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2024年3月の読書メーターまとめ

新田新一
読んだ本
55
読んだページ
8071ページ
感想・レビュー
55
ナイス
1170ナイス

2024年3月に読んだ本
55

2024年3月のお気に入り登録
3

  • 猫路(ねころ)
  • 優希
  • mae.dat

2024年3月のお気に入られ登録
3

  • 猫路(ねころ)
  • 優希
  • mae.dat

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

新田新一
社会の片隅で、息を潜めるようにして暮らした二人の兄弟を描いた長編。兄の方は小鳥のさえずりを理解できます。弟は人間の言葉とは異なった兄の言葉が分かります。優しさと切なさで胸が締め付けられる物語でした。緻密でありながら、繊細で抒情的な文体が素晴らしいです。弟がほのかな恋心を抱いている図書館司書の女性と、一度だけ二人で会う場面は美しさは心に染みました。弟の生き方は世の中の標準で言ったら、みじめなものなのかもしれません。でも、小さな命に寄り添い続けた献身は、読み手の心を揺さぶらずにはいられません。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

新田新一

先月もナイスやコメントを有難うございました。散歩の途中で通る土手に水仙が咲いていて、きれいでした。今月もよろしくお願いいたします。2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:30冊 読んだページ数:4832ページ ナイス数:658ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1010824/summary/monthly/2024/2

先月もナイスやコメントを有難うございました。散歩の途中で通る土手に水仙が咲いていて、きれいでした。今月もよろしくお願いいたします。2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:30冊 読んだページ数:4832ページ ナイス数:658ナイス  ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1010824/summary/monthly/2024/2
いこ
2024/03/02 21:16

新田新一さん、いつもナイスやコメントありがとうございます<(_ _)> 新田さんのレビューを拝読すると、色々な本を読んでみたくなります。特に詩の本や山口恵以子さんの本などは読みたいなぁと思ってレビューを拝読しておりました。今後とも参考にさせていただきたいです。今月もどうぞよろしくお願いいたします。

新田新一
2024/03/03 07:23

いこさん、こちらこそいつもコメントやナイスを有難うございます。過分なコメントを有難うございました。銀色さんの詩がお好きだったら、私が読んでいる詩集も気に入ってくださるのではないかと思います。銀色さんの詩が昔から好きで繰り返し読んでいます。最近は読んでいないので、また読み返すつもりです。山口さんの作品は人情味があって、プロットも面白くて大好きです。よろしかったら、読んでみてください。最近は寒いですね。今散歩に行ったら、凍えるような寒さでした。お体に気を付けてお過ごしください。

が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
55

新田新一
ニュージーランドのSFとファンタジーの傑作選を読了。面白い物語ばかりで、本当に喜んでいます。個々の物語を通して、自分と同じ時代を生きている人たちの思いが、伝わってくる点に一番惹かれました。”Plague Year”はコロナを思わせる伝染病が広がった世界の話。重苦しい雰囲気ですが、最後の一行で笑わせます。”Basil and the Wild”はニュージーランドらしく羊飼いが主人公。彼と野生の中で生きる大男の物語です。二人の孤独な男の心のつながりが切ないです。”Washing the Plaid"は→
新田新一
2024/03/31 22:35

作家志望の女の子と、隣に引っ越してきた老いた女性の交流を描く中編。リアリズムの物語と思いきや、最後で幻想の世界に移行する描き方が見事。14編収録されていて、その中でこの3つが特に好みでした。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
傑作短編集!これはお勧め。恋愛が主題になっているのですが、甘い話はなくて、口の中に苦さが広がるものばかり。ほとんどの登場人物が30歳以上だからかもしれません。 男性のことが辛辣に描写されており、読みながら苦笑い。例えば、「裏切り」には50代のナルシストで、女性に誠実でない男性が出てきます。女性はしたたかに描かれており、付き合っている男性に飽きたり、魅力を感じなくなったら、他の男にすぐ乗り換える人が描かれたりします。苦しみ傷つきながらも、人を愛することをやめない人間の業が赤裸々に描かれているのに脱帽です。
いこ
2024/04/01 15:18

新田さんのお勧めなら読まないと!!「苦しみ傷つきながらも、人を愛することをやめない人間の業」本当にそうですよね。どうして、わたしこんなにボロボロなのにあの人のことが好きなのかしら、っていう感じを誰でも経験しているように思います。

新田新一
2024/04/01 15:57

いこさん、有難うございます。恋愛では、ぼろぼろに傷つくこともありますね。楽しいこともありますが、誰かを愛し続けるのは楽ではありません。藤堂さんは恋愛小説の名手で、恋愛の苦しみや悲しみをテーマにした作品を多く書かれています。その中でも、この短編集は屈指の傑作だと思いました。よろしかったら、読んでみてください。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
沖縄の風景写真と旅行記を組み合わせた本。すべての写真に沖縄の空と海の美しい青が散りばめられていて、読んでいると心が洗われました。色々な種類の青色の解説が書いてあるのも特長の一つで、こんな青色があったのかと読みながら驚きます。例えば、ストームブルーという色があります。本書によると、それは「嵐のときの灰色がかった青色」とのこと。どのページの写真も素晴らしいのですが、私は最後のページの写真が飛び抜けて良いと思います。ここで読者は青の美しさの極みといえる写真に出会えます。
いこ
2024/04/01 15:21

新田新一さん、なんと美しいレビューでしょうか。これはもういただいていくしかありません。いただきますね(^O^)/

新田新一
2024/04/01 15:53

いこさん、過分のコメントを有難うございます。照れます(苦笑)。青色が好きなので、この本のいろいろな青には本当に魅せられました。ぜひ読んでみてください。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
50ページほどのファンタジーの中編。身体的なハンディキャップのために目立たないように暮らしている女性Naiaが主人公の物語。彼女が暮らす村は、野獣の呪いがかかっており、夏がずっと続いています。その呪いを解くためには、野獣に一つの歌を聞かせる必要がありました。様々な要素が詰め込まれた濃密な物語。男女の三角関係、美女と野獣の主題、家族愛といった要素が一体となり、忘れがたい物語になっています。主人公が醜さの極致といえる野獣の中に人間性を見つける場面がロマンチックで美しく、特に印象に残りました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
砂漠で瀕死の男性の所へあんぱんまんがやって来ます。彼を助けるために、あんぱんまんは、自分の顔を齧るように助言。男性を助けたあんぱんまんは、欠けた顔のまま空へ飛び立ちます。初めて読んだ時は、みじめとも言えるあんぱんまんの姿に、衝撃を受けました。それ以来何度も読んでいますが、読むたびに心を揺さぶられます。これこそが本当の利他の精神だと思います。悪がはびこっているこの世界では、優しくて思いやりのある人ほど傷つけられてしまいます。そうでも困難の中にある人を助けることは意味がある、と教えてくれる屈指の名作絵本。
毒兎真暗ミサ【副長】
2024/03/30 16:36

僕の読み友様に、やなせ先生信奉の方がいるので、時々ミュージアムやらのお話で盛り上がってます✨新田さんも是非いらしてください😊

新田新一
2024/03/30 17:03

そうなんですね。それは嬉しいです。お誘いありがとうございます。ぜひ伺いたいと思います。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
ロシアの文豪の中ではチェーホフが一番好きで、戯曲や短編を昔から繰り返し読んでいます。未知谷から出版された「チェーホフ・コレクション」は、チェーホフの短編にロシアの画家が絵を付けたもの。ロシアの絵はヨーロッパと日本の絵の中間のような味わいです。素朴でどこか懐かしく、温かみがあります。「黒衣の修道僧」はチェーホフには珍しい幻想的な物語。主人公は黒い服を着た僧侶の幻が見えるようになります。幻想的でありながら、現実の世界の救いのなさを浮き彫りにするプロットが見事。この救いのなさを噛みしめる事が生きる事かも。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
ルルン=ナンダーは、小さな星の女の子です。うっかり空から落ちてしまい、大変な目にあいます。山に住む優しそうなロンに出会って、彼の家で暮らし始めました。優しそうに見えたロンでしたが、たきぎを毎日取って来いと厳しく命令し始めて……。読み終わると、ほろりとする素晴らしい童話です。『アンパンマン』の作者は、人の本当の優しさを深く理解していた、稀有の表現者だったことがよく分かります。
毒兎真暗ミサ【副長】
2024/03/30 13:21

シビアな諦観……って、犠牲心の悲哀ってことですよね。それをあのあったかい絵で表すからなんともシュールというか。伝えたいことを、まるーく表現するって難しいですが、やなせ先生は上手いですね。

