劇的逆転サヨナラ打を見て春の日を浴びながら気分よく自転車を転がして買い物へ。寒くないし、マスクは顎に。スーパーの中でもあちこちで村神さまやら、日本 勝ったわよの声。
マリオ・バルガス=リョサは、めぼしい作品は大概読んできた。が、これまた古書店で発掘した傑作『悪い娘の悪戯』で、おや、政治や社会経済への関心は薄れ、私的な世界に没頭かと驚いたものだが、本作『官能の夢―ドン・リゴベルトの手帖』でその思いを一層強められた。感激した。文学の形を借りて大人の官能の夢を極限まで果たしたんだね。(羨ましいの意味で)あんたは偉い!
吾輩は、ガルシア・マルケスについては、翻訳されたものは、ほぼ全て読んできた。それに比してリョサはやや関心は薄かったか。だからこうした大人の作品を見逃す失態を演じる。それにしても、マルケスもリョサも晩年は本然(?)の世界に戻るんだね。
著者の経歴は、「1967年岡山県生。青山学院大学文学部日本文学科卒。青山学院大学大学院文学研究科修士課程修了。1992年4月~東京都私立高校国語科専任教諭。2018年3月末早期定年退職。古典文学の画文制作開始」とか。
第二部はル・クレジオによる作家や映画監督論。セリーヌ、カポーティ、フェリーニなどなど。これがまた吾輩には雲をつかむようで一層理解不能。ひたすらル・クレジオワールドに溺れるだけ。
バロウの本は信頼性があり、追っかけのように訳書は読んできた。本書は見逃していたらしく、古書店で発掘した本。題名で、こんな通俗な話題で本を書くのかと、敬遠してしまったらしい。読んでみたら、とんでもなく深い本だった。
内容案内には、「宇宙論における「人間原理」の第一人者が、宇宙の神秘、最先端テクノロジーから宗教、芸術、政治まで、あらゆる分野の〈不可能〉を精査し、科学史上最大の謎にして、人間の知的探求の原動力である「不可能」という核心的問題に肉薄する」とあるが、「限界こそ科学の可能性である!」が肝なのだ。かのゲーデルの不完全性定理もこんなふうな理解が可能なのだと、妙に勇気づけられた。
二作目(三作目)と曖昧なのは、『ロング・グッドバイ』を読んで、数年も経たないのに、『長い別れ』を読んだのです。途中まで、『ロング…』の別人訳と気付かなかった。訳者が違うとこうも違う…って言い訳は通らんね。勿体ないので最後まで読んだけどさ。
著者の高山宏は、「1947年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京都立大学、明治大学、大妻女子大学副学長を歴任」といった経歴より、学魔と通称される知的傑物ぶりが凄い。吾輩は、『風景と記憶』という浩瀚なる書の訳者としてしか知らなかった。迂闊。
縄文の昔からの歴史の、あるいは歴史にならない歳月の積み重ねがあるわけで、当然、人や動物などの生き死にが、死屍累々たる闇の堆積があるに違いないのである。そんな歳月も、アスファルトやコンクリートの固い石棺に埋められ忘れ去られたのだろうし、その舗装された道をわれわれは今の日常を慌ただしく生きていく。 怨念だけじゃない、喜びも悲しみも退屈も切迫も、汗も涙も血も溜め息もその土地土地に流れ溢れ零れ消滅していった、それは間違いないのだろう。
著者の姜信子(きょう・のぶこ/カン・シンジャ)について。「1961年横浜生まれ。作家。路傍の声に耳傾けて読む書く歌う旅をする日々を重ねてきた。近年は「口先案内人」と称して、歌や語りの芸能者と共に小さな「語りの場/声が解き放たれる乱場」を開く試みも。」著書多数なのだが、韓国(朝鮮)の本の日本語訳本も少なからずある。
意外だったのは、ある翻訳者の本をネタにした小説(?)なのだが、ボルヘス曰く「日本語からじかに訳していることを納得」ということで、恐らくは『実録忠臣蔵』からの忠実な訳らしい。「正義として人の胸をうつ」なんて文言がボルヘスから聞けたこと。びっくりだった。
人工の肉や自殺の問題も興味深いが、「妊娠も出産も、代理母すら必要ない人工子宮による生殖は本当に女性たちを社会的に救うのか?」は、そもそも女性の存在の否定につながりかねないという指摘もあって、かなりショッキングかもしれない。
高性能AI搭載のセックスロボットや培養肉に人工子宮、自死カプセル。倫理的な懸念をよそに開発は想像以上に急ピッチで進んでいる。テクノロジー推進する業界の多くは男性主導なのも気になる。ユートピアなのかディストピアなのか。
ダークマターは発見されてようやく20年の謎の存在。今、その正体の解明に向け研究が急ピッチで進んでいる(らしい)。最新のダークマター研究、関連するかもしれない原始ブラックホール理解の現状を知りたくて、関連書を物色したが、適当な本が見つからなかった。谷口義明著の『宇宙はなぜブラックホールを造ったのか』が比較的新しい本なので、読んでみた。肝心の点はほとんど触れられていなかったが、本書はこれはこれで面白かった。
著者の谷口義明は、「1954年北海道生まれ。東北大学理学部卒業。同大学院理学研究科天文学専攻博士課程修了。理学博士。東京大学東京天文台助手などを経て、現在、放送大学教授。専門は銀河天文学、観測的宇宙論。すばる望遠鏡を用いた深宇宙探査で、128億光年彼方にある銀河の発見で当時の世界記録を樹立。ハッブル宇宙望遠鏡の基幹プログラム「宇宙進化サーベイ」では宇宙の暗黒物質(ダークマター)の三次元地図を作成し、ダークマターによる銀河形成論を初めて観測的に立証した。」
読みながらというか本書を脇に幾度も連想する歩く哲人詩人俳人学者作家を列挙してみたり、歩くから連想する本や作品を脳裏に渉猟してみたり。そうでもしないと持たない。読み続けられない。
味読できなかったのは、吾輩の読むときの体調が思わしくなかったのだろうか。やはり、書店で手にした際、文体に違和感を覚えた、その直感を大事にすべきと反省。いい本かどうかの判断は避ける。吾輩の感性にはヒットしなかったのだ。
読むこと、書くこと、居眠りすることが好き。生活のために仕事も。家事や庭仕事もなんとか。
読書は雑食系かな。でも、読めるのは月に十数冊なので、実際には幾つかのジャンルに限られてるみたい。
苦手なのは、専門書や法律、マニュアル本など。
小説やエッセイを書いたりしてます。
バイクでのミニツーリングを折々。
グルメ、スポーツ、コンサートも楽しみたいけど、仕事や家事でなかなか実現しない。昨年(23年)末、薪ストーブ設置。庭木の枝葉を焚き火代わりに燃やしてます。薪はなくて柴だけなので、心底寒い時だけ。焔と共に柴の燃えてはぜる音が心地いい。
外部ブログも20年以上になりました:
日々の日記:「壺中山紫庵」 http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/
創作の館:「壺中方丈庵」 http://atky.cocolog-nifty.com/houjo/
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二作目(三作目)と曖昧なのは、『ロング・グッドバイ』を読んで、数年も経たないのに、『長い別れ』を読んだのです。途中まで、『ロング…』の別人訳と気付かなかった。訳者が違うとこうも違う…って言い訳は通らんね。勿体ないので最後まで読んだけどさ。