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2024年10月の読書メーターまとめ

ヴェネツィア
読んだ本
117
読んだページ
15826ページ
感想・レビュー
117
ナイス
45892ナイス

2024年10月に読んだ本
117

2024年10月のお気に入り登録
36

  • 木梨子(きりこ)
  • つぶごま
  • なか
  • かぼちゃのタネ
  • どちゃくそ
  • kuroma831
  • Prisca
  • kero385
  • じん
  • ほんままこと
  • hafen3710
  • ラッシュ
  • mimosa
  • ZAKI★
  • 食って寝る
  • yuka
  • なし
  • Tomochum
  • santa
  • Nao023
  • かほ
  • みのり
  • madoka
  • Gris
  • のり
  • Go!Go!Taxi!!
  • @Crocus/iro
  • ゆにん
  • わんこ
  • shizu
  • ecclesia
  • ぴんでめ
  • こまち
  • ほなみ
  • たまる
  • みこ

2024年10月のお気に入られ登録
35

  • 木梨子(きりこ)
  • つぶごま
  • なか
  • かぼちゃのタネ
  • どちゃくそ
  • kuroma831
  • Prisca
  • kero385
  • じん
  • ほんままこと
  • hafen3710
  • ラッシュ
  • mimosa
  • ZAKI★
  • 食って寝る
  • yuka
  • なし
  • Tomochum
  • santa
  • Nao023
  • かほ
  • madoka
  • Gris
  • のり
  • Go!Go!Taxi!!
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  • ゆにん
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  • たまる
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2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ヴェネツィア
5つの短篇から構成。5篇すべて成瀬が主人公。今回、島崎は影が薄い。巻頭の「ときめきっ子タイム」では、二番煎じ、柳の下のドジョウという気もしていたが、二つ目の「成瀬慶彦の憂鬱」あたりからは、徐々に成瀬らしさが出てきて、「やめたいクレーマー」からはもう全開の成瀬オーラである。続く「コンビーフはうまい」も何度も笑ってしまう。もちろん、成瀬本人はいたってクールだ。それは巻末の「探さないでください」でも全く同様。つまり、成瀬本人はいたって真剣なのだが、それ故に周囲の普通が浮き上がってしまうという構造なのだろう。
よう
2024/11/14 14:36

ナイスありがとうございます。今回は島崎影が薄かったですよね。

ヴェネツィア
2024/11/14 15:35

ようさん、こんにちは。そうですね。次回には復活するのではないでしょうか。第3弾は間違いなくありそうですから。

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月にナイスが最も多かったつぶやき

ヴェネツィア

9月も先月に続いて記録更新となりました。皆さま、今月もどうぞよろしくお願いします。☆2024年9月の読書メーター 読んだ本の数:112冊 読んだページ数:16604ページ ナイス数:47036ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/157091/summary/monthly/2024/9

9月も先月に続いて記録更新となりました。皆さま、今月もどうぞよろしくお願いします。☆2024年9月の読書メーター 読んだ本の数:112冊 読んだページ数:16604ページ ナイス数:47036ナイス  ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/157091/summary/monthly/2024/9
枝豆
2024/10/05 06:48

ヴェネツィアさん、おはようございます。いつも知的好奇心の旅へいざなって頂きありがとうございます。今月もよろしくお願いします。

ヴェネツィア
2024/10/05 08:03

枝豆さん、おはようございます。こちらこそ今月もどうぞよろしくお願いします。

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
117

ヴェネツィア
遅ればせながら中川李枝子氏追悼の思いを込めて、何度目かの再読。この第1話は、大きな玉子焼きを作るお話。どのページもほんとうに楽しそうだ。お話はいつもシンプルそのものだが、そこに絵が加わることで幸福感が生み出されてくる。カステラの匂いにつられて集まってきた動物たちは全部で21種類。みんなの顔も幸せそうだ。この絵本と共に育ったという人たちも大勢いることだろう。「ぐりとぐら」は、みんなの幸せを願って描かれた絵本である。
びわこっこ
2024/10/31 17:29

私は、『ぐりとぐらの1ねんかん』を、図書館に飾って、季節感を味わっていまうs。11月は、落ち葉のカーペット、あか、きいろ、オレンジ色の落ち葉があたり一面、落ち葉に囲まれて楽しい秋の一日です。(^▽^)/

