読書メーター KADOKAWA Group

kero385
さんの感想・レビュー

kero385
新着
前作、前前作で登場したギャヴィン・スティーブンスを、いわば、シャーロック•ホームズに見立て、ロンドンならぬヨクナパトゥーファ郡での殺人事件(最後の中編は異なる)に挑ませる、推理小説テイストの六篇からなる小説集。最後の中編を除いて、文章の歯切れがよく、「水をつかむ手」などハードボイル風。フォークナーの小説を読まれる方ならお馴染みの、ウィスキーの砂糖水割りとでもいうのかトディという南部独特の飲み物が鍵になる「調合の誤り」は、実際に作者自身が推理小説のコンテストに応募して、二等を取ったらしい。
kero385

私はそれほど推理小説には知識はないけど、まあそのジャンルの小説としては佳作くらいのものではないか。でも、架空の地ヨクナパトゥーファ郡での地理や人々の生活が生き生きと伝わる小説集であることは間違いなく、五篇の短編は、肩肘張らず読み物として面白い。小説集の半分を占める最後に掲載されている中編「駒さばき(原題「ナイトガンビット」)は、少し雰囲気は変わるけれど、老年に差し掛かったギャヴィン伯父さんのロマンスが語られる。なお、六篇中四篇は前作「墓地への侵入者」で活躍した少年ことチャールズ・マリソンの視点で語られる。

12/31 19:09
  • おわか
  • 風に吹かれて
kero385

確かに1930年代に書かれた重量級の作品群に比べると物足りないところはあるが、例え翻訳を通してとはいえ、こういうストレートな文体も駆使でき、わかりやすい小説も書け、鑑賞に耐える作品を生み出せることは、それはそれですごいと思う。なお、ギャヴィン・スティーブンスは、この後の長編でも登場する後期フォークナーの重要人物であり、この小説集は彼の来歴を語る意味でも興味深い作品。

12/31 19:17
  • ヴェネツィア
  • キムチ
  • おわか
  • 風に吹かれて
kero385

なお本の感想ではありませんが、今年10月からの新参者でありながら、私の拙い感想にいいねを下さったり、お気に入りに入れていただいた方々、本当にありがとうございました。皆様のお読みになった本、読んだものは自分と違う視点でとても参考になり、読んでいない本では、こういう本もあるのかと改めて驚愕しておりました。皆様が良いお年を迎えられますこと祈願いたします。

12/31 19:26
  • Reiwa1dokusho
  • ヴェネツィア
  • キムチ
  • おわか
  • 風に吹かれて
0255文字
全3件中 1-3 件を表示

kero385
さんの最近の感想・レビュー

フォークナー全集 25 短篇集 2

フォークナー全集 25 短篇集 2

フォークナー
フォークナー全集第25巻 短篇集(2)は、既刊の短篇集に収められなかった作品を…続きを読む
Die Sterntaler - Ein Märchen der Brüder Grimm

Die Sterntaler - Ein Märchen der Brüder Grimm

Jacob Grimm, Wilhelm Grimm
私のように定年退職後、再雇用で同じ会社で働いている方なら、誰もが感じることかと…続きを読む
寓話 下 (岩波文庫 赤 323-2)

寓話 下 (岩波文庫 赤 323-2)

ウィリアム フォークナー
「寓話」は、第二次世界大戦を契機に執筆されたが、フォークナーにとって今まで重要…続きを読む
寓話 上 (岩波文庫 赤 323-1)

寓話 上 (岩波文庫 赤 323-1)

ウィリアム フォークナー
「寓話」は難解と言われるフォークナーの中でも飛び切り難解なんじゃないかと思う。…続きを読む
フォークナー全集 24 短篇集 1

フォークナー全集 24 短篇集 1

フォークナー
「フォークナー全集第24巻 短篇集(1)」は、1950年に出版された「フォーク…続きを読む
響きと怒り

響きと怒り

ウィリアム・フォークナー
昨年の9月30日に出版された「響きと怒り」最新の邦訳。まだ40代の若い研究者桐…続きを読む

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2024/10/21(118日経過)
記録初日
2023/02/04(743日経過)
読んだ本
104冊(1日平均0.14冊)
読んだページ
34145ページ(1日平均45ページ)
感想・レビュー
67件(投稿率64.4%)
本棚
0棚
自己紹介

2024年10月に参加したばかりですが、よろしくお願い申し上げます。

ここしばらくは、学生時代好きだったフォークナーを読み直しています。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう