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2023年7月の読書メーターまとめ

夢追人009
読んだ本
124
読んだページ
9739ページ
感想・レビュー
124
ナイス
52102ナイス

2023年7月に読んだ本
124

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2023年7月にナイスが最も多かった感想・レビュー

夢追人009
山本周五郎賞の受賞おめでとうございます。本書は大掛かりな騙しの時代劇ミステリー小説ですが、木挽町の芝居小屋に集まった人々が自らの半生を語る人生物語がとても魅力的で現代社会を生きる私達にも大いに参考になる教えや考え方が詰まっていると思います。本書を読んだ方の中で人生観が変わり今悩みを抱えておられる方にも良い方向の答えが出て一歩前へ進む事ができたかもしれません。ミステリーは捕物帳の親分であれば見破られるかもしれませんが、これは実質は罪のない謀であり悪事とは呼べない種類の善意の行いですから心配ないと思いますね。
夢追人009
2023/09/17 12:35

とみかずさん、ありがとうございます。こういう素晴らしい作品をまた読めるといいですね!

アーミー
2024/02/12 21:24

夢追人009さん いつもナイスをありがとうございます。 この作品、少し変わった構成で進めながらしっかりと本筋を捉えていて、本当に読み応えありましたねぇ。さすが、直木賞受賞作だと思いました。

が「ナイス!」と言っています。

2023年7月にナイスが最も多かったつぶやき

夢追人009

読み友の皆さん、6月も沢山のナイスを押して下さいまして誠にありがとうございました。最近は短編のレビューしか書けていませんので7月は長い本にも書けるように頑張りますね。年齢からくる衰えによる限界が来ていますので、真剣に方法を考えて改善していきますよ!2023年6月の読書メーター 読んだ本の数:97冊 読んだページ数:2493ページ ナイス数:47405ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/868158/summary/monthly/2023/6

かすみん
2023/07/01 19:07

いつもありがとうございます(*'▽')今月もよろしくお願いします🎋

夢追人009
2023/07/01 20:04

かすみんさん、こちらこそありがとうございますね。今月もヨロシクね~!

が「ナイス!」と言っています。

2023年7月の感想・レビュー一覧
124

夢追人009
全く初読み作家さんの代表作「精神科医・伊良部一郎」シリーズの1冊目です。まあ型破りで面白かったですね。このおっさん何を考えとんのや?と思いますし、助手の看護婦まゆみちゃんは雑誌を読んで患者に注射しながら太股を大胆に見せる事しか考えていないのか?プール依存症、陰茎強直症、妄想癖、携帯電話依存症、強迫神経症の患者達が伊良部総合病院の地下にある神経科を訪れると最終的には意外な事に満足な結果を残していく。伊良部は患者に対し病気から目をそらして逃げさせるのではなく直視して、とことん気の済むまで突き進ませるのですね。
ねこくる
2024/05/21 08:01

夢追人009さん、ナイスありがとうございます。すみません、他の方へのコメントですが『ぐふふ!』に吹き出してしまいました(笑)

夢追人009
2024/05/21 08:12

ねこくるさん、どうもありがとうございますね~ぐふふ!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ネタバレ初読み作家・相川英輔さんの6編を収めた奇想天外・摩訶不思議なSF短編集。無人コンビニに設置されたAIオナジと冷遇された高齢店長との友情物語。独身女性が入居した中古マンションに出るホログラムみたいな男の正体は?水泳でオリンピック出場を目指す男子大学生に与えられた8日目が更に暴走する驚愕の物語。描いたものが動きだす不思議な鉛筆をもらった主人公と過激派の友との友情の物語。コン店長の末裔が宇宙の星へと島流しされる苦難の物語。ノストラダムスの大予言の人類滅亡を密かに願うヒロインの物語。全てが心奪われる魅惑の話です。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の61編目は読んでいる途中で少し心配になりますが最後は笑える話ですよ。さびしい片田舎に住む老夫婦のもとへ都会にいる息子から小包が届いたのです。中には、肉の缶詰と果物ともう一つ何かの缶詰が入っていました。美味しいものばかりだと二人は喜んで、何やら外国語が書かれた缶詰に興味を覚えて開けました。その香ばしい香りのする赤黒い粉が何なのかわかりませんでしたが二人は相談してごはんにかけて食べる事にしました。あまり美味しくはありませんでしたが、その夜床に就くとどうしたわけか目が冴えて眠れませんでした。
夢追人009
2023/07/31 12:48

中村ですさん、ありがとうございます。そうですね、二人がお医者さんに行かなくてよかったですね。※コメントのミスで×手書き→〇手紙でした。いつもごめんなさいね。尚、この話のブラックパロディーで、遺骨を送ったのを通知せず知らずに食べてしまうえげつない話があったのを思い出しましたね。

中村です
2023/07/31 12:57

そう!はじめ遺骨では😱?と思ってしまいました😆。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の60編目は貧乏な母と兄弟が旅する話です。秋の暮れ方に貧しい母親が二人の息子十一歳と八歳ぐらいの兄弟を連れて街道を歩き町の方へ来かかっていました。二人は足がくたびれており兄は何とか我慢していましたが弟は母の周りを回って休みたいと訴えていました。大きな屋敷とそこに続く石段が見えて三人は母を間に挟んで腰掛けました。だが暫く後に男が出てきて「ここは乞食の休み場ではない。さあ早くあっちへ行くんだ!」と怒鳴りました。三人は疲れの為に立てませんでしたが男の激しい見幕に恐れをなし立つと歩き出しました。
夢追人009
2023/07/31 11:55

兄は男をにらみ弟は叱られる理由が判らず母に聞くと小さな声で「なんだい、そんな石段、減りはしないじゃないか」とつぶやきました。もう日は暮れて暗い道端に大きな鉄管が転がっていました。母親が座ろうと二人に言い聞かせましたが、弟は「こんな暗い場所は嫌だよ、もっと明るい町の方へ行こうよ」と言いました。母親は明るい場所だとまた誰かに叱られるのではないかと不安だった為に「いいから、ここで休もうよ」と言い続けました。兄も同調しましたが弟は「おら、暗いとこは嫌だ」と言い続けました。せめて私達は母子を労わってあげましょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の28編目は少年と火の話です。私が子供だった時分、山のふもとの小さな村に家があって、ちょうちんやろうそくを売っていました。ある晩、牛飼いがちょうちんとろうそくを買い私が初めてすったマッチで蝋燭に火を灯すと礼を言って行ってしまいました。私は一人になると考えました。あの牛飼いは道行く途中で旅人に会って火を貸してあげるかもしれない。旅人は狐に化かされて行方不明の子供を探す人達と出会い火を貸してあげるかもしれない、私の火は人から人へと移されて今もどこかで灯っていると思います。夢のある話ですよね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の27編目は小鳥と去年の木の哀しいけれど心を打たれるいい話ですね。一本の木と一羽の小鳥とは大変仲良しで、木の枝で小鳥が一日中歌をうたうのを木が聞いていました。けれど寒い冬が来るとお別れになり、来年また来るわと言って小鳥は南へ飛んでゆきました。春になって小鳥が仲良しの去年の木の所に来ましたが、何とそこには木がなくて根っ子だけが残っていました。小鳥が根っこに聞くと「木こりが斧で打ち倒して谷の方へ持って行っちゃったよ」と言いました。谷の底には大きな工場がありました。入口の門に小鳥が聞きました。
夢追人009
2023/07/31 10:36

門は「木なら工場の中で細切れに切り刻まれてマッチになってあっちの村へ売られて行ったよとの答で、小鳥は村へと飛んで行きました。ランプのそばにいた女の子にマッチの行方を聞くと、マッチは燃えてしまいましたが、このランプの灯した火はまだ燃えていますよとの事で、小鳥はランプの灯をじっと見つめると火に去年の歌を聞かせてあげました。火は心から喜んでいるように見えて、小鳥はじっと火を見つめると、どこかへ飛んでいきました。こうして小鳥はきっと沢山の木達との出会いと別れを繰り返すのでしょうね。中島みゆきさんの「時代」ですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の118編目は築地の川獺が悪戯をする話ですよ。夜に元逢引橋の近くを帰る芸者達は川獺の悪戯を怖れた。橋のたもとにあった共同便所の小さな石油ランプが素直に光っている時には「今晩は大丈夫よ」と言ったが、その燈がちらちらして暗くなったり明るくなったりしていると「今晩はダメよ。少し変よ」と言いそう聞いた晩には芸者達はわざわざ遠回りをして帰ったという。ある夜、芸者の女が帰りの車が来ないので一人で歩いて帰ると、采女(うぬめ)橋まで行った所で川が無くなり一面が草ぼうぼうとなった。女はしゃがみこんだ。
夢追人009
2023/07/31 10:03

心を冷静に保っていると暫くして遠くから燈が一つ見えて来た。すると気が大きくなった。「どうしたのです、ねえさん」それは自分を迎えに来ている車夫であった。まあ何事もなく一大事に至らずに無事に済んでヤレヤレでしたね。まあ今はないのでしょうけれど日本ならではの古き良き時代の風情でこういう話も良いものですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の117編目は兄弟愛の現代奇譚ですよ。務は絶望して踏切から電車に身を投げて死のうとしたが邪魔が入って果たせず夜の十時を過ぎて彷徨い赤松の木を見つけると帯を解いてぶら下げた。首を通そうとすると後ろから呼びかけられ仕方なしに振り向くと相手は白っぽい洋服を着た兄だった。務は昨年二人の子供がチブスにかかったので戸主の兄には内緒で宅地を抵当に入れて300円を借りていた。彼は中国で働く兄からもうすぐ日本に帰るとの手紙を受け取ると借りた先の夫人の家に聞きに行くと、あの地所は既に抵当流れになったが、
夢追人009
2023/07/31 08:59

600円もあれば取り戻せると言う。務から話を聞いた兄は俺が帰ったからもう大丈夫だと言って二人は借りた先の夫人の家に出向く。兄の正義は夫人に紙幣を六枚600円を渡すと証書を受け取り、マッチで火を点けて焼き捨てた。正義は俺は寄るところがあるからと言って務を先に家へ帰した。兄はその晩帰って来ず、翌日務は会社へ休むと連絡して待っていると、昨夜の倉知夫人が来て昨夜兄にもらった600円が忽然と消えてしまったと言って怒った。彼女は手許が苦しくなって若い男の入れ知恵で土地を転売しようとしていたが金まで消えて半狂乱だった。

夢追人009
2023/07/31 09:00

そこへ中国の日本人クラブから電報が来て、それは兄夫妻が中国兵士の犠牲になったという内容であった。務はそれを読んで顔色を変え、倉知夫人は横からそれを読むと直ちに外へ走り出た。彼女は番人のいない踏切にさしかかると右の方から電車が来て、その電車に触れたのだった。うーん、兄は死んで幽霊となって日本に駆けつけて素早く弟の命を救ったのですね。それにしても電車に触れた夫人は人を騙そうとした悪事の報いを受けて自業自得とはいえ凄惨な末路でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の59編目は空き地にある一本の高い松の木を愛する二人の少年の話ですよ。空き地の中央にある松の木を、立雄くんと博くんの二人が一番好きでした。二人は彼草の上に座って松の木と空の上に浮ぶ白い雲が話をしているんだよと想像しました。自由である事と地に足がついている事を互いに羨ましがっているんだよと。お昼になると最近ここへ来始めたコリントゲームのおじいさんが店を出しました。すると続いて黒眼鏡をかけた紙芝居のおじさんも来ました。そこへコリントのおじいさんが来て「ここで商売はしないでくれ」と言いました。
夢追人009
2023/07/30 12:43

紙芝居のおじさんが私はあんたより長く来ているよと文句を言うとコリントのおじいさんは私は昔からここの人間だったが最近になって帰って来たんだよと言うと紙芝居のおじさんが引いて「わかったよ。明日から他所の町で稼ぐよ」と言って立ち去りました。二人の少年は少し寂しい気持ちになり、人間にも松の木と白い雲の両方のタイプがあるんだね。この松の木はおじいさんが子供の時分からあったんだねと感想を言い合いました。白い雲はいつの間にかどこかへ行ってしまい姿を消していました。年少の方が折れて喧嘩騒ぎにならずに済んで良かったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の26編目は三つの生き物の母親達の愉快な物語ですよ。お母さんになった小鳥と牝牛がまだ生まれない子供の自慢話をしていました。小鳥は私の坊や達は美しく良い匂いがして、ちるちると歌いますよと言うと、牝牛はひづめは二つ、毛色はぶちで尻尾もついていて、モーモーと鳴きますよと言います。これを聞いた小鳥が笑ったので二人は喧嘩になりかけましたが、そこへ緑色のカエルの母さんがやって来て二人に忠告しました。赤ちゃんが生まれる前に子守歌を習わなくちゃ駄目よと。カエルが歌いました。げっげっげろげろぎゃろぎゃろ。
夢追人009
2023/07/30 11:50

小鳥も牝牛も中々覚えられないので終いには嫌になりましたが、カエルが熱心に教えるので、元気を出して夕方涼しくなる時まで「げっげっ」と歌い続けました。まあ喧嘩にならなくて良かったですね。他愛のない罪のない話で唯々笑うしかありませんね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の116編目は陰謀により殺された男の復讐譚ですよ。小雨の降る夜に山田三造が故人の遺稿出版の仕事をしていると三十年前に死んだ男・木内が目の前に現れて過去の事を語り出す。俺は至誠病院で死んだが、あれは実は院長の青木にガラスの粉末を飲まされたのだ。木内は青木の息子の兄弟に不幸をもたらしたと語る。兄の方は満伊商会のサンフランシスコの支店長でオペラの女と関係させて大金をみつがせ、しかも投機に手を出して60万円を損失した。女は情夫と関係しており兄は二人の密会の場に行って帰り道で車に轢かれて死ぬ。
夢追人009
2023/07/30 11:24

弟の医学博士の小さな娘は美しい花を手にしようとして二階から落ちて死ぬ。弟の方は細君が自分の父と不義の関係を結んでいるという幻影を何度も見せられる内に発狂してしまい今年の内に命も尽きるだろうよと話す。仮名の山田三造君は、それが夢か現実かはっきりとせず、私の妻が私が客人と長い間話をして帰りに挨拶しているのを聞いたと言うが、私自身は全く記憶がないという。まあ真実だとしたら恐るべき執念深い復讐心で愛する家族三人を無慈悲に殺すなんてあまりにも恐ろし過ぎますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ネタバレ阿津川辰海さんのデビュー作は幻想ファンタジーと融合した滅多に読めない快作ですよ。でも何でもありの無茶苦茶な特殊設定の作品ですので当然ミステリーファンの好き嫌いは大きく分かれるでしょうね。本書の最大の特長は死者が生き返って全く別人の姿に転生する事で、著者は全部がこんな感じではないのでしょうけれど最初から普通の作品では満足できずにこんな奇手に出るなんて本当に予想外の荒業ですね。でも特殊設定ならではの条件を活かしたトリックはインチキではなく完全なフェアプレーに徹して論理的に書かれているのは流石だと思いましたね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の58編目は東北地方のお母さんのいい話ですよ。奉公をしている娘おみつの元へ田舎のお母さんから小包が届きました。それは美しい着物で暫くの間おみつは身に着けて見とれていましたが、坊ちゃんが来て、それを着ると田舎の子に見えるよと言いました。おみつは、お母さんがもっと派手な着物を送ってきてくれたらよかったのにと残念に思いました。一旦は行李にしまいましたが後で考えるとお母さんの苦労を思い涙がこぼれました。折角送って下さったのに気に入らないなんて言ったら罰が当たるわとおみつはお礼の手紙を出しました。
夢追人009
2023/07/29 10:06

おみつはお嬢さんとデパートに出かける時にお母さんから贈られた着物を着ていきましたが、お嬢さんから「そんなに地味な着物しかないの?」と聞かれましたが例え地味でも何の恥ずかしい事があろうかと自分を励ましました。都会の客たちが自分をジロジロ見るので、お嬢さんから田舎者みたいで見っともないじゃないのと言われて、おみつは着て来たのを後悔しました。二人で食事をした後で東北の物産展を見に行くと自分のと同じ反物がありました。お嬢さんはその反物が高価なのに驚いて「まあ高いのね」と叫んで初めていい着物だった事に気付きました。

夢追人009
2023/07/29 10:06

お嬢さんは二人になると「さっきは悪口を言って、ごめんなさい」とおみつに謝りました。おみつは顔を赤くしましたが、心の内ではお母さんを本当にありがたくなつかしく感じました。おみつは都会の上品だけど少々意地悪な風潮に染まらないで田舎の純朴で素朴な心をいつまでも忘れずにいて欲しいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の25編目はいつも通りの無邪気な話ですよ。竹の子たちが地べたの下にいる頃にお母さんの竹が「そんなに遠くに行っちゃいけないよ、馬の足に踏まれるから」と言って叱っていました。しかし一人の竹の子だけはいくら叱っても言うことを聞かずにどんどん遠くへもぐっていくのでした。「お前はなぜお母さんの言うことがきかないの」「あっちの方で美しい優しい声が私を呼ぶからです」他の竹の子には聞こえませんが、この竹の子はどんどん離れて行きました。この竹の子が遂に垣根の外に頭を出すと横笛を持った人が近づいてきました。
夢追人009
2023/07/29 08:41

「おや、おまえは迷子の竹の子だね」「いえ、私はあなたの吹いてらっしゃる笛の声があまりにも良かったので誘われました」と答えて、この竹の子は最後に立派な横笛になりました。この竹の子は自分の望みが叶って嬉しかったでしょうね。彼にとっては初志貫徹の大願成就で誠にめでたい事でよかったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の115編目は中国の怖くない奇妙な話で「どうじんご」と読みますよ。長安に方棟(ほうとう)という男がいて非常な才子と評判だったが礼儀知らずで道を歩く女の後を軽薄についていくのであった。小さな車に十六七の美しい娘が乗ってやってくると彼は後をつけるが、娘に狂人と思われて侍女の一人から土をすくって目にかけられ目が開けられなくなった。何とか必死で目を開くと一行は既に消えていた。それから彼は目の具合が悪く痛くなって自分の行いを深く悔いた。一年後調子が良くなると目の中から二人の小人が話す声を聞く。
夢追人009
2023/07/29 08:02

