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2024年11月の読書メーターまとめ

ネギっ子gen
読んだ本
66
読んだページ
14768ページ
感想・レビュー
66
ナイス
7623ナイス

2024年11月に読んだ本
66

2024年11月のお気に入り登録
4

  • にゃおこ
  • ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
  • のんたろう
  • フク

2024年11月のお気に入られ登録
6

  • ひよピパパ
  • てんこう
  • のんたろう
  • にゃおこ
  • ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
  • フク

2024年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ネギっ子gen
【何が起きるかわからない世の中で、今の自分にできることを】仕事や人生に行き詰まりを感じる5人が訪れた、町の小さな図書室。不愛想だけど聴き上手な司書さんが「何をお探し?」と訊きながら、意外な選書と可愛い付録で――。「ハニードーム」という呉宮堂のソフトクッキーがつなぐ5つの連作短編。70歳の作家は、「人生なんて、いつも大狂いよ。どんな境遇にいたって、思い通りにはいかないわよ。でも逆に、思いつきもしない嬉しいサプライズが待っていたりするでしょう。結果的に、希望通りじゃなくて良かった、セーフ!ってこと」も、と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/07 21:21

……プロフィール画像のように、2人だけの世界を構築するなら、それはそれで…ってより、お羨ましいことですね………って話じゃないですね、たぶん。うん。えー……、その引退後が結構経過してしまったわたしども夫婦で言えば、子どもも巣立って、お互い修繕が効果薄の身体になってきているので、「こんなこと頼める(やってもらえる)のは妻(夫)しかいない」と共に言い合う共依存関係に――

きみどり
2024/11/07 21:35

なるほど参考になります…でも元気なうちは遊び相手は外で工面してもらいたいものです(なおプロフ画像は推しの俳優です念の為🤣)

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2024年11月にナイスが最も多かったつぶやき

ネギっ子gen

『詩歌川百景』に『女の園の星』など、今月も漫画に唸らされた……。小説のほうは、阿部暁子さん、もうすっかりお気に入り作家になりました。この作家のことは読メを通じて知りました。改めて読友の方々に感謝する次第でありまする。ハハァーツ m(__)m 2024年10月の読書メーター 読んだ本の数:52冊 読んだページ数:11988ページ ナイス数:7061ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1037983/summary/monthly/2024/10

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2024年11月の感想・レビュー一覧
66

ネギっ子gen
【正義の味方に不可能はあらへん】文はブラちゃんから聖剣を抜き、これが“皆を助ける方法”だと、命懸けで地上へ飛び下りる。落下する文の脳裏には親父・露伴が――。<「何故お前はそうなのだ?」「何故正義の味方になりたがる?」/そんなんも判らんのか、親父。簡単な事や。ウチが憧れたんは、母さんと違う。世界一カッコええ正義の味方。アンタやんか、親父>と。太宰はドストに告げる。「万象を掌で操る君と違って、私の手札は不確定要素だらけだったよ。だが、君には一つ弱点がある。君は“己で操れないもの”を信じない。“仲間”だよ」と。
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ネギっ子gen
【あの笑顔はたぶん――】2話収録。ともに最後は、“レイコさんが描かれている絵”についての、夏目の感慨。「とある少女の肖像」では、<――どこか懐かしいような、どこにでもあるような草原。そこに立つひとりの少女が、こちらをふり向いて――。あの絵はどこに行くのだろう。いつかまた、見られるだろうか>と。「黄昏遊園地」では、<父さんが俺に向けてくれた優しい笑顔を見て、ふと思った。あの絵を、レイコさんとは別人のように感じたのは、もしあれがレイコさんだったなら、今まで俺が見たことがない顔だったからじゃないだろうか>と――
がらくたどん
2024/11/30 10:45

ご一緒出来ましたね♪嬉しいです(*^。^*)「ともに最後は、“レイコさんが描かれている絵”についての、夏目の感慨。」うんうん。レイコさんの中に居た優しい笑顔のレイコさん。少しずつそんな「昔」が夏目君の前に現れてくれたら良いのだけれど。友人帳の御札ってあと何枚残っているのか気になりませんか?いや、横取りしたいとかじゃなくて(笑)

ネギっ子gen
2024/11/30 13:13

がらくたどんさん、わたしも嬉しいです。ほんと、友人帳の御札ってあと何枚残っているのか気になりますよねぇ(笑)。貴方が書かれた、<わ~、言っちゃいたいけど言わない(笑)田村~、かなり危なかったけど嬉しかったね~♪久々に斑様も拝めますよ(そこは言うんだ)>に共感。ネタバレにならないようにしたいが、これだけは書きたいって、その線引きにいつも悩んでいます😥

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ネギっ子gen
【 “優しさ”の地続きに、本書のような“暴力性”が……】『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』の理解が深まる読書となりました。DV加害者も凄まじい暴力の直後、突如優しくなったりするし、その暴力だって被害者の優しさが……。“必殺・世直し幽霊”がDVなどをした男共への怨念を晴らす話。と続編。<学内のトイレに盗聴器とカメラを仕込んでいた大学職員の男を自宅で溺死させたり、「ナンパを断られたから家までストーカーした」というタイトルの動画をアップし続けていた男を凍死させたり>というような記述が、延々と続く2頁は圧巻!⇒
ネギっ子gen
2024/11/30 09:36

【夢を見るみたいに】と、思い出す。<出てくるのは、つきあって半年ほどたった頃のあなたと彼だった。同窓会から帰ってくると、彼があなたを突き飛ばした。俺を、不安にさせて楽しいか?なあ、男がいたろ。昔好きだったやつくらいいただろ。今は、俺がいるんだよ。相手が理不尽なことは分かっているのに、それでも、私が悪いんだという思いは強く、それが間違っていても、強いものは自分にとって正しい。そんな考えに取り憑かれていた。私は許してほしかったんだ。暴力を振るわれてしまう自分のことを。よりによって、暴力を振るってくる相手に>!

ネギっ子gen
2024/11/30 09:38

【俺と別れられないよ。俺が許可しないもん】(涙を流し)DV男は主張!<2、3日もするとお前さびしくなるぞ?物足りなくなってくるぞ?俺に殴ってほしくてたまらなくなるぞ?殴られてるより、殴られてない時のほうがお前は俺のこと考えるんだよ。俺とお前は繋がってるんだよ。もう一緒なんだよ。だから、出てくなんて言わないでよ/仕方なかったんだよ。俺だって、毎日つらいんだよ。上司と部下の間で板挟みにされて、毎日満員電車に乗ってさあ、痴漢と間違われないように神経すり減らして。とにかく、つらいんだよ/俺の事情もわかってよ>と。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【この世は辛くて厳しいことばかりだから、みんなから愛される人になって助け合いながら生きていかなきゃいけない】次巻は、J-POP地獄編突入!!<翼広げ、心の扉叩き、瞳を閉じて、奇跡を信じたい。眠れぬ夜は、誰でもいいから殺したかった。同じ空の下、僕達は不器用で、傷つけあって、ただ会いたくて。止まない雨はないさ、会いたい。会えない。/もう巨人とかどうでもいいから…!!君に会いたい!!エレンは会えるのか!?>(お馴染みの偽予告より)。本当の14巻予告は、<王政打倒に向け、越えねばならぬ壁。それはあまりにも>と――
きみどり
2024/11/29 11:39

「JPOP地獄編」で大爆笑しました。センス抜群です、さすがです。こういう読み方があったなんて。

ネギっ子gen
2024/11/29 14:09

きみどりさん、そうなんです。著者(あるいは編集者)のセンスが光るところですよね。何せ本編が極めてシビアですから、毎回(たまに無い時もありますが…)の偽予告、楽しみにしています。特に今回のギャグセンスは素晴らしい。傑作です。そのことを理解して下さる方がいて、感激(涙、涙…)

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【わかる人にはわかる。伝わる人には伝わってる】介護のリアルが詰まった小説です。お笑い芸人の夢に挫折し、特養「森あかり」で介護員として働くことになった星矢。職員から“サイコ”と呼ばれる医師・葉山彩子を街で見かけて、意外な場所に連れていかれる――。<介護士たちも余裕なく働いている。これほど懸命に仕事に向き合っているのに介護現場の労働環境は厳しくなる一方で、一日も早く改善しないと、いま踏ん張っている職員たちもどうなるかわからない。努力は正しい方向に向かっていなけれれば、報われない――>と。まったく同感です。⇒
ネギっ子gen
2024/11/29 09:57

【理想と現実は、違う】福見施設長は忸怩たる思いを抱えていた。<ベッドからの転落、一人歩きの際の転倒、食事中の誤嚥や異食、火傷……。老人相手のケアには事故がつきものです。つきもの、だなんて言い方をしたらまた叱責を受けるんでしょうけれど、一対一、利用者につきっきりで介護しているわけでないんですよ。どうしたって目を離すことはあります。でもその一瞬の出来事が事故に繋がり、そうした場合は介護者が責められます。ケアが不注意だった、管理者の対応の不手際が引き金になった、などと糾弾され、時には裁判にかけられます>と――

ネギっ子gen
2024/11/29 09:58

【私は、何のためにこの仕事をしているのだろう――】介護事故で利用者から訴えられた過去がある福見節子施設長は、以後は事故がないよう懸命に努力してきた――。だが、<思い出した。節子が介護士になったのは、自分たち若い世代が希望を持ちたかったからだった。年を取って体が思うように動かなくなり、人の手助けが必要となって、それで施設に入ったとしてもそれは絶望ではない。施設での暮らしも悪くない。そう思ってくれる老人が増えたら、生きることが楽になるだろうと30歳の自分は考えていた。/自ら光を放つ、小さな灯火たれ――>と。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【私達はもう…人のために生きるのはやめよう。私達はこれから!私達のために生きようよ!!】超大型巨人と鎧の巨人の正体が発覚し、その彼らにエリンとユミルは連れ去られた――。エレンの、秘めた“巨人を操る能力”が判明する巻。ベルトルトは叫ぶように言う。「誰がッ!!人なんか殺したいと!!…思うんだ!!誰が好きでこんなこと!!こんなことしたいと思うんだよ!!人から恨まれて、殺されても…当然のことをした。取り返しのつかないことを…でも…僕らは、罪を受け入れ切れなかった…/お願いだ……誰か僕らを見つけてくれ…」と………
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【本当に出会うということが、今の生きづらさばかりの世界を変えていける一歩になる】非行・犯罪行為を繰り返した末に、今は依存症回復支援施設で働く著者が、多様な領域の5人(精神科医の松本俊彦、元厚労省事務次官の村木厚子、公認心理師の伊藤絵美、教育学者の小国喜弘、心理学者・神学者の高木慶子)と対談。生きづらさを抱えながら、みんなで「なんとか生きていく」方法を探る。著者は、<これまで生きづらいと感じていたことが、私個人の問題というだけではなく、多くの人にも共通する社会問題なのだと捉え方が変わりました>と――。⇒
ネギっ子gen
2024/11/28 17:33

【リカバリーには自助グループの存在が大きい】松本:<当事者の方たちって、とてつもない寂しさとか、人間不信とか、あるいは承認されることへの飢えなどを抱えていると思う/それは一人の援助者では到底受け止めきれないんですよ。でも、そこで「受け止められません」と放りだしてしまったら、「やっぱり人は助けてくれないじゃないか」っていう思いを深めるだけなんですよね。だから、援助者が潰れないためには、やっぱり複数人・チームで当たるとか、あるいは他機関とネットワークを組んで支援するということが、多分必要なんだろう>と。ええ。

ネギっ子gen
2024/11/28 17:34

【居場所の存在が、辛い状況にある人の人生を左右する】村木:<刑務所の中って、ある意味で秩序立っています/外の社会は自由だけど、混沌としている。私は刑務所から出て道を歩いていた時に、人とすれ違うのが怖かったんですよ。向こうから歩いてくる人が悪い人かもしれないし、怖い人かもしれない。でも、自分を守ってくれる刑務官はいない。結局、自分の味方をしてくれる人がいなかったら、刑務所の外は怖い世界です。そこで安心感をつくれるかどうか。刑務所の中の暮らしは外で暮らすための準備にはあまり役立たないような気がします>と――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【全て自分のためなんだ。私がその秘密を明かした時…お前は……元の名前を名乗って生きろ】104期訓練兵たちは、立体機動装置が使えず巨人と戦うための武器もないという孤立無縁状態の塔で、巨人らに囲まれてしまう。そういう状況下でユミルはクリスタに「お前…胸張って生きろよ」と告げ、単身ナイフ一つ手に塔から飛び出す。<クリスタ…私もだ。自分なんて生まれてこなければよかったと思ってた。ただ存在するだけで世界に憎まれたんだ。もし生まれ変わることができたなら…今度は自分のためだけに生きたい>と…心から願うユミルの正体は――
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【新興宗教の教祖になれば、貴方の夢は全て叶う!】今までに様々な宗教解説書が刊行されましたが、「どうすれば教祖になれるか?」という肝心要の疑問に応えた書籍は絶無です!本書は様々な宗教の成功例の分析から構築された科学的な実用書。本書を信じるのです。本書を熟読し随喜の涙を流す貴方は救われます!チェックリスト付き。巻末に、本書の読者から届いた、<人生が一変した!/わずか1カ月で信者3倍に!/神の意志を正しく伝えられた!>など感謝のお手紙の、ごくごく一部を収録。素晴らしい本です。ありがとう!我らが教祖マニュアル!⇒
ホシ
2024/11/27 20:06

これ、読みたいと思っていた本なんです!ネギっ子genさんのレビューでますます読みたくなりました!ありがとうございます!!

ネギっ子gen
2024/11/27 20:36

2009年刊というちょっと前の本で、パロディっぽい書き方だったりしますが、ホシさんに伝わったようで嬉しいです。『仁義なきキリスト教史』読んだ後、本書も再読したうえでレビューと考えていて、ようやく今回のアップとなったのですが、ホシさんからこのようなコメントいただいて、感謝です!

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【人は戦うことをやめた時、初めて敗北する】今巻には、17m以上ある獣のような体毛で覆われた巨人が登場。奇行種の一種かと見ていれば、そいつは的確な判断能力を持ったうえに、喋ることまで出来た!?……絶望的な状況が延々と続く中、希望は次号予告!10巻からは「アイドル編」に突入するようだ。主人公は人類最強のステージエンターテイナー・ミカサ(ステージ名は、みかりん。趣味は、エレン)。すべての巨人を魅了する、圧巻のパフォーマンスが展開されるかぁーとワクワクしちゃったら、いつものように小さく、“本当の予告は次に”と――
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【仕方ないでしょ?世界は残酷なんだから】3つの壁で守られた城壁都市。壁を愛し神として崇拝する宗教団体「ウォール教」の神聖な場で司祭が、「祈りましょう。マリア、ローゼ、シーナ、3つの女神の健在を、我々の安泰を、神聖なる壁を疑ってはなりません。神の手より生まれし3つの壁は、我々の信仰心を捧げることでより強固になるのです。神を信じる無垢な心こそが、巨人から我々を守る術であり、唯一巨人を退けられる力で」と、祈りの言葉を捧げている最中に、女型の巨人が――。そして本巻では、その女型の巨人の本体が判明し、壁の秘密も――
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
ネタバレ【一人がすべてで、すべてが一人】将来を絶望していた小鳥は、父親と名乗る深刻な病を患った「コジマさん」から手紙を受け取り、専属ヘルパーになる。コジマさんが亡くなった夜、弁当屋の店主・理夢人に出会った――。愛おしい物語。琴線に触れる記述が多くて、もう附箋がいっぱいに……。<がんばれば道は拓けるなんて大嘘だ。そんな戯言は、努力すればなんとかなる状況の人が、口先だけで言っているにすぎない。私のような境遇の人間は皆、18歳になれば施設を追い出され、いきなり社会で自立して生きていかなければいけないのだから>と――。⇒
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【素敵な書店がこんなにある社会が、これからも続いていくように――】日本の近代以降の労働史と読書史を俯瞰することで、「歴史上、日本人はどうやって働きながら本を読んできたのか?なぜ現代の私たちは、働きながら本を読むことに困難を感じているのか?」との問いに応えた書。巻末に、参考文献。<その問いを突き詰めると、結局ここにたどり着きます。どういう働き方であれば、人間らしく、労働と文化を両立できるのか?――私は、あなたと一緒に、真剣に「働きながら本を読める社会」をつくりたいのです。これから、一緒に考えましょう>と。⇒
うに
2024/11/24 22:38

私の場合、今より忙しかったころでもいろんなスキマ時間になんとか読書してたのに、スマホ持つようになってスキマ時間にスマホ見るようになっちゃったのが敗因かな。しかも、多くの人、他人のスマホは覗かないマナーがあるのに、本読んでるとなんだか人目を引くようになっちゃって、休み時間も読みにくいよー(・_・、) そして大きめの空き時間は、他の文化(遊び?)に使っちゃうなぁ。半身社会は歓迎ですけれども。

ネギっ子gen
2024/11/25 08:47

うにさん、そうですよねぇ…電車に乗っていても、多くの乗客はスマホを手に――。以前なら読んでいた本・雑誌・新聞だって、今や読む人…ほとんどいませんもんね。前はよく目にした「夕刊フジ」も廃刊ですしねぇ……

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【何かを変えることのできる人間がいるとすれば、大事なものを捨てることができる人】調査兵団は「対 特定目標拘束兵器(現在公開可能な情報13)」で拘束した “女型の巨人”から“本体”を引きずり出す寸前に、女型の巨人は断末魔の咆哮を――。アルミンは語る。「いつだってわからないことだらけだ!でも時間って流れるし、止まったりしてくれない!結果がわからないのに選択の時間は必ず来る。/あらゆる展開を想定した結果、仲間の命が危うくなっても、選ばなきゃいけない。100人の仲間の命と、壁の中の人類の命を、団長は選んだ」と――
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【元来、無慚無愧の夷共なれば(『太平記』)】夏の菊のように自信と覇気に満ちていた顕家卿が、まるで雪の中の菫のように、弱々しい姿を時行に見せる巻。顕家の、兵糧を略奪で調達した結城宗広への処分は甘かった。その真意を時行が問うと、顕家は「優雅で雅な戦と言っても、実体はこれよ。兵糧不足を軍全体で共有したのが裏目に出たな。獣共はそれぞれの頭で危機感を持ち、あの蛮行に及んだのだ。北の夷は善悪の区別がつかないなどと京の者は言うが、とんでもない。奴らは悪事を理解した上で動いている。予を天下の中枢に押し上げるため」と――。
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【歩行の歴史はすべての人の歴史なのだ】ブローニュの森を散歩して『人間不平等起源論』を書いたルソー、夜歩いただけで逮捕された19世紀女性、刑務所の踏み車=ルームランナーの起源など――。多岐にわたる領域を網羅し、思考と文化と歩行の深い結びつきを解き明かした書。巻末に詳細な注釈と出典。原書は2000年刊。訳は2017年。<誰もが歩き、驚くほど多くの人が歩くとは何か考えをめぐらせ、その歴史はあらゆる分野に広がっている。だから知り合いの誰もがエピソードや情報の源となり、探究の見通しを立てる助けとなってくれた>と。⇒
kamakama
2024/11/24 08:19

ネギっ子genさま、詳しいレビューをありがとうございました。この本、かなり前に読メの読みたい本にあげていたのですが、まったく手をつけてきませんでした。おかげさまで、猛烈に読みたくなりました。でも、図書館から借りた本と自分で買った積ん読本に囲まれて、読めるのはいつのことやら。

ネギっ子gen
2024/11/24 09:31

kamakamaさん、引用した以外にも興味深い記述が多数ある本で、あなたになら推奨できる本です。ぜひぜひ。なのですが……<図書館から借りた本と自分で買った積ん読本に囲まれ>るという厳しい現実もあるわけなんですよねぇ… ふぅーっ……。わたしの場合。長年の慣習から、現実逃避策としてつい手近のコミック本に手を伸ばす傾向が強いです。やれやれ……

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【彼を助けることができれば、過去の自分も救えるような気が……】在宅医療特化薬局で働き始めた小野塚がメーンの巻。精神疾患やヤングケアラーなどの描写が巧い。推薦! 薬局代表・仁科のアドバイス。「自分のことをうまく伝えられない患者さんもいる。だけど僕たちは、患者さんの生活の中に入れてもらってる。家族や他職種スタッフからの情報。家の中の変化…患者さんが今どういう状況か、自分から積極的に情報を取りに行って行動することが求められている。受け身で待っていると“ケアできたはずのこと”をどんどん取りこぼしてしまう」と――⇒
ネギっ子gen
2024/11/23 08:54

【患者さんを支えるためには、医療者にも支えが必要なんだ】踏み込んだ結果、統合失調症の母親を独りで支え続けてきた23歳の息子・暁人を精神的に追いつめてしまうことになって、自分を責める小野塚に仁科は、<すごく頑張ってたのはわかってる。/君はひとりで抱えてしまうところがあると思う。不安や迷いを、もっと周りに打ち明けたほうがいい。共有することで自分の状況を整理したり、一緒に考えて動いてくれる人を増やしていくのも大切なことだよ。報告をちゃんとしてって話とは少し違う。たぶん苦手なんだと思うから、意識してみて>と――

ネギっ子gen
2024/11/23 09:00

【ちゃんと自分を労ってあげて】最後の方でようやく登場する葵に小野塚が、「独りで空回って…」など落ち込んでいると、葵は「…聞けて良かったです。小野塚さん、自分の話はあまりしないから」と声掛け。そこで小野塚は、「担当してる患者さんで…子どもの頃から統合失調症のお母さんの面倒を見てて高校にも行けなくて、今20代半ば…って方がいるんですけど、その人にすごく感情移入してしまって…俺、機能不全家族で育ったんですよ/家族愛…家族だから大事にしなきゃとか、家族でいることが幸せとか、そういうのに拒否反応が出てしまう」と……

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【いくつになっても、気づいたり、思い知ることがある――】紫は茜への電話で、今まで避け続けてきた、職場の飲み会に参加したことを報告する。「すごく楽しかった。ていうか、あったかかった。たぶん私、ずっと力んで緊張して生きてきたから、周りの人たちの親切とか気遣いに気がつく余裕もなかったんだなって。この歳になって、やっとそういうことに気づけたんだ」と。そこで茜は「ねえ紫。私たち人より遅いかもしれないけど、人との繋がりとかそういうものを見つけた嬉しさとか、今までうまくできなかった分、ゆっくり大事にしていこうね」と――
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【タブーを暴きたいわけじゃない。酒が飲みたいだけだ!】“アル中じゃないかと中傷”される「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」ことを信条とする辺境作家が、酒を禁じるイスラム圏における飲酒事情を描いたルポルタージュ。カラー写真多数。2011年刊。<一般にパキスタンでは飲酒は禁じられているが、闇で売っているところもあるし、許可証を得れば合法的に飲めるという。「医者の診断書があれば飲めるんだ。『この病気の治療にはアルコールが必要だ』ってね」>と。いったいどんな病気なのか……⇒
ネギっ子gen
2024/11/22 20:11

【2つ目は、異教徒(少数民族)の存在】<「イスラム国家」と言っても、国民が百%、ムスリムという国は存在しない。必ず、キリスト教徒、ユダヤ教徒、ヒンドゥー教徒、仏教徒などが共存している。ヒンドゥー教徒は飲酒に消極的だが、他はクリスチャンにしてもユダヤにしても、それから本当は絶対酒を飲んではいけないはずの仏教徒も、飲酒が大好きである。中でもキリスト教徒は別格の存在だ。なにしろキリスト教ではミサにワインが欠かせない。/飲酒厳禁を建前とするイランでも、アルメニア正教徒だけはワインの製造と飲酒を認められている>と。

ネギっ子gen
2024/11/22 20:13

【イスラム圏には裏表があるが、仏教圏には裏表では済まない曖昧模糊とした複雑な世界が広がる】<本来は仏教のほうがイスラムより酒に対して遥かに厳しいのである。なのに、日本人はもちろんのこと、ミャンマー人やブータン人のように「敬虔な仏教徒」と呼ばれる人たちも、この戒律を全く無視してせっせと酒を造り、心ゆくまで飲み、へべれけになって平気な顔をしている。しかも誰一人、これについて公に疑問を呈する人がいない。私も前々から不思議に思っていたが、やはり首をひねるだけ>。これぞ、“ハッピーランド”である仏教圏最大の謎だと。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【強まった弱者への思いやり】基盤の脆弱な皇后の位に民間からお就きになった美智子さまがお言葉を失い、そこから立ち直られるまでを、美智子さまがお持ちになっている芸術性・文学性・豊かな感受性・精神性などに焦点を当てつつ描いた書。巻末に略年譜と参考文献。平成11年刊。神谷美恵子は、<二人の関係を「キンドレッド・ソウル」と呼んだ。「魂の縁」「魂の姉妹」といった意味だ。また、「美智子妃はウーンデッド・ヒーラーになられるかも」とクエーカーの人に告げている。傷つかれているがゆえに他の人の癒やし人になれるだろう>と――。⇒
ネギっ子gen
2024/11/22 06:52

