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2024年11月の読書メーターまとめ

藤月はな(灯れ松明の火)
読んだ本
32
読んだページ
7949ページ
感想・レビュー
23
ナイス
2571ナイス

2024年11月に読んだ本
32

2024年11月のお気に入り登録
4

  • さばずし2487398
  • マミー
  • タンバリン
  • そら

2024年11月のお気に入られ登録
7

  • キヌモ
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  • 山口透析鉄
  • kuroma831

2024年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

藤月はな(灯れ松明の火)
再読。高校生の時に読んだ時は嵌らずに流し読みになってしまった作品。何故、気が乗らない読書になったかの疑問が三つ、分析できた。一つ目は余りにも人物関係が多い上にややこしい事。関係性が把握できないと誰が何をしているのかが分からなかったのが最大の難所だ。二つ目はその関係性が余りにも下世話だというのが当時、潔癖だった私の癇に触れてしまった事。三つ目はミステリーをまだ、多く読んでいなかった事。だが、それなりに下世話になり、ミステリーにも多く、触れ、ちゃんと関係性を頭で整理した上で読むとこの作品は滅法、面白い!
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/10 23:20

砂糖による毒殺トリックで犯人は目星がついたけど、心理的違和感については全く、気づきもしなかったので悔しい。真相にはクリスティの某作品を思い出してしまった。本格ミステリーでありながらも純愛小説に転じるとは流石。そしてこの作品を更に面白くしているのはこの作品の犯人当てに参加した作家たちからの評。江戸川乱歩はもとい、埴谷雄高まで幅広い作家が参加していた豪華絢爛さに眩暈がする・・・。また、荒正人氏が英米文学翻訳家の植松みどりさんと米国文学における黒人文化研究家の荒このみさんの御父君とは知ってお茶を噎せそうになった

藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/10 23:23

戦中の推理小説の一部を各自、参加者に渡して犯人当てをするという企画がもう、楽しそうで!だからこそ、手違いで犯人が判明する部分が当たった時は本格推理ファンにとっては楽しみが奪われるに等しい事だっただろう。

が「ナイス!」と言っています。

2024年11月にナイスが最も多かったつぶやき

藤月はな(灯れ松明の火)

今日もお疲れ様でした。お皿洗いも明日のお弁当作り(大蒜入り麹の唐揚げ、ピーマンと竹輪の梅昆布炒め、南瓜の煮物)も済んだので今からお楽しみに入ります。余った唐揚げとレモン入りラムソーダで晩酌しながら録画したドラマを観るのだ!ささやかながら日々の楽しみがあるって幸せだな

今日もお疲れ様でした。お皿洗いも明日のお弁当作り(大蒜入り麹の唐揚げ、ピーマンと竹輪の梅昆布炒め、南瓜の煮物)も済んだので今からお楽しみに入ります。余った唐揚げとレモン入りラムソーダで晩酌しながら録画したドラマを観るのだ!ささやかながら日々の楽しみがあるって幸せだな
が「ナイス!」と言っています。

2024年11月の感想・レビュー一覧
23

藤月はな(灯れ松明の火)
トランプ大統領の副大統領候補として挙がっていたJ・D・ヴァンス氏。そんな彼が共和党を支持するようになった一端がこの本を読むと見えてくる。嘗ては鉄鋼業で盛んだったもののグローバル化の煽りによって寂れてしまったラストベルト。ブルーカラーは馬鹿にされ、かといって給付頼りで働かず、若くしての妊娠・出産、不和に怯え、ドラッグと酒が家庭にある中、祖父母や姉からの愛情、更に地域の援助で育ってきたヴァンス氏。しかし、彼が海兵隊に入って初めて栄養価を考えた食事を意識したり、自分が決めた限界を超える喜びを初めて知ったという章
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/27 23:41

が余りにも衝撃的だった。愛情だけでは足りない。愛情があっても環境が人を蝕むのだという事実が重く、伸し掛かる。そして成績優秀ながら若くして妊娠・出産、人並みの幸せを求めて男性遍歴を繰り返すも破局してはドラッグに依存する、感情が乱交気流な母親を愛しながらも、実は理解しようとはせずに突き放していた事を悟る所も印象深い。また、ACEについて語る第14章は、家庭の不和によって植え付けられた諦めと不信で人と接する時、心が針鼠状態になる自分にも当て嵌る事があってドキリとしたり。

藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/27 23:46

因みに気性が荒いヴァンス氏の祖父母ですが(一時を除き)民主党支持者です。ただ、一時的とはいえ、お金が必要な事がある人の首を絞めかねないペイディ制度の撤廃への苦言やイェール大学で出逢った生徒たちとの余りの境遇の違いに「彼らは本当にラストベルトなどに住んでいる自分たちの事を理解しているのか?」と疑念に思っていたそうです。ヴァンス氏が副大統領になった時、権力に溺れることなく、社会を変えることができるかが注目になりそうで。。

が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
著者はアメリカの黒人の寄る辺のなさを探るべく、黒人奴隷だった祖先のルーツを探しに生まれ故郷である筈のガーナへ向かう。だが、そこに待っていたのは更なる阻害だった。アフリカ大陸では奴隷は当たり前であり、西欧の入植以前も奴隷狩りは行われていたのだ。また、奴隷にさせられた黒人は自らの異国で「故郷」というルーツの喪失に苦悩した一方、奴隷にされなかった黒人は自国からの柵から逃げ出せない。故にアフリカの黒人は豊かな国を離れてまで故郷を求めたり、奴隷貿易の痕跡に一時的に涙しつつもどこまでも「お客様」な黒人へ嫉妬が隠せない
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/27 23:17

祖国を探りに「帰る」事が掲げられていた時期があったが、帰った彼らも同じ事を味わい、アメリカに帰らざるを得なかったのだと伺えるのが苦い。アメリカで奴隷制度が成り立ってきたのは「父親」の喪失によって相続されない事が長年、奴隷たらしめてきたと指摘する部分が印象的。何よりも劣悪な奴隷交易の痕跡が余りにも観光的になりすぎて逆に風化している描写が衝撃的だ。記録も記憶の共有もされていない歴史は埋もれるしかないのか・・・。

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藤月はな(灯れ松明の火)
私にとってエッセーは危険だ。何故なら、どこに笑いのツボにヒットする部分が仕込まれているか、読んでみないと分からないから。今回、序盤早々、犬の探偵(プラスチック製)に追いかけられるという夢の内容に噴いてしまった。料理本紹介の章は生唾を吞みつつも紹介された料理の作り方を想像したり、ポケミス3選のチョイス所に目を見張ったりと楽しい。特に特捜部Qシリーズへの嘆願は、「カールの罪状」でのとんでもない引きで最終巻が待ち遠しい現在と重なってヘドバンのように頷いてしまう。そしてまた、読みたい本が増えていく・・・。
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藤月はな(灯れ松明の火)
名古屋市美術館に収蔵されている「死の仮面を被った少女」(裏表紙)を観たことがある。目を凝らした時、恐ろし気な仮面を被った少女の瞳が濡れて澄み切っていたのが印象的だった。なのに最初、表紙を観た時、「両さん(両津勘吉)の眉毛みたい」だと思ってごめんなさい・・・。交通事故後も生涯続けて抱えた痛みと愛した者からの裏切りへの苦しみ、ままならぬ現実への憤りや秘めた情愛を絵へ叩き込んだ。このキャンバスそのものが彼女自身の自伝でもある。同時に夫から愛されたかった一人の女性でもあったのが健気である分、切ない。
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/27 21:04

本書は絵を紐解きながらもフリーダ・カーロを知っている人々へのインタビューや取材も交えて展開される。自分が信頼している人は生き生きと描くのに自分が馴染めない人は無機質に描いている事から彼女は自身にも他者に対しても誠実だった事が分かる。後、夫ディエゴとの夫婦関係では男性優位でありながらも芸術家としてではお互いに良き理解者であった。でもフリーダが望んだのは一人の女性としての望みだったのだけど・・・。また、異国情緒を勝手に解釈しては議論ばかりのシュールレアリスト達への罵りが可笑しすぎる。

Vakira
2024/11/28 08:25

両さん!うは!ごめんなさい。

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藤月はな(灯れ松明の火)
静かに概念が消えていく島。その島に住む人々は概念の消失に戸惑いながらも葬り、ない世界へ順応していく事で生活を営んでいた。消えた概念を覚え続けるR氏を救ける主人公も例外ではない。彼女のアイデンティティがどんどん、消えていくまでは。支配の形を知らしめる作中作が怖かった。そして彼女の母親の数少ない作品が失われるにも関わらず、失われた概念を取り戻そうとするR氏に嫌悪感を覚えてしまう。だからこそ、最後、主人公が心情を寄せたのが、失われた記憶に執着して蘇らせようとしていたR氏ではなく、おじいさんとの紐帯だったのに安堵
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藤月はな(灯れ松明の火)
新しいにも関わらず、誰もが何処か、行きたいと思わない公衆トイレ。何故なら幽霊が出るという噂があったからだ。そんなトイレに注意していたのに突如、トイレに行きたくなってしまう少年。それは偶然だったのか、それとも・・・。愛犬と散歩中の少年の後ろに必ず、ぴったりとピンクの乳母車が付いてきているのが不穏。なおこの本はビックリ注意が必要な本です。読む時はお昼、一人で、もしくは慄いても叫んでも大丈夫な誰かと一緒に読むのをお勧めします。しかし、わんこはあのままなのかな。そうだと辛い・・・。
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藤月はな(灯れ松明の火)
遠野におわすごんげさまはお神楽を舞う時に頭に被る面の事を指す。一見、おどろおどろしいが厄除けや火事を防いでくれるごんげさまは地区毎に意匠も個性も異なる。中には座敷に飛び出て暴れるごんげさまもいたそうな。ただ、ごんげさま同士は非常に気性が荒くなり、うっかり、一緒にすると片耳を食いちぎるまで、喧嘩するそうな。だから遠野には片耳のごんげ様がたくさん、おわすが火事消しはちゃんとしてくれるのがいじましい。
が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
夏休みに疎遠だった母方のおじいちゃんの家に預けられることになったフー子。そこで年上の従姉妹達と時計に出逢うことになる。特に時計には重要な秘密があり・・・。時計が導くのはなりたい自分へと導く魔法の庭。だが、それには代償が伴っていた。それは「憧れを抱き、変わろうとする事は、同時に今ある大切なものを蔑ろにして自分自身を見失う事に繋がる事」だ。そしてフー子がおじいちゃんへ「ある事実」を伝えない事を選択したのが印象深い。おじいちゃんのような人はいるけど、その人の事を傷つけて良い訳ではないからだ。
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藤月はな(灯れ松明の火)
子供の頃から忘れがたい一冊だった絵本に神保町にあるバー・リリパットさんで再会。言いつけを守る優しい子は救われ、言いつけを聞かない無慈悲な子は酷い目に遭う、ある意味、因果応報な話。でも私が気に入っているのは絵だと再認識しました。人間でも肌が肌色に描かれない所やクレヨンで下絵をした後に水彩絵の具で前面に色を塗ったようなカラフルな線画が昔から好きです。
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藤月はな(灯れ松明の火)
映画は鑑賞済み。こぐまくんと星を数える為に森に入るはりねずみくん。その後ろをそっとついていく梟にギョッとしていたら案の定だよ!でもよく、みたらはりねずみくんのまねっこしているし、本当は仲良くなりたかっただけなのかな?鯰さんや犬さんがいてくれてよかった。後、安心していられる相手がいてくれて共にお茶ができるって幸せなんだとしみじみと思う。そしてラストで霧の草原の中、佇む白い馬の事を想う場面が幻想的ですね。
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藤月はな(灯れ松明の火)
思い入れのある本程、何度も読み返す。だけど、大切にしていた本でも壊れてしまう。新しいものを買う事を勧められても思い出が深い分、手放せない。そんな本を蘇らせる人が巴里にいた。今は数人しかない本のお医者さんことルリユールについてこの本で知りました。ソフィーがルリユールおじさんの事を知り、出逢うまでに二人の様子が同時並行に描かれているのは何とも映画的。ルリユールさんが師でもあり、憧れの職人でもある自身のお父さんへ問いかける場面に目頭が熱くなった。そして生まれ変わった図鑑はソフィーだけの本となり、別の形で継がれる
が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
再読。子供の頃は分からなかったけど、社会人になってからこの本を読むとジンジャーとピクルスのアンバランスな商売手法に怖くなってくる。ある特定のお客さんに怖がられながらも大繁盛していたジンジャーとピクルスのお店は何故、潰れたのか。繁盛してもひもじいのは切なすぎる。後、調べても先が見えないどころか、貸し倒れになる可能性のある未払い金が出てくる場面や税金の滞納通知にヒェッと息が漏れたのは私だけじゃない筈。片一方に負担が掛かるのではなく、顧客にも商売人にも公平な取引こそ、互いに利を得られるのだと改めて考えさせられる
が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
パンダしか入湯が許可できない銭湯があるという。あるパンダ一家がその銭湯へ行った所を覗いた(!?)所、衝撃の事実が待っていた!銭湯あるある(ビールのお姉さんの広告、銭湯の壁画、風呂上がり後のドリンクなど)がちゃんとパンダ用になっているのが細かい。一方で一番風呂に喜んだり、背中の流しっこ、湯船でまったり、一息、お風呂でついつい、泳いだりしてはしゃいじゃう子供を叱る大人、女性の方がお風呂上りは長いなどはパンダも人間も同じなのだ。皆さんもこの本を読んだ後はこの秘密をくれぐれも口外なさらないよう、お願い致します。
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/20 23:28

今晩は、ヴェネツィアさん。嬉しいお言葉、ありがとうございます。 読んでいない子や人たちの驚きを奪わないようにできるだけ、ネタバレしないように頑張って書きました。

かごむし
2024/11/25 13:21

藤月はなさんのレビューとヴェネツィアさんのコメントを見て、ついつい読みたくなって図書館で予約してしまいました。楽しい読書になりました。ありがとうございました。

が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
絵描きが誰かに頼まれた絵の依頼。それ以降、描かれたものたち絵描きには自分たちが必要としている事を描くように頼む。その結果、世界には新しい命が生まれた。星の描き方が私の知っているものと違っていたので思わず、指で空に描いてしまった。描き続けている内に絵描きの姿は年を取っている事とその顛末でこれは「天地創造」の物語だったのだと気づく。何かを創り出す事で世界が繋がっていく奇跡と不思議に心が躍りました。
が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
ぶーちゃんはお兄ちゃんが大好き。だからまねっこしても楽しい。だけど、お兄ちゃんはまねっこばっかりしてついてくるぶーちゃんにちょっと、うんざりしている。遂に策略を以てぶーちゃんを巻いたお兄ちゃんだが・・・。ここで注目するのは、お兄ちゃんは決してぶーちゃんのせいにはしていない事!だからぶーちゃんはお兄ちゃんが好きなんだろうなと分かるのが微笑ましい。だが、秘密は意外な所でバラされることに・・・(笑)見開きはその後かな。個人的には大盛りオムライスを食べてぱんぷくりんになったぶーちゃんの姿が可愛い。
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/19 23:18

島田ゆか作品で御馴染み、ヤメピとおじぎちゃんも登場。更には玩具や絵本などの形でケロちゃん、ガラゴなどが登場するスターシステム制になっているのが、ファンにとっては楽しいですね。また、ページを捲る度に分かる発見(ケロちゃん人形の視線、動き出す木彫りのヤメピ人形、おもちゃ箱の窓に描かれた変化など)に大人になった今でもワクワクさせられます。

が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
バー・リリパットさんで再読。再読の理由は、髪を纏める際にヘアピンを刺すも髪の量の多さで自然とピンが浮き上がり、ティギーおばさん風になっているからだ(笑)いしいももこさんの翻訳に比べると地の文は大分、大人なのに「ハンケチ」が「ハンキチ」となっていたりとルーシーの幼さ故の舌足らずさが上手い具合に表現されています。そしてティギーおばさんの「どうも、どうもよ」の挨拶が可愛い。
が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
噂のノラネコ軍団シリーズをバー・リリパットさんで読む。怪人二十面相や水戸黄門シリーズのようなお約束のある型なので懐かしさを覚える。わんわんさんのパン屋に(典型的な昭和泥棒スタイルで)忍び込み、パンを焼くノラネコ軍団!しかし、ふくらし粉を入れ過ぎて…。見事なまでの爆破落ちにびっくり。だが、明け方の爆発音で飛び起きるわんわんさん達と彼に詰められて正座姿で神妙に謝るノラネコ軍団、更なるオチ(色んな意味で当然)に笑いを堪えるのに必死にならざるを得ない。成程、このシリーズが子供や大人にも人気になる訳だ。
が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
ノラネコ軍団は今日も懲りない。わんわんさんのアイスの工場へ忍び込み、見事、作りたてのアイスをたらふく、食べる事に成功!しかし、体が冷えるので帰ろうとするも…そこは雪国だったのです!あわや、凍死という危機の中、救ってくれたのはぺんぺん坊ちゃん。そんなぺんぺん坊ちゃんの危機にノラネコ軍団は立ち上がる。ペンギンの最大の脅威の目までしっかりと書き込まれている忠実さに感動。ノラネコ軍団もおとぼけなずる賢さではなく、義理堅い一面も魅せて益々、愛おしい。今回、爆破落ちは無しですが、お約束はちゃんとあります(笑)
が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
怖がりながらも指の隙間からホラーを観てしまう人は多い。私のその一人だ。人は何故、ホラーに惹かれるのかを身体的・脳内変化も踏まえて論じたこの本は楽しい。そして観る人の反応、ジャンプスクエアの効果性、血糊の歴史、ホラーへの入り口と年齢指定、更にはホラーが及ぼす過度な社会的影響への弁論などが縦横無尽の語られるからだ。特にH・G・ギーガー氏によって生み出されたエイリアンの生物としては最高すぎる斬新さと美しさや(スティーヴン・キングも『死の舞踏』で絶賛していた)映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の醸し出す臨場感
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/12 23:21

への論は何度も何度も頷いてしまった。後、「ホラーへのデビューが映画『アンチクライスト』から始まった人はいないだろう」という言及に笑ってしまった。(私の場合、グロはドラマ版『HANNIBAL』とアニメ『PSYCHO-PASS』で慣れ、ホラー映画は映画『キャビン』で紹介された「ホラー映画あるある」が逆に知りたくなってから見始めるようになったので)

が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
再読。言葉にすると不確かになる為に名づけえぬもの、無垢の存在の象徴とされる赤ん坊も生まれるまでの過程で兄弟たち(精子)に対し、抜け駆け、蹴落とす事で生を獲得している事、釈迦やキリストへの欺瞞を寓話で表現するなど、ニヒリズムの弁舌が冴えまくる首猛夫。だが、口から生まれたのではないかと思われる彼が、実の妹や妹の夫の前では大人しくなるのが何だか、可笑しい。そして首猛夫の弁舌に中てられた安寿子も生が誤謬なら男と女の存在意義は何かと問う。彼女の与志への恋慕と彼の考える「虚体」を理解しようとする様は一途だ。
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/10 23:48

与志の恋人を作れない、子供を産まない事への罪悪感は自分を曝け出せない弱さなのか。「親の嫌な部分が似ている」と気づかされると親にされて嫌だった事をパートナーや子供にするんじゃないかという予感と恐怖で心が竦み、勇気が出せずに諦める私にとって静かに心に刺さった。同時に梯久美子さんの『狂うひと』で埴谷氏が島尾敏夫と島尾ミホの痴話喧嘩に振り回されて傷ついていた娘のマヤさんを気にかけていたという部分を思い出した。

が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
再読。高校生の時に読んだ時は嵌らずに流し読みになってしまった作品。何故、気が乗らない読書になったかの疑問が三つ、分析できた。一つ目は余りにも人物関係が多い上にややこしい事。関係性が把握できないと誰が何をしているのかが分からなかったのが最大の難所だ。二つ目はその関係性が余りにも下世話だというのが当時、潔癖だった私の癇に触れてしまった事。三つ目はミステリーをまだ、多く読んでいなかった事。だが、それなりに下世話になり、ミステリーにも多く、触れ、ちゃんと関係性を頭で整理した上で読むとこの作品は滅法、面白い!
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/10 23:20

砂糖による毒殺トリックで犯人は目星がついたけど、心理的違和感については全く、気づきもしなかったので悔しい。真相にはクリスティの某作品を思い出してしまった。本格ミステリーでありながらも純愛小説に転じるとは流石。そしてこの作品を更に面白くしているのはこの作品の犯人当てに参加した作家たちからの評。江戸川乱歩はもとい、埴谷雄高まで幅広い作家が参加していた豪華絢爛さに眩暈がする・・・。また、荒正人氏が英米文学翻訳家の植松みどりさんと米国文学における黒人文化研究家の荒このみさんの御父君とは知ってお茶を噎せそうになった

藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/10 23:23

戦中の推理小説の一部を各自、参加者に渡して犯人当てをするという企画がもう、楽しそうで!だからこそ、手違いで犯人が判明する部分が当たった時は本格推理ファンにとっては楽しみが奪われるに等しい事だっただろう。

が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
漢詩に惹かれるのは、幽境の境地に焦がれながらも地に足をついた日常も同時に綴られている素朴さがあるからだ。労働の歌、防人の歌、後朝の別れを惜しむ艶歌、不実な男を詰る女とそれを宥めつつも言い訳をする男、絶景への称賛、我が身の不遇を嘆き、それでも理想などで心を紛らわせる歌など収録。荊軻や李陵、蘇武などの文学作品で知った者の漢詩を読めた喜びよ。そして編纂も艶麗な歌を得意とする者の歌で敢えて戦禍による逃亡への嘆きの歌を選ぶなどの外しぶりが小気味いい。また、木蘭伝説も元は物語的漢詩の主人子だったという事にも吃驚した。
が「ナイス!」と言っています。
藤月はな(灯れ松明の火)
アメリカ資本主義社会が広めてきた「女らしさ」という神話。家事で手間の掛かる事こそが愛情だという思い込みとそれを利用した商品づくり、「女性=セックスシンボル」という刷り込みによって愛情の感じ方が動物化される事によって現れる不満とその先に行き着く不倫など、神話の囲い込みは社会によって波及し、確固たるものとされていく。遂には最もミニマムな社会でもある家庭において非人間化する所まで作用し、蝕んでいく事も痛烈に非難する。更には女性の再学習の選択肢も「女性らしさ」から抜け出せていないという指摘に頭を抱えたくなる。
藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/02 18:04

作者は「女性らしさ」の神話に抗う為には女性自身が家庭という世界に籠り、、絶対的支配者となるのではなく、やりたい事(特に学問)を見つけ、社会へ出る事を推奨する。しかし、「自分には何の能力もない」と思い込む女性はどうすればいいのか。そういう人たちの為の足場作りも重要になってくるのではないか。また、一番の問題は、周囲(中には同性も含む)からの同調圧力や「女性らしさ」から外れる/ずれる事への白眼視にどう向き合うかである。今はSNSなどで色んな考えが知ることができるけど、一方で「ちゃんとした家庭」へのイメージの普及

藤月はな(灯れ松明の火)
2024/11/02 18:06

にも一役、買っている面は否めないからな・・・。後、やらなくてもいい家事の省略化、家事は家族と手分けしてやること(ここで完璧を目指さなくてもいいのもポイント。)が書いているのが吃驚した。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/08/22(5584日経過)
記録初日
2009/05/30(5668日経過)
読んだ本
8629冊(1日平均1.52冊)
読んだページ
2592222ページ(1日平均457ページ)
感想・レビュー
7519件(投稿率87.1%)
本棚
545棚
性別
年齢
32歳
職業
事務系
現住所
三重県
自己紹介

昔はミステリーや怪奇小説好みと読むジャンルは浅かったが、今は面白そうならば、何でも読む。傾向は海外系が多い。岩波文庫と新潮社クレストブック、白水社エクス・リブリス系が好き。悩みはうっかり、全集系に手を出し、全集読破に駆られること。好きな事には感想が(妄想も込みで)長文になる系。
存外、ミーハー。読書では笑いのネタを探してツッコミを入れがち。
尚、本の感想において、いけ好かない登場人物へはブラックな本音も出ますので気を付けてね!
BLも百合もイケる腐女子でもある。しかし、エロより、匂い系が好みというややこしさ。
映画も好き。最近、変な映画を見つけてそれが好みだと物凄い喜びます。本同様、雑食なので映画履歴も常にカオス状態。

ASD傾向強め、ADHD少々でできています。
心の中で未だに消化できない事が原因で「父親」絡みには辛辣な感想になる傾向あり。

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