やがて二人が相談して双方が行き来できるように話し合う事によって彼は普通の人より目がよく見えるようになって彼は悔い改めて真面目になったという話で、これぞ典型的な「災い転じて福と為す」の話でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の57編目は貧しい二人の漁師の話です。二人の貧しい漁師が自分達の境遇を嘆きながらも互いに助け合って生きてきました。二人は大だいをいつものように魚屋に売るのではなく家族に料理して食べさせようと思いつきました。二人がそれぞれに料理していると甲のたいの腹の中から小さな真珠が出てきました。甲と家族は大喜びして乙の家に知らせに行き、お前のたいはどうだいと聞きましたが、乙は唯微笑んで甲の幸運を喜んでくれました。甲はしばらく漁を休む事にして、乙が独りで漁に行きました。甲は乙に対して悪いなと思いました。
夢追人009
2023/07/28 12:34

そこで少しでもお金を融通しましょうと話すと、乙は「では私に竿を買うだけのお金を貸してください」と頼んで受け入れられました。甲の家族は着物を買い町に見物に行ったりする内に、すっかり真珠を売った金はなくなりました。甲は再び乙と一緒に漁に出て働くことになりましたが、魚をとっては腹を割って見て何もなければそのまま海に捨てました。乙が乱暴な事をしてはいけないよと言うと甲は「俺は次に真珠を見つけたなら漁師を辞めて町で商売をするんだ」と言いました。だが二度と真珠は出て来ずで甲は自分の愚かさをつくづく思い知らされました。

夢追人009
2023/07/28 12:35

甲の網はボロボロになりましたが、乙はさおを大事にして釣りをしました。乙は河野困った時には助けてやりましたので、甲は一本の釣りざおを尊く思ったのです。まあ日々の暮らしは大変ですが欲を出して大金を望んでも所詮は叶わない夢ですので、そこにある仕事を一生懸命地道に続けて行く事が大切だよと著者は教えてくれていますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の24編目は父親が先生だという子供の話ですよ。たきくんのお父さんは一年男子の受け持ちで、鼻の下に黒いヒゲをつけてきたので「ひげさん」と子供達は呼ぶようになり、やがて、たきくんも同じく「ひげさん」と呼ばれるようになりました。彼は嫌で堪りません。ある日、弱虫のみつるくんが「ひげさん」と言ったので腹が立った彼は追いかけて行って三つ四つ殴りました。わーんと泣くみつるくんにたきくんの父の先生が理由を聞くと「たきくんにいじめられた」と言ったので、息子を叱りました。「みつるくんが僕をからかうんだもの」
夢追人009
2023/07/28 11:35

そう言ったのですが、父は「お前がいけない!」と決めつけました。たきくんは悲しくなりました。家では優しい父さんが、どして学校ではあんなに厳しいんだろう。昼休みにたきくんは吉田先生に言いつかって父親に本を持って行きました。たきくんがこわごわ本を手渡すと父は無言で受け取りました。「父さん」後ろから声を掛けると父は振り返って息子を膝の上にのっけました。たきくんは嬉しくなり「お父さん」ともう一度言うと「おとなしくしなきゃいけないよ」と先生は優しくおっしゃいました。他の生徒の前では息子をえこひいきできないですからね。

夢追人009
2023/07/28 11:36

小さな子には辛いですしょうけれど、葉を食いしばって我慢して頑張って成長して欲しいですね。著者のとても生まじめな一編でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の114編目は明治の晩年に関西の大都市で起きた男女の不気味な実話事件ですよ。婦人雑誌の記者をしている木村章一は今日も仕事をサボって目黒駅で山崎の奥さんと待ち合わせして旅館へ行こうと計画していた。家で支度をしていると細君が女と会うのねと言って逆上しののしる。彼は腹が立ち妊娠四か月の妻の体を蹴る。妻が怒って剃刀を手にしたので取り上げて隠し家を出る。目黒駅で山崎夫人と落ち合って旅館に着くと女中が来て今若い女からハンカチを預かったと言う。章一がハンカチを開くと女の黒髪の毛が包んであったのだ。
夢追人009
2023/07/28 10:53

二人は帰って調べることにして章一は金を借りる縁で知り合った老婦人の所へ行って話をした。すると妻も今日ここへ来たと言う。だがその内にペットの白猫が寄って来て婦人の足に噛みつく。すると老婦人は狂ったようになり彼を追い出したので章一は出て行く。彼は山崎夫人の家へ行こうと思い途中にある踏切の側の自動電話に近づくが転んでしまい、そこへ電車が来て轢かれる。彼の後ろにいた遊び人は足下を猫のような獣が走って行ったのを見た。山崎夫人が寝床に入っていると章一が側に現れたので、あなたは誰に家に入れてもらったのですか?と問うた。

夢追人009
2023/07/28 10:53

すると章一は無言で椅子から倒れてきて、それは両脚を膝の上から切断された血みどろの章一の死体であった。両脚を線路の踏切の下に残した怪しい死体が寝室で見つかった山崎夫人は警察に呼ばれたが、三日の後に変死した。章一の細君は今も行方不明である。この話はプライバシー保護の為に人物の名前と場所を変て書いた物だと言う。うーん、とても実話とは思えない奇奇怪怪の物語で、細君の生き霊が白猫に乗り移ったのでしょうかね?でもどうやって死体が移動したのか全く見当がつかない不思議なミステリーですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
元お笑い芸人作家・藤崎翔さんのイレギュラーな仕掛けが素晴らしい傑作です。田舎の図書館で県内に予約したら3か月程も待った大人気作で漸く読めました。美人であるが為に数々の不幸を経験してきた未亡人のシングルマザー・香織が出版した手記「逆転美人」に隠された真実の意味とは?私の感想は素直に面白かったです。その理由は第一に本書のヒロインの頑張りと誠実さに心打たれたからです。大仕掛けについては電子書籍でも可能かもしれませんが時間が掛かって面倒でしょうね。このトリックが過去に前例があったとしても私は全く気にはなりません。
blackstone
2023/07/27 18:44

帯に書かれてる「紙の本でしかできない驚きの仕掛け!」ってのが気になるなぁ。(夢追人009さん的には電子書籍不可とまでは言えない、と。でも、約350ページかぁ…)

夢追人009
2023/07/27 18:56

blackstoneさん、こんばんは。本書はミステリーファンならぜひ読んで損はない問題作だと思いますので、ぜひぜひ一読をお奨めしますよ!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ネタバレ重松清さんが1991年に28歳で著したデビュー作の青春小説です。作家歴が32年と言うことで意外にお若かったのですね。私は読むのが2冊目ですので今後もどんどん読みたいですね。1980年3月1日、広島県の平凡な高校三年生男子・優は授業で「トラウマ」という言葉を聞いて「俺もトラウマを作ろう」と決意し仲間の体育会系男子、誠一と洋介を誘ってノイローゼで学校からいなくなった同級生の女子まゆみの墓をかまぼこ板で作って供養する。だが、ある日そのまゆみがハンバーガー店のバイトとして優の前に現れ、優に恋人宣言をするのだった。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の56編目は長年がんばってきた、かえでの木が伐り倒される哀しい話ですよ。ある山に一本のかえでの木があって長い事その山に生えていて老若男女多くの人々から「なんといういいかえでの木だろう」と褒められました。けれど崖の辺にあったので、欲しいと思っても誰も取れませんでした。やがて人間の評判を聞くと木の幹と葉が口喧嘩を始めました。葉よ、お前達が呑気に跳ねたり踊ったりできるのも俺が今まで一生懸命に我慢してがんばってきたお蔭なのだという事を忘れるなよ。幹の言葉に葉はあなたの御恩は一生忘れは致しません。
夢追人009
2023/07/27 11:19

けれど私達も幾らかはあなたのお役に立っているのですと反論しました。ある日クワを担いだ男ともう一人の男がやってきました。葉はどうなるのだろうと心配しましたが幹は全く慌てず動じませんでした。二人の男は遂にかえでの木を切り倒して車の上に乗せて町の方へと行きました。この男は植木に巧者でなかったと見えて葉を弱らせ、晩方葉が枯れた為に力がなくなって遂に枯れてしまいました。まあ遅かれ早かれ結果は同じだったかもしれませんが、葉も幹も一心同体だったのですから喧嘩などせずに協力してお互いに思い遣れれば良かったのに残念ですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の23編目は腹を抱えて笑える話ですが同時に微笑ましくなりますよ。あるお百姓家の裏庭に、あひる、がちょう、もるもっと、うさぎ、いたち等が住んでいました。ある日、がちょうの誕生日になって、みんなはご馳走に招かれました。後は、いたちだけになって、みんな少し悩みました。というのも、いたちには大きな激しいオナラをする癖があったからです、でも呼ばないと怒るだろうと言うので、代表でうさぎが使いに出されました。うさぎは一つだけお願いで今日だけはオナラをしないで下さいねと頼みました。いたちは同意しました。
夢追人009
2023/07/27 10:11

みんなはご馳走をたらふく食べて、いたちもオナラをしなかったので、いい具合だなと満足でした。ところがとうとう大変な事が起きました。いたちが突然ひっくり返って気絶してしまったのです。モルモットの医者が診察すると言いました。これは、いたちさんがオナラをするのをあまり我慢したのでこうなったのです。これを治すには思い切りオナラをさせるより仕方ありません。やれやれ、みんなは溜息を吐き、やっぱり、いたちは呼ぶんじゃなかったと思いました。そうですね、いたちには匂いが届かない遠い所まで行ってオナラをしてもらうといいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の113編目は長くて不気味な女の話ですよ。冒頭には著者の友人として芥川龍之介さんも出てきますが本筋とは何の関係もありませんよ。長い話を要約すると昔、男が教師をしていた時の教え子の女性・八重と教師仲間で妻帯者の男が不倫の果てに逃げ出し朝鮮に行ったと聞いていた。その八重を人混みで見かけ、次にカフェの店先で見かけるが友人も店の女中も客達も女などいなかったという。次に見た時に後をつけると家に入って行ったので少し気後れして後日訪ねると誰も来なかったと言われ俺は気が狂ったのだろうかと男は怖れる。
夢追人009
2023/07/27 09:30

次には八重が自宅に来て男の細君が応対して家に入れるが二階に上がる階段の途中で消えてしまう。男は次に女と逃げた友人と街で出会って声をかけて八重を見たと話すが、友人は何故か言葉を濁し「女のことは聞いてくれるな」と言い名刺を残して足早に去ってゆく。これは最後まで読んでも事情がさっぱりわからない曖昧模糊とした中途半端な話ですね。まあ私の予想では女は何らかの事情により既に死んでいるのでしょう。それに友人が関与して殺されたのかどうかはわからずで何ともミステリアスですね。※誤字を修正しました。皆様どうもごめんなさいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
麻見和史さんの医学ミステリーのデビュー作です。本書を含む最初の2冊は東京創元社さんから出された医学ミステリーで素人を主役に据えた作品でしたが、3作目から警察小説に切り替えて人気が出たとの事ですね。という事で本書では作者の魅力全開の域まではまだ達していないようですが、でも逆に言えばデビュー時の初々しさをうかがい知る面では貴重だと思いますね。大学の医学部での解剖実習中に遺体の腹部から一本のチューブが摘出され中には研究室の園部教授を告発し脅迫する謎の四行詩が入っていた。本書のヒロイン千沙都は教授を慕う助手です。
夢追人009
2023/07/26 11:58

彼女が隠された謎を追う形で、大学での遠い過去の忌まわしい事件とドクター・ヴェサリウスと名乗る怪しい人物を辿る伝記小説のような味わいが魅力的で大学医学界の悪しき体質と暗部を抉る物語が面白かったですね。またヒロイン千沙都には幼くして死んだ少女キリエちゃんの霊がつきまとって見守り続けるというオカルト的な場面も描かれ神秘的な側面で物語に華を添えていますね。でも彼女はいつまでも影を落とす幽霊を自ら振り切って成長しなければいけないのです。こういうオカルトとミステリの融合は好き嫌いが分かれると思いますが私は許せますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の55編目は世の中の幸せ不幸せについて考えさせてくれる深い物語ですよ。恐ろしい崖の中程にとこなつの赤い花がかわいらしい瞳のようにぱっちりと咲きました。花は最初に驚き、次第にちょうやミツバチが一羽も訪ねて来ないので寂しくて自分の身の不幸を悲しんでいました。すると一羽のちょうが道に迷ってやってきて花と話しました。とこなつの花は「ようこそ、よく来てくれましたね」とお礼を言いました。そして他の花たちの様子を聞くと、「広々とした野原で自由に色鮮やかに咲き誇って、とてもにぎやかですよ」と答えました。
夢追人009
2023/07/26 10:55

「まあ」と花は溜息を吐いて憂えていました。翌日、知らない鳥がやってきて言いました。「おまえが一番幸せ者だ。そんなに悲しむものじゃない」鳥さんは私をなぐさめてくれたんだわと花は思いました。段々と風が冷たくなった朝に、いつかのこちょうが昔と変わった惨めでみすぼらしい姿で訪ねてきました。ゆうべの暴風で全ての花はしぼんでしまい私達は死んだり傷ついたりしました。どうか暫く休ませてください。その晩は霜が降りる程に冷え込み、あくる朝には、こちょうは傷ついたまま冷たくなって気絶し、風が吹くと深い崖の下に転がり落ちました。

夢追人009
2023/07/26 10:55

うーん、鳥は予言者のようですね。とこなつの赤い花は寂しいけれど誰よりも長生きできる植物だったのですね!人間も自分はどうしようもなく不幸者だと嘆いてばかりいずに粘り強く頑張っていれば、いつか幸せな運命が舞い降りて来るかもしれませんよと教えてくれているようですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の22編目は夢のある虫たちの陽気なメルヘンですよ。木に白い美しい花が一杯咲きましたが、そこは滅多に人の通らない場所でしたので誰も「美しいなあ」と褒めてはくれず木はつまらないなあと思いました。でも花のかぐわしい香りが風に乗って、ちょうちょうが沢山いるじゃがいも畑に届きました。「おや」と口々にちょうちょう達が気付いてみんなで相談し木の場所に行ってお祭りをすることにしました。一匹のしじみちょうが小川に下りて休んでいると一匹のほたると出会い私は夜の虫だからと遠慮するほたるをちょうが説得しました。
夢追人009
2023/07/26 10:07

ちょうちょうたちは木のまわりを大きなぼたん雪のように飛び回り、疲れると白い花にとまって、おいしい蜜をお腹いっぱいごちそうになりました。夕方になって暗くなると、ちょうちょは残念がりましたが、ほたるが自分の仲間達を呼んできて花の上に提灯のように止まって明るく照らしたのたので、ちょうちょうたちは大変よろこんで夜遅くまで遊びました。虫たちの明るくご陽気なフェスティバル、ぜひ一度見てみたいものですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の112編目は怪談ではなく著者の関東大震災における実体験の随筆エッセイですよ。大正十二年(1923年)9月1日に起きた関東大震災で著者が死者の匂いを避けてハンカチで鼻を覆いながら旧陸軍被服廠跡と周囲にあったおびただしい数の黒焦げ死体を見て驚き「なるほどこの被服廠跡の焼死者が三万余というのも誇大ではないな」と思ったと書かれているのを読んで慟哭の想いに駆られましたね。うーん、今気づきましたが、もう間もなく丁度100年を迎えるのですね。本当に亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈りしますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
道尾秀介さんの6冊目となる青春ミステリーの力作です。本書はメインの事件の謎解きは特筆すべきものはありませんが、冒頭から作者が仕掛けた罠が面白く終盤で隠された意味がわかった時にはおおーっ!と思わず叫びましたね。秋内、京也、ひろ子、智佳の男女二人ずつの四人の仲良し大学生が夏の季節に小さな友・陽介が飼犬に引き摺られて事故死した事件によって陰りが生じる。主人公の秋内静(せい)は友人達に疑惑を感じて動物の生態に詳しい間宮助教授に相談するのだが…。まず主人公の秋内が智佳に恋しながら何も言い出せないシャイな駄目男です。
とみかず
2023/07/27 12:25

夢追人009さん。ナイスありがとうございます。

夢追人009
2023/07/27 12:41

とみかずさん、どういたしまして。これからもがんばって読んでレビューを書きましょうね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の154編目はシンプルだけど心が喜びで満たされる良い話ですよ。峠の上に大きな桜の木があって春になると花を咲かせました。その下の小さなかけ茶屋があっておばあさんがお菓子やみかん等を売っていました。そこは村人や子供達の憩いの場でした。ところが自動車が今度あちらの村まで通ることになって桜の木を伐ろうという話が怒ったのです。多くの人が反対しまして村の人々が桜の木を道の側へ移す事になりました。おばあさんの茶店も桜の木の下に場所を変えました。おばあさん、今年は花が咲かないのうと村人達が心配しました。
ヴァン
2023/07/25 16:17

小川未明は結末が暗鬱なのもあって、特色ですね。

夢追人009
2023/07/25 17:14

ヴァンさん、こんにちは。でもまあ児童向けの作品は概ね素直な優しい作品が多いと思いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の21編目は影の実態についてとても勉強になる話ですよ。町の真ん中にある広場にまるい影があって二人の子供が通りかかると何の影だろうと不思議がりましたが結局わからずに行ってしまいました。それから雀が来て私の影よと言いましたがポストに笑って否定され、ポストも自分の影だと言ったけど街灯に笑って否定されました。そして最後に軽気球が「あれは私の影だ」と言うとみんなが納得しました。雀とポストと街灯は丸い影をうらやましがりました。ところが、夕方になって陽が落ちてしまうと丸い影はなくなってしまったのです。
夢追人009
2023/07/25 10:47

そこでみんなは影というものは太陽が作るのだということがわかったのです。純粋で無邪気な良い話ですね。関係ない話ですが特撮時代劇の「仮面の忍者赤影」を子供の時によく見て好きでしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の111編目は若いチャラ男が体験する現代怪談噺ですよ。仲間と有楽町のカフェーで飲んだ後に銀座・尾張町のカフェーでウイスキーを飲んだ哲郎は深夜に勘定を済ませ電車に乗って広小路で降りた。道を歩いていると首に襟巻を巻いた若い女が歩いていた。もう十二時を過ぎているというのにこの女は正しい生活の女ではないと思った。彼が近づくと蝶が飛ぶように遠ざかった。だが暫くすると蕎麦屋の前に現れて話しかけると女の下宿屋へ招かれた。二階に上がり布団の前へ腰掛けると女が酒を用意すると言うので自分も立ち上がった。
夢追人009
2023/07/25 10:12

女の側で手を伸ばすと天井から下がった青い紐が首にまつわりつき女が凭れたので彼は体勢が崩れ倒れた。哲郎が意識を回復すると枕元に二人の男がいて女の姿はなかった。哲郎が今までの事情を話すと一階までついて来なと言われた。男は下宿の亭主で、もう一人の隣家の男だった。「五六年前にバーの女給をしていた女が、何でも男のことか何かで、あそこで死んだらしいですよ。私達は一昨移って来て何も見ないが、変なことがあると言って貸す人も貸す人も三月とはいないのですよ」と言った。青い紐に首を縛られ殺されかけたけど命が助かり幸いでしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
君嶋彼方さんの第2作は前作程のインパクトや話題性や反響はなかったようですが、でも今回も中々に渋いテーマの力作だと思いますね。本書のテーマは人類の一部に超能力者が認知された社会の学校で言わば旧人類と新人類の生徒達の間に横たわる異種族の意識と友情についての問題ですね。学校には超能力者だけのクラブ活動があり、でも彼らの超能力を学業で発揮する事は認められません。また街では本人の選択式で超能力者だけが暮らす町で居住する権利が認められています。そんな異質な環境の下に学校で大量の机が窓から投げ捨てられる怪事件が起きる。
夢追人009
2023/07/24 13:20

本書にはメインの謎はありますが犯人を突き止める謎解きパズルのミステリーではありません。主人公の高校生・冴木旭は時間を止める超能力を持ちながらも普通の学友達と距離を置かずに仲間と溶け込んで学校生活を送ろうとする心と反発する者達との戦いというよりも心のふれあいが描かれています。私は昔の漫画で超能力者が自分の能力を隠して世界の敵と戦うドラマに親しんできましたので本書の内容は読んでいて辛いですが今の個人主義の社会だとこういう感じになるのも止むを得ないなと思いますね。難しい問題ですが私は人類皆兄弟であれと願います。

夢追人009
2023/07/24 13:21

最後に二年続けて作品を発表されて来た著者は時期的に今年もそろそろ新作が出てもいい頃合いですが、何となく苦戦されているような気がするのですね。それは特殊設定でしか作品を書かない形と男女の恋愛を作品に描かない姿勢が非常に作品世界の幅を狭くしておられるような気がするからですね。私だけの心配かもしれませんが著者にはこれまでの作風に拘らずに新境地でまた違った路線にチャレンジして活躍して欲しいなと願いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
君嶋彼方さんの絶賛された長編第1作。この題名は何となく誤解を招きそうな感じで私も読む前は悪い意味に勘違いしていましたね。男女の体が入れ替わるパターンの物語で、、高校一年生の坂平陸が同級生の水村まなみと一緒にプールに落ちた翌朝に目覚めると自分の体が水村まなみになっている事に気付きます。男が女に途中で生まれ変わると女として生きていく事の大変さを改めて思い知る事になるという事実が大きく強調されて描かれているのです。本書は恋愛小説ではなく異常な状況下周囲や親を困惑させない為に他人の人生を引き受ける若者の物語です。
夢追人009
2023/07/24 11:52

そうですね、この二人の態度は日本人的な我慢と忍耐の心を表していると言えますね。もし外国人であれば例え人に信じてもらえなくても合理的に真実を大人に訴えて助けを求めるのではないかなと思いますね。こういう風に両親の困惑する姿を見たくなく駄目だった場合には他人の姿で家族と暮らさないといけないとか考えて、このまま何もなかったふりで普通に暮らすのは人として偉いけれど自分にはとても出来そうもないなと思いましたね。本書の受け止め方は状況の面白さを楽しむ事で、二人の自己犠牲の覚悟に敬服しました。でも正直難しい小説でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の53編目は不思議な輪廻転生の良い話です。ある町外れのさびしい寺に和尚さまと大きな赤犬が住んでいました、和尚さまが毎日お堂でお経をあげると犬は腹這いになって熱心に聞いていました。犬は人の言葉が分かり口がきけないだけでした。幾たびか季節は巡り、和尚さまは犬に向かって私はお前が極楽浄土に行って来世では徳のある人間に生まれ変わるようにとお願いしている。おそらく三十年後には娑婆に出てくるだろう」と言うと犬は理解したように目から涙をこぼしました。数年の後に和尚さまも犬もこの世を去ってしまいました。
夢追人009
2023/07/24 11:03

七十年経ち、ある村に一人のおじいさんがあり太っていつもニコニコと笑い村人から慕われいろんな食べ物をもらいました。若者が喧嘩してもおじいさんを見ると心が穏やかになって仲直りしました。おじいさんは裕福ではなく乞食や困った人に食べ物を分けてやりました。ある日おじいさんは珍しく「もう私は何にもいらないから」と言い翌日気分が悪くなりすやすやと眠るように死にました。村人は悲しみ懇ろにおじいさんを葬って法事を営みました。また三十年が経ち、おじいさんの墓の側に植えた桜の木は大きくなり毎年来る春にはいつも花を咲かせました。

夢追人009
2023/07/24 11:03

赤犬は徳のあるおじいさんにに生まれ変わって最後は桜の木になったのでしょうね。平凡ながら心が洗われて晴れ晴れとする良い話でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の20編目は一部漢字とカタカナで書かれ、ハラハラドキドキさせられますが最後は決して期待を裏切らない優しい話ですよ。ある朝王様はカタツムリを見つけて子どもの時分何だか良くカタツムリの「歌をうたったなあと思いましたがどうしても歌詞を思い出せません。お側の者に聞いても知りません」の答ばかりです。王さまは庭をぐるりと回ったけれどそれでも思い出せないので、とうとう怒ってカタツムリをつぶしてしまおうとした時、心にふっと「でんでんむすむし、つのふれよ、夜明けに盗人がやってくる」という歌がうかびました。
夢追人009
2023/07/24 10:00

それと一緒に歌をよく歌って下さった優しいお母さんの事も思い出しました、そこで王さまはカタツムリをつぶさないで青い葉の上にそっと乗せてやりました。カタツムリが死なないで命が助かって良かったですね!そうですね、生き物の命は大切にしないといけませんが、正直言って唯一Gだけは例外で迷いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の110編目は織田信長が生きていた頃の戦国時代の話ですよ。長くて複雑ですが要約して書きますね。長良川の鵜飼船に三十~五十代の男四人が乗って魚を獲ると近くにある法華寺の別院へ向かった。そこでは稲葉山の城主・斎藤義竜(よしたつ)が涼をとっていた。彼は兄弟と父の道三を殺して美濃の守護となっていた。そこへ鵜飼いの四人が来て義竜を殺して仇を討とうと謀る。彼らは道三の臣下達であった。だが二人が倒れ残りの二人は一旦逃亡する。生き残りの二人が今後の相談をしていると老人が現れて仇を取らしてやると言う。
夢追人009
2023/07/24 09:18

生き残りの一人、道家は小屋にいる老婆と若い女に招かれ寝ていると大きなガマが現れたので刀で斬り殺す。次の夜、浪人と会うと赤い土の壺を渡されガマを見たらツボを開けろと言われ、祠に用意された衣を来て旅の僧に化けて法華寺の別院にずかずかと入って行く。庭の池にガマが浮かんでいたので壺を開けると中から白い蛇が飛び出してガマをぐるぐる巻にしてしまう。その時「殿様が大変じゃ」と声があがりニ三日熱病を患っていた義竜が急にもがきだして死んでいった。「織田軍記」に永禄四年に悪病を患い義竜死去しせり」とある。面白い奇譚でしたね。

夢追人009
2023/07/24 13:46

× 次の夜、浪人 → 〇 次の夜、老人 でした。誠にごめんなさいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新川帆立さんの5冊目は単発物で全5話収録の連作短編集ですね。本書のヒロインの邑楽風子(おうらふうこ)は孤児の身の上で姓は拾われた土地の名前で名は演技が良いからと名付けられた依頼人のご先祖様を調査する先祖探偵で、著者の作品には意志の強い人物が多く登場しますが、天涯孤独でありながらひとででも淋しくない決して負けずにもっと強くなれると信じる強靭な性格の人物ですね。依頼人を調査する内に次第に犯罪事件や厄介事が浮かび上がるというハードボイルド調の物語で、また日本全国の土地の名物料理が紹介されて食欲をそそられますね。
夢追人009
2023/07/23 11:57

子孫がご先祖様の人となりを聞く内に心が和んだり自分も頑張らねばと発奮材料になったりして良い効果を生む人情物語が本書の読み所でしょうね。本書にはオカルト系の怪談幽霊話も出てきて著者は作風の幅を拡げておられますね。まあ今後2冊目が出るかどうかは微妙ですが、ヒロインの風子に仕事だけでなく私生活も充実させて今よりもっと幸せになって欲しいなと願いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の52編目は人間は横着と欲深いのは駄目だよと戒める教訓の話ですよ。ある男が縁日に行って無花果の鉢植えを買いました。男は植木屋から来年には実が生りますと聞いて帰る途中に夕立にあいました。友達の家を頼って雨が止むまで待ち帰りには鉢を預けてゆきました。その後、男は預けた事を忘れて木を取りにゆきませんでした。この男は欲深で五、六年も経って、ふと友人に無花果の木を預けた事を思い出しました。早速取りに行くと家の人は「あなたが取りに来られると思って大事に育てておきました」と言って裏庭に案内されました。
夢追人009
2023/07/23 10:44

大きな無花果の木に実が一杯生っていました。男は驚き当惑して仕方なく掘って車の載せて帰りました、しかし木を移す時期ではなかったので実もしなび木も枯れてしまいました。結局、男は骨折り損だったのです。みなさんもこんな残念で惨めな事にならないように十分注意しましょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の19編目はカタカナ表記の少しほろ苦い笛吹きの話です。一人の笛吹きがあり、一本の笛で家々の戸口に立って、ヒロヒロヒーと哀しい音を震わせ一銭二銭をもらって旅をしました。彼は道端でカナヅチを拾い、笛はいいけどカナヅチは何にもならないと言いましたが、道を行くと鍛冶屋がカナヅチを使ってクワを作るのを見て、大工が同じくカナヅチを使って家を建てているのを見ました。靴屋の爺さんが一人で靴を作っているのを見ると笛を吹き始めましたが「うるさいから行っておくれ」と言われました。カナヅチを使えば何でも作れる。
夢追人009
2023/07/23 09:49

笛なんかピロピロ鳴くだけじゃ。爺さんが言うのを聞いた笛吹きは道を行く途中でカナヅチを振上げクシャンと笛を砕いてしまいました。彼はカナヅチを握りしめて工場ばかりの町へまっすぐ歩いて行きました。うーん、まあ笛の奏でる音楽は人の心を癒してくれますからね、全否定する事もないと思うのですけどね。とにかく彼はショックを受けて自分の心の中で一大決心をしてカナヅチと共に生きる道を選んだのですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の109編目は中国の全く怖くない話ですよ。題名の賈后と小吏は難読漢字ですが「かこうとしょうり」と読みます。晋の都の洛陽の郊外の小道を、イケメンだが貧しい警察の巡査が歩いているとお婆さんが来て家に病人があるのですが占い師に見て貰うと若い音の人に「まじない」をしてもらったら良くなると言われましたので来て下さい。良くなりましたらお礼をしますから」と頼まれました。お婆さんに説得され立派な馬車に二人で乗ると窓の扉をぴたりと閉められ外の見えぬままに走り出し速いスピードで大揺れしつつ漸く停まった。
夢追人009
2023/07/23 08:54

そこは花や鳥を彫刻した柱を赤や青に塗った建物が並んでいて窓には真珠の簾が垂れてあった。真珠の欄干で出来た回廊を行くと仙女のような若い女たちが行き来しており、ここは人間界ではないぞと思われた。やがて背の低いずんぐりした中年の女が来て婆さんがあの方が仙妃であらせられると青年に紹介した。彼は貧乏な身で家内もいないと言うと可哀想に、これから幸せにしてあげると言われ、宴席で酒魚のご馳走をふるまわれる。青年は衣裳を記念に貰って元の場所へ帰される。衣裳をつけていると怪しまれて捕えられたが仙妃の話をすると許されたという。

夢追人009
2023/07/23 08:55

まあ男がその後どうなったのか全く書かれていないのが残念ですが、貧乏な身の上から脱して幸せに暮らしたのでしょうね。古い昔の中国のサクセス・ストーリーでしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
論争海外ミステリ・シリーズの8冊目。著者のジョン・ウェルカムはイギリスでは人気の競馬・スパイミステリーの書き手で、あのディック・フランシスとも親交があったという事です。本書に登場する元諜報部員のアマチュア騎手の英国紳士リチャード・グレアムのシリーズが最も有名ですが残念ながら本書が唯一の紹介作ですね。本書はスパイ小説の出来としては平凡でB級の水準作ですが序盤でリチャードが敵に捕らえられシェルビーという用心棒の男とカードゲームのカナスタをプレイ中に相手が冷静さを失った隙に飛びかかって倒す場面がスリル満点です。
夢追人009
2023/07/22 12:11

そして終盤ではリチャードが敵のアジトから脱出して車がなくて困っていると、車がエンストして故障し仲違いする夫婦に行き当たり夫が町まで徒歩で向かうのを見て妻に近づき車をチョチョイと治して、ついでにミニ不倫をして町までドライブするという出来過ぎの演出の場面があって中々に面白かったですね。まあ古き良き時代のB級スパイ小説をそんなに大きな期待はせずに軽い気持ちでのんびりと読まれるといいなと思いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
レーエンデ国物語と聞いて題名に世界的に有名なファンタジー作家のミヒャエル・エンデさんの名前が含まれているのに気付きましたね。西洋世界が舞台の日本人作家が描いたファンタジー作品。面白かったです。傭兵の偉大な英雄ヘクトルと娘のユリア、二人を助ける元傭兵の弓の名手トリスタンの3人が中心となる物語で、レーエンデ国の最大の特長は「銀呪病」という全身が銀色に覆われて十年以内には死に至る恐ろしい風土病(但し伝染病ではないのが救いですね)の存在に気が休まることなく常に心を脅かします。でも残酷描写は皆無でソフトな印象です。
だっぱら
2024/02/08 11:05

礼エンデってことか!気づきませんでした!

夢追人009
2024/02/08 11:43

冗談ですが、もし実話怪談ヴァージョンだと「霊園で物語」になりますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の51編目は心を打つ子を思う母の話ですよ。父親が戦死して母と子が二人で暮らしていましたが、息子の良吉は小学校を終わると都へ出て働きました。故郷に残した母が心配な良吉は毎日母に新聞を送る事にしました。秋の日に母の所へと郵便配達の良吉と同じ年恰好の少年が新聞を届けてくれました。母親は少年に一度お茶を勧めましたが少年は「時間までに帰らないといけませんから」と言い急いで帰って行きました。良吉に母から手紙が来て「この頃目が悪くなったし毎日遠くから来てくれる配達の少年にも悪いから十日に一度でいいよ」
夢追人009
2023/07/22 10:15

そう書いてありました。良吉はそれを読んで今後は十日ぐらいおきに絵の雑誌を送る事にしました。母親は少しさびしくなりましたが少年配達夫が少しでも助かるのだしと思って喜ぶのでした。ある日配達夫が郵便が減った理由を母親に聞くとありのままに答えました。少年は「そんなご心配なら、してくださらなくてもいいのです」と言って目に涙を浮かべました。他の子供に対しても変わらないやさしい母親の愛に感激したからです。心優しい思い遣りに満ち溢れたおかあさんの誠に良い話でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の18編目はカタカナで書かれた魚と女の子の友情物語ですよ。女の子が池をのぞいていると頭から、かんざしが抜けて水中に落ちました。池の中にいた魚に女の子が「私のかんざしを拾ってください」とお願いします。でも魚は欲が出て女の子の頼みを断ります。女の子は水が深いので拾うことができずに泣きながら行ってしまいました。魚は「よし頭に差してみよう」と思って試すとそれが無理な事に気付きました。次の日、女の子が池に来ると魚がかんざしを口にくわえ言った。「私が悪うございました。さあ、かんざしを、お返しします」
まゆだま
2023/07/22 10:19

可愛いお話で微笑ましいですね😄朝から良いお話をご紹介頂き、ありがとうございました😃

夢追人009
2023/07/22 10:28

まゆだまさん、ありがとうございます。どんな時代であってもこういう良い話を忘れないようにしたいものですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の108編目は中国の蛙の嫁入り話ですよ。薛昆(せつこん)というイケメンの若者がカエルの神に気に入られ娘の十娘(じゅうじょう)と結婚するが最初は仲が良かった物の家の中がカエルだらけになると嫌になり帰れと追い出す。昆の父の老人が祠に行って謝ると十娘は帰りまた夫婦仲はよくなるが、化粧ばかりして何も家事をしない十娘に腹を立てた昆はまたもや追い出す。すると火事が起き両親の家が全焼する。昆が怒り祠に火を付けようとすると村人達が止め夫婦の新居を建てる。昆は十娘と再び縁りを戻すが次にヘビで悪戯する。
夢追人009
2023/07/23 09:13

ヨシさん、ありがとうございます。短い作品も多く混じっていますので参考程度だと思いますが、これから私も絵本とかにもレビューを書いて行こうと思っていますね。お互いにがんばりましょうね!

ヨシ
2023/07/23 23:39

絵本は面白いですよ〜。感想楽しみにしてます😀

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の50編目は夢のあるメルヘンの物語詩です。こちらの森から、あちらの丘へ虹が橋をかけて、その橋を渡るのは、からすが三羽に乞食が一人。からすはあわてて落っこちたけど無事に夕焼けの空へ飛び立ちました。乞食は杖をついて上がり、それからお星さまの世界へと旅立ちました。虹が消えて、下の町には火が点きます。まあ、からすは空全体がホームだから大丈夫として乞食は星の世界に行った瞬間から貧しさから解放されて、下界にいた時よりもずっと幸せに暮らしているのでしょうね。小川さんは自身の願望を詩に託したのでしょう。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の17編目は今日もとても短い童話詩ですよ。お月さまを、みいあげた。マストにのぼった、ふなのりが。何だか青いと、さういった。わたしが窓から 一人きり。母さん静かね、さういった。何か良いメロディーに乗せれば唱歌・童謡の名曲になったに違いないのに誠に惜しく勿体ないですね。ところで、この詩は昭和6年(1931年)の作品ですが一番の歌詞で思い出したのが菅原都々子さんの大ヒット曲「月がとっても青いから」で調べると昭和30年(1955年)の作品でした。まあ、さすがにこの二つは何の関係もないでしょうね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の107編目は冬の雪の日の怪談ですよ。カフェーで私が酒を飲んでいると雪が降り出し店に入って来た車屋の若い男が語った話。暮れの夜に親方の用事に行った帰り飲み屋で一杯飲んで店を出ると雪が降っていた。停留場に行くと赤電車が出ようとしている所だったので急いで飛び乗った。三人が乗っていて座席に腰かけていると、ふと視線を感じたので見ると側に老婆がいた。すると前から小男の車掌がやって来て近くに来ると婆さんが消え失せたのだ。驚いて婆さんは何処に行ったと車掌に聞くと「婆さんなんていませんよ」と答えた。
夢追人009
2023/07/21 08:49

丁度電車が停まり三人が降りようとしていたので私も気味が悪くなり三人について降りた。すると救助網(市街電車の車体の前面下部に取り付け、人などがひかれて事故を起こすのを防ぐようにした鉄製の網)すれすれの所に誰かがしゃがみ何かを探していた。電車が動き出したので「危ない、人だ」と言って、しゃがむ人に手を掛けると顔を上げたのが先程の老婆だった!わっと叫んだ私は電車にふれて気を失い病院へ運ばれたのです。彼が倒れた場所では電車に触れて五六人死んだ者があったという。婆さんの幽霊も怖いけど昔は接触事故が多発したようですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
くわがきあゆさんのサイコサスペンス・ミステリーの第2作。著者は現代社会にいそうな、おかしな変な人々、概ね自己中で人の迷惑を顧みず嫌がられたり心を傷つけたりする事に無神経な奴らを書かせたら天下一品の腕前だと思いますね。本書でも迷惑この上ない男と女の姿を描き出し、その上で二人に関係する人物の内面を深く掘り下げると以外意にも…。という事で本書はフーダニット(誰が)ではなくホワイダニット(なぜ)の動機を重視するミステリーで、タイトルもヒントになっていますが単純そうに見えて本職の刑事も悩む複雑な謎が描かれています。
夢追人009
2023/07/21 06:58

まあ今回もイヤミスとして恐ろしく意外性もあって今回も充実の出来栄えでした。唯一点だけ思うのは、こうした人々の存在が最後まで放置され、彼らの心に寄り添って是正し改心させ社会から一人でも減らそうとする動きが全くないのがやや引っかかるのですね。まあイヤミす路線を突っ走る行き方を貫くという事であれば何の問題もありませんが、特に文学作品寄りにして欲しいとは思いませんが、著者にはいつか良識ある心の優しい人物を登場させて異常者の間違いを正して助けてあげるような読み終えて後味が良い作品も偶には書いて欲しいなと願いますね。

夢追人009
2024/05/05 09:13

すみませんが今回久々に昔のレビューをUPした理由は読み返しまして誤字に気づいたので修正した為ですよ。ごめんなさいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
今邑彩さんの通算10作目となるサスペンスミステリー小説です。ヒロインの晶子は二十一年前に起きた医者一家惨殺事件の三人組犯人の一人だが世間には隠して軽井沢でペンション「春風」を経営している。晶子は犯人の一人、洋一と結婚していたのだが肺癌で死別し、今は郁夫と再婚し店を続けている。数年前に殺人事件は時効を迎えたが、実際に大量殺人を犯した犯人・薫が何者かに殺され、唯一人の生き残りの晶子の元に復讐の予告状が届いたのだ。クリスマスイブに集まった七人の客の中に犯人はいるのか?晶子は若い娘と夫に過去を隠し敵に立ち向かう。
夢追人009
2023/07/20 13:15

二時間ドラマにしたらぴったりだと思える物語で面白かったですね。ヒロインの晶子の他に常連客で元刑事の佐竹が登場して彼女から事情を聞いた上で親身になり助けてくれます。調べる内に誰もが怪しく表向きとは別の裏の顔がるのが徐々にわかってくる筋立てが面白いです。過去の殺人事件には当時5歳で二階で風邪をひいて寝ていた為に生き残った息子がいて、晶子の娘が連れて来た青年が丁度その年齢でおまけに事件を素材にしたミステリーを書く作家という趣向もありますが、そんなに単純ではなく最後に明かされる犯人の正体は予想外で驚愕しましたね。

夢追人009
2023/07/20 13:15

でもこの強烈な犯人像は印象に残って絶対に忘れられそうもありませんので、これから暫く十年ぐらいは再読は無理でしょうね。最後に本書に出て来る警察は無能すぎて話になりませんが、もし本職の警察ならば事件は直ちに解決しただろうなと思えますね。惨殺事件の捜査でも偽証をスンナリ受け入れてあっさり諦めるのですからあまりにも粘りがなさすぎるのです。退職刑事の佐竹は頑張って真相を解きますが、彼は素人同然の立場で動くのですから不利なのですね。それでもヒロイン晶子の敵に立ち向かう強い意志とど根性は素晴らしくて心を打たれましたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の49編目は短いイメージの詩ですよ。海は黒い旗のようだ。黒いふろしきのようだ。海が鳴(うな)る。晩のように黒く、墨のように黒い。海は人間の侵入を許さない暗い、唯ひたすらに暗い闇の世界なのでしょうね。大正十一年(1922年)に書かれた詩ですね。青い海と表現すれば気分が明るく高揚するのに、小川さんにはそういう風には少したりとも思えないのでしょうね。深海のように底知れないブラックな世界で光明も見出すような児童文学とは無縁の小川未明さんの姿がここにありますね。タコが黒い墨を吐くのも道理ですよね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の16編目は昭和7年(1932年)に書かれた詩ですよ。花園みたいに祭みたいに明日がみんなを待っている。草の芽、あめ牛、てんと虫、さなぎが蝶になり、つぼみが花になり、卵がひなになる。泉のようにわいて、ランプのようにともっているのですよ。これはズバリ、昭和38年(1963年)に作詞は青島幸男さん、作曲・編曲は中村八大さんで書かれた「明日があるさ」の原点でしょうね。坂本九さん、ウルフルズさんらが歌われていますね。まあやや強引ではありますが、きっと何らかの影響を受けているような気がするのですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の106編目は中国の不思議なファンタジー恋物語ですよ。人名の漢字が難しいのでカタカナで書きますよ。ホウという秀才の男が友人の寺で下宿していて夏の夕方に西湖の縁を歩いていると十七八歳程の美女と老婆の二人連れと出会う。声を掛けたが女は無視して早足で歩き去り急いで後を追ったが見失ってしまう。翌日から近辺を何日も探すがどうしても見つからずホウは病気になって寝込む。すると幼い女の子が来て公主(皇帝の娘)の所へ案内すると言う。ホウが女の子について行くと山の麓に今まで目にした事のない楼閣が見えた。
夢追人009
2023/07/20 09:52

ホウは女と会うと私は水仙王の娘でハスの花の精です。今はオジのカニの王に世話になっていますと言い二人は毎日逢瀬を重ねる。ある朝ホウが寝過していると乳母に見つかり、カニの王の前に連れて来られるが、そのカニは彼が以前に網にかけられていたのを助けたカニだったので危なかったが許されて助かる。やがて母から手紙が来て病気だとの事で急いで駆けつけると母の病気は治っていた、帰ってくると公主が引っ越しましたと言って新居へ案内され寝室へ連れて行かれて絡みつかれて翌朝は起きあがれなくなる。すると同じ姿をした女が部屋へ入って来る。

夢追人009
2023/07/20 09:53

女は泣いて出て行き、ホウが自分は死ぬのだと覚悟していると夕方に女が再び来て赤いツルを抱いてもう一人の自分へ投げると女は白いヘビの姿になった。ヘビの腹から玉が転げ出し、これはヘビが私に化けたのです。あなたにはヘビの毒が回っていますが、この弾で薬をこさえて飲んだら大丈夫ですよという。女は子どもを産むが、お別れしなければなりませんと言って出て行くと姿が消えた。まあいろいろとあった奇想天外なオリエンタル・ファンタジーでとにかく面白かったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
こんなはずじゃなかったのに。同窓会に来た大学生の敷石和也(しきいしたかなり)はダラダラと毎日を過ごす駄目な自分を意識しながら先に抜け出し帰りの電車のホームで線路に落ちる女性を見た瞬間に自分の情けなさを痛烈に実感しながら意識が遠のく。目覚めると自分が小学生の姿になっており、しかも鬼ごっこをするもう一人の過去の自分自身と対面するのだった。斬新な赤の他人タイムスリップという形で過去にいた筈のない和也(カズヤ)として再び過去の世界で生きていくSFミステリー小説です。そこでは何故か謎の動物殺し事件が頻発するのです。
夢追人009
2023/07/19 12:13

昔は疎遠だった学級委員長の女子・渡会凛だけがカズヤの話を信じてくれて二人で組んで残忍冷酷な犯人を追う果てに判明する驚愕の真相とは?SFミステリーの面白さが存分に味わえるトリッキーな仕掛けに大満足します。そして彼自身の心境の変化により人生はどう変わっていくのか?興味津々の展開で最後まで飽きさせずに読ませます。また物語に登場する柴犬マイゴの活躍もいい味が出ていますよ。読み終えると今を生きる自分自身をポジティヴな気持ちに変えてくれる素晴らしい一冊をぜひお読みくださいね。#NetGalleyJP

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の48編目は無邪気な赤ん坊と子供たちの話です。赤ちゃんはお母さんのお乳にすがりついて、うまそうにのんでいました。それをさもうらやましそうに五つになったお兄さんと七つになったお姉さんとがながめていました。兄さんはついに我慢できなくなったと見えて、お母さんのお乳に小さな手をかけようとすると、赤ちゃんは顔を真っ赤にして頭を振って、さわってはいけないと怒りました。「お母さん、赤ちゃんはいじわるですねえ」とお兄さんが言うと、お母さんは「坊やも赤ちゃんの時分は、やはり同じだったのよ」と言われました。
オスカー
2023/07/19 18:15

保育園の頃だったか、粉ミルク缶が出てきて兄と溶かして飲んだ記憶がある……お腹は大丈夫だったのかな?と今ごろになって心配しています😅

夢追人009
2023/07/19 18:22

オスカーさん、ありがとうございます。直接は関係ない話ですが、私は小さな頃から牛乳が苦手で先生にも叱られましたが、一緒にコーヒー粉末が出た時だけ溶かして飲んでいましたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の15編目は本当にシンプルな童話詩です。いちれつに並んでるのは、土人が浜辺に並んでる。カヌーがなぎさに並んでる。わにの卵が並んでる。しげったやしが並んでる。ひでりの雲がならんでる。ああ、みんな水にうつって並んでる。南国のビーチの風景をイメージして書かれた詩なのでしょうね。昭和6年(1もらって931年)に書かれた作品です。この詩にサザンオールスターズかチューブに曲をつけて歌って欲しいですね。まあおそらく無理な話でしょうけれど自由気ままに夢想するくらいならば別にいいんじゃないかと思いますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の105編目は純情な独身男の奇妙な体験談です。銀行勤めの若い男、秀夫が新京橋の欄干から川に浮かぶ牡蠣船の中で琵琶を弾く美女の姿を見て一目惚れして会おうと降りて行くが店で料理を食べていても寄って来るのは醜い女達ばかりで中々会えない、何度か通ったある日、橋の上に行くと「今晩は」と綺麗なワカ女に声を掛けられた。秀夫は女に自宅へと誘われて喜んでついて行き女の家で一晩中歓楽に浸っていると不思議な人の声に眼を覚ました。自分は濡れた枯蘆の中の小さな祠の側で寝てい手、その先に一艘の小舟が着いていた、
夢追人009
2023/07/19 10:27

白髪頭の老人が水棹を持ってにゅっと立ち「おい、若い衆、起きろ」と怒鳴った。秀夫はびっくりして起きて「ここはどこですか」と問うと「弁天島だよ。弁天島の綺麗な後家神に、いたぶられたろう。ぐずぐずしよると命がないぞ」と言われた。ああ、どえらい災難でしたが、命だけは取られずに済んで良かったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
弁護士作家・五十嵐律人さんの第2作は読者の完全に好き嫌いが分かれる作品だと言えるでしょうね。主人公は家庭裁判所調査官の瀬良真昼で常に過ちや事件を起こした少年たちの立場に立ってサポートする職業の人間である。「やり直せるから、少年なんだよ」と犯罪者の少年達のの更生を信じて彼らを長い目で見守るのである。だが狐面の少女による凄惨な大量殺人事件の発生を知って彼の心は大きく揺らぐのだった。著者の作風は固くてユーモアは皆無に近く本書で唯一面白さを狙ったのが人名で、佐原砂(スナ)と漠(バク)の兄弟でサハラ砂漠になります。
夢追人009
2023/07/18 18:35

まあ本書はミステリーとしてのサプライズはありますが、謎解きパズルとしての興味はそれ程に複雑ではなくて本格ミステリーを愛する人には不満が残るだろうなと思います。ミステリー作品の中では少年法に守られて罪が軽減される事に対する是非を問う作品はたくさんありますが、その逆の立場を取る作品はあまり読んだ記憶がありません、現役の弁護士さんである著者は自らの信念を込めて理屈ではなく加害者の少年を守る立場の小説を書きたかったのだと思います。私は複雑な思いですが平等という意味で本作のような内容もあって良いだろうと思いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
日本の暗澹たる近未来の姿を描く警告の書です。少子高齢化とAIの進化による職業寿命の短命化、とにかく人口が減少すれば廃業に追い込まれる職種が増えて、日本の伝統芸能も廃れ消え去って行くという将来ビジョンは確かなリアリティーがあり心にグサリと突き刺さりましたね。一つだけ思うのは江戸時代から明治時代へ変わる時には、ちょんまげから髪型が変化し、戦前から戦後では軍国主義から民主主義にガラリと変化した例にあるように日本国民の柔軟性が未来の大きな変化に対してもきっと強い気持ちで乗り越えさせてくれるだろうという期待ですね。
夢追人009
2023/07/18 17:35

本書は部分的に著者がエキサイトしすぎて同じ意味の事を繰り返すような記述も後半で少し散見されましたが勉強になる素晴らしい内容でした。私が心に突き刺さった政治家に対する皮肉の表現は有名なリンカーン大統領の演説をブラックにもじった「高齢者の高齢者による高齢者のための政治」でしたね。でも甘い考えかもしれませんが、それでも日本人は何とかして叡智と知恵をふりしぼって、この危機と難局を乗り越えるだろうと私は信じたいですね。#NetGalleyJP

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の48編目はとっても短い童話詩の掌編です。ある少女が鳥屋の前に立つと赤い鳥が鳴いているのが聞こえてきて、その声で町に住んでいるお姉さんの事を思い出します。ほんとに恋しい、なつかしい気持ちが込み上げてきます。都の方をながめたら黒い煙が上がっていました。この娘はこれからも一生田舎の我が家で暮らすのでしょうか。人それぞれに生きる道はあって幸せ不幸せのどちらと決めつけられませんね。この姉妹が決して疎遠にならずに都会と田舎を行き来してこれからもいつまでもずっと仲良く交流できたらいいなと願いますね。
赤い鳥
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の14編目はカタカナ童話の読む方もくたびれる話ですよ。一人の証人がウサギの入った籠を持ち「ロバの子はいりませんか」と言って売りに来ました。ちょうさんが、こんな小さなヤツが大きくなるのか?と疑いましたが大丈夫ですよと商人に説得されて買いました。彼はロバに引かせる大きな荷車をこしらえてウサギを縛りつけましたがいつまで経っても大きくならず、知らん顔で幾ら叱っても駄目でした。やれやれと、ちょうさんはとうとう車の中にへたばってしまいました。まあ無理なものは無理で己の愚かさを反省するしかないですね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の104編目は酔っ払いの画家の奇妙な体験談ですよ。友人の下宿で二人でビールとウイスキーをちゃんぽんで飲んだ若い画家が帰る道で日本酒が飲みたいが金が無いので家で飲もうと思って雨の降る道を歩く内に奇妙な異世界へ紛れ込む話で、ふいに側に馬の気配を感じます。ここは牧場なのか?と思っていると三十路の年増女が立つ家を見つけて立ち寄ると休んでいきなさいなと誘われて縁側で酒をすすめられるままに飲む。うとうと暫く寝ていて起きた男はもう一人若いお嬢さんがいると聞いていたので部屋にあがって見に行ってみた。
夢追人009
2023/07/18 10:34

すると若い女が汚い言葉で年増女をなじっていたので驚き慌てて外へ飛び出し逃げた。近くに鍛冶屋があり中にいた老婆に道を尋ねると指で差したので、その通りに進むと漸く知った道まで出て家に帰る事ができた。翌日、彼は昨夜に見た鍛冶屋や牧場や怪しい家を探したが、そんなものはさっぱり見つからなかった。後に土地の人に聞くと昔その辺りに馬小屋があったそうだが、それ意外の事は何もわからなかった。まあお酒を飲ませてもらって馬糞を食わされるということもなかったのですから不幸中の幸いと思って全てを忘れてしまうのが最善の策でしょうね。

夢追人009
2023/07/18 11:30

×それ意外→〇それ以外、でした。穴があったら飛び込みたい大失策で誠に面目ございませんね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
とても綺麗な美しい絵本で一生の宝物になりそうな素晴らしい一冊ですね。ストーリーは服を着て擬人化された猫ちゃんと言葉を話す小鳥との友情の物語です。猫ちゃんの朝の楽しみは、よーく冷ました紅茶を一杯飲む事です。きっと冷ます理由は猫だけに猫舌だからでしょうね。表にトラックが来て小枝の束を下ろして行き夕方までに束ねて揃えるのが猫ちゃんの一日のお仕事です。そこへ一羽の小鳥が飛んできて小枝を7本だけ下さいとお願いします。猫ちゃんは小鳥に一日に一本あげる事にします。七日が過ぎて小鳥が来なくなると猫ちゃんは寂しくなります。
宵待草
2023/08/11 15:37