【悲しみにより清められ鍛えられ優しく】美智子さまは、「言葉を失ったことへの不安と悲しみが日に日に大きくなり、発声や発語の練習に励む一方、回復への希望を失いかけた時期もありました。そのような時に、多くの方々から励ましの言葉を頂き、深い感謝に潤される中で、自分を省み、苦しみの持つ意味に思いをめぐらすゆとりを得ることができました。優しくありたいと願いながら、疲れや悲しみの中で、堅く、脆くなっていた自分の心を恥ずかしく思い、心配をおかけしたことをお詫びし、励ましてくださった大勢の方々に厚くお礼を申し上げます」と。

ネギっ子gen
2024/11/22 06:55

【祈りが芸術の根っこに】作曲家・三善晃は言う。「皇后さまの作品からは、祈りを感じます。祈りは芸術創造の根源であり、だから祈りそのものの本質は孤独なものだ。ノルウェーから来たある作曲家は『すべての作品は祈りである』と語っている/希望とか願いといったものは普通の人も持っている。しかし、祈りということはさほど持ってない。ダンテの『神曲』地獄篇の中に、人間は窮状の時、失意の時しか祈れない、祈らざるをえないとある。祈りとはそういう重さを持っている。皇后さまの窺い知ることのできない意識の背後に、祈りがあるのです」と。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【「放浪記」には、作者自作の詩もいくつか書きつけられているけれど、この書物自体が、一編の、いきのいい詩みたいでもある(江國香織「解説」の末尾)】江國香織さんの書評を読み、再読――。「放浪記」と言えば森光子がまず挙げられるが、わたしの場合は「うず潮」の林美智子になるかなぁ~。<漠々。涙がにじんで来る。電気でもつけよう……駄菓子ではつまらないと見えて腹がグウグウ……辛気に鳴る。隣の古着屋さんの部屋では、ジ……と秋刀魚を焼く強烈(いや)な匂いがする。/食欲と性欲!私は泣きたい気持ちで、この言葉を噛んだ>と――⇒
ネギっ子gen
2024/11/21 10:08

【私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない。私は雑種でチャボである】巻頭の「放浪記以前――序にかえて」で、冒頭に唱歌「旅愁」が引用される。<故郷に入れられない、両親を持つ私は、したがって旅が古里である。それ故、渡り者である私は、この“恋しや古里”の歌を侘しいで習った。8つの時、私の可憐な人生にも、暴風を孕むようになった。若松で、太物の糶売りをして、かなり財産をつくっていた父は、長崎の沖の、天草から逃げて来た、浜と云う芸者と一緒になると、雪の降る旧正月を最後として、母は私を連れて家を出てしまった>と――

ネギっ子gen
2024/11/21 10:10

【雑記帳の端に書いた手紙】<生きのびるまで生きて来たという気持ちです。随分長い事逢いませんね。神田でお別れしたきりですもの……。もう、“しゃにむに”淋しくてならない、広い世の中に可愛がってくれる人がなくなったと思うと泣きたくなります。いつも一人ぼっちのくせに、他人の優しい言葉をほしがっています。そして一寸でも優しくされると、嬉し涙がこぼれます。大きな声で深夜の街を唄でもうたって歩きたい。夏から秋にかけて、異状体になる私は働きたくっても働けなくなって弱っています故、自然と食う事が困難です。金が欲しい>と――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【いま必要なのは、「意味」を探る力である】<もともとは哲学や現代思想を、つまりは浮世離れした抽象的な事柄を研究していた人間で、時事問題はあまり得意ではない>とする著者が、2017年から2022年まで『AERA』に寄せたコラムを集めた時評集。<担当者も数回変わった。それぞれに赤字の癖があり、また週刊誌では行数調整のために表記の変更を強いられることもあった。それゆえ回ごとに表現が揺れている。/本来なら単行本化にあたって統一すべきだったのだろうが、無理な統一は逆に混乱を呼びそうなので諦めた>と。うん、うん……⇒
ネギっ子gen
2024/11/21 09:20

【短期的な動員ではなく、むしろ忘却に抗う力を】<もっとも深刻だと感じているのは、じつは社会の保守化でも排外主義化でもなく、どんどんひどくなる「忘れっぽさ」である。たとえば相模原障害者施設殺傷事件。わずか半年前の大量殺人事件だが、早くも風化している。1997年の酒鬼薔薇事件や2008年の秋葉原通り魔事件は、数年単位で話題になった。比べると明らかにメディアの構えが違う。かつてメディアの時間はもっとゆっくり進んでいた。一つの事件について、月単位年単位の時間をかけて「意味」を解読する余裕が存在した>と。今は――

ネギっ子gen
2024/11/21 09:21

【ぼくは平成の批評家だった】<それは、平成の病を体現する批評家であることを意味していた。だからぼくは、自分の欲望に向きあわず、自分にはもっと大きなことができるはずだとばかり考えて、空回りを繰り返して4半世紀を過ぎしてしまった。ぼくは新元号では、そんな空回りを止めて、社会をよくすることなど考えず、地味にできることだけをやっていきたいと思う。/もう偽りの希望はうんざりだと、平成という病を生き抜いた47歳のぼくは心の底から思っている。/ひとの人生は無限ではない>と。敗北主義で冷笑主義で現状肯定と批判されても――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【たくさんの「よい」本に出合えますように――】「読みたい本が見つかる本屋」の噂を目にした大学生の倉井史弥。病床の父に借りた本を失くし、噂の駅ナカ書店〈金曜堂〉を訪ねると――。出迎えた女店長・槙乃は倉井に語る。「読書は究極の個人体験です。人によって響く部分が違うのは、当たり前なのです。作者の思いやテーマを汲み取る努力を、読者がしなければならない義理はありません。好きに読めばいいんです。感想を誰かと同じになんかしなくていいんです」と。巻末に、“すべての本に敬意を込めて”、「金曜日の本屋さん」おすすめ本リスト⇒
ネギっ子gen
2024/11/20 10:02

【本は売れるんじゃなくて、売っていくんです、書店員が】史弥は、槙乃による細目な並び替えを見て、<“金曜堂”は店舗のスペースが狭く、フロアの棚も限られているため、店頭で目立つのは、人気作家の本や高校生が好む本やコミックスだったりする。だけど、アルバイトとして内側に入ってみると、売上を気にしながらも、お客様に楽しんでもらえるよう、最大限の工夫を凝らしていることがわかってきた。その努力は、“金曜堂”の棚の入れ替えや棚作りの頻繁さにもあらわれているだろう。朝に作ったコーナーを、夜でたたむこともしばしばだった>と。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【人間社会に備わった多くのものは、対話を通じて頭の中で構築されたもの】言語や文学の機能について考察する仕事をしている、虐待・発達障害・宗教2世といった多重当事者の著者が、依存症・精神疾患・貧困・DVなど、様々な事情による機能不全家庭で育った人に向けて、アダルトチルドレンの回復メソッドを物語形式で紹介した書。巻末に参考文献。<アダルトチルドレンの困り事は多様ですから、本書では処方箋を並べていくことに合わせて、そのような処方箋を当事者の側から新たに発見する場として「対話型自助グループ」を推奨しています>と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/20 09:24

【幼稚な大人】<話題になり始めた1990年代にも、さまざまな人がアダルトチルドレンを「大人になりきれない幼稚で未熟な人」のことだと誤解していました。当時やはりよく使われていた「モラトリアム人間」の同意語や新しい表現だと錯覚された/私自身も、初めてこの言葉を知った時、いわゆる「ピーターパン症候群」の別の表現なんだろうと考えてしまいました。それで、あまり関わりたくない概念だなと思ったことを覚えています。自分自身に実際、「ピーターパン症候群」の傾向があるとも思っていたから、同類嫌悪的な感覚があったんですね>と。

ネギっ子gen
2024/11/20 09:25

【カウンセリングに比した自助グループの利点】<カウンセラーはプロとはいえ、「当事者」ではないから、相談する人の話をどこまで理解したり共感を示せたりできるかは、ケースバイケースというところがある。せっかくの機会だからと相談しても、期待外れに終わることは稀ではない。それなりの料金を払うから、余計に落胆の度合いは深い。その点、自助グループは、似たような悩み事を持つ人が集まっているから、話は驚くほど通じやすく、また不満を感じることがあっても、原則として無料だから/失望の思いに打ちのめされるということが少ない>と。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【静かに行くものは 健やかに行く 健やかに行くものは 遠くに行く】国民の幸せを祈り続けた、美智子さまのご成婚60年の誠実な歩みと静謐な素顔を、親友・末盛千枝子が綴った書。2019年刊。巻頭に写真。装丁は安野光雅。挿絵は舟越保武。<お声を失われた時、初めて皇后さまから「でんでんむしのかなしみ」という新美南吉のお話を聞かせていただいた。やっと聞き取れるような、それはそれは小さなお声で話してくださったのだ。人は誰しも、何かしら悲しみを背負って生きているということをこの物語によって小さい頃に知ったという>と――。
ネギっ子gen
2024/11/19 08:52

【お声を失われた平成5年――】<あまりに痛々しく、思い余って「こういう時に精神科医とかカウンセラーの助けを借りることはできないでしょうか」と/囁くようなお声で、仮に内容が秘匿されるとしても、他の人々に関わることを自分から口にすることはしたくない、と仰った。/皇后さまのことを「Kindred soul」(自分と類似の魂を持った人)とまで呼んでおられた精神科医の神谷恵美子さんにさえ、かつて宮中の人間関係などについては一言もふれられなかったという。すべてをお一人の内に受け入れ、とどめようと努力しておられた>と。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【“伝えたい思い”を“適切なことば”で送り届けるための55のお題】pirokichiさんに本書を教えられ――。「些細」だが「瑣末」ではない日本語の感触の違いを、語感研究の第一人者がQ&A形式で解説。2011年刊。<日本人は、在来種の和語を基層とし、漢語や外来語、和製語や各時代の新語を外層とする、重層的な言語文化の中でものを見、感じ、考えてきた。そういう長い複雑な歴史を負って、現代日本語には、似たような意味で語感の違う広大な類語の沃野が広がる>。そうした語感の襞に分け入るのは、悦びであり、贅沢な悩みだと。⇒
ネギっ子gen
2024/11/18 07:40

【同じ和語でも感じの宛て方ひとつで微妙にニュアンスが違ってくる】<「油」はもっとも一般的な表記だが、主に石油や植物油などの液体のものをさし、「脂」は動物脂肪など固体のものをさす。「膏」は「蝦蟇の膏」などの場合に用いるが、「油」「脂」による代用が可能なことも多く、用例は少ない。「元」と「下」と「基」と「本」、「川」と「河」、「舟」と「船」、「憂い」と「愁い」、/「探す」と「捜す」、「戦う」と「闘う」、「暖かい」と「温かい」などは、そういう何らかのニュアンスの差によってそれぞれ慣用的に>書き分ける例であると。

ネギっ子gen
2024/11/18 07:42

【濁音】<「トントン」という音より「ドンドン」という音のほうが腹まで響く感じがある。「カーカー」より「ガーガー」、「キャッ」より「ギャッ」のほうが神経にさわる感じが強い。これらの組み合わせはどれも清音と濁音の対応になっているから、これは“濁音”のことばが一般に帯びやすい語感であると考えられよう。/「貪欲」という語がきつい印象を与えるのも「とんよく」でなく「どんよく」と読む時で、意味だけではなくそういう音構造も影響している可能性が否定できない>。「どやす」「がなる」は、語頭の濁音がキツイ響きを印象づけると。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【みんなで住むほうが楽しい。女6人そろえば、たいていのことは何とかなる。いろいろな家族がある】中学1年生の美琴は、シングルマザーの母と祖母と暮らしている。ある夏、母がかつての同級生・朱美さんと再会し、彼女の家族と共同生活を始める――。ラスト近く、タイトル名に納得した……。児童文学出身者らしい作品。<おみくじは吉だった。――番狂わせのある時期。安定と思っていたことが足元から覆ることもあれば駄目だと思っていたことが大きな可能性となりよみがえることもある。油断するな、あきらめるな。――/と書いてあった>と――。
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【「きょうだい児は子ども時代の問題」と言われるが、違う。大人になってからが辛い。ここテストに出ます!】自閉症を持つ弟、カルトにハマる父、家出癖の母に翻弄された著者が家族と縁を切るまでの、闘いの記録。きょうだい児をメインテーマに、DV、宗教2世などの問題を描いたコミックエッセイ。<多くの人が当たり前に持っている「家族」というアイデンティティがなく、常に不安と闘い、根無し草のように生きざるを得ない。医学的に表現すれば、愛着障害というのかもしれませんが、一言で括るには余りある存在が、「きょうだい児」です>と!⇒
ネギっ子gen
2024/11/17 08:07

