読書メーター KADOKAWA Group

2024年3月の読書メーターまとめ

しょう
読んだ本
57
読んだページ
18917ページ
感想・レビュー
57
ナイス
3076ナイス

2024年3月に読んだ本
57

2024年3月のお気に入り登録
2

  • toshi
  • 碓氷優佳💓

2024年3月のお気に入られ登録
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2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

しょう
ネタバレ警察学校を舞台にした連作短編集。前任の教官の入院休養に伴い、代わりに教官として着任した風間。本作で取り上げられる生徒のいずれもが良くも悪くも普通ではなく、癖も強い。しかし教官の風間はそんな事もお構いなしに優れた観察眼でもって生徒の思惑を決して見逃さず暴いていく。どこまで本当なのかは分かりかねるが、警察学校の厳しさは想定していた通り。しかし警察官を目指すにしては些か倫理に欠けた生徒が見受けられるのが正直疑問だった。ダークな話も多い中で風間のキャラが良く、面白く読めた。次作にも期待。
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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

しょう

2月のベストは「どこまでも食いついて」。今更だが自分のアンテナに引っかからない良作の数々をこのサイト経由で知れるのでありがたい。 2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:51冊 読んだページ数:17588ページ ナイス数:2653ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/481310/summary/monthly/2024/2

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2024年3月の感想・レビュー一覧
57

しょう
ネタバレ7編の短編集。「ウルトラ・ハードボイルド」というのが通常のハードボイルドとどう異なるのかは読む限りでは分からなかったが、短編らしからぬやや複雑な物語に虚飾を配した簡明で透徹された表現は確かに本流とは違うハードボイルドという感じがする。舞台はいずれも1920~1930年代となっており、まさに禁酒法の真っただ中。登場人物も裏の世界で生きる者が多数登場し、荒々しさは良く表現されている。ハードボイルドといえば大体が冷たい文体となっているが、本作はその冷たさが容赦ない。
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しょう
ネタバレ作中作となっている「白骨鬼」と現実世界を行ったり来たりする構成は他作品でも見られる珍しいものではないが、「白骨鬼」に関してはかの大家、江戸川乱歩と詩人の萩原朔太郎がコンビを組んで事件の真相に迫るというのが意外性があって面白い。時代背景も雰囲気抜群で何より乱歩と朔太郎のやり取りも軽妙で面白い。作品の性質上からややドタバタした感は否めず、氏の作品にしては妙な読みにくさを感じたがまずまずの内容だった。
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しょう
ネタバレ現代のパリでは弁護士として何不自由ない人生を送っていた折、恋人との別れやクライアントの自殺がきっかけで燃え尽き症候群に見舞われたソレーヌが女性会館の代書人のボランティアに応募する。1920年代のパリでは救世軍として活動するブランシュが貧困に喘ぐ女子供たちの為の施設を作り、この活動は政界や財界をも巻き込んでいく。時代や経緯は異なれど困っている人を救済するという点では一致しており二人の想いに隔たりはなく、100年の時を経てもしっかり受け継がれている。
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しょう
ネタバレ藍染袴お匙帖シリーズ2作目。本作でも持ち前のバイタリティと正義感を発揮して事件を解決していく。また前作ではあまり語られてこなかった父の東湖について千鶴がかかわった事件から死の真相が明らかになる。千鶴の父とあってやはり好人物であったらしく、血は争えないと感じる。色々首を突っ込む性格が災いして、何度も危険な目にあいそうになるが、その都度求馬が現れ事なきをえるあたりややご都合主義に見えなくもないが、物語の性質を考えると致し方のないところか。→
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しょう
ネタバレ彷徨える艦隊シリーズ二作目。前作での無茶ぶりにも見事に対応し任務を全うしたギアリー。途中で捕虜収容所を発見し救出に成功するもその捕虜の中にいた「伝説の英雄」ことファルコ大佐。このファルコが中々のくせ者のようで、他の艦長を扇動して艦隊を離脱する始末にギアリーを悩ませる。もうちょっとかき乱してくれるかと少々期待したが、思ったほど小粒なようであっさりと退場してしまったのは残念。他ではまさかのリオーネとのロマンスでかなり急展開な感がありリオーネのキャラがまだ掴めない。次作にも期待したい。
