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2024年9月の読書メーターまとめ

藤枝梅安
読んだ本
34
読んだページ
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感想・レビュー
34
ナイス
7728ナイス

2024年9月に読んだ本
34

2024年9月のお気に入り登録
4

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2024年9月のお気に入られ登録
3

  • いろはにほへと
  • あーちゃん
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2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

藤枝梅安
ネタバレ21世紀中頃、財閥の次男として生まれ鳥類研究を続ける相馬日和は、四歳年上の政治家・凛子と結婚し、その十数年後、凛子は野党党首として選挙後、連立政権の総理大臣に就任した。そこから始まる怒涛の日々を日記形式で綴る物語。財界優先の政治から国民優先の政治に切り替えようとする凛子の姿勢に、日和の兄たちは反発する。兄の経営する会社も凛子のパーティー券を大量に購入していたのだった。10年以上前に発行されたこの小説の中に、何十年経っても日本に根強く残る金権政治の実態が語られている。数十年後の日本はどうなっているのだろう。
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2024年9月にナイスが最も多かったつぶやき

藤枝梅安

2024年8月の読書メーター 読んだ本の数:49冊 読んだページ数:14639ページ ナイス数:8460ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/9636/summary/monthly/2024/8

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2024年9月の感想・レビュー一覧
34

藤枝梅安
ネタバレ北海道の集治監に収監された瀬戸内巽と山本大二郎、看守の中田の3人の濃密な人間関係を小さな石英の「石」を通して描く。極寒、重労働、粗食という極限の環境下、生きる望みを失わなかった人間たちの綱渡りのような生活の細かな描写や、冷徹で寡黙な看守・中田の奥底に秘められた不可思議な熱情。収監された者たちの欲望と劣情。そもそも山本大二郎は本名だったのか? 彼が収監された事件の真相は? 謎が謎のまま捕らえられ刑に服するに至った過程が少しずつ明らかにされるが、失われた時間は取り戻すことができない厳しい現実は変えられない。
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藤枝梅安
ネタバレ紅屋の料理人として主や政一に認められたやすだったが、世間の目は厳しい。の世間に認めさせるため、主と政一は機会を設けて客たちを納得させる。井伊大老が暗殺され、水戸の斉昭も逝去、一橋慶喜の復帰など、世情は激しい動きを見せている。石田村の「とし」さんも江戸に出て剣術の腕を振るっているようだ。横浜村で異人たちを見、異国の料理(おそらく牛肉の赤ワイン煮)を味わい視野を広めるやす。日本史の教科書には出てこない市井の人々の生活に根付いた食材や料理が人々の活力に繋がる様子が印象的。おから入りのかりんとうは初恋の味。
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藤枝梅安
ネタバレ複雑な生い立ちの琴子。琴子の甥にあたる1歳下の柿彦とは姉弟のように育った。美術大学入学を機に大学近く、鑓水の古家で一人暮らしを始め、卒業後も住み続けている。柿彦は都立大で生物を学び、大学の近くに住んでいた琴子とも交流があった。シンガポールで商売に失敗した柿彦は帰国後着物のリユース業を始め、琴子が着物の査定を担当する。主人公は37歳、柿彦は36歳。これまでのこの作家の作品と異なり、癖のある御し難い人物多数登場。後半は昭和初期の雑誌「少女の友」に関する記述が中心。古書や古着に纏わる人の思いが強く感じられる。
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藤枝梅安
ネタバレシリーズ3冊目。角谷との交際が始まり、元夫の妻が妊娠し、娘・明里が複雑な心境に陥ったりと、なかなか動きのある十六話。フリーライターに呼び出されて広島に赴き取材を受けるが話せることはなかった。仮に明里と一緒に暮らすことになっても今の仕事を続けていては、暮らすのは無理だ。角谷の提案は、角谷のマンションの近い部屋に引っ越して、民泊をする、というものだった。祥子はその提案に乗ることにした。小山内の母・元子が亡くなり、作家の樋田春佳も亡くなった。小山内も祥子も新しい生活に向かっていく。最後は「うさぎや」。完結かな。
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藤枝梅安
