お陰様で仕事がやや忙しく読書は低調……底難く地道に。 2023年3月の読書メーター 読んだ本の数:13冊 読んだページ数:4685ページ ナイス数:7291ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/556130/summary/monthly/2023/3
本書については、折々に感想やメモを残してきた(ブログにも日記として)。「人間、動物、障害など全く新しい視点を与えられた。下手な哲学書より命、肉体を考えさせられている」とか。あまりに考える材料が多すぎる。人間とは、…動物としての人間とはを根底から問いかける深甚なる書なのである。
以前も書いたが、「人に勧めたい本には、楽しめる意味と、読むべき内容の意味があるとしたら、本書は明らかに後者。動物をペットとしか見なさない人には無用かもしれない。でも、動物を生き物として地上世界を共生する仲間と感じる人には大いに考える材料に満ちた書」なのである。
辺一夫は、高名なるフランス文学者・評論家で、「ルネサンス期フランスのフランソワ・ラブレーやエラスムスなどの研究、及び『ガルガンチュワとパンタグリュエル』の日本語訳で知られる」方。非学な吾輩には、「大学教授として、二宮敬、串田孫一、森有正、菅野昭正、辻邦生、清岡卓行、清水徹、大江健三郎ら数々の文学者を育てた」のほうが興味深い。吾輩は同氏の学識よりも翻訳で世話になっていた…?
大江が一時とはいえ師事を決心したほどの学者だが、本書の内容は人柄を現わしてか結構、赤裸々で新聞で書くのは普通は憚られるような話題も数々。気軽に読める随筆だが、「渡辺一夫著作集」に所収となっているかどうか、分からない。
尤も、訳者である寺尾 隆吉によると、ジョサの読みを称えつつも、「エルネスト・サバトのような深い思索には欠けるし、時として教条的・独断的になりすぎるきらいがないではないが、その分内容はわかりやすく、新鮮な視点を提供してくれる」となる。「ラテンアメリカ各地で文学研究に従事」した専門家ならではの指摘か。ド素人の吾輩は存分に楽しんだし教えられることも多かった。敢えて十日間を費やして読んだのである。
最後に訳者を紹介:「寺尾隆吉 1971年名古屋生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。メキシコのコレヒオ・デ・メヒコ大学院大学、コロンビアのカロ・イ・クエルボ研究所とアンデス大学、ベネズエラのロス・アンデス大学メリダ校など6年間にわたって、ラテンアメリカ各地で文学研究に従事。政治過程と文学創作の関係が中心テーマ。現在、フェリス女学院大学国際交流学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)」
「全卓樹:京都生まれの東京育ち、米国ワシントンが第三の故郷。東京大学理学部物理学科卒、東京大学理学系大学院物理学専攻博士課程修了、博士論文は原子核反応の微視的理論についての研究。専攻は量子力学、数理物理学、社会物理学。量子グラフ理論本舗/新奇量子ホロノミ理論本家。ミシガン州立大、ジョージア大、メリランド大、法政大等を経て、現在高知工科大学理論物理学教授、高知工科大学図書館長。著書に『エキゾティックな量子――不可思議だけど意外に近しい量子のお話』、『銀河の片隅で科学夜話』などがある。」
とにかく読みやすく理解しやすい。技術的専門的な細部には深入りしていない。索引がないのは、専門書じゃないという意味合いなのか。用語の説明は文中にあるものの、あとで出てくる際は既知の用語として使われる。そこはスマホで? ちょっと惜しい。
書き忘れちゃあかん! 下巻でドラマチックだった記述。本書に関連して取材しインタビューなどの最中にコロナ禍に遭遇。本書では最先端の研究者や製薬会社、政治家らがどう動いたか、まるでドキュメントのように……コロナ禍と同時進行で描かれている。感動的なのは、普段は研究の苛烈な先陣争いを演じている研究者等が、一時休戦して一致協力してコロナ禍に立ち向かったこと。だから欧米ではあれほど早くワクチンを作るなどの対応が出来たのだ。
漆間 元三のプロフィール:大正11年富山県下新川郡朝日町に生まる。昭和16年富山県立青年学校教員養成所卒業。現在黒部市文化財審議会委員。富山市文化財審議会委員。主な著書に『田植の習俗』『振茶の習俗』『祭礼行事 富山県』『富山県歳時習俗』(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)『続 振茶の習俗』より
ウーバー体験など学者による体当たりの(?)実体験のドキュメントとして、それなりに面白いし、健気だが、いざそこからくみ上げるべき当該業界の問題の解決策となると、現実の壁の分厚さに圧倒され、答えらしきものは見いだせない(← 当然か)。
チェーホフは作家たること、表現者たることを常に意識してきた。作家としての自覚を強く持続させた。若いころに某老作家に文才を浪費するものだという忠告を受けたことも転機になったとか。その忠告をしっかり受け止めた。
その辺りも含めて訳者の解題が非常に参考になる。蜂飼耳による解説も付されている。本書は、『チェーホフ・ユモレスカ 傑作短編集I』。つまりⅡがある! なんてありがたいことだろう!
ジェイムズ・P・ホーガン(に限らないが)は、科学や技術の蘊蓄を貪欲に取り入れ語り尽くしていく。科学・技術の負の側面を無視せずに、しかしその可能性をSFならではの表現の舞台で追求し表現する。そんなSFなら大好きだ。
だけど、いまの吾輩は、というか、今も昔も、科学技術は、その突端で活躍する専門家の書で(かなり後方からだが)追いかけるようにしている。並のSFよりスリリングな読書体験になることが稀ではないのだ。 現下のSFで、(並列してみるのも筋違いだろうが)最先端の科学者の知を突き刺すような作品はあるのだろうか。
とにかく読みやすい。女性科学者だからこその試練もあって、競争社会アメリカで科学者として革新的技術を開発する、波乱万丈の物語としても読める。熾烈な競争が繰り広げられてきたが、本書では競合する相手らへも取材を重ねている(というか、本書の情報源はかなりがインタビューだ)。専門的な部分はサラッと叙されており、知的な興味を掻き立てる要素は薄い。それより人間ドラマの色彩が濃い。
著者は、「1918年、愛媛県に生まれる。京都大学文学部哲学科卒業。哲学者。元法政大学文学部教授。1989年歿。」同氏の本を読んだ記憶がない。イメージ的にはジャコメッティやクレー、モディリアニなどの評論の印象が強い。かなり詩論にも力を入れていたようだ。鵺のような小林秀雄相手に奮闘する論考が印象的だが、空回りの感が強い。
悲しいかな本書を読んでも、ボードレールやリルケ、ヴァレリーへの理解が深まったとは言えない。そんな安直なもんじゃないが。繰り返しだが、仕事の合間に手にするのは無謀だった。
読むこと、書くこと、居眠りすることが好き。生活のために仕事も。家事や庭仕事もなんとか。
読書は雑食系かな。でも、読めるのは月に十数冊なので、実際には幾つかのジャンルに限られてるみたい。
苦手なのは、専門書や法律、マニュアル本など。
小説やエッセイを書いたりしてます。
バイクでのミニツーリングを折々。
グルメ、スポーツ、コンサートも楽しみたいけど、仕事や家事でなかなか実現しない。昨年(23年)末、薪ストーブ設置。庭木の枝葉を焚き火代わりに燃やしてます。薪はなくて柴だけなので、心底寒い時だけ。焔と共に柴の燃えてはぜる音が心地いい。
外部ブログも20年以上になりました:
日々の日記:「壺中山紫庵」 http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/
創作の館:「壺中方丈庵」 http://atky.cocolog-nifty.com/houjo/
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ジェイムズ・P・ホーガン(に限らないが)は、科学や技術の蘊蓄を貪欲に取り入れ語り尽くしていく。科学・技術の負の側面を無視せずに、しかしその可能性をSFならではの表現の舞台で追求し表現する。そんなSFなら大好きだ。
だけど、いまの吾輩は、というか、今も昔も、科学技術は、その突端で活躍する専門家の書で(かなり後方からだが)追いかけるようにしている。並のSFよりスリリングな読書体験になることが稀ではないのだ。 現下のSFで、(並列してみるのも筋違いだろうが)最先端の科学者の知を突き刺すような作品はあるのだろうか。