読書メーター KADOKAWA Group

燃えつきた棒
さんの感想・レビュー

燃えつきた棒
新着
先日、ALL REVIEWS友の会のお仲間の方から、NHKの「世界ふれあい街歩き」パサージュ編のことを教えていただき、NHK+で視聴したことから、しばらく積読状態だったベンヤミン『パサージュ論』を手に取った。 さらに、『パサージュ論』を読むなら、そもそもパサージュについて、もう少し詳しく知っておきたいと思い、本書に至った。/ パサージュとは何か? 夢の残滓、そうかも知れない。 だが、この本で取り上げられている数々のパサージュの物語を読んでいるうちに、僕はもうひとつの夢のなかへと誘われていった。/
燃えつきた棒

冒頭、聞く者を眠りに誘うかのような、ものうい男の声のナレーションが流れる。 《静かな部屋で足音は厚い絨毯に吸い取られ― 歩く当人でさえも何も聞こえない  まるで耳自体が・・・ 廊下をずっと歩いていけば― 古い時代の建物の広間や廻廊をよぎる  バロック風の巨大なホテルの廊下は果てしなく続く  無人で静かで冷たい装飾が過剰で化粧漆喰や― くり型の鏡板 大理石 黒ガラス 黒っぽい絵 円柱  縁取り彫刻のある一連の扉 一連の回廊 交差する廊下  廊下は無人の広間に通じる 広間は古い時代の装飾過多  →

08/12 17:18
  • 玄趣亭
  • 風に吹かれて
  • syaori
  • ぺったらぺたら子 
  • 宵待草
  • みねたか@
  • ケイトKATE
  • wassermusik
  • 都わすれ
  • かんやん
  • ヴェネツィア
燃えつきた棒

→ 静かな部屋で足音は厚い絨毯に吸い取られ・・・》 (アラン・レネ『去年マリエンバードで』。脚本:アラン・ロブ=グリエ。字幕翻訳:細川晋)   男は女を抱きよせようとするが、女は逃れ、男はつぶやく。 《常に壁 常に廊下 常に扉 反対側にも壁が  あなたにたどり着くまでに 通り抜ける必要がある》(同上) この映画にパサージュが描かれているというわけではありませんが…/ 多かれ少なかれ、パサージュ建造者達の夢は潰え去った。 だが、今もなお、パサージュとは、もうひとつの夢への入り口なのかも知れない。

08/12 17:19
  • 玄趣亭
  • 風に吹かれて
  • syaori
  • ぺったらぺたら子 
  • 宵待草
  • みねたか@
  • ケイトKATE
  • wassermusik
  • みあ
  • 都わすれ
  • かんやん
  • ヴェネツィア
  • 夢追人009
燃えつきた棒

多かれ少なかれ、パサージュ建造者達の夢は潰え去った。 だが、今もなお、パサージュとは、もうひとつの夢への入り口なのかも知れない。

08/12 17:19
  • 玄趣亭
  • イシザル
  • 風に吹かれて
  • オサム兄ぃ
  • syaori
  • ぺったらぺたら子 
  • 宵待草
  • みねたか@
  • ケイトKATE
  • wassermusik
  • みあ
  • 都わすれ
  • ヴェネツィア
  • 夢追人009
燃えつきた棒

このパサージュを通って、バルザック『幻滅』へ、フローベール『感情教育』へ、ゾラ『ナナ』、セリーヌ『なしくずしの死』へと抜けてみたい。 巻末のQRコードから訪れる特設サイトで、夢の続きを見るのも楽しい。

08/12 18:47
  • 玄趣亭
  • イシザル
  • syaori
  • ぺったらぺたら子 
  • 宵待草
  • みねたか@
  • あ げ こ
  • ケイトKATE
  • wassermusik
  • 夢追人009
0255文字
全4件中 1-4 件を表示

燃えつきた棒
さんの最近の感想・レビュー

アカシア

アカシア

クロード シモン
立教大学で開催された 「20世紀フランス文学の検証—ミレイユ・カル=グリュベー…続きを読む
安部公房全集 6 1956.3-1957.1

安部公房全集 6 1956.3-1957.1

安部 公房
安部公房の娘ねりの著書『安部公房伝』を読むと、ねりのいかに自分が父より頭がいい…続きを読む
MONKEY vol.20 探偵の一ダース

MONKEY vol.20 探偵の一ダース

◯「猿のあいさつ」(柴田元幸): 【探偵小説は、僕の初期読書体験のなかで重要な…続きを読む
中国現代文学 25

中国現代文学 25

徐 則臣「モロッコ王子」: 2015年に発表されたこの物語には閉塞感が色濃い。…続きを読む
レペルトワールII [1964] (II [1964]) (ミシェル・ビュトール評論集)

レペルトワールII [1964] (II [1964]) (ミシェル・ビュトール評論集)

ミシェル・ビュトール
立教大学で開催された 「20世紀フランス文学の検証—ミレイユ・カル=グリュベー…続きを読む
安部公房全集 5 1955.3-1956.2

安部公房全集 5 1955.3-1956.2

安部 公房
◯「棒」: 大好きな戯曲「棒になった男」の小説版。 びっくりするほど短い。 …続きを読む

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/01/04(4371日経過)
記録初日
2005/06/30(7116日経過)
読んだ本
1479冊(1日平均0.21冊)
読んだページ
463891ページ(1日平均65ページ)
感想・レビュー
795件(投稿率53.8%)
本棚
49棚
性別
年齢
70歳
血液型
B型
職業
無職
現住所
千葉県
外部サイト
自己紹介

#名刺代わりの小説10選
◯ジェイムズ・ジョイス「ユリシーズ」/
◯ガルシア・マルケス「百年の孤独」/
◯安部公房「砂の女」/
◯石牟礼道子「苦海浄土」/
◯エミール・アジャール「これからの一生」/
◯マルセル・プルースト「失われた時を求めて」/
◯フランツ・カフカ「城」/
◯ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」/
◯ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」/
◯イヴォ・アンドリッチ「ドリナの橋」/



#短編を10作品選んで史上最高の短編集を作れ
◯目取真俊:「群蝶の木」
◯島崎藤村:「ある女の生涯」
◯深沢七郎:「楢山節考」
◯黒島伝治:「橇」
◯フロベール:「純な心」
◯ナボコフ:「ロシアに届かなかった手紙」
◯ カテリーナ・モートリチ:「天空の神秘の彼方に」
◯ チェーホフ:「六号室」
◯カフカ:「流刑地にて」
◯ゴーゴリ:「外套」

収集している本は、こちらで
http://booklog.jp/users/maigret

twitter
https://twitter.com/munounohito1991

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう