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2024年3月の読書メーターまとめ

藤月はな(灯れ松明の火)
読んだ本
32
読んだページ
10275ページ
感想・レビュー
19
ナイス
1598ナイス

2024年3月に読んだ本
32

2024年3月のお気に入り登録
2

  • のりまき
  • namakemono

2024年3月のお気に入られ登録
7

  • のりまき
  • V8おじさんと空飛ぶコロッケ
  • アヒル
  • nahayon_
  • 轟直人
  • Nishiumi
  • namakemono

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

藤月はな(灯れ松明の火)
表紙の犬の顔が大変、味があって視線が惹きこまれてしまう。「ホテルの解体」は力を持ち過ぎた統治者による行き過ぎた国粋、または内縁主義の弊害を皮肉っているかのようだ。「動物界のファルスタッフ」や「彼らもまた」は笑劇と受け取るか?私の感想は「否」である。ここで描かれる動物たちと人間に7果たして大きな違いはあるだろうか。あったとしても些細な違いではないか!「進歩的な犬」は時世の残酷さと生存の為に順応してしまう思想の浅薄さが滑稽でありながらも物悲しい。「大洪水」のオチに苦笑しつつも「いつもの場所で」の贖罪にしんみり
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/03/20 20:21

「アスカニア・ノヴァの実験」は人倫を越えた科学の先に生み出された者を思いを馳せるしかない。生み出した者も果たして上手くいくのか?「ティラノサウルス・レックス」は予告された災厄に向き合う人々の姿に暗澹たる気持ちになる。「憎しみの力」は映画『ジョン・ウィック』や『老人と犬』が好きな人は是非。「エンジン付きの野獣」はこれから徐々に暖かくなっていくにつれて夜中に同じ場所に帰巣本能のように駆け戻ってくる「エンジン付きの野獣」に眠りを脅かされ、邪魔され、悩まされ、遂には殺意をも催した方にうってつけの短編です。

が「ナイス!」と言っています。

2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

藤月はな(灯れ松明の火)

明日のお弁当は餃子、長芋のフライドポテト(ゆかり風味)、えびニラ、椎茸のチーズ焼きです。えびニラは乾燥桜エビとニラを胡麻油で塩胡椒で炒めただけ。しかし、エビと胡麻の香ばしい風味と韮の旨みが絡み合い、箸が止まらなくなります!長芋はじゃがいもより、揚がり易いので急いで作りたい時は便利。今回はゆかりふりかけを合わせました。そしてビタミンD(椎茸)×チーズ(カルシウム)という、骨が気になる時には最強の組み合わせの椎茸のチーズ焼き。更にチーズの下には雑魚も隠れています。

明日のお弁当は餃子、長芋のフライドポテト(ゆかり風味)、えびニラ、椎茸のチーズ焼きです。えびニラは乾燥桜エビとニラを胡麻油で塩胡椒で炒めただけ。しかし、エビと胡麻の香ばしい風味と韮の旨みが絡み合い、箸が止まらなくなります!長芋はじゃがいもより、揚がり易いので急いで作りたい時は便利。今回はゆかりふりかけを合わせました。そしてビタミンD(椎茸)×チーズ(カルシウム)という、骨が気になる時には最強の組み合わせの椎茸のチーズ焼き。更にチーズの下には雑魚も隠れています。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
19

藤月はな(灯れ松明の火)
子供達が迷い込んだ「魔法の庭」には何もかもが備わっており、魅力的である。しかし、子供たちはそこで思う存分、安らいで遊ぶことはなかった。庭には何故か、分別を強いられるようなものがあったからだ。きっとあの庭はエデンのようなものだったのだろうと私は思う。「いたずら」はほんの些細な事が後々も心を温める。そんなかけがえない一瞬になる事は誰しもあるのだ。「燃ゆる頬」は再読。矢張り、男色を匂わせる場面よりも脊椎カリエスの跡を撫ぜる場面の方がエロティックだ。だがラストの若き生命力の伸びやかさによってその恍惚と淫靡さは霧散
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/04/03 23:46