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しょう
ネタバレSROシリーズ四作目。本作はvs房子ではなく、自分の家族四人を殺し医療少年院に収容されていたものの、脱走した青年の太刀川の捜索を法務省から依頼される。殺害方法やら動機やらが異なるがシリアルキラーという点では房子と同様で太刀川の残虐な異常性も読み進めるにしたがって明らかとなってくる。今回のSROメンバーのキーとなってるのは恐らく針谷で、自身の過去の経歴からジャーナリストに執拗に追いかけられ気の休まる暇もない。そんな自身を「黒い羊」と自虐し、太刀川を射殺した針谷の苦悩はこれからも続くだろう。→
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しょう
ネタバレ物語の主人公というものは基本的に良くも悪くもキャラがたっている人物である場合が多いが、本作では通常なら主人公格として取り上げられない、それなりに優秀でありながらも地味で平凡な人物にスポットが当てられている。優秀であるが故の煩悶はあるようだが、結局のところそこからの逸脱は起こる事はなくさざ波がたつのも疑わしいほどに平穏な日常は続いていく。たとえちょっと道を踏み外してみても「優等生である」という特質がなくなることはないのである。人格は宿命であるの一文は非常に重い。
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しょう
ネタバレ宝石強盗に成功したは良いものの、土砂崩れに巻き込まれてしまう。地元の住人の金崎家に運よく助けてもらったと思いきや、金崎家全員が全員悪魔のような恐ろしさで強盗達を制圧してしまい、さらには殺害される。かてて加えて5人組だったはずなのに6人と一人増えていた。この6人目が「やまのめ」としていったい誰が?というのが軸となっている。強盗団の全員が頭脳明晰とはほど遠く、「力を尽くした結果の地獄」という感じがあまりなく、やや物足りない。またやまのめよりもばーさんの方がキャラが強力で不気味だったのが残念。
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しょう
ネタバレ第一作目。1964年のニューヨークが舞台。憧れていたニューヨークでレコード会社の秘書の仕事に就いたべべ。そんなある日友人のダーリーンにバンドメンバーとのダブルデートに誘われ、楽しかったのもつかの間、デートの相手死体を発見してしまい、更にダーリーンが容疑者として名が上がってしまう。60年前のニューヨークのレトロな雰囲気を味わいつつもベベの奮闘っぷりが楽しめる。また仕事先の上司のブラッドリーとの関係もこれからどうなるか見ものだ。ベベ自身若干の騒々しさは感じるが読めば読むほどにいい子に見えてくる。→
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しょう
ネタバレ表題作を含む36編の短編集。全体的な感想としては「悪魔のいる天国」とほぼ同じなのだが、本作では自分好みのロボットに関する物語が多く、非常にありがたい。ショートショートならではの分かりやすさは抜群で、あまり考えさせられような事もなく気楽に読めるのは嬉しい。寓話的な話も少なくなく、子供時分に読んでいたらまた違った感想を持っていただろう。子供のころに読んでおきたかった作品だ。
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しょう
ネタバレドイツ軍との全面戦争の最中、英国海軍による秘密作戦の遂行者として白羽の矢が立ったのが密輸稼業に日々精を出しているトラップ。経歴からしてかなり無茶苦茶だが、命の危険のある過激な任務にもかかわらず金につられるあたり、性格もかなりぶっ飛んでいる。そんな人物の副官につくのだから大尉のミラーも気の休まる日はなかっただろうが、その様子が何ともおかしい。この手のジャンルの作品としては珍しくコメディーによっており、非常に新鮮だ。「無頼船長」のタイトルの通りの痛快な冒険活劇だった。
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しょう
ネタバレ中学入学を目前に控えたサッカー少女の亜美と、小説家の叔父が二人で借りっぱなしだった文庫本を返すという目的のもと、鹿島市を目指し徒歩の旅をする物語。典型的なロード・ノベルとなっており、途中途中で亜美の日記が差し込まれており、大きな特徴はないものの等身大の少女という感じはする。人物造形については細かくないが丁寧で、モデルでもいるのかと思わされる。道中も人並みに様々な出会いや「練習」をしながらどう締めるのかと思ったらこのラスト。賛否両論あるらしいが、個人的には雑に切って捨てた感が強くかなり残念。→