ヴェネツィア
2024/10/31 17:34

びわこっこさん、それはグッドアイディア!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書は「クラシック・アンソロジー叢書」の第4回にあたるようだ。テーマは「吸血鬼」。全部で18人の著者による18篇の掌編が収録されている。主宰者の呼びかけに応じて集まった緩やかな同人といった集まりだろうか。ただ、このページ数に18人が犇めくものだから、畢竟各篇のページ数は少なくなる。勘ぐれば、人数を集めることで各人の負担の軽減を図ったものか。同時に、この分量ならあまりボロが出ないし。全体の水準としては、セミプロ集団というレベルであるようだ。「吸血鬼」をお題としながら、実質はほとんどポルノグラフィーまがいの⇒
沙羅双樹
2024/10/31 17:11

ヴェネツィアさん、読んでくださってありがとうございます。もっと精進しますので、これからもよろしくお願いします。

ヴェネツィア
2024/10/31 19:26

娑羅双樹さん、「吸血鬼」のお題は満たしていました。その限りでは、誠実な1編だったと思います。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のオーウェン・ホプキンズはイギリスの建築史家。本書は、大英博物館やスミソニアン博物館など世界に冠たる博物館や美術館を美しい写真と共に紹介する。私たちがミュージアムに求めるのは、おそらく第1には展示品の質と幅広さ、次いでは展示方法ではないだろうか。本書は著者が建築史家ということもあってか、ミュージアムの建物そのものの写真が中心である。したがって、残念ながら展示内容についての記述や写真が背面に置かれてしまっているのである。本書の主旨に沿って、建築物ということであれば、まずはビルバオのグッゲンハイム美術館⇒
ヴェネツィア
2024/10/31 08:11

⇒ミルウォーキー美術館もなかか、アブダビのルーブル・アブダビ、ドーハのカタール国立博物館、オルドス(内モンゴル自治区)のオルドス博物館あたりはミュージアムの外観だけでも一見の価値がありそうな建築物である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
七・五調の文語定型詩。「鉛のいろの冬海の荒き渚のあけがたを」にはじまる詩は、一貫して暗鬱な色調を持つ。内容は全く違うのだが、『貧窮問答歌』を読むような気分である。どの連においても明るい素材が見られない。「足いたみ やゝにおくるゝ」であり、また「こぞはひでりのうちつゞき たえて稔りのなかりしを」であり、さらには「面にはてなきうれひあり」である。東北の寒漁村の冬の現実であろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
三浦しをんは、いろんな作風を持っているようだ。本編は、少なくてもこれまでに読んだ、彼女の他のどんな作品にも似ていない。三浦作品の主人公たちは、タイプは色々であっても、ひたむきに人生を送っているという印象だった。ところが、本編の信之も美花も、ともにある種のニヒリストである。それは、かつて子ども時代に未曽有の体験を経てきたこととあるいは関りがあるかも知れない。しかし、彼らはそれぞれにその本質において自己と人生の間に埋めがたい距離があるのだろう。一見、信之は美花にだけは執着しているようにも見えるが、⇒
ヴェネツィア
2024/10/30 16:49

⇒物語の終幕では、これもそうではなかったことがわかる。彼の生は最初から本質的に人生とは相容れなかったのである。三浦しをんの小説の中では、最も純文学寄りの作品だろう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
写真家の勝井規和氏と旅行エッセイストの悦子氏夫妻による庭園紀行だが、察するところ、このために取材したのではなく、これまでに撮り貯めていたヨーロッパの写真の中からそれらしいものをピックアップして再編集したのではないだろうか。いかにもという写真もあるにはあるが、どうにも徹底性を欠いているのである。例えば、ハイデルベルクにもページを割いているが、およそ庭園らしきものはない。一方、イタリアの庭園には名高いボーマルシェの怪物庭園がなかったりもする。何かと不満の多い写真集である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
シリーズ第1巻は『かいぶつあつまれ』。「かいぶつ」とはいっても犀や象で、他の小さな動物たちからすれば「かいぶつ」に見えるということ。絵本の中は動物たちの大集合。中沢正人の絵は、擬人化(とりわけ表情が)された動物をいかにもというタッチで描く。それぞれの動物の特徴はよく出ているようだ。動物さえ登場させれば子どもたちは喜ぶのだろうか。なんだか発想が安易な気がするのだが、さてどうなのだろう。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これも文語詩未定稿の1篇。七・五調の定型詩で、完結性は高い。年に一度の里帰りを終えて、夜汽車で帰って来たのだろうか。詩の時は春の雨のそぼ降る暁。「人なきホーム」からは小さな駅なのだろう。悲壮感は感じられない。もちろん、かといって前向きな意欲があるというわけでもない。たまさかの非日常から日常に回帰した、そんな一日の朝の停車場の光景である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
この巻では、安藤忠雄が手掛けた2つの住宅を紹介している。一つはスリランカの南端、海を見下ろすジャングルの中に建てられている。周囲は鬱蒼たるジャングル(ただし植生は単調である)。そして、もう一つはモンテレイ(メキシコ)の市街地を見下ろす丘の上に位置している。周りはやはりジャングルである。ともに意匠は打ちっぱなしのコンクリート。構造は「Z型の幾何学」に基づくものだそうである。いずれも、日常の住まいというよりは、そもそもが非日常的な空間(周囲も含めて)なので、建築物もまた思い切った意匠が採用されたのだろう。
ヴェネツィア
2024/10/29 16:51

私は基本的には打ちっぱなしのコンクリート建築は好まないのだが、これらの2邸に関しては、少なくとも見た限りではその斬新さに圧倒される。もちろん、ジャングルの中に屹立するという条件があってのことだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
まず、こんなにたくさんの聖画が隠れキリシタンの人たちによって密かに守り伝えられたことに驚く。ほんとうによくぞ隠しおおせたものである。『沈黙』を読むまでもなく、探索や弾圧もさぞや厳しかっただろうに。残された聖画のほとんどは、ごく一部を除いて日本で描かれたものだろう。すなわち、相当な程度に日本化しているのである。お上の目を欺くためではなかっただろう。なぜなら、マリアやイエスと共に十字架が描かれているからである。今見れば、いくぶん奇妙に映るかもしれないが、これらの聖画は文字通り命を懸けて信仰された対象だった。
ヴェネツィア
2024/10/29 16:36

本書にはまた、守り通された『天地始之事』も併録されている。これは、旧約聖書の天地創造とアダムとイヴの楽園追放にはじまり、これに続いて新約聖書の内容を(すべてではなく、抄訳気味だが)語ったものである。そして、これまた随所に日本化が見られるのだが、それはかつてのこの地の人々の信仰の拠り所であり、証そのものだったのだろう。画、文ともにきわめて貴重な資料。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
副題の「お母さんが話してくれた」は、いろんな意味にとれそうだ。はじまりはビッグバンから。次いでクォークの誕生→陽子と中性子→ヘリウムの原子核→ヘリウム原子と水素原子⇒(この間は一気に飛躍)銀河の誕生→炭素の原子核→太陽系の誕生→地球の誕生と続く。その後は「宇宙のきまり」という解説があって、いよいよ生命の誕生を語って行く。全体にはわかりやすく書かれているが、それでも小学校高学年くらいからか。また、生命の誕生のあたりは説明に自信がなさそうに見える。電車の比喩もどうかなと思う。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。七・五調の定型詩。かなり長く、詩想も流れるように変化してゆく。最初から前半あたりは、白秋を意識したかのような象徴詩風である。そこに現れる色彩も、選ばれる言葉もまた。中盤からは物語詩めいてくるのだが、それとても川の水の流れとともに流されてゆく泡沫の如くでもある。終幕では諦念を湛えて。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
副題に「オードリー・ヘップバーンが愛した世界の庭園」と銘打っているのは、どうやら日本版だけのようだ。たしかに、オードリーが序文を寄せてはいるが、それ以上の関りはなさそうだ。本書は全8章から成り、「整形式庭園」や「日本の庭園」など、いずれもその分野の専門家が執筆しているようだ。もちろん、写真も豊富で、これも専門の写真家なのだろうが、やや不満も。例えば日本の庭園の中に竜安寺の枯山水の石庭もあるのだが、石と砂の部分図の写真である。これは、全景を見ないことにはその精髄が伝わらないと思われる。⇒
ヴェネツィア
2024/10/28 17:09

⇒それでも、ローズガーデンやカントリーガーデンなどは鮮やかだし、ことにトロピカルガーデンが興味深く眺められた。もっとも、これももっと他に伝え様はあるだろうにとも思ったのだが。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
タイトルはこれ以上ないくらいに魅力的だ。ただ内容的にはいくつか不満も残る。フレデリック・ブラウンのSFは、やはり短篇の方が真価を発揮できそうだ。こんな風な長編だと、SFとしての構想力の弱さが作品全体を支えきれないように思う。そもそも、この作品の中核はSFではなく、木星探査行を夢見る男、マックスと上院議員エレンの地上での物語である。これは1953年の作品なので、この時点でブラウンが宇宙開発の行方を見通していたことなどは評価できるものの、物語としての、とりわけSF小説としての面白みに欠けるのは残念である。
Vakira
2024/10/28 17:17