夢追人さん こんにちは 漸く既読し先程、拙いレビューを掲載しました。 素敵な絵本の紹介に感謝して居ます。🍀 有り難うございました。🙋 宵待草

夢追人009
2023/08/11 18:23

宵待草さん、こんばんは。こちらこそ、ありがとうございました。本書は第28回 日本絵本賞 受賞作品だったのですね。これからもこういう素晴らしい絵本に巡り逢いたいものですね。また今後ともよろしくお願いしますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の47編目は年老いた父と怠け者の兄弟の話です。広い畑と花園と沢山の宝物を持つ父親が二人の子供達に仕事を任せて自分は隠居しようと考えていましたが、兄弟はどちらも働かないで遊んでばかりいる怠け者でした。父親は兄弟の将来を心配しながら、二人を呼びつけてわしの財産を分けてあげるからと課題を与えました。家にいる事の多い兄には星の数を数えるように、外に出る事の多い弟には電信柱の数を数えるようにと命じました。二人は数え始めましたが途中で寝たり混乱したりで最後まで完遂できず仕事の困難さを思い知りました。
夢追人009
2023/07/17 23:54

二人は父の前に来て「これから心を改めて勉強します」と言って、二人は誠にいい息子たちとなりました。良かったですね。お父さんも、やれやれでホッとひと安心した事でしょうね。まあ人間の人生は一生何かを勉強し続ける道程だと言えるでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の13編目はカタカナ童話で読み難いですが最後は泣けますよ。五人の侍が旅をしていて山道を通りかかると木の下に一匹の猿がいました。五人は「この猿をわしの刀で斬らしてくれ」と口々に言いましたが、よく見ると猿は病気にかかって動けなくなっていたので旅に連れて行く事にしました。やがて猿の病気が治り五人になつくようになりました。けれど五人は食べる物がなくなり猿を殺して食べなければならなくなりました。すると五人とも何かしらの理由をつけて猿を斬り殺すのを断りました。その内に野原の向うに村が見えてきました。
夢追人009
2023/07/17 12:33

あっ村だ、あそこへ行けば食べ物がある。猿は殺さなくてよい。五人の侍は猿を切らなくてよかった事を、目に涙を溜めて喜びました。良かったですね!お侍はできれば無益な殺生をしたくない動物が大好きな心優しい人たちだったのですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の103編目は不気味ですがユーモラスな一編ですよ。尚、この題名は平山夢明さんとは無関係ですよ。福岡県の村に平山という所があって抗夫の一家四人(息子夫婦と両親が住んでいた。その両親夫婦の爺さん婆さんが病気で死んでしまう。処が、それから息子の細君が何かの用事で押し入れを開けると中に爺さん婆さんが並んで座っていたのだ。怖がって夫に言うと「神経だよ」と言って信じないが結局自分でも実際に目撃する。幽霊は村で大評判になり平山婆と呼ばれる。息子夫婦は引っ越すが、何処に行っても二人はついてくるのだ。
かりんと(2020.5~🖼️色鉛筆画にトライしています✏️)
2023/07/17 20:14

そうかもしれませんね。九州だと平山相太選手が有名ですよね☺️

夢追人009
2023/07/17 20:48

ありがとうございます。うーん、知りませんでした。38歳のプロサッカー選手なのですね。ところで思い出しましたが偶然にも平山夢明さんと私は同い年なのですよ。夢の漢字が共通していますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
最後の最後まで予測不能で二転三転する500頁超の喜怒哀楽の全ての感情が大爆発する読書人必読の大問題作ですね。17歳の高校生・鋼太郎と不思議な留学生の青年・アストラル神威とのお馬鹿でハチャメチャな「せいしゅん」ストーリー。だが心臓に難病を抱える妹うーちゃんの事情をクラス仲間に隠す鋼太郎と同じ悩みを持つクラスの嫌われ者女子との淡い恋物語から中盤でクラス全員が熱く燃える青春の大文化祭で大盛上がりで沸騰します。そして遂に明かされる神威の驚くべき正体のダークファンタジー的クライマックス!でもさらに興奮は続くのです。
夢追人009
2023/12/16 11:31

まあ続編が出るかどうかは微妙な所ですが、この作家さんが本気モードになって来年にでも次々に話題作を出していってくれたらいいなと思いますね。

ヨシ
2023/12/16 11:50

そうしたら即読みます!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の46編目は呑気な蛙の母さん話ですよ。小さなかえるのお母さんのひきがえるはかえるの中でも一番おとなしい性格なのでした。小さな子供たちがぴょんぴょん楽しそうに飛んでいるのを見守っていると人間たちが踏まないように避けて歩いてくれましたので、人間というものは親切なものだとお母さんがえるは思いました。それで人間に興味を抱いたお母さんがえるは人間の家を見学に行きました。米屋でも炭屋でも、すぐに人間に外に出されてしまいましたが、でも悲しいとは思いませんでした。次の家には水鉢の中に魚が泳いでいました。
夢追人009
2023/07/16 11:00

お母さんがえるは喜んで中へ飛び込みましたが、またもや網ですくわれ外に放り出されました。そこは金魚屋でした。お母さんがえるは店にいた子供たちが笑うのを見て自分の子供達の事を思い出して自分も我が家へと帰る事にしました。まあこの母さんがえるは人間に歓迎はされませんでしたが、そこは仕方ないなと割り切っているみたいですね。本編は1926年、今からほぼ100年前に書かれた作品ですね。そうですね、いつの時代にも生き物を殺生して遊ぶ子供もいたとは思いますが、まずはこのお話にはそういう輩が出て来なくてホッと安心しましたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の12編目は素朴で夢があって心温まる素敵なファンタジー童話ですよ。雀が一銭銅貨をひろって、うれしくて仲間の雀に見せびらかして自慢しました。日が暮れて自分の住む水車小屋へ行く途中の畑へ一銭銅貨を落としてしまいました。真っ暗でよく見えませんので明日また来ようと考えて雀は巣に帰りました。その夜は大変寒くて雪も降って、雀は風邪をひいてしまいました。やがて雀の体はよくなって畑へ一銭銅貨を探しに行きました。まだ雪が畑の上に積もっていたので、雀は「私の一銭銅貨、この下にいるのかい?」と聞いてみました。
夢追人009
2023/07/16 09:41

すると「いえいえ、ここにはありません」と誰かが答えました。方々で聞いても駄目だった後に、とうとう「はい、ここにありますよ。雪がとけたらおいでなさい」と親切に言ってくれました。雀は雪の解けた日に畑へ来ると一銭銅貨がありました。畑にはふきのとうが一杯出ておりました。銅貨のある場所を教えてくれたのは、このふきのとうだったのでしょうね。まあ悪意やいたずらのない善意だけの世界は気持ちが良くて誠に素晴らしいですね!雀は人間の世界で一銭銅貨を使うことはできませんが、記念メダルのように飾って一生の宝物にしたのでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の102編目は全く怖くなく珍しい話の掌編ですよ。長野県上田市にある名将・真田幸村の居城・上田城の濠の水を明治初年に替え乾そうという事になって早朝から手伝いや見物客が大勢集まった。植田某氏の父も手伝いに行った時に全身が真紅の大きな牛が出てきて人々の姿にも驚き、千曲川に飛び込んで矢のように流れを泳ぎ渡って小牧山を乗り越え須、川の池へ身を隠してしまった。植田某氏は小さな頃に父に聞かされ作り話だろうと言って叱られたそうだ。河馬は日本にいると聞かないので不思議だ。まあ突然変異かもしれませんね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
ミレニアム・シリーズを書き継いだ著者の新ミステリーシリーズの第1弾です。チリからの移民で新米警官の女性ミカエラと心理学者で離婚し鬱病で精神安定剤のヤク漬けだがホームズばりの名推理を披露するレッケの二人が、サッカー審判員の殺人事件に挑みます。二人は地下鉄に飛び込もうとしたレッケをミカエラが必死で助けた事により絆を深めていきます。単純なスポーツファンの暴走事件と思われたのが様相が一変して被害者の闇の顔が次第に明らかになって行きます。メインの事件の推理意外にも国際的な組織の圧力に負けない駆引きも読み所です。
夢追人009
2023/07/15 10:46

ミカエラにはマフィアに通じる兄と弟がいて過去に父親が謎の転落死を遂げており、その真相も今後の興味を魅かれます。本書は被害者の人生をドキュメントタッチで追う物語が挿入されて面白いですが、唯一最後の場面を冗長に長々と引き延ばすのには随分と読んでいて疲れましたね。それから現在の犯人が諦めが良すぎくてあっさり自白するのにもガッカリしました。また外国の作品特有の冗長さはありますがシリーズは3部作になる予定だとの事でミカエラとレッケの二人が幸福に結ばれるのかにも関心がありますし続巻が出たら追いかけようと思いますね。

夢追人009
2023/07/15 10:47

ホームズファンの方はレッケの相手をビックリ仰天させる推理パフォーマンスだけでも楽しめてお奨めですよ。かなりの大長編ですが、じっくりと気長に楽しんでくださいね。#NetGalleyJP

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の45編目は弱者の味方の著者の心優しい動物童話ですよ。お正月が来ても山の中は冷たくさびしくて、からすは町のにぎやかさをうらやましく思って飛んでいきました。町から少し離れた森の中に一軒の立派な家があり、そこには犬小屋があって、からすは降りて行きました。からすは犬が前に森でうさぎを追いかけていて後ほんの少しという所で逃げられてしまったのを見ていました。からすは私が明日うさぎを連れて来ますよと犬と交渉して美味しいごはんをもらいました。からすは山へ行くと、うさぎに町はにぎやかですよと誘いました、
夢追人009
2023/07/15 09:15

からすは途中でおしゃべりになり、前にあなたを追いかけた犬もおいしいごはんを食べていましたよと、つい余計な事を話してしまい、明日私が町をご案内しますから迎えに来ますよと言って飛び去ります。利口なうさぎは巣に帰ると子うさぎに「もう私たちはここに安心していることができないのだよ。さあ今夜の内に引っ越ししましょう」と言って、からすの気のつかない森の奥へ入ってしまいました。翌日、からすが来た時には木の根の洞穴の中は、まったく空っぽになっていました。うさぎの母さんは偉い!うさぎの一家の無事安泰と幸せを祈りましょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の11編目は普通のお話ですが少しだけ気になる部分がありましたよ。本編は言葉が全てカタカナ表記なので読み難くはありますが読み進んで慣れれば大丈夫ですよ。みちこさんが小鳥屋の前に来ると知らないおばさんが乳母車の中の荷物を直していました。みちこさんはおばさんから赤ん坊をあずかって少しの間だけ抱いてやると乳の匂いがして赤ちゃんを返し家に帰ってお母さんに話しても乳の匂いがまだ胸の辺りに残っていました。以上ですが、みちこさんは当然女性だと思われますが、赤ちゃんがネクタイを引っ張る場面があるのですね。
夢追人009
2023/07/15 07:57

これは一昔前の話だと思われますが、女性であっても会社人今のOLさん職業婦人なのでしょうかね、きちんとネクタイをしていたのだなと感心しましたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の101編目は短いですが面白い動物の中国怪談話ですよ。題名は今ではとても読めませんが「ぶた」と読みますよ。李紛(りふん)は四明山に暮らし山の下に張という百姓の家があり沢山のブタを飼っていた。秋の夜に李紛が琴を弾いていると若い女が来て「私は秀才の琴を聞きにきました。張の家の者ですが父母が留守なので、そっとお目にかかりに参りました」と言う。彼は女を部屋に上げてお茶を出し冗談話を始めた。夜が明けたが李紛は女を返したくないので女の履いてきた青い靴の片方を籠に入れて隠し、とろとろと眠りかけた。
夢追人009
2023/07/15 07:28

すると女は彼を起こして「どうか靴を返してください。今晩きっと参ります。その靴がないと、私は死ななければなりません」と必死で泣いて訴えたが、彼はとうとう返さずに眠ってしまった。李紛が目を覚ますと女はおらず床には鮮血が滴っていた。籠の中を検めると靴は豚の足の裏になっていた。血の跡をつけると張の家の豚小屋に辿り着き、張を見ると目を怒らして吠えかかってくる豚がいた。李紛はそのことを主人の張に話してブタを料理した。まあ途中で真相に気付きましたが面白いですね。でも最後にあっさり食べられてしまうのは憐れで可哀想ですね。

夢追人009
2023/07/15 08:29

コメント1で、×張を見ると→〇李紛を見ると、が正解でしたよ。もうこういうケアレスミスを最近はどうしても防げませんね。本当に本当にごめんなさいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
オール読物新人賞受賞作を含む全5編の連作短編集。重い荷物を背負って江戸浅草の町で客先を訪問して回る女貸本屋おせんは父を亡くした若い娘で天涯孤独の身ながら孤軍奮闘します。近所の青菜売りの登は何かにつけて助けてくれて「嫁にこないか」と言ってくれても無視して応じぬ強情な性格なのですね。本作にはミステリ要素もありますが、女主人公の負けず嫌いの心意気を前面に出したハードボイルド調と江戸の下町人情を絡ませた活きのいい物語ですね。本物の悪党にも負けない向こう意気の強さが魅力的で素晴らしく、彼女をずっと応援したいですね。
夢追人009
2023/07/14 12:18

本書のラストでは悪党により放火されて家も本も大火事でほぼ全部を失いながらも唯一冊から再び不死鳥のように甦る姿が描かれておりまして今後シリーズ化されて次作が読める日を楽しみに待ちたいですね。#NetGalleyJP

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の44編目は人間は常に正直でなければ駄目だよと自戒を促す見事な教訓の話ですよ。ある田舎に甲と乙の二人の百姓がいて順調に畑から収穫できて二人は仲良しでした。ある年、運悪く乙の撒いた芋の出来が悪く乙は甲にその事を正直に話しました。それを聞いた甲が自分の畑を見ると順調で沢山収穫できましたが、乙から分けてくれと言われるだろうから乙にやるのが惜しいと思い倉に隠しました。それから乙は甲に「お宅の芋の出来はどうでしたか」と聞くと甲は急に元気のない声を出して「それがさっぱり駄目でした」と嘘をつきました。
夢追人009
2023/07/14 11:19

翌日、乙が甲に食べて下さいと幾らかの芋を持ってきてくれました。この乙の親切な申し出を受けて甲も自分のズルい行いが恥ずかしくなりました。でも甲はいつまでも倉から芋を出す事が出来ませんでした。翌年になってようやく出してみますと芋は全部腐っていて甲は全てを夜こっそりと川に捨ててしまいました。あーあ、勿体ないですね。正直に話していればこんな無駄なことをせずに済んだのにね。甲がこれに懲りて心を改めてくれればいいと思いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の10編目は無邪気な大爆笑の生き物の話ですよ。蟹が考えた果てに床屋になる事を決めましたが、いざ始めると一人も客が来ません。そこで海に行ってタコに「ご用はありませんか」と聞きましたが、タコの頭はつるんこで髪が一本もないのでどうしようもありませんでした。次に山へ行ってタヌキに会うと体お客さん第1号になりましたが体が大きく毛むくじゃらなので物凄く時間がかかりました。しかも続いてお父さんも刈ってくれと頼まれ山くらいの大きさだと聞かされました。そこで蟹は家族や親戚一同に応援してもらう事にしました。
夢追人009
2023/07/14 10:39

この事件があったので蟹は皆が手にはさみを持つ事になったのらしいですよ。アハハハハ!と笑うしかありませんね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の100編目は春の花シーズンの船宿で起きた怪異譚ですよ。柳橋の船宿の主人が二階から鼓(つづみ)の鳴る音が聞こえてきたので部屋を探しに行って見ると若い女と鼓を持つ男の姿を見るが途端にスッと消えてしまう。女中も同じ物を見たので主人が口留めをして昔の事を知る按摩を呼んで聞いてみると二十年程前に男女の心中事件があったことを教えてくれたので主人は成る程と納得する。でも出て来る男女の幽霊が生々しい濡れ場の情交シーンでなく古典的な楽器の鼓を打つ場面なのが風流で何とも小粋な風情でいいなと思いますね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
山本周五郎賞の受賞おめでとうございます。本書は大掛かりな騙しの時代劇ミステリー小説ですが、木挽町の芝居小屋に集まった人々が自らの半生を語る人生物語がとても魅力的で現代社会を生きる私達にも大いに参考になる教えや考え方が詰まっていると思います。本書を読んだ方の中で人生観が変わり今悩みを抱えておられる方にも良い方向の答えが出て一歩前へ進む事ができたかもしれません。ミステリーは捕物帳の親分であれば見破られるかもしれませんが、これは実質は罪のない謀であり悪事とは呼べない種類の善意の行いですから心配ないと思いますね。
夢追人009
2023/09/17 12:35

とみかずさん、ありがとうございます。こういう素晴らしい作品をまた読めるといいですね!

アーミー
2024/02/12 21:24

夢追人009さん いつもナイスをありがとうございます。 この作品、少し変わった構成で進めながらしっかりと本筋を捉えていて、本当に読み応えありましたねぇ。さすが、直木賞受賞作だと思いました。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の43編目は詩のように見えて詩ではない超短編の掌編ですよ。つばめが帰るとき真赤な美しい夕焼けに、少年はらっぱを鳴らして遊んでいた。つばめがきたとき家の周囲を幾たびも飛び回ると、少年の吹いていたらっぱは窓の下に捨てられ赤いさびが所々出ていて泥に塗れていた。うーん、幼い時季はどうしても飽きっぽくなってしまうものなのでしょうか、少年に一体何があったのでしょうね。こればっかりはさっぱりわかりませんが、いろいろと空想してみると楽しいでしょうね。少年の時代にはヤクルトスワローズはまだないでしょうね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の9編目は題名に「ひよりげた」が選ばれた理由がよくわかりませんが、たぬきの母と子のほのぼの童話ですよ。ジョウフクインという寺のウラの藪の中に、たぬきのお母さんと生まれたばかりでお乳を吸ってばかりい子だぬきが住んでいました。お母さんは子どもに化け方を教えようとして目をつむらせ十数えたら目を開けなさいと言いましたが子どもは早めに目を開けてしまい寺の和尚さんに太い尻尾がつき口に毛がピンと生えた不完全な姿で出てきました。それからお母さんはマジメに化け方を教え始めましたが、何度やってもダメでした。
夢追人009
2023/07/13 10:21

お母さんたぬきは困ってしまい「駄目よ、ぼうや、もっとよく覚えなくては」と言いましたが、子だぬきは小さなあくびをして「かあちゃん、もうねむい」と言いました。まあ、どんなにスパルタの修行をしても、まだ小さすぎて無理ですね。こうなったら星一徹だぬきを連れてきて、ちゃぶだいを引っくり返したらいいかもしれませんね。もちろん冗談ですよ。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の99編目は後半にどんでん返しがあるサスペンス怪談ですよ。明治5年頃の晩春の夕方、伊良湖岬の手前を漁船があって、それは参宮帰りの親子二人(五十代の父と二十代の息子)を乗せた舟だった。漁船には六十近い老人と三十代の兄と十代の妹の三人がいた。兄妹が何やら口論をしていたが、その内に老人と兄が舟を止めて外へ酒を飲みに行きますと言って二人で出かける。すると娘が客の親子に酒と飯を出す。息子が少し散歩に行くと言って外に出て女に近づき話をする。さっきから女がしきりに目だけで男に何かを訴えていたのだ。
夢追人009
2023/07/13 09:37

実は父と兄は盗人で今夜客を殺して金を奪う計画を立てております。私がお二人を無事にお送りしますという。男は先に寝ていた父を起こして女に聞いた事情を話す。女は二人がいなくなると私は世話をしてくれる人がいなくなるので世話をお願いしますと頼み、父はよしお前を息子の嫁にしてやろうと言って応じる。漁船の盗っ人が帰ってくると女が二人を舟から落として始末する。女が舟を出すが、何と客の父親が女に近づいて後ろから水中へ突き落して殺す。息子が起きてきて子細を聞くと父は「盗人の女を連れて家へ帰れるものか。舟はわしが漕ぐ」という。

夢追人009
2023/07/13 09:37

参宮帰りの親子は豊橋某町の豪家の者で、三年後の夏に二人の暮らす家に若い綺麗な女がいきなり入って来て父親の首を絞めて殺す。体の具合の悪く隣の部屋で寝ていた息子が行って「こら」と叫ぶと女の姿が消えて父は既に冷たくなっていた。「あの女じゃ、あの女じゃ」と言うとすぐに息子は発狂してしまった。うーん、これは命を助けてくれた恩を仇で返す残酷な所業をしたのですから、女の幽霊に祟られ呪い殺されるのも自業自得・因果応報の結末でしたね。お芝居を思わせる見事なよく出来た怪談噺でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
東洋系の小国を舞台に白牙法師を目指す旅の修行僧、刻雨(ときさめ)と顔を持たない異形の、のっぺらぼう男、新玉(あらたま)の活躍を描く和風あやかしファンタジー小説です。まあ小説世界を理解するのに多少とも時間はかかりますが、世界観に慣れればノリが良くテンポよくリズムに乗って活劇場面も心地よく楽しめますよ。二人の心の交流と互いを思い遣る友情の描写も素晴らしく、先の見えない二人の未来が今後どうなって行くのかが非常に気になりますのでぜひとも早い機会に続編を読めますようにと待望しておりますね。#NetGalleyJP
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の42編目は強い信念を持ったおじいさんの話ですよ。おじいさんが小さな手車を引きながら歩いていると家の中が薄暗い喫茶店から呼ばれました。いろんなガラクタを買ってくれと言われた中に大きな鉢に植えられた南天があって何日も水をやられていないのか哀れな姿で、おじいさんは思わず「可哀そうに」とつぶやきました。若いおかみさんは「どうせその木はもう駄目なんですからどこかへ捨てて鉢だけでも持って行ってくださいな」と笑いながら言いました。でも、おじいさんは家に帰ると早速木に水をやり葉についた埃を洗いました。
夢追人009
2023/07/12 11:08

おじいさんは孫の正坊の事も気にかけ「子供を育てるのと同じようなもので、草でも木でも丹精ひとつだ」と日頃から言っていました。おじいさんのお蔭で新しい芽が出て夏の頃白い花が咲き、その年の暮れには真っ赤な実が垂れ下がったのであります。近所の人も感心して中には売って欲しいという人もありましたが、おじいさんは「これは金銭では売られない代物だ」と言って断ったのでした。孫の正坊が重い風邪をひいて寝込んだ時に親切なお医者さんが夜中も全く嫌な顔をせずに来て診てくれました。この医者が南天を見て褒めたのでお礼の志にあげました。

夢追人009
2023/07/12 11:09

「あの人なら大丈夫、涸らす事はない」とおじいさんは安心していました。昔はこういう心のまっすぐなしっかりしたおじいさんが多くおられたのでしょうね。私も物を粗末にしたりせずに大切に扱うことを心掛けたいと心から思いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の8編目は、期待外れでとにかくガッカリする話ですよ。山の中に猿・鹿・狼・狐が一緒に住んでいて小さなあんどんを持ち夜は灯を灯しておりました。ある日の夕方、あんどんの油が切れてない事にみんなが気付きました。誰かが村の油屋へ油を買いに行かなければなりませんが、村にはみんなが嫌いな猟師と犬がいます。すると「では私が行きましょう」と狐が言いました。狐は人間の子供に化けることができたからです。狐に決まって首尾よく一合の油を買う事ができました。帰り道に狐が歩いているとどこからともなく良い匂いがします。
夢追人009
2023/07/12 10:04

それは買った油の匂いで「少しぐらいはいいだろう」と思って狐は少しだけ油をぺろりとなめました。これはなんというおいしいものでしょう。狐は我慢できなくなり何度もぺろりとなめるのを繰り返し山に着くまでに全部の油をなめてしまい残ったのは空のとくりだけでした。残りの仲間は溜め息をつきました。みんなは、ガッカリして思いました。「さてさて、狐を使いにやるのじゃなかった」と。このままではいつまで経っても油を手に入れられそうにありませんね。どうしたらいいのか私にもさっぱりわかりませんね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の98編目は怖くない幸福な中国怪談ですよ。魚容(ぎょよう)という秀才があり家が貧乏で文官試験に落第して家に帰る途中で旅費が尽きてしまった。人に物乞いをするのが嫌な性格で呉王廟の洞窟へ入って王の神像に向かい不平不満の言葉で祈ると廊下で寝てしまった。誰かが呼ぶのでついて行くと呉王の前で黒衣隊の一員に補充される事となり、もらった黒い着物を着ると魚は鴉に変身した。彼は空を飛び往来する舟の上を飛ぶと旅人たちから沢山の肉をもらって空腹が満たされた。呉王は魚に竹青(ちくせい)という雌鴉を世話した。
夢追人009
2023/07/12 09:31

魚は竹青から注意するようにと言われたが聞かず、ある日兵士の舟の上を飛んでいると肉ではなく銃弾が飛んできて魚の胸に当たった。落下する魚を竹青がくわえて運び林の中でエサを与えたが傷が酷く死んでしまった。そこで魚が目覚めると洞窟の中だった。村の人に見つけられ話をすると旅費をくれて故郷へ帰る事ができた。三年後に魚は再び旅に出て呉王廟のお供えをして鴉の群れにエサを与えて竹青がいるなら残っておいでと声をかけたが駄目だった。魚が後に官吏になって再び訪れると今度は美しい麗人が現れ彼女は人間の姿の竹青で二人は再会を喜んだ。

夢追人009
2023/07/12 09:31

魚は漢陽という場所で二か月暮らし、家に居る妻とは別に竹青との別宅にして二人の間には綺麗な子供が生まれる。やがて子供が大きくなり本妻が亡くなると魚は竹青の元へ行き、もう帰ってこなかった。二人はいつまでも死なない永遠のラブストーリーでハッピーエンドですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
日本で一番ポピュラーな怪談噺の「四谷怪談」について取材調査されて全てを書き尽くした著者渾身の一冊で非常に勉強になりましたね。300年の歴史があるだけにいつもの実話怪談ものよりも迫真的で真実味が増していると思いますね。時代背景やファッションにまで言及する蘊蓄はやや冗長な印象は受けますが、それだけ真剣に書かれている証拠だと受け止めて読むと楽しめるでしょうね。著者の考えでお岩さんが芝居の舞台を通じて現代にまで祟る理由は、いろんな真実ではない事まで演じられている事に怒って災厄を為すのだという説は非常に肯けますね。
夢追人009
2023/07/11 11:08

実話怪談の中では、東京の数年前にアイドルの自殺事件阿あった某スタジオの場所が出て来る話が恐ろしくて印象に残りましたね。まあ少し固い内容ではありますが四谷怪談の歴史と知識がより深く学べる良書ですので多くの方にぜひ読んで頂きたいですね。#NetGalleyJP

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の41編目は弟を叱る姉さんの話です。「お姉ちゃん、大変だ」と正ちゃんが、夜中にぐっすり寝ていたお姉さんを起こしました。アオンと鳴く黒いどら猫とニャアと鳴く三毛がけんかしているというのです。そんなことで起こすもんじゃありません!と怒ったお姉さんは正ちゃんを叱りました。次の日の午後には帰って来た姉さんに正ちゃんが「おしるこがあるよ、だけど、たった一杯!」と大声で叫ぶと道行く人が笑って通り過ぎました。あんなみっともないことを言うんじゃありません!と今度も家でお姉さんは正ちゃんを叱りつけました。
夢追人009
2023/07/11 10:31

本当の事だからいいだろうと正ちゃんが言ったので母さんがおしるこを食べさせませんでした。正ちゃんは外へ出て行き、時間が経って寒い風が吹くと中々帰って来ないので母さんが心配しました。お姉さんが探しに行きましたが、いつも行く場所に正ちゃんはいませんでした。一旦家に帰ったお姉さんは母親に私もう一回見て来るわと言って家を出ました。お姉さんは昨日からいろんなことで正ちゃんを叱ったのを思い出して悪い事をしたわと後悔しました。弟は無邪気なだけなのに。その時向うから子供達の声がして中に正ちゃんもいました。どこへ行ってたの?

夢追人009
2023/07/11 10:32

「本屋の二階で学校ごっこをしていたのさ、僕は算術が七点で、読み方が八点で、三番だよ、偉いだろう」と言った正ちゃんに「駄目よ、もっといい点を取らなけりゃ」とお姉さんは叱ってから、はっとしていつも小言をいう悪いクセに気付いて顔が赤くなりました。まあ人は習い性は中々変えられませんから仕方ないですが、一度ぐらいはやんちゃな弟を褒めてやってもいいと思いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の7編目は読後に心がほっこりする話ですよ。緑の蛙と黄色の蛙が畑の真ん中で出会って口げんかを始めました。黄色って汚い色だね。緑の自分を美しいと思っているのかい?二匹は飛びかかったり砂をかけたりしましたが、冷たい風が吹いてきて冬が近づくと土の中にもぐって冬眠しないといけないのを思い出しました。春になったらケンカの決着をつけるぞ。お前も忘れるなよ。と言い合って土の中にもぐりました。春になり緑の蛙が起きて黄色の蛙に起きろと呼びかけました。「去年のけんかを忘れたか」「待て待て、体を洗ってからだよ」
夢追人009
2023/07/11 09:17

二匹は池の方へと行って、とぶんとぶんと飛び込みました。体を洗った緑は「やあ、きみの黄色は美しい」と言い黄色も「きみだって素晴らしい」と言うと「もう、けんかはよそう」と仲直りしました。よく眠った後では、人間でも蛙でも機嫌が良くなるものです。まあ誰もが冷静になれば大概のトラブルは回避できるもので、最後には仲良しの友達が一番ですね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の97編目は明治時代の哀しい実話怪談です。明治29年(1896年)三陸地震津波が起きて陸中の海岸に若い漁師の男が月の光の下に広がった海を見つめて津波にさらわれた女房の事を思っていた。すると磯の波打ち際に女の姿が見えて、それは懐かしい女房であった。女は男の呼びかけに悲し気な顔で無言のお辞儀をすると我が家の方に向けて歩き出した。元の家が流されて作られた仮小屋を女は通り過ぎて村はずれの小高い台地に行くとふっと姿を消した。彼は声をあげて泣き朝が来て村人に発見されると夢を見たのじゃと言われた。
夢追人009
2023/07/11 08:30

若い漁師は間もなく発狂してしまったという。これは実際にあった津波の話で二万人を超える死者が出たといいます。東日本大震災から100年以上前にも東北で大きな被害が起きていたのですね。災害で亡くなった方々のご冥福を改めてお祈りしますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
2021年度のフランスの6大文学賞の話題を独占しフロール賞に輝いた著者の第2作目となる問題作ですね。65歳の不遇の元大学教授ジャン・ロスコフは最初の著作がパッとせず妻とは離婚し、同性愛者の娘のパートナーから刺激を受け、アメリカからフランスへ渡った嘗ての文学者ウィローについての著書を刊行する。だが彼が黒人である事を隠していたとみなされブログ記事が炎上してレイシストと非難され私生活にも危険が及ぶ最悪の事態となるのだった。本書の舞台は2025年のフランスという近未来小説で実はウィローも存在しない架空の人物です。
夢追人009
2023/07/10 12:01

でもネットの炎上騒ぎは今の世界と変わらない狂騒劇で今の世の中に現実にある馬鹿げた世相の現代社会を痛烈に風刺し皮肉っているのですね。しかもそれだけでなくある仕掛けがあって大きなサプライズも最後に用意されていますよ。唯、海外作品によくある長大で直接は関係のない記述を含めて細部の様々なエピソードを延々と読まなければならない辛さがありますので詠まれる方は覚悟をなさってくださいね。でも膨大な頁数を耐え抜いて読み終えた暁には読者の長い苦労が報われて大きな満足感が得られる事と私は確信しますね。#NetGalleyJP

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の40編目は熱しやすくて冷めやすい幼い子ども心の話ですよ。ある日、義夫はお母さんに連れられて町へ行くとさまざまな露店が並んでいました。その内に自分と同じくらいの男の子が集まる店に行くとそれは、やどかりを売っているのでした。義夫は大きな白い貝を負うやどかりを見つけて感心しました。おばさん、こんなの、どこにいるのと男の子が聞くと、この白い大きなのは小笠原島から来たのですよと、おばさんが答えました。義夫はお母さんに欲しいなとねだりましたが家に持って帰るとじき死にますからねと言われて駄目でした。
夢追人009
2023/07/10 11:22

学用品を買って貰って家に帰っても義夫は忘れられず、お姉さんにお願いしようと思いました。お姉さんがお勤めから帰ると早速お願いしたら明日の晩買ってあげるわと言ってくれました。お母さんにも何とかお許しをもらい、翌日お姉さんの帰りを待ちわびて直ちに姉弟は一緒に町に出かけました。店は大賑わいで沢山の子供達がいました。やどかりのおばさんの店へ行くと昨日の白い大きなやどかりはおらず既に売れてしまっていたのです。義夫はお姉さんに他のを買ってもらいましたが、がっかりしました。義夫は前を向いて急いで、さっさと歩き出しました。

夢追人009
2023/07/10 11:23

後ろをゆっくり歩くお姉さんから「義夫は現金ね」と言われました。義夫は自分の事しか考えぬ自分が何となくさびしく感じられました。そうですね、義夫くんの落胆して沈み込んだ気持ちはよくわかりますが、折角買ってもらったやどかりですから、お目当ての奴ではなくても気持ちを切り替えて大事に育ててあげて欲しいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の6編目は靴屋の少年の微笑ましい話ですよ。靴屋の小僧、兵助が初めて一足の靴を作ると、一人の旅人がやって来てその靴を買いました。兵助は喜んでブラシと靴墨を旅人にプレゼントしました。暫くすると追いかけて行って釘も差し出したのです。それからもう一度行って「その靴を大事にしてくださいね」と声を掛けました。初めは感心していた旅人も終いには腹を立て怒りました。「うるさい小僧だね。この靴をどんな風に履こうと私の勝手だ!」「ごめんなさい」と兵助は謝って、旅人が見えなくなるまで見送りながら考えていました。
夢追人009
2023/07/10 10:32

あの靴がいつまでもかあいがられてくれればいいと思いました。初めて作った靴が自分の息子のように大事に思える気持ちはよくわかりますね。どんなに時間が経とうとも初心忘れるべからずの心境でいたいものですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の96編目は長い中国の話です。長い話ですが詳細を短くまとめますよ。朱という男が同窓の仲間と酒を飲んでいると仲間から十王殿にある恐ろしい姿の判官の木造を持ってきて見ろと挑戦されて受けて立ち即座に行って持って帰る。仲間はそれを見ると怖がって元に返してきてくれと頼む。朱は木造に「近くに私の家がありますのでお気が向きましたら飲みに来てください」と言って元の場所に返す。翌日、朱は仲間のおごりで飲んで家に帰ると木造の陸が来て一緒に飲み明かす。その後三日おきに来るようになり、朱はいろんな話をする。
夢追人009
2023/07/10 10:09

朱は進士の試験の文章の事を相談して陸に自分の書いた物を見せると「どうもよくないな」と言う。ある夜、朱が先に寝て目覚めると陸が朱の腹を切って腸を出していた。俺を殺すのかと問うと「いいや、そうではない、君の心を冥土にあるのと入れ替えて文章の悪いのを良くしてやろうと言うのだ」と話す。すると朱は試験に見事に合格する。朱は次の時に今一度頼み事をする。女房の顔が良くないので美人の顔と変えてもらえないだろうかと。すると数日後に陸が美女の首を持ってきて女房が真夜中にぐっすり寝ている間に首を切り離して美女の首と入れ替える。

夢追人009
2023/07/10 10:10

後にその首は美人の娘の家に入った悪漢が首を切り落としてしまい、陸が首だけ拝借した物だった。娘の母が朱の女房の顔が変わった噂を聞いて犯人ではないかと駆け込んでくる。朱が陸に相談すると娘の母の夢に娘が現れ犯人の名前を教えたので何とか両家は和解する。その後、朱は寿命が来て死ぬが、時々生きたままの姿で帰って来て陸と以前のように酒を酌み交わすのだった。まあこの後も息子が繫栄するのですが省略しますね。まあ、残酷な描写も少しありましたが、そういうことが少しも気にならず概ねはご陽気な読み心地の愉快なおめでたい話でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
サンマーク出版さんが「コーヒーが冷めないうちに」に匹敵するよい作品」と推される高齢化社会における愛と笑いと涙と感動の人生の応援小説です。かつて高校の応援団員だった四人が70歳になって一人が亡くなり残りの三人に向けて遺言状を遺す。応援団を再結成してくれ!と。誰を応援するのか理由も不明なままで三人は友の孫娘の協力を得て元気に走り出す!本書は「コーヒーが冷めないうちに」と比べると真逆で三人の年老いた野郎どもが泥臭く活躍する明らかに陽性の物語です。全編に親爺ギャグの駄洒落がポンポンと飛び出す楽しさに溢れています。
タピオカ
2023/07/10 07:02