そんな彼が信子の謎めいた性格と女体美に屈服する様は実にスリリングだ。「屈服」とは時として相手を知ろうと歩み寄る事に繋がるのかもしれない。「十日の菊」は苦渋を呑んで最愛の人を迎える準備ができた男はハタと気づく。最大の恋敵が「若さと無鉄砲ながらも生きる希望に満ちた自分」であることに!ある意味、丸く、収まるラストですが、自己完結的と言う意味合いが強いのが否めない。女性側の視点も書かれていたらまた、感想も変わるでしょうね。「帰還」は兵役から帰還した男が目の当たりにする家族の現実。バランスは崩れ、生活に喘ぎながら

藤月はな(灯れ松明の火)
2024/04/03 23:53

精一杯、夫/父をもてなそうとする家族に対し、見当違いの方向で拗ねるイワノフの頬を何度、引っ叩きたいと思ったか!とは言え、丸く、収まって良かったよ。「彼」は今まで培われてきた自尊心が夫に依存する事で生まれたものだと気づいたアニー。そして周囲はそれを後押ししようとしている。この不毛さに何故、この時に気づかせたのか。アニーがどういう選択をするのかはオープン・エンドとなっているので余韻が引きますね。「源氏君の最後の恋」は再読だが、やっぱり、光源氏は最低だから嫌いだと罵らずにいられない。

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藤月はな(灯れ松明の火)
不思議でどこか懐かしい寂しさを思い起こさせる短編集。48年経った今も海で亡くなった夫の事が忘れられないアイリス。老い先が短くなった彼女は海にいる夫に逢いに行くことにした。その時に潜水するのは舩ではなく、ワイヤーで繋がれた鐘だという点が斬新過ぎる。弔いの鐘かしら。だが、アイリスがぼやけた視界で見た夫はずっと若い姿のままだという事に衝撃を受ける場面に私もたじろいだ。「喪失の哀しみは時が癒してくれる」。それは真理ではない。アイリスの夫の姿は、癒えない哀しみの象徴でもあり、哀しみの主体が受けた時の重さを鏡として
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/04/06 23:48

映し出してきたのだから。「石の乙女たち」はあと一日で石となってしまう事実に直面した女性の最後の一日。残り少ない自分の時間はかつて共にいようとしたけど、交わらなかった元パートナーによって浪費されるが、事務的に自身の処分を下すより、彼女にとって良かったのだと思う。そしてこの物語はいつものように過ごすも或日、突如としていなくなってしまった人々の心情を描いているのではないか。そう思うと亡くなった家族のことを重ねてしまうのです。

藤月はな(灯れ松明の火)
2024/04/06 23:59

「家族」という形における人間関係が困難となるのは何故か。それはそこに割り振られた「役割」によって目を晦まされる事が多いからだ。目を晦まされた結果、家族間の人間関係は自己同一を願うが故の身勝手な期待を抱くか、相手を自分とは別の人間だと思って共感や理解をある程度、断絶する事することがある。「緑のこびと」は前者だ。だが、それが母親が目蓋下に塗っていた緑のクリームによって断絶をより一層、深いものにしている皮肉。「窓の灯り」はこんな侵入者は耐えられない。「精霊たちの家」は『私の家では何も起こらない』を彷彿とさせる。

