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2024年7月の読書メーターまとめ

ヴェネツィア
読んだ本
97
読んだページ
14173ページ
感想・レビュー
97
ナイス
42852ナイス

2024年7月に読んだ本
97

2024年7月のお気に入り登録
24

  • だいごろうA Sky Full of Stars
  • coolgang1957
  • すーぱーじゅげむ
  • 虎太郎
  • 泥団子
  • mana.
  • 猪狩 紀恵
  • 慇懃無礼
  • ごろにゃん
  • めげごん
  • モジェ
  • カスロック
  • ao
  • batadora
  • mire
  • フク
  • カオルーン
  • ikemion
  • ozawa
  • meg
  • たんたん
  • はいぺん
  • 木
  • metapa

2024年7月のお気に入られ登録
22

  • だいごろうA Sky Full of Stars
  • coolgang1957
  • すーぱーじゅげむ
  • 虎太郎
  • mana.
  • 猪狩 紀恵
  • 慇懃無礼
  • ごろにゃん
  • めげごん
  • モジェ
  • カスロック
  • ao
  • batadora
  • mire
  • フク
  • カオルーン
  • ikemion
  • ozawa
  • たんたん
  • はいぺん
  • 木
  • metapa

2024年7月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ヴェネツィア
『神去なあなあ日常』の続編。やはり主人公、勇気の一人称語り。正編では、勇気の林業ライフが緊張感を伴いながらスピーディに語られたが、あれから1年が経って勇気の語りもすっかり余裕である。今回は全七夜から成り、神去村のあれこれと、勇気のその後が語られる。正編を読んでいて親近感があるせいか、はたまた語りに一層の磨きがかかったからか、前作以上に面白い。面白さの点では「神去村のクリスマス」が頂点か。神去村と、そこに暮らす人々の特異点となんとも言えない暖かさに満ちた物語が展開する。続きを読みたくなること必定なのだが⇒
ヴェネツィア
2024/07/04 08:09

⇒どうやら続きはなさそうだ。残念だとは思うが、またそれでいいようにも思う。あの山のあなたに神去村があって、今日も勇気たちがそこで暮らしているのだと想像する方が。

が「ナイス!」と言っています。

2024年7月にナイスが最も多かったつぶやき

ヴェネツィア

皆さま、今月もどうぞよろしくお願いします。☆2024年6月の読書メーター 読んだ本の数:97冊 読んだページ数:13561ページ ナイス数:43253ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/157091/summary/monthly/2024/6

皆さま、今月もどうぞよろしくお願いします。☆2024年6月の読書メーター 読んだ本の数:97冊 読んだページ数:13561ページ ナイス数:43253ナイス  ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/157091/summary/monthly/2024/6
Himeko is not cat
2024/07/01 21:16

ねこちゃん😍ヴェネツィアさん、順調に回復なさっているようで嬉しいです😊もう何でも食べられますか?✨

ヴェネツィア
2024/07/02 02:38

Himekoさん、揚げ物とお刺身、お鮨以外は大丈夫です。もうそろそろお鮨は解禁しようかなと思っています。

が「ナイス!」と言っています。

2024年7月の感想・レビュー一覧
97

ヴェネツィア
二人のコンゴ土人※による応答唱のような形式をとる、やや珍しい1篇。スタンレー探検隊の一行に「白人白人いずくへ行くや」(これが5回繰り返される)と呼びかけ、これにもう一人が「こゝより奥は…」といった風に警告を与えるのだが、そのリズム構成がが鮮やかだ。警告は、この先に待ち受けているのは「暗の森」、「熱の丘」、「化の原」、「アラヴ泥」であり、「汝らすべて殺されん」というのである。最後はスタンレーが噴き出しているところからも、これが深刻なものではなく、哄笑で終わるのは、賢治の持つ諧謔の楽しみだろうか。
ヴェネツィア
2024/07/31 18:07

※土人は今日的な意識からすれば、明らかな差別用語である。ただ、賢治には差別意識はなかったのではないだろうか。もっとも、全くそれがなかったかというと、微妙ではあるのだが。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレこれまでの池井戸作品にも増して主人公の苦境が続く。もうほとんど9回裏というあたりでようやく起死回生の逆転劇。すなわち、水戸黄門型もここに極まれりという構成である。それまでに、周到な伏線が張り巡らされてはいたものの、たった1台のパソコンだけが決め手になるというのは、いささか残念な気がする。ここまで営々と描いてきた物語が、あたかも最後に打たれたオセロ・ゲームの1手で黒が瞬く間に白一色に変わるようである。鮮やかといえばそうだが、やはり小説の構築としては物足りなさが残る。エンターテインメント小説であったとしても。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
知らなかったのだが、これも人気のシリーズのようで、既刊が少なくても8冊。文(と言えるのかどうか)はジーン・マルゾーロ。写真はウォルター・ウィック。セットを組んで写真撮影したもののようだ。デザインはキャロル・D・カーソン。複雑な画面から指定されたモノを見つけ出すミッション。なかなか手ごわいが、大人も子どもも楽しめる。一人でも、あるいは何人かで一緒にも。さらなる提案として「こわいおはなし つくってみよう」といった楽しみ方も。皆さまも是非一度挑戦を。ちなみに、この巻は怖いゴーストハウスがテーマ。
亀吉てくてく@断捨離チャレンジ中
2024/07/31 09:40

姪っこ姉妹、甥っ子が小さい時には、それぞれの親やら伯母(私)なども子供たちと一緒に楽しんだシリーズです。 甥っ子がみつけるの上手でした。

ヴェネツィア
2024/07/31 09:53

亀吉てくてくさん、子どもの方が熱心に取り組むでしょうしね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
どれもが基本的な構造が似ているために、ややマンネリ感に陥っていたのだが暫く時間を空けて読むと、やっぱり池井戸作品は面白い。これもまた、展開の先は予想されるし、おそらくはその通りの結末を迎えるのだろうが。この作品の新工夫は状況を一元化せずに多角化したことだろう。主軸は弱小の運送会社を営む赤松だが、これにホープ自動車の沢田、ホープ銀行の井といった視点が加わるばかりか、さらには赤松の子どもたちの小学校の問題までが関わってくるのである。下巻では予定調和の結末を迎えるのか、はたまた…。一気に下巻へ。
drago @竜王戦観戦中。
2024/07/30 17:29

「俺たちの箱根駅伝」たしかに評判よさそうですね。 その前の「ハヤブサ消防団」が今ひとつだったので、少し距離を置いているのですが、様子を見てチャレンジしてみようと思っています。(^^;

ヴェネツィア
2024/07/30 17:34

私も未読ですが、古書の値段が下がったらと思っています。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の松下幸子氏は千葉大学名誉教授で、調理学、江戸の食文化の研究者。表紙の広重の「東都名所高輪二十六夜待遊興図」などはたしかにタイトルにいう「錦絵が語る」に叶うが、全体としては錦絵からだけでは江戸の食を語るには心もとない。ただし、本書では『守貞漫稿』や『東都歳時記』をはじめとした各種文献の記述を拠り所としており、統体としては、江戸の食文化をよく伝えていると言えるだろう。先の『守貞漫稿』には握りずしの詳しい図解などもあり、江戸文化の明るい側面をうかがい知れる。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
原話はラ・フォンテーヌの『寓話』。ブライアン・ワイルドスミス作。ワイルドスミスはイギリスの画家・童話作家。お話は、まずしいくつやさんが、おとなりのおかねもちの計略で大金を手にしてしまい、眠れなくなって…というシンプルなもの。教訓めいているようでもあるが、そこには主眼がないだろう。この絵本の生命も、もっぱら絵にある。技法はペン画+クレヨンの線に水彩絵の具で彩色したもの。色彩の乱舞、そして、デフォルメと抽象が楽しめる。2人の表情の変化も面白く、さりげなくそこにいるイヌとネコがまたいい。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。七・五調の文語定型詩。最後の結びは七・七で収められる。冒頭では「きみ」の面影が揺曳するが、内容的にはむしろ北上川讃歌といった趣きの詩である。「竜や棲みしと伝へたる このこもりぬ」といった伝承の時間を持ちながら、それは「火花となりて青々と散る」といった一瞬の光芒の中に消えてゆく。そのロマネスクは、再び冒頭のb「きみ」の面影に再帰するだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
プラトンは大学1年生の時に履修した教養科目の哲学で読んで以来。当時は、この科目にそんなに真面目に取り組んでいなかったので、内容はもはや忘却の彼方。したがって、事実上の初読のようなもの。まず、第1印象は、まことにギリシャらしいことに空気感がきわめて晴朗であること。パイドロスとソクラテスの対話が交わされるのも、イリソス川のほとりといった自然の中においてである。弁論作家リュシアスの「人は自分を恋している者よりも恋していない者にこそ身をまかせなければいけない」というパラドクシカルな主張に、ソクラテスが自らの論を⇒
ヴェネツィア
2024/07/29 16:40

⇒構築していくのである。恋(エロス)の論として始まるが、畢竟は弁論術に落ち着いて行く。ソクラテスが用いる対話による論理の進め方は、論理的なのだろうが、誘導されているような気分が残ることもまた否めない。なお、篇中で恋、あるいは美として語られるのは、スパルタと同じく対象はもっぱら美少年であるようだ。これまた、いかにもギリシャらしいか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ベルリンの住まいはアルトバウと呼ばれる、築100年くらいのアパートが主流のようだ。ヨーロッパの他の都市のアパルトマンと比べると、そっけない印象だが、それでも日本の公団住宅よりは凝っている。しかも、新しいノイバウはさらに機能重視の愛想のなさ。それぞれのお部屋には装飾品もあるのだが、シンプルで直線的な印象を受ける。地味めの色遣いのせいであるかもしれない。表紙のお部屋もグリーンの壁が象徴的に語っているように。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
尾崎玄一郎・尾崎由紀奈の共作。お話は、おしいれに隠れ住むおしいれじいさんが、釣竿を見つけて、それで次々といろんなものを釣り上げて…というもの。主人公のおしいれじいさんの絵はかなり奇妙。こんなのが押し入れに住んでることが知れたら、子どもたちは怖がって近づかないのでは…。主人公のみならず、絵はいずれも結構グロテスク。絵本としての人気のほどはどうなのだろう。
yomineko
2024/07/29 08:14