ネタバレシリーズ2冊目。タイトルから気楽なグルメ小説と思わせて、実は主人公・犬森祥子の鬱々とした日常を、朝あるいは昼酒で紛らわすという内容。IT企業経営の新藤という全くいけ好かない傲慢な男や、優柔不断な元夫などとのやり取りの合間に、大阪で政治家公設秘書をしている角谷との束の間のホッとする時間の後の急展開。小山内との微妙な関係、築地から豊洲への移転。御殿場で角谷と再会する場面で終了。すぐ次を読もう。カバー画の御殿場のハンバーグは、静岡県だけのチェーン店「さわやか」。小説家・樋田春佳は作者名のアナグラム?
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藤枝梅安
ネタバレ都営新宿線篠崎駅から徒歩20分、「ベルジュ江戸川」の住人4組の物語。仕事や家庭、婚活に関する問題に直面する人々の焦りや戸惑いを描く。マッチングアプリに振り回される人たち、職場での不倫の噂、上司や部下からの評判を気にし、転職や転勤で自分の存在価値に不安を抱く人々など。自分を、どっちつかずの「番外地」のような存在だと思い始めている人々。社会への不満を声高に叫ぶことなく、日々を静かに暮らしていきたいだけなのにうまくいかない。3話目の仕事のストレスを溜めて自殺した女性の実家の美容室を訪れる話が印象的。
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藤枝梅安
ネタバレこのシリーズを初めて読んだのは2009年。それから15年、「相関図」がどんどん過密になり、今回も新たに加わりそうなメンバーが増える。アイドルグループと研人のバンドのコラボから始まり、池沢さんと我南人との出会い、麟太郎に纏わる噂の顛末、ホテルの料理人たちの確執と辞めた料理人の再就職、最後は麟太郎と花陽の結婚式・披露宴まで。謎めいた話とほのぼのする話が交互に語られ、最後は丸く収まるという、黄金のワンパターンを楽しむ。まだまだ続きそうなシリーズだね。
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藤枝梅安
ネタバレ東日本大震災の翌年、公安一課・海老沢は、目黒中央署長となっていた。優秀な刑事を公安に送り込むのも彼の任務と認識している。管内の神社で他殺体が発見され、被害者は元左翼活動家で、その線で捜査が進められる。高峰は本部捜査一課の理事官になっている。後輩の課長・村田とは良い関係が築かれている。このシリーズで一貫して描かれる「刑事部と公安部との確執」がこの事件の捜査にも影を落とす。目黒区内の政党報告会に潜入した殺人犯が犯行に及ぶ直前に身柄を確保する。公安の在り方を模索する海老沢、胃がんの手術に向かう高峰。続編ある?
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藤枝梅安
ネタバレ新橋の立ち飲み居酒屋「あじろ」の常連客達が繰り広げる物語。実話系雑誌のライター・和香子は「あじろ」の常連の一人「真由美」と名乗る女性に関する情報を入手した。彼女は他の居酒屋にも出入りしており、店ごとに異なる職業を自称していた。真由美はパパ活の斡旋をしていたようだったが、「あじろ」に来なくなって1ヶ月後に死体で発見される。常連客の一人が真由美の行動を追っていたことも判る。マスコミ関係の常連客二人の立ち位置が微妙だが、終盤で、真由美の犯罪と社会の貧困化を結びつけるのはこの作家の作風かもしれない。
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藤枝梅安
ネタバレ文庫の「黒医」を読もうと思ったが、この作品の改題文庫化だと判り、こちらを読む。高齢化、出生前診断、DNA鑑定、骨髄バンク、不妊治療など、医師も登場し、医学に関連した問題を取り上げてはいるが、夢や幻覚、テレパシーなど現実的でない場面も多く、バタバタと後味の悪い結末に至る印象の話が続き、食傷気味。「二〇一六年に施行された十八歳選挙権。あれも若者を選挙に行かせないための戦略だった」(p.112)
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藤枝梅安
ネタバレ21世紀中頃、財閥の次男として生まれ鳥類研究を続ける相馬日和は、四歳年上の政治家・凛子と結婚し、その十数年後、凛子は野党党首として選挙後、連立政権の総理大臣に就任した。そこから始まる怒涛の日々を日記形式で綴る物語。財界優先の政治から国民優先の政治に切り替えようとする凛子の姿勢に、日和の兄たちは反発する。兄の経営する会社も凛子のパーティー券を大量に購入していたのだった。10年以上前に発行されたこの小説の中に、何十年経っても日本に根強く残る金権政治の実態が語られている。数十年後の日本はどうなっているのだろう。
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藤枝梅安
ネタバレ大学院を出て企業の総務課の仕事が合わず1年足らずで退職した春指みなとは、自宅で鬱々と日々を過ごす。公園で郵便箱を見つけ、開けてみると手紙が入っていた。手紙の主は「あすか」と名乗り、文通が続く。「あすか」は森本飛鳥という男子高校生だった。二人は飛鳥の発案した「文通屋」を始める。将来に対する不安が募るみなとは、飛鳥に冷たい言葉をぶつけてしまい・・・。飛鳥の父が人気作家ということが判り、申し込みが増えて返信が遅くなると、メールで返信の催促が来るという、なんだか本末転倒な展開が面白かった。
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藤枝梅安
