読書メーター KADOKAWA Group

2024年8月の読書メーターまとめ

しょう
読んだ本
58
読んだページ
19754ページ
感想・レビュー
56
ナイス
2667ナイス

2024年8月に読んだ本
58

2024年8月のお気に入り登録
3

  • ポルコ
  • ねこラジ
  • フリウリ

2024年8月のお気に入られ登録
4

  • たくぴー
  • ポルコ
  • ねこラジ
  • フリウリ

2024年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

しょう
ネタバレ元中学生教師の鈴木は妻をひき逃げした男が経営する会社に入り、機会をうかがうもチャンスは訪れないままに「押し屋」と呼ばれる殺し屋が社長を轢いてしまい、推し屋の正体を追うことに。一方で相手を自殺させ宇能力を持つ「鯨」やナイフ使いの殺し屋「蝉」もそれぞれの思惑を胸に推し屋を追う。登場人物の心理描写はなかなか巧みだが、人物の掘り下げがやや甘いので少々物足りない。ストーリーも割と想定を超えてこないので驚きも少ない。ラストについては賛否ありそうだが、自分は特に思うことはなかった。気が向いたら次作も読んでみたい。
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2024年8月にナイスが最も多かったつぶやき

しょう

8月のベストは特になし。今回のお盆期間はどれだけ読めるだろうか。 2024年7月の読書メーター 読んだ本の数:52冊 読んだページ数:16268ページ ナイス数:2717ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/481310/summary/monthly/2024/7

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2024年8月の感想・レビュー一覧
56

しょう
ネタバレ画家だった母の恭子を失った千夏と、アルコール依存症だった雅尚を失った母の友人である芽衣子とブラジルへ旅に出る。お互い大切な人を失った大きな喪失感を抱えつつ、人として、女として様々な問題を背負って生きていく大変さが伝わってくるようだった。雄大でどこか荒々しい風景のブラジルを歩む中で改めて自分の歩んできた道を見つめなおし、自分の人生を歩んでいく逞しさを感じた。
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しょう
ネタバレ妻殺しの容疑により死刑を一週間後に控えた男が、残された時間で真相に迫っていく中で探偵のクレーンの助力も得て奮闘する。しかしながら真相に迫れる有力な証拠や重要人物はことごとく潰され真相解明の厳しさを思い知らされることとなる。探偵のクレーンも酔いどれと呼ばれるほどには酒にだらしがなく、当初こそ頼りない感じだが、地道に足を使って大きな謎に挑んでいく。この手の類いの作品では「幻の女」より先んじており、面白さという点では甲乙つけがたいが、登場人物に着目してみれば本作の方が魅力的である。
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しょう
ネタバレ外惑星連合軍と航空宇宙軍の争いは更に激しさを増していく。外惑星連合軍が劣勢を挽回すべく投入した巡洋艦サラマンダー。この判断が功を奏したのか初陣には勝利するも、トラブルが発生。一方航空宇宙軍ではサラマンダー撃破のために根岸少将が船体を指揮し追跡を開始する。どちらも万全の状態とは言い難く、残存戦力で何とか踏ん張っている印象を受け、他作品のハードSFとは一線を画すシビアで厳しい内容となっている。派手なシーンはほぼほぼないが、じりじりとした緊迫感のあるやり取りもまた読みごたえがある。
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しょう
ネタバレチェーホフが20代の時に執筆した短編集で、その数は65編にも及ぶ。2ページ~10数ページと非常に短い作品群となっている。示唆に富んだような話はあまりなかったが、一方でコミカルで風刺のきいた短編が非常に多く、比較的ユーモアに寄っており、逆にシリアスな物語もあまりない。流石に全ての短編を味わうには至らなかったが、チェーホフならではのユーモアを堪能することは出来た。個人的ベストは「女性法律顧問」。
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しょう
ネタバレシリーズ一作目。北町奉行所臨時廻りの白縫半兵衛が人情味あふれる裁きを下していく短編集。通すべき筋は通しつつも時として事情を知りつつも「世の中には知らん顔した方が良いことがある」とばかりに多くを語らない半兵衛の男気が垣間見れる。短編で語られる話はいずれも辛い境遇に追いやられている人をフォーカスしており、半兵衛がそういった人たちに光を当てているようだ。またミステリーっぽい捻りもあってそういう意味での読みごたえも感じる。どこか飄々としている半兵衛だが今の所中々の好人物。次作にも期待したい。
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しょう
ネタバレシリーズ3作目。登場人物達が侃々諤々と議論をするさまはそれなりに面白いのだが、ミリタリーSFである以上はあまりにも会話文が多いと作品の持つダイナミズムや臨場感が些か失われているのでは、と感じる。そもそも議論>アクションシーンな作品もいかがなものか。裏表紙に「完結編」とあるが、ラストの締め方をみるにどうやら続編があるらしい。しかし、ここまで読んできていずれも微妙だったので次作読むか迷うところだ。
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しょう
ネタバレシリーズ三作目は連作短編集。他界した弁護士からクライアントを引き継ぎ、法律事務所で働く傍ら時間の空いている深夜等にあまり金にならない一般民事の相談に乗る羽目になる麗子。これまでのシリーズと比較するとややおとなしめの印象を受ける麗子だが、文句を言いながらも何だかんだで弁護士としての職務を果たし、面倒見のいいところを見せる場面は麗子らしい。最初の依頼人である黒丑は全編に登場し、キーパーソンっぽいムーブだったので意外性はないが、このシリーズのキャラは相変わらず個性的で面白い。次作にも期待したい。
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しょう
ネタバレアーサー王シリーズ三作目。騎士とは言え善人揃いという訳でもなく、むしろ人間臭さがこれまでのシリーズ以上に全面に出てきていたような感じを受ける。あれほどに栄えたブリテン島や円卓の騎士たちの時代にも次第に暗闇が差し込むこととなる。期せずして円卓の騎士に収まったアーサーの息子モルドレッドもまた己の矜持を胸に暗躍する。すべてに賛同できるムーブではないにしろ、これまでの過去を考えるとやはりいくばくかの同情はしてしまう。己を貫くが故の破滅も想定内だが、やはり寂しさを感じる。
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しょう
ネタバレ30歳を目前にして恋人もなく独身で何となく満たされない生活を送っていた千鶴だったが、ひょんな事から隣人で美容師の亮子と知り合う。同い年ながら自分より容姿や収入が下である事にある種の高揚感を抱くのも人としてどうかという感じでがする。こんな感じで友人付き合いが上手くいくはずもなく、最初は小さかった歪がどうしようもなく大きくなっていく。結局マウントを取った相手がサイコパスという事で亮子を擁護するわけではないが、千鶴や吉川のろくでなしっぷりが目につき、自業自得ではという気がした。→
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しょう
ネタバレシリーズ一作目。これまでの実績が評価されて駆逐艦のカンバーランドに就任した少佐のロビショー。装備そのものは上等であるにもかかわらず、前艦長が上に立つものとしてかなり無能だったらしく、乗組員の練度やモチベーションも低いありさまだった。前途多難なスタートとなったが、この難題にしっかり取り組み艦内の改革を成し遂げる。ロビショー自身がかなり有能に描かれているので分かりやすくていいが、本作においては失敗や挫折もなく上手くいっているのでやや物足りない。女性がおらず恋愛沙汰もない作品はかなり新鮮だった。
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しょう
ネタバレ表向きは仲良し三人組の女子高生の中に問題児の美雲が入ってきた事で起こる化学変化が割と細やか。それぞれの登場人物もキャラの書き分けは良くできており差別化は完璧になされている印象。有騎が罪悪感を抱えた末に廃園の館に足を運ぶあたりは雰囲気が出てていい。ある意味ゴシック小説として読む分にはよかったかもしれないが、ミステリーとして考えたときに理詰めで論理的な考察をしているわけではなく、大部分が推測・推論で読んでいて納得出来るものではなくもやもやしてしまう。またあまりに現実味のないセリフも散見される始末で色々と残念。
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しょう
ネタバレアボリジニーを祖先に持つ著者による植民地初期のオーストラリアの知られざる歴史がヌンガルの少年ボビーを軸に、ヨーロッパより新しくやってきた人々との出会いや共存が語られている。そのまま共存共栄となれば一番いいのかもしれないが、そうは上手くいかなかったようで徐々に軋轢が生じ始め、入植者達は先住民たちを排斥していく。大自然の風光明媚な描写や自然と共に逞しく生きる人々と共に悲しい現実がそこにはあった。
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しょう
ネタバレ夫亡き後も長崎の離島に一人で住む認知症の祖母と孫の稔の語りによって綴られる物語。作中二人に流れる時間軸はそれぞれ異なり、それぞれの語りに特段何かがあるという訳ではないが、一言で言うと「ままならない」状況であるという点では一致しており一貫して仄暗い雰囲気が漂っている。特に祖母の佐恵子の入り組んだ迷路に入り込んでしまったような落ち着きもまとまりもない思考が不気味な程にリアリティがある。
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しょう
ネタバレ元中学生教師の鈴木は妻をひき逃げした男が経営する会社に入り、機会をうかがうもチャンスは訪れないままに「押し屋」と呼ばれる殺し屋が社長を轢いてしまい、推し屋の正体を追うことに。一方で相手を自殺させ宇能力を持つ「鯨」やナイフ使いの殺し屋「蝉」もそれぞれの思惑を胸に推し屋を追う。登場人物の心理描写はなかなか巧みだが、人物の掘り下げがやや甘いので少々物足りない。ストーリーも割と想定を超えてこないので驚きも少ない。ラストについては賛否ありそうだが、自分は特に思うことはなかった。気が向いたら次作も読んでみたい。
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しょう
ネタバレノーベル賞作家による、オスマン帝国時代に作られた橋をフォーカスした歴史小説。小説になるだけあって、ドリナの橋は建築段階から多くの人間が関わっていき、幾多のドラマが生まれていく。国境に面しているという理由によりどことなく緊迫感も漂っている。まるで定点観測したかのようなリアリティある精緻な描写で当時の人々の生き様を橋と共に見てきたかのような錯覚に陥る。そこに橋があるが故に多くの悲喜劇が生まれ、歴史を形作っていたかと考えると感慨深いものがあった。
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しょう
ネタバレ通っていた高校でいじめにあい家に引きこもるようになった美緒。しかし家では自身に無関心な様子な父と傷ついた娘に投稿を強要する厭味ったらしい母と、大きな歪みがある。かてて加えて祖父母のくれた赤いショールを巡って母と衝突し、反発心から祖父の住む盛岡へ。祖父の無骨な優しさと祖父が生業としているホームスパンの魅力に触れ、優しい職人とと共に働く。居場所を見つけた美緒だが、東京では離婚寸前の父母との距離は相変わらず大きく何とも言えない気持ちにさせられる。どこまでいっても祖父の言葉が優しく響く物語だった。
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しょう
ネタバレCIAで通称シスターズと呼ばれるキャロルとフランシスが画策する、ソ連をも巻き込んだ大作戦が幕を開ける。肝となるのはスリーパーと呼ばれる者の存在で、スリーパーを「起こす」ために師匠のチューロフに目を付ける。本作で言及されている作戦はアメリカの歴史を語る上で外せない重大事件となっている。それぞれの登場人物の思惑が交差する水面下のやり取りはまずまずだが、この手の作品にしてはさほどの緊迫感もなく気が抜けてしまう。登場人物のキャラ設定はまずまずで面白かっただけに残念。
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しょう
ネタバレ全人類が住居内のみでの生活を可能とするバイオスフィアⅢ型建築。現代では社会問題となっている「引きこもり」の最終形態が本作のような状態と考えると興味深いものがある。そんな完全な建造物に居住していても問題は発生するたしく、バイオスフィアを管理する不動産に勤務するアレイとユキオが住民のクレームに対処していく。やはり人の欲とそれに付随する不満はとめどなく溢れるようで社員の二人が苦慮する様子が伺える。舞台設定としてはかなり面白いのに肝心のバイオスフィアⅢ型建築の深堀がかなり甘く、その分読みごたえに欠けてしまった。
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しょう
ネタバレ諸般の事情により、スイスはジュネーブの湖畔にあるホテルにやってきた女流作家のイーディス。愛人のデイヴィッドへの手紙を書き綴りながらもホテルで思いがけずして出会った良くも悪くも個性的な人々の感性に触れ、これまで歩いてきた道を振り返りつつも、孤独の中でこれからの未来どう進むかが考察されている。ネヴィルにプロポーズされるという出来事はあるが、本作では一貫して静かでさざ波も立たない。あくまで静かに懊悩し、自身と向き合っているように感じた。
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しょう
ネタバレ日本の損害保険会社が買収したアメリカはテキサスにある子会社のTCIがここ数年赤字続きとなっており、その原因を探るべく調査の名目で一路テキサスへ飛んだ滝田。現地の社員にはあまり歓迎されない中で、調査を進める滝田はTCI社長のギルの裏を探っていく。著者の経験が下敷きになっているだけあってリアリティは圧倒的で、やや難しめではある。一方で経済小説としての迫力やテンポはしっかり抑えておりリーダビリティもある。あまりすっきりしない幕引きではあったがまずまず。
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しょう
ネタバレ通称「殺人アパート」と呼ばれている加賀美荘では貧困層のシニアが一人は行ったら一人消えると言われており、いわゆる悪徳貧困ビジネスが横行。事件性も視野に入れて操作するお馴染みのコンビだが、掘れば掘るほどに深い闇が明らかとなる。そもそもの筆致が軽快でエンタメ寄りなのであまり気にはならないが、テーマとしてはかなり重くそういった意味では前二作と趣を異にしている。被害者の悲壮感があまり伝わってこず、現実味に乏しかったのが残念。
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しょう
ネタバレシリーズ1作目。ニューヨークのハーレムを舞台に、「墓堀りジョーンズ」と「棺桶エド」のワイルドなコンビが犯罪を追う。現代こそ洗練されているハーレムもこの当時は世界恐慌とWW2の影響からか不景気から抜け出せてはおらず、様々な安西の温床となっている。本作においてもハーレムの治安の悪さはしっかり出ており、エドに至っては硫酸をかけられる被害を受ける始末だ。他では黒人コンビでありながら人種差別にはあまり言及していないのが意外だった。
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しょう
ネタバレ表題作を含む15編の短編集。それもド直球の物語ではなく、変化球的な内容だがいきなり非日常から始まるものや、日常から徐々に非日常へとスライドしていくような内容が盛りだくさんで、それがシュールでもあり不気味でもある。本作を包み込むかのような不穏さを感じつつも見方によってはホラーでもあり、ファンタジーとも言えそうな物語を堪能した。短編ごとに異なった色味をしっかり見せつけられた感じだ。
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しょう
ネタバレ学園祭を翌日に控えた夜に職員室で残業している教員が次々と殺される事件が発生。死体の状況が最近学校裏の神社で殺された猫を連想させるもので校内にいるかもしれない殺人犯におびえる教員パートと、猫殺しを調べる生徒達とのパート双方から事件を見ていく。テーマは非常にいいが、全く推敲出来ていないのか、そもそもの文章力が足りていないのか、物語に全くまとまりがなく、一つ一つの現象や出来事に対しての説明が不足しており非常に理解しにくい。ホラーとしてもミステリーとしても半端な作品だった。
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しょう