ヴェネツィアさん、大変面白そうな絵本ですね📙読みたい本に登録させて頂きました📚グロ耐性ありです(笑)

ヴェネツィア
2024/07/29 08:19

そこそこ人気の絵本のようでした。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
パリ在住のアーティストたちのお家の子ども部屋が27。直近でロンドンの子ども部屋を見ていたので、違いもあれこれと。まず、ロンドンでは目立っていたぬいぐるみが少ないこと。しかも、たまにあった場合も、それが手作りっぽいデザインのものであること。また、全体としての色調は案に相違してロンドンよりもずっとシックであること。子どもたちの年齢は変わらないのだが、パリの方が大人びたインテリアである部屋がずっと多いこと。なお、巻末には子どもショップの案内と、ここに登場した子どもたちの愛読絵本が紹介されている。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
現代歌集としてタイトルの『林檎貫通式』はいかにも、という風格を持つ。用いられている言葉はいずれも平易だが、歌はそれを裏切る。例えば「ムーミンパパという名の馬に賭けといたレース忘れたままで週末」。また、篇中には所々に偽悪的で、ことさらに卑俗な表現をあえてするといった傾向もみられる。「ひまわりのはっぱの下でたちしょんべんをしてみた真夏」。さらにもう一つの特質としては、前衛のあり方が多分に現代俳句のそれに近接しているようにおもわれることが挙げられる。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
アメリカの牧師マックス・ルケードの文、フランス生まれドイツ育ちのイブ・タルレの絵。訳は女子パウロ会と、キリスト教色の強い絵本。ただし万人向き。母熊(性別はあえて特定されていないが、やはり母熊だろう)の子熊によせる無私の限りない愛情を謳いあげる。「せかいじゅうでたったひとりのきみ」ーみんなそうであって欲しいと思う。タルレの描く南欧風の絵もとっても美しい。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
夏川草介は初読。タイトルに魅かれて。カントでもヘーゲルでもなく、スピノザというところがいい。題名の由来は本文中でヴァリエーションを含めて何度かさりげなく語られる。プロットの展開は青春小説そのもの。実に爽やかで胸が熱くなる。ありえたかも知れない(実際にはありえないのだが)遅咲きの青春を追体験することができる、数少ない小説の一つだ。もっとも、主人公は38歳で若白髪で一見冴えない哲郎なのだが。それはおそらく、自身が医者でもある夏川の理想の医師像なのだろう。小説の終盤に語られるスピノザに再び強く共感する。お薦め!
島の猫
2024/07/29 09:04

わたしもタイトルに惹かれて、ずっと読みたいと思っているんですが、図書館予約でなかなか回ってこないです…。スピノザ好きなので、楽しみです♪

ヴェネツィア
2024/07/29 09:28

島の猫さん、ハートウォーミングで爽やかな作品です。早く順番が回ってくるといいですね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
一部に例外はあるものの、大半は幼児たちのお部屋。したがって、これらの部屋のインテリアは両親の趣味によるものだろう。シックな部屋もあるにはあるが、概ねはロンドンとは思えない華やかさ。色使いはとってもハイセンス。もちろん、経済的にも豊かで、センスの良い部屋だけを扱っているからだろうけれど。それにしても、なかなかの垂涎ものばかり。それ以外に目立つのは、男女を問わず、どの部屋にもぬいぐるみが置かれていること。それも、結構たくさんな数。これはロンドンの特色なのだろうか。なお、それらのぬいぐるみはディズニーではない。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
辻村深月はこれで6作目だが、この作品はシチュエーションが特異に過ぎるために、リアリティを犠牲にすることになったようだ。因習的な村の負の部分を凝縮したとしても無理があるだろう。初出は「別冊文藝春秋」への連載であったようだが、構想が途中で揺れ動いたのではないかとも思われる。ことに、結末部はどうにもならなくなって無理矢理に決着をつけたようである。広海の最期の決断も、事後処理の感が残る。主題が絞り切れず、拡散してしまったのは残念である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ふくだいわお作。何冊も絵本を描いている作家だが、私は初めての出会い。表紙の絵のクロべえは、なんだか犬相が悪く凶悪そうに見えるが、実はどちらかといえばまぬけな風貌の持ち主。小学校4年生くらいの「ぼく」とクロべえの日常を描いているのだが、どのページからもクロべえへの溢れるばかりの愛情が感じられる。人間にくらべると一生の短い犬。ほんとうに「がんばれ!」。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『注文の多い料理店』の中の1篇。タイトルの「水仙月」は美しい言葉だが、これはどうやら賢治の造語のようだ。4日ということからも、ごく早春の1日の出来事だろう。イーハトーブの空には、春の足音はまだ遠い。そこは未だに「雪婆んご」、「雪童子」、「雪狼」が跳梁する世界だ。毛布にかけられた雪の堆積。そこは死と隣り合わせの世界でもあった。雪童子の優しさは、春の訪れがそれほど遠くないことを告げる。美しい美しいメルヘン世界の形象である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
山田詠美さんが文学修行時代に大いに励まされたのが、毎日新聞に連載されていた宇野千代のエッセイ「生きて行く私」だったそうだ。その同じコーナー「日曜くらぶ」を、御年63歳になった詠美さんが担当して書いたのがこれ。新聞への連載ゆえか、毒舌は影を潜めてはいるが、訴えと叫びは心底からのものである。修業時代から今日にいたるまでの半生記のスタイルをとる。63歳といい、半生記といい、時間の流れの速さになんだか、感無量といった気分になる。こういうのを書いても山田詠美はさすがに上手い。詠美ファンには強推薦!
ヴェネツィア
2024/07/26 08:38

山田詠美が芥川賞ではなく直木賞を受賞したこと、また、にもかかわらず芥川賞の選考委員を務めていることを不思議に思っていたのだが、本書でその経緯が明らかになった。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
長谷川集平・作。かなりに異色の絵本。そもそも想定されている読者層も不明である。子供向けなのだろうか?お話はない。絵にキャプションが付けられているといったページ設定。絵もまた変則的である。黄色を背景とした黒一色の線画なのだが、サラリーマン漫画のような、はたまた小学生が描いたかのようなタッチである。きわめて独特の美意識である(美意識というものが意識されているとすればだが)。連想されるのは「下流思考」か。読み聞かせに用いたとすれば、聞かせられている方は困惑するのではないだろうか。
one_shot
2024/07/27 11:05

面白そうな、つまらなそうな。でも興味を持ちました。ご紹介ありがとうございます!

ヴェネツィア
2024/07/27 11:12

one_shotさん、試してみてください。さて、どうでしょう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の田辺徹氏は『世界美術全集』や雑誌「太陽」の編集長を務めた人。日本旅行作家協会会員とあるが、本書でも美術品よりも立地や建物の雰囲気に筆を多く割いているのも肯けるところ。ただ、1冊でヨーロッパの美術館を語ろうというのは無理がある。実際にブリュッセルの王立美術館やブルッヘのグルーニング美術館をはじめ重要な美術館の多いベルギーは全く視野に入れられていないし、スイスの美術館も同様である。トータルには、やや恣意的な美術紀行といったところか。
ヴェネツィア
2024/07/26 18:31

私もあれは見てみたいですね。シャンティイなので、パリからは近いようです。

Nat
2024/07/26 20:17

フランスはまだ行ったことがないので、いつか是非行ってみたいです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
かなり奇妙な戯曲である。そもそも植物医師なるものが、この頃に存在したのだろうか。しかも、その医師は爾薩待正と名乗っており、いよいよ胡散臭さが付きまとっている。しかも彼は農民たちが持ってきた陸稲の病因を突き止めることができない。対応はほとんど偽占い師のごとくである。したがってその処方もまた適当である。当然のことながら村の農民たちの陸稲は全滅の憂き目にあう。にもかかわらず農民たちは医者を許し「仕方なぃがべ。さあ、さっぱりどあぎらめべ」と帰ってゆくのである。農民たちの寛大さを描いたものか、あるいは積年の諦念か。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
とかく謎の多い小説である。本作は、実在の人物である榎本武揚を俎上に載せた歴史小説であるが、では何ゆえに安部公房がこの時期にこのような小説を書くことになったのか。本書の出版は1965年であり、既に『砂の女』(1962年)や『他人の顔』(1964年)といった、後に安部の代表作となる長編を書いた後である。もっとも、さすがに安部公房のことであるから、これも普通の歴史小説にはならなかった。明治初年、厚岸に上陸した囚人たちが根釧原野に消えて行った謎を追うところから物語が始まる、いわばミステリーの要素を持っていた。⇒
ヴェネツィア
2024/07/25 16:43

⇒しかも筆法もまた変わっていて、福地文書なる信憑性をどこまで信じていいものやらわからない文献をたどって行くのである。さらには、その文書の中には「海舟座談」や「戊辰物語」をはじめたくさんの文書が散りばめられている。これまた我々読者はどこまで信じていいものやら迷うところである。そんなこんなで、とうとう最後まで作家の意図がつかめないままであった。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
森枝卓士の取材・写真による世界の『食べもの記』。森枝は若い頃、タイとカンボジアの国境付近で戦争写真を撮るところからキャリアをスタートさせたようだが、その後はもっぱらアジアを中心とした食文化に特化してゆく。ICUでの彼の専攻は文化人類学だったのだから、本来の領域に帰ったのだともいえる。文化人類学者は、現地のフィールドに親しみ、何でも食べることも条件の内。その点でも森枝に向いていただろう。本書の中で、手ごわそうなのはタガメ。臓物系も結構厳しそうだ。本書には世界中から集めてきた「食」にまつわる写真がいっぱい。
ヴェネツィア
2024/07/25 11:07