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しょう
ネタバレ人類が正体不明の異星人と交戦しているなか、とある惑星がほぼ唯一ともいえる異星人の解明につながるかもしれないとテレパシーの能力を持つ学者のヨシダが派遣される。基本的には異星でのサバイバルと異星人の正体についてが本筋となっているが、そのどちらも考察や深掘りが甘く、結果的には全体的に浅いストーリーとなってしまっている。冗長な展開も目に付く中でラストはかなり駆け足とバランスが悪い。人物造形についてはやはり描写が甘く特に主人公のヨシダに関してはいちいち言動が癇に障り教官が難しいキャラになってしまっている。
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しょう
ネタバレ新宿鮫シリーズ第8作。今回は過去にも登場した真壁が出所。一方真壁と相対していたチャイナマフィアは藤野組を手を組み高級車窃盗団として暗躍し、その調査に鮫島が関与する。真壁も真壁でヤクザとしての矜持を泥臭く守ろうとしているところが渋く、雪絵はそんな真壁を心配しながらも信じて付いていく。これまでのシリーズと比べるとやや地味な展開が多く、また新宿の地理や歴史に関する記述が多く若干のかさまし感はある。登場人物がすこぶる良かっただけに少々物足りない。
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しょう
ネタバレ交通事故により四肢が麻痺してしまったアラン。アランが悲しみに暮れる中でジェフリーからサルをプレゼントされる。エラと名付けられたサルは研究中の新薬により知能が大幅に向上しており、動けないアランの代わりの身の回りの世話をするようになり、次第に心を通わせていく。この辺りまではやや冗長な感じはあったが、エラがアランの感情を読み取ってそれをもとに行動するようになってきてからは徐々に面白くなる。とは言えエラの暴走っぷりがややおとなしく見えて拍子抜けしてしまう。もっと突き抜けていてもよかった気がした。
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しょう
ネタバレ表題作を含む6編の短編集。一般的には「王朝物」に分類されている作品集となっている。どの作品も芥川らしく外連味が強く、味わい深く、流麗な文体で描かれたどことなく薄暗く独特な世界観が満載となっている。どれもこれも素晴らしいが、個人的に一番ハマったのが「地獄変」と「藪の中」。「地獄変」は道徳心すら投げ捨てて病的なまでに屏風絵に打ち込む一方で娘を溺愛するという人間味の感じる二面性が面白い。「藪の中」はとある事件において多くの登場人物からの証言を獲得するも、それぞれが微妙に食い違いって全容は杳として知れず→
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しょう
ネタバレ三人の女性を巡る壮大な物語も、中盤を過ぎたあたりから怒涛の展開へと流れ込んでいく。カサンドラにとってはこれ以上ないと言えそうな結末ではあったが、イライザについて考えてみると、なんと悲しい人生だったことか。三人の中では一番魅力的な人物だっただけになおの事そう思ってしまう。ばらばらだった糸が徐々に編み込まれていくように本作の持つ構成の妙は他作品でも知っていたがやはりその巧みさに驚かされる。本作も静かな余韻を残す良作だった。
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しょう
ネタバレ幼少期にオーストラリアの港に置き去りにされたものの、オーストラリア人夫婦に引き取られたネル。そのネルを祖母に持つカサンドラがネルの明らかにされていないルーツを調べ始める。ネル・カサンドラに加えて、童話作家のイライザの三人のパートが三つの時代を行ったり来たりしながら物語は進み、結構目まぐるしいが割と読みやすい。今の所ミステリーっぽさはなく、さながらちょっとした大河小説のような趣きがあり、雰囲気も出ている。ちょっとした疑問が明らかになりつつあるが、全容を知るのはまだまだ先。以下【下】へ。
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しょう
ネタバレ表題作を含む5編の短編集。車輪生物なる者に両腕両足を掠め取られ、まんま四輪車の姿になってしまった惑星開発コンサルタントに勤めるヒノとシオダのコンビが様々な惑星を調査に赴き縦横無尽に駆け巡る。短編ごとにそれぞれ特徴的な惑星がきちんと設定されていてどれも面白い。ヒノとシオダの姿かたちも面白いが二人がこの状況を特に気にしてないのがまた可笑しい。ファーストコンタクトの要素もあるが、やや描写は浅めとなっている。一番面白かったのは「安定惑星」。
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しょう
ネタバレ本作に収録されている短編はいずれも10~20ページ程度のもので非常に短い作品となっている。にもかかわらず短編としてシンプルでありながら、しっかりと読みごたえのある作品に仕上げ、しっかりとオチをつけているのは流石だ。イギリス文学の本流という訳ではないだろう。しかし時折くすっとさせられるような内容も多く、また皮肉や諷刺が存分にきいており本作の持つこの毒々しさが魅力的となっている。
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しょう
ネタバレ百貨店の外商として奮闘する新人の鮫島が悪戦苦闘しながらも上司・同僚や担当した顧客と接していくうちに徐々に成長していく様子が伺える。外商は自分にはなじみのない仕事なだけに非常に興味深く読めた。お仕事小説としては若干コミカル寄りの内容となっており、鮫島を始めとして癖の強い登場人物も多くその最たる例が桝家で当初こそいけ好かない感じだったが、読むほどに実は憎めないキャラである事も分かる。上流階級が主な顧客なのでそれなりに緊張感はあるだろうが、そんなものを吹き飛ばしながら仕事に邁進する姿は立派だ。→
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しょう
ネタバレシリーズ二作目。森で黒焦げとなった人骨が発見される。詳細な鑑定の結果、それぞれ中流階級・下流階級出身の売春婦の少女の骨である事が判明。デッカー達の捜査の過程で徐々に残酷な事件の裏に巧妙に隠されたどす黒い事実も明らかになっていく。事件と並行してのデッカーとリナとの関係性だが、さほどうまくいっているように見えないのはリナの信仰故の事だろが、二人とも好人物なのでこれからの変化に期待。今回も前作と変わらない陰惨な事件だったが、一定の解決を見てすっきりした。
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しょう
ネタバレ傷心旅行で訪れた村でトラブルに巻き込まれたところ地元の晃二に助けられる紀子。程なくして肉体関係を持つこととなった二人だったが、紀子が翌日起きてみると晃二の姿はなく、村人からは既にひと月前の毒殺されていたと聞かされる。この事件について晃二本人だけでなく、村のダムの関係者の緋紗江等の視点から全容が徐々に明らかになっていく。現代でも色褪せないであろう仕掛けに驚かされる。ミステリーとしてのみならず幻想的でもあり、官能的でもあり、と精密に構築された良くできた物語だった。
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ネタバレ表題作を含む6編の短編集。先に読了した「みずうみ」程ではないにせよ、清流のように混じりけのない透明な感じは流石といった所で、どの短編も抒情的で上官に溢れており、決してガツンと語りかけてくるものではなく、優しさと暖かさに満ちた清らかなものとなっている。「みずうみ」でも感じた事だが、これほど透徹された流麗な文体で描かれた情景描写を書ける作家は他に思いつかない程で、決して広い範囲ではないが、描写された風景のどれもが五感に訴えかけてくるようだった。
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ネタバレとある出来事がきっかけで大学を休職し、実家からも離れて一人暮らしをしながら金沢のコンビニで夜勤のバイトをすることになった富山。そこで知り合ったのは歌い手の鹿沢やラジオリスナーの佐古田等いずれも個性の強いキャラばかり。灰色の世界に身を置いていた富山にとってはこれがいい出会いだったようで、周囲の人物に溶け込むにつれ、世界に色彩が戻る様子が見て取れる。ド直球の青春小説とは違うだろうが、これもこれで味わい深いものがある。他業種とはいえ夜勤の経験がある自分としては納得出来る事が多い作品だった。
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しょう
ネタバレグラント郡シリーズ一作目。とある田舎町のレストランのトイレで女性の惨殺死体を発見した検視官のサラ。サラに加えて元夫で刑事のジェフリーと被害者の双子で刑事のレナの視点で物語は進んでいく。本作においては特に女性に対しては容赦のない描写が非常に多く、物語世界を覆う雰囲気は重く暗い。サラとジェフリーもいい別れ方はしてないらしく、何とももどかしい距離感を感じさせ、今後の変化に期待と言った所か。事件の内容がそうさせるのかまた女と男それぞれの描写の区別も割と露骨で、サラやレナのような強い女性がいる一方で→
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しょう
ネタバレシリーズ第二部の一作目。200年前の航路啓開船から「敷島星系に文明あり」という一報が人類コンソーシアムに届き、これを受けて出雲では火伏を始めとする人員が艦隊の編成などに動きを見せる。一方でガイナス封鎖の要衝にて司令官の烏丸が率いている調査隊がガイナスとのコンタクトを図る。本作においてはファーストコンタクト要素が色濃いものとなている。また登場人物も新たに大勢増えて寄り物語に膨らみを見せる。中でも政府全権委員のシーラッハが早くも不穏な動きを見せ、今後の衝突は不可避か。次作にも期待したい。