ネタバレシモンとアデリアの地道な活躍により、真犯人へと着実に迫っていく中で当然のことながら危険な目にも合わされる。こういった展開のミステリーは結構多いのでどう落とすのかと期待したが、終盤の方からは特にアデリアのロマンスの秒者が格段に増え、方向転換でのしたのかと思ってしまった。また最後までシモンとアデリアのコンビでスパッと真犯人を導き出すのかと思いきや犯人は早々に退場してしまい、ヘンリー二世の全て美味しいところを持って行ったように見え、唐突にエンタメに寄せた感はある。
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しょう
ネタバレ12世紀のイングランドが舞台。子供が相次いで残忍な手口で殺される事件が発生され、事態を重く見た国王のヘンリー二世はシチリアから調査官のシモンと女医のアデリアを招聘し、事件解決の任に当たらせる。時代背景を考えると、女医であるアデリアの立場はかなり難しく、当時の英国国民には受け入れがたいキャラだったと推察されるが、そんな事はお構いなしに事件の捜査にあたる。当時の歴史背景はかなり細やかで、ミステリー抜きにしても十分に楽しめる内容となっている。以下【下】へ。
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しょう
ネタバレ臨時総督のユレイン三世による弾圧は日に日に過激さを増し、謎の疫病の感染源として判明したイサリをも奪われる。加えてユレイン三世が移民船で別の星に逃げるというううわさまで飛びかう。とうとうこの弾圧に耐えかねた民達が政府軍との全面戦争に突入する。進行がゆっくりだったのが嘘のような途轍もない展開に驚かされる。民衆の苦労が実って革命が成功という王道的展開を予想したが、いくらなんでもこの幕引きは全く予想がつかない。たしかにこれは「ちょ、おいィ!?」と叫びたくもなる。次作にも期待したい。
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しょう
ネタバレシリーズ一作目。植民星のメニー・メニー・シープが300周年を迎えようとしているが、臨時総督のユレイン三世が不当に弾圧を加えていく等統治機構や政治体制が腐敗しつつある。この惨状に大してメニー・メニー・シープの未来を憂える者や、未開拓地へと脱出を図る者等多くの登場人物の視点からメニー・メニー・シープの現状が語られる。謎の疫病が蔓延している件で医師のカドムはアクリラから要請を受ける。多少の動きはあるものの、一作目という事でまだまだ進行はゆっくり目。以下【下】へ。
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しょう
ネタバレあらゆる面において微に入り細に入った描写は【下】でも健在。精緻と言ってしまえば聞こえはいいが本作においてはここからある程度のスリム化は必要だったのではないかと思わせる内容だった。一方で精緻な描写にもかかわらず何人かの登場人物の扱いが些か雑で登場人物が非常に多い本作ではかなり重要なポイントだっただけに思わず首をひねってしまう。マリーの語りについても事実・嘘の区別もなしに好き勝手に語っているようで正直ついていけなかった。
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しょう
ネタバレ児童養護院の一室で取られた写真と養子縁組申請書がデンマーク国務省に届いたことから端を発した児童養護院に隠された謎。時代や視点が頻繁に変わっていく中で様々な謎が提示され、それに関係すると思われる事件も発生するものの全容はおろか、部分的な進展さえおぼつかないありさまで非常にゆっくりとした進行となっている。着地点も全く分からないままだが、以下【下】へ。
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しょう
ネタバレ世の中が刻々と変化し、戦乱の真っただ中にあってもおごうはまさしく泰然自若といった感じで決して変わる事はなかった。通して読んでみてもおごうの詳しい人となりなどは分からずじまいではあったが、長女・次女とは異なり影が薄いままで物語が終わってしまったのは些か残念な所だ。もっと言えばおごうの周りの人々の方がキャラクターとして立っており魅力的に映る。正直なところ物足りないが、ここまで主人公の影が薄い作品も読んだことがないのでそういう意味では新鮮だった。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレ本作の主人公は信長の妹・お市の三女であるおごう。姉二人の性格が些か荒いのに対して平々凡々として物静かな性格のおごうだったが、14歳のある日に突如として佐治一成との成婚が知らされ運命が大きく動き出す。作中でもおごうが快活に言葉を発する場面はなく、未だ捉えどころもなく何を考えているのか分かりかねる。一方で自身の置かれた立場も把握しているようで、嵐の前の静けさの感がある。以下【下】へ。
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しょう
ネタバレスターウルフ・シリーズ3作目。本作は「望郷」という事で自身を狙うスターウルフが生息する生まれ故郷のヴァルナへ。あまり触れられてこなかったケインの過去も明らかとなっていき、さらに物語が面白くなってくる予感がある。ケイントディルロのコンビは相変わらずやり取りも軽妙で面白く、危機の最中であってもそれは同様でさながらハードボイルドのようだ。ケイン以外のスターウルフも登場し、ボリュームも増した感はあるが、著者の他界によりこれがシリーズ最終作となったのが残念でならない。