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藤月はな(灯れ松明の火)
秋から冬にかけて母が柑橘系を貰い過ぎた時、ジャムやマーマレード、更には砂糖掛けピールを作っている光景を見たことがある。この本を読んで改めてお菓子を作れる母のマメさに頭が下がるしかない。本書は柑橘系のマーマレードを中心にしたお菓子とその作り方を紹介。しかし、面倒くさがりの私に作れるのは柑橘系の丸ごとゼリーとフレッシュ紅茶しかないや・・・。レモンカードの作り方やすだちマーマレードで変色を防ぐ為に銅鍋を使ったり・銅を入れたりする事も初めて知りました。
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藤月はな(灯れ松明の火)
(自分達を引き離そうとした)周囲から逃れ、二人っきりでいられる家を手に入れた、歳の離れた男女。二人っきりの世界の成立に喜ぶ男に対し、女はある予感に囚われていた。「だれか、来る」と。そして家の元の持ち主と関りがあった若い男がやってきてから二人の関係は静かに変化していく。一人でいる時は完全な孤独に耐え切れない。だが、愛する人といたとしても全てを理解できる事はない故に余計、寂しさは募るのだ。この虚無感。そして過去や周囲は逃げようとした人間を介して追いかけてくる事へのフラストレーションの立ち上がりも生々しい。
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藤月はな(灯れ松明の火)
家族との休暇中に仕事に呼び出されたマルティン・ベック。内容は鉄のカーテン越しであるハンガリーで記者の行方捜査だった。家族に文句を言われつつもセンセーショナルな記事を打ち出したいマスコミとそれによる外交上の不利益を防ぐ為に飛んだマルティン・ベック。ずっと来たいと願っていたブダペストに来たのに仕事・一週間の期限付きという所が悲しい上、コルベルの被害者への辛辣な評が事件解決後に待ち受けるものを思うとどうしても同感したくなる。ところでザリガニ料理ってロブスターの事かしら?そしてアプリコット・ブランデーが美味しそう
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藤月はな(灯れ松明の火)
ネタバレ子供だろうと不条理と戦い、周囲を慮り、内心を押し殺さなければならない現実がある。そんな子供たちが夜中でも更なる理不尽と向き合わなければならないってどんな地獄なの・・・?子供達が向き合う怪異が、ジョハリの窓における「私も他者も知らない自分」に相当するのではないかと考えた時、戦慄した。何故なら、怪異が子供の昼の日常にもチラチラと出てくる規則は当事者が置かれている現状が起点になっているからだ。更に啓君の担当した「まっかっかさん」に対しても「沈静化」しただけで「消滅」した訳ではない絶望!これ、本当に脱出できるの?
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藤月はな(灯れ松明の火)
「地下室」から心を鷲掴みにされる。両親が留守の中、フィリップは心を躍らせていた。子供が大人の世界を垣間見た時の冒険心が擽られる様子と言ったら!だが畏怖交じりの尊敬を抱いていた大人の情けない姿や自身になる自己保身を認めた時、憧れへの幻滅は生まれ、子供を非情にさせるのだ。子供が「処世術」と呼ばれるものを身に着けるまでの過程、稚気という「無責任」を振りかざす大人の仲間意識の崩壊がシニカルに描かれた秀作。「双生児」は片割れの喪失への理解が物哀しい。「見つけたぞ」の題名の意味も作者の職を知るとゾッとしてしまう。
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/04/02 21:09

「無邪気」はしばしば、若き日を懐かしむする人にはうってつけの物語でしょう。ただ、同時に変わってしまった自身への汚さに気づくという苦いおまけも呼び起こされますが・・・。「田園のドライヴ」は倹しく生きる両親のようにはなりたくないと願う娘の冒険が一気にサスペンス、そしてホラーじみたものに切り替わる様に読者も翻弄される。元の黙阿弥になって良かったのか否かは今後の彼女次第だろう。「二度目の死」の奇跡への恐怖心に『事の終わり』での真相の提示と奇跡が起きたが故の苦さを思い出さずにはいられない。