ネタバレ久住は老人ホームで派遣の清掃員。サトウさんの話し相手となり偽物のバス停でバスを待つ。ウガンダ出身のマリアが加わり、久住は弁当を作ってマリアから代金をもらう。コロナ感染拡大で清掃員を削減することになり、久住は解雇される。アパートも家賃滞納で退去させられ、マリアが住むグループホームに転がり込む。サトウさんの娘がコロナで失職しサトウさんを引き取ることになった。マリアも備品を盗んだことが発覚し、解雇され、日本人の夫も浮気していて、ウガンダに帰国するようだ。束の間、関係を持った人々がひっそりと別れていく静かな物語。
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藤枝梅安
ネタバレ十六話の連作短編。犬森祥子は北海道出身。結婚して女児を設けたが、離婚し、議員の祖父を持つ同級生・亀山の所有するマンションに一人暮らし。亀山の営む「見守り業」を代行し細々と暮らしている。基本、夜から朝までの仕事。仕事帰りに「ランチ酒」が唯一の楽しみ。元夫は両親と娘と4人暮らしだったが、若い女性と再婚する運びとなる。祥子自身は何か資格を取り、正業に就きたいが、亀山は仕事のパートナーとして使いやすい祥子に今の仕事を続けてもらいたいようだ。実在の店の名前を変えて紹介しながら、祥子自身の不安定な未来を暖かく見守る。
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藤枝梅安
ネタバレ「序文」で元総理大臣が大和西大寺駅で銃撃された事件を紹介。物語は朝日新聞阪神支局の銃撃事件から始まる。この事件は右翼団体によるものとされてきたが、この小説では"合同教会"の仕業であるとする。次に、焦点となる「元総理大臣銃撃事件」に関する詳細な記述が続く。物故者については実名が多い。「令和」の意味、アメリカからの武器購入、「シャドウ」が狙撃を行った貸しオフィスのあるビルのオーナーが国会議員、東京オリンピックに絡む利権など、「フィクション」とは思えない記述が続出。政治と宗教に関する日本の「闇」は存在し続ける。
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藤枝梅安
ネタバレ推薦で東京の私大に入学した杏奈の4年間の物語。コロナ禍で入学式も講義もなく、自室でSNSに溺れる毎日。アパートに持ってきた母がかつて使っていたプリンセステレフォンでマリリンと会話する。社会学のゼミで女性蔑視に対する知見を深め、卒論にはマリリン・モンロウを題材に決める。マリリンが生きた時代のアメリカと現代の日本の相似性への言及もあり、全体として饒舌な口語文の中に、性差別や搾取への痛烈な批判を織り込み、読み手の感情に直接訴える意図が伺える。更に、衰退する日本から脱出していく若者たちの心理を描く点も印象的。
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藤枝梅安
ネタバレ強盗事件で逮捕された男が、「檜原村に死体を埋めた」と告白する。追跡捜査係の捜査が始まる。三浦美知という女性にたどり着く。美知の生活や所業は西川や沖田らの想像をはるかに超えたものだった。現場からは合計5体の遺体が発見された。非常に後味が悪い程の展開だった。「ああいう人間、これから増えてくるかもしれないな」・・・「エゴイズムが究極まで進化した人間。自分は誰より優れていて正しい。だから邪魔される謂れはない、邪魔する人間がいたら排除してもいい・・・三浦美知は、そんなふうに思っていたんじゃないか」(p.416)
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藤枝梅安
ネタバレ刑事総務課の大友が、日比谷公園で背後から銃撃され重傷を負う。捜査一課を初め、多くの警察官が捜査に当たる。沖田と西川らは、独自の捜査を進める中で、強盗グループのメンバーの一人・陳の存在と、彼に命令を下した黒幕の存在を疑う。メタンハイドレートの採掘技術を中国とロシアが奪い合った事件に関与したとされ台場署に拘留中の劉は、のらりくらりと躱すが、陳が携帯電話の名義を借りた麻生という男を探し出し、劉が携帯で陳に連絡していたことが判明する。西川の無謀とも思える案を使い、陳を確保する。タイトル通りの設定と展開でした。
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藤枝梅安
ネタバレ不動産業を営む老人が殺害された事件は、発生から5年が経過していた。別件で服役中の村松がその事件に関する情報を話し、追跡捜査係が動き出す。捜査の過程で沖田は塀から落ちて足首を骨折し入院。その後、ある弁護士が静岡刑務所で村松と面会していたことがわかる。弁護士と被害者・牛嶋の一人息子との接点が見えて事件は急展開。捜査がなかなか進まない様子に現実味があり、興味深く読み進めた。タイトルが秀逸。
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藤枝梅安
ネタバレイシュタムは、マヤ神話の自殺を司る女神。自殺研究の権威・上杉の下で研究に励む南雲瞬平は病院を経営している両親や臨床医の兄二人から蔑まれ、秋田に来てからは実家とは没交渉。解剖の腕はまだまだ半人前で上杉から叱咤されることが多い。解剖で死亡原因が解明される過程が詳細に描かれる一方、瞬平とは大学の同期で、自殺した香西との思い出も語られる。上杉教授が自殺研究に携わるきっかけは前夫の自殺だった。秋田の言葉、風物や風景も紹介され、法医学一辺倒ではない詩情を感じさせる場面も多く、単なるミステリーとは異なる趣を楽しんだ。