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しょう
ネタバレ大正時代を舞台とした七編の連作短編集。画家の井口と泥棒の蓮野が探偵役となって様々な事件を解決していく。ある意味異色とも思える組み合わせだが、やや振り回され体質の井口とつかみどころのない飄々とした感じの蓮野のコンビが存外はまっていてやり取りも面白い。それぞれの短編がどれも長編に出来そうなほどに中々に複雑でクオリティが高く、大正時代という舞台設定を存分に生かした物語となっていて非常に良くできている。ミステリとしては全体的にやや平坦な感じもあるがまずまず。
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しょう
ネタバレ同居人のクロードと些細な事から喧嘩した挙句仲違いし、アパート追放の危機に直面するハリエット。そんな状況下で、自信を鼓舞しているのか守っているのか、とにかく罵詈雑言の嵐が吹き荒れている。知人友人に対しても罵詈雑言+舌先三寸で容赦なく悪意を振りまいており、ひと目には完全に迷走しているようにも感じる。手透徹日そんな感じなので読者は暴れまわるハリエットを眉をひそめながらも眺めるより他ない。弱さを見せないがための言動と思うが、かえって弱さをさらけ出してしまっているのは皮肉だ。
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しょう
ネタバレ恋人にこっぴどくフラれ、心身ともに疲弊し失意の底に堕ちてしまった40女のさみ子。しかし「捨てる神あれば…」とばかりに同じアパートに住む人達や、編み物教室の生徒との交流を経てゆっくりと、しかし着実に人としての、女としての自信を取り戻し「再生」していく様子が描かれている。それこそ編み物のように丁寧に描かれているが、一方で本作では基本的に善人しか登場しない。本作特有の柔らかい雰囲気を貫きたかったのかもしれないが、本来なら善人とは程遠い位置の人物までいいように描かれているのはやや違和感を感じた。
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しょう
ネタバレシリーズ二作目。多くの小説家の執筆に協力をしていたミステリー好きの老婦人ペギーが心臓発作により死亡。しかしこれに不信を抱いた介護士のナタルカはエドウィンやベネディクトと共にハービンターの助力を得ながら調べることに。素人探偵三人による捜査なので比較的のんびりした展開だが、何かが起こるかもしれないと、やはりハラハラさせられる。事件の関係者と思しき人物が多く少々理解に難儀したが、ストーリーテリングはまずまずで前作以上の感がある。ハービンターのキャラも多少深掘りされ面白い人物造形に。次作も期待したい。
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しょう
ネタバレ表題作を含む7編の短編集。そもそも表題作からしてぶっ飛んでいるのである意味気を引き締めて読んだが、恐らくは昨今ここまでぶっ飛んだ作品はジャンル問わずないのではないか。そう思わせるほどにとんでもない内容の作品集となっている。官能小説かと思う程性的描写は多く、いい意味で馬鹿馬鹿しくエロコメディと言っても差し支えない。賛否が分かれそうなほどに尖った作品集ではあるが、少なくとも私はこの作品を楽しめる感性であるらしい。
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ネタバレ無職のみでありながら、亡き父の印税で悠々自適な生活を送っている中年のウィル。シングルマザーと関係を持つことに味を占めたウィルはシングルペアレンツの会に邪な気持ちを抱えて乗り込む。そこで出会ったのが母が原因で学校に馴染めずにいたマーカス。あまりいい経緯の出会いではないものの、世間一般からちょっと外れた者同士が否応なしに騒動に巻き込まれていく様が可笑しい。だめにんげんだったウィルにも意外な一面があったり、ルーカスは年齢不相応な洞察力があったりで何とかなってしまってるのが面白かった。
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ネタバレ従業員全員が女性で占めているデンタルオフィスを舞台に美人歯科医のこの葉が歯科衛生士の彩女と共に身の回りで発生した事件を首を突っ込み、解決していくお話。舞台やキャラ設定からしてかなえいエンタメに寄せている感はあり、症例Aを読んだ限りでもライトなミステリーという印象だったが、読み進めるに従って話が綺麗に繋がっていき、段々しっかりした内容のサスペンスになっていたから少々面食らった。続編がないらしいのが残念。
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ネタバレシリーズ6作目。セダンの窓からのぞいたライフルで頭が吹っ飛ばされて殺されたクレイマー。プロの脅迫者だった彼が何のネタをもとに誰を脅迫していたかを探るも脅迫の被害者が現れる様子はなく、例の如く捜査は難航。今作の主人公は前作で大きなやらかしをしたコットンとキャレラのコンビ。じわっと真相に迫る捜査パートも見どころだろうが、それ以上にコットンのモテっぷりが凄く、何人もの女性と関係を持ってしまうあたり苦笑するしかない。シリーズの中では割と軽快でミステリーとしても面白かった。
