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2024年9月の読書メーターまとめ

西野西狸
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2024年9月に読んだ本
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2024年9月のお気に入られ登録
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  • ののたま
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2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

西野西狸
ネタバレ芥川賞であるがかなりオーソドックスな物語である。波多が見つめるバリと呼ばれる非正規ルートを行く妻鹿と自身の仕事への不安定さという登山と労働の対比が鮮やかである。情景描写もそうだが、段々と雲行きが怪しくなってくる建設会社のギスギスした感じはかなりリアルである。自身は山に登らないが普通とずれた旅や行き当たりばったりの調べものや読書をするのでその点はもしかしたら妻鹿と近いのかもしれない。「本当の危機は街/生活にある」というのはまさにそうで、だからこそ正規を逸れることをしないといけないのではないかそう思う。
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2024年9月にナイスが最も多かったつぶやき

西野西狸

2024年8月の読書メーター 読んだ本の数:14冊 読んだページ数:3252ページ ナイス数:262ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/341744/summary/monthly/2024/8 先月は忙しさもあったけど流石に読書量が落ちているな……。

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2024年9月の感想・レビュー一覧
19

西野西狸
ネタバレアキくんとの学校祭/水族館デートがいいなあと思ったけれどそれと並行するようにおこるドッペルゲンガー(レプリカ?)を示唆する告発がおこる日常の謎、そして切ない結末に読まされてしまう。高校生の日常の切り取りもうまいけれど文芸部ということで文学作品との絡めもうまい。後半の『人間失格』よりも前半の『雁』の方が重要で、お玉と岡田の関係はナオやアキではなく森先輩につながっていくんだろうなと感じた。ラストの素直のセリフはナオの行方をどう左右するのかとても気になる終わり方である。
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西野西狸
ネタバレ商品がその土地の名産になるには必ず理由があるが石垣のパインにも歴史ありということである。台湾のパイン栽培から石垣島への移民、缶詰から生果への切り替えなど史料と聞き書きから描き出している。栽培地の位置づけが時代を経て周縁から中心へと転換していくこと、加工から生果への転換により生産者の価値観などが変わっていく点は他の果物(ミカンとか)の事例にも応用できるだろうかと考えてしまった。
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西野西狸
ネタバレイギリスの執事やメイドはなぜ信頼できない語り手が多いのか(笑)。とにかく、怖いというよりは分からないという感じだった。もちろん、こういう思い込みのような心理を翻訳するのは表題通りやはり難しいんだろうなと思う。古典という枠組みでいうと後味の悪い落語のような展開だなあ。
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西野西狸
ネタバレ我々は暮らしの中で芸術活動をおこなってきたが、確かにそれらを民俗学的に(民芸などとは別に)取り上げてきたということは少ない。ヴァナキュラー・アートという概念でそれらを取り上げ論考や報告などがまとまっている。中でも興味深いのは近代の文人画・捕鯨の町の土産物・造り物・余興・大里七夕踊りの論考であるが文字数の関係で詳述できない。生活の中に埋め込まれたアートを発見あるいは現代では意識している状況をいかに記述するのかということを考えさせられた。
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西野西狸
ネタバレ物語としては面白いし冲方丁の『骨灰』とともに「直木賞」候補になるのもわかるが、求めるホラーとは少し違い、左遷された記者が幽霊話を調べる中でどんどんと……というのは王道でホラーというよりは社会派ミステリーだよね。ただ、そちらとして読んだら抜群に面白く、糸を辿るようにするすると話が進んでいき一気に読んでしまった。幽霊がかなり実体的な点も含めて映像化に向いている作品だなと思う。