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藤枝梅安
ネタバレ八ヶ岳南麓の別荘地の管理人・小松原。前任者が辞職したため東京本社から異動してきた小林。管理人が新しい体制になった直後、別荘地内で不倫カップルが熊に殺される。生前の二人を「覗き見」していた小副川夫妻はじめ、この別荘地に住む6組の夫婦の、それぞれ心に抱えた整理できず説明もできない複雑な思いが語られる群像劇。小松原も小林もそれぞれ男女関係の縺れを経験していた。不穏な雰囲気を纏ったまま、物語は淡々と進み、住民の一人が死亡し、通夜の場面で終わる。小松原と小林はこれからどういう関係になっていくのか仄めかすような結末。
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藤枝梅安
ネタバレ父親の勤務先である異国に数年間住んでいた時、番犬として同居していた「虎」。まどかと虎は言葉は通じなくても、互いの息遣いや視線や触れ合いで心を通わせることができた。帰国の際、日本に連れて帰ることは困難と説得され虎を置いてきたことに罪悪感と後悔の念を拭いきれない。恋人の博人とは、互いに言葉で理解しきれないことを積み残したまま次のステップに進もうとするが、そこには虎との間のような真の愛情が存在するのか、自信が持てないまま関係を維持する。それが、この国で望まれる人の在り方なのだろう。弟の変貌ぶりとの対照も見事。
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藤枝梅安
ネタバレ認知症を自覚し始めた男と、それを察知した息子の妻、それぞれの行動を描く表題作。自宅車庫前で人を撥ねてしまった母と息子。撥ねた男は委託に入った空き巣だった「淡い青のなかに」。市役所の人事異動直前、管理する駐車場で転落死事故が起こり、自殺だったことがわかるが、昇進を逃した男「プレイヤー」。幼児誘拐を企てるが、逆に「その子をそのまま預かって育てて」と言われ立場が逆転する「写心」。息子と友人が暴漢に襲われた現場を通りかかったが、気付かなかった父親、その原因は?「重い扉」。巧みな設定と展開の妙を楽んで読了。
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藤枝梅安
ネタバレ「本を守ろうする猫の話」の続編。夏木書店の店主・林太郎と幸崎ナナミと猫のの物語。図書館から消えた本を探しに出かけるナナミとトラ猫。「ともに歩む者」「つくられし者」「増殖する者」「問いかける者」、が名前と姿を変えながら「将軍の間」「宰相の間」「国王の間」に現れる。これらは人間の「富への欲望」なのかもしれない。欲望が内包する「脆さ」を本が持つ「思い」が溶かしていく。ナナミと父の関係に変化が訪れ、林太郎には沙夜というパートナーがいたことがわかる。古今東西の名作が紹介され、筆者の「本」への熱い思いが溢れる。
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藤枝梅安
ネタバレ弁護士・村瀬快彦、小学校6年の時、母親が自殺し父親も最近亡くなった。人と接するのが苦手だったので、広い家での一人暮らしは苦にならなかった。母の兄の息子・蓮見亮介は傷害事件で服役し、出所する際、村瀬が身元引受人となり村瀬の家で暮らすようになる。同級生の清美の離婚問題を解決したところで、亡き母が結婚前に父に送った手紙を発見する。不審な内容は快彦を不安にさせ、同時に60歳代の男性が家の周辺に出没する。そこから次々と過去の事実が明らかにされていく。「快彦と亮介が実は兄弟だった」ことを恐れたが、外れてよかった。
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藤枝梅安
ネタバレ伯母・柳澤千舟からクスノキの番人を託された玲斗は、詩集を作る女子高生・佑紀奈と、眠ると記憶を失う少年・元哉と出会う。元哉は毎日「明日の僕へ」と題した日記を書き、自分の記憶を繋ぎとめている。高齢の千舟は軽度認知障害の診断を受け、音声や文字のメモを残すようにしている。元哉の両親が元哉が食べておいしかったと記憶する「梅大福」を作る。佑紀奈は「クスノキと少年」という絵本を元哉と合作し、公民館で朗読会が開かれ千舟が朗読する。元哉と千舟、年齢も立場も異なる二人を見つめる玲斗のまなざしが暖かい。生きている今が全て。
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藤枝梅安
ネタバレ2010年、総合病院理事長・佐久間の息子が誘拐された事件で、ネットで誘拐の事実を公表した山下コースケの投稿を見た犯人は動転して誘拐した幼児を殺害した。2024年、IT企業社長・簗瀬の息子が自社ビル内で誘拐される。この二つの事件を巡り、テレビ局遊軍記者・諸橋、かつての部下で現在はネットニュースの記者・アン、警視庁捜査一課の種田などがそれぞれ捜査を進める。視点が頻繁に替わるのは、全体像を掴みにくくさせる作者の趣向か。誘拐事件の真相はバタバタと明らかにされる。報道協定のあり方は見直される必要があるのだろう。
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藤枝梅安