おはようございます。まさに今日読もうとしている本です。読むのがますます楽しみになりました。素敵なレビューありがとうございます。

夢追人009
2023/07/10 07:07

タピオカさん、おはようございます。ありがとうございます。私のレビューは下手くそですが、この本は確実に絶対に面白いですので楽しんでくださいね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の39編目は読後に心が優しくなる物語ですよ。かね子さんは生まれた時からよく目の見えない子供で、お母さんは大層不憫に思っていらっしゃいました。それでも次郎さんという子が毎日来てくれるので喜んでいました。今日も浦島太郎の絵本を読んでくれて絵に見とれると、かね子さんが涙ぐんだので「悪かった。うらやましがらせてごめんよ」と謝って、「僕どうかして目が見えるようにしてあげるからね」と言ってあげました。次郎さんは浦島太郎を見習って生き物の殺生をしないようにしようと思いました。そこへ勇ちゃんが来ました。
夢追人009
2023/07/09 10:01

勇ちゃんは虫籠にとんぼを三匹も持っていました。次郎さんは粘って浦島太郎の絵本と、とんぼ3匹を取り替えっこしました。そして、とんぼを逃がしてやりました。次郎さんが原っぱに三輪車に乗って行くと同じく三輪車で来た子供がいて、とんぼ小僧だと名乗りました。次郎さんが彼に目の不自由なかね子さんの話をすると、それならいいお薬があるよと言い「僕の町へおいでよ」と招かれました。そこは夕焼け空に提灯が一杯ついたとてもきれいなきれいな町でした。とんぼの町だよ。誰も滅多に来られぬ所だけどね君はいい子だから連れてきてあげたんだよ。

夢追人009
2023/07/09 10:01

次郎さんは、とんぼを逃がしてあげたお礼に、とんぼに恩返しされたのでしょうね。とんぼの目薬が効いて、かね子さんの目がよくなって見えるようになればいいなと心から強く願いますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の5編目はシンプルでとてもわかりやすくて心に残る良い話ですよ。ある日、王さまは乞食のような様子をして一人で町にやってきました。小さな靴屋で仕事をするお爺さんに王さまが「これこれ爺や、その方は何という名前か」と聞くと「人にものを聞くならもっと丁寧に言うものだよ」と言って教えてくれません。王さまはようやく自分の間違いに気付き「お前の名前を教えておくれ」と聞くとやっと答えてくれました。次に王さまはじいさんに「おまえはこの国の王さまは馬鹿野郎だと思わないか」と聞きますと「思わないよ」と答えます。
chisarunn
2023/07/09 10:31

エゴサーチする王様のはなし。こういう人って昔からいたのねえ。

夢追人009
2023/07/09 10:50

犀子さん、ありがとうございます。まあ人の心は難しいですが自分に自信がなくて自虐趣味に走っているのでしょうね。わしなんか、どうせみんなからボロクソに思われてるに違いないとね。こういう風に思いがけない結果を実感させられると心が天まで舞い上がって夢見心地の幸福感に包まれるのでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の95編目は明治時代の気色悪い不気味な実話(?)ですよ。明治十七八年頃、改進党の壮士・藤原昇が芝の下宿から早稲田の奥に住んでいる党の領袖の所に金の無心に歩いて行っていた。汗を手拭いで拭いていると一軒の茶店のような家が眼前にあった。十七八の小柄な娘がいて以前はここで茶店をしていたが今はしていないと言う。座敷にあげてもらい渋茶をよばれて酒もありませんかと問うとコップに薄赤い液体を入れてきて出してくれた。それを飲み干し、もう少しありませんかと聞くと出て行った。そこで彼は台所へと後を追った。
夢追人009
2023/07/09 06:55

すると台所の流しの上で女が右手に黒い長いものを下げていた。何かなと見るとそれは黒い鱗のぎらぎらとした大きな蛇で、頭を切り離したらしい端の切り口から赤い血が滴って流しに置いたコップの中に溜まっていた。彼は頭が真っ赤になり一目散に逃げ走った。彼は山本邸に着き、その夜は一泊させてもらい翌朝、大勢で怪異の跡を確かめに行くと、自分の麦わら帽子の落ちていた側の草むらに古い土の人形があって、その傍に一匹の小さな黒蛇が死んでいた。蛇の生き血を飲むと精力がついたかも知れませんね、なんて呑気な事は言っておれない恐怖譚ですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
知念実希人さんの初のジュブナイル・ミステリーの一冊目で殺人事件はなく小学4年生の三人組、辻堂天馬、柚月陸、神山美鈴がミステリクラブを結成して学校で起きる謎の数々に挑みます。私は古いですがユーモラスなマガーク少年探偵団シリーズを思い出しましたね。そうですね、まあ子供から大人まで楽しめるといいながらも幅広い年齢層を楽しませるのは難しい思いますが、中々に困難な分野に挑んで知念さんに頑張って欲しいですね。本書を読むと、どんなに些細な手掛かりも何らかの意味があって最後に真相に結び付くというミステリの基本を学べます。
碧雲-  lukeminen
2023/07/08 18:06

水を差すようですけど、悪しからず。 知念実希人さん、科学ミステリを手がける割に、治験不完全なワクチンなのに副反応を視野に入れず、感情論でコロナワクチン接種推奨をしていた内科医医師なので、個人的に好きになれない生き方をしている人。 真っすぐな性格なのかもしれませんけれど、嘘を吐く行政に媚びる=騙されやすいのは、美徳とは言えないように思います。

夢追人009
2023/07/08 20:39

碧雲さん、コメントをありがとうございます。考え方は人それぞれで私は人格よりも作品を重視したいと思っています。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の38編目は、生まれつき左利きの少年の話です。正(まさ)ちゃんは、左ぎっちょではしを持つのも、まりを投げるのも左手でした。けれど習字は右手で書かないといけませんから苦労していました。母は右手に直させようとしましたが父は反対してそのままでいいという考えでしたので間を取って左右両立させることになりました。そんな正ちゃんは手先が不器用で何をするにも、どんくさくて時間がかかりました。でも彼は自分より年少者達を前にして、じゅず玉を通して輪を作り上げて喜びました。作者は正ちゃんの努力を称え言います。
夢追人009
2023/07/08 08:05

これからは正ちゃんを不器用だなんて言ってはいけませんよ。そうですね、左ぎっちよに限らず誰もが諦めずに頑張ればどんなに苦手であっても立派に克服できるのだと著者は優しく教えてくれるのですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の4編目は、人間のイタズラのせいで、びっこになった雀の話です。まだ小さな頃にイタズラな少年に捕えられて片足を紐で固く縛られた為に足が傷ついて、びっこになった雀がある日、家の軒に三つの卵を産みました。雀は嬉しくて三つの卵を胸の下にじっと抱きしめました。ミツバチが飛んできて雀を祝福しましたが何気なく、あんたみたいな、びっこが生まれなければいいがと言いました。それから雀は「びっこの子たち供が生まれて私のように雀仲間からいじめられ、のけものにされたらどうしよう」と大変心配になって体は衰えました。
夢追人009
2023/07/08 07:33

ある朝、三つの卵が中から破られて、三匹のひなが現れました。最初の内は羽もなく目も開かない小さな赤ん坊でしたが、その内に羽が生えて子雀たちは飛べるようになりました。子雀たちが、びっこを引かずに、ちょこちょこと歩いてエサを拾い出したのを見て、お母さんの雀はどんなにうれしかったことでしょう。自然に心が温まる誠にいい童話ですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の94編目は怖くはない中国の恋愛話ですよ。題名の阿宝はヒロインの美女の名前で日本語の阿呆と関係があるのかなと思いましたが予想に反して全くの無関係でしたね。孫子楚(そんしそ)は妻に先立たれ枝指(親指が分かれて6本目の指がある)の持主で、ぼんやりとしてシャイな貧乏人の男だった。彼が豪商の娘の美女・阿宝に結婚を申し込むと枝指を取ってくれたら結婚してもいいわと言われると自ら斧で切り落とし激痛で流血する。回復すると今度は馬鹿を取ってくれと阿宝に言われて孫子楚は腹を立て結婚を望む話は一旦消える。
夢追人009
2023/07/08 06:55

だが孫子楚の飼うオウムが死ぬと彼は鳥に乗り移って飛んで行き阿宝の家で一日つきっきりになる。次第に阿宝も男の熱意に負けて結婚する気になり貧乏人を嫌がる父親を説得して遂に嫁入りする。めでたしめでたしだが孫子楚は糖尿病で死に阿宝は悲しんで寝食を忘れる。三日後に親戚が孫子楚の死骸を葬ろうとした所、うめき声がして死者がよみがえる。冥王が彼の誠実ぶりを評価して生き返らせてくれたのだ。そして二人は真実の意味で幸せになる。まあ紆余曲折いろいろありましたが最後はハッピーエンドでおめでたくよかったですね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小田雅久仁さんの7つの禍を描いた恐怖と戦慄の最新作品集。私は初読み作家さんでしたが、フランスのマルセル・エイメ氏や我が国の筒井康隆氏の作風の影響を感じましたね。冒頭の「食書」は本を食べるをテーマにして詳しくは書きませんが、とにかくあり得ないSF的にねじ曲がった展開が際限なく延々と続いて行きます。おとなしいのは最初だけで興が乗ってスイッチが入ると止まることなくどんどん突っ走って行きます。著者の文体には、あっさり淡白という表現は絶対にあり得ません。長ーく粘っこい文章の連続に深淵の彼方まで引き摺り込まれますよ。
タニッシュ
2023/11/26 20:49

確かに筒井康隆がお好きだったのかなと思われる部分がありましたね。 『耳もぐり』の最後の句読点が無くなっていく部分などは、『七瀬ふたたび』で七瀬が人の意識に入り込んでいく時の雰囲気に似ていますね。

夢追人009
2023/11/26 21:00

タニッシュさん、ありがとうございます。著者はまだまだこれからの人ですので、どんどん書いて新境地を開拓して行って欲しいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の37編目は母犬と小犬と人間の心揺さぶるちょっと良い話ですよ。町の酒屋の小屋の中で宿無し犬が子供を産みました。主人は困って小僧たちに始末を命じました。河へ流そうかという意見も出ましたが、おかみさんが可哀想だと止めて何処かへ捨ててきなと言いました。小犬の目が開いて母犬は小僧にもう少し子供達が大きくなるまでここに置いてくださいと目で訴えましたが、それは許されないのでした。小僧たちがリヤカーに乗せて捨てに行く相談をするのを聞いた母犬は人間が信用できないので見限って森の中へ全員で引っ越しました。
オスカー
2023/07/07 13:37

「犬ころ」という言葉に住宅顕信さんの俳句「 ずぶぬれて犬ころ」を思い出しました。どんな口調かで「犬ころ」に対する思いの種類がわかりますね。昔は野良犬とかいたなぁ。

夢追人009
2023/07/07 16:31

オスカーさん、こんにちは。今は野良犬はいませんものねえ。犬ころという言葉も本作と共に永遠に残るといいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの3編目はシンプルの極みの素晴らしいスリルとサスペンスの物語ですよ。春の暖かい日に渡し船に二人の子を連れた女の旅人が乗っていると、一人の侍が待ってくれと言って乗り込み真ん中に座って居眠りし始めました。二人の子供は、ふふふと笑いましたが母親が黙っておいで!と強く叱りました。一人の子が「ねえ飴だまちょうだいな」と母にねだりました。でも飴は一つしか残っていません。向うに着いたら買ってあげるから我慢しなさいと言い聞かせますが、二人は聞き分けがなく何度も駄々をこねます。すると侍が目をぱちりと開きました。
夢追人009
2023/07/07 09:12

「おとなしくしておいで」と母が言っても子供たちは言うことを聞きません。すると侍がすらりと刀を抜いて、親子の側にやってきました。お母さんは真っ青になって子供たちをかばいました。侍がやかましいのに腹を立てて二人を斬り殺すのではと思ったのです。「飴だまを出せ」と言われて恐る恐る差し出すと、侍は飴だまを舟のへりに乗せて刀でパチンと二つに割って「そおれ」と二人の子供に分けてやると、また元の所に帰ってこっくりこっくり眠り始めました。お侍さんにナイス!素晴らしい最高のオチですね!血が流されずに済んで誠に良かったですね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の93編目は明治時代の実話だという恐るべきリベンジの復讐譚ですよ。岐阜市の隣町の出身で今は東北・仙台市の高校生の男が6月末のある夜、学期試験の勉強をしていると不意に彼のいる二階の部屋に怪談を上って故郷の友人・神中が訪ねて来る。白い浴衣を着た弱々しい姿で彼は普段働く県庁から出張してきたと見える。彼は明日の夜十二時に近くの雀が森の石燈籠の所で会ってくれないかと頼みすぐに帰る。翌日の晩に行くと指にこよりを白糸で縛ってくれと頼んで用が済むと礼を言って立ち去る。翌日起きると体の具合が悪かった。
夢追人009
2023/07/09 05:10

彼は上司の課長から妹を細君にと望まれたが上司の男は四人も離婚歴のある男だったので断ると首になったという。そして神中が知人を訪ねた日に、新聞に神中兄妹を中傷する記事「畜生道に落ちた兄妹」を見せると、妹の事が非常に心配になり家に帰った。すると妹は自ら縊死しており神中は体を下ろしてやると自分も縊死したと言う。ここから少し記述が曖昧ですが、彼の課長と新聞の主筆は悪友で頼んで中傷記事を書かせたのだと思われ、仙台の変死体は課長で神中兄妹に呪い殺されたのでしょうね。昔はコンプライアンスも何もなく本当に酷い仕打ちですね。

夢追人009
2023/07/09 05:11

この事件は仙台の警察署に記録が残されているとの事で、まあ凄まじい事件で現実にあったとしてもちっともおかしくないリアリティーを感じましたね。※誤字が3か所もありましたのでコメント2を修正しました。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の36編目は生き物に対する著者の優しいまなざしを感じる一編ですよ。ねずみが人間の罠にかかってもがいていました。ものぐさな主人がネズミを罠ごと持って表に出て猫に処分させようとしましたが探してもいませんでした。バケツに水を入れるにしても死骸を処分しなければならない。そこへ自動車が丁度来ましたので主人はよし名案だと思いついて、自動車に轢き殺させようと、ねずみを車道に出しました。けれど運転手は殺生を避けてハンドルを切り車は店に突っ込んでガラス戸を破壊しました。そのスキにネズミは逃げ出したのです。
夢追人009
2023/07/06 10:24

ネズミはいつもの屋根裏に戻りましたが、このままでは危険だと思って屋根の上へ出て電線を伝って歩き始めました。空き地にいた勇くんと.賢二くんが丁度これをハラハラしながら見ていました。するとネズミは無事に渡り終えてあちらの赤い屋根に着きました。その時二人は手を叩いて。ネズミの為に成功を祝福したのであります。ねずみは悪役として描かれる事が多いですが、これからも苦難に負けずにしぶとく生き延びて頑張って生きていけよ!と励ましてあげたくなりますね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉桟の童話の2編目は単純ですが笑ってしまう愉快な馬の話ですよ。二匹の馬が昼寝をしていると涼しい風が吹いたので、一匹がくしゃみが出て踏ん張ろうとしましたが後足が一本しびれていて、よろけてしまいました。おやおや、足を一本盗まれてしまったぞ!もう一匹を起こしてそう言うと足はちゃんとあるじゃないかと言われましたが、いやこれは違う、誰かの足だと言い、試しに蹴とばしてもらいましたが痛くないので、いよいよ自分の足を探さなくちゃと思って椅子やテーブルやベッドの足を蹴とばしました。でも誰も返事をせず壊れるだけでした。
夢追人009
2023/07/06 09:43

そこで馬は友だちの馬の足を蹴とばしますと「痛いっ」と叫びましたので、「そら見ろ、それが僕の足だ。君が盗んだんだな」と言うと、「このとんまめが」と友だちは思いっ切り蹴り返しました。しびれがもう治っていた馬は「痛いっ!」と飛び上がって、ようやく自分の足は盗まれたのではなく、しびれていたのだとわかりました。うーん、こういう事は本当にありそうに思えますね。きっと馬鹿の漢字に馬が使われているから自然に思えるのでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の92編目は刑事も出て来る不条理で不気味な現代怪談ですよ。題名の「藍瓶(あいかめ)」の意味は藍染めの藍汁を蓄え、藍染め作業をするかめ。紺屋(こうや)で用いる。あいつぼ。との事です。四十男が女と一緒に逃げて引っ越したばかりの家へ父親がやって来る。男は女と一緒に近所にぶらりと散歩に出ると空地に大きな藍瓶が沢山置いてあるのに気づく。二人は相談すると父を連れ出し空地に誘い父の体を藍瓶の中に放り込んで立ち去る。二人は踏切まで来て手前で女が前のめりに躓いたので男が抱き上げようとすると姿が消えた!
夢追人009
2023/07/06 09:17

驚いた男は後ろに来た電車にはねられ意識を失う。男は頭に裂傷を負って右手を骨折して入院した。気が付いて意識が戻り家に人をやったが女は留守だった。翌日、二人の刑事が来て父親が引っ越した晩に二階で変死したことを知らせる。では昨日訪ねて来た父は一体何だったのか?いろいろ考えてもさっぱりわからなかった三週間後に男は退院してあの空地に行くと人だかりがしていたので近寄って見ると、そこにあったのは女の腐乱死体で男は一目見るや気絶してしまった。うーん、女の死は父親の幽霊の仕業で、息子は肉親だから見逃してやったのでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の35編目は穏やかで呑気な人間の話ですよ。ものぐさじいさんは何をするにも億劫で面倒くさがって、じっとして外にも出ませんでした。縁人一倍の寒がりで側で日向ぼっこをしていると子供達が寄って来て回りで遊びました。じいさんは子供は好きなのでした。そんなじいさんも亡くなって彼は天国に送られました。じいさんはいい事も悪い事もしなかったが子供が好きだったからと褒美に神様は何かに生まれ変わらせてくれようとしました。じいさんは人間はもう結構だと断りました。へびや雲の案が出ましたが、寒がりですから駄目です。
夢追人009
2023/07/05 09:42

そこで遥か南の海の人も行かない島の懐中の岩かげに浮ぶ海草におじいさんはなりまして二百年が経っても朝から晩まで全く同じ光景が続いていました。まあそういう未来永劫に何も起こらないものぐさ人生もいいかもしれませんね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
新美南吉さんの童話の1編目は素直な子供心に感動する真面目ないい話ですよ。学校に行く途中に大きな池があって一年生たちが朝通りかかると、ひよめ(カイツブリ)が五六羽浮いていました。ひいよめ、ひよめ、だんごやあるに、くうぐうれっ、とみんなで歌うと、ひよめは頭から水の中にくぐりました。でも子供達は団子を持っていませんでしたので、ひよめにあげませんでした。学校で先生が「嘘をついてはいけません」と教えました。帰りに池を通りかかると、ひよめがいて子供達は嘘がつけないから、どうしようかと悩みました。そしてこう歌いました。
夢追人009
2023/07/05 08:57