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しょう
ネタバレ表題作を含む1編の短編集。タイトル一覧からはある程度想像出来ていたことだが、物語の一つ一つが重く、身につまされる思いがする。それもマラマッド自身がユダヤ人として生きてきて骨身に感じた事が、作中に存分に示されている。加えて金銭的な貧困ゆえの貧しい言動やちょっとしたトラブルの発生等生きづらさ、生きにくさが伝わってくるようだ。ユダヤ人として生きていく事についての困難・懊悩・覚悟のようなものが垣間見れた気がする。
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しょう
ネタバレシリーズ1作目。お鳥見役を務めながらも幕府の密偵という裏の役割の為に任務で家にいない当主に変わって矢島家を切り盛りしている珠代。そんなある日家に5人の子持ちの浪人が自身の敵と共に転がり込んできて居候する事になり、突然騒がしい感じになる。主に「食」の面で苦労しそうなものだが、生来の気性からなのかこの現実をドンと受け止め、優しく懐の深いところを見せる。加えて頭が切れるようで完璧超人と言ってもいいだろう。他の登場人物もそれなりに個性が立っており、さながらホームドラマを見てるかのよう。次作にも期待したい。
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しょう
ネタバレ科学者ヨークの息子ラストンを誘拐した容疑で級友が捕まる事件が発生。程なくして無実は証明されつも、今度はヨークが殺害される事件が発生し、ラストンの気持ちに応えるべく立ち上がるハマー。最初こそただの殺人事件だっだが、ヨークの使用人の失踪や、過去にヨークが絡んだ事件等々調査が深まるにつれて謎も深まっていく。「大いなる殺人」に比べるとかなり事件も込み入った感じになってくるが、本シリーズ特有のB級的展開で分かりやすく、読ませる展開も多い。本作も安定した面白さだった。
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しょう
ネタバレシリーズ二作目。前作と比べると関係者が増えてその分「日常の謎」も少々難しいものになっていた気がする。関係者と言っても単なるモブではなく、それなりに個性のあるキャラ造形なのがなかなか面白い。海砂と歩の関係性についても、少しづつ変化しており、今後どのような関係性になるかは気になる所だ。どの謎解きもいい意味で緊張感があまりなく緩やかに読める。中学生にしては精神年齢がやけに高く感じるのは気になるが前作と同様に楽しめた。
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しょう
ネタバレ病気で床に臥せり気味の父や留守がちな母と暮らす「ぼく」。養老院の老人の散歩に付添い小銭を稼いでいたある日、古道具屋の鳥籠に一羽のトビを見つけ心を奪われ、何とかしてほしいと願う。所謂ひとめぼれに近い漢字と思うが鳶に関しての詳細は最後まで明かされず、主人公の「ぼく」についても必要ないとばかりに一切の言及はない。「辛い仕事」に関してもヘビーではあるが淡々としており、ただ静かに物語が進行していくのみである。生と死についてこれまで簡明かつ綺麗に表わした物語は知らない。
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ネタバレ主婦として平穏な日常を送っていためぐみだったが、ある日夫の淳一が古い医師の器を持って帰ってきたことから徐々に不穏な空気になる。「常世蟲」と掘られた不気味な器の影響からか、不気味な夢や摩訶不思議な現象に悩まされる事に。またその日から純一のキャラがまるで別人のようになったうえ、純一から蟲が這い出して来るのを目にして夫の中に蟲の存在を疑う。蟲がメインテーマでありながら古代信仰に発想を飛ばしたのは面白い試みだろうが、肝心の蟲の存在感がそこまででもなくあまり恐怖は感じない。→
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ネタバレシリーズ2作目。前作と同様に世界を放浪し続ける不老不死の人達。居所は場所や年代を問わず、鎌倉時代やWW2の真っただ中のアメリカ等時代も問わない。本作では不老不死という特質をどちらかというとデメリットのように扱っており、一般人ではありえないぐらいに数えきれないほどの事件や災害を経験しつくし、痛みや苦しみを味わっているのであながち間違った認識ではないだろう。現時点では不老不死の人達の誰一人として生きてる時代に変化をもたらすという事はないという点ではかなりシビアに描かれている。
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ネタバレ警察学校を舞台にした連作短編集。前任の教官の入院休養に伴い、代わりに教官として着任した風間。本作で取り上げられる生徒のいずれもが良くも悪くも普通ではなく、癖も強い。しかし教官の風間はそんな事もお構いなしに優れた観察眼でもって生徒の思惑を決して見逃さず暴いていく。どこまで本当なのかは分かりかねるが、警察学校の厳しさは想定していた通り。しかし警察官を目指すにしては些か倫理に欠けた生徒が見受けられるのが正直疑問だった。ダークな話も多い中で風間のキャラが良く、面白く読めた。次作にも期待。
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ネタバレシリーズ三作目。所属が変わり国家捜査局の特殊部隊を指揮する事になったカリ。そこで超法規的措置により麻薬を取り締まるカリから見えるのは麻薬・人種差別・移民・貧困等の諸問題により少しづつ壊れていくフィンランドの現状だ。移民擁護派の政治家が殺されたのが合図となり続発する殺人事件の数々に眩暈がしそうだ。これまでのシリーズとは一線を画し、まるでエルロイ作品のような暗黒小説といった感じになっている。もとより不安定だったカリも闇に飲まれていくかのように堕ちていっている様子が伺える。→
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ネタバレ戦後20年。結婚し、大学職員として働いていた浜田だったが、かつて恋人だった阿貴子の訃報を受け取り、かつて自身が「杉浦」と名乗ってた時分家を捨てて徴兵忌避者としておおよそ五年もの間日本を転々としていた事を思い出す。その事実が心に澱の様に積もり浜田をじわじわと苦しめ、締め付けていく。本作では大学職員として暮らす現在と徴兵忌避者として逃げ回る過去とを行ったり来たりしつつ浜田の抱える煩悶を、日本文学では比較的珍しい「意識の流れ」の手法を用いて浮かび上がらせている。→
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ネタバレシリーズ一作目。木星の衛星ガニメデに基地を築いた異星人からの攻撃により滅亡の危機に瀕する人類がこれに対抗しようと、主に孤児によって構成されたガニメデ派遣軍が結成される。そのうちの一人であるワンダーが厳しい試練を超えて成長していく物語となっている。出だしこそハードな内容でワンダーの仲間達も容赦なく死んでいくが、筆致は至って軽快で主人公のワンダーも同様で落差の大きさに面喰う。設定等は大体が手垢のついたものとなっており、またワンダー自身の出世があまりにも早いのは残念ポイントだが、総じてはまずまずだった。
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ネタバレ福岡の中州が舞台。バブル期は飛ぶ鳥落とす勢いで中州で好き放題に暴れていたマムシこと小金だが、今はしがない街金業を営んでいる。そんな中とある少女をヤクザから助け出してしまったのをきっかけに、目を付けられて否応なしに面倒事に巻き込まれていく。当初はただのおっさんでしかなかった小金が読み進めるに従って渋みが増していくのが面白いが、小金のキャラがあまり特徴がなく小市民的なキャラでやや存在感が薄いのが気になる所で、メロンや翔一の方が個性的な人物造形となっている。
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しょう
ネタバレシリーズ2作目。ファンタジー作品でここまで「死」を前面に押し出してくるのも珍しいのではないだろうか。本作は600ページを超える超長編となっているが前作以上に幻想的で不気味な世界観となっており、読み進める度に暗闇を思わせる雰囲気の中でも色彩が色とりどりに変化していくような不思議な感覚に襲われ、読みごたえが凄い。このような壮大な世界の中で死の王と闇の王の衝突のみならず、シミュ達の愛憎入り混じった耽美な物語も堪能出来る。
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しょう
ネタバレ表題作を含む9編の短編集。いずれもが本にまつわる短い物語となっており、様々な切り口で登場人物は本と関わっていく。内容によってはほっこりするものもあれば物寂しくなるようなものも有り、バラエティに富んでいてそれなりに読みごたえはある。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレミス・マープルシリーズ。とある童謡の歌詞になぞらえて会社社長が毒殺され、さらにマープル自身が礼儀作法を教え込んだ女中のグラディスも事件に巻き込まれた事で義憤にかられ現場に駆け付ける。被害者の関係者は誰もが胡散臭くて良くも悪くも癖の強いキャラとなっている。マープルの出番自体は多くないものの、サッとやってきて推理を行いサッと立ち去る様はカッコいい。またマープルに及ばないもののニールもなかなかのものだ。ミステリーとしてはごく普通だが、家に帰ったマープルが受け取ったグラディスの手紙が良かった。
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しょう
ネタバレ表題作を含む6編の短編。どの作品もド直球のSFという訳ではなく、ありきたりな日常にトンデモ設定を付け加えたかのような突飛というのかへんちくりんというのか、何とも形容難いが不思議とシュールで面白い作品群となっている。表題作のように短編でありながらもスケールの大きさもみせてくれる。六編それぞれの奇妙で面白おかしい世界観を存分に堪能した。個人的なベストは「電線世界」。
