と三体人の持つ余りに高度な科学に彼が打ちのめされるのもやむを得ない、と読者は思えるでしょう。/無論、地球側も何も手をこまねいている訳ではありません。汪の様な「青白き」インテリに成り代わってそれを体現するのが、二人目の主人公・史強です。無教養で周りに頓着しないヘビースモーカーだが、物事の本質を見抜く事に長けた彼は、インテリ達が思い付かない大胆な作戦を立案し成功を収めます。時にはフリーズしてしまった汪達を現実に引き戻す場面も。侵略が現実化していく二部三部での活躍を見てみたかった人物でもあります。(続)
そして本作は現代中国の現実等の政治的事情と無縁な訳はありません。その辺を代表するのが、三体人と最初に接触しそして彼等を呼び寄せてしまった天体物理学者・葉文潔(最初、「果しなき流れの果に」の佐世子の様な傍観的地位にあるのかな、と思ってましたが、どうしてどうして。)です。父を文革により目前で殺された過去を持つ彼女ですが、どうして三体人にあのような自暴自棄とも言える呼び掛けをしたのか、正直飛躍を感じてしまいます。「沈黙の春」やエヴァンズの「種の平等」等の主張に影響されたことは理解できますが、(続)
それらは西側世界のインテリ達に俗受けする形で広まった言わば陳腐なものばかり(特に「降臨派」の「意識低い」大衆蔑視は唾棄に値する。)で、こちらの琴線には響かないものでした。尤も文潔に粛清された環境学者の様な終末的思想が西側・中国問わず世を覆っており、そこが三体人が地球侵略のつけ目の1つになっている描写で作者の意図が理解できた気がします。/科学のみならず今の世界の現実へも想像力の翼を広げられる本格的総合小説です。二部三部の展開も酷く気になります。大森さん言うように英訳版買ってきて辞書片手に格闘しますかね(笑)
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と三体人の持つ余りに高度な科学に彼が打ちのめされるのもやむを得ない、と読者は思えるでしょう。/無論、地球側も何も手をこまねいている訳ではありません。汪の様な「青白き」インテリに成り代わってそれを体現するのが、二人目の主人公・史強です。無教養で周りに頓着しないヘビースモーカーだが、物事の本質を見抜く事に長けた彼は、インテリ達が思い付かない大胆な作戦を立案し成功を収めます。時にはフリーズしてしまった汪達を現実に引き戻す場面も。侵略が現実化していく二部三部での活躍を見てみたかった人物でもあります。(続)
そして本作は現代中国の現実等の政治的事情と無縁な訳はありません。その辺を代表するのが、三体人と最初に接触しそして彼等を呼び寄せてしまった天体物理学者・葉文潔(最初、「果しなき流れの果に」の佐世子の様な傍観的地位にあるのかな、と思ってましたが、どうしてどうして。)です。父を文革により目前で殺された過去を持つ彼女ですが、どうして三体人にあのような自暴自棄とも言える呼び掛けをしたのか、正直飛躍を感じてしまいます。「沈黙の春」やエヴァンズの「種の平等」等の主張に影響されたことは理解できますが、(続)
それらは西側世界のインテリ達に俗受けする形で広まった言わば陳腐なものばかり(特に「降臨派」の「意識低い」大衆蔑視は唾棄に値する。)で、こちらの琴線には響かないものでした。尤も文潔に粛清された環境学者の様な終末的思想が西側・中国問わず世を覆っており、そこが三体人が地球侵略のつけ目の1つになっている描写で作者の意図が理解できた気がします。/科学のみならず今の世界の現実へも想像力の翼を広げられる本格的総合小説です。二部三部の展開も酷く気になります。大森さん言うように英訳版買ってきて辞書片手に格闘しますかね(笑)