おお~「発狂した宇宙」!多分 パラレルワールドを世に知らしめたのはブラウンさんだと思うほど。

ヴェネツィア
2024/10/28 17:20

アマゾンで検索してみましたが、高いです。古書店で探してみます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
こさか まさみ 作、さいとう あや 絵。お話は、子ども園で急にお休みすることになった、ももこせんせいに変身したどんぐりおばけが、ももこせんせいになりすまして子どもたちと楽しく遊ぶというもの。舞台が子ども園であり、主人公がももこせんせいなので、子どもたちが親近感を抱くだろうという狙いが透けて見える。したがって、保育園とも幼稚園とも、子ども園とも書かれていない。しかも、子どもたちの好きなおばけ。絵は、小学生の描きそうな構図と人物を巧みにしたといったタッチ。さて、子どもたちの反応はやはりいいのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『注文の多い料理店』の中の1篇。ある日、突然に一郎のもとに送られてきた山猫からの召喚状。私たち読者は冒頭のはがきからいきなり物語世界に飲み込まれる。実に鮮やかな始まりである。そして、結びの一文がこれまた秀逸。「それからあと、山ねこ拝といふはがきは、もうきませんでした。やつぱり、出頭すべしと書いてもいゝと言へばよかつたと、一郎はときどき思ふのです」。物語の内容は、賢治版カフカの『審判』というところなのだが、この何とも言えない寂寥感と不思議な郷愁こそが賢治童話の世界である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
河野裕子の第14歌集。「あとがき」に「『葦舟』が最後の歌集とならないよう、これからも今までのように全力で歌を作り、エッセイを書いていく。これは、誰とでもないわたし自身との約束なのだから」と記していたが、結局、これが彼女の生前に刊行された最後の歌集となった。64歳で亡くなる前、5年間の彼女の生の、そして歌の軌跡がこれである。癌が再発した後も、彼女は生活者として家事をこなし、歌を詠み続けていた。そんな中でのこの歌集にはしばしば死の影がよぎる。彼女はけっしてそれに抵抗したのではない。受け入れたのだと思う。
宵待草
2024/10/27 19:47

ヴェネツィアさん こんばんは!🌃 河野裕子さんは、他界する直前まで、短歌を詠んで居た其の生きざまは、感嘆に余りあります。 最後の短歌『手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が』、、、私は此の短歌を読み返す度に、溢れる涙で目が霞みます。 歌歴だけを重ねて仕舞って来た、短歌に今一度、真摯に向き合おうと思います!✨ 何時も、学びや気付きを頂く、レビューを有り難うございます!🙋 宵待草

ヴェネツィア
2024/10/27 20:01

宵待草さん、私も「手をのべて…」の絶唱は忘れられません。この『葦舟』にも捨て難い歌がたくさんあります。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
この巻は、チャールズ・レニー・マッキントッシュの登場である。名前からも想像がつくようにスコティッシュである。グラスゴーから35km北西に位置するヘレンズバラに建てられたヒル・ハウスが、彼の住宅建築を代表する。彼はここで建物ばかりか、家具からインテリアの全般に至るまでをデザインしている。外観は城を思わせる威容である。内部空間がまた素晴らしく、天井や側面には重厚なマホガニーが多用されている。一方、応接室や主寝室は白を基調とした明るいものだが、薔薇の文様を側面に用いた、シックな中にも華やかさを合わせ持ったもの。
ヴェネツィア
2024/10/27 14:34

客間の大きく開けた窓からは、緑なす斜面の向こうにクライド川を見渡せる。住んでみたくなるという点では、これまでで一番か。ただ寂しそうなので、マナーハウス・ホテルとして、1週間だけ滞在させてもらえたら最高だろう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ふくべ あきひろ 作、かわしま ななえ 絵。お二人は博報堂のコピーライターとデザイナーのコンビ。お話というほどのものはなく、主人公の男の子(推定、小学校3年生)が、一日シマリスやキリンなどに変身することで、動物たちの暮らしの一端を体験するというもの。瞬間芸的な発想。「がきデカ」のこまわりくんの変身(古いけどご存じですか?)みたいだ。絵はキッパリと力強くインパクトがある。メルクマールとして残されたヘアスタイルがポイント。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
完結した童話。ちょっと不思議な物語。リアリズムのようでもあり、ファンタジーのようでもあり。作品が醸し出すムードは『風の又三郎』を思わせないでもない。風景感によるのだろうか。「エレッキのやなぎの木」という言葉の響きもいい。初めて聞く言葉なのに、なんだか懐かしいような気がするのである。「けれどもいまでもまだ、私には楊の木に鳥を吸い込む力があると思えて仕方がないのです」という最後の一文が、この小さな物語を一気に高みに引き上げる。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の桐原春子氏は、ハーブ研究家、英国王立園芸協会会員、英国ハーブソサエティ永久会員の肩書を持ち、英国庭園に造詣が深い。一口に英国庭園とはいっても、そのスタイルは実に様々であるようだ。英国庭園と聞いて、私たちが最初にイメージするのは、ここでいう風形式庭園だろう。これを実現するためには古色蒼然としたマナーハウスと広大な敷地が必要だろう。そうすると、もはやイギリスに行くしかなくなるのであるが。本書はそんな英国庭園の精髄を豊富なカラーアルバムで紹介してくれる。しかも、ページ数の割には多角的で実に興味深い内容。
ヴェネツィア
2024/10/26 17:06