食材の豊富さという点では、東南アジアや南アジアがやはり群を抜くようだ。アフリカはいずこも残念ながら幾分単調そうな印象である。ヨーロッパなら、食材の上ではスペインが一番か。なお、森枝の写真は対象への愛に溢れているいる。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ヤーノシュ※作。矢川澄子の訳。ヤーノシュはポーランド生まれの絵本作家。1本だけリンゴの木を持っていたワルターの願いは「ひとつでいいから、うちのきにもリンゴがなりますように」というものだった。その願いはかなうのだが、とてつもなく大きなリンゴが1つ…というお話。リュウが登場するなどして、後半は奇想天外な展開に。そして、これに呼応するように絵も素朴なタッチながら、奔放な想像力を広げて行く。願いのささやかさと、結果の大きさのギャップが楽しい絵本。
ヴェネツィア
2024/07/25 19:44

ポーランドは若い男性たちがなかなかに美形揃いでした。女性たちもまた。

yomineko
2024/07/25 19:45

あ~分かります!バレーボール選手を見ていてもモデルさんかと思う人達ばかりでした!勿論、女性もめちゃくちゃ美人ぞろいですよね!友人は日本人とのミックスですが、背が高くてとても美人ですよ(#^.^#)

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
歌集として、とっても魅力的なタイトルだ。これは篇中歌「オーロラのお針子たちとあんみつを食べる 春はさっくり更ける」から、監修者の東直子氏が勧めて決まったとのこと。いいセンスだと思う。歌としてもなかなかに清新である。とりわけ上の句にこの歌人ならではの言葉の選び方が窺えるように思われる。下の句の「さっくり」は新鮮なようでもあるが、若い人の俗語的な感性が出てしまったようでもある。いとも簡単に死への傾斜を詠うところなんかもそうだ。例えばこんな歌「糸電話片手に渋谷ぶらついてこちら思春期はやく死にたい」。
ヴェネツィア
2024/07/24 15:09

歌集の全体に若さが横溢する歌集。未完成の感が残る抒情だと思うが、それこそがこの歌人の魅力か。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
「身体装飾の現在」シリーズの第1巻はエチオピア。エチオピアで即座に思いつくのは、首都のアジスアベバ、マラソンのアベベ、エチオピア正教の大聖地ラリベラ。なんとこれだけ。私にとっては遠い遠い国だ。このエチオピアは多民族、多言語の国である。したがって文化もまた一様ではない。エチオピアのすべての民族ではないだろうが、身体装飾はかなり盛んである。表紙にあるようなペインティング、刃物で肌の表面に傷をつけて文様を浮き上がらせる装飾などが主体のようだ。入れ墨の文化は見られない。最も極端な美意識を発揮して⇒
ヴェネツィア
2024/07/24 14:56

⇒いるのがムルシ族の女性たちのリッププレートだろう。これは下唇に、だんだんと大きなお皿をはめ込んでいくもの。さすがに昨今では若い人たちはあまりしなくなったらしい。ただし、耳朶に穴を開けて、これを拡張して行き、お皿様の飾りをはめ込むのは若い人たちも積極的に行っているようだ。井上耕一の写真はなかなかの迫真力。サイズも大きく一見の価値あり。人間の文化の幅広さを実感できる。図書館にあればぜひ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
新潟の昔話。お話は、イザナギ・イザナミ神話の黄泉の国からの逃走神話の話型を軸に、変身合戦を組み合わせたもの。絵は梶山俊夫。数々の受賞歴を持つが私は初めて出会った。墨の描線に赤と緑をうっすらと彩色した技法。何よりも、顔の描き方に大きな特徴がある。なんだか脱力系の絵なのだが、不思議なインパクトがある。全体のタッチは、いかにも日本の昔話に相応しい感じである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
着想の根幹にあったのは、巻末の参考文献にも掲げられている、アイリーン・M・ペパーバーグの『アレックスと私』のヨウムだろう。本編ではタイトルにとられたネネがそれである。小説の構成が10年刻みで40年間をカヴァーするのも、ひとえにヨウムの寿命に対応してのものだと思われる。そして、第1話からエピローグにいたるまで、ネネなくしては成立しないのがこの物語である。もちろん、律子のけなげさ(第1話)と真摯な生き方(第2話以降)があってこそそれが活きてくるのだけれど。第1話が終わって、第2話を開いた時に、それが⇒
★なおぴんコ★
2024/12/15 18:03

いつも「ナイス👍」ありがとうございます。コメント失礼します。私もネネの最期が描かれるものだと覚悟しながら読んでいたので、残念なようなホッとしたような…。ただ、その場面がどのようになってもきっと号泣してしまうだろうなぁ…。

ヴェネツィア
2024/12/15 19:58

★なおぴんコ★さん、やはり最期を描いて欲しかったですね。それがどんなものであれ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
北欧デザインの牙城の一つ、ストックホルムのアーティスト22人のアトリエを訪ねる企画。服飾デザイナーも画家もニット・デザイナーも陶芸家も。大半は女性たちのアトリエである。共通するのは、いずれも室内は白を基調とした(もちろん例外はあり)室内に、ふんだんに外光が取り入れられていること。この光への渇仰も北欧ゆえであろうか。もう一つは、これまた若干の例外はあるが、色遣いがシックであること。赤やオレンジが使われている場合にもヴィヴィッドさよりも、調和が重んじられていることである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
レオ=レオニ・作、谷川俊太郎・訳。誇大妄想気味のお話だが、リアルを超えて楽しい。結びも気が利いていて、お洒落なセンスが感じられる。しかし、レオ=レオニの本領が発揮されるのは、やはり絵。かたつむりたちがとってもキュートだ。巨大化した時には一層。ちょっとグロテスクではあるけれど。小さな家のかたつむりが行く森の光景もことのほか美しい。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。直接的に賢治を思わせるものはないが、やはり花巻農業学校の教諭時代の職員室の光景が想起されているのだろうか。この学校の職員室も規模は小さそうだ。それにしても、詩の全体に侘しさが漂うのは何故だろうか。それは、この時期の賢治の鬱屈をも表象する故だろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
おおむね時間軸に従った短篇がプロローグを含めて6篇から構成。最後の「受賞エッセイ」などは、ほんとうに文字通りに受賞に際してのエッセイが付録として付いているのかと思ったが、これもまたフィクション。本書に収められた連作短篇は、一見して作家の日常の身辺雑記を語ったかの風を装った巧妙なフィクションである。その意味では、最後に置かれた「受賞エッセイ」は種明かしであるのかもしれない。作家が篇中で語っているように、これらはすべて「嘘」である。ただし「誠実に向き合った」嘘だ。また、「小説家として生きるということは、⇒
いっちゃん
2024/09/05 13:38

ヴェネツィアさん、こんにちは。今読み終えたばかりで、私もよく本屋大賞にノミネートされたなこれと思いました。もちろん虚構である、その上にのっけた小川哲を楽しむ本だと思うんですが、他の作品を読んでない読者にはあんまり響かないんじゃないかと思いました。真面目に読みすぎちゃうんじゃない?って。

ヴェネツィア
2024/09/05 14:47

いっちゃん、そうでしょうね。これを虚構のイタズラと割り切らないと、楽しめないと思います。本屋大賞での順位は知りませんが、おそらくは限りなく下の方だったでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
原話はイタリアの昔話。お話は、湖に住む、水の精オンディーナに懸想した魔法使いがあの手この手と魔手を延ばすが、最後は魔法使いが間抜けなせいでオンディーナには何事もなく…というもの。絵はいわさきちひろ。以前から知っている画家だが、今回初めて見直すことに。ボカシやグラデーションを駆使した水彩は湖の青と緑、魔法使いの茶色がなかなかに効果的だ。構図の工夫も活きている。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
「京都カタログシリーズ」の1冊。取材、執筆、編集はエディットプラスの4人の面々。何かと気が利いている。まず、写真がそこそこ綺麗(ガイドブックとしては十分な程度に)。お店の住所、アクセス、☏、お値段(すべてのお店ではないが)の情報が掲載されている。ハンディな大きさでバッグにも入る(さすがにハンドバッグは無理か)。さらには、'23~'24年版と新しいなど、有用性が高い。また、実用的なガイドにはもちろん、眺めて想像を巡らせるだけでも楽しい。食とお店でたどる京都案内である。
みつちや
2024/07/22 01:33

関西外に住んでいた頃、河道屋のそばぼうろをお盆明けに会社へ持参。地味なので初めは敬遠されましたが、最終的には一番人気で売り切れました。昔も今も大好きです。

ヴェネツィア
2024/07/22 05:12

みつちゃさん、たしかにそばぼうろは見た目が地味ですよね。華やかさというものがどこにもありませんから。一方では伝統菓子の強みも。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
6つの短篇を収録。いずれもが、多かれ少なかれコロナ下での物語である。柚木麻子の作品は5つ目だが、そうした条件の下にありながらも、作品としての自由度は最も高い。それは言葉を返せば、設定の緻密さには欠けるということでもある。すなわち、あれこれと無理がありながら、それでも半ば強引にプロットを進めて行く。そうした傾向は、巻頭の「めんや 評論家おことわり」にことに顕著である。エンターテインメント小説と割り切ればいいのかもしれないが。篇中でしいて1作を選ぶとすれば、「パティオ8」か。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
大人気おさるのジョージのシリーズ第1弾がこれ。作者は、ともにハンブルグ生まれのハンス・アウグスト・レイ、マーグレット・レイ夫妻。マーグレットが主にお話を、ハンスが絵を担当。お話はしりたがり屋ノジョージが動物園を逃げ出して、街で好奇心のおもむくままに(原題は"CURIOUS GEORGE TAKES A JOB")イタズラの限りを尽くすというもの。誰も咎めないどころか、みんな限りなくジョージに優しい。成功の秘訣はやはり、この憎めないジョージの行動と、巧みに擬人化が施された絵にあるだろう。絵は黒の描線に⇒
Johnnycake
2024/07/21 17:11

いや、私ではなく子供達が…。^_^; うちのは英語版です。

ヴェネツィア
2024/07/21 17:12

Jonnycakeさん、失礼しました。お子様たちのための絵本でしたか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ピーピーエス通信社の写真集。おそらくは手持ちの写真から空港のものを編集したものだと思われる。したがって、空港という意味では一応の統一感はあるものの、時には全体を俯瞰する写真であったり、時にはメイン・ビルディングの外観であったり、また空港内部のロビーであったりと、一貫性に欠けるために立地が鮮やかなものがあるかと思えば、何の特徴も見いだせないものがあったりもする。その点は甚だ残念なのだが、そうは言いつつも空港と飛行機を眺めていると幸せな気分になるのである。最も魅かれるのはネパールのルクラ空港か。
ももしびっく
2024/07/20 21:20

なるほど、空港で数えたことはなかった!と思い、私も→国内10、北米で7、ヨーロッパが6、アジアが10、オセアニアが3、でした〜

ヴェネツィア
2024/07/21 04:56

ももしびっくさん、思い出深い空港もあるでしょう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。七・五調の文語定型詩である。叙景詩ではあるのだが、象徴詩を望見するような趣きが感じられなくもない。それはとりわけ末尾の形象「雪の堆のなかにして りゝと軋れる井戸車 野は楽の音に充つるかな」に顕著であり、西脇順三郎の『アンバルワリア』の持つ晴朗性を思わせるのである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
川成洋・坂東省次 編だが、執筆陣はそれぞれの分野でスペインに造詣の深い人たちが13人。歴史、現代政治、食文化、フラメンコ、言語、現代思想、美術、建築など多方面にわたってスペインの実像に迫る。巻末にはさらに参考文献を付す。2008年の刊行といささか古くなったが、それでも概ね現代のスペインを知るよすがになる。最も興味深かったのは現代建築。ガウディやモンタネールの時代の建築は知る機会が多いが、それ以降については情報も少なかった。サンティアゴ・カラトラバの斬新な建築群は、ぜひ見てみたいものだ。
びわこっこ
2024/07/20 10:33

年金生活では、費用の捻出が難しいです。

ヴェネツィア
2024/07/20 10:46

今はまして円安ですからね。私も次が最後になるかもと思いながら、無茶をしています。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
おのき がく(文と絵)。「あとがき」によれば、作者がアフリカの草原でバオバブの大樹を見て、直観的にプロットが出来上がったそうだ。お話はだちょうのエルフがライオンとの戦いで片足を失い、次にくろひょうと戦って…というもの。絵本の生命は絵にある。版画家でもある、おのきがここでもその力量を遺憾なく発揮している。なによりも、それぞれの動物たちのシルエットのリアルさ(それはとりわけ背景的に配されるその他大勢の動物たちに顕著だ)がアフリカの過酷な自然を見事に表象している。
ヴェネツィア
2024/07/20 07:53

エルフは草原に屹立するバオバブとなって永遠化されるのだが、この飛翔(跳躍)にこそ、この絵本の存在意義が賭けられていたのだろう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
第1連「青き死相を眼にたゝへ 大太刀舞はす乱れ髪」や、続く第2連の「白紙を結ぶすはだしや 死を嘲ける青の隈」などからは右翼的な悲壮感が漂うかのようだ。その姿を想像するに、まさにぴったりなのが三島由紀夫『奔馬』の主人公の勲である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者はフォト・ジャーナリス ト。今回の着眼は日本にある海外からやってきた宗教施設。とりあげられているのは、イスラム教、仏教(ミャンマー仏教、チベット仏教)、韓国キリスト教、東方教会、ユダヤ教、ヒンドゥー教、ジャイナ教、シーク教、道教。イスラム教の東京ジャーミーのように堂々と建つモスクから、ビルの一室にひっそりと存在する宗教施設まで、実に様々。全体を通して思うのは、それらの施設にやって来る人々の宗教的熱意の高さ。カルト集団を除けば、日本の多くの宗教現場では見られない光景である。それにしても、こんなに⇒
Johnnycake
2024/07/19 09:55

やはり既存の宗教よりは新しい宗教の方が熱意は高めだと思います。オーストラリアのキリスト教もborn again系を除けば皆移民に頼っている感が…。移民・外国人の宗教的熱意は高いのかもしれませんが、何よりも宗教施設がそのコミュニティの核となっていて、特にホスト国の言葉や制度に不自由のある人達はそう言った宗教施設に頼らなければ生活していくのも大変だということなのかなと思います。

ヴェネツィア
2024/07/19 11:25

Jonnycakeさん、全くおっしゃる通りかと思います。近隣のカトリック教会も賑わっていますが、若い人の大半はベトナムからやって来た人達です。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
2022年青少年読書感想文全国コンクール高等学校の部の課題図書。中学生にも十分に読めるし、将来の指針としてはむしろ早い方がいいかもしれない。著者の中村玄氏は東京海洋大学の助教(2022年当時)。クジラの骨の研究者として国際的な賞をいくつか受賞している。そんな中村氏の半生を語る自伝。動物の骨との出会いから紆余曲折を経て、現在まで。ひたすらに好きな道を歩むこと、また常に対象を真摯に見ることが、自ずから独創的な研究成果を生み出すのである。読みものとしても面白い。
ヴェネツィア
2024/07/19 07:55

調査捕鯨についても述べられているが(著者は立場上?肯定的だが)ナガスクジラ20頭、ミンククジラ200頭もほんとうに調査にとって必要なのだろうか。そのあたりはやや疑問に思うところ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。七・五調の定型詩。冒頭の「棕櫚の葉」からして何やら意味ありげだが、これは「放蕩息子の帰還」を語ったもの。新約聖書ルカによる福音書15章に登場する、よく知られた逸話。「大工」もまたイエスとの接点を語るか。ただし「スコットランドの貴族風」は賢治のオリジナル。何かよくわからないものの、なかなかに格好いい。実に颯爽としているではないか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
澁澤龍彦の詳細な評伝。書いたのは、晩年の澁澤とも付き合いのあった編集者の礒崎純一。フランス文学者の出口裕弘は澁澤を評して「ハッピー・プリンス」だという。また澁澤の 最初の妻、矢川澄子は澁澤の愛した言葉は「晴朗無上」であり、それはまさに澁澤そのものだったという。さすれば、本書のタイトル『龍彦親王航海記』は、まさにこれ以上ないくらいの命名ではないか。また、香山一郎撮影の表紙写真も澁澤の最上の側面を見事に伝えている。我らが愛する澁澤龍彦に改めて強く惹かれた一書だった。
ヴェネツィア
2024/07/18 11:20

澁澤龍彦は当然のことながら毀誉褒貶も多く、見方によって大きく評価も違ってくる。誰が何といおうと澁澤は我らがもの。澁澤を愛する人には強推薦!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文のハリエット・ジーフェルトはアメリカの絵本作家。絵のアニタ・ローベルはポーランドのクラクフ生まれで、ナチスの収容所に捕えられていたが、終戦を迎え運よく救出された過去を持つ。現在はアメリカ在住の絵本画家。またしても季節外れのクリスマス商品。お話は、実話に基づく。戦後それほども経たないポーランド(?)が舞台。物々交換のような形でアンナのオーバーが出来上がるまでを描く。絵は色鉛筆?で細密に仕上げられたリアリズム画。お金がないこと以外には、戦後の混乱や窮迫は全く描かれない。
ヴェネツィア
2024/07/18 09:56

宵待草さん、いつもありがとうございます。この絵本は反戦を真っ向からはあつかっていませんが、その静かさの中に潜む力はなかなかのものかと思います。

ヴェネツィア
2024/07/18 09:57

タリコさん、なるほど。これは一着のオーバーが出来上がるまでを丹念に追った絵本でもありますね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。五・七調の定型詩。冒頭にいきなり「髪白き山田博士」と固有名詞が出てくるのは唐突感がいなめないが、はてこの山田博士とは誰なんだろうか。彼が今まさに帰りつつあるのだが、その時は「かはたれ」とあるが、早朝だろうか。後半は前半との繋がりが不明だが、「独乙冠詞を 青々となげく窓あり」でともかく結ばれる。「青々と」は「なげく」にかかるのだろうか。はたまた「なげく窓」にかかるのであろうか。いずれにしても珍しい比喩である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のドラ・トーザンさんはパリっ子。ソルボンヌ大学とENA(ここはソルボンヌよりさらに入学難易度が高い。卒業生にはサルトルやジスカール・デスタンなど錚々たる顔ぶれが)を卒業したとびっきりの才媛。彼女が厳選したプロヴァンスの家が18件。いずれも、立地といい、外観といい、インテリアといいプロヴァンスらしさに溢れた素敵な住まいである。お家のオーナーも合気道師範あり、建築家あり、禅僧ありとなかなかにユニークな人たち。羨望の暮らしである。
奥澤啓
2024/12/09 14:03

ヴェネツィアさん、ご無沙汰しております。相変わらず、大変な読書量ですね。ドラ・トザンとはFBで交流があり、フランス語でやりとりしています。NHKのテレビ・ラジオ双方で講師を務めたことがある方ですが、あれほど、きれいなパリの発音は知りません。

ヴェネツィア
2024/12/09 15:55

奥澤啓さん、たいへんだったでしょうが、お母様も90歳で安らかに旅立たれたのでしょう。私はもう何年か前に両親を相次いで亡くしましたが、今思えば後悔することばかりです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
普通の絵本とちょっと違うのは、副題にあるように「鶴巻幼稚園・市村久子の教育実践による」といった条件下で描かれているため。赤羽末吉の作・絵だが、絵も他の赤羽作品とは大きく違っている。園児たちをはじめ、ほとんどが極めて単純な線で構成されている。そう、あたかも園児が描いたかのような(実際、こうはいかないだろうが)。色も黒の線画においもの赤だけが用いられている。この教育実践からわかることは、想像力の涵養にこそ幼児教育の究極の目的があることか。
ヴェネツィア
2024/07/17 08:03

1972年の初版以来、優に100刷をはるかに越える人気作のようだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
嘉吉と、おみち夫婦の盆休みの十六日のほんの一時を描く。自然主義風のスタイルをとった小説。この日は、二人にとって年にわずかに2日しかない鉱山の休日というハレの日である。そこに、ふと一人の学生が仙台からここにやって来たことによって、波風が立つのである。あるいは、そのことによって一層に嘉吉とおみちそれぞれの感情の在り処や暮らしぶりがあらわにされるということでもある。モーパッサンの短篇を思わせる小品。こういう賢治もあったのだ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
今村翔吾の文体と語りの方法に慣れたのか、上巻よりは小説世界に投入できたように思う。この小説の眼目は、匡介を頂点とした石積みの穴太衆と、彦九郎を頭とあおぐ鉄砲鍛冶の国友衆に主軸を置き、大名をはじめとした武士たちの戦国乱世ではなく、あくまでも技術者の側からそれを描いて見せたことにあるだろう。そのことによって、間接的に京極高次や立花宗成らをも描き出したのである。そして、その限りではそれは成功を収めているだろう。一方、彼らに共通の目的であった戦乱を終わらせる云々は、余計だったのではないか。
ヴェネツィア
2024/07/16 16:26

本書は第166回直木賞を受賞している。なお、私は「献本プレゼント」に当選して入手した。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ブレヒトの反戦詩を長谷川四郎が翻訳し、高頭祥八が絵を描いている。タイトルは原題"Kinderkreuzzug 1939"から年号を省いているが、そのまま。1939があった方がいいと思うが、本文の冒頭には書かれている。この年は、ポーランドにとっては忘れることのできない年である。ヒトラーのナチスがポーランドに侵攻し、国土を割譲。1000万人以上(うちユダヤ人300万人以上)が殺された。ブレヒトの詩はそのことを痛切に伝える。また、やはり強いタッチで描かれる高頭の絵も訴求力が強い。
mitu
2024/07/16 07:32

ヴェネツィアさん、おはようございます。長谷川四郎氏は、かなり翻訳したらしいですが、このように具体的に役立つ書の翻訳なのを目にすると、故人ですが感謝ですね。

ヴェネツィア
2024/07/16 09:35

mituさん、おはようございます。本書の訳文は、やや硬い調子でしたが、原文がそうだったのかもしれません。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
物語の舞台は特定されていないが、花巻あたりであろうかと思われる。この地では、十月末はもう初冬だろう。あるいは、これから冬に向かう最も美しい季節であるのかもしれない。嘉ッコのありふれた日常を描くが、みそさざいの声、水の流れる音(天邪鬼の小便の音?)、雹の降る音などが時間の進行とともにオノマトペを伴って展開する。巧まないメルヘン、あるいは散文詩風の物語。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
今村翔吾は初読。時は戦国時代の末期から秀吉が没するまで。城の石垣を築くことに特化した穴太一族の匡介を軸に物語が展開する。一方では攻撃をこそ本分とする国友衆の集団がいる。構図としては、全く矛楯そのものである。また、国友衆の論理は銃砲を私有することが安全に繋がるといった、アメリカのライフル協会ばりのそれである。上巻の限りでは、そうした図式的な構造の硬さばかりが目立つようだ。京極高次や初、夏帆を登場させることで、小説に膨らみを持たせることを図ってはいるが、残念ながら人物像の物語内での自由度がいずれも低い。
キヌギヌ
2024/07/15 21:47

ヴェネツィアさんがここまで辛口な本は珍しいですね……。気になっていましたが、優先度が下がりました笑

ヴェネツィア
2024/07/16 04:23

キヌギヌさん、下巻に入りましたが、かなり盛り返しつつあるようです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
アーノルド・ローベル作。5つのお話から構成。いずれも登場するのは、ふくろうくんただ一人。物語の形式は、ふくろうくんと冬、あるいはふくろうくんとお月さまといった、対象を持つものか、あるいはふくろうくんの一人語りである。思えば孤独な絵本である。絵もまたそれにふさわしく、華やいだところはなく、やや暗い。内容、絵ともにある程度の年齢以上の子ども向きかと思われる。
亀吉てくてく@断捨離チャレンジ中
2024/07/15 09:15

独特な、静かなユーモアの世界が好きでした。

ヴェネツィア
2024/07/15 11:09

亀吉てくてくさん、私は今一つピンときませんでしたが、評価が高いのはわからなくはありません。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書はユーミンのデビュー50周年を記念して企画されたもの。6人の高名な女性作家たちが、それぞれに自分の好きなユーミンの曲を選んで書き上げた小説が6篇。私も、これらの曲をYouTubeで聴いて(ユーミンのステージを見て)みたのだが、たしかにユーミンは多くの同時代の人たちの共感を得ながら一つの時代を駆け抜けていった稀有な人であったとの思いを新たにした次第。さて、本書の6篇だが、いずれも多かれ少なかれ時代性を背負っている。そして、それぞれの作家の文体で語られるユーミンと「私」の時代の物語である。
瑞穂
2024/07/14 21:44

ユーミンは10代の時から好きで今も聴いています。好きな作家さんがどんな物語を書いているのか、是非読みたいです☺️

ヴェネツィア
2024/07/15 06:02

瑞穂さん、面白い企画でしょう。是非。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
長新太(作・画)。トビウオ型の飛行機に乗り込んだネコたち。最初のページと最後のページ以外は(それとてもあまり変わり映えはしない)ひたすらに「ごろごろ にゃーん ごろごろ にゃーん と、ひこうきは とんでいきます」の繰り返し。もうひたすらこればっかり。その間、絵はページごとに微細な変化と新たな視界を獲得しながら進んで行く。ちなみに絵のタッチも手抜きかと疑われるくらいに、きわめてラフ。読み聞かせる側も楽?それともかえって工夫が必要?子どもたちは絵からいろんなものを発見して大喜び?
おにく
2024/07/14 16:11

ヴェネツィアさんの感想を読んでの印象てすけど、この本はきっと子どもの寝かしつけに最適かと思います。

ヴェネツィア
2024/07/14 16:21

おにくさん、「ごろごろ にゃーん ごろごろ にゃーん」のリズミカルな繰り返しに、寝てしまうかも知れません。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
七・五調の文語定型詩。内容からは若き日の詩かと思われる。まだ何者でもありえない「われ」。その一方で何者かになり得る「われ」。終わり近くの「群うち縫へるこのみちを わがためにこそひらけかし」、そして末尾の1行「霧の中より光り出づるを」は賢治の希求であろうか。それは結果として見れば、世俗的にはかなえられたとは言い難かったかもしれないが、賢治は詩人としては今も輝き続けている。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレ19世紀初頭に書かれた作品の持つ、実にゆったりとした時間で進行してゆく。残りのページ数がしだいに少なくなってきた時には、はたして結末がつけられるのだろうかと案じたが、ともかく着地はした。しかも、ファニーにとっては、最良とはいえないまでもエドマンドを勝ち取ったのだから、満足のいく結末だっただろう。それにしても、終幕部は急転直下、一気にプロットが進行する。けっしてありえない展開ではないものの、また全く無理がないとも言えないだろう。なにしろ、何人もの運命が短時間のうちに大きく変わってしまうのであるから。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
知らなかったのだが、本書は富安陽子(文)、大島妙子(絵)のコンビで製作されたシリーズの3作目だった。「オニのサラリーマン」シリーズは「オニ」と「サラリーマン」という、本来は同居することがないものを、あえて合体させたところに成功の秘訣があったのだろう。ただ、そこにはいささかもシュールな味わいといったものはない。たまたま思いついてやってみたら上手くいったというところか。お話も絵も、いい意味でも、またそうでない場合も、出たとこ勝負という趣き。そのお気楽さがかえって良かったか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。破調のない五・七調の定型。近景と遠景の対比、そして地上と空への上昇、「翔け行くは」と「落ちくるは」というような対比構造が詩を構成する。また、「二価アルコホール」などという表現は賢治らしい。詩全体の表象は淋しさを湛える。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
サルディーニャは、西ヨーロッパの旅行先としてはコルシカと並んでマイナーな存在。シチリアにはギリシャ遺跡や中世の遺稿が数多くあるが、サルディーニャはヌラーゲとぐっと地味。私も行ったことはないが(もちろん、行きたいとは思っている)現在、この島のビーチ沿いは軒並み高級リゾートが林立しているそうだ。本来は素朴な島であったと思う。ここに紹介されている家庭料理も華やかさよりは"実"と、そして微細なヴァリエーションを楽しんでいるようだ。「手作りパスタの宝島」なのだそうだ。種類も実に豊富な上に手が込んでいる。
ヴェネツィア
2024/07/12 16:47