ひいよめ、ひよめ、だんごやらないけれど、くうぐうれっ。するとひよめは、やはり威勢よく水をくぐったのです。ひよめはこれまで団子が欲しいからくぐったのではなく、一年生に呼びかけられるのが嬉しいからくぐったのであります。単純ですがいい話ですね。子供達はとても大切なことを自然の生き物から教わったのですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の91編目はポルターガイストと超能力娘の話ですよ。明治七年四月に神奈川県〇〇村の浅尾兼五郎の家で妖怪が出るという噂がたち一度や二度でなく前年の五月から怪異が続くと言うので県庁からも人が来て調べたが何も判らず原因不明だった。台所で突然釜がふわりふわりと宙に浮いたので細君が土下座して「お許しください。お返しください」と謝ると元に戻った。また客が来て相手をしていると草履が移動したり庭の竹竿が浴衣を着て洋傘をさして歩いたりしたという。また隣家に借りた鍬が姿を隠して遂に何処かに消えてしまった。
夢追人009
2023/07/05 07:59

だが兼五郎の家に唖娘がいて手真似で聞くと紛失物の所在を知っていて鍬は畑の方角の草むらから出て来た。また近所の女が女房と話していると服の裾が勝手にめくれあがった。隣村から血気盛んな若い男が酒を飲んで幽霊の探検に来たが道中で小石が飛んできて眉間に当たって負傷したので驚いて逃げ帰ったという。こうして怪異は続いたが、その前には必ず唖娘が姿を隠したのだという。うーん、この娘は県庁に取り調べされなかったのでしょうかね?こういう時は妖怪ポストに手紙を出してゲゲゲの鬼太郎を呼ぶしか打つ手がないでしょうね。冗談ですけどね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の34編目は無邪気その物のニャンコの話ですね。マルは可愛い猫で、まあちゃんに可愛がられていました。マルの頭が白粉くさいのに気づいたまあちゃんがマルを呼んで、「おまえはどうして白粉くさいの?」と聞きましたが、猫だからご返事できません。「きっとどこかお姉さんのいる家に遊びに行っているのでしょう」とお母さんがおっしゃいました。そうだ、十日ばかり前に越して来た家に自分と同じ組の女の子がいたんだ。明くる日、まあちゃんはとめ子ちゃんを誘って学校へ一緒に行き、仲よしの友達になって家へ遊びに行きました。
夢追人009
2023/07/04 11:21

とめ子ちゃんの家にはおねえさんが二人いて、「マルが遊びにくる?」と聞くと「毎日くるわ。可愛い猫ね」と三人が言いました。マルは、みんない可愛がられて幸せだんと、まあちゃんは思いました。まあ何も考える必要のない心がウキウキと弾むお話でしたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の33編目は星と鶏の心温まる友情の物語ですよ。星は朝になると鶏が元気よく鳴いてくれるのが嬉しくて消えてゆくまでの仲よしの話し相手になりました。でも冬になると鶏は小屋の中に押し込められて外に出ることを許されなくなりました。二人はまた春になって鶏が外に出され話が出来る日が来るのを心待ちにしました。寒い夜の事、山に住むきつねが山にはもう餌がなくなったので里へ降りて村で鶏の小屋を襲おうと考えました。星がきつねと話をして鶏が危険なことを知ると、びっくりして何とか鶏を助けてあげなければと思いました。
夢追人009
2023/07/04 10:57

星は狩人がいて危険だから、うろつくよりここでしばらく待っていなさいと忠告しました。ものぐさな狐は「そうするかな」と言って鶏の鳴くのを待っていましたが、その内に近くで犬の鳴き声がしました。きつねは驚いて立ちましたが尾が雪の上に凍えついて取れません。どうにかしっぽを必死で引き離すと慌てて山の中へ駆け込んでいきました。まあ少し出来過ぎの話ではありますが鶏が無事に助かって誠に良かったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
夢野久作さんの53編目は奇妙奇天烈なSF小説みたいな物語ですよ。太郎さんはお父さまから空気銃をもらって雀を撃って遊んでいましたが一発も命中せずに弾がなくなりました。お父さまに弾を買ってくださいとお願いしましたが店が休みだからと言われました。太郎さんは、ふとお祖父さんの袋の中に赤い丸薬があったのを思い出して留守中に探すと3つあったので銃に詰めて撃ちましたがやはり当たりません。すると老人の乞食のおじさんが道から赤い丸薬を3つ拾いました。太郎さんが老人に返してくれと言うと老人は拒否して魔訶不思議な話をしました。
夢追人009
2023/07/04 10:20

これは私があなたのお祖父さんに売った若返り薬で1粒飲むと1年で1円、二粒飲むと10年で10円、三粒飲むと百年で百円、㈣粒飲むと千年で千円、五粒飲むと1万年で1万円の値段なのですといい、その昔お祖父さんが買ってくれて私が昔試しに2粒飲んだのですと話す。男は目の前で1粒ずつ飲んで若返り自分は罪深い事をしたと言って死ぬと言い3粒目を飲むと急に消えてしまいました。太郎さんは地面に落ちている3粒の丸薬を持って家に帰り父母と祖父に泣きながら謝って先程の男の話をしました。すると父母は、それは唯の風邪薬だよと笑いました。

夢追人009
2023/07/04 10:20

けれど祖父は笑わずに「どんな小さな物でも間違った仕方で使う音がどんなに悪い事か太郎にはわかったのだ。他の者が嘘と言おうとも太郎だけ本島と思えば、それでいいではないか」と言いました。うーん、男は虚無になってしまったのでしょうかね?10年からいきなり100年に飛ぶのが危険すぎますね。せめて最高が10年で1粒毎に若返るのだったらよかったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
夢野久作さんの52編目は不思議な幻想ファンタジーの傑作ですよ。炭焼きの勘太郎は妻も子もない独身者で毎日一人きりで炭を焼いては淋しいなあと思っていました。勘太郎は正月にいつも通りの用意をして寝ていると二日に初夢を見ました。夢に流れる歌が「小さい小さい虫ひとつ誰が憐と思おうか」と繰り返し美しいお姫さまが泣いていました。勘太郎は起きると木を一本ずつ調べ虫穴が空いていないか探しました。そして最後の一本の樫の木に虫穴を見つけ山中に運んで立てかけました。勘太郎はもう炭焼きの仕事をする気が失せて山中を彷徨い歩きました。
夢追人009
2023/07/04 09:16

勘太郎は草を食べて飢えをしのいでいる内に春になりましたが、すっかり飢え疲れ目も見えなくなってバッタリと倒れました。「虫の生命を助くるは、神の心を持った者」目覚めると勘太郎は見事な寝台に寝て大勢の天女に介抱され夢で見た美しいお姫様がニッコリと微笑んでいました。彼は白い着物を着ており髪も髭も白い神様の姿になっていました。彼は食べる心配もなく天女たちが歌い舞う姿を見ながら過ごしていました。ある日ふと天女たちと外に飛び出すと今の住まいは自分が正月に立てかけた樫の丸太の穴だと知りました。それから自分の家を見ました。

夢追人009
2023/07/04 09:17

するとそこには昔の勘太郎がいて、神様の勘太郎を蝶々だと見ている様で、もし夢を本気にしていたら死んでいただろう、どれ炭を焼こうかと言いました。神様の勘太郎はこれが夢なのか現実なのかさっぱりわからなくなりました。ドライな性格とウェットな性格の二人の勘太郎が同時に存在する世界、誠にシュールな物語ですねえ。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の90編目は人の情の温かさを描いた素晴らしい話ですよ。伊勢の村に久兵衛という農夫があり不作の為に年貢の金に困って十六歳の娘を三年間飯盛女にする事にし四日一屋という宿屋に売り渡し代金六両二分を得て家に帰ろうとしていると、途中で雁の群れを見つけ禁猟の場所ではあったが捕えようとする。だが結果的には雁に財布の紐が絡まって首に引っかけたまま逃げ荒れてしまう。久兵衛は馬鹿な事をしてしまったと後悔・絶望して家に帰る。翌朝、四日市に住む漁師が偶然財布を首からさげた雁を捕まえ財布の金を見て大喜びする。
夢追人009
2023/07/04 08:08

だが女房が亭主に財布の中の書類は娘を売ったものだから困っているのに違いないと言って財布の持主を調べて返しておやりよと説得する。猟師の男は久兵衛の家を訪ねあて財布を渡すと、喜んだ久兵衛は男に半分をお礼に渡そうとしたが男は二朱だけでいいと答える。この事が藩庁に知れて二人を呼び出し、猟師には青ざし(和菓子)五貫と米五俵をくれて、久兵衛には青ざし五貫をくれた。猟師は奇特な行いに対する褒美で、久兵衛は男に半分をお礼に渡そうとしたからで禁猟の場所で雁を獲ろうとした罪は不問に付されていたという。誠に心温まる美談ですね!

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の89編目は親の因果が子に報う因果応報のさだめとはいえ誠に哀れな話ですね。利根川で鮭漁を営んで暮らす夫婦が今年の初漁の前祝に家で蕎麦を食べていると旅僧が訪ねて来て蕎麦をご馳走すると僧は鮭の殺生をニ三日止めてはどうかなと話す。来世は犬畜生に生まれ変わるぞと脅され亭主はニ三日漁を休もうかと思いかけるが女房が誰かの企みではないかと言い出したので亭主はやはりいつも通りに明日から始めようと気を変える。夫婦は豊漁に恵まれ鮭を料理していると一匹の腹の中から蕎麦が出て来る。夫婦は村一番の長者になる。
夢追人009
2023/07/04 07:16

そして女房は妊娠して翌年に子供が生まれるが、その娘は醜い容貌で顔には魚の胎児のような赤い斑点があって頭髪も縮れていた。女房は我が娘を一目見るなり逆上した果てに死んでしまった。長者の家はますます富んだが娘の事だけが心配だった。娘は年頃になり引き籠って暮らした。村に都から病気の売卜者(占い師)のイケメン男子が来ると長者は男の世話をした。すると娘はハンサムな男に恋をして悩んだ。父親は娘の心を知ると男に自分の全財産を君にやるから娘と結婚してやってくれと頼む。男は仕方なく承諾するが、どうにも娘の醜さが我慢できない。

夢追人009
2023/07/04 07:17

彼は仮祝言の夜に女が寝た後で家を抜け出して利根川の水際に草履を置き、自分が死んだと思ったら娘も諦めるだろうと考えて逃げ去る。女は起き出し男がいないのに驚いて利根川の水際の草履を見ると男の死を確信して川へ飛び込んで死んでしまった。女の死骸は銚子の川口に流れ着き、村人は死骸を髪に刺した花櫛と共に埋め神として祭った。まあ娘には何の罪もないのに欲深い親の為に醜く不幸に生まれついてしまったのが誠に憐れで気の毒としかいいようがありませんね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の32編目は実話ではありえない作り話ですが可愛い猫の愉快な物語ですよ。あかとらが三毛に首にかけた鈴を見て何かと尋ねると「うちの坊ちゃんが付けてくれた鈴です」と答えました。三毛が歩くとカラカラと音が鳴り、あかとらは「あっはは、ごうがいやさんみたいだ」と言って笑いました。三毛は恥ずかしくなり、ネズミを見つけて追うと音が鳴ったので逃げられ、次にネズミに木の実を揺すって音を出しからかわれました。三毛はあかとらにネズミが馬鹿にするので鈴を取って下さいと頼むと「二ャオ」と鳴き首から取ってくれました。
夢追人009
2023/07/02 11:33

猫を飼っておられる方は、もしかしたらこの話のように猫ちゃんは鈴を嫌がっているかもしれませんから取ってあげてくださいね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
夢野久作さんの51編目は哀しい悲劇がやがて愉快な喜劇に転ずるよくできたいい話ですよ。昔、ある町外れで大勢の乞食が集まって日なたぼっこをしながら話をしていました。若い乞食が白い着物を着た福の神に連れられて行くとダイヤモンドをはめた指輪が…と言った所で、別の乞食が持っていた松葉杖で彼をコツンと殴って、それは俺が金持ちに貰って落した指輪だと言いました。乞食は倒れた男の身体中を探しましたが指輪は出て来ません。それを最初から見ていた禿頭の紳士が乞食達に幾らか金を払い若い男の死骸を買って家に持ち帰り医者を呼びました。
夢追人009
2023/07/02 11:02

「この死骸をズタズタに切ってダイヤモンドの指輪を探してくれ」と言われ医者は断りましたが、「それならお前も殺すぞ」と脅されて仕方なく引き受けました。医者が人の身体を切る機械を取って来てくれと頼むと男は出て行って、後に男の娘と息子が出てきて母からもらったダイヤモンドの指輪を医者に渡して乞食を救ってあげてくださいと頼みました。医者は応じて乞食を診ると上手に生き返らせました。老紳士は帰って来て医者から指輪を差し出され乞食の命をお助け下さいと言われると、指輪の出所に気付き初めて自分の悪行を深く反省し後悔をしました。

夢追人009
2023/07/02 11:02

老紳士は医者に礼金を渡して、乞食たちを集めてご馳走し、娘と息子にもご褒美をあげました。男が若い乞食に指輪の在処を聞くと、それは現実ではなく夢の話ですと答え、殴った男も夢で貰ったものだと答えたのを知ると皆で大笑いしました。老紳士は「これは正夢で二人の子供は俺の心を直してくれた本当の神様だ」と言って二人を抱き上げると、乞食共は一時に万歳しました。何という感動的な物語でしょうね。読み終えて目頭が熱くなって自然に目がうるうるとなりましたね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の88編目は江戸時代の神出鬼没の女賊・女怪盗・板女の話ですよ。館林の城下に暗躍する美しい女盗賊は捕まえようとすると傍らにある壁のはめ板へピッタリとひっついて姿を消すのだ。土地の人は誰とはなしにそれを板女と呼ぶ。彼女は金銀大判小判を盗んで夜の町を駆け抜けるのですが、最後は川の蘆の上で金を勘定している所を大勢の追手に見つかりヤケクソで金を投げて若い侍に刀で無惨に斬り殺されるのですね。まあ極悪人ですから仕方ないですが可哀想ではありますね。今なら漫画の「キャッツアイ」は捕まらないですけどね。
が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
小川未明さんの童話の31編目は衝撃の結末が待つ不思議な一編です。太郎は長い間病気で伏していましたが、ようやく床から離れて出られるようになりました。まだ寒さの残る三月の終わりで用心が必要でした。太郎が往来に出て歩いていると彼方に往来の上をひとりの少年が輪を回して走って来て、金の輪の触れ合う鈴を鳴らすような音が聞こえました。二つの金の輪が触れあって、よい音色をたてる輪を回すのは見知らぬ少年でしたが、こちらを見て友達に対するように懐かしそうに微笑むのでした。少年はやがて白い道の方へ消えて行きました。誰だろうな?
夢追人009
2023/07/01 10:45

次の日の午後も同じ時刻に少年は同じ姿でやってくると、こちらを向いて昨日より一層なつかしげに微笑んで、白い道の彼方へと消えていきました。少年は明日こそは話しかけて友達になろうと決意して、その晩母親に少年を二日続けて見た話をしましたが、信じてはくれませんでした。太郎は少年と友だちになって金の輪をひとつわけてもらって何処までも一緒に走り赤い夕焼けの空の中へ入ってゆく夢を見ました。翌日から太郎はまた熱が出て、そして、ニ三日目に七つで亡くなりました。ああ、太郎くんの見た少年の正体は一体何だったのでありましょうかね。

夢追人009
2023/07/01 10:46

でも今もきっと彼は天国で少年と一緒に美しい金の輪を回しながら楽しく幸せに走っているのだと信じたいですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
夢野久作さんの50編目は著者の文壇での内輪話の実話です。まあ題名は何やら怪しげな雰囲気が漂っていますが蓋を開けたら何と言うこともないしょーもない話でしたね。河東茂生の他に幾つかのペンネームを持つ青年が山中の著者の家を訪ねて来る。互いに年齢を聞くと著者は四十、青年は二十三と知れる。彼が元寇を書き始めると著者はごろりと寝転んで横になり、青年の姿にいろんな服を着せてコスプレイヤーにする姿をあれこれ想像して白昼夢を見る。会う前は文壇の大家だと思っていたが、会ってみると気さくな青年で打ち解けて意気投合したのである。
夢追人009
2023/07/01 10:07

まあこれを読むと著者の少しも気難しくない大らかな人柄が理解できてますます親しみが沸いてきて良かったですね。

が「ナイス!」と言っています。
夢追人009
田中貢太郎さんの怪談噺の87編目は作者自身の故郷であるらしい土佐のある村の不気味な怪談話ですね。前半部分は土地に伝わるさまざまな種類の怪異が描かれて読み応えがあります。山の麓の清導寺の住職は肉食妻帯で妻子があったので、十二三歳の頃の私は仲間と、あの寺のなまぐさ坊主は法力がなく頼りないと話をしていました。寺の下のさんでんと呼ばれる畑の上を鷲が飛んだと噂される。そして数日後に寺の赤ん坊が近くの野便所に落ちて死んでいるのが見つかった。それは鷲の足に掴まれて運ばれたのだと噂された。寺の坊主の力が足りないからじゃ。
夢追人009
2023/07/01 09:42

ある日私が畳屋の庭先で仲間と遊んでいると村の堀内という巡査が山伏と格闘し後ろ手に縛りあげて連行する姿を目撃する。当時は赤ん坊の変死事件と共に意味がわからなかったが、二十年後に村の古老に聞いてみると「あれは山伏が寺を乗っ取ろうとして赤ん坊を殺したのじゃ」と教えてもらえて漸く謎が解けたのである。成る程ね、いつも怪物や妖怪の仕業とは限らないですね。まあ素朴ながら面白い読み物でしたね。

が「ナイス!」と言っています。

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読書データ

プロフィール

登録日
2018/05/06(2264日経過)
記録初日
2018/01/20(2370日経過)
読んだ本
3025冊(1日平均1.28冊)
読んだページ
488888ページ(1日平均206ページ)
感想・レビュー
3025件(投稿率100.0%)
本棚
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A型
現住所
奈良県

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