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藤月はな(灯れ松明の火)
生存の為に状況に適応せざるを得ない自我がはみ出してきそうな小説とプロレタリア文学が多く、収録。特に「待つ」は予感に震える自我が今にも身体から溢れて零れ落ちそうな、弾んだ文体が印象深い。そしてこの語り手の年齢を変えると読み心地が変わってくるのも不思議である。「施療室にて」で獄中に行く前に産まなければならない女に赦しを請う男に情けなさよりも愛情が募る様子、子供を失ってから獄中に送られる悲哀と静かな反骨心の屹立の様子が力強い。「闇の絵巻」は暗闇の描写は本質を捉えており、白眉だ。
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藤月はな(灯れ松明の火)
ネタバレ再読。初読時には感じなかったけど、今なら分かる。お茶をしている時に突如、得意げに話しかけ、尚且つ、聞いている側(特に女性)を馬鹿にするような初老がいたら絶対、「何だ、この当たり屋的爺め」とむかっ腹を立てずにいられないという事を!また、老人の推理は、動機から考えれば犯人はその人しかあり得ないと思わせる。一方でそれを証明する手立てが状況証拠しかないので真相なのかどうかも暈されているのだ。この憎たらしさよ。しかし、「パーシー街の怪死」で全ての短編の印象が擦れる。老人が話したのは懺悔故か、今までを踏まえての侮りか
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藤月はな(灯れ松明の火)
ネタバレ米澤穂信氏の書評からずっと気になっていた本がまさかの地元の図書館に所蔵!他のミステリーと一緒に「大漁じゃ♪」とホクホクしながら本の重みを感じる幸せよ^^早速、最初の登場人物での探偵役、シャンフィエの紹介に噴く事になりました。車の故障から職を首になるのと引き換えに田舎の町に留まる事になったシャンフィエ。人間の三大欲求に忠実なこの街の名物料理は毎週木曜日に供される「狩人風ウサギ料理」だ。だが、この料理が出る日は必ず、殺人が起きるのだ!事件を巡るジレンマにコロナ禍での緊急事態宣言を思い出さずにはいられなかった。
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藤月はな(灯れ松明の火)
ネタバレ映画『PARFECT DAYS』で読まれていた本だったので興味を持ち、読む。しかし、全く、歯が立たなかった。特に分からなかったのが「野生の棕櫚」。家族を捨てて駆け落ちしたシャーロットと医学生のハリー。だが二人には駆け落ちに不可欠な情熱が全くない。そもそも、医学生であったハリーはシャーロットの宣う「完全な愛」に唯々諾々と流されるだけだ。また、シャーロットも自分への誠実さを重んじるが余り、自分以外の人間を蔑ろにする事を平気でする。更に駆け落ちが夫公認によるものだったという事から私の中の戸惑いは呆れへと変わった
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藤月はな(灯れ松明の火)
クリスティ作品では異色。何故なら古代エジプトの田舎の一族の内紛を描いているからだ。しかし、時代や場所が変わっても通用するドラマ作りは流石、人間観察と人生の綾に通じたミステリーの女王、アガサ・クリスティ女史である。当主が若く、美しい都会の愛妾を連れて帰ってきてから一族に暗雲が立ち込める。最も不和の種は愛妾が来る前から既に芽吹いていたのだが・・・。現在の女性から見たら自分なりに考えもしないし、地雷を無自覚に踏みまくる最初のレニセンブに苛々し通し。そして卑屈でいて不和を囁くへネットは『熱い空気』の信子のよう。
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/03/20 20:57

真相を知るとある人物の変わり方の意味に納得。そりゃ、そうなるよね・・・。個人的に「家族愛が深いが故に莫迦」と周りから評されていたカイトが夫や義父に象徴される「男性」へ抱いていた軽蔑や憎悪をレニセンブへ吐露する姿は、私も似たような感情を捨てきれないので一番、印象深い。

が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
マルティン・ベックシリーズで一番、名高い『笑う警官』を読んだのはずっと前だ。だが、シリーズでは本書が第一作目で『笑う警官』が第9作目だったなんて!?アメリカから来て無惨な死に方をした若い女性。迷宮入りになる可能性も視野に入れた上、彼女の生前の関係を地道に調べていく。その時、暴かれていく被害者の人間性に私情や予断を入れない上、加害者も自分達と同じ人間であると頭の隅にとどめておく姿勢が素敵だ。これぞ、警察官の鑑だ。しかし、流石にソーニャを囮に使い、危険に陥った時はその危なっかしさにハラハラしましたが・・・。
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藤月はな(灯れ松明の火)
日本文学は文語調から口語調へ完全移行。「倫敦塔」は慣れない留学生活の中、ロンドン塔へ赴いた夏目漱石の随筆である。塔の雰囲気から二人の王子が幽閉されていた当時に思いを馳せる中、ジェーン・スチュアートの亡霊に逢う。しかし、現地のガイドの無粋さに腹を立てる。この両者が始終、理論的な筆致で綴られるので幽玄な世界から現実に引き戻された興醒め感がより一層、感じられます。「団栗」は寺田虎彦氏の妻の思い出が何でもないが細やかな幸福に満ちている分、愛児に亡き妻の面影を見出し、幸福を願うのが切な過ぎる。
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/03/20 23:37