そして、やはり地中海のシーフード料理が美味しそうだ。食文化の上からはカタルーニャに近いようだ。歴史的にも関係が深かったのだろう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文は谷川俊太郎、絵はデザイナーの皆川明。かなり奇妙な絵本。文も絵も。タイトルの「はいく」は俳句だろうか?音数からすればそうだ。例えば「おしめしべ まだのんなりむ かふっふん」。どのページもこんな感じで意味不明。だからこそ純粋に音が面白いのだ、といえばそうだ。絵もまた表紙の絵が示すように、抽象と具象のあわいっぽいもの。ちなみに、この絵に付された句は「んぱぶさな けしきひろびろ あっぺくも」。大人は楽しめると思う。さて、子どもたちはどんな反応だろうか?
ドラマチックガス
2024/07/12 14:19

失礼します。うちの子は保育園時代から大好きで、何度も音読してはそのたびに大笑いしていました。小学校高学年になった今でもたまに読んで大笑いしています。音読すると、絶妙な心地よさやおもしろさ、黙読では気づかない読みづらさなどがあって、さすが谷川俊太郎と思わされます。

ヴェネツィア
2024/07/12 16:35

ドラマチックガスさん、たしかに音読する方が真価が伝わるようですね。それにしても頼もしいお子さまです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
完成稿と思われる童話。「もう空に、透き徹とほった秋の粉が一面散り渡るやうに」なった夏休み最後の一日の達二を描く。疾走した牛を追って、北上山中の種山ヶ原の懐深くに分け入ってしまった達二がいつしか幻想の光景に巻き込まれる。異界への接点は不分明だが風が吹き、やがて霧に包まれてゆく。最初が勇壮な剣舞の光景、次いでは小学校の教室、そして見知らぬ女の子との遭遇、最後は山男との闘いを経て現実世界に帰還する。そうはいっても、この世界と達二の経験した幻想世界とは一続きである。あえて主題を求めるならば「通過儀礼」の物語と⇒
ヴェネツィア
2024/07/11 17:08

⇒いうことになるだろう。そして、それはこの世界が内に秘めている神秘なるものが開示され、達二それをが垣間見た時間であった。実に素晴らしく、感動的な作品。お薦め!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書の刊行は1814年。およそ200年前である。ここに流れる時間は現代と違って随分ゆるやかだ。この時間の流れに身を委ねていること、これぞ19世紀小説の醍醐味である。さて、物語はイングランド中部の田園地帯マンスフィールドを舞台に展開する。主人公は(主人公と呼ぶほどには際立たない存在なのだが)この地の準男爵バートラム家に引き取られた少女ファニーである。彼女は、他の誰よりも感受性に富んでいるのだが、それは表面に表されることはなく、あくまでも内に秘められている。行動もまたそうだ。そして、そのことが逆に他の人たち⇒
ヴェネツィア
2024/07/11 16:50

⇒の行動や感情を露わに浮き彫りにしてゆく。この作品でジェイン・オースティンがとったのはそうした方法であった。そのことが最も顕著な形で表出されるのが、家庭劇の後半部であろう。彼女自身はエドマンドに想いを寄せているようだが(もちろん、それとても密かにである)、一方で思いがけずもヘンリー・クロフォードから求愛を受ける。さて、下巻の展開や如何に。久しぶりに堪能できそうな19世紀小説である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
宮沢賢治原作の同名童話を男鹿和雄が翻案し絵を付したもの。男鹿は『となりのトトロ』などのアニメ作品の背景画製作および美術監督を務めた人。原作との校合は行わなかったが、あとがきによれば原作からの最大の改変点は、木霊の伊藤君への最後の台詞であるようだ。余計な付け加えに思えるが、それもまた解釈だろう。絵は、人物像は漫画っぽく、今一つパッとしないが、背景(風景)はさすがに凝っている。ことに馬の登場するシーンは美しい。
ヴェネツィア
2024/07/11 08:12

青海苔若芽(あおのりわかめ)ちゃん、原作がいいのか翻案がいいのかを検討しようと思っています。

Lio🍜@碧の親友 【エドガーとペア画予定】←ペア画像はもう決まっています。
2024/07/11 08:12

そうですね。そうするといいと思いますよ~!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
七・五調の文語定型詩。わずかに第2連の末「百千鳥 すだきわぶる」だけが定型を破るが、そのことがかえって詩に生命を与えているか。内容からすれば伊豆大島で詠まれたか、もしくはそこにいることを想定して詠まれた詩だろう。叙景の描き方からすれば、やはり現地で詠まれたとするのが妥当か。賢治の日頃目にする花巻の景色からは遠く、彼にはエキゾティックな景と映ったことだろう。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『紫式部日記絵詞』(絵巻と表記される場合も)は、鎌倉時代の初め頃(13世紀前半)に成立したようである。現在、完本はなく、いくつかの伝本、断片が分散して所蔵されている。日記を絵巻にしようとした発想は私にはよくわからないが、王朝文化が消え果る前に、紫式部の書き残した世界を絵の形でも残しておこうと考えたのだろうか。絵の感じは『源氏物語絵巻』(平安末)によく似ていると思う。そして、出典が物語ではなく日記であるだけに、こちらの方がよりリアルな王朝像を伝えるのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』の新訳かと思っていたが、本書はその上にさらに訳者の森田真生によるオマージュ「僕たちの『センス・オブ・ワンダー』」が付け加えられている。カーソンのそれがメイン州であったものが、ここでは京都の東山の麓である。訳出のかたわら、森田は自身の子どもたち(長男=4歳~7歳、次男=1歳~4歳)とともに、この家の庭や菜園にやってくる虫たちやカエル、あるいは季節ごとの鳥などを通じて自然のサイクルを感じ、数々のワンダーを得る。長男が初めてモリアオガエルを捕まえた時、また初めて⇒
みつばちい
2024/10/23 00:56

ヴェネツィアさん,初めまして。私も全く同じように「息子たちのお母さんのこと1ミリも触れないな」と思いながら読みました。内容はとてもよかったのですが。著者自身の研究や仕事の話や妻の話がチラッと出てきても面白く読めたなぁと思ったり。でも自然と子どもに重きを置いて話をしたかったのかなとも思いました。

ヴェネツィア
2024/10/23 06:26

みつばちいさん、子どもたちのお母さんが全く登場しないのは、やはりふしぜんよね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
レオ=レオニ作。訳は谷川俊太郎。お話は、自分が何の部品かわからないペツェッティーノ。自分探しの旅に出る。最後はめでたく…というもの。レオニだけあって、生命はやはり絵にある。シンプルで小さな四角形(ペツェッティーノは鮮やかなオレンジ色)が中心の、半ば抽象画である。色とフォルムはクレーを思わせるが、時としてまたミロのようでもある。幼少時からこんな絵に親しむのもいいのではないだろうか。
ヴェネツィア
2024/07/10 08:13

”Pezzettino”って、いかにもイタリア語らしい可愛い響きだ。ちなみに「小さな部分(部品)」の意。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
タイトルに「番外地」と銘打たれているように、正編そのままの続きではなく、スピンオフ編。正編でお馴染みの星や由良も登場する一方、新たな登場人物も。7つの短篇を収録するが、多田と行天はやや一歩退いた位置から語られることになる。そのせいか、今回の行天はかなりな程度に普通であり、破天荒さには欠けるか。また、番外編ということもあってか、いささか不道徳であることも辞さない構えである。ことに最初の「光る石」などでは依頼者の由香里が気の毒になるほど。これでは、もうほとんど裏切りに近いではないか。
ヴェネツィア
2024/07/09 15:36

「星良一の優雅な日常」も、またさりげなく不道徳である。もっとも、そうしたことに目をつぶれば、エンターテインメント小説としては相変わらずよくできているのではあるが。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
アーノルド・ローベルの"Frog and Toad"シリーズの1冊。これもいつものスタイルで、登場するのは、ちょっとボケ役のがまがえるくんと、つっこみ役のかえるくん。やはりお話が中心で、絵は従属的な位置に置かれている。原文もそうなのだろうが、三木卓の訳でも「よていひょう」や「いしりょく」、「げいとう」など小さな子どもたちには聞きなれない言葉が用いられている。そう。背伸びは必要なのだ。絵は相変わらず飄々と。これが人気のシリーズである秘密は何なのだろう。
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ヴェネツィア
この巻はバルセロナ。街の歴史をたどり、現代のバルセロナを語るというもの。著者の神吉敬三氏は美術史家でスペイン美術の権威。地中海の港湾都市バルセロナの歴史は、遠くフェニキアあるいはカルタゴの時代にまで遡る。ただし、遺構が残るのはローマ時代から。そこから延々と中世都市として発展し、ルネサンス、ゴシックを経て近代のガウディとカタルニア・モデルニスモの時代、そしてピカソにミロと枚挙にいとまがないほどに稀有の芸術と文化の街であり続けた。さすがに見どころは多いし、その魅力が尽きることがない。
kakoboo
2024/07/08 23:05

観光税は今年2回目の引き上げ、将来的な民泊の禁止、それでもそう簡単には観光人気は衰えない印象です。ガウディ建築の圧倒的な存在感やその他の魅力的な施設の多さが観光都市としてのプレゼンスを高めているのだとは思いますが、予約の取りづらさ、宿の高さ等、観光するにも色々と大変です。 個人的にはアンダルシアも観光の魅力は負けていないと思います。宿も安いですし。夏の異常な暑さとアクセスが課題ですが…

ヴェネツィア
2024/07/09 03:47

kakobooさん、私も次の旅行先はバルセロナとマラガとで迷ったのですが、結局バルセロナを選びました。

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ヴェネツィア
本書は中勘助『銀の匙』に安野光雅が挿絵を付した特別版。入手した時はこれは豪華でいいなと思ったのだが、読後は必ずしも必要はなかったかなと。むしろ、シンプルに岩波文庫版を読むべきであったか。小説は、おそらく中勘助自身の幼児からの体験に基づいたものであると思われるが、私小説風にではなく、その後の意味付けを含んだ回想として書かれている。大正2年の刊だが時代の風潮、とりわけ男の子は男らしくといった価値観(それを端的に表象するのが兄である)の中で内向的な少年の心情がよく捉えられている。たしかに情けなくなるくらいに⇒
おか
2024/07/08 21:27

