あの図書館とは「American library in Paris(ALP)」パリで英語の書籍や雑誌を提供する実在の図書館を指す。本への愛と希望に溢れてALPの司書になったオディール。国籍も様々な利用者たちはみな魅力的で、忙しくも心踊る図書館での日々を、ナチスが容赦なく踏みにじっていく。戦争は人を本来ならありえない形に歪ませてしまう。一瞬の憎悪や嫉妬が暴走する恐ろしさ、「正しさ」と「過ち」のあまりにも近い距離。戦火のパリと八十年代のアメリカ、交互に語られる物語がつながった瞬間には、思わずため息が出ました。
読みたい本を当たり前に読めるってとても幸せなことなんだな、と改めて。