新田新一
2024/03/30 15:26

ミサさん、今レビューを書いて、教えてくださったサイトも紹介しておきました。有難うございます。アンパンマンミュージアムがあるとは知りませんでした。いつか行ってみたいです。「あったかい絵でまるーく表現する」とは言い得て妙だと思います。やなせ先生の作風は、まさにそんな感じです。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
有名な『カモメのジョナサン』の作者による童話。友達のレイの誕生日が来るので、主人公のぼくは彼のところへ行くことにします。ぼくが旅の途中で出会う鳥たちは、大切なことを少しずつ教えてくれます。シンプルな物語ですが、深い意味が込められていて、大人が読んでも生きることの意味をもう一回考えたくなるのでは。緻密で生き生きとした絵も素晴らしいです。最後まで読むと、普段の生活に縛り付けられている心は、もっと自由なものであることを気づかされました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
『新古今和歌集』の編纂時の和歌の魅力を詳細に語った書。私のような和歌好きにはたまらない本で、読み終えるのが惜しいと思いました。これまで読み飛ばしていた和歌の魅力に気づかされたり、古典の知識を深めることができました。「わが愛誦歌」で紹介されている後鳥羽院の和歌は、本当に素晴らしくて心に刻まれます。「桜咲く遠山鳥のしだり尾のながながし日もあかぬいろかな」春が近づいている今頃の季節にぴったりの一首。遠くの山の桜は鳥の尾のようにずっと眺めていても飽きない、といった意味で春風駘蕩の春の雰囲気が良く伝わります。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
古代ギリシアや古代ローマなどのアンティークコインを通して、歴史を語っていく本です。非常に面白かったです。一つ一つのコインが美しくエキゾチックで、工芸品のような魅力があります。ペガサスが刻まれたものもあり、神話の世界を身近に感じることができました。クレオパトラやカエサルが刻まれ物は、貴重な歴史の断片といった趣があります。文章だけでは頭に入りにくい複雑な歴史も、アンティークコインの写真を眺めながら読むと、血の通ったものとして受け止めることができます。遥か昔のことも、現代とつながっていることを実感しました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
仏の哲学者ジャック・デリダとアルジェリアの学者ムスタファ・シェリフの対談。この本は非常に良かったです。最近読んだ本の中で一番感銘を受けました。装丁がまず美しく、”Moi, l'Algerien" (私はアルジェリア人である)という帯があり、穏やかで優しげな晩年のデリダの写真が載っています。この透徹した眼差しが、本書の内容につながっていきます。あらゆることを受け入れ、あらゆる差異を乗り越えて、世界中の人々と争いになしに生きていく方法が探られます。デリダが提唱した脱構築の精神が生き生きと感じられました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
地方の警察署を舞台にした連作。作者は元警察官で、経験が生かされているはず。普通の人には分かりにくい警察で働く苦労や喜びなどがよく伝わってきます。5番目の「穴」と6番目の「署長官舎」が特に好みです。「穴」では、上司から嫌がらせを受け続けている女性の警官が、行方不明になった女の子を探す過程で、立ち直っていきます。仕事を懸命にやることが救いになるという爽やかなプロット。「署長官舎」はその警察の失態が明らかになります。事件の捜査の難しさを感じます。でも、仕事に生きがいを持つ若手が登場し、救いを感じる結末です。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
昔、村上春樹さんが翻訳されたオールズバーグの絵本には、繰り返し読みたくなる魅力があります。リアリズムのタッチで描かれた絵でありながら、幻想的なものが忍び寄ってくる作風が非常に好みです。物語自体も、現実の世界から少しずつ夢の世界に移行します。この話はリタ・アン号の船長が巻き込まれた不思議な冒険を描いたものです。船員たちが急に猿に変わってしまうところが面白いと思いました。猿たちには、怖いような可愛いような不思議な魅力があります。最後の一行に漂うユーモラスで不気味な雰囲気が絶妙です。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
フランスのバルビゾン派の画家たちの作品を解説した本です。知らなかったのですが、この派が出てくるまで、絵は画家の心の中にある理想を描くものだったそうです。素朴で静謐で、自然の息吹が感じられるミレーらの絵は本当に魅力的です。収録されている一つ一つの絵をじっくり眺めました。フランスに行ったときに、高速道路から見た田舎の風景に魅せられました。その風景も変わっていくのかもしれません。でも、バルビゾン派の作品の中にフランスの田園の美は定着され、後の世代に受け継がれていくのだと思いました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
森瑤子さんは一世を風靡した作家という印象があるのですが、今では絶版も多く、古本屋でもあまり見かけなくなりました。小説の世界も厳しいものだと思います。男女の恋愛を都会的な感性で切り取った短編集。80年代から90年代前半の日本の雰囲気がよく伝わってきます。電話ボックスが出てくる作品もあり、時代を感じました。「窓の灯」が一番好きです。男のずるい言い訳を、否定できない女性の心の揺れが繊細に描かれています。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
ヴィクトル・ユーゴーの子供達のための詩が収録された絵本。きれいで色鮮やかで、生き生きとした絵が素晴らしくて、眺めていると心が温かくなりました。ユーゴーの詩は優しく繊細で、ユーモアを感じます。表題作は春の情景を美しく描いたもので、今頃の季節にぴったりです。原文が載っているのも魅力の一つです。フランス語は初歩的なことしか分からないのですが、訳文と照らし合わせながら読むと、韻の踏み方や文の組み立て方が分かりました。韻を踏んで、リズミカルに書かれている詩ばかりです。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
『伊勢物語』を再読しました。日本の古典の中で一番好きな本です。詩が好きなので和歌がたくさん入っているところが嬉しいし、物語自体も面白いです。1ページに満たない物語も多いのですが、その中で人間の心の襞が簡潔に余韻を持って描かれています。例えば、9話は京を出て、東国に旅する人達の話です。旅情と旅の心細さが巧みに表現されています。今回は一番最後の話が特に印象に残りました。わずか2行の物語です。死期を悟った男が「つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを」と歌を詠みます。命の儚さが心に染みました。
宵待草
2024/03/23 19:06

新田新一さん こんばんは!🌃 『伊勢物語』がお好きとの事、嬉しくレビューを拝読しました!🍀 私は竹久夢二:装幀の、好きな歌人・吉井勇:訳の『伊勢物語』(国書刊行会)を既読&レビューして居ます。 古の書物からは数多の学びを頂けますね!💫 何時も、有り難うございます!🙋 宵待草

新田新一
2024/03/23 19:28

宵待草さん、こんばんは。いつも有難うございます。『伊勢物語』は本当に好きな古典で、日本の宝だと思っています。読んだことはないのですが、英訳版もあって、高い評価を受けています。吉井勇訳の『伊勢物語』とは、本当に良さそうですね。良い本のことを教えてくださり、感謝です。以前吉井勇の短縮版の『源氏物語』を読んで感銘を受けました。おっしゃる通り、古の書物から多くの学びを得ることができますね。これからも日本の古典を読み続けたいです。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
イギリスの詩人A.E.ハウスマンの詩集”A SHROPSHIRE LAD”を再読しました。本業が大学の先生だったので著作数は少ないですが、ハウスマンは20世紀のイギリスを代表する詩人の一人と言われています。古典文学の教授らしい簡潔で、抑制の効いた筆致で描かれた詩が収められています。書かれていることは、イギリスの田園地帯で成長した少年の胸の内です。全体的に牧歌的な内容なのですが、戦争の暗い影響が感じられるのが特徴です。でも、ほろ苦いユーモアを感じるものも多くて、イギリス人らしいと思いました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
高見順の解説によると、この短編集は太平洋戦争が始まった日に出されたものです。戦争の影響はほとんど感じません。この間読んだ『みずうみ』のような読者の感性に挑戦してくるようなところはありません。物足りないと言えますが、親しみやすいのは確かです。どの作品にもしみじみとした詩情が感じられます。「母の初恋」が特に好み。自分の初恋の女性の娘を、引き取って育てた男の複雑な心境が描かれています。その娘が一度だけ自分の心情を明かします。切なすぎる彼女の言葉に胸が震えました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
主人公の玉子は息子の死をきっかけに夫と別居し、今は嫁と孫の3人暮らしです。時々娘が家に来て、玉子のことを責めたりします。子供の時に、愛情を持って育ててくれなかったというわけです。癌になった夫に恋人がいたことや、娘が詐欺師に引っかかっていることが分かり……。非常に面白くて、最後まで一気に読みました。家族の中での女性の生き方が、生き生きと描かれています。嫁と姑、母と娘、夫婦間の溝といったややこしい問題が、これでもかというほど出てくるので、共感しながら読む人は多いでしょう。このややこしさが家族で生きることです。
いこ
2024/03/20 20:02

新田新一さん、「このややこしさが家族で生きることです」って、わかる~!!悲しいかな、わかりすぎます。レビューを拝読して、この家族に興味津々です。わたしも読んでみたいです(*^-^*)

新田新一
2024/03/20 20:19

いこさん、こんばんは。共感してくださった部分は、私が一番書きたかった箇所なので、本当に嬉しいです。有難うございます。家族のことは逃げるのが難しいし、いろいろ大変なこともあります。この小説は、家族のことで悩んだり、苦しんでいる人たちに対する作者のいたわりが感じられました。よろしかったら、読んでみてください。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
この本は題が面白いです。『希望のゆくえ』とは小説というより、自己啓発本だと感じました。読み始めて、『希望』は人の名前だと分かり、納得。急に失踪してしまい、兄の誠実が彼を探すことになります。周りの人を通して、希望の性格が見えてくるという構成が斬新です。決して立派な人というわけではなく、その場の空気を読まなかったり、他人の頼みを聞き入れてしまうところがあります。でもなぜかそんな性格の男が、人を救い癒していくのです。人間の癒しは、人と人とつながりであることを実感させてくれる、素晴らしい物語でした。
いこ
2024/03/18 20:04

新田新一さん、兄弟の名前が「誠実」と「希望」なのですね。なんだか素敵(自分が平凡な名前だから)。新田さんのレビューを拝読して、人が人を癒していく過程を読んでみたいと思いました。いただいていきますね(^O^)/

新田新一
2024/03/18 20:11

いこさん、コメントを有難うございます。兄弟の名前が、「誠実」と「希望」というのは面白いですね。斬新なアイディアだと思ました。結構重たい話なのですが、救いを感じられて良かったです。人間関係は難しくて大変ですが、人を癒すのは、他の人とのつながりなのだ、とこの本を読んで思えたので良かったです。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
沖田さんの初期の作品。自分の高校時代のことが、赤裸々に語られています。しようもない下ネタも多くて、読んでいて何度も噴き出しました。『透明なゆりかご』などにくらべて、かなり自分のことが描かれていて、興味深く感じます。登場人物たちの描き方が、本当に巧いです。まじめな先生の「やばいち」や一緒にアルバイトをする純情な「トラちゃん」など、一読したら忘れられない人たちばかり出てきます。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
どんな事にも不満たらたらの、あまりお近づきになりたくないおばあさんが、主人公の絵本です。ユダヤ人の言葉では「グヴェチ」というそうで、日本語の愚痴と似ているのが面白いです。不満ばかり言いすぎて、とうとうある日とんでもないことが起き始めます。不満が現実化するのです。例えば、足がカボチャのように重いと言うと、足はカボチャになってしまいます。子供が読んでも面白いと思うのですが、大人が読んでも身につまされる、良い絵本です。
yomineko@猫毛まみれ
2024/03/18 15:40

↑ほめ過ぎでございます~単なる語学オタクで、中二病の時は2ちゃんねらーでした(笑)とんでもないスレを立ててひろゆきさんに叱られた事もあります(笑)

新田新一
2024/03/18 17:14

ひろゆきさんに叱られたとは、すごい武勇伝ですね。それも尊敬しますよ。語学マニアは私の同じです。ただ、私の場合は英語限定です。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
美少女を見かけると、後をつけてしまう病的な癖を持った男が主人公の物語。『山の音』のようなしみじみとした詩情がある川端康成の他の作品とは、異なった雰囲気があります。それでも私は面白く読めて、文豪の凄みを感じました。確かに銀平の嗜癖は褒められたものではありません。不気味とさえ言えます。でも、どんな人間でも、多かれ少なかれこんな後ろ暗いところを持っているはず。それをみずうみという美しい情景を象徴的に使いながら、描き出すところにこの作家の天才を感じます。あまりに面白かったので、他の作品も読み返すことにしました。
毒兎真暗ミサ【副長】
2024/03/21 07:44

