フォークナーが社会を腐食させる白蟻と名付けた「スノープス的」なるものの権化が、ヨクナパトゥーファ群だけでなくアメリカ中に広がっているのだ。いや他所のことではなく我が国も含め世界中に。優れた小説は予言的だ。「町」は、今こそ読むべき小説だと思う。
少し思いが先行し過ぎた。(ポーランドの元大統領ワレサ氏の表明を読んだのが大きい。)フォークナー最後の大作「スノープス三部作」の第二部は、少年、弁護士、訳知りの行商人の三人の語り手が、第一部「村」で、卑劣な手で成り上がる元手を作り、ジェファソンと言う中心の町に進出したフレム・スノープスがさらに狡猾にのし上がる顛末を語る小説。
自分の私利私欲の為には、同じ一族だろうと、妻だろうと、自分の子ではないが、娘だろうと利用する。それでいて体面は取り繕う。それがこの小説の主題だけれど、対旋律として弁護士ギャヴィン・スティーブンスの悲恋も描かれる。愛を持たないフレムと愛するが故に断念せざるを得ないギャヴィンの物語でもある。偽善と自己犠牲の闘い。結末は残酷だ。
2024年10月に参加したばかりですが、よろしくお願い申し上げます。ここしばらくは、学生時代好きだったフォークナーを読み直しています。
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フォークナーが社会を腐食させる白蟻と名付けた「スノープス的」なるものの権化が、ヨクナパトゥーファ群だけでなくアメリカ中に広がっているのだ。いや他所のことではなく我が国も含め世界中に。優れた小説は予言的だ。「町」は、今こそ読むべき小説だと思う。
少し思いが先行し過ぎた。(ポーランドの元大統領ワレサ氏の表明を読んだのが大きい。)フォークナー最後の大作「スノープス三部作」の第二部は、少年、弁護士、訳知りの行商人の三人の語り手が、第一部「村」で、卑劣な手で成り上がる元手を作り、ジェファソンと言う中心の町に進出したフレム・スノープスがさらに狡猾にのし上がる顛末を語る小説。
自分の私利私欲の為には、同じ一族だろうと、妻だろうと、自分の子ではないが、娘だろうと利用する。それでいて体面は取り繕う。それがこの小説の主題だけれど、対旋律として弁護士ギャヴィン・スティーブンスの悲恋も描かれる。愛を持たないフレムと愛するが故に断念せざるを得ないギャヴィンの物語でもある。偽善と自己犠牲の闘い。結末は残酷だ。