【私は、人格形成を育む貴重な幼少期に、この本で描いたような劣悪な環境にいた……】<おそろしく聞こえるかもしれませんが、幼いころはいつも「この世がすべて破壊されればいい」、遊園地で幸せそうに遊んでいる家族を目の前にすると、「死ねばいいのに」と心から思っていました。そこまで私の幼い心はどん底に叩き落とされていました。今はそういった思いはかなり薄れましたが、45年経っても、少なからず虚無感として残っています。しかし、それは私が「たまたまこんな家庭環境に生れてしまっただけ」なのです>と…。強く共感。実に、そう……

ネギっ子gen
2024/11/17 08:08

【仕事でも苦しみ、両親と絶縁する】浪人して慶應入ったのに、時代は大不況で超絶氷河期。本当は行きたくない人気のない役所に。給与はバイトレベル。奨学金の返済もあるのに!私はキレ、<大学も親の希望通り入ったのに!なぜ社会でもバカにされる!本格的に両親殺害計画を実行するしかない!>と、闇落ちした。その時、友人の“憎くても親を殺して刑務所に入るなんて、意味なくない?それこそ負けだよ”という言葉を思い出し、友人に相談電話を。「殺すより残酷なことは“無視”することだよ!」とのアドバイスを受け、以降“無視する”ことに――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【ことばにできないことが本質に近い】90代と60代の詩人の対談集。題名がいいですよね。伊藤は言う。<北米先住民の口承詩や説教節、お経といった口承文芸に興味を持つようになるんですけど、そこには、谷川さんのマザー・グースの影響も絶対にあると思う。それから河合隼雄さんとの『魂にメスはいらない』、朝日出版社のレクチュア・ブックスの一冊ですよね。学者と文学者が対話していくシリーズ。ああいうの、ほんとにかっこいい、やりたいと思った。それから糸井重里さん、何だかあの頃、谷川さんと糸井さんがものすごく近い>と。大同感!⇒
ネギっ子gen
2024/11/17 07:50

【いいとこ取りでイイ】谷川が『レンマ学』(中沢新一/朝日新聞出版)をおススメすると、伊藤は「見出し」を見て、<伊藤:すでに読む前から難解ですねえ。こんなのするする読めちゃうんですか!/谷川:端から熟読するんじゃなくて、断片的にさーっと流し読みすると、何か心に引っかかったりするから、それで十分だよ/伊藤:それでいいんですか、じゃ私にもできる。私、お経を読み始めた頃、何にもわからなかったんですよ、ほんとに何にも。それで10年の間、わかんないわかんないと思って読んでたらね、少しずつわかるようになったんです>と。

ネギっ子gen
2024/11/17 07:52

【死後の世界】<伊藤:宗教を調べていくと、みんな意識がなくなっていくのが怖いと。眠ったら目を覚まさない、っていうのが怖くて、人は浄土とか天国とかって考えて、意識が続くんだと思いたいんじゃないかと……。私、個人的には、「天国でまた会いましょう」みたいな感覚はギマンだと思って/谷川:え?ギマン、ギモン、どっち?/伊藤:欺瞞。詩人として許せんと思いますね。天国なんてあるかい、って立場です。谷川さんはどうですか?/谷川:うん、天国はないと思うね。オレほら、わりと友だちが少ないんだよ。誰かに会いたい>とかはないと。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【丁半を選んだような鑑別では、ただの賭け。それは診断とは言えません。自分の鑑別に責任を持つ自信がないなら、それは「わからない」ということです。胸を張って、それを言えるかどうか。それが病理医としての第一歩】10周年記念なのに、「病理医ゼロの表紙が目印!」と…岸先生が一人寂しくカップヌードルを啜る巻(涙)。一方、米国に旅立つ円遼は学生に、「臨床検査技師は、医者のように患者を治すことはできない/あまり知られていない仕事だけど/日々磨いた繊細な技術で医療を支えてる、患者の身体の中の見えない異変を可視化する」と――
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【チェックリストやマニュアルで自己判断が可能なほど、精神医学はイージーなものではない】長年、患者を観察し続けてきた精神科医だからこそ確認し、解説できる精神疾患のパターン。患者、人間にとっての幸福とは何か、精神科医の仕事とは何かについても考察した書。病気への理解の大切さ、精神医療における生々しい問題点も浮かび上がらせ、当事者や援助者だけでなく、一般読者にとっても非常に興味深い内容になっている。例えば、新型うつ病を訴える患者は、詐病しているわけではなく、本人は苦しんでいるが、周囲の理解は得られにくいと――。⇒
ネギっ子gen
2024/11/16 08:25

【男の大厄で、心の暗部を他者に開陳してしまう結果に――】<それなりに人生を総括しなければならない時期である。自分は今までどんな実績を残したのか、どれだけ他人に誇れる生き方をしたのかを問われる。はっきりと問われなくとも、振り返らざるを得ない頃合いのようである。そのときに、自画自賛できるものは少ないだろう。忸怩たる気分、他者への妬みと憎悪、虚しさと痛恨などが一気に前景化して扼腕する。そのような際に、案外と簡単に人は妄想を作り出してしまうらしい。ある種の自己正当化であり、妄想の姿をした自己弁護>と。……わかる。

ネギっ子gen
2024/11/16 08:27

【アウト老】<特徴的なのは、プライドの高さ、執着心の強さ、被害者意識、不寛容さ、歪んだ正義漢など/つまり彼ら暴走老人やアウト老たちは、自分が迷惑で図々しく高圧的で独りよがりであるとは思っていない。驚くべきことに、尊敬され一目置かれVIP扱いされるべき「筋の通った人物」だと信じている気配がある。だから平気で列に割り込んだり(VIPだから)、電車で座っている妊婦に席を譲れと怒鳴ったり(年寄りは労られるべきだから)、クレーマーと化したり(正義を貫くから)、自分を棚に上げて相手の言葉遣いや態度に文句を言う>と――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【演じる事は、僕にとっての復讐だから――】『15年の嘘』シナリオに難航したアクアは「お話作りのプロふたり」に相談すると、「君は作家として、多くの人の秘密を暴いて、それで結果的に金儲けをしようとしている。自分だけ安全圏なんて“絶対に”許されない。物語ってのはね。人を殺す事すら出来るものなの。だからこそ、物語を描く者には、その一文字一文字に相応の責任が求められる。その物語が誰を傷つけるのか。常に自覚的でなくちゃいけない」と。そして、ルビーはアクアに「推しを推してる間は、私の命にも意義があるって思える!」と――
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
ネタバレ【もしここに 久能くんがいたら…】池本刑事、トンネル崩落事故に巻き込まれ、エア整くん降臨!の巻。<「闇バイト」って、僕、その名前変えてほしいと常々思ってて。「バイト」って言われると、そうかなって思う人がいるので、でも実際は共犯の募集なわけで/犯人はうまいこと言うでしょうけど(犯罪をカッコよくとか面白くとか取り上げたらダメなので)報道やメディアはネーミングを考えてほしいと僕は思います>と。だよね。で、今巻では、なんと!(愛珠の弟)犬堂鳴子我路と鳴子巽のツーショットが。おお😮また、ライカとのデート光景も――
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【私のおばあさんは、魔女として拷問され、殺された】17世紀中頃に書かれ、アメリカの植民地時代に作られたキルトの内側に記された日記(メアリー・ペーパーズ)が基の物語。魔女の血をひく娘として迫害を逃れ新大陸へ脱出し、そこでもまた――。原書は2000年刊。訳本は2002年刊行。<そこからさらに南に行こうと思う。/みんながもっと自由に自分の良心にしたがって生きていける場所があるらしい。そもそもわたしたちが海を渡ってきたのは、それが目的のひとつだったのだから。あの子にはことづてを残そう。わたしたちの行く先々で>。⇒
ネギっ子gen
2024/11/15 18:51

【おばあさんに、不利な証拠は山ほどあった】<人々が何のかんのと訴え出ていたからだ。あいつににらめつけられたおかげで、うちの家族も家畜も病気になった。あいつが魔法を使って蝋人形に針を刺した、おれたちに呪いをかけるために。あの女、でっかいウサギに変身して、数キロ四方の畑や野原をうろついていた。しかも、変身するときには、死体のとけた脂で作った難航を使ってた/難癖をつけた人たち、あの人たちはわたしの友だちであり、近所の人たちだった。みんな、いつもおばあさんを頼りにしていたのに>……その人たちがみんなで嘘を、と――

ネギっ子gen
2024/11/15 18:52

【人間ってやつは、何かうまくいかないことがあると、いけえにを見つけてその責任を負わせるもんさ】イギリスでの魔女狩りの手から逃れ新世界に向けての航海中、少年の水夫から、「コーンウォールの人間って、魔女狩り人よりもすばやく魔女を見分けるんだぜ。そういうやつらが、この船はプリマスを出てからランズエンド岬を過ぎて、シリー諸島の沖を抜けるまで、ずっと魔女の凶眼に見つめられてるのを感じてた、って/船ってのは、へんなところなんだ。風や天気だけが心を乱す原因になるわけじゃない」などと言われ、心の奥底に恐怖が広がったと――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【「神国」について、大方の人が抱いているものとは違ったイメージを提示することによって、その常識を打ち破る】「神国思想」をめぐっては、研究者の間でも様々な意見が交錯し、未だにその評価は一定していないのが現状である。様々な観点より、古代から中世・近代に至る「神国言説」を読み解いた書。2006年刊。本書は、<「神国」というもっとも「日本的」と思われがちな概念が、実は神道・仏教といった要素に還元しえない独自の論理構造をなしていることを明らかにすることによって、研究の方法に関わる問題提起を試みたものである>と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/14 07:58

【この世の浄土としての神社】<垂迹―神がこの世に出現した理由は、末法辺土の衆生を正しい信仰に導き、最終的には彼岸の浄土に送り届けるためだった。従って、垂迹のいる霊地・霊場に足を運び帰依することが、往生への何よりの近道/現代人にとって、神はもっぱら現世の利益を司る存在である。神社で葬式を行うことはまずない。死後の救済は神の任務ではなく、仏の役割だった。それに対し、中世では神々が霊魂を浄土に送り届ける役割を担っていた。それは神を末法辺土の救済主と捉える、当時の一般的な認識を前提にしたもの>と――

ネギっ子gen
2024/11/14 07:59

【統一権力の宗教政策】<統一政権は宗教勢力を跪かせるだけでは満足しなかった。天下人が目指したのは、民衆や敵対勢力が信仰を口実にして再び反抗の火の手をあげることを防ぐために、宗教的権威を自らの支配秩序の中に取り込み、自己の権威づけに利用することだった。そのために、彼らは自ら神になることを目指した。信長は、自分を崇拝すれば富と長寿を得ることができるという高札を総見寺に立てさせた。秀吉や家康もまた死後それぞれ「豊国大明神」「東照大権現」の神号を受け、神として祀られ>ていますよね。そして、その肖像も神像として――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【ものごとに名前をつけるのは、解放の過程の第一歩だ】希望を現実に変えるエッセイ。原書は2018年刊。<彼は世界でもっとも嘲笑された男でもある。大統領就任直後の2017年1月21日の(全米で何百万人の女性が抗議デモをした)「ウィメンズ・マーチ」のときには、ひとりの男性が一日のうちに拒まれた女性の数では史上最高記録だと笑われた>と書かれた記述を、その同じ男が(一度は落選し、有罪判決を受けたにも関わらず!)巧妙に人心を操ることで、“強化ガラスの天井”の上に立って“米国の輝く未来をカタる”映像を見ながら記す――⇒
ネギっ子gen
2024/11/14 07:08

<サンフランシスコの条例では、歩道に座ったり横たわったりすることを禁じており、公共の公園で寝ることや、公衆の場での排尿や排便も禁じている。こうしたことは生物学的に誰もがする必要があることで、ふつうは家の中ですることだ。住む家がない人々は、車の中に住んでいたり、夜間も職場に居残ったり、深夜バスに乗っていたり、知り合いのソファを渡り歩いたりして、一見するとほかの人と同じようにしているので、通常は不可視である>。日本も同じですね。「ホームレス」は昔とは様相が変わった。一般の方と同じような姿でネットカフェにて――

ネギっ子gen
2024/11/14 07:10

【悲しみの中の希望】<選挙の後、わたしは人々が脅しに屈し、公的には服従し、私的には無関心になるのではないかと恐れていた。9・11以降、ブッシュ政権はこの事件を巧みに操って愛国心を盲目的な服従のようなものに仕立てあげ、それにあえて異議を唱える者は長年にわたってほとんどいなかった。この醜い時代にも喜ぶべきことがあり、そのひとつは、トランプ政権を怖れている者がほとんどいないらしいことだ。/この国が完全に独裁主義になるのを防げるものがあるとしたら、それはここにいる多くの人々の反抗的な性質>だと。その通りであって!

