明け行く時なのか。日が落ちる頃なのか。表紙はよく馴染んだ部屋の窓からの眺めなのかな。「思い出と差し向かいで食事」をするパリの未亡人の日常。「老いをどう生きるかという大事なテーマのなかで人はその人なりを完成していく」と訳者あとがきにあり確かに彼女のように起きることを丸ごと受け止められたなら美しい。でもたまには「愚痴っぽくって頑固者」でもOKですよね。何より彼女の目線で描かれた「過越の祭り」が温かい。ところで「un seul café」のseulをselと聞き違えられ塩入りのコーヒーがサーブされるとは切ない。