「深川の唄」は電車の様子がまさにこの本の表紙の「夜汽車」(赤松鱗作)そのもので吃驚した。この作品で近代化した東京を嘆いていた永井荷風氏だが、彼が今日の日本を見たらどう思うだろうかと思うと怖いものがある・・・。「村の西郷」は法螺吹きで乱暴者だが、学に明るく、子煩悩な西郷こと源吉は確かに愛すべき人であった。「雪の日」の別れた妻への未練が妄想となって現実へ左右する様は森見登美彦作品っぽい。「剃刀」はルーティンワークが崩れる時に感じる勘性の高まりとそれを無理に押し通そうとするが為の落ち着きのなさがサスペンスチック

藤月はな(灯れ松明の火)
2024/03/20 23:47

「山の手の子」は御屋敷暮らしの作者と下町の子の友情や慕情が境遇によって引き裂かれる。だが、ラストの相手がどう思っていたかを考えずに過去のほろ苦い甘やかさに浸る様にイラっとするのは私の僻みだろうか?「澪」は情と押しの強い過去の女に引き摺られる役者の心情変化が嫌味なく、具に綴られている。女はあの手この手で好いた男(だが、実際生活では苦労し、やがては解消のなさに憎み合うだろう相手でもある)で駆け落ちを画策するが、女の家業の番頭の方が一枚上手だったオチが鮮やかだ。

が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
表紙の犬の顔が大変、味があって視線が惹きこまれてしまう。「ホテルの解体」は力を持ち過ぎた統治者による行き過ぎた国粋、または内縁主義の弊害を皮肉っているかのようだ。「動物界のファルスタッフ」や「彼らもまた」は笑劇と受け取るか?私の感想は「否」である。ここで描かれる動物たちと人間に7果たして大きな違いはあるだろうか。あったとしても些細な違いではないか!「進歩的な犬」は時世の残酷さと生存の為に順応してしまう思想の浅薄さが滑稽でありながらも物悲しい。「大洪水」のオチに苦笑しつつも「いつもの場所で」の贖罪にしんみり
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/03/20 20:21

「アスカニア・ノヴァの実験」は人倫を越えた科学の先に生み出された者を思いを馳せるしかない。生み出した者も果たして上手くいくのか?「ティラノサウルス・レックス」は予告された災厄に向き合う人々の姿に暗澹たる気持ちになる。「憎しみの力」は映画『ジョン・ウィック』や『老人と犬』が好きな人は是非。「エンジン付きの野獣」はこれから徐々に暖かくなっていくにつれて夜中に同じ場所に帰巣本能のように駆け戻ってくる「エンジン付きの野獣」に眠りを脅かされ、邪魔され、悩まされ、遂には殺意をも催した方にうってつけの短編です。