ネタバレテレビキャスターの松嶋玲子が衆議院議員となり、4期目で総理大臣に就任するというタイトル通りのシンデレラストーリー。総理就任直後、任命されたばかりの法務大臣のスキャンダルが週刊誌で報じられる。長老議員の強い意向で、臨時国会でいきなり解散、総選挙へとなだれ込む。内閣から長老を外すと、今度は野党を動かして不信任案を提出させる。最大派閥の裏金疑惑が報じられ、不信任案は否決される。党内の派閥力学や長老議員の権力維持の構図が描かれ、総理大臣は神輿に過ぎない点が強調される。現実の推移を織り込みながら理想も語られる。
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藤枝梅安
ネタバレ2018年「このミス」優秀賞受賞作を改題。連続殺人の被害者の衣服に残された将棋の駒、被害者の年齢と性別が詰将棋の駒の配置図を形成するという驚きの展開。実行犯は自殺し黒幕である人物を突き止めるがその人物も自殺するという「詰んでる」結末。捜査を担当する捜査一課の水科が過去に詰将棋を作っていたという設定で、所轄の刑事・佐田とのコンビで事件に迫っていく。スーパーのポイントカード登録情報からターゲットを探していく過程にはやや無理があるが、詰将棋の世界という特殊なコミュニティの特質を利用したミステリーとして興味深い。
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藤枝梅安
ネタバレ臨床検査技師として法医学教室の現役解剖技官である筆者が法医学の知識を用いて描く4件。解剖技官・梨木楓と上司である准教授・今宮貴継が解剖によって事件の真相に近づく過程を描いている。難解な医学用語に加え、過剰な形容詞、不必要な体言止めが多く、読み手の思考の流れを妨げるような要素が目立つ。第一話に出てくる事件の被疑者に関して「渡利には文才がなかったものの、物語の創作能力は高かった」(p.89)とあるが、筆者も自分の文体の脆弱性に気付いているのかもしれない。最近、書下ろしを含む文庫が刊行された。そちらに期待する。
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藤枝梅安
ネタバレ尾張・大野村の和久郎は権藤元右衛門所有の「颯天丸」に乗り組み、江戸から下田を経て帰港を目前とした三河沖で激しい西風に煽られ漂流する。バタン島に漂着した十五名の乗組員たちは、船を再建し帰国を目指すが、高齢で島の住民により殺害されたり怪我が元で落命するもの、あるいは島の女と懇ろになり島に残るものなどもおり、十一人が船に乗って出帆する。北に向かい、南京にたどり着き、宝登山から五島にたどり着く。長崎に移送され、留め置かれた後、陸路で尾張に帰国するまでの冒険長編。鎖国時代の「船」への信頼と恐れが交錯する力作。
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藤枝梅安
ネタバレ駿河国司の家人・鷹取は富士東南麓の官牧・岡野牧に派遣され、慣れない仕事に振り回される。富士山が噴火した。富士の東麓・東南麓の被害は甚大だった。噴火により壊滅状態の牧から馬を甲斐を通り、信濃に移動させる。田村麻呂が率いる軍丁を見送るために信濃・上野の境に出向いた鷹取たちが岡野牧に戻ると、富士山が再び噴火する。再び被災した民たちを、陸奥へ移住させる計画が進んでいた。度重なる災害に苦しむ民に対し、施政者からの救いの手はいつの時代も身勝手で遅れがちである。詳細な記述だが、やや詰め込み過ぎ。3作品に分けられる内容。
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藤枝梅安
ネタバレ「それから」で始まり「これから」で終わる。行介を「兄貴」と慕う順平、「伊呂波」の新しい女将・理央子、年齢を偽ってガソリンスタンドで働く知佐子、コンビニのパート・歩美、カフェのオーナー・長岡など、小中高校時代に苛めに遭っていた、リストラされて収入が減り夫婦仲に亀裂が入った、子供ができず不妊治療したが奏功せず夫婦仲が悪化した。というような「ワケアリ」の人々が次々と「珈琲屋」を訪れ、行介、冬子、島木が話を聞き、場合によっては行介が体を張って事件を解決する。今回は順平が刺される場面で幕。令和の「時代小説」。
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藤枝梅安
ネタバレ配偶者と離別や死別したり、浮気がばれて離婚を迫られている「ワケアリ」の人たちが、ヒントを求めて寄ってくる不思議な珈琲屋。今回も元ホテルマンで河川敷に暮らす米倉と愛犬・イル。医学部受験生・黒木舞。高校でいじめに遭っている理菜。鬱病を患っている岸田。ニートの博之と彼の母・政代。夫の浮気に報復しようとする玲子。おでん屋を営む幸代と客の政司。「ひとり」で始まった物語は最終話「ふたり」で、舞の生活に関する告白と、半グレと行介の対決という壮絶な結末の後に、イルの生還という嬉しいエピソードで締めくくられる。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2008/12/03(5920日経過)
記録初日
2001/08/18(8584日経過)
読んだ本
4436冊(1日平均0.52冊)
読んだページ
1526152ページ(1日平均177ページ)
感想・レビュー
3865件(投稿率87.1%)
本棚
13棚
性別
年齢
68歳
血液型
O型
職業
無職
現住所
静岡県
外部サイト
自己紹介