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ネタバレ芸術棟にフルートを吹く幽霊が出るという噂が広まり、部員が練習に来なくなってしまったため、幽霊騒動を何とか収めようとし芸術棟に足を運んだ葉山と伊吹。個性的なキャラが揃う中、主人公の葉山が一番あくのないキャラなのが他のキャラと対比すると面白く感じる。不穏な展開もあるにはあるが、一貫して軽快で気軽にミステリーを楽しむ分には十分である。次作にも期待したい。
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しょう
ネタバレハロウィーンを舞台とした若干ホラー色のあるファンタジー作品。ブラッドベリ独特の言い回しや比喩表現はやや難しいものがあるが、それも含めてカーニバルでのどこかおどろおどろしく、幻想的な物語世界が広がっている。単にカーニバルといっても普通のそれではなく、回転木馬や迷路等不気味ではあるが、一方で心惹かれるガジェットも満載。そしてまだ幼いジムとウィルの好奇心故の冒険譚は非常に読みごたえがある。氏の作品にしては読みやすかった。
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しょう
ネタバレ大阪から上京し劇団を立ち上げた永田と大学生の沙希。それぞれ大きな夢を抱いているという共通点からか程なくして距離を縮めていく二人。この時点ではお互いが幾多の試練や苦難の末にきずなが深まるという有り体な展開を想像したが、ふたを開けてみれば惚れた女に寄生しているだけのクズ男の日常という想定をはるかに下回る内容で、劇団が一向に上手くいかない煩悶を抱えていることを差し引いても受け入れがたい人物造形だった。様々な苦労や不安を抱いて生きている沙希と違い、劇団への熱量が凄いだけの永田との差は大きい。→
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ネタバレ世界大戦の余波により8つの巨大国家が誕生し、それぞれの国家で覇権をかけて植民地惑星の制圧争いが日常的に勃発している近未来が舞台。そんな世界において海兵隊に入隊したエリックが幾多の戦闘を潜り抜けてひとかどの軍人としてのし上がり、成長していく姿が描かれている。ミリタリーSFとしてはよくある出だしと展開だが、戦闘シーンが多いにもかかわらず、妙に説明的でこの手の作品には必要な緊張感や緊迫感もなく、読みごたえに欠ける。加えてどこを取っても深掘りの甘さが目立つ始末だ。読みやすさだけは評価して一応次作にも期待したい。
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ネタバレ捨て子だった母と先住民の父との間に生まれたエバ。「生命」の意味を持つ名をもったエバが一ケ所に留まらずにあちらこちらを転々としながらも、良くも悪くも強い個性を持った多くの人々との出会いを経て様々な経験をしていく。政治不安が強く残る国においてエバのバイタリティは半端なものではなく、生誕時より決して恵まれた環境ではなかったにもかかわらず、女性としての愛を学ぶだけではなくその国に生きるものとして革命に関与するまでになる。ラテンアメリカらしく熱量の凄い作品だった。
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ネタバレ母から父方の祖父が他界したと電話が入り、葬儀会場へと向かった大学生のりん。故人を悼む気持ちは当然あったようだが、相続の事となるとまた話は違う。真壁家も例外ではなく他界した祖父の気持ちはさて置いて揉めに揉める。加えて突然現れた青年が「隠し子」と名乗ったことで更に収集困難に陥っていく。現金な人が多いせいでより自身に有利な相続にしようと、これでもかと人間の欲の深さを見せつけられる。そもそも孫にあたるりんが何故場を仕切ろうとするのかの疑問は解消できなかったが、まずまずの内容だった。
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しょう
ネタバレ時空大戦シリーズ三作目。敵対する異星人は単一のものとは限らなかったようで、本作では数多くの異星生物が登場し、しっちゃかめっちゃかな状態になる。本作でもシャイローの幻視を活かして敵基地に赴くも元々の宿敵がぼこぼこにされている所へ遭遇し、さらに強大な敵の予感を感じさせる。しかしながら人類側が全滅する程とは思わずこれはこれで驚かされた。どうつなげるのかと思いきやここでタイムトラベルの登場。やや強引な気もするがまずまず面白い。次作にも期待したい。
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しょう
ネタバレ女刑事・音道貴子シリーズ一作目。深夜のファミレスで突然男の身体が燃え上り死亡する事件が発生。遺体には獣に噛まれた痕があった。当該事件の捜査本部が組まれ、捜査隊の一人音道は中年男の滝沢とコンビを組み捜査する。この手の作品にはありがちな「虐げられ気味な女性警官」は本作でもしっかり採用されており、そんな中でも音道が警官としての職務を全うするべく力を尽くす様子が伺える。まさか狼犬とのかけっこが見られるとは思いもしなかったが、いまいちピンと来ない。音道が疾風に感情移入する理由も分からずだった。