が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
ネタバレミステリ好きの大御所が当時、最先端だったミステリを掲載していたのはミステリ・マガジンの前身、EQMMに掲載されていたミステリ評論&エッセー集。最近、日の目をまた、観るようになったクウェンティンの探偵作品への評や文学作品もミステリと十把一絡げにする風潮への違和感など、ピリリと効いたウィットに舌鼓。知っている作品には「そういう描写もあったな」と「そんな描写、あったっけ・・・?」が交互に繰り返す。我が記憶力の衰えよ・・・。また、ユーモア・ミステリを執筆したクレイグ・ライスの不可解な死に言及しているのには吃驚した
が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
「選ばなかった後悔より、選んだ後悔」と言う言葉がある。この言葉は、環境に負けず、痛みや犠牲、周囲を蔑ろにしても自ら選ぶ事を重き価値が置かれ、尊ばれる事を象徴しているかのような言葉だと思う。では、選ばなかった事は価値が低いのか?『人魚姫』の演劇を通して自らのセクシャリティ/ジェンダーと向き合った高校生。その象徴となったトランスジェンダーの「真砂」は転換できず、「眞靑」になるしかなかった。真砂が就活前に性転換を目指していた理由に就職活動の履歴書に必ずある性別欄に違和感を感じていた事を思い出し、苦い気持ちになる
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/03/06 22:57

性自認を確立している先輩や同級生に対し、萎縮し、卑屈になる眞靑は真面目過ぎたし、優しすぎたのだろう。そんな眞靑が最も卑屈且つ傲慢になれたのは「可哀想」と思っていた葉月がいたから。でも葉月にとっては彼氏に束縛される今はある意味、幸福なのだ。だって自分が置かれている環境を幸せだと思っている者にとって共に堕ちる事もなく、外野から「貴方の今いる世界は歪で正しくなくて不幸なんだよ」、「他の良い世界があるよ」と言われる事程、身勝手な事はないから。ラストで齎される依存の転換が本当にしんどい。

が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
ネタバレ映画化もされた『ミヒャエル・コールハース』。映画は未見ですが、原作も読みたいと切に願っていました。敬虔なキリスト教徒、ミヒャエル・コールハウスに降りかかる理不尽。だが大事な存在を奪われたコールハウスの復讐は止まらず、民衆の中から賛同者まで出てくる。最初は罵倒していたルターですら彼に同情的になる始末。読みながらその血の気の多さに「ちょっと、落ち着いてくれ」と思う読者でした。終盤、コールハウスは世を騒擾したとして処刑されるのだ。それでも凛然さが失われないのは求めていた事がなされたという安心感もあったからだろう
が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
図書館で見つけた本。最近、太り気味になってきた自戒も込めて借りました。欲が掻き立てられる誘惑が多い世で健康に過ごす腹八分、身体は程よく動かし、夜はよく眠り、心穏やかに過ごす事。空きっ腹に飲酒は危険な事、魚を生で食べる利点、深呼吸の重要性、便秘の治し方、炬燵で寝てはいけない理由など、身体の仕組みや栄養学などと照らし合わせると理に適っているものもあり、その普遍性に驚くばかり。また、積み重ねた養生の重要性は『百姓貴族⑧』での筋肉貯金の例を思い出しました。特に寝る前に足湯を奨める頁は是非、行おう。原典も読むぞ!
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/08/22(5359日経過)
記録初日
2009/05/30(5443日経過)
読んだ本
8436冊(1日平均1.55冊)
読んだページ
2533558ページ(1日平均465ページ)
感想・レビュー
7349件(投稿率87.1%)
本棚
545棚
性別
年齢
31歳
職業
事務系
現住所
三重県
自己紹介

昔はミステリーや怪奇小説好みと読むジャンルは浅かったが、今は面白そうならば、何でも読む。傾向は海外系が多い。岩波文庫と新潮社クレストブック、白水社エクス・リブリス系が好き。悩みはうっかり、全集系に手を出し、全集読破に駆られること。好きな事には感想が(妄想も込みで)長文になる系。
存外、ミーハー。読書では笑いのネタを探してツッコミを入れがち。
尚、本の感想において、いけ好かない登場人物へはブラックな本音も出ますので気を付けてね!
BLも百合もイケる腐女子でもある。しかし、エロより、匂い系が好みというややこしさ。
映画も好き。最近、変な映画を見つけてそれが好みだと物凄い喜びます。本同様、雑食なので映画履歴も常にカオス状態。

ASD傾向強め、ADHD少々でできています。
心の中で未だに消化できない事が原因で「父親」絡みには辛辣な感想になる傾向あり。

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