中勘助さん 吉行淳之介さん あ~~~~読みたい人ばかり( ´艸`)

ヴェネツィア
2024/07/09 03:49

おかさん、『銀の匙』は長編とはいえ、短いですよ。もっとも、その割には読むのに時間がかかりますが。

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ヴェネツィア
文は岸田衿子、松竹いね子、谷川俊太郎の共同執筆。絵は堀内誠一。No.1「はるのごう」からNo.4「ふゆのごう」まで計4号。全体を引き締め、見事に統括しているのが堀内の絵。なんといっても楽しさに溢れている。執筆陣もみんな大いに楽しみながら記事を書いたのではないだろうか。編集がまた絶妙。巻頭特集もコラムも、どの号も秀逸。実用的な「まいごコーナー」まである。さらには「むささびペンション」など、いくつかの広告まであって、もう百花繚乱。こんな新聞を定期購読したいものだ。お薦め!
ヴェネツィア
2024/07/08 14:47

烏山ちとせさん、なんだったのでしょうね。「イルカのすいえいきょうしつ」?「まほうつかいたいかい」?「きのぼりこんてすと」?どれもなかなかに魅力的ですから、それは参加したくなるでしょう。

烏山ちとせ
2024/07/08 19:42

まほうつかいたいかいに出る予定でした。(泣)3匹の宇宙猿の連載がよかったですね。

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ヴェネツィア
タイトルにいう「疾中」(疾は疾病の疾であるから、やはり病気の意だろう)そのままに病の詩が未完や断片を含めて30篇ばかり。この時期の賢治はかなり重篤な病に侵され、苦しんでいたのだろうか。詩の内容からすると、賢治自身のことであるとしか思えない。もう一つの可能性は、病をテーマに様々な手法の詩を試みていることからすれば、詩の実験であったかということである。
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ヴェネツィア
著者の今井 寿氏はOSTERIA Piccione"のcuoco (シェフ・当時)。本書はイタリア全20州から選りすぐりの郷土料理を紹介。もちろん、カラフルな写真入り+レシピも。アンティパスト、プリモ、セコンド、パン、ドルチェの章立て。いずれも、いたって魅力的なのだが、すさまじいばかりのカロリー量ではあるまいか。例えば「ウナギのオリーブ油風味」は、ウナギが一人前で半匹。また、「牛胃袋の煮込み、おばあちゃん風」もトリッパがたっぷり。なにしろ、これらはまだアンティパスタなのである。これからプリモ、セコンド⇒
ヴェネツィア
2024/07/07 16:52

⇒へと進み、最後はこれまたたっぷりサイズのドルチェでようやく解放される。強靭な胃と体力が必要そうだ。

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ヴェネツィア
作者のマレーク・ベロニカはブダペストの絵本作家。主人公の少年ラチという聞きなれない名前はハンガリー語の固有名詞であったゆえ。お話は、よわむしのラチが心の内なる勇気(ライオンはそのシンボリックな姿の可視化だろう)に励まされて、勇敢な男の子に成長するというビルドゥングス・ロマンのスタイル。絵はシンプルな線画にこれまたシンプルな彩色をほどこしたもの。全体のタッチはフランス風か。6:4くらいの割合で文に比重が置かれている感じだ。
ガーネット
2024/07/07 08:39

この絵本は、不思議な不思議なご縁がつながって、ベロニカさんの直筆メッセージが添えられたご著書が、いま私の部屋の棚で、らいおんのように守ってくれています(*´꒳`*)

ヴェネツィア
2024/07/07 08:48

ガーネットさん、それはまた得難い本ですね。どういうご縁だったのやら。

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ヴェネツィア
著者の小林照幸はノンフィクション・ライター。いろんなジャンルを手掛けているが、今回は「14歳の世渡り術」シリーズの一環で本書を書いている。こうした制約のせいか、文体はやや硬く、時として教訓めいた調子に陥ったりもしている。2010年の出版物なので、統計はいささか古いが、2008年時点では飼育されている犬と猫の総数は約2700万匹だとのこと。そして、なんと殺処分される犬が84264匹、猫が202228匹にもなるそうだ。意外にも猫の方が多いのである。いずれにしても驚くべき数字である。
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ヴェネツィア
真夏にクリスマス・ブックというのも、思いっきり季節外れなのだが、ターシャ・チューダー繋がりでここに。この人は19世紀の生活にこよなき愛着を持っているので、クリスマスもまた一昔前のスタイルで。アーミッシュのクリスマスは知らないのだが、こんな感じなのだろうか。すべてにおいて手作りというところがなんともいい。アドヴェントの始まりを聖ニコラスの誕生日の12月6日にというのも、モミの木を24日に切って25日に飾り付けをするというのはアメリカン・スタイルなのだろうか。それともデンマーク流?
ヴェネツィア
2024/07/06 17:28

絵はいつもより人物像が多いようだが、タッチはここでもチューダー・スタイル。ドール・ハウスが素晴らしい。

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ヴェネツィア
作者不詳。成立も江戸期としか。絵から察するに文化・文政期頃(少なくても江戸中期以降)のものだと思われる。内容はタイトル通りに中国の「怪奇鳥獣」を描いた図譜で、それぞれの項目ごとに短い詞書が添えられている。『山海経』(中国の地誌)によることが明らかだが、出典はオリジナルなもの(前漢末・紀元前1世紀頃)ではなく、清代(本書の解説者・伊藤清司氏)のものであるらしい。多くはそれほど荒唐無稽なものではなく、むしろいかにも何処かに存在しそうなモノたちである。また、日本のそれらとはかなり様相を異にする。直接に伝わった⇒
ヴェネツィア
2024/07/06 07:57

⇒のは「九尾の狐」くらいのもの。「天狗」は名前だけは伝わったものの、中国では文字通りに天の狗(いぬ)であり、日本のものとは全くの別物である。全体はカラフルで楽しく、いかにも江戸の博物学趣味に叶うものである。

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ヴェネツィア
シリーズ第4弾はアマチュアの学生チームを描く。主人公の岸田正樹は大学に入学したばかりだが、ふとしたことが契機となって自転車部に所属することになる。彼のこれまでのスポーツ歴は柔道のみであり、およそ畑違いだ。1年上級の櫻井、2年上級で部長の村上らとの接点を深めながら、正樹は自転車乗りの才能を開花させてゆく、といったお話。正樹にも、櫻井にも消し難い過去があるのだが、その超克がメインプロットの背景にはある。ただ、アマチュアとしての新鮮さはあるものの、逆に言えば甘さもあり、小説もまたその宿痾を逃れられなかった。
ヴェネツィア
2024/07/05 16:56

今回もなかなかにスリリングではあり、面白くはあるが、過去の介在は夾雑物ともなり、第2巻のツール・ド・フランス篇のような目くるめく興奮を再現することはできない。あれがシリーズの頂点だったのか。あるいは第5巻で再度巻き返すのだろうか。

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ヴェネツィア
アメリカの絵本作家、アーノルド・ローベル作。この人は、このシリーズをはじめとしてたくさんの絵本を描いている人気作家。訳は詩人・作家の三木卓。5つの短篇物語を収録する。登場するのは、いずれも親友同士のかえるくんとがまくん。絵本だが、本書は絵よりもお話に主体がありそうだ。対象年齢はやや高めかと思う。いずれも、なんのことはないお話なのだが、自然主義文学風の(しいて言えばフローベール風)リアリズムが貫かれている。絵は擬人化はされているが、やはりことさらに可愛くは描かれておらず、これもいわば自然主義風である。
ヴェネツィア
2024/07/05 12:46

YuriLさん、シリーズで何冊かあるそうですが、私は全く初めての出会いでした。

YuriL
2024/07/05 12:55

そうそう、『ふたりはいっしょ』も持ってました💖

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ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。およそ宮沢賢治とも思えない、この濃密な世紀末風ロマンティシズムはなんとしたことだろう。たちどころに想起されるのは、まずポーである。次いではボードレールか。死への強い傾斜と、月の光にも喩えられる、凍るように冷涼な空気。魔物さえも現れることを拒絶するように、徹底して空虚な夜のアトモスフィア。
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ヴェネツィア
ル・コルビュジエがレマン湖畔に両親+犬一匹のために設計し、建てた床面積54㎡の文字通り「小さな家」。普通は先に立地があるのだろうが、この家に関しては設計が先。両親が老後を過ごす上で、理想的な建物を構想し、然るべき後にそれに相応しい土地を探したのである。家の窓からレマン湖まではわずか4m。敷地面積は300㎡。風光明媚を絵に描いたような所。外観はコルビュジエらしく、いたってシンプル。何よりも機能重視である。後半には、その後の補修も語られているし、コルビュジエ自身のデッサンも。小さな本だが、まさに充実した内容。
Himeko is not cat
2024/07/05 22:52

コルビュジェお好きですか😊建築学生時代にラトゥーレット修道院やユニテダビタシオンに泊まった素敵な思い出がありまーす✨

ヴェネツィア
2024/07/06 04:17

Himekoさん、どちらもル・コルビュジエらしいモダンな意匠の建物ですね。

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ヴェネツィア
『神去なあなあ日常』の続編。やはり主人公、勇気の一人称語り。正編では、勇気の林業ライフが緊張感を伴いながらスピーディに語られたが、あれから1年が経って勇気の語りもすっかり余裕である。今回は全七夜から成り、神去村のあれこれと、勇気のその後が語られる。正編を読んでいて親近感があるせいか、はたまた語りに一層の磨きがかかったからか、前作以上に面白い。面白さの点では「神去村のクリスマス」が頂点か。神去村と、そこに暮らす人々の特異点となんとも言えない暖かさに満ちた物語が展開する。続きを読みたくなること必定なのだが⇒
ヴェネツィア
2024/07/04 08:09

