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モッチー
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自動車業界を知るのにお勧めの本として紹介されていたのを目にして、本書を手に取った。メーカーが舞台の経済小説というと、個人的には池井戸潤『下町ロケット』が思い浮かぶが、この『系列』には『下町ロケット』のような逆転劇や爽快さは全くない。本作は、日本を代表する自動車メーカーである東京自動車と、その系列部品メーカー大成照明器との、大成照明器経営陣の人事を巡る攻防がひたすら重い筆致で描かれる。その筋書の中で折々描写される、「宗主国と植民地」とも喩えられる両社の理不尽な関係の生々しさこそ、本書の読みどころと感じた。
モッチー

ちなみに、本書の第一刷は1992年である。物語の年代設定も昭和62年から平成3年にかけてと、バブルの前後となっている。それから30年以上が経ち、自動車業界の構造は変わっているのかいないのかにも興味が湧いた。

02/03 17:36
0255文字
モッチー
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週刊金曜日主催の資本論講座(全3回)の講義録。共著者のうち鎌倉孝夫がレジュメに従って資本論の経済理論を解説し、時折それに佐藤優が補足を挟む、という構成である。宇野理論、それも株式=擬制資本のフィクション性を強調し、人間としての労働者の実体性を重視する鎌倉説の立場から解説している点や、主体思想の意義を肯定的に解説する点などは、同じ共著者の『はじめてのマルクス』と同様。一読した感想はかなりハイレベルで難解だったというのが正直なところ。どうやら、受講生の少なからぬ人達は相当の上級者だったようである。
0255文字
モッチー
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「飛び加藤」「果心居士の幻術」を読了。それぞれ題名のとおり、戦国時代の幻術使い加藤段蔵と果心居士を扱った短編で、戦国の有名武将にその魔性じみた幻術を披露して、能力を買われつつも恐れ、疎まれていくという筋書きである。さすが司馬遼太郎らしく、これらの短編小説を書くにあたって様々な文献を渉猟したようであり、小説の随所でそれらの挿話が紹介されている。以下、備忘録としてまとめておく。
モッチー

果心居士の事績は、江戸時代の随筆集「虚実雑談集」において触れられている。果心居士は大和興福寺の僧堂出身であったため、旧知の僧が彼のうわさをきいて書きとめたものが残っており、後世にやや詳しく事績が伝えられたものと司馬はみている。僧堂出身であった果心は、「二十四、仏法ヲ廃シテヒソカニ外道ニツク」(恵海「外道逆風集」)。同じく「外道逆風集」によると、三好一族で厠の中で死んだという義兼と、病死したという義広は、実は果心が殺したものと伝えられている。こうして松永弾正は主家の簒奪を進めたという。

06/18 11:42
モッチー

飛び加藤の話は、「甲越軍記」「近江輿地史略」および「明全記」に出ている。「明全記」によると、上杉謙信は、加藤段蔵を十日間召し抱えたという。また、後には武田信玄により磔刑にされたという。槍がまさに磔の飛び加藤の胸に及ぼうとしたとき、舞い上がった鳶をつかんで逃れ去ったとの逸話が残る。

06/18 11:42
0255文字
モッチー
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元東大経済学部教授による財政学の概説書。初版1987年、第3版2002年刊。冒頭で、本書の議論は、「財政制度のイデオロギーや理論、構造と機能」→「歴史的、段階的な資本主義諸国の発展に対応した財政の変化」→「現代財政の歴史的位置付け」という順序で運ぶことが述べられている。これは、本書の財政学の議論が、マルクス経済学、それも「原理論、段階論、現状分析」という宇野弘蔵の方法論に基づくことが宣言されているもので、宇野経済学的な財政学の議論というものがどんなものなのかという関心から本書を手に取った。
モッチー

これに対して、段階論、現状分析に相当する内容は、終章で一気呵成に解説されている。重商主義国家の財政、自由主義国家の財政、帝国主義国家の財政と展開してきた資本主義国家の財政は、二度の世界大戦を契機に福祉国家型財政に至ったというのが議論の骨子である。

09/24 15:28
モッチー

最後に、「レーガノミックス」や「サッチャーイズム」など、福祉国家財政への批判的潮流の本質についても解説されている。こうした潮流は、福祉国家型財政を破壊、解体するものではなく、実は福祉国家を支えるイデオロギーの一つであり、あるべき福祉の負担と給付の水準をめぐって福祉の推進と批判との間で政策が揺れ動くことで、福祉国家体制は柔構造を持っているのだと指摘している。このあたりの議論は、非常に宇野経済学らしい議論展開だといえようか。