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しょう
ネタバレ南海を舞台にした三編の短編を収録。「雨」は宣教師のディビッドソンが同じ船に乗り合わせた娼婦の教化を試みるも、疎ましがられた挙句に気が滅入るほどに激しく振り続ける雨に参ってしまう話で、サスペンスの要素があって面白い。【赤毛】はよくあるラブロマンスではあるが短い物語の中にも複雑微妙な心理描写で綺麗にまとめ上げている。【ホノルル】もありそうなロマンスと思いきやひねりが加えられており意外性のあるオチで三作のうちでは一番シニカルに描かれていた。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレ世界各国を放浪した犀太と性的に奔放な考えを持つオランダ人妻のジニーを軸に、過去のパリと現代の東京でのストーリーが交互に描かれている。夫婦でありながら相互理解の無さは相当なものでいつ破綻してもおかしくないような不安定な状態に置かれている。故に双方とも憤懣やるかたないと言った感じが心の奥底には流れているようで心の安定がおとずれる様子はなさそうだ。あっさりした性格の犀太に比べて割と野性的で生々しいジニーのキャラが印象的だった。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレフェローズ署長シリーズ二作目。土砂降りの雨の夜に果樹農園の主に謎の言葉を言いながらも発砲する事件が発生。犯人が変装していたらしいという事しか判明しておらず、暗中模索の中捜査をするフェローズ署長達。本件のように謎めいた事件でも徹底して地道な捜査が行われているところが非常に読みごたえがある。また描写も非常に細かくドラマ的でもあり、現場の雰囲気を堪能出来る。犯人が捕まってからもまた一ひねり加えられておりミステリーとしてもかなりの出来と言えるだろう。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレ日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。イラクで傭兵稼業のさなか、自身のミスにより恋人を死なせてしまった鹿島。失意の中日本に戻り、データセンターの警備員としての職を得たが、その初日に万全のセキュリティを誇るセンター内で殺人事件が発生し、なし崩し的に事件に巻き込まれる。流れとしては仕方のない事なのかもしれないが、鹿島がいち警備員という身分ながら、かなり自由に動きを取れるというのがそもそも不自然に感じる。というより鹿島の特異な経歴がそもそも必要なのかという疑義も生じる。魅力的な舞台の割に純粋に面白くなかった。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレ祖国の独立という大志を抱き留学でロシアにやってきたインサーロフ。学生生活もそこそこに独立運動に精を出し東奔西走していたインサーロフを「他の男とは違う」とばかりに思いを寄せるエレーナ。裕福な家のお嬢さんであるせいか、欲情的で少々世間知らずな面が垣間見える。祖国独立の野望すら捨ててまでエレーナと結婚したインサーロフだったが、これまでの勢いは何処へ行ったのか程なく病にかかり他界し、エレーナも程なくして消息を絶つ。どう解釈していいのかはわかりかねるが、双方ともに軽率な面があったのは否めないだろう。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレ自動車事故の重傷患者が医師会会長の指示により青山記念病院に運び込まれるという出だしからきな臭い展開。そこから浮かび上がってくるのは医師会・病院・官僚等の癒着・結託によるどでかい不正の数々だった。メインとなる医療保険制度のこまかいところは流石に難しかったが、それ以上にリーダビリティが非常に高くすらすら読める。「悪の栄えたためしなし」の言葉通りの結果となり勧善懲悪モノとしてはまずまずの出来。本作の被害者でもある黒田医院にも瑕疵はあったので医療とビジネスの両立が困難だと分かる。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレ20年前に幼馴染だったマニュとウーゴとの関係を断絶したファビオ。その二人が現代において相次いで殺害され、二人の死因について調べていたところ秘かに想いを寄せていた女性が失踪し、後に遺体で発見される事件が起きる。一匹狼という程の孤独主義でもないようだが、不運にも警察内部には大した味方はいないと見える。自分に近しい人物が死んでいく悲しみを背負ってはいるものの当人は多くの趣味を持ち女にもモテているので比較的恵まれていると言えるだろう。マルセイユの混沌に塗れた感じは本作の雰囲気とよく合っていた。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレシリーズ3作目。