⇒どうやら続きはなさそうだ。残念だとは思うが、またそれでいいようにも思う。あの山のあなたに神去村があって、今日も勇気たちがそこで暮らしているのだと想像する方が。

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ヴェネツィア
ピーター・スピアー(『ノアのはこ船』)作。お話は両親が1日出かけた間に、子どもたちが家のペンキ塗りに励んだというもの。子どもたちは「きっと みんな よろこぶよ!」とワクワク。オープニングは瀟洒なお家。アッパーミドル風。絵はどのページもいたってカラフルで、この題材を大いに活かすもの。子どもたちも(犬まで)何色ものペンキまみれ。そして、見事にペンキ塗りが完成!みんなよろこぶ...はず。
ヴェネツィア
2024/07/04 10:04

そうかも知れませんね。子どもたちはドロンコ遊びも大好きですから。

yomineko
2024/07/04 10:05

あ、汚れは子どもの特権ですよね(笑)ガタリンピック、子どもじゃないですが参加したいです✨✨✨

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ヴェネツィア
宮本常一は初読。以前から読もう読もうとは思っていたのがようやく。最初はやはり本書だろう。歩く(旅する)民俗学者、宮本常一の原点がここにも見られると思うからである。出版されたのが1960年なので、調査行は'50年代後半か。わずか60数年前とは思えない日本各地の姿がここにある。とりわけ愛媛県と高知県の県境あたりはもはや秘境感さえただよう。病の道なるものまであったそうである。また、たしかに西と東では同じ日本とはいえ、様々にその様相を異にするようだ。「語り」の宮本民俗学は、おおよそこうしたものであったのか。
ヴェネツィア
2024/07/03 16:39

いたって表層的な感想になってしまいました。残念。今回は敗北。

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ヴェネツィア
今までに読んだ柚木麻子の作品の中では(とはいっても、まだ4冊目)最も軽やかなタッチ。聖鏡女学園(モデルは作家自身の通った恵泉女学園だろう)中等部の2年生のクラスを描く。物語の核となっているのはいわゆるスクール・カーストだが、深刻度はない。むしろ、女子校の持つ雰囲気と、彼女たちの日常を共にすることで共感を楽しむことができる。ノリスケ(語り手)、チヨジ、スーさん、リンダさん、そして王妃。ニックネームのネーミングにもリアルを感じるのである。柚木麻子さんにとっても楽しい日々だったのだろう。
けいこ
2024/07/03 08:40

娘が3月に恵泉女学園を卒業しました。いい意味で、自分は自分、人は人な学校でかなり居心地が良かったみたいです。柚木作品は乗りきれない作品もまぁありますが、こちらは面白そうですね。

ヴェネツィア
2024/07/03 09:18

けいこさん、恵泉ってきっとこんな雰囲気だったのだろうなと思われる作品でした。みんなの感性に共感できます。

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ヴェネツィア
ジョン・ヴァーノン・ロード(絵と文)はイギリスのイラストレーター。巻末の作者紹介によればパン屋さんの息子とのこと。どうりで…。お話は、ハチの大群の襲来に困った人たちが巨大なジャムサンドを作って、ハチを殲滅するというもの。絵は線画に鮮やかな色で彩色したもの。遠近感の表現に特徴があり、イギリスの田園風景が郷愁を誘う。人物の描き方はフランス漫画風。ハチが一方的に駆逐されるのには抵抗を感じる人(や子どもたち)もいるかもしれない。
勇魚
2024/07/03 17:01

この本大好きです!!子供らも大好きで、絵はもちろん100しゅうかんのだいえんかいとかおやしきのだんなのはげあたままで、とか文章も面白いですよね~。

ヴェネツィア
2024/07/03 18:05

勇魚さん、文章も人気が高く、評価もいいようですね。

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ヴェネツィア
『注文の多い料理店』に収録された1篇。タイトルにいうごとく、鹿踊りのはじまりの由来譚を語る。民話語りの調子ではじまり、途中からは会話文が多用され、現在時として可視的に展開する。賢治の工夫でもあり、またそれが成功してもいるだろう。鹿たちの擬人化も半ばまでにとどめられており、したがってメルヘンに解消することはない。そして、その鹿たちの動きが、まさに鹿踊りになっていったのである。文末の1文「苔の野原の夕陽の中で、わたくしはこのはなしをすきとほつた秋の風から聞いたのです」はことさらに秀逸。
大粒まろん
2024/07/02 19:31

こんばんは、読ませていただきました。最後の一文でハッとなりますね。まさに秀逸でした。ありがとうございました😊

ヴェネツィア
2024/07/02 21:36

大粒まろんさん、たしかに方言のリズムと語調とが独特の暖かみを持っていますね。ほれもまた賢治ならでは。

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ヴェネツィア
著者の佐野みどり氏は日本美術史の研究者で絵巻がご専門。『源氏物語絵巻』の成立は12世紀中頃、いわゆる院政期であるとされている。もともとは全54帖のすべてがあったのだろうが、現存するのはおよそ1/3くらいである。しかも、本書の冒頭ちかくに紹介される「関屋」などは損傷も激しい。一方で「鈴虫」や「竹河」などのように比較的状態の良い巻も残されている。いずれにせよ王朝期の貴族社会の風俗資料としては第1級のものである。ここから「雅び」や「もののあはれ」を感得できるかといえば、そうでもあり、そうでもないと微妙なところ。
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ヴェネツィア
五味太郎の絵本。お話はいたってシンプルで、よおちゃんとおばあちゃんが互いに会いたくて何度もすれ違いというもの。幼少期の子どもたちは同じパターンの繰り返しに無上の快感を覚えるようだ。この類型の多いこと多いこと。それは人間が本来持っている初元的なものに発するのだろうか。さて、この絵本だが、生命はやはりあの飄々とした伸びやかで明るい絵にある。みんなの演劇的な表情もいい。ついでにネコやヤギまでが。
yomineko
2024/07/02 07:19

ヴェネツィアさん、おはようございます😊おばあちゃんとおじいちゃんに会いたいですが、天国に。読みたい本に登録させて頂きました📚

ヴェネツィア
2024/07/02 07:33

yominekoさん、おはようございます。五味太郎らしい絵本でした。

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ヴェネツィア
全13話からなる連作短篇集。第1話から最後まで連関性を持ち、全体として円環を結ぶ構成をとっている。同時に各話の独立性も保たれつつ、表題の青い壺が物語の核として機能するという構造である。ただし、この壺は作者、庄造の畢生の作品なのだが、その扱われ方は各話さまざまである。どの短篇もなかなかによくできており面白いし、有吉佐和子の文体もまた古さも感じさせない。この作品群の一番の妙味は、やはり人物像の造型の確かさにあるだろう。さすがにヴェテランの練達の業を感じさせるのである。私は第9話が面白かったが、他もほぼ同等。
るい
2024/11/24 08:35

有吉佐和子先生の節度と上品さを感じさせる文章だからこそ今でも読める気がしますね。今ならラノベというのになりかねない感じです。(今の作家さんを貶めているわけではないのです。時代の空気というか・・・)

ヴェネツィア
2024/11/24 08:42

るいさん、読みやすい小説ではありますが、さすがの貫禄です。

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ヴェネツィア
ターシャ・チューダーの絵本。お話の核を担うのは乗馬ならぬ乗ヤギのレース。もっとも、絵本全体としては村で行われるフェアーを描くことにある。物語の舞台はニューハンプシャーの西、バーモントの東にあるコーギビル村(おそらくは架空の町)。登場するのは擬人化されたコーギーやネコ、他の動物たち+ボガート(トロールの一種)。もう何年も前のことになるが、オレゴンのカントリーサイドで行われた年に一度のカウンティ・フェアに行ったことがある。木でできた移動式のメリー・ゴーラウンドなどの遊具があり、ホットドッグの屋台がたくさん⇒
ヴェネツィア
2024/07/01 08:40

宵待草さん、隠れ共読本が結構ありそうですね。今月もどうぞよろしくお願いします。

宵待草
2024/07/01 08:53

追伸 先ほども発刊社違いの、共読本『シグナルとシグナレス』のレビューへ、後れ馳せながらコメントさせて頂きました。 登録以前の既読本!&同じ本でも発刊社違いの本!などを全て並べたなら!🤭 かなりの冊数かと!😲何時も思いつつ、感謝です!🍀 宵待草

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ヴェネツィア
第3巻は写真家篇。現代の日本で活躍する新鋭からヴェテランまで100人の業績を紹介する。一方には岩合光昭や田沼武能、細川英公。新進では1967年生まれの(本書の出版は1997年)小林良造をはじめ'60年代生まれが何人か。また、手法や画題に関しても、方やオーソドックスな風景写真や人物写真、また従来の写真表現の枠組みを超えていこうとする前衛写真まで実に様々。現代の写真シーンを俯瞰するにはいいのだが、個々の作家の写真は見開き2ページのみであり、写真の選択もやや恣意的な感の残るところは残念である。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/11/30(4768日経過)
記録初日
2011/04/07(5005日経過)
読んだ本
7096冊(1日平均1.42冊)
読んだページ
1698516ページ(1日平均339ページ)
感想・レビュー
7006件(投稿率98.7%)
本棚
57棚
性別
職業
専門職
自己紹介

2011年4月からの参加で、14年目にはいりました。一番よく読んでいるのは日本文学、次いでは翻訳文学です。読むジャンルの幅は広い(半ばは意識的にそうしています)のですが、何でも手当たり次第に読むというわけではありません。特に誇れるものはありませんが、連続読書日数は初日から4969日(2024年11月12日現在)、冊数は6988冊になりました。胃癌で入院中も、海外旅行中も毎日読んできました。さて、どこまで伸ばせることやら。

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