
フランス革命後のフランスは…世界全体が、人類全体が病んでいると感じていたミシュレ。だからこそ、自然に救いを求めた、病んだ人類を癒してくれるだろうと。大きく言えばデカルト以降の近代西洋人へ真っ向から異を唱えたロマン家だったのだろう。
海も山も生きている。ほとんど神秘思想と見紛うような叙述が続く。ギリギリ神秘思想と峻別させるものは、ミシュレの「覚醒」、明晰なる意識だったと、解説の大野一道氏は語る。なんといっても稀代の歴史家としての前提があるのだ。ま、難しいことは抜きにして、『海』ともども『山』を虚心坦懐に楽しむことを薦める。 それにしても吾輩は、ミシュレの偉大さに気付くのが遅かったと悔しい思いが一杯である。
ポオが晩年当時に知り得た宇宙論(天文学)の知識をこれでもかと盛り込みつつ、ポオの想像力全開の詩的宇宙論だ。 ポオの死は1849年40歳で急死している。宇宙論(天文学)は当時とは隔世の感の違いがある。相対性理論も量子力学もブラックホールも重力波(の検出)も、ダークエネルギーやダークマターすらもポオが知る由もない。
こうした知識を踏まえて、現代のポオが居たなら、どんな今日版『ユリイカ』像を作り上げるだろう。学者の描く科学的宇宙像はそれなりに散見しえるが、吾輩が求めるのは想像力全開の新・詩的宇宙論なのだ。 埴谷がいう如く、ポオが喝破した《神の心臓の鼓動》像を凌駕し得る描像でなければならない。至難の業(わざ)であることは言うまでもない。ひたすら期待するばかりである。
一方、第6章以降の、ザミャーチン『われら』、ソローキン『マリーナの三十番目の恋』、ペレーヴィン『ジェネレーション〈P〉』などは何れもロシア文学がここまで怪物的なことに驚かされた。特に、第11章の「可能性としての女性文学 ナールビコワ『ざわめきのささやき』/トルスタヤ『クィシ』/スタロビネツ『むずかしい年ごろ』」などは全く未知の世界だった。本書の感想など僭越だろう。とにかく本書で知った作品を一つでも読むしかない。
なんといっても、相対性理論と量子力学との統一理論である「大統一理論」がまだ成らないことがネック。前途遼遠なのか、案外と近い将来展望が開けるのか。 ところで著者は人柄もあってか斯界でかなり人脈が広く、現役の専門家の話も多々語られているのだが、残念ながら日本人の専門家との交流は少なそうで、日本の斯界への貢献の話が乏しかったのが残念。
アメリカも黒人の悲惨極まる歴史が知られているが、イギリスがこんなにも暗澹たる黒人蔑視などの歴史のあったことに悍ましさを感じてしまう。黒人、黒い、闇の歴史。 本書の本文末尾に、「黒いイギリス人は、黒人人口の増大、異人種間の結婚、文化・スポーツ面での活躍により、いまや違和感なく語られ、世界中に可視化され、日常にも溶け込んでいるといってもよかろう」などとあるが、俄かには信じられない。黒人などカラー蔑視はそんなに呆気なく熔解するものだろうか。
本文にもあったが、一般民衆の間では異人種間の結婚が稀ではなくなっているとしても、いわゆる上流階級の間では白いイギリス人至上主義は頑なに維持されているのではなかろうか。ダイアナ妃の死亡事件も異人種の血への忌避の念が背景にあったのではなかったか。
本書は、40年以上前に刊行され、91年に同時代ライブラリー版として再刊された。その際、あとがきとして「補章 風景が離陸するとき」が、付された。その中に、『注文の多い料理店』からの抜粋が載ってる。これが印象的だった:「これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。」
防衛予算より防災こそが急務だ。道路を橋をトンネルを下水道を鉄道(リニア新幹線は必要なのか。危険じゃないのか)を農地を…国土を保全し国民を守ってこその防衛じゃなかろうか。
本書の内容案内に、 「東日本大震災によって日本列島は地震や火山噴火が頻発する「大地変動の時代」に入った。」とあるが、本書では、阪神淡路大震災によって日本列島は地震や火山噴火が頻発する「大地変動の時代」に入ったのですと書いてあった。
余談だが、平安時代と現代とに共通することが一つ。それは、共にマグニチュード9の巨大地震が発生したこと。東日本大震災は千年に一度の震災だったのだ。 (下記参照) 「日本地質学会 - 平安時代の「日本三代実録」の地震・津波・噴火記録:地震西進系列の白眉」 https://geosociety.jp/faq/content1052.html
読むこと、書くこと、居眠りすることが好き。生活のために仕事も。家事や庭仕事もなんとか。
読書は雑食系かな。でも、読めるのは月に十数冊なので、実際には幾つかのジャンルに限られてるみたい。
苦手なのは、専門書や法律、マニュアル本など。
小説やエッセイを書いたりしてます。
バイクでのミニツーリングを折々。
グルメ、スポーツ、コンサートも楽しみたいけど、仕事や家事でなかなか実現しない。昨年(23年)末、薪ストーブ設置。庭木の枝葉を焚き火代わりに燃やしてます。薪はなくて柴だけなので、心底寒い時だけ。焔と共に柴の燃えてはぜる音が心地いい。
外部ブログも20年以上になりました:
日々の日記:「壺中山紫庵」 http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/
創作の館:「壺中方丈庵」 http://atky.cocolog-nifty.com/houjo/
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なんといっても、相対性理論と量子力学との統一理論である「大統一理論」がまだ成らないことがネック。前途遼遠なのか、案外と近い将来展望が開けるのか。 ところで著者は人柄もあってか斯界でかなり人脈が広く、現役の専門家の話も多々語られているのだが、残念ながら日本人の専門家との交流は少なそうで、日本の斯界への貢献の話が乏しかったのが残念。