犬神清秀からの年賀状に書いてあった誘いの文。これに導かれるように果菜を連れて露壜村を訪れた黒彦。しかし露壜村には肝心の清秀の姿は見えないままに、血生臭い事件が発生する。外界から隔絶された村のお家騒動や、村に伝わる因習や言い伝え等々黒彦や果菜の軽快な会話を脇において、舞台設定だけ見ればかなり横溝作品っぽい。村の名前を見るにコメディ要素を少し考えたが、その実かなり本格的で犯人像や動機も含めて非常に面白かった。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレタイトル通りに「絶対」の研究に果てしない情熱でもって打ち込むバルタザール。「絶対」の何に魅入られたのかは不明だが、そのうち込みっぷりはもはや病的で元々裕福だったにもかかわらず研究のために財産を湯水のごとく使い、妻のジョゼフィーヌはこれに苦しめられ命を削る。ジョゼフィーヌが死んでも尚研究欲が収まらないあたり狂気ともいえるが、娘のマルグリットは何とか暴走する父を押しとどめようと奮闘する。研究者としては一流でも人としてろくでなしだとこうなるという好例だろう。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレ突如として現れた赤い光球が次々と海に落下したのをきっかけとし、各地では船舶の遭難事故の多発、北極南極の氷が解けた事による水位の上昇等地球規模で異常事態が発生する。終末SFに分類される本作だが、作中黒幕と思しき生物は最後まで正体が明らかにされず、ろくに対抗策も見いだせずに刻一刻と破滅へ向かう状況に太刀打ちしようがない歯がゆい感じが伝わってくるよう。それでいて決して恐怖を煽る感じではなくあくまでも淡々と進行しているのがまたいい。
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ネタバレ両親の反対を押し切る形で来日し日本語教師をしている柳凝月と日本の大学院新ガムを目指し勉強中の玉麗吐孜の出会いから始まる本作。何か感ずるところがあったらしく、程なくして二人は惹かれあう。物心ついた時から扱ってる日本語が日本語を学ぶ外国人からするとこうなるのか、という点では非常に興味深い。マイノリティーや母国の情勢等扱われるテーマは決して軽いものではなく、そういう意味ではやや難解だ。「多数派」として生きてきた自分にとっては尚更である。
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ネタバレ組織犯罪対策課の宗谷が殺害され、調査の段階で新宿署の署長が浮かび上がってきたことから上司の神倉と共に調査に乗り出す新海。無論単純な殺人事件とはならず、被害者は殺されても仕方ないのでは?と思わせるほどにどす黒い真実が広がってくる。前作と同様に「復讐」がテーマだろうが、本作も負けず劣らず救いようのない感じが出ており、それほどに徹底的に悪が描写されている。新米監察としての新海はもちろんの事、上司となった神倉もさりげなくいいキャラをしている。次作にも期待したい。
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ネタバレ1930年代と1960年代を行き来しながら、ニューヨークの上流階級の人々の日常が2人ずつ紹介される形で語られ、1ピースずつパズルを組み合わせるかのように徐々に構築されていく。いずれの物語もエリザベスかも若しくはエリザベスの肖像となってはいるが、各章二人の人物の組み合わせにより重層的な物語に仕上がっている。著者が8年がかりで構築しただけあってあまりにも構成が緻密でやや難解だったが本作の持つ上品さと奥深さは堪能できた。
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ネタバレ比嘉姉妹シリーズ五作目は表題作を含む五編の短編集。メインは【ぜんじゅの跫】だろうが、他の短編では、比嘉姉妹の次女、美晴や田原秀樹をはじめとして他シリーズのキャラが多数登場しているスピンオフ的な作品となっておりどれも楽しめる内容となっている。無論ホラーとしても読みごたえは抜群で、分かりやすい内容ながら一本調子でなくミステリーのような捻りが加えられているのがいい。比嘉姉妹の協力シーンも見どころの一つで、やはりキャラ造形が非常に魅力的だった。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/07/17(3573日経過)
記録初日
2014/07/06(3584日経過)
読んだ本
3254冊(1日平均0.91冊)
読んだページ
1165515ページ(1日平均325ページ)
感想・レビュー
3235件(投稿率99.4%)
本棚
32棚
性別
現住所
埼玉県
自己紹介

身内に勧められて読書を始めました。主に図書館でタイトルを見て第一感面白そうと思った本を中心に借りて読んでいます。その為乱読ですが、食わず嫌いはせずに様々なジャンルの本を読みたいと思っています。

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