もし、実際にイギリスの庭園を訪ねるのであれば、そのための実用的なガイドブックとしても最適の一書だ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『恐竜vsほ乳類』というタイトルだが、本書のスケールはさらに大きい。すなわち、恐竜、ほ乳類、鳥類、植物、昆虫などそれぞれの進化と環境とをトータルに見ることによって、はじめて明らかになって来る進化の問題を開示する。本書は、NHK恐竜プロジェクトのスタッフが取材にあたり、編集しているのだが、彼らが専門家ではないことが私たち読者にとっては大いにありがたい。すなわち、初歩的な疑問にも答えてくれるからである。例えば、「草食恐竜」と呼んでいたが、それは正しくは「植物食恐竜」と呼ばれるべきである。なぜなら、⇒
シングルモルト
2024/10/26 22:16

ご紹介ありがとうございます。うちの恐竜好きの子供に買ってやろうと思います。

ヴェネツィア
2024/10/27 07:52

シングルモルトさん、お子さまの年齢がわかりませんが、中学生以上なら大いに楽しめると思います。もちろん、強い興味があれば小学生でも。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
アーノルド・ローベル 作。ローベルは『ふたりはともだち』のシリーズ等で人気のアメリカの絵本作家。今回は、お話が中心の絵本。7つのお話を収録。どれも短いが、なんとなくハートウォーミング。1972年の作品なのだが、古き良き頃を思わせる。絵は線画にピンクとブラウンの彩色だが、これもどのページも暖かい。昔のアメリカン・アニメを彷彿とさせるようなシーンも。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これまでに読んだ小川哲の作品の中では、圧倒的にNo.1である。ただ、登場人物も多い上にやや地味であり、展開もけっして速くないので(それでこんな大部のページ数になった)読んだ人の全てがこの意見に首肯するとは思わないが。物語は1899年の夏にはじまって1945年の夏に一応の幕を閉じる(+1955年、春の終章があるが)。舞台は満州である。この間、小説世界を支配するのは戦争の論理、軍隊の論理、そして部隊の論理である。登場人物たちはフィクションではあっても、そこにあり得たかもしれない者たちである。そして、⇒
ヴェネツィア
2024/10/25 17:05

⇒戦争構造学(これも小川によるフィクションだろう)によって、日中戦争を解析してゆくのであり、あの時期になぜ日本が戦争に突き進んで行き、そして敗れたのかを小説の形を通して語ってゆく。このあたりは実に小川哲らしい方法かと思う。これなら直木賞、山田風太郎賞受賞も当然。600ページ強に耐えられるなら、小川哲ならコレと推薦!

ヴェネツィア
2024/10/25 17:07

巻末の膨大な参考文献の量からも、作家の並々ならぬ意気込みがうかがえる。ただし、歴史学者ではないので、一次資料ではなく、研究書や解説書である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『聖書美術館』の第1巻は「旧約聖書」編。多くの画家たちにとって、旧約の世界は描き易かっただろう。新約よりも遥かにドラマティックな場面も多いし、空想を自由に羽ばたかせる余地も大いにあるからである。本書の絵画編はアダムとイヴから始まっているが、ここではクラーナハの「楽園」が採用されている。それに加えてラファエロとマザッチオも。他の場面でもそうなのだが、どの画家の絵を選ぶかは恣意的なようである。「バベルの塔」は、よく知られたブリューゲルだが、「ノアの箱舟」はボッシュで、これは他の画集ではあまり見かけない。
ヴェネツィア
2024/10/25 10:52