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西野西狸
ネタバレ『ジェンダートラブル』は既読だが、より深くバトラーの思想や時代背景について理解できたと思う。バトラーがジェンダーをなくそうとしているという誤読がよくなされているというのは意外だったのでそうだったのかと思った。パフォーマンスという語は確かに理解しづらく、著者の補助線があることでニュアンスもわかるのと、クィア理論が提唱されたのが『GT』と同年だったということ、クィア研究の変遷なども記されている。
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西野西狸
ネタバレ飛行場で沖縄から持って帰ってはいけないもののポスターにサツマイモがあって不思議だなと思ったが害虫のゾウムシがいるとは知らなかった。本書はウリミバエやゾウムシを沖縄や鹿児島で駆逐するための科学者の奮闘が描かれている。単純な科学ではなく行政や政治、一度駆逐した後に予算が減ってしまう点、本土と沖縄の関係などの絡まり合いが研究者の視点から描かれている点が面白いが、とはいえ1億匹の不妊化虫を空から撒いたりウリを徹底的に割って幼虫を確認したりするなどものすごい闘いである。
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西野西狸
ネタバレ章によって語り手が変わるのでとても複雑な構造をしている。本シリーズはタルパと桐島加奈江というホラーを精神的に求める形で描いているのでSFに近い。仏壇の山のシーンとかもホラーではあるが、あまり霊的な感じはしない。筆者と加奈江がどのように折り合いをつけていくのかという長い物語であったように思える。
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西野西狸
ネタバレ「花嫁の家」を先に読めばよかったなと思った。シロちゃんの話と母様の家の話が絡まりあっていく感じで、未読の前作のキー人物の娘に憑いた霊の訴えを効くところから始まる。実話怪談は短編がいいのだが、ここまでくると「来る」のような壮大さとスペクタクルである。
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西野西狸
ネタバレ芥川賞であるがかなりオーソドックスな物語である。波多が見つめるバリと呼ばれる非正規ルートを行く妻鹿と自身の仕事への不安定さという登山と労働の対比が鮮やかである。情景描写もそうだが、段々と雲行きが怪しくなってくる建設会社のギスギスした感じはかなりリアルである。自身は山に登らないが普通とずれた旅や行き当たりばったりの調べものや読書をするのでその点はもしかしたら妻鹿と近いのかもしれない。「本当の危機は街/生活にある」というのはまさにそうで、だからこそ正規を逸れることをしないといけないのではないかそう思う。
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西野西狸
ネタバレ風鈴職人で名誉都民の篠原儀治さんに昔話研究の第一人者がおこなった聞き書き。流暢に人生だけではなく風鈴の歴史や雑学を語る儀治さんの語りが心地よい。すでに鬼籍に入ったがかっぽれを聞いて見たい。昔は風鈴が分業制だとは知らなかった(他の仕事を考えれば確かに不思議ではないが)。他にも戦争や石原都知事との逸話など興味深い話がたくさん。あとがきには野村敬子氏の「口語り」を聞き取ってきた実践の歴史についても記されておりそれも重要である。
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西野西狸
ネタバレ愛媛県の民俗について筆者の経験や事例が豊富に載っていて勉強となる。1970年代まで後産墓地が使用されていて、今も残っているというのは知らなかった。伝統的な民俗も面白いが結婚改善運動や命札など新しい民俗も取り上げている点が面白い。柱祭とか知らない祭礼もあり見てみたいと思った。亥の子に女の子も入れるようになったが子供人口が増えたら男の子だけに戻した事例は何だかひどいなと思った。筆者は伝承知と発見知を対にしており、後者に文字やマスメディアを想定しているが伝播も近いような気もする。
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西野西狸
ネタバレムカサリ絵馬と花嫁人形。前者はメディアを通じて有名だが、研究史を整理し実際にお堂を悉皆調査することで実態を明らかにしている点は素晴らしい。中国の冥婚との関連性/同一性で語られた後に死霊結婚へと区別されるがそれでも混同されてしまったという研究史は興味深いものがある。また習俗へのイタコやゴミソなどのシャーマンの関与が多くないということを調査から指摘し、起源不明・曖昧な宗教行為の起源に民間宗教者を措定することへの注意は本研究以外にも通用する指摘だろう。