新田さん、おはようございます🌞伏字にしなくても良かったのですね(苦笑)佐伯一麦×小川洋子の対談で『みずうみ』が絶賛されていたので、読んでみたいと思います😊

新田新一
2024/03/21 07:52

ミサさん、有難うございます。以前その本の感想を書かれていましたね。お二人とも好きな作家なので、その対談をいつか読んでみます。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
私の好きな詩人伊藤比呂美さんが推薦している詩人だったので、読んでみました。他の日本の現代詩と同じように難しいものが多く、読みながら戸惑うことが多かったです。表題作が一番心に響きました。「ここのひとはみんなおともだち/ 海の神様にお祈りするとき/神様の顔がはっきり見える/その顔は波や泡でできていて/指差すことができない」謎めいた表現で書かれていますが、明るさとおおらかさを感じます。日本人の感性の底にあるアニミズムが、現代的に表現されていると思います。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
100ページほどの詩集で、クスリと笑える詩がぎっしり詰め込まれています。大まかに分類すると、短い詩と長い詩の2種類があります。短い詩はジョークに似ているのですが、言葉のリズムが整えられているので読んでいて心地よかったです。長い詩は絶妙なオチを持ったものが多くて、読みながら何度も笑いました。一番気に入ったのは「百獣の王」という題の長い詩です。動物の会合が開かれ、そこでライオンが私が百獣の王だ、と宣言します。でも、アヒルが自分こそが百獣の王だ、と言い返して……。たわいのないオチですが、可笑しかったです。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
社会の片隅で、息を潜めるようにして暮らした二人の兄弟を描いた長編。兄の方は小鳥のさえずりを理解できます。弟は人間の言葉とは異なった兄の言葉が分かります。優しさと切なさで胸が締め付けられる物語でした。緻密でありながら、繊細で抒情的な文体が素晴らしいです。弟がほのかな恋心を抱いている図書館司書の女性と、一度だけ二人で会う場面は美しさは心に染みました。弟の生き方は世の中の標準で言ったら、みじめなものなのかもしれません。でも、小さな命に寄り添い続けた献身は、読み手の心を揺さぶらずにはいられません。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
子宮の中の胎児と人類の進化を重ね合わせた壮大な連作詩集。作者の高岡さんは多作な詩人で、最近は句集も出版されています。現代詩の中では、分かりやすい方で、詩の中に出てくる鮮やかなイメージが、心の中に刻まれます。この詩集では題に示されている胎児のイメージが核になって、人間が本来持っている可能性が描かれていくのが、好みでした。結末の苦さが胸を抉ります。そんな可能性を持った存在であっても、狂気に満ちた現代を生き抜かなければならないのです。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
絶望に押し潰されている状態から立ち直って、希望を持つまでの状態を、詩で描いた作品です。前半はかなり暗くて、重たい内容で救いがありません。最後になると希望が見えてくるのですが、かすかな光といった感じで作者の葛藤の苦しさを感じます。父親と母親に傷つけられたことが書かれていて、真実味を感じました。親も神様ではないので、子育ての時に、子供の心に傷を負わせることがあるでしょう。自分が過去に苦しく感じたことが、詳細に描かれており、共感しながら読みました。作者の苦しい葛藤が読者の救いになるところが芸術の素晴らしさです。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
牧場に住んでいる女の子アニカは、お母さんに、牝牛の番を頼まれます。牧場の柵がこわれていたので、そこから牛が逃げ出すのを防ぐためでした。小人や犬が助けてくれて、アニカはお母さんの言い付けを守ることができました。スウェーデンの絵本です。どこか懐かしい感じのする絵が、非常に好みでした。アニカの味方をしてくれる小人たちの存在が魅力的です。ここに描かれているように、小さな子供は、大人には見えない世界とつながりを持っているのだと思います。
yomineko@猫毛まみれ
2024/03/16 06:46

おはようございます😊可愛い表紙ですね😊読みたい本に登録させて頂きました📚

新田新一
2024/03/16 07:02

yominekoさん、おはようございます。ご登録有難うございました。可愛い絵ですよね。眺めていると、心が和みます。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
アイスランドの7つの英雄譚が収録されています。ケルト神話のように幻想的な物語なのかと思ったら、地に足のついた物語でした。キリスト教が浸透し始める頃の牧歌的な社会が描かれており、読んでいるとおおらかな気持ちになります。名誉と話し合いを基調にして社会の利害関係が調整されており、ある意味で平和的です。熊を生け捕りにした男が出てくる”Audun's story"が特に面白かったです。王様に自分の財産は、これだけだと言って熊を献上します。その後彼はローマに巡礼に出かけます。男の素朴な信仰心に心を打たれました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
何度も読んでいる谷川さんの詩集。今回は、後半にまとめられている亡くなった友人たちを悼む詩が特に心に響きました。亡き人の生き方を浮かび上がらせ、亡き人への感謝の思いが情感あふれる言葉で描かれています。同じ詩人の石垣りんを追悼する詩の最後の連が芸術の本質を浮き彫りにして、胸を打たれました。作者はこの世を去っても、作者の作り出したものは、この世に残ります。これが詩を含む芸術の大きな救いです。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
私は旅行作家宮脇俊三さんの大ファンです。絵本を執筆されていたとは知らなかったので、これを図書館で見つけた時は喜びました。宮脇さんらしいお祖父さんが、お孫さんをスイスに連れて行き、そこで列車に乗るという展開です。スイスの鉄道が詳しく紹介されています。山国のスイスでは、鉄道が大切にされてきたことが分かります。生き生きとした絵が素晴らしく、まるで旅行に行った心地になりました。ぜひいつかスイスに行って、この本で紹介されている鉄道に乗ってみたいです。
yomineko@猫毛まみれ
2024/03/14 09:38

