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2024年9月の読書メーターまとめ

カノコ
読んだ本
8
読んだページ
2634ページ
感想・レビュー
8
ナイス
305ナイス

2024年9月に読んだ本
8

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

カノコ
シリーズ完結後のそれぞれの人生を描く特別巻の下巻。四篇を収録。上巻に続き、本編に登場した様々な人物に焦点を当てる。才ある姉への嫉妬に苦しみ続ける妹「行合の空」、本編では憎い存在でしかなかった彼女の生々しい傷に触れた。そしてシリーズを締めくくる「幾世の鈴」。本編から時は大きく流れ、みな等しく年を重ねている。亡くなった人もいれば、年老いて昔できていたことができなくなった人もいる。その変化を、”次の時代に繋ぐ” という志のもとに好意的に描くその筆致に涙が零れそうになった。シリーズに相応しい、粋な幕切れだった。
カノコ
2024/09/15 15:18

登場人物をおぼろげにしか覚えていないこともあり、ちょっと悔しかった。シリーズ通して読み返したいな~

が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
8

カノコ
自らの未発表作品が何者かに剽窃されたことを知った画家の井口は、元泥棒の蓮野とともに犯人を探す。大正を舞台にしたシリーズ三作目。盗作班探しに加え、天才芸術家の死の謎、見立て殺人など、様々な要素が複雑に絡み合う。盗作の容疑者である画家たちは人数が多く、それぞれの人間性までは最後まで掴めなかったのが少々残念。しかし、事件の背後にひた隠しにされた悲劇的な理由とあまりに凄絶な顛末には圧倒されて震えた。わかりやすく派手なトリックはないが、時代設定にあった雰囲気や登場人物造形がとても魅力的。素晴らしい迫力だった。
が「ナイス!」と言っています。
カノコ
出演者たちが持ち寄ったゴシップを語りながら、嘘つきは誰かを推理するテレビ番組の生放送の直前、出演者の一人が死体で見つかる。テレビ番組や芸能人の実名が登場し、文体や会話文には軽剽さすらあるが、物語の構造は意外にも複雑。台本上での事件と実際の事件が絡み合い、そこにメタ的な視点も加わることで、多重解決ミステリ的な面白さに繋がっている。芸能界での浮き沈みや炎上、生放送ならではの緊迫感など、中盤あたりまでは読んでいてしんどいシーンも多いものの、それすら終盤の爽快感へのフックとして効いている。手軽なエンタメミステリ。
が「ナイス!」と言っています。
カノコ
カナリアと呼ばれた美しき元女優が密室で殺害された。容疑者は僅かに四人。ファイロ・ヴァンスシリーズ二作目。現場の奇妙な位置に残された指紋や、そこから導かれる事件発生時の状況には唆られるものがあったが、肝心のトリックは手垢まみれの代物で、今となっては正当に評価するのが難しい。それを差し引いても、警察の無能っぷりは凄いしヴァンスはムカつく。ヴァンスお得意の心理学的推理は、今日のミステリ的倫理観からすれば到底受容できないものの、色々な意味で面白い。ヴァンスがある手法で犯人を特定する過程はやはり名シーンだと思う。
カノコ
2024/09/22 15:45

次やっと『グリーン家』、そして『僧正』!

が「ナイス!」と言っています。
カノコ
シリーズ完結後のそれぞれの人生を描く特別巻の下巻。四篇を収録。上巻に続き、本編に登場した様々な人物に焦点を当てる。才ある姉への嫉妬に苦しみ続ける妹「行合の空」、本編では憎い存在でしかなかった彼女の生々しい傷に触れた。そしてシリーズを締めくくる「幾世の鈴」。本編から時は大きく流れ、みな等しく年を重ねている。亡くなった人もいれば、年老いて昔できていたことができなくなった人もいる。その変化を、”次の時代に繋ぐ” という志のもとに好意的に描くその筆致に涙が零れそうになった。シリーズに相応しい、粋な幕切れだった。
カノコ
2024/09/15 15:18

登場人物をおぼろげにしか覚えていないこともあり、ちょっと悔しかった。シリーズ通して読み返したいな~

が「ナイス!」と言っています。
カノコ
シリーズ完結後のそれぞれの人生を描く特別巻の上巻。四篇を収録。商いの真ん中にいた幸や賢輔だけではなく、その周囲の人たちにスポットライトをあててくれるのが誠実。五鈴屋を出奔した惣次のその後を描く「風を抱く」、彼はやはり決して悪漢ではなかったのだなと、その人間くささを知ることができて胸が温もる。齢七十を越え、己の生き方に悩むお竹の「百代の過客」、年を重ねることへの不安や苦悩、そして数多の変化を受容する姿勢に勇気づけられる。そして何と言っても、本編ラストでも気になっていたことが描かれる「契り橋」で喝采。
が「ナイス!」と言っています。
カノコ
子どもたちの結婚を機に実家を取り壊すことになった喜佐家。父不在のなか片付けをしていると、倉庫から不審な箱が見つかる。導入こそ興味を惹かれたものの、その後の展開はまどろっこしく、楽しさよりもストレスを感じてしまった。主人公含め、この一家の空気感をなんとなく気色悪く感じてしまったせいでもある。しかし、だからこそ最後の展開は完全に予想外で呆気に取られた。家族再生のロードムービーかと思いきや、まさかそんな伏兵的テーマが潜んでいたとは。タイトルや設定からは予想できない、社会派めいた摩訶不思議な一冊だった。
が「ナイス!」と言っています。
カノコ
暴力が趣味の新道依子は、その腕を買われ暴力団会長の娘・尚子を護衛することになる。どこまでいっても暴力に次ぐ暴力。ヤクザの世界でおこなわれる拷問は酸鼻を極め、目を背けたくなるほどなのに、なぜだかずっと静かで、少し悲しい。真ん中に、そんな世界で生きざるを得ない女ふたりの覚悟と諦念を見るからか。そんな二人が、手を取り合うでもなく傷を舐め合うでもなく、ただ背中を預けて拳を握る。そんな様に血が滾る。これは叛逆の物語で、魂が共鳴した運命の物語だ。読んでいる最中ずっと泣き出しそうだった。とても面白かった。柳、好き。
が「ナイス!」と言っています。
カノコ
突然庭に出現したブナの木に怯えていた元オペラ歌手が姿を消した。隣家のボロ館に住む三人の若き歴史学者と元刑事は、彼女の失踪の原因を探る。三聖人シリーズ一作目。木の出現、女性の失踪、相反する二つの謎が面白い。とはいえ手がかりがあからさま、かつ関係者も少ないので、真相は早々に予想がついてしまった……と思いきや、まんまとミスディレクションに引っ掛かっていた。気持ちよく騙されて嬉しい。また、主義主張の異なる三人の歴史学者と元刑事の暮らしがなんとも賑やか。会話文の癖がフレンチミステリっぽい気がする。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/08/17(3754日経過)
記録初日
2014/08/03(3768日経過)
読んだ本
1516冊(1日平均0.40冊)
読んだページ
508277ページ(1日平均134ページ)
感想・レビュー
1338件(投稿率88.3%)
本棚
10棚
性別
現住所
東京都
URL/ブログ
https://note.com/kanokosuki/
自己紹介

読書は情緒的に、飲酒は控えめに。
ミステリ多め、それ以外もそこそこ。
のんびりだらっとやっています。根は真面目です。

第7回レビュアー大賞で「ベスト・オブ・ベストレビュアー賞」に選んでいただきました。
https://bookmeter.com/reviewer_awards/2023

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