本書に収録されたものの中からベスト1を選ぶなら、これもよく知られたクラーナハの「ユーディット」(ウィーン美術史美術館)か。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
作者の齋藤槙は、日本画出身のようだが今は多彩な技法を駆使した絵本作家。本書には、お話らしいお話はない。ひたすらに動物たちのおしりに語らせる着想がなによりもユニーク。タッチはいずれもリアリズム。目の表情にわずかに擬人化がほの見えるくらい。立派なおしり自慢では象。しましまおしりは、いずれもキュートな美尻。キリンのおしりに続いては、しろとくろとしろくろおしり。カラフルなマンドリルのおしり。ハリネズミのトゲトゲおしり。「みんな みんな すてきな おしり!」
ヴェネツィア
2024/10/25 08:20

佳音さん、この絵本はとってもユニークです。

佳音
2024/10/25 08:24

つぶやき読んで、読みたいです☺️

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
表紙の写真と見開きの写真はいろんなところでよく目にするもの。いずれもナルシストでスタイリストの太宰らしい写真だ。冒頭のとじ込みページには『斜陽』のエンディングの2枚の原稿。推敲の後はほとんど見られない。他にもいくつか自筆原稿の写真があるが、印刷所への指定はあるが、総じて訂正は少ないようだ。これから見ると、創作に苦しんでいたようでも、いざとなれば一気に書き上げたのか。太宰の若い時の写真は郷里の近い寺山修司にちょっと似ている(これは今回はじめて思った。名前も修治と修司だし。これは偶然)。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
未完のようにも、これで完結しているようにも見える。なんとも微妙な終わり方である。鳥箱(「天井と、底と、三方の壁とが、無暗に厚い板でできてゐて、正面丈が、針がねの網でこさへた戸になってゐ」るというもの)が擬人化されていて、フウねずみのしつけを頼まれる。彼は自信満々なのだが、実はこれまでに何羽ものひよどりを死なせている。そんな鳥箱の教育なのだが、教える方も教わる方もどっちもどっちといったやり取りが続く。挙句にフウねずみは猫大将に捕えられる。教訓を一切廃したところが賢治童話らしいか。バッサリと残酷なところも。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
フランク・ロイド・ライトの住宅建築といえば、落水荘(1936年)が夙に名高いが、このタリアセンはそれに先行するものである(Ⅰが1911年、Ⅱが1915年、Ⅲが1925年)。建てられたのは、ライト一族の父祖の地ウェールズを想わせるウィスコンシン州スプリング・グリーンである。写真で見る限りは、かなり人里離れたところに広大な敷地を有して建てられているようだ。石をラフに積み上げた外観もなかなか素敵だが、木の温もりを活かした内部空間がまた素晴らしい。しかも、寝室とリビングには、さりげなく東洋趣味が施されている。
ヴェネツィア
2024/10/24 16:57

もう一つのタリアセン・ウエストはアリゾナ州メサに建てられ、さらに広大であり、もっと荒々しさが強調されている。アリゾナの自然を強く意識しての建築である。また、室内空間のデザインも奇抜なというくらいに大胆を極めるものである。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
谷口智則 作。この人は独学で絵本を作り始め、今では日本国内のみならず、フランスやイタリアでも絵本を出版。お話は、ひとりぼっちのサルくんがバナナを一房持って動物たちの遊園地へ。最後は洞窟の中でウサギさんと巡り合ってメデタシメデタシというもの。これもやはり絵で勝負という絵本。黒い枠線の中にベッタリと絵の具を塗りこんだ濃い絵。サルくんをはじめ、動物たちの表情が独特。けっして可愛くはない。そして、そこがまさにこの人の持つ味なのである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
語り手を設定した昔話(民話)のスタイルをとる。とっこべとら子という狐の明るいお話。2つのエピソードから成るが、最初のものは典型的な狐に化かされた笑話、2つ目は趣向を変えて当代風のリアリティのある話に仕立てられている。賢治の語りのスタイルの幅広さを示す1篇。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のフアン・マリーア・ラボーアは教会史を専門とするスペインの神学者。高価なだけあって、内容は本文、写真ともに充実している。解説部分はかなりアカデミックで、半ば専門家向きかと思われる。第1章のタイトルからして「修道制現象の普遍性」。この章ではヒンドゥー教やジャイナ教、仏教も語られるが、他の章ではもっぱらキリスト教における修道院とその制度等である。西方教会と東方教会は、ほぼ均等に取り上げられているが、なじみの薄い分だけ東方教会のものにより興味を惹かれる。なにしろ、建物の性質上も人里離れたところのものが⇒
獺祭魚の食客@鯨鯢
2024/10/23 17:23

斎宮は神と婚姻する女性です。平安宮廷や大奥などカミに生涯を捧げる女性は存在しました。禁欲イコール善ではなく、理趣経のようなものもあります。麻原彰晃はそれを曲解していたようですが。