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
ネタバレ【僕もうあんな大きな暗(やみ)の中だってこはくない。きっとみんなのほんたうのさいはひをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行かう】高校図書室「イーハトー部」部員たちの物語。語り手・高2のチカは、「善きことをおこない、たとえそれが失敗しても、絶望から何度だって立ち上がって、また善きことをしたいという気持ちを持ちつづける――それがきっと“ほんたうのさいはひ”で、『銀河鉄道の夜』を読んだ俺ら読者一人一人がジョバンニと一緒に、一生かけて“ほんたうのさいはひ”を獲得してはじめて物語は完成する」と。⇒
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【贅沢とは、今の私には、ひとりの男、またはひとりの女への激しい恋(パッション)を生きることができる、ということでもあるように思える】年下男性との愛の体験を赤裸々に綴り衝撃を呼んだベストセラー小説。原書は1992年刊。翌年には訳本刊行。巻末の、詳細な「訳者あとがき」は本書読解の手助けに。<あの非現実的で、ほとんど無に等しかったあの夜のことこそが、自分の情熱の意味をまるごと明示してくれる。いわゆる意味がないという意味、2年間にわたって、この上なく激しく、しかもこの上なく不可解な現実であったという意味を>と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/13 10:33

【どうもがいてみても、果てしなく虚しかった。私は快楽を、まるでそれをやがて訪れる苦痛の一部であるかのように味わっていた】<電話がかかってくるか否かにもう一喜一憂しなくてすむように、もう苦しまなくてすむように、きっぱりと別れてしまいたいという気持ちに、私は絶えず傾いた。が、すぐに、訣別の直後から始まるもの何一つ待ち焦がれることなしに過ごさなければならない日々の連続が頭に浮かぶのだった。私が選んだのは結局、たとえどんな代償を払うことになっても、そのまま関係を持ち続けていることだった。たとえば、>――と……

ネギっ子gen
2024/11/13 10:37

【情熱】訳者は、<passionは、本書の訳文中でも文脈によってさまざまな訳語をあてたように、「情熱」「熱情」「恋」「恋心」「恋情」「恋着」「執着」などを指すが、もともとは、外部から被害を受けたときに生じる「苦しみ」「苦痛」「苦悩」を意味する語/passionと頭文字を大文字にして書けば、イエス・キリストの「受難」を意味する。重要なことはしたがって、「シンプルな情熱」という場合の「情熱」(=パッション)が、語源を遡れば、受け身の状態であり、苦しみ>であることなのだ、と。外部から取り憑いて、虜にする力か……

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【自分の感性を大切に、あまり目の前のことに囚われず】老いたら老いたなりに、楽しくなることを考え、ふたりが積み重ねてきた半世紀の歳月。夫が90歳で他界後も、妻はひとりで同じように営み続ける――。素敵なカラー写真多数。2016年刊。<誰かのために、何かやれることを探し、人のためになることをやる以外、私の生きる道はない。とにかく前向きでやっていかないと、自分はやっていけないって。ジャムや佃煮、いろいろなものをつくって、これからみんなに配ろう。今までどおり、同じように毎日をやっていくよりしょうがないわって>――⇒
ネギっ子gen
2024/11/12 09:40

【時は有難い】<お父さんが逝ってからのこの6か月、みなさんがよくきてくださったから、ほんとうに助かったと思っています。今まで私はお父さんにずっと依存してきたでしょ。だから、不安だったの。ひとり暮らしって、むなしいのね。さびしいんじゃなくて、むなしい。何をやっても。一人でどう生きようかなって。一人で生きる自信もそんなにないし、と思っていた。だから、時って、ほんとにありがたいですよ。どんどん、そういう迷いや不安も薄れてきて。お客さんがいらして、次の日、一人になると、一人でやりたいことをやる>。これが楽しいと。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【自分の体でいることを心地よく感じている人がはたしているだろうか?】(最大体重が262kgあった女性作家による)体について、飢えについての回顧録。原題「Hunge」は「anger」に通じ、邦訳「飢える」は「well」に通じるかなぁ……。共感箇所多し。<12歳のとき、私はレイプされ、それから私は食べて食べて食べて自分の体を要塞にした。私はめちゃくちゃで、それから成長し、あの酷い日から遠く離れて別の種類のめちゃくちゃになった――よく愛しよく愛され、よく生き人間らしく善くあるよう全力を尽くすひとりの女だ>と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/12 09:33

【自分が強くないことを気に病んできた……】<強い人たちは、私がいつの間にか陥っていた被害に遭いやすい状況に陥ったりはしない。強い人たちは私が犯した間違いを犯しはしない。これは何年にもわたって私がでっちあげてきたナンセンスであり、私は誰か他の人にそういう考え方を捨てさせるくせに、なぜだか自分自身がまだ手放せていない。自分が十分強くないと気に病むとき、私は自分が脆弱でない、壊れない、石のように冷たい要塞で自立しているように見せることに力を注ぐ。たとえ無理なときにすらこの見た目を保たねばならないと気に病む>と。

ネギっ子gen
2024/11/12 09:34

【体のことが、思わぬ形で私のフェミニズムに影響を】<私の体で生きることは、他の人々と彼らのさまざまな体に共感する気持ちを膨らませた。それは確かに、さまざまな体型の包摂と受容(単なる容認でなく)がいかに重要かを私に示した。大きな女でいること(これは私の体がどんな状態か尊厳のようなものをもって他の人々に慎重に伝えるのに私が使うフレーズ)、それは少なくとも過去20年にわたって、私が私であることの一部だったのであり、それは私が私であることの他の部分と同様なのだ。/この体には回復力がある>。体は力に満ちていると――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【人生を変える旅。そんな旅が、誰にでもある】無教会派クリスチャンで、国際地域保健学が専門の脳外科医・若井晋東大教授は、50代で若年性アルツハイマーに――。地位・知識・言葉を失って、彼や家族はどうなったのか。妻がありのままを綴る書。<もし人間がこの世だけの歩みで終わるなら、病気はただの不幸にすぎない。けれども、生命を与え、とり給う神様が私たちの歩みをご覧になっている。愛をもって支えていてくださる。であれば私たちは、それに応えて、たとえどんな状況におかれても、一生懸命生きる値があるのではないだろうか>と――⇒
ドリアンLove
2024/11/11 09:15

図書館書棚にあったので、明日借りに行ってきます!

ネギっ子gen
2024/11/11 10:51

ぜひ! 認知症になっても<人間性が壊れるわけではなく、かえって深まることもある>というのは、その通りだと思いました。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【健康寿命を延ばすのは、運動と食事と交流】様々なデータや研究結果を紹介しながら、高齢期に相応しい環境と、その重要性を解説する書。<郊外の一戸建てに住んでいて、スーパーやレストランが遠く、周囲にあまり人もいない環境は、実は自由ではありません。「自炊するしかない」「一人で過ごすしかない」からです。「選べない」という束縛を受けています。その意味では、老人介護施設はもちろん、老人ホームのほとんどは選択肢がない、あるいは限定されているという意味で、自由ではありません。自由がある、とは選択肢があふれていること>と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/11 07:54

【職員による入居者への誕生日の声掛けを禁じる施設がある。個人情報保護法を名目にして!】<確かに法律は、業務の目的の範囲を超えて個人情報を利用することを禁じていますが、高齢者の暮らす場で働くスタッフの業務の目的は、心身共に健やかな高齢期を送ってもらうことであり、誕生日の声掛けはもちろん、個別のさまざまな情報をもとに人と人をつないだり、相応しい場にお誘いしたり、機会の提供や紹介をしていったりするような働きかけは欠かせません>と。社会的なフレイルが、身体的や精神的なフレイルを引き起こすことは、介護の常識です。⇒

ネギっ子gen
2024/11/11 07:55

<「誕生日おめでとうございます」を禁じるようなところでは、例えば「同じ趣味の人がいたら紹介して」「こんな相談に乗ってくれる専門家が入居者の中にいたら教えて欲しい」「仲間のお見舞いに行きたいので入院した病院を教えて」といった要望があっても、すべて「個人情報です」と言って断ってしまうのでしょう。そうして交流が生まれず、関係が薄くなり、貧弱なコミュニティとなって、それがじわじわと心身の衰えへとつながっていきます>と。こういう施設あるね。入居者間トラブルを避けるために。結果、入居者の溜まったストレスの捌け口が――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【リカバリーとは、単に酒や薬をやめるだけではなく、新しい生きる意味や目的を獲得していくこと】精神科病院入退院、48回。刑務所、3年服役。アルコールと薬物の依存症である著者が、“支援”を受け自助グループと出会うことで見つけた新しい生き方について綴った書。2019年刊。<社会はまだまだ「依存症は本人の意志や人間性の問題だ」という偏見があり、そのことが治療や支援を必要とする人たちから、回復の機会を遠ざけてしまっている/偏見は、家族だけで依存症者のことを抱え込んで何とかしなくては!という悪循環>を生む、と――。⇒
ネギっ子gen
2024/11/10 09:37

【スティグマと数々の失敗経験が、生きることをさらに困難にさせた】<自分は駄目な人間、卑怯で人でなしだと思い込むようになりました。逆にいえば、そうやってスティグマを背負い込むことで、何かから目を背け続けた/精神科病院へ入退院を繰り返す中で、何回も何回も閉鎖病棟に入院させられ、保護室に隔離されたり、拘束帯でベッドに括りつけられた時も、命がけで抵抗したり反発したけど、心のどこかで「自分は『人でなし』やからこんな扱いを受けるんだ」「自分みたいな人間は保護室に閉じ込められ、ベッドに括りつけられ仕方ないんだ!」>と。

ネギっ子gen
2024/11/10 09:38

【絶対回復できへんと思っていたのに回復者として生きているなんて、自助グループの力は凄い】<素面でも色々なことにしんどさを感じるし、逃げたり弱虫な一面も見せますが、それこそが酒や薬を使っていない自分のそのままの姿だから、卑下したり隠すことなく、そのままの姿で生きていけたらと思います。そんな姿を知ってもらうことで依存症や依存症者に対しての偏った見方が変わると感じてきたので、周囲の偏見や決めつけだけじゃなく、自分のなかの内在化された偏見やスティグマを新たな自己理解へのプロセスと信じ>、自分自身を生きたいと――。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【昔わたしが拒食症だった時の心の傷と、いま金々と稼ぎまくっているばあさんのわたしが共存できるかしら。自殺するのは生き残るためなのね】妻は売れない映画監督。夫は国際的哲学者。実在する夫婦と有名評論家との三角関係を、その夫婦で小説に――。原書は1997年刊。<ディックを愛したことでイエスと聖人の差を理解した。「聖人はその行いで崇められる」と彼女はディックに書いた。「恩寵という状態を得るために苦行によって自己を作り上げた人が聖人だ。しかしキリストは女の子みたい。何もしなくていい。きれいなだけで愛される」>と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/10 09:30