新田新一さん、おはようございます😊このシリーズ、石油も良かったです✨✨✨読みたい本に登録させて頂きました📚

新田新一
2024/03/14 09:42

yominekoさん、おはようございます。いつも有難うございます。「たくさんのふしぎ傑作集」は、本当に良いですね。面白いし、ためになります。石油のものは、読んだことがないので、図書館で探してみます。

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
20ページほどの長い詩です。”Leftover Light”という題に惹かれました。訳せば、「残り物の光」といった感じですが、味わい深いところがあります。日々の生活に追われ、心に潤いがなくなっても、胸のどこかに若いときのような瑞々しい感性が残っていることが書かれ、それが「残り物の光」ではないかと思います。平易な言葉で、自分の心象を丁寧に綴る作者の書き方に共感大でした。
新田新一
2024/03/14 17:27

ミサさん、それはもう創造的というか、芸術的な訳ですね。本質は突いており、悪くないと思います。明治の昔に上田敏などが試みていた翻訳と同じです。

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/03/14 18:49

そんな先人と同じなんて、恐れ多いですよ😨でもありがとうございます✨

が「ナイス!」と言っています。
新田新一
写真家の丹地さんの木の写真に、谷川さんの1行詩をつけたもの。本当に素晴らしい一冊で、読むたびに心を揺さぶられます。物も言わず立ち続けている木々の凛とした美しさを見ると、心が洗われ自分の背筋も伸びる気がします。谷川さんの1行詩は凝縮した表現で、木の美しさを描き出します。今回は特に「鏡をもたないから立ち姿それぞれに美しく」という詩に、強い印象を受けました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
絵本は高いので図書館で借りるのですが、この本はブックオフで110円で買うことができました。ホクホクした顔で、サンマルクカフェに行き、コーヒーを飲みながら読み始めた時に、『もりのなか』の作者だと気づきました。あの絵本とは全く違う内容で、作者の表現の多彩さに感心します。森へ行って、生き物たちと遊ぼうとした女の子の気づきが書かれています。金髪の女の子が可愛いです。この気づきは深いもので、大人が生きる上でも大切ではないかと思いました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
花を主題にした23の詩が収められています。バラやチューリップ、ラベンダーなど馴染みのある花が使われて、親しみやすい詩が多かったです。恋愛の詩が多いのですが、人生について書かれているものもあります。何といっても素晴らしいのは、ヒマワリの詩です。無数の花が咲いているひまわり畑で、一つの花は私、もう一つの花はあなた、と恋人への感謝の気持ちが書かれています。「トンネルの出口の光が遠くに見えるとき、あなたは私の光」という表現は美しいです。明るくて華やかなひまわりは大好きな花です。そんなひまわりにぴったりの詩です。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
以前久保田万太郎の句集や劇を読んで、良い作家だと思っていました。東京の下町の生活を描きながら、江戸情緒を現代に伝える作風が非常に好みです。この本は小粋な絵をふんだんに使って、久保田万太郎の一生を描いていくものです。愛人の作り過ぎで、褒められた生き方ではありません。ただ憎めないところがあり、著者の大高さんも「ダメっぷり」が面白い、と書かれています。私もダメな人間なので、久保田万太郎のことを批判できません。本書を読み、万太郎が打ち込んだ文学には、ダメな人も受け入れてくれる懐の深さがあると思いました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
内田さんらしい愉快な絵本。ひらた・おでんという変なおさむらいが、子供の傘のお化けを救います。そのお化けは、酔っ払いの武士に絡まれていたのです。傘のお化けのお礼が素晴らしいです。寒くて震えながら布団に入っていたひらた・おでんを温めてくれます。シリーズ化されているようなので、他の作品も読んでみたいです。
新田新一
2024/03/11 18:24

本当にワクワクするシリーズですね。yominekoさんが最近読まれた『なきすぎてはいけない』も好きで、また読みたいです。

yomineko@猫毛まみれ
2024/03/12 07:45

新田新一さん、おはようございます😊「なきすぎてはいけない」は本当に涙なしでは読めませんでした・・・

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新田新一
普通の人には馴染みのない薬剤師の仕事を詳しく描いた作品。給料は良いですが、仕事は大変だということがよく分かります。主人公のみどりさんが仕事に一生懸命で、患者の病気を良くしようと頑張る姿に感動します。例えば、狭心症で倒れた男性が高額な薬代のことを気にすると、ジェネリックの薬を出すようにして、彼の負担を減らすのです。長く続いている漫画は途中でやめてしまうことがあるのですが、これは読み続けてみようと思います。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
イギリスのロマン派の詩集を読みました。ブレイクやワーズワース、キーツといった日本でもよく知られている詩人たちの詩が収録されています。理性よりも感情や想像力を重視し、自然の美しさを称える詩は、日本人には親しみやすいです。他の詩集で読んだものを多かったのですが、バイロンの詩はこの本で初めて読むものが多かったです。押韻の名手で、自分の行動や感情を詩の中に巧みに織り込む書き方に痺れます。今回まとめて読んで、ロマン派の詩は物語性があり、物語としても面白いことに気づいたのは、嬉しい発見でした。
ピンガペンギン
2024/03/10 16:40

