仕事が忙しくなって、読書量 激減。それでも、樋口一葉作品再読、難波田史男の日記、江戸漢詩、人体実験本、越中文学本と、多様な本は読めたかな。 2022年5月の読書メーター 読んだ本の数:15冊 読んだページ数:4292ページ ナイス数:6766ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/556130/summary/monthly/2022/5
内容案内には、「世界中を探検し、化石を探し、顕微鏡を覗きこみ、生物を何世代も飼育し、膨大なDNA配列に向き合い、学会や雑誌上で論争を繰り広げてきた研究者たちへの賛歌でもある。歴代の科学者と共に進化の謎に直面し、共に迷いながら、40億年の生命史を支えてきた進化のからくりを探る書。」とある。
正直、進化論に限らず生物学の本は年に数冊は必ず読む自分には、馴染みの話題も少なからず。それでも専門家ならではの研究の舞台裏を知ることが出来て、読んでいて実に楽しいのだ。
隔靴搔痒のコメントだが、優れたポピュラーサイエンス本はそれだけで既に一個の物語本であり、新しい博物学の本ではないにしても、その前にナチュラルヒストリーの書であろうということだ。たとえば、今読んでいる、ニール・シュービン著の『進化の技法――転用と盗用と争いの40億年』にしても、実に面白い。
八雲は小説家を若いころは志していたようだ。だが、旅を重ねるごとに自分は物語を創るより、旅の印象記を書くほうが楽しいし自分の独自な仕事ができると自覚していった。放っておけば消えていく田舎の言い伝えなどを記録…巧みな表現力で物語のように語る彼のスタイルが形成されていった。 訳がいいのか、もちろん、八雲の原文もいいのだろうが、実に豊かな読書を楽しめる。もっと読まれていい本だ。
以前も書いたが、(我輩の臆測だが)本書を執筆する強い動機に、トランプ氏という大統領の登場があると思われる。パリ協定から離脱した(バイデン大統領は復帰させた)。トランプ氏は科学者の意見に耳を貸さない。大気の温暖化など謀略だ……。科学は万能じゃない。全てを真に受ける必要もない。しかし、耳を傾ける姿勢は大事だ。
八雲の文章がまずいいのだろうが、平井呈一氏の訳が素晴らしい(但し校正ミスが目立つのが残念)。 民俗学などなかった時代に、ひたすら日本を好事家の目で見て回り、日本人には当たり前の風物や習慣、大概の外国人には興味の対象ではない歴史や伝統の粋を探求し続けた。訳者の平井氏の語るように、柳田国男や折口信夫とはまた違った意味で詩人…文学者の目で失われつつある古き良き日本の姿を書き残した。
ハーンらとやや時代の重なるイザベラ・バード(1831年 - 1904年)は、「1878年6月から9月にかけて、(中略)東京を起点に日光から新潟県へ抜け、日本海側から北海道に至る北日本を旅し」、『日本奥地紀行』を遺してくれた。 ハーンがやや詩的というか夢見がちに描いた日本の風俗をよりリアルに描いてくれていて、両者を読むとよい対比になり古き日本の理解に資するだろう。ハーンはバードの著は読んだだろうか。
事件の概要を知りたい方は:「「娘の遺体は凍っていた」14歳少女がマイナス17℃の旭川で凍死 背景に上級生の凄惨イジメ《母親が涙の告白》 | 文春オンライン」 https://bunshun.jp/articles/-/44765
小説を物語…ストーリー性に求めるなら、何処か行きあたりばったりとさえ思える展開は、天衣無縫で筋を追うのがバカバカしい。現実ってのは、思い通りにならないし、ならないながらもなぜか何とかなることもあるよと、開き直って、著者の手のひらで読者は踊らされるに任せるのがいい。やんちゃでドラマチックで、どんなところにも厄介な人がいれば、共感を持って寄り添ってくれるひともいる…。ひょんなことから思いがけず結びつくこともあるが、別れも突然過ぎて、風のまにまにと思うしかない。
残念だったのは、上下巻で150人が扱われてるのに、(ゆかりの人はともかく)富山生まれの漢詩人が一人もいなかったこと。感想めいたことは随時メモってきた。ちゃんとした感想など書けない。ただ、通読するだけでも十分楽しめるってこと。150人の漢詩人の人生の縮図を観たような。詩の力であり、編訳者の賜物だな。
この作品集には、三島由紀夫、横溝正史、塚本邦雄、岡本かの子、泉鏡花、谷崎潤一郎、久生十蘭、福永武彦、夏目漱石、稲垣足穂、内田百閒、上田秋成、蒲松齢、永井荷風、幸田露伴、小泉八雲、木下夕爾、宮沢賢治、田中恭吉、萩原朔太郎、ブラウニング、北園克衛、北原白秋、葛原妙子、若山牧水、西東三鬼らの小説随筆詩歌作品が載る。
夏目漱石の「夢十夜」って、耽美だったっけ。だけど、何度読んでも発見のある傑出した作品だと痛感。永井荷風の「断腸亭日乗」は好きな日記だが、何故この作品集に選ばれたのか分からない。世情に背を向け己の資質と感性に頑固に固執した姿勢は分かるが。小泉八雲の蝶の話は胡蝶の夢風で好きだが、なるほど耽美でもあったのだなと教えられたものだった。
メモしたかったけど書き漏らしたことをある方の感想を借りて: 「嫁姑の争いを見た後に「嫁に行かないで仕合せだった」と言い亡くなる青洲の妹(未婚)のエピソードも悲しく印象的であった」 作家の目配りを実感した。
読むこと、書くこと、居眠りすることが好き。生活のために仕事も。家事や庭仕事もなんとか。
読書は雑食系かな。でも、読めるのは月に十数冊なので、実際には幾つかのジャンルに限られてるみたい。
苦手なのは、専門書や法律、マニュアル本など。
小説やエッセイを書いたりしてます。
バイクでのミニツーリングを折々。
グルメ、スポーツ、コンサートも楽しみたいけど、仕事や家事でなかなか実現しない。昨年(23年)末、薪ストーブ設置。庭木の枝葉を焚き火代わりに燃やしてます。薪はなくて柴だけなので、心底寒い時だけ。焔と共に柴の燃えてはぜる音が心地いい。
外部ブログも20年以上になりました:
日々の日記:「壺中山紫庵」 http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/
創作の館:「壺中方丈庵」 http://atky.cocolog-nifty.com/houjo/
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小説を物語…ストーリー性に求めるなら、何処か行きあたりばったりとさえ思える展開は、天衣無縫で筋を追うのがバカバカしい。現実ってのは、思い通りにならないし、ならないながらもなぜか何とかなることもあるよと、開き直って、著者の手のひらで読者は踊らされるに任せるのがいい。やんちゃでドラマチックで、どんなところにも厄介な人がいれば、共感を持って寄り添ってくれるひともいる…。ひょんなことから思いがけず結びつくこともあるが、別れも突然過ぎて、風のまにまにと思うしかない。
「天衣無縫で筋を追うのがバカバカしい」とてもナイスです。