【個人的な目標】クリスは、<未来はどんなことが起るかわからないということは別として、わたし自身をできるだけ明確に、できるだけ正直に表わすことなの。だからある意味で文章を書くことは愛することと同じなの。精密さと覚め切っていることが重要な、極めて高揚した状態を生きるということなの。これはほかのことでもそうだけど。こういう気持ちはからかわれたり拒絶されたりするリスクがあるわね。そしてわたしは今初めてそのリスクを“理解”したの、つまり失敗を受け入れる覚悟があるし、賭けたあとの結果は引き受けるということ>、と――

ネギっ子gen
2024/11/10 09:31

【クリス・クラウスって誰?】<「一人前じゃないのよね、シルヴェア・ロトリンガーの妻っていう、ただの付属品じゃない!」何本映画を作っても、何冊本を監修しても、シルヴェアと暮らしているかぎり付属品に見られてしまう。「おれのせいじゃないよッ!」とシルヴェアは大声でどなり返す。しかしいっしょに仕事をしても彼女の名前が一人前に扱われることはないし、そういうとき、金を出す人たちを怒らせまいとシルヴェアがどっちつかずの態度でだんまりを決め込むのをクリスは忘れていない。彼女は堕胎を何度かしたことも忘れていないし>、と――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【暗いところ見つめてばかりいると悪魔(ナイトメア)に心を食われるよ】《協会》は「赤い竜」の調査へ動き出す――。※「ナイトメア」の日本語表記は、わたしならば「夢魔」にしたいところだが……。トーリーから悲惨な「魔女狩り」の歴史を聞いたチセは、思わず「幻視」して危機一髪のところを、ルツに救われて「何でもかんでも“潜る”な!」と。トーリーは「当事者もいない、現地でもないっていうのに“幻視”するなんて……君もずいぶん敏感な子だなあ/君が視ている世界の階層と他人(ぼく)が視ている階層は少しずつ異なっている」と―― ⇒
ネギっ子gen
2024/11/10 09:21

【魔女狩り】トーリーは、「イングランドでは欧州ほど盛り上がらなかった。酷かったのはスコットランドなんだ/ジェームズ6世が魔女嫌いだったのさ。己が魔女に命を狙われていると終生信じたし法律も改定した。彼はイングランドの王にもなったから、この島でも魔術や魔法に関わる者は憎悪の的になった。そして時が過ぎ、土地に根差した者たちはそのまま消えてしまい、人を欺く力のあるやつは旅暮らしの浮草になっていったというわけ。市井の魔術師も危ない橋を渡るような暮らしをしていたそうだよ。僕らその頃に生まれなくてよかったよね」、と――

ネギっ子gen
2024/11/10 09:24

【相関図】今巻の「あとがき」でも、<登場人物がとても増えたので、読者さん向けの相関図を作るべきか考え中……>と。このことは、以前から作者は書き込んでいて、読者としてはずーっと期待して待っていました。なのに……。相関図を作るのにどのような支障があるのでしょうか?まさか「公式副読本」の売り上げに響くからなんてことはないですよね…。じゃあ、「相関図」を作ることで創作上での制約が出るのを危惧して、ということでしょうか。ならば、「相関図」じゃなくて「人物紹介」だけでイイ。外国の推理小説では、ずいぶん助かったので……

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【貧困や紛争などに苦しめられている彼らを、可哀想な子どもとしてのみ捉えてはなりません】2002年、スイスのバーゼルでの美智子皇后による、IBBY(国際児童図書評議会)創立50周年大会スピーチを日本語と英語で収録。カラー写真も。装丁は安野光雅。2012年刊。<多くの悲しみや苦しみを知り、これを生き延びて来た子どもたちが、彼らの明日の社会を、新たな叡智をもって導くことに希望をかけたい/どうか困難を乗り切っている彼ら一人一人の内にひそむ大きな可能性を信じ、この子どもたちを、皆さまの視野に置き続けてください>と。
ネギっ子gen
2024/11/09 10:18

【子どもが生まれ、育っていく日々、私は大きな喜びと共に、言い知れぬ不安を感じることがありました】3人の子どもを育て、心惹かれた詩を英訳しながら、<自分の腕の中の小さな生命(いのち)は、誰かから預けられた大切な宝のように思われ、私はその頃、子どもの生命に対する畏敬(おそれ)と、子どもの生命を預かる責任に対する恐れとを、同時に抱いていたのだと思います。子どもたちが生きていく世界が、どうか平和なものであってほしいと心の底から祈りながら、世界の不穏な出来事のいずれもが、身近なものに感じられてなりませんでした>と。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【真の天才とは、圧倒的なパワーによってジャンルの再定義を迫る存在のこと】芹沢が認めた“もう一人の天才”原田。妥協は一切せず“ラーメンの可能性を追求”した男と20数年の時を超え遭遇――。芹沢と原田を女性陣が比較。原田は、<見るからに危険な香りが漂ってて/自分が悪いと気づいたら素直に謝るところもスカッとしててポイント高い/一見コワモテだけど実は繊細で…危なっかしくて放っておけない感じ>。で、一方芹沢は、<理屈ぽくって小意地が悪くて、なまじ優秀だから隙もなくて可愛げがゼロなの。あと、たぶん変態っぽいし>って😥
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【昔と違って副作用は軽くなったと聞いて臨んだ抗がん治療は、地獄だった――】突然、膵臓がんと診断され、ステージは4b。最期まで書くことを手放さなかった作家の闘病記。<私の人生は充実したいい人生だった。58歳没はちょっと早いけど、短い生涯だったというわけではない。私の体力や生まれ持った能力のことを考えたら、ものすごくよくやったほうだと思う/だから今は安らかな気持ちだ……、余命を宣告されたら、そういう気持ちになるのかと思っていたが、それは違った/そんな簡単に割り切れるかボケ!と神様に言いたい気持ちがする>と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/09 10:06

【昨日に引き続き、吐き気が収まらず――】<悲壮な覚悟を心に持って食べ物を口に入れた。それでも元気なときの四分の一くらいしか食べられない。何も考えたくない。過去のことも未来のことにも目を向けず、昨日今日明日くらいのことしか考えなければだいぶ楽になれるのにと思いつつ、気が付くと過去の楽しかったことや、それを失う未来のことで頭の中がいっぱいになってくるしくなっている。今だけを見つめるという技は、宗教を極めた高僧のような人にしか出来ないことなのかもしれないと思う。あとすごい職人さんとかは無意識にできそう>、と――

ネギっ子gen
2024/11/09 10:07

【日記を書く意味は――】<余命4か月でもう出来る治療もないという救いのないテキストを誰も読みたくないのではないだろうか。これ、『120日後に死ぬフミオ』のタイトルで、ツイッターやブログにリアルタイムで更新したりするほうがバズったのではないか。でもそれは望んでいることからはずいぶん遠い。そんなことだから作家としてイマイチなのかもしれない。だったら何も書き残したりせず、潔くこの世を去ればいいのに、ノートにボールペンでちまちま書いてしまうあたりが何というか承認欲求を捨てきれない小物感がある>と自虐的に記して……

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【私は狂気ではない。年をとっただけだ/私の願いは、眠ること、放っておいてもらうことだけ】『独り居の日記』作者が、51歳の時に書いた老人ホームの物語(原書は1973年刊)。<私がこうして文章を連ねるのは、強いて頭の中をはっきりさせ、自分のありかたを知るため。今では私にとっての現実とは、私の内部に確かめられることのほかなくなった。記憶力もすでにおぼつかない。正気を保つためには、手中にあるどんな情報のかけらもだいじにしなくては、と思う。日記をつけることを決めたのも、まさにそのためだ>。書いてさえいれば、と――⇒
ネギっ子gen
2024/11/08 09:03

【私の怒りは、私が老齢であるばかりに、弱気とか耄碌の徴とみなされる】怒りっぽかった祖父のことを思い出しながら――。<これは残酷なことではないか?老人は、正当な怒りさえ奪われなくてはならないのだろうか。怒りっぽささえも「症候」として扱われなくてはならないのか?ああ、またいつもの癖――たったいま、祖父が年を“とったとき”、乱暴になったことで彼を責めたばかりなのに。祖父は昔は乱暴でなかったのだろうか?もちろん私にはわからない。私が知っていたのは70歳を過ぎてからの祖父だから>。その祖父はずっとそうだったはず……

ネギっ子gen
2024/11/08 09:05

【「表現」はなんて心を解放することだろう】<老齢についての異議申し立てを2ページも書きつけることに成功しただけで、私はとても生き生きとし、自分をとりもどしたように感じる。ここで私たちはいろいろなことを剥奪されているが、とりわけ“表現”を奪われている。老人は、どう感じているか、なぜなのかを問うてくれる人がいないために、萎縮してゆく。もしも誰かそう訊く人があれば、話すことができただろうか? 私はなぜ試みなかったのだろう。/私たちに共通のものはなにもない。なぜ、それがあるようなふりをする必要がある?>と。そう!

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【私は 2千年前に遡って この聖い人達の中を さまよって 時を超えた 不思議な旅をしていた】彫刻家・舟越保武のデッサンと、聖書からの引用で構成された、キリスト誕生の物語。1986年刊。<「マリアの賛歌」わたしの魂は主をあがめ、 わたしの心は 救い主である神をたたえて 喜び、踊ります。 主が、 召使いであるわたしの まずしさに 目をとめてくださったのですから。/主はその腕の力で 心のおごった人を追い散らし、 権力についた者を そこから引きおろし、 身分の低い者を引きあげ、飢えた者を 良いもので満たし>と――
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【何が起きるかわからない世の中で、今の自分にできることを】仕事や人生に行き詰まりを感じる5人が訪れた、町の小さな図書室。不愛想だけど聴き上手な司書さんが「何をお探し?」と訊きながら、意外な選書と可愛い付録で――。「ハニードーム」という呉宮堂のソフトクッキーがつなぐ5つの連作短編。70歳の作家は、「人生なんて、いつも大狂いよ。どんな境遇にいたって、思い通りにはいかないわよ。でも逆に、思いつきもしない嬉しいサプライズが待っていたりするでしょう。結果的に、希望通りじゃなくて良かった、セーフ!ってこと」も、と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/07 21:21

……プロフィール画像のように、2人だけの世界を構築するなら、それはそれで…ってより、お羨ましいことですね………って話じゃないですね、たぶん。うん。えー……、その引退後が結構経過してしまったわたしども夫婦で言えば、子どもも巣立って、お互い修繕が効果薄の身体になってきているので、「こんなこと頼める(やってもらえる)のは妻(夫)しかいない」と共に言い合う共依存関係に――

きみどり
2024/11/07 21:35

なるほど参考になります…でも元気なうちは遊び相手は外で工面してもらいたいものです(なおプロフ画像は推しの俳優です念の為🤣)

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【先入観に囚われたブッダ理解を、批判的に検証】初期仏典を丹念に読み解くことで、その先駆性を導き出す“尖がった”ブッダ論。巻末の、詳細な参考文献紹介(研究背景含む)が、本書の白眉です。遥か昔に、史的イエス関連本を読み漁ったことを想起。題名に触発され田川先生の本を再読したいなぁ、って思う。<「仏典から神話的装飾を取り除いて歴史を抽出する」という研究手法の限界について私見を提示し、2500年前に生きたブッダという男の先駆性を、バラモン教やジャイナ教と比較することで、歴史的文脈のなかに位置づけようと試みた>と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/07 12:48

【ブッダという男は、輪廻を当然の前提として受け入れており、世の貧困や差別や理不尽な死の原因はカルマにあると、説いたのだと】<教祖を“理性的現代人”として復元した点で、近現代の仏教研究との奇妙な一致を指摘できるだろう。そもそもブッダやイエスが生きた時代に、現代的な意味での平等主義やフェミニズムといった価値観は存在しなかった。そのような価値観の先駆者としてブッダやイエスを位置づけようとする試みは、現代人にとって魅力的ではるが、それは歴史問題ではなく、むしろ解釈学の領域にあることを自覚する必要があるだろう>と。