ヴェネツィア
2024/10/23 17:30

獺祭魚の食客さん、斎宮は修道僧とは立場も違い、生涯を神に捧げるというわけではないでしょうし、自らの意思という点でも違うとは思いますが、そうした存在はどこの文化にも見られるでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のドゥーガル・ディクソンは、イギリスの地質学者・フリーライター兼エディター。本書は恐竜をあえて現代に置いてみた試み。最新の恐竜研究に立脚する。草食恐竜、肉食恐竜、海生生物、空飛ぶ竜の各章からなる。大きさなどはイメージしやすくなることはたしか。サウロポセイドンなどは、凄まじいばかりの大きさだ。体重は象の10倍にも。反対に最小はミクロラプトル。体長わずかに60cm。ただ、多くの恐竜は環境が違いすぎて、現代では生きていけそうもない。本書は復元想像図も美しくリアルで、恐竜の生活を大いに楽しめる。
特盛
2024/10/23 14:58

おもしろそう!鳥=現代の恐竜とすると、鳩や鶏もなんだかたいしたヤツらに感じますが、ちっちゃすぎて実感がないw

ヴェネツィア
2024/10/23 16:30

この「いま、恐竜が生きていたら」という試みは、それほど効力を発揮しませんでしたが、わかりやすい恐竜研究の最前線紹介としては上々でした。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
スズキ コージ作。プロットはいたってシンプルで、主人公のエンソくん(推定、小学校5年生くらい)が、一人で汽車に乗って、田舎のおじいちゃんのところへ行くというお話。したがって、この絵本の生命は一にも二にも絵にかかっている。絵はナイーフを思わせる国籍不明のもの。人物や風景はヨーロッパのどこか(特定はできないが、なんとなくプロヴァンス風)である。画面いっぱいに描きこまれた力強い絵はとっても魅力的。ただ、これが子どもたちにアピールするかはいささか疑問だが。
ヴェネツィア
2024/10/23 13:56

yominekoさん、こんにちは。私はよく知らない画家でしたが、この世界では有名?

yomineko
2024/10/23 14:10

斬新な絵で人気がある画家さんです😊

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
未完にも見えるが、おそらくはこれで完結しているのだろう。「おれ」とダルゲが再会する(おそらくは悠久の時を隔てて)この場所は地上の空間ではないだろう。それは宇宙の果てのどこかだ。ここは氷に閉ざされた世界だ。「腰に硝子の簑を厚くまとった」ダルゲの装束もまた、冷たい異空間を示唆する。「おれ」の叫び「白堊紀の斜層理について」に対してダルゲはただ振り向いて冷やかに笑うのみである。どこまでも限りなく透明な美しさを持った作品である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
それぞれに仕事を背負った中年男女が繰り広げる、市井のスポコンもの。篠田節子の文体はいたって軽快。いつの間にか形成された混合メドレーチームも、しだいにそれらしい結束を高めていく。読者の多くはやはり麻里に感情移入しながら読み進めるだろう。そうすると、様々に見えてくるものがある。ラストシーンは、想像していたものとは違って、実にあっけないくらいに終わる。後には何にも残さない。見事なくらいにさばさばとした幕切れである。こんなに潔い終幕も珍しい。
だいごろうA Sky Full of Stars
2024/10/22 18:01

ヴェネツィアさんこんばんは、つまらない住宅地のすべて、27日に届きます、遅って思った私

ヴェネツィア
2024/10/22 18:04

だいごろうさん、それはたしかに遅いですね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
編者のお二人は共にイタリア博物館教育協会の創設者で、ミラノ市立自然史博物館の教育部門の統括者を務める。本書は世界の数ある国立公園の中から52ヶ所をピックアップし、豊富で美しい写真とともに紹介するもの。お二人の専門領域のせいか、いずこも生息動物を中心に編集されている。目を見張るものが多いが、実際に現地に行ったとしても、なかなかこんな風には動物を見られないだろうと思われる。しかも、いずれもアプローチはなかなかに手強い。池澤夏樹は「大富豪になってこの本にある52個所の国立公園をすべて訪れることを夢想する」と⇒
ヴェネツィア
2024/10/22 13:47

