81年はポートピア開港の年だった。 日経平均は6500円台、喫茶店のコーヒーは250円、スマホもネットもない、地方都市にはコンビニも少なかったし24時間営業でもなかった。 いろんなことを思い出しながら読んだ。
物語の終わりには登場人物もネネも老いてゆく。 人が老いることは自然に受け入れられるのに、ネネの老いは寂しく 心許なく感じた。
途中、作中の2人が結婚に至るのかという予感に「またくっつくのか。男と女がいればどーせカップリングされるものか」とゲンナリしかけたのだが! 彼女の住まいのドアの前で紡ぎ出した彼の言葉の誠実さと、彼女の前なればこそこの言葉が出せたのだと感じてとてもとても感動した。 世は1991年、証券バブルははじけたが社会はまだまだ好景気の余波に浮かれ恋愛大流行の頃。愛情と性欲の区別もつかないままに若さと金銭にものを言わせて粗い解像度で「愛」が語られて、いや「実行」されていた頃であるのに。 ↓
(承前) そんな時代に こんなに静かに、こんなに密度の高い、こんな誠実な心からの言葉に 驚きと感動をおぼえた。 ゲンナリしたのは私の短慮でした。 素晴らしいセリフと筋立てでした。 ひとの愛情というもの誠実さというものを信じてみるべきだとあらためて思わされる作品でした。
歴史政治小説や心理関連本をよく読んでいたけれど、ファンタジーやミステリーも好き。文学作品も好きで憧れつつも読めてないもの多し。最近読むスピードが遅くなった。
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81年はポートピア開港の年だった。 日経平均は6500円台、喫茶店のコーヒーは250円、スマホもネットもない、地方都市にはコンビニも少なかったし24時間営業でもなかった。 いろんなことを思い出しながら読んだ。
物語の終わりには登場人物もネネも老いてゆく。 人が老いることは自然に受け入れられるのに、ネネの老いは寂しく 心許なく感じた。
途中、作中の2人が結婚に至るのかという予感に「またくっつくのか。男と女がいればどーせカップリングされるものか」とゲンナリしかけたのだが! 彼女の住まいのドアの前で紡ぎ出した彼の言葉の誠実さと、彼女の前なればこそこの言葉が出せたのだと感じてとてもとても感動した。 世は1991年、証券バブルははじけたが社会はまだまだ好景気の余波に浮かれ恋愛大流行の頃。愛情と性欲の区別もつかないままに若さと金銭にものを言わせて粗い解像度で「愛」が語られて、いや「実行」されていた頃であるのに。 ↓
(承前) そんな時代に こんなに静かに、こんなに密度の高い、こんな誠実な心からの言葉に 驚きと感動をおぼえた。 ゲンナリしたのは私の短慮でした。 素晴らしいセリフと筋立てでした。 ひとの愛情というもの誠実さというものを信じてみるべきだとあらためて思わされる作品でした。