静岡県藤枝で生まれ、藤枝で育ちました。
池波正太郎さんの小説の主人公の名前をネットで使い始めたのは平成7年ですから、29年目になりました。

2017年3月まで高校の英語教員をしていました。
2018年4月から最後の勤務校であり母校でもある藤枝東高校に非常勤講師として勤務することになりました。
2022年2月で非常勤講師任用終了し、完全退職しました。
歌舞伎が好きです。一番好きな役者は中村萬壽さん。が、ここ数年は歌舞伎から遠ざかっています。

富士山静岡交響楽団を支援しています。

読んだ本は基本的に市立図書館に寄贈しています。

感想を短くまとめるのが苦手なので、コメントの形で感想を連ねています。そんな拙い感想にもかかわらず、多くのナイスを付けていただき、感激しています。ネタバレにならないように気をつけて感想を書いていきたいと思います。

読書メーターには若い男性や女性の方が多いようで、
私のような年配者は、こちらからメッセージを送るのは気後れするので、殆ど勝手に「お気に入り」にさせていただいております。悪しからずご了承ください。

飯島和一、岩井三四二、山本兼一などの歴史物が好きです。葉室麟、野口卓、伊東潤なども読みます。最近は西條奈加、朝井まかて、澤田瞳子など、女性の作家を多く読んでいます。

好きな作家(五十音順):
飯嶋和一、池波正太郎、伊坂幸太郎、伊東潤、岩井三四二、北森鴻、熊谷達也、帚木蓬生、火坂雅志、宮部みゆき、山本一力、山本兼一。

好きな音楽・作曲家・演奏家:
モーツアルト、ブラームス、マーラー。セル、バルビローリ、ケンペ、シューリヒト、グスタフ・レオンハルト。シュターツカペレ・ドレスデン、クリーヴランド管弦楽団。ビル・エヴァンス、レイ・ブライアント。イエス、キング・クリムゾン。



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