09/24 15:28
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0255文字
モッチー
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イングランド王とフランス王が百年以上にわたって繰り広げた英仏百年戦争について、それぞれ前史と後史にあたるノルマン・コンクェストから薔薇戦争まで含めて解説した新書。本書の成り立ちは、「小説すばる」の連載(「新説 英仏百年戦争」)を大幅に改稿したものである。「英仏百年戦争」という名称からすると、イギリスとフランスという二大国家が戦争を繰り広げたようにも聞こえる。しかし、実態は「フランス人」同士が家の領地や王位継承権等を巡って争ったものであり、現代的な感覚でいう国家間戦争ではなかった。
モッチー

むしろ、この断続的な戦争によって、常備軍やそれを支える税財政制度が整備され、現在のイギリス、フランスに通じる中央集権国家の誕生を促したという意味で、「英仏百年戦争」という呼称が意義を持つということが、本書では興味深いエピソードを交えて論じられている。

08/21 13:58
モッチー

また、「歴史はフィクションである」ことの例証として、中世末期を題材とするシェークスピアの史劇が随所で紹介されている。沙翁の手際にかかれば、英仏百年戦争の勝者はイギリスであるというストーリーとなり、驚くべきことに、現に平均的なイギリス人の認識はこのシェークスピアの史観に基づいているという。シェークスピアが百年戦争の時代を一体どう描いているのか、一連の史劇に俄然興味が湧いた。

08/21 14:09
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モッチー
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日蓮遺文から、『立正安国論』『開目抄』の2篇の現代語訳と原文を収録している。今回は、このうち『立正安国論』を、日蓮が鎌倉幕府の執権北条時頼に宛てた宗教政策に関する提言書として読んだ。本書の現代語訳には、各章に明解な見出しがついていて、日蓮の議論の全体像を見失わずに通読することが容易になっている。さて、『立正安国論』の提言内容は、「当時相次いだ天変地異は、念仏による往生を唱えた法然の謗法が原因であり、法然をはじめとする謗法者への布施をやめ、謗法を禁止することで災いを払うことができる」というものである。
モッチー

日蓮は、謗法によって災いが起こっている例として、念仏の流行した建仁年間に活躍した後鳥羽上皇が、承久の乱後に隠岐へ流されたことを挙げている。後鳥羽上皇を配流した鎌倉幕府への提言書であるとはいえ、上皇が念仏のために報いと災いを受けたというのは恐るべき議論ではないか。仏法の絶対性に対する日蓮の信仰は、実に徹底しているというほかあるまい。

03/09 02:23
0255文字
モッチー
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2月21日、プーチン大統領が、「ドネツク人民共和国」及び「ルガンスク人民共和国」を国家承認するに際して行った演説(当然のことながら、この演説は、ウクライナ及び国際社会の立場からすれば、ロシアがウクライナ侵攻によって、ウクライナ国民のかけがえのない平穏な生活を軍事力で蹂躙することを自己正当化するためのものであったというべきである。)は、レフ・グミリョフ(Лев Гумилёв)なるロシアの歴史学者・民族学者の特異な学説に依拠している、というネットニュースの記事を目にした。
モッチー

この発言は、本書で紹介されているグミリョフの「激情」とエトノス(民族)の形成理論を端的にまとめたものとなっていると思われる。プーチンは、ロシア民族の生命から湧き上がる「激情」の発露を信じて、NATOの東方拡大に象徴される西欧の一元的な思想の拡大、換言すれば普遍主義に立ち向かうという思考回路を持っているのだと解釈できようか。本書は、なぜ今回ロシアがウクライナ侵攻という蛮行に及んだのか、プーチンが何を考えているのかについて非常に示唆を与えてくれたように思う。

03/04 03:24
モッチー

また、本書では、「人類史には9回の激情の波があった」とするグミリョフの歴史理論も紹介されている。この理論も、そのスケールの大きさと、一般に日本人が持っている世界史観とはかなり異なっている点で興味をひかれた。

03/04 03:25
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モッチー
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ハイデガー、20世紀の思想界の巨人として名前は知っていても、どんな哲学を展開したのか全く知らなかったので本書を手に取った。本書所収の訳者解説、渡邊二郎「ハイデガーの生涯と『存在と時間』の思想」は、岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』(岩波ジュニア新書)付録の読書案内でも、『存在と時間』のみならずハイデガー哲学全体への簡潔的確な手引きであると紹介されている。
モッチー

これは30ページほどのコンパクトな解説で、短時間で一通りページをめくりはできたものの、ハイデガーの生涯の解説部分はともかく、『存在と時間』の概要解説部分の内容は一読しただけではとても理解できなかった。本編の『存在と時間』をこの状態で読み進めるのは、Tシャツ一枚でマッターホルン登頂を目指すのに等しい行為だと思ったので、もう少し装備を整えて、トレーニングも積んでからチャレンジすることにしたい。

03/02 18:10
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プロフィール

登録日
2014/01/23(4095日経過)
記録初日
2014/01/23(4095日経過)
読んだ本
548冊(1日平均0.13冊)
読んだページ
162573ページ(1日平均39ページ)
感想・レビュー
105件(投稿率19.2%)
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性別
職業
事務系
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東京都
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