ネギっ子gen
2024/11/07 12:49

【「歴史的ブッダ」から「神話的ブッダ」へ:人々から信じられてきたブッダの姿こそが、人類に大きな影響を与えて来たという点で、史的ブッダよりも重要】<今を生きる我々が、伝統的解釈を否定して、初期仏典から「歴史的ブッダ」と名づけられた「神話的ブッダ」を新たに構想することは、決して無意味な営為ではない。インドでカースト制度の撤廃に尽力したアンベードカルは、差別撤廃の思想的根拠をブッダの教えに求めた。アンベードカルの仏教理解は、必ずしも公平で客観的なものではなかった>が、確実に現実世界を動かす原動力になった、と――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【共にある未来のために、共に生き続けるために、あなたは決して一人ではないのだと言うために】当事者たちのリアルなエッセイ、抵抗のための言説、映画ガイド・ブックガイドなどを掲載。2022年ZINEとして発行されたものの増補版。<本書を読んでトランスの人々や今起きている事柄を「理解」したように思わないでほしい。ここにいる人々は誰も、何かの代表ではない。言葉が一定以上得意な人ばかりが集まった本書の外に、多くのまた各々異なる人々が存在すること、言葉にならない言葉が常に存在することを、決して忘れないでほしい」>と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/06 06:53

【「トランス女性に女風呂の利用を許してしまったら、女装して女風呂に入ってくる性犯罪者と区別がつかないから、《女性》スペースを守れ」という主張に抗して】<想定されている《女性》とはシス女性のみで、その時点でまずトランス女性を女性カテゴリーから排除する差別言説である。また、先の主張は「トランス女性が性別適合手術なしで公衆浴場を使わせろと要求している」という社会的影響力をほとんど持っていない主張を前提としている。そして「トランス女性と性犯罪者の見分けはつくか」>と、意図的にトランス女性と性犯罪者を混同させると。

ネギっ子gen
2024/11/06 06:56

【共通性と多様性は表裏一体。私と同じような人はいるかもしれないけど、私は私】堀田紀何:<性別違和。トランスジェンダー。性分化疾患。すべて「身に覚え」がる。複雑に絡み合っている。/聖職者になるための召命を願っていた時期がある。修道女になりたかったが、カトリックの教義上、出生時の性別が女性でないと無理である。性自認からして、私には、教区や男子修道会という男だけの社会に入る選択肢はなかった。私をこのような肉体と心に造った神様なら、私が神様に奉仕する仕事に就きたいのは解っていらっしゃるはずだが>、なぜ神様は……

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【わたしたちは、巻き込まれただけ――】15年前、空気がきれいなだけの田舎町で女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた4人の女の子は犯人の顔が思い出せず、事件は迷宮入りに――。5人の女性が手紙やスピーチなど様々な手法を用いて、自らの「贖罪」を独白体で語る。単行本は2009年刊。巻末に黒沢清監督インタビュー。殺された女児の母・麻子は4人を脅す。<わたしはあんたたちを絶対に許さない。時効までに犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できるような償いをしなさい>と。5人目の語り手は、麻子でした――
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【私にとって天国とは到着するべき目的地ではなく、 方角を知るための北極星のようなものだ】 “マンスプレイニング”を世に広めた新時代のフェミニズムを代表する作家による、立ちはだかるものや敵意についての本であり、自分の存在を回復し、それを書くことで私たちを解き放つ物語。直訳の原題は『私の非存在の回想』。<19歳のシルヴィア・プラスは悲嘆に暮れていた。「私はみんなと話がしたいのです。私ができるいちばん深い話を。空の下で眠りについてみたいのです。西部に旅に行きたいのです。夜、気ままに歩いてみたいのです」>と――⇒
kamakama
2024/11/06 09:01

ネギっ子genさま、私は2年前に読んでいますが理性的にしっかり読みこめませんでした。どこかでこんな思いをしたり同じような場面を見たよなという既視感と、その時に感じた怒りやモヤモヤした気持ちがわき上がってきて、けっこういい加減に読み飛ばしてしまった覚えがあります。訳文もちょっと読みづらかったです。もう一度読んだらどう感じるかな。向き合ってみなきゃと思ってます。

ネギっ子gen
2024/11/06 11:44

kamakamaさん、コメントありがとうございます。発売早々にお読みになっていらっしゃるんですねぇ~。わたしのほうは、『説教したがる――』で、著者のことを知って本書が3冊目。現在4冊目を読んでいます。わたしの感想は、アメリカ女性の立ち位置は、未だにこうなのか……と暗澹たる思いに襲われました。そして、こういうことがある現状だからこそ、かつてヒラリーは“ガラスの天井”を破れず、今もハリスも苦戦するなど、アメリカにおけるミソジニーの根深さを、改めて思い知らされる読書に――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【こんな問いに正しい答えが本当にあるのなら】「分解する」「オーランド夫人の恐れ」「年寄り女の着るもの」などを収めたデビュー作品集。解説は訳者。原書は1986年に、訳書は2016年に刊行。こういうの好きだ。「私に関するいくつかの好ましくない点」:<そもそもの最初から私には好きになれない点がいくつかあった、そう彼は言った。意地悪な言い方ではなかった。彼は意地悪をするような人ではなかった、すくなくとも意図的には。彼がそれを言ったのは、私への態度をそんなに急に変えた理由を説明してほしいと私が彼に言ったからだ>。⇒
ネギっ子gen
2024/11/04 13:12

「手紙」<女がそのことを持ち出すと、隣に寝ている恋人が、それはいつ終わったのかと訊ねる。1年ほど前に終わった、それ以上は何も言えない、と女は答える。恋人はしばらく続きを待った後、それはどんな風に終わったのか、と訊ねる。最悪の終わり方だった、と女は言う。彼は慎重に言う、自分はそれについて知りたい、君に関することは何もかも知りたいと思っている、だがもし君が話したくないのなら話さなくていい。女はほんの少し彼から顔を背け、閉じた瞼にスタンドの光が当たる。最初はその話を彼にしたいと思っていたが、やはり無理だ>と……

ネギっ子gen
2024/11/04 13:13

「問題」<XはYと暮らしているが、Zの金で生活している。YはWの生活費を出しているが、WはVとのあいだにできた子供と暮らしている。Vはシカゴに引っ越したいが、子供が母親のWとニューヨークにいるので引っ越せない。WはUと付き合っていうが、Uの子供が母親のTとニューヨークで暮らしているので引っ越せない。TはUから金をもらい、WはYから慰謝料を、Vからは子供の養育費をもらい。XはZから金をもらっている。XとYの間に子供はいない。Vは自分の子供とめったに会わないが養育費を払い>、と。これぞ、米国の現状ですかね……

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【身近すぎるものほど、有難みを感じない】インスタントラーメンを店に出そうというアイディアを、<家で簡単に作れるものを、わざわざ食いに行くもの好きはそう多くないだろう/割高感も強い。仮に100円のインスタントラーメンに、チャーシューなどの具を乗せて400円で出されても、納得できない客は多いだろう>と却下する芹沢に対し、学生ユーチューバー・和文は最新の進化したインスタント袋麵の試食を提案。その美味しさに、「俺の知るインスタントラーメンとは別物だ」と驚く芹沢だが、和文はさらにご当地袋麺探究のため大阪行きを――⇒
ネギっ子gen
2024/11/04 13:40

【スミマセン…間違えた……】8巻の内容に対するレビューを、この9巻でやってしまった😱 ということで、アップし直しました。もうすでに読んでくださった方、誤解を招く書き込みしてしまったことを、海より高く山より深くお詫び申し上げますです。

ネギっ子gen
2024/11/04 13:43

【ご当地カップ麺が、あまりない理由】<カップ麺を製造するには、大掛かりな工場整備が必要で大変/その点、袋麺はうどんが作れる製麺所なら作れるんで参入しやすい>。【老害】和文が、横暴な困った老人への対処法として、「僕がヘタレなせいもありますけど、できるだけ我慢しますね。モメても大抵の場合、事態を悪化させるだけですから…」と笑顔で語ると、芹沢は「ふ~ん…俺の若い頃は、気に入らないやつがいたら、後先考えずにモメたものだな。そういう賢明で穏当な姿勢は今どきの若いもんの美点でもあるが、覇気のなさにも」と、得意顔で――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【過去に何があったかは関係ない。肝心なのは、これから何を為し、どんな自分となるかだ】ひったくりの現場を目撃した大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに犯人を追うが、間一髪で取り逃がす――。母子家庭のヤングケアラーっぽい錬は、一見“陽”キャラのように見えるが――。スリリングな展開。感動作! 因みに昔、映画化もされた『金環蝕』(石川達三)というのがあったっけ……。<中心は暗闇に沈んで何も見えないのに、その輪郭だけが強烈なかがやきを放つ。今、自分たちが相手にしようとしているのはそういう存在だ>と。⇒
ネギっ子gen
2024/11/04 07:56

【人間は、たやすく心が翻り、いくつもの顔を持つ】高校生ランキングでベスト5くらいの札幌洗濯物を畳むのが凄く巧い、意固地で面倒くさく、帰宅部道を極めることを使命とする、北原家の小姑であり鬼軍曹である、手品と変装が上手なイケメン鉄仮面高校生・錬は、クールに言い放つ。<人間の顔って、ひとつじゃないですよ。家に帰ったらいい父親のヤクザもいるかもしれないし、友達思いの殺人鬼だっているかもしれない。人間って置かれた状況でいくらでも変わるんだと思います。優しくなったり、怒りっぽくなったり、ものすごく残酷になったり>と。

ネギっ子gen
2024/11/04 08:13

【大人は苦労している若者が好きだ】サブキャラとして登場する北大生・理緒は、バイト先の居酒屋で酔客の戯言を受け流しながら、考える。<父親がいない。母親が昼と夜のダブルワークで必死に働いている。それでも生活は苦しく、家族のために学校に通いながらアルバイトをしている。そんな不幸なストーリーを聞くと胸がいっぱいになったように、偉い、がんばれと声をかけてくれる。そのまなざしはとてもやさしい。でも彼らは、励ますことはしても、実際に手を伸ばして何かしてくれることはないのだ。たぶん、世の中は、そういうものなのだ>と――。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【学校では「コロンブスがアメリカ大陸を発見した」(大いに問題のある言い方だが…)と習うのに、「発見者」に因んでコロンブスではなく、アメリカと呼ばれるのはなぜか?】初代のスペイン主席航海士の、謎に満ちた実像に迫る書。2012年刊。巻末に、年譜・参考文献・索引。<アメリゴ=ヴェスプッチに関する本が日本ではほとんど出ていない/非難されてきたように、アメリゴはコロン(コロンブス)から「発見者」の名誉を奪おうとしたのか。したとすれば、その目的は何だったのか。そもそも誰が、いつ、なぜ「アメリカ」と命名したのか>と。⇒
yumiha
2024/11/03 15:52

アメリゴ・ヴェスプッチの名前は、児童書『私立探検家学園1』(斎藤倫)で知りました。主人公松田コロンがおじいちゃんから「〈新しい大陸〉だと宣言したのは、アメリゴ・ヴェスプッチが最初だった。だからアメリカという名前になったんだよ」と教えてもらうのですが、ネギっ子genさんのレビュー【アメリゴはコロン(コロンブス)から「発見者」の名誉を奪おうとした】では全く逆ですよね?よくわからないので、ご紹介の書を探して読んでみたいです。

ネギっ子gen
2024/11/03 16:11

yumihaさん、清水書院の紹介文では、<コロンブスはアメリカ大陸がアジアだと死ぬまで信じていた。その陸地の性質をめぐり,一六世紀に出版されたアメリゴ=ヴェスプッチの『新世界』と『四度の航海』が一石を投じる。彼にちなんで新大陸をアメリカと命名した者まで現れた。しかしアメリゴの死後,発見者の名誉をコロンブスから奪おうとしたと非難される。一八世紀に彼の私的な書簡が発見されると,先の二著がアメリゴの作なのか論争が起こった。誰が何の目的で『新世界』を書いたのか>と。わたしは興味深く読みました。宜しければ一読を――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【みんな弱くなりたいと思っている。弱さを利用しようとしている】チワワのピンバッジが付けられるチワワテロの直後に、恋人が失踪した。琴美は、「嫌いになってしまいたい。もしもう会えないなら、嫌わないと、忘れられそうにない」からと、親友ミアと一緒に彼を捜すことに――。<「琴美は、可愛いね」/ミアは、嫌な部分や汚い部分ぜんぶひっくるめて、私のことを肯定してくれる。可愛いと言ってくれる。ミアの胸の中に自分を預けてしまうのは楽だった。「琴美は特別だから、琴美だけはいつまでも、弱くて可愛いままでいてね」>。共依存か……⇒
ネギっ子gen
2024/11/03 14:36

【琴美とミアの関係】<ミアといないと生活の一部が抜け落ちたような、そんな感覚に襲われる/けれど、今は違う。ミアの言葉は居心地が良すぎるのだ、とはっきりわかる。だから私は、距離を置いておきたかったんだ。ミアといると、溶けてしまう。ミアに弱さも何もかもを肯定されて、何も考えずに済むから。今、はっきりと輪郭を持った。私はそのことが、ミアに何か大事なものを委ねてしまうのが、本当は嫌だったんだ。――琴美だけはいつまでも、弱くて可愛いままでいてね。心の支えにしていたはずのその言葉が、ひどく脆く、揺らいでいる>、と……

ネギっ子gen
2024/11/03 14:38

【チワワというのは象徴的です】社会学者は、チワワテロに端を発する一連のムーブメントについて、「現代人は弱くなりたいという願望がある/弱いということは、脅威ではないということ/炎上や告発などが身近な現代社会では、力を持っているというだけで、つまり、強い存在であるというだけでより可燃性のリスクが高まる/本音を言えば自分が何より大事ではないですか?誰だって、批判されたくありませんよね。炎上したくありませんよね。そうした感情は、なにも表舞台に立つ人間だけのものでなく、広く共有されているものではないでしょうか」と。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【結局、女性アイドルって、女の若さを利用した戦略ビジネスじゃないですかぁ】5年ぶりの続刊というのに、どこにも作者の言葉は無いのか……。だが、それは置いておき、このような内容の漫画を『りぼん』に掲載し続ける集英社編集部の見識を、わたしは高く評価したい。今巻の堀内光の言動に、“性的なこと”で学友たちに揶揄われ続けた『カラ兄』のアリョーシャを見た。白眉は、光が魂の叫びを発する場面。「俺は『男』なんかじゃない。俺は俺になりたいんだよ。…全部“俺たち”がやらせてることだ。だったらやめられるのも俺たちだけだ」と――⇒
ネギっ子gen
2024/11/03 09:21

【お前は、アイドルの女の子が体を撮られるとき、どうして笑ってるか分かってるはずだ】セクハラ体質全開の柔道部先輩に対し光は、「…必死だからだよ。自分の生きている世界で認められたくて、必死で正解を探すけど誰も教えてくれなくて、不安で、目の前の自分に価値を与えてくれる人間にしがみつきたくなる。…なのに、その人間は、それがまるでその子の意志かのように受け入れるんだ。…その後ろめたさを隠すため、彼女の汚さを指摘する女の子たちを悪者に/…いい加減認めろよ、お前のやるべきなのは/汚いのは自分だって向き合うこと」だと――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【これが欲しいあれはいらないあってもいいなくてもいい、利己的な選別を繰り返す煩悩のような私を安奈が抱き返す】中学の頃から二人で一つだったのに…不器用で“計算ができない”安奈が恋をしていると――。文体に惚れた!<好き嫌いではなく、愛憎でもなく、庇護欲でも独占欲でも執着心でもない、依存とも支配ともつかない、そもそもそのような言葉で感情を固定化されること自体本意ではないのに、同時に言葉を持たない感情は弱い気がして、ふたりの関係性を強固なものだと信じながら、外からつつかれればあっけなく壊れてしまう脆弱性をも>。⇒
ネギっ子gen
2024/11/02 10:16

【好きな記述①】<家出の計画を立てた時も、早々にあきらめた夢を語り合った時も、自分の首に両手をまわし喉を圧迫する、明確な理由なく生を厭う瞬間、私はいつも笑みを湛えていた。身体全体で笑っていた。笑っている時の私を、私は信用していない。だって酔っているから。笑っている自分自身に、あるいはその雰囲気に。のまれているから。語られることは臆病ではなく大胆、軽率で誠実でない、不謹慎で深刻さを欠いている。笑いながらのけぞったり、笑いながら前のめりになるたび、瞼の縁が涙で湿る。視界が曇る>と。こういうのって、すごくイイ。

ネギっ子gen
2024/11/02 10:18

【好きな記述②】<預けた場所すらどこかわからない、思い出せない、私は永遠にその箱を開けないだろう。一人暮らしで外出のままならない祖母が早く死にたいと口にする、精神疾患で施設にいる姉が面会の際、今がいちばん生きてて楽しいと喜色満面でおやつを貪る、ふとした瞬間漠然とした恐怖に苛まれ死ぬのが怖いと私の身体を抱き寄せる母親の、おそらくはまだ遠い、あるいは明日かもしれない、混沌としている私の、結末は同じだ。どうあがいても、笑っても悲しんでも怯えてもそうでなくても長い短い差はあれど、行きつく先は>と。うん、うん。ね。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【樟は、稲作を守護する木として畏敬の対象になり続けた】天才花人・川瀬敏郎が木のこころを語り、異能の国文学者・光田和伸がその歴史を語る、とんぼの本。全国12カ所の「御神木」と各地の寺社。高野山・金剛峯寺の槇、鞍馬・貴船神社の桂など――。2010年刊。<「白膠木(ぬるで)」黄泉道へ旅立つ死者の傍らに添える杖が白膠木である。戦陣の軍配を作る木であり、密教で祈りの護摩木につくり、また女たちのお歯黒のもとを作る木であった。我々の死と生にこれほど深く関わった木が、今は一顧もされないで、路傍に立ち尽くしている>と――⇒
ネギっ子gen
2024/11/02 10:10

【榊は、日本書紀に天香山の木として登場し、天鈿女命が天岩戸の前で榊を手に踊ったと記されるなど、神木としての歴史は古い】<枝がよく伸びてしかもしなやかであること、ことさらな臭いのないことなどが尊ばれたのであろう。その材をときに建築や細工物に使うことはあるが、榊はもと、人々の生活になくてはならないような木ではなかったと思われる。それは「無用の木」であった。無用に見えるものにこそ、実はすべてを束ね、統べる霊能の存在することを見いだす。それもまた、この列島に暮らす人々が、長い歴史のうちに見出した知恵であった>と。

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【歴史は、より多角的に捉える必要がある】ベガパンクは放送で、<「過去から声が聞こえて来る」と誰かが言った…/歴史は“勝者”たちが語り継ぐもの…海底に深く沈んだ敗者達の声は極めて小さい…。――だが、多くの犠牲の上に見出す事ができた「真実」を>と――。巻頭の詳細な登場人物紹介が実に有難い。ただ、コビー大佐は載っていない?!と残念に思っていたら、66頁のSBSにてSWORDメンバーの簡単なプロフィール紹介が。こういうところが嬉しい🤩 その他、今回は懐かしいキャラがたくさん登場!冥王・レイリーは酔いどれ姿で……
が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【つながりとしての橋。橋としての機能を果たさず、橋をかける意志を失った時、人は孤立し、平和を失う】「子供の本を通しての平和」がテーマのIBBY世界大会にて、ビデオでなされた美智子皇后の講演録。英語版も収録。巻末に、IBBY(国際児童図書評議会)会長の「皇后様とIBBYの人たち」と題された文章、注。装丁は安野光雅。1998年刊。<読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても。国と国との関係においても>。⇒
ネギっ子gen
2024/11/01 08:27

【本の中で悲しみを知ることは、人生に厚みを加え、他者への思いを深める。喜びに触れることは、読む者に生きる喜びを与え、希望を取り戻し、再び飛翔する翼を整えさせる】<自分とは比較にならぬ多くの苦しみ、悲しみを経ている子供達の存在を思いますと、私は、自分の恵まれ、保護されていた子供時代に、なお悲しみはあったと言うことを控えるべきかもしれません。しかしどのような生にも悲しみはあり、一人一人の子供の涙には、それなりの重さがあります。私が、自分の小さな悲しみの中で、本の中に喜びを見出せたことは恩恵でした>と。ええ……

ネギっ子gen
2024/11/01 08:30

【講演最後のお言葉】<どうかこれからも、これまでと同じく、本が子供の大切な友となり、助けとなることを信じ、子供達と本とを結ぶIBBYの大切な仕事をお続け下さい。子供達が、自分の中に、しっかりとした根を持つために/子供達が、喜びと創造の強い翼を持つために/子供達が、痛みを伴う愛を知るために/そして、子供達が人生の複雑さに耐え、それぞれに与えられた人生を受け入れて生き、やがて一人一人、私共全てのふるさとであるこの地球で、平和の道具となっていくために>と――

が「ナイス!」と言っています。
ネギっ子gen
【むかし、って何だろう?】池澤版「日本文学全集」の文庫化。「鼻がムチャクチャ長いお坊さん」など、心の動きと響きを見事に捉えた、可笑しくも切なく“昔の人の笑い声が耳元に聞こえてくるような”名訳33篇を収録。「文庫版あとがき」末尾で、<今のことも昔のことも皆目わからない。そんな気持ちで翻訳したのにもかかわらず文庫に収めていただけたことは本当に嬉しくありがたく、感謝の気持ちでいっぱいである。ありがとうございます。すんません。こんな訳で>と。最後の“訳”は、“やく”と“わけ”を掛けてるんでしょうなぁ~、お見事!⇒
ネギっ子gen
2024/11/01 08:18

【奇怪な鬼に瘤を除去される】<気が付けば暁方であった。夢のような出来事だった。もしかしてマジで夢?そう思ったお爺さんは右の頬に手を当てた。そこに瘤はなく、拭い去ったようにツルツルであった。このことを誰よりも早く妻に知らせたい、と思ったお爺さんは/お爺さんの顔を見て驚愕した妻は、いったい何があったのです?と問い糺した。お爺さんは自分が体験した不思議な出来事の一部始終を話した。妻はこれを聞いて、「驚くべきことですね」とだけ言った。私はあなたの瘤をこそ愛していました。と言いたい気持ちを押しとどめて>。ええ話や!

ネギっ子gen
2024/11/01 08:20

【伴大納言のこと】<ある日、伴善男は、自分が西大寺と東大寺をまたいで立っている夢を見た。西大寺と東大寺は6キロかそれくらい離れており、これをまたいで立つということは、身長が1万5000メートルくらいある巨人ということで、それくらい身長があるので、夢の中で伴善男は日本地図そのままに日本を見て、さらに日本海を隔ててユーラシア大陸までをも見た。そのあまりのスケール感に驚愕した伴善男は自分の女に夢の内容を話した。なぜなら女は教養はない田舎の女ではあったが、夢判断のようなことができたからである>と。いみじきことだ。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/08/16(1937日経過)
記録初日
2019/08/16(1937日経過)
読んだ本
3074冊(1日平均1.59冊)
読んだページ
666656ページ(1日平均344ページ)
感想・レビュー
3074件(投稿率100.0%)
本棚
245棚
性別
年齢
72歳
血液型
AB型
職業
その他
現住所
静岡県
URL/ブログ
https://note.com/genok/
自己紹介

ご訪問していただき
深く感謝しております。🙏

読友さんたちのレビューなどを読むことで、
多くの良き本に出逢え、有り難く思っています。

【お気に入りについて】
悠々自適のシニアライフになる筈が、根が貧乏症なためか、
相変わらずの忙しない日々で、やれやれです。
で、直近の課題は、古典の精読。
その時間確保で頭を悩ませているのが「お気に入り」への対処。
「承認欲求」と「数字の魔術」に未だ囚われていますので、
「お気に入り登録」して頂けると正直嬉しく、こちらもお返し登録したい。が、(当方のキャパ以上に)「お気に入り」の方が増えたことで、
レビューを読むことに時間がかかりすぎる現状が、悩みの種に。
そこで、当方が「お気に入り」登録する方は、
共読本が多くて、交流のある方のみとします。
交流の基準は、ナイスで判断するしかないと考えているので、
共読本以外の本のレビューを読んでいる(判断はナイス)方とします。
ただ、あくまでこれも原則です。
どうしても例外事例が出てくるのが困るところで……
何卒、ご理解を。m(__)m

【引用について】
気に入った文章を脳裏に刻むため、
引用多いです。
そして、その引用は、
コメント欄まで侵略し、
もう、ね……
引用文は、< >内に。
略す場合は、/ を使用。
極力、原文そのままを目指すが、
255字内に、収めきれないため、
ひらがなを漢字に変換する
などの小細工をしてしまう。
その度、無念の思いを――

【語尾が曖昧です】
過度に自信のないタイプです。
それが文章にでるのでしょうね……
末尾が「……」となるのが多いです。
どうか、お目こぼしを――


これからも、本や読み人との、
素敵なご縁を願って――
      ネギっ子gen 拝    





※2023.11.8 改定

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