やエッセイの登録およびその感想も書きますので、苦手な方はお気に入り登録をなさらないよう(すでにしている方は解除とできればブロックを)お願いいたします。
★相性の悪い作家さんが何人かいて、その方の作品に対するレビューには、基本的にナイスをしません。しかし、それでも感想そのものにとても共感できる場合には、たまにナイスを入れることもあります。
★現在、読み友さんのレビューを拝見するのが手一杯なため、更新速度の速い方は此方からお気に入り登録をしていません。ご了承下さいませ。

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