そんな楽しそうな創作系SNSがあるんですね。新田さんのレビューで知った小津夜景さんの本に「あなたの故郷は詩ですね」と言われるシーンがありました。詩が新田さんの第一の長い友人ですね。

新田新一
2024/03/10 17:03

ピンガペンギンさん、おっしゃる通りです。詩が私の友達で、これからも詩に支えられて生きると思います。

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新田新一
全国を走る新幹線の美しい写真がたくさん掲載されています。新幹線の歴史も詳細に書かれていて、これまで知らなかったことが多くあったことが分かりました。最近読んだ本の中では一番の面白さです。著者は筋金入りの鉄道マニアで、新幹線が初めて走った時も、乗車しました。この部分は、当時の熱気が鮮やかに伝わってきます。日本の経済発展のために作られた新幹線が、徐々に旅の楽しみを叶えるものに変化する歴史は興味深いです。食堂車の写真が載っていて、初めて利用したときの楽しさが、よみがえってきました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
この詩集は、暗いトーンの詩で始まります。1番目の詩では、恋の終わりが表現されています。そんな感じの詩が続くのですが、少しずつ雰囲気が変わり、後半になると詩の中に光が差し込むことが多くなり、最後の詩では「君のそばで会おう」と力強く結ばれています。恋愛は楽しいことばかりではありません。嫌なこと、傷つけられることも多くあります。そうであっても、誰かを大切に思う気持ちは、人の心を広げて、強くするものです。銀色さんの恋愛賛歌に今回も心を打たれました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
作者による万華鏡の写真が多く載っていて、本当に奇麗です。華やかで繊細で、ちょっと寂しげなところもあって、銀色さんの詩にそっくり。詩のほうは、心の揺らぎを率直に描いているところに、惹きつけられます。肯定的なことだけではなく、否定的なことも書かれているので、かえって真実味を感じました。明と暗で揺れ動くところが、銀色さんらしいです。読者も自分の心を詩の内容に重ねられます。104ページから105ページの詩が一番好きです。多くの人がいて、みんな違っていて、だからあなたが好きというのは、理想の恋だと思いました。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
日本の和歌は本当に良いです。何度読んでも感動するし、心が洗われます。日々の生活で干からびてしまった心が、一つ一つの和歌を読むことで、潤いを取り戻すのを感じました。和歌の定型のリズムが好きなので、一つ一つ音読しながら読みました。五七五七七のリズムは古臭いのかもしれませんが、日本人の心に良く馴染みます。日本人の感性に刻まれたリズムなのかもしれません。人生のはかなさ、苦しさを読んだものが多い雑歌の部分に特に惹かれました。「かくばかり憂きを忍びて長らへばこれよりまさる物もこそ思へ」(和泉式部)
新田新一
2024/03/05 17:18

そんな苦労をされたのですね。学校の先生にもとんでもない人がいます。悔しさをばねにするのは、良い方法ですね。私にもそんなところがあります。カタカナの速読は私も苦手で、本に出てくると苦労します。yominekoさんは、本当の意味での読書家で、本で得たものを人生に生かされていると思います。その点は本当に見習いたいです。

yomineko@猫毛まみれ
2024/03/05 17:43

ありがとうございます😊しかも「美」は母親の名前の中に入っているので「それも書けないのか?」と言われて物凄く傷つきましたよ。カタカナ、新田様も速読が難しいんですね!カタカナが沢山出て来るので「坂の上の雲」は第六巻辺りで止めました(笑)途中でスッパリ諦める癖もありますよ(笑)

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新田新一
安部公房の遺作。主人公の男は飛ぶ男を目撃して、悪夢めいた世界に迷い込みます。飛ぶ男は、彼の部屋に飛び込んできて、彼の弟であることを主張します。空を飛ぶ男の描写が魅力的。現実の世界を突き破って、幻想の世界に誘い込まれる心地です。空を飛ぶことは自由に移動できることであり、人間の心と外の世界の境界を曖昧にすることでもあります。結末はメモのような内容で、読み手自身が物語の続きを想像しなければなりません。残念と言えるのですが、その開かれた構造が、かえって安部公房の文学の魅力を際立たせています。
えか
2024/03/05 17:17

初期短編集は、ハードカバーで持っているものと、同じかも知れません。確かに文庫本は、今、売っているものを読みたくなりました。内容を確かめたいし、何よりも解説を読みたい。そういえば、昔のハードカバー版には短編も載っていたような気がします。文庫本にもあるのかな。

