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2024年3月の読書メーターまとめ

へくとぱすかる
読んだ本
20
読んだページ
5064ページ
感想・レビュー
20
ナイス
1446ナイス

2024年3月に読んだ本
20

2024年3月のお気に入り登録
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2024年3月のお気に入られ登録
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2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

へくとぱすかる
ひさしぶりに続編にめぐり会う。今回のテーマは夏目漱石の初版。フラッシュバックによって時代が引き戻される展開で、物語の進行は少しも飽きない。あっという間に読み終わった感覚。「鎌倉文庫」という一時的な存在が、実際にあったというのには驚き。巧みにフィクションと交錯させているので、どこまでが事実なの? と興味深くページをめくった。さすがはミステリ。きちんと謎を解き明かしてくれる。毎度ながら智恵子母の登場にはハラハラさせられた。扉子ちゃんは大丈夫か、とか。立派に父親の風格になったから、もう「大輔くん」じゃないね。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

へくとぱすかる

まあここらでお茶でも(笑)

まあここらでお茶でも(笑)
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2024年3月の感想・レビュー一覧
20

へくとぱすかる
初期の地球で誕生した、細胞もない時代の生命が、今もヒトの細胞に生きている。そこからはるかな時をへて進化した……という意味ではなく、ゲノムの中に折りこまれているということらしい。いろんな動物・植物などマクロな大きさの生き物も、みんな古代生命が複合化されそこから進化して現在に生きている、というのは、ちょっとショックを感じる生命観ではある。ミトコンドリアは細胞内の小器官であるが、これも元は独立した生物、のみならず今でもそうなのだと。そう言われてみると共生を主軸にした生物の進化・形成過程の説が腑に落ちる。驚きだ。
へくとぱすかる
2024/03/31 22:41

老化やガンに関わる話、ヒトの出現に至る歴史など、興味深く大きな話もあるのですが、何よりもゲノムや古代(原初の)生命が生物になっていく過程についての話が強く印象に残ります。そのような化石に残っていない過程が、現在の生物を研究して得られるというのは、まさに私たちも含めて生物が40億年の歴史を経てきたからこそ。

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へくとぱすかる
最初は散発的な物語の積み重ねであったのが、どこかでつながりを持つようになり、いつのまにか全体をつなぐ大きな枠の謎解きと化していく。キリヤと光莉の事件簿が、いつしかキリヤ自身の事件となって、光莉をも包み込む。さすがに歴史的暗号では限界があるのか、現代的暗号も登場する。しかしミステリとしての見事さはそこではない。全体をふりかえってみて初めてわかる仕掛けこそ醍醐味。いざという時に大暴れの印象がある光莉だが、物語の進行にしたがって、キリヤとの距離が縮まっていくのが微笑ましい。ここで完結するよりも続編を期待したい。
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へくとぱすかる
21世紀に暗号小説は難しい。乱歩の時代ならホームズ的謎解きも成立したかもしれないが、戦争が暗号を強化し、さらにコンピュータが暗号を趣味的世界から遥かな遠くに追いやってしまった。しかし本作は、そんな時代でも立派に暗号ミステリが成り立つことを示してくれた。小説として、複雑さよりもひねりや視点の転換が重要になるが、見事に読ませてくれる。学生の九條キリヤが「暗号解読士」として新米刑事の七瀬光莉に協力して事件を解決していくのだが、彼が何のために関わっているのか、その理由が切ない。光莉がコミカルな役割なのが良い。
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へくとぱすかる
終戦2か月前の世界へのタイムスリップ。果たして百合は生きていけるのか? 実際こんなことがあったら、まず不可能だろう。それほど戦時中と令和の世はちがうのだ。早晩、警官とのトラブルのように命の危機にさらされるだろう。大学生だった彰との出会いは幸運だったとしか言いようがない。彼とて生きたかったはず。それでも戦争という存在は、否応なしに死を強いるのだ。その悲しさに、読むのが苦しいほどだったが、このような形の物語であったからこそ、戦争の悲惨・不条理を強く訴えることができたのだと思う。何より悲しい恋が身に染みる。
へくとぱすかる
2024/03/29 23:27

時間SFの傑作として名高い『マイナス・ゼロ』にも戦争が描かれるが、本作のように銃後や戦場が描かれるわけではない。本当に戦争の時代に、本作の彰とほぼ同世代だった広瀬正には、時代を知り過ぎていたために、こういう作品はかえって書けなかったのではと思われる。このような作品を読むと、たとえ時代が変わっても、二度と戦争が起こらないことを訴えかける方法は、つねにあるのだと思う。泣ける作品だがよく考えられていると感じる。

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へくとぱすかる
外交官だってオカルトに興味を持つのだ。というより元々好きで、職業上外国での滞在時に行けるものなら行ってみようと、旅してみた集大成のようだ。基本的に紀行書なので、謎解きの要素はASIOSの一員としての本の方が詳しい。そう、実はそっちの方ですでに知っていた人でした。世界的に平和な国ばかりではないので、動乱の中で人命確保に奔走した話もある。オカルト話は通説とはちがって、かなり「盛って」伝えられている場合が多いので、どの程度盛られているかを確かめられる意味でもおもしろい。バルバドスの例の話も伝言ゲームのようだ。
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へくとぱすかる
ひさしぶりに続編にめぐり会う。今回のテーマは夏目漱石の初版。フラッシュバックによって時代が引き戻される展開で、物語の進行は少しも飽きない。あっという間に読み終わった感覚。「鎌倉文庫」という一時的な存在が、実際にあったというのには驚き。巧みにフィクションと交錯させているので、どこまでが事実なの? と興味深くページをめくった。さすがはミステリ。きちんと謎を解き明かしてくれる。毎度ながら智恵子母の登場にはハラハラさせられた。扉子ちゃんは大丈夫か、とか。立派に父親の風格になったから、もう「大輔くん」じゃないね。
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へくとぱすかる
コーラといえば2大メーカーの名前が浮かぶ。しかしコーラ小林さんは、自分の立ち上げたクラフトコーラを第3の存在にしようと、鋭意努力中らしい。サッカークラブの子どもたちが文化祭でクラフトコーラを売り出そうと、イチから作ってみようと調査・研究するストーリー。日本にこれだけ多くのクラフトコーラがあるとは驚きだが、ここに写真のないものをひとつだけ知っている(なにしろ空瓶を記念に残してあるので)。あの色にもかかわらず、バニラやかんきつ果汁が入っていたり、薄めて飲むタイプが多いなど、コーラもなかなか不思議で意外だ。
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へくとぱすかる
驚くべき詩集。知らなかったことが恥ずかしい。解説にカンディンスキーの名が出てきたが、読んでいるときの感覚は、言葉で描いたキリコの絵のようだった。書かれてからほぼ90年の歳月が経つのに、この新しさは何だ! 昭和戦前のモダニズム詩を、かつて熱中して読んだことがあったが、すべて男性詩人による作品。今読めば、それらがいかに抒情的で、「モダニズム」なのに古さを感じさせるのに、左川ちかの作品にはそれがない。ひたすら硬質な言葉を予想外なほど重ねていく。ひたすらに伝統的日本を書かない・描かないイメージは実に強烈な体験だ。
へくとぱすかる
2024/03/26 23:14

1936年に24歳で亡くなった女性詩人。知らなかったことが恥ずかしいと書いたが、かつて読んだ「名詩集」の類には、名前すら出てこなかった。当時の詩人たちも、彼女の作品をよく知っていたらしいのに。機会があればぜひ全集を読んでみたい。

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へくとぱすかる
またしても自分勝手な親、今度は父親。「お前のために」というのは、やっぱりズルいセリフだ。親のいいなりにしたいという意味に気がつくことが、子どもの本当の成長だと思う。真波が海に近い祖父母の家にやってきて、学校生活の再出発をはかる物語。全体が偶然の要素が重なって動いているのがドラマを見ているよう。それにしても親子の不和を、さほど意識せずとも、うまい方向に持っていけるのが祖父母という存在のいいところだろう。まさにタイトル通りのラストにつながっていく涙もの。さっき読んだ本にも言えるけど、表紙のイメージそのものだ。
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へくとぱすかる
有り難くも厄介なのが、親という存在。子どもはいつか親を乗り越えていくもの。美雨の弟も反抗期だけど、高校生女子と中学生男子とでは、似ていながら異なるところも大きいはず。映人先輩はまぶしい完璧に見える存在だが、頭ごなしに子どもを否定する態度には、きちんと反発できるだけ美雨の側にいる。ふつうは他人の親にはとても言えないものだが。280ページは、美雨のコンプレックスによる壁を何とかしたい、先輩の思いやりともいえる。読み終わってみると、登場人物それぞれの成長ぶりが読み取れて、爽やかな気分になれた。表紙そっくりの。
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へくとぱすかる
二人きりで外に出て、水辺のベンチで焼き鳥をつつく。細かく動いている心の微笑ましさがついついうれしくなる「まずはお友だち」。二人のフルネームが登場するのは、ここが初めてではないかな?   「まずは」友だちになった二人。読者にとっても名前がわかると、身近な知り合いと同じ。すごく親しい気持ちになるから、さらに目が離せない。だがそこへ「難局」もやってくる。果たして乗り切ることができるのか。意外だけど解決できれば抜群にいい展開と化す。ともに困難を乗りきった思いは恋を一気に進めることにつながるのだ。ガンバレ。
へくとぱすかる
2024/03/21 22:10

うれしい「第10話」。あのパンフレットを、そっくり本文に収録してくださった!

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へくとぱすかる
地名はそれ自体が文化だ。読み終わってまずそう思う。地名をどのような文字で書くか、古代に好字2字で書くおふれが出て、初めて漢字を宛てられた地名がおそらく多いはず。この時どんな字にしたかが地方の特色、思考過程が現れるところ。そういう習慣が今日まで引き継がれていることが興味深い。だからこそ残念なのが、歴史を無視して行政の都合や単純化を推進してきた、戦後の地名政策だと思う。方言漢字で書く、全国で唯一の地名の例など、重要文化財級の存在ではないか。郷土史研究は歴史研究が多い印象があるが、地理研究も盛んになってほしい。
かおりんご
2024/03/21 19:10

面白そう。地名で、その土地のいわれがわかるといいますもんね。京都に「出水(でみず)」という地名がありますが、文字通り昔水浸しになったそうです。

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へくとぱすかる
三歩さん噛みすぎ。緊張しっぱなしじゃないの? 先輩のすごさは「土下座おじさん」の撃退シーンだと思う。みんなの人間性を守るためには、無理な要求をかんたんに聞き入れてはダメということ。ああいう何様なクレーマーって、大学図書館にも来るんだ。三歩はといえば、普通にやっていてミスばかり。まぁそういう人はどこの職場にもいるが、三歩ほど「実は愛されている」というキャラはそういないだろう。まったりとした日々のようだが、確実に日々は過ぎていく。年末年始の実家シーン、まさか三歩がお姉ちゃんだったとはね。呑みすぎには注意だよ。
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へくとぱすかる
親が度を越した理想を押しつけるのは虐待に等しい。子どもは親の玩具ではない。きちんと育てる義務もある。中学最後の文化祭への取り組み。どこにでもある行事風景にも、生徒たちの事情は複雑だ。目立つ方ではない白石花と乾結翔が、ステージ創りの困難に直面したとき、むしろそれを踏み台に、自分自身の困難に立ち向かおうとする物語。しかし簡単には解決しないところがリアルだ。さて、冒頭に登場する四人組が単にチャラな集団かといえば、やってくれるな~。いいとこあるじゃん。書かれていないラスト以後の流れを思いやるのが読者の課題かも。
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へくとぱすかる
字で書いたお菓子。ユーモアとはこういうのを言うのだろうか。タイトルを見て、これは「みほ」と読むのかな、と思ったら文字通りに「さんぽ」! まずそこがおかしい。彼女にとって日常は確かに事件もミステリもないのだが、同僚・先輩とのかかわり方が、どうしたって笑えるのである。てきとーに頼りないが、てきとーに助けられて、とにかく日々を過ごしていく。表紙イラストそのまんまの春めいた明るさの小説(そうなのか? そうなんだろうなぁ)。仕事や何かのストレスで、やんなっちゃったとき、くたびれたときには疲労回復のために再読しよう。
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へくとぱすかる
「新本格」初期の空気をたっぷり含んだミステリ論。二人の立場・考えに隔たりはあるのだが、ともにひとつの時代を作る仲間意識を感じる。当時まだジャンルが定着しているとは言えず、既成観念をどのように打ち破っていくか、苦闘の時代でもあった。「占星術」の作者らしくない(?)「奇想」をなぜ書かねばならなかったのかも、ここに語られる。なぜ一時期のミステリは「社会派」全盛だったのか、それにも理由がある。現在は「新本格」だと強調はされないが、まかれた種は着実に成長をしていると思う。やや古くても先駆者の思いを聞くと発見がある。
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へくとぱすかる
1965~66年「りぼん」連載作品。子どもの4人いる社長宅にやってきたお手伝いさん・春野キミ子は、しつけがきびしくてキビママと4人から呼ばれる。パパの社長がルーズだったのだが、荒れた家庭も明るくなっていく。同時期の「おた助くん」と似た設定であるが、少女誌連載を考えてか、よりアットホームな描かれ方である。月刊誌作品らしく、季節の流れ・時間とともに打ち解けあって、ひとつの家族のようにまとまっていく様子が微笑ましい。しだいに子どもたちにとって絶対いてほしい人になっていき、キビママと離れたくないとの思いが切ない。
へくとぱすかる
2024/03/05 00:14

ちなみにパパの社長は、「おた助くん」の社長(無名)と同じキャラデザ。同時期に2作品に登場させたわけだ。本作では名前のある人物に描かれているが、子どもに甘いのは同じで、社長らしくない子どもっぽい面も描かれている。しかし別人とみるしかない。ここでは一郎ちゃんのパパではないのだし、お助けくん一家もいないのだから。

へくとぱすかる
2024/03/05 00:33

下の子2人は学校に上がる前なので、言動から5歳と4歳と考えられる。4歳のトコがままごとでママを思い出して涙ぐむシーンがあるので、ママが亡くなったのは、トコに物心がついてからの、つい最近のことなのだろう。家庭内が荒れてきたので、見るに見かねてキビママに来てもらったというのが、物語の始まる前の流れだろう。パパの社長はこの作品でも、妻に先立たれた男の役割をしていることになる。

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へくとぱすかる
1年間の心の旅とでも言うべきか、紀貫之の逆パターンと称して、女子中学生が男子になったつもりで日記を書き始める。「ボク」につられて、つい男子が視点人物のように読み進めている自分に気がついて、自分の固定観念と日本語の一人称の強さに唸ってしまう。ここは反省。登場人物の作品として挿入される詩は、絶妙さが必要なだけに、作者の力量がすごいと感じた。中学生らしく、しかも入選するほどの高レベルで、(架空の)SNSのコメントに対応した作品であることが要求されるのだから。ライトさを感じる小説で、読み終わっての感触は良かった。
が「ナイス!」と言っています。
へくとぱすかる
読書感想文の課題図書(高校の部)になった小説。高校生が感想を考えるにはテーマが難しそうだが、若い世代こそ鑑賞する価値のあるストーリーだと思う。29だが、無職でミュージシャンを目指す?青年宮路が、老人ホームの年下の職員・渡部が演奏するサックスに魅せられる。彼を自分の夢に引きこもうとする宮路と、介護の職業にしっかり根を下ろした渡部との、友情のような対立のような関係、そして老人たちの思い。青年の漠然とした未来と、高齢者の死と向き合う日々がならぶ世界。おだやかな文章であるだけに、かえってずっしりくるものがある。
が「ナイス!」と言っています。
へくとぱすかる
8年半ぶりに再読。先月読んだ、生源寺美子の「ひとりぼっちのマヒト」の15年前・1955年の作品。おそらく作者自身と思われる新聞記者が、高校生に成長した戦災孤児の矢田春雄に再会し、7年前の話を聞く。いくつかのエピソードが、偶然の僥倖に助けられている印象は残るが、そうでもなければ家も家族もお金もなく、路上に放り出された子どもはどうやって生きていけばよかったのか。春雄は「いまだ立ちあがれずにいるのも、いっぱいいる」と語り、その後も救済されなかった子どもたちの存在に言及している。ソノラマ文庫には1975年に収録。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/08/14(3907日経過)
記録初日
2013/08/16(3905日経過)
読んだ本
3476冊(1日平均0.89冊)
読んだページ
868917ページ(1日平均222ページ)
感想・レビュー
3476件(投稿率100.0%)
本棚
5棚
性別
自己紹介

基本的に全方位読書なので、いろんな分野を読みます。とくにミステリや時間SFが好きです。速読ができたらいいだろうな、と思いながら、黙々と活字を追っています。そのうち速くなるかも(笑)。主に電車やバスの中で読む日々です。どうぞよろしく。

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