年間・読書メーターまとめ

年間でナイスが多かった感想・レビュー

鳥越

2023/05/11

ネタバレ「あんなのほとんど好きな人投票みたいなものじゃないですか。好きだから票を入れちゃうんですよ」(p289)、結局のところ何もかも全て、本当に全て、これに尽きるんだよなぁ……と遠い遠い目になってしまった。

が「ナイス！」と言っています。

ネタバレ血の繋がりがない家族と、血の繋がりがある非家族の二篇。／こういう、さらさらと流れていく感じのお話ってどういうふうに生み出されているんだろうなあ。作家の頭の中が気になる。／育生が「僕は捨て子だ」と最初に思ったきっかけはなんだったんだろう？／「すごーくおいしいものを食べた時に、人間は二つのことが頭に浮かぶようにできているの。一つは、ああ、なんておいしいの。生きててよかった。もう一つは、ああ、なんておいしいの。あの人にも食べさせたい。で、ここで食べさせたいと思うあの人こそ、今自分が一番好きな人なのよ」(p30)

が「ナイス！」と言っています。

ネタバレ二谷は表面的には世間の食への価値観を嫌っているふうでありながら、四六時中そのことばっかり考えていて、むしろ誰よりも拘泥しているように感じた。なのに反転した形でしか表現できないなんて、なんて幼い……と思う反面、自分にもどこかにそういう屈折したところがあるんだろうとも思えて恐ろしかった。以前、『Ｎ／Ａ』の感想に「主人公が自分を説明しようとせず、そのくせ『わかってくれない』とギャン泣きしている赤ん坊にしか見えない」的なことを書いたんだけど、二谷よ、お前もか、と思う。それくらい抑圧された時代だってことなのかなぁ。

が「ナイス！」と言っています。

ネタバレ３人の被害者のうち、28歳女性の存在がとても気になった。彼女は描かれないことにこそ意味があるんだろうとも思う（そう思いながら読んでいたので、途中、28歳女性が逮捕という展開を目にしたとき、その彼女かと思って本気でビビった）。現場で意識を失えた明香里はある意味不幸中の幸いとも言える気がする。28歳女性がどうだったかはわからないけど、もし意識があったなら、人の悲鳴や怒号、パトカーや救急車のサイレン、赤色灯、野次馬の目とスマホカメラのレンズ……トラウマになる要素があまりに多かったろうと思う。彼女のその後は……。