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しょう
ネタバレどちらかというと子供向けの海洋冒険小説。中国から英国に一番早く紅茶を届けるレースが行われていたが、補選が沈没してしまいかろうじて乗ったボートで生死を彷徨う羽目になった主人公達船員一同。そんな中幸運にも理由不明で乗り捨てられていた無人のニワトリ号を発見する。若干強引でややリアリティに欠けた感はあるが、海洋冒険小説としての難事における緊迫感や細やかな描写は読みごたえがある。しかし子供にはやや難易度が高いと感じた。
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しょう
ネタバレ怖がりなのに霊感が強いせいか、何かと人ならざる怪異を呼び寄せてしまう体質の響野家の末っ子の春希が日常で経験する様々な怪奇現象。一つ一つの話しは非常に短くホラー版ショートショートと言えるだろう。春希にとっては怪奇現象の発生や、怪異の存在が既に日常となってしまっており、不憫と言えば不憫だ。数々の怪異を見せられた後のこのラストは雰囲気こそあるがやや消化不良な感じがしてしまう。とは言え好みの構成ではあるので続編があるなら読んでみたい。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレキンジー・ミルホーンシリーズ4作目。ある少年を見つけ出し、小切手を渡してほしいとの依頼を疑いつつも受けるキンジー。しかしキンジーの抱いていた疑念は現実のものとなり、小切手は不渡りで依頼人は詐欺師、更に数日後に溺死体として発見される。依頼は完全になくなった形だが、正義感が強いが故に一連の事件の真相を暴こうと今回も奮闘する。調査継続するにあたっての動機が弱く、今回に限ってはやや強引なきらいはある。ミステリーとしてもはっきり並みだが、相変わらずストーリーは読ませる内容となっている。次作にも期待したい。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレ自分を手ひどく振った元カノの紺野が刺されて転落死。加えてその時一緒だった先輩の茂呂も浴室で刺されて殺害される。期せずして二件の殺人事件の第一発見者となった流平だが、同時に容疑者となってしまったことで一躍犯人の第一候補となってしまう。ミステリーとしてはしっかり本格っぽいがそこにちょうどいい具合にユーモアが混じっており、軽快なやり取りも見所があって面白い。ユーモアに注力しているせいかミステリ部分はごく普通だが十分に楽しめた。次作にも期待したい。
が「ナイス!」と言っています。
しょう
ネタバレイタリアのとある貧しい村で生きてきたスコルタ一族の壮絶なお話。この手の話となると「百年の孤独」が想起されるが、流石に比較するのは酷だろう。分量はさほどでもないが、本作から発せられる熱量は相当なもので、全てを焼き尽くさんばかりに照りつける太陽にも負けず、決して上等な血統ではないが、強かに逞しく生きていく様は清々しいものがある。
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ネタバレ表題作を含む三編の短編集。幼少の頃より大人の都合に振り回されまくった挙句、ショックで失語症に陥った恵里子だったが、隣近所に住む通称「ネコババ」との交流を通じて言葉を取り戻し、多感な恵里子がようやく手に入れた本当の家族と本当の日常が描かれている。基本的に三作ともとある女性に振り回された主人公目線での物語となっているが、救いがあったりなかったりでやや重めだ。全編にわたって読みやすく、スッとストーリーが入って来やすい一方で、芥川賞にしては珍しくあまり外連味もなく、些か特徴の薄い作品群だった。
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しょう
ネタバレシリーズ一作目。捜査の才能が全くないウィザースプーン警部が発見した医師スローカムの死体。困り果てた警部が頼ったのは自邸の家政婦のジェフリーズ夫人を始めとする使用人の面々。亡き夫の影響か事件解決の感はそれなりに鋭い模様で本事件でもその才をいかんなく発揮している。しかしあくまでも警部に気付かれないように行動しているのが微笑ましくていい。若干のひねりは加えられているもののミステリーとしては並だ。しかし使用人の面々のキャラがみんな個性的で魅力的な人物造形となっており非常に面白い。次作にも期待したい。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/07/17(3784日経過)
記録初日
2014/07/06(3795日経過)
読んだ本
3634冊(1日平均0.96冊)
読んだページ
1293587ページ(1日平均340ページ)
感想・レビュー
3604件(投稿率99.2%)
本棚
32棚
性別
現住所
埼玉県
自己紹介

身内に勧められて読書を始めました。主に図書館でタイトルを見て第一感面白そうと思った本を中心に借りて読んでいます。その為乱読ですが、食わず嫌いはせずに様々なジャンルの本を読みたいと思っています。

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