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西野西狸
ネタバレ先日亡くなった伊藤隆の回顧録。「史料がない」昭和史に対し史料を掘り起こし作り出していった大家の歩みは興味深くドラマ化したら面白いんじゃないだろうか(笑)。初期の共産主義の入党と脱退、マルクス主義歴史学との対立があるが、中盤で筆が載ってくると「連中」と使い出しよほど恨みがあるのだろうか。また、御厨貴との絶縁もこれはやむを得ないなと思う。遺族とのやり取りや聞き書きの裏話も面白いが、読んでいて理論やイデオロギーよりも史料に実直なのだなと思い、それが保守へのかかわりにもつながっていたのだろうと思う。
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西野西狸
ネタバレ高校生の頃に読んでいたら好きだったかもしれない。「サマーゴースト」と対になる物語だが、そちらと違って王道青春恋愛物、系譜としては病死物を引いているように思える。幼馴染の霊との交流、旅行、そしてお別れ、それが線香花火を介して描かれていく甘酸っぱいストーリーで、主人公がユウナとの交流と別れを経て大人へと成長していく点もまさにザ・王道である。
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西野西狸
ネタバレ戦後のサークルなどの集まりの歴史をまとめたものとして基本となる本である。20年以上経ってサークル村や人生雑誌などそれぞれ深められたが、それにしても歴史の流れを大まかに見通すことができる。本書はある種、逸脱したつきあいを事例として取り上げているため、生活大学などそこから漏れている運動や団体もあるだろう。筆者はその後の可能性で電子的サークルをあげているが、現代から見ると脱力型の側面もあるがmetooや誹謗中傷など正負の側面としての連帯を生み出してしまったように思える。
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西野西狸
ネタバレ「幽霊というものはない、全く神経病ということになりましたから」と三遊亭円朝がいったのは明治のことだがこのシリーズの短編以外を貫く各巻の話が精神的なものに帰着するようで、霊的な話が交錯しながらもメインが心理的な原因(タルパ)が恐怖へと引きずり込んでいく。しかし霊的(?)あるいは不可解な話(「赤ずきん」とか)の方が個人的には好きである。著者の職業柄か、心霊スポット系の話が多く、遊び半分で行って娘に害を与えた男を懲らしめる話は面白かった。
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西野西狸
ネタバレ桐島加奈江もので作られた1冊。前作のがよかったので1冊にまとめられていて素晴らしい。伊藤潤二の富江を思わせる蠱惑的な少女の加奈江が夢の外にまで現れ現実を侵食していく。熱帯魚とシャガールの絵の冷たさが印象的である。加奈江は怖い、午前3時の来襲なんか本当に怖いが、鬼ごっこなど滑稽であるし、その子供じみた純粋さが魅力的で惹かれてしまう。拝み屋怪談は実話怪談というよりも私小説ホラーだが、どうしても心理的原因に着地してしまうのがワンパターンのような気がする。
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西野西狸
ネタバレ北白川子ども風土記の論文を読みたかったがそれ以外にも地域アーカイブや映像について面白いものが多かった。ただ北白川は本全体のテーマに引き付けているような気もする。万年社アーカイブとか夕張のアーカイブとか世の中には面白いものが沢山あるのだなと思ったのと権利や保存の関係は難しいなと思った。ガイナックスと協働している機関とか大丈夫なのかな……。荻野茂二コレクションにヌード映像が多いのとそれを多くの識者が大真面目に論じているのが面白い。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/04/07(4250日経過)
記録初日
2013/04/07(4250日経過)
読んだ本
1915冊(1日平均0.45冊)
読んだページ
579959ページ(1日平均136ページ)
感想・レビュー
1855件(投稿率96.9%)
本棚
42棚
性別
年齢
29歳
血液型
A型
職業
専門職
現住所
神奈川県
自己紹介

怠惰。民俗学、日本文学をよく読みます。最近はライトノベルの比率が高まっております。

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