新田新一
2024/03/05 18:19

確かに解説が良かったです。有名な生物学者の福岡伸一さんです。短編も載っています。「さまざまな父」です。『飛ぶ男』と関係のある内容で、こちらも面白かったです。

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新田新一
食いしん坊で、無邪気な虎のトラゴロウが活躍する童話です。普通の童話とは雰囲気が違っています。トラゴロウは、なんでもぱくりと食べてしまいます。気に食わないものも食べます。このハチャメチャぶりが、痛快です。8話収録されていて、最後のお話が一番面白かったです。トラゴロウが二匹出てきて、どちらが本物なのかと頭がこんがらがってしまいます。生き生きとしてユーモアのある井上洋介のイラストが大変好みでした。
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新田新一
昭和を代表する歌人の一人、木俣修の第十四歌集。端正できめ細かな言葉で表現された七百五十四首収められています。私は短歌が好きで、万葉集の頃の和歌から現代短歌までいろいろな作品を読みます。本書のように短歌をまとめて読むと、この表現形式の素晴らしさをしみじみと実感しました。一人の人間が感じる喜怒哀楽が、心の深みに届きます。届くことで自分の心の一部が変わって、瑞々しくなるのを感じまました。最後に自分の特に好きな歌を紹介します。「かがやかに額にとどまるものならね光もとめつつ生き遂げんかな」
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新田新一
強力な媚薬を作った男をめぐるサスペンス。性とお金という人間の強力な欲望が赤裸々に描かれて、興味が尽きません。この巻では、これまで弱気だった主人公が、悪党どもに一泡吹かせることを考え始めるので、痛快です。孤立無援だった主人公にも仲間ができるので、彼の巻き返しも可能になるのかも。長く続くコミックの場合、私は途中で飽きて読まなくなることもあるのですが、この作品には、最後まで読みたいと思わせる面白さがあります。
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新田新一
横浜のはずれに清水谷と呼ばれる場所があります。動物の屠殺場があるところです。そこに転がり込んできた朝鮮人の夫妻の子供キンサンと、屠殺場の子供たちの交流を描いた児童文学。戦時中の物語で、軍隊の過酷さが描かれています。キンサンはこれで日本人になれると思い、喜んで軍隊に入ったのですが、差別を受けて脱走。今の時代では、あまり好まれそうにない重たい主題を描いた児童文学の傑作です。子供たちの純粋な心と、国籍を超えた心の通い合いが胸を打ちます。どんな時でも人の心を信じる素晴らしさが描かれており、清々しい読後感でした。
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新田新一
景色や人物、動物などの美しい写真と、写真家の方々が大事にしている言葉を一つにまとめた一冊。このシリーズは非常に気に入って、時々読み返しています。この本では、最後のほうに載っている夕焼けの写真が素晴らしかったです。夕焼けの茜色が心を癒してくれます。心に刻みたくなる言葉がたくさん書かれているのですが、一番印象に残ったのは、岡本太郎の「いいかい、怖かったら怖いほど、逆にそこに飛び込むんだ。やってごらん」(46ページ)。勇気をもらえる言葉でした。
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新田新一
夜回り先生こと水谷修さんが、命の大切さを訴えます。きれいな写真が添えられていて、本の内容を引き立ています。水谷さんの笑顔の写真が良くて、心に染みる温かさを感じました。94ページに書かれているエピソードが印象的。夜間友達と公園でたむろしていたら、男性が近づいてきて、声をかけた。うるさいと思い、押し倒して眼鏡を踏みつぶしてやった。それでも男性は話しかけてきた。この男性は水谷さんのことです。その後少年は立ち直って、普通の生活をするようになりました。水谷さんの優しい目が忘れられなかったそうです。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
漫画が好きで、「このマンガがすごい」の発表を楽しみにしています。本作は2024年のオンナ編の3位です。学年で一番の美形で女子に人気の熱海くんが主人公の物語。彼は女性よりも男性が好きで、惚れっぽいところがあります。繊細で淡々とした描き方が非常に好みでした。同性愛は特殊なことではなく、この社会に普通に存在しているという作者の考え方に基づいているのかも。告白して振られた後も仲良しを続ける足立君との関係にほろりとしました。足立君の家族も熱海くんを受け入れてくれます。こんな自然で温かい人間関係が広まってほしいです。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
川柳作家として有名な時実新子さんが、70歳の時に発表した句集。何度も読んでいるのですが、読むたびに心を揺さぶられます。川柳というと笑えるイメージがあるのですが、この句集の作品は笑いよりも、ほろ苦さや凄みを感じるものが多いです。「私私私ドア蹴るなだれ込む」どんな状況かわからないのですが、男女の修羅場を想像します。「ぽつねんと花見る猫のいい姿」情景がパッと頭に浮かぶ良い句。「私飛ぶおもしろがって亀も飛ぶ」このシュールさが、たまりません。「罌粟咲かせどんな事にも驚かぬ」これが最後の句で締めくくりにぴったりです。
が「ナイス!」と言っています。
新田新一
ケストナーの傑作戯曲!暗殺された大統領の替え玉を作り出す学校があるという設定が、絶妙です。しかも、その学校には何人もの替え玉がいます。よく見ると一人一人の容姿に違いがあるのですが、パッと見ただけでは分かりません。彼らは取り巻きの権力維持のために利用されます。荒唐無稽な設定に思えますが、実際のところ現代の大統領も、これと似たところがあると思います。特に某大国の大統領とか。飛び切り苦い結末が心に刺さります。ここに作者の一抹の希望が託されている、と思いたいです。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/05/25(1828日経過)
記録初日
2023/06/01(360日経過)
読んだ本
602冊(1日平均1.67冊)
読んだページ
92224ページ(1日平均256ページ)
感想・レビュー
602件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
自己紹介

日本と海外の古典文学、SFとミステリー、漫画、児童書が好きです。どんな本でも丁寧に読んで、自分の言葉で感じたことを書いていきたいと思っています。よろしくお願いします。

好きな本10冊

夏目漱石 『道草』
三島由紀夫 『午後の曳航』
山本周五郎 『さぶ』

ジョナサン・スウィフト 『ガリバー旅行記』
グレアム・グリーン 『情事の終わり』
J・D・サリンジャー 『ライ麦畑でつかまえて』

レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』
フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るのか?』

チェーホフ 『桜の園』
シェークスピア 『ソネット集』

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