語り、また奥本大三郎は「われわれ人間さえいなければ、この世界はまさにエデンの園である」と語るが、いずれも実にごもっともである。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文の鈴木 翼は保育園、支援センターに勤務後、あそび歌作家として活躍。絵の村上康成はボローニャ国際児童図書展グラフィック賞など数々の賞を受賞している。いろんなおばけが住んでいる"おばけマンション"。というよりは、結局みんな、おばけだったというお話。他愛ないといえばそうだ。絵は背景がなく、登場人物(おばけ)たちをベッタリと塗り、フォルムを強調するもの。わかりやすいといえば、お話と相まって、とってもわかりやすい。幼児向けか。おばけもまったく怖くないし、読み聞かせでは子どもたちに歓迎されそうだ。
ヴェネツィア
2024/10/22 08:10

yominekoさん、おばけ絵本はかなりたくさんあるようですね。子どもたちは、おばけが大好きなのでしょう。

yomineko
2024/10/22 08:31

ですよね👻大人になってからも好きな私です(笑)

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
床屋と客との対話を描く。これまた賢治には珍しい題材。「本郷区菊坂町」との指定があるのだが、言葉の問題だろうか。全体は4つの断章からなるのだが、最初の3つはいずれも「睡気」に始まっている。会話の内容はいずれも他愛もないもの。最後の1篇は他とは趣きを異にしており、奇妙な形の髭談義であり、それは「プラトンのイデア界」の流行だという。これまた、かなり奇妙な作品。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
一橋大学社会学部佐藤文香先生のゼミ生一同で作成。21人のメンバーのようだが、留学生も4人(アメリカ、韓国2,中国もしくは台湾)いて、さすがにグローバルなところもある社会学ゼミ。Q&Aスタイルをとる。最初に質問(多くは素朴な)があって、それに3ステップで考えを深めて行こうというスタイル。例えばQ3「男女平等は大事だけど、身体の違いもあるし仕事の向き不向きはあるんじゃない?」こんな質問が29問。それらに対する回答は実に明快で、それでいて丁寧に向き合っている。さらには理論的な裏付けもしっかりしている。強推薦!
みあ
2024/10/21 20:33

面白そうですね。私も読んでみます。

ヴェネツィア
2024/10/22 07:17

みあさん、ぜひ読んでみてください。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
印度編は、先の巻九で終わり、この巻十からは再び長安に帰る。印度では象にまたがってという活躍を見せたが、絵師ももはやそこまで。想像が尽きたのだろう。本文を書く方は、玄奘の『大唐西域記』があるのだから、いくらでも書けるが、絵は無理だったのだろう。さて、ここからは長安での「大般若経」の翻訳という大業と玄奘の入滅までを描く。絵師はほっとしただろうが、中国風俗で、しかも坊さんたちが泣いている絵ばかりと、絵としての面白みは(少なくても素人鑑賞者の)それほどないままに終わる。まあ、これだけよく描いたというところ。
ヴェネツィア
2024/10/21 11:33

少し遅れましたが『黒の聖餐』をアマゾンに発注しました。到着次第なるべく早く読んで、感想を上げるつもりです。

沙羅双樹
2024/10/24 10:12

お返事遅くなりましてすみません。お買い上げありがとうございましたm(__)m

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
作者のドン・フリーマンは、元々はジャズトランペッターだったが、地下鉄にトランペットを置き忘れて絵本作家になったというとぼけた人。本書の主人公はサーカスのクマBearymore。表紙にあるように一輪車乗りが彼の売り物である。だけど、シーズンの終りに団長さんから、来シーズンからは新しい曲芸で挑んでもらいたいと通告される。団のみんなは暖かいフロリダへ。Bearyは冬眠中も夢に見るほど悩むが工夫を思いつかないままに春がやって来た。目覚めた日は雨。そこで「瓢箪から駒」のように新しい曲芸、一輪車での綱渡りを⇒
ヴェネツィア
2024/10/21 08:05

⇒編み出す。サーカスでは大喝采、というお話。絵は表紙以外は木炭の単彩に黄色の背景を施したもの。古いというか、クラシックな味わいがある。1976年の初版。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ブラックユーモア童話といったところか。死刑と決まり、首を落とされる時に署長は「いよいよこんどは、地獄で毒もみをやるかな」などと嘯く。罪の意識も反省も全くそこにはない。これも賢治作品の中ではやはり異色作の一つだろう。プハラが物語の舞台になっているが、これもイーハトーブ童話なのだろうか。もしそうだとすれば、イーハトーブは賢治の庶幾する理想世界というのでもなさそうだ。逆に想像を超えて奥が深いか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ムラマツ エリコさんと、なかがわ みどりさんのお二人によるマンガエッセイ。タイトルは「旅のコーフン」なのだが、ではそのコーフンが伝わったかというと、残念ながら彼女たちの自己満足のレベルに留まっているように思われる。著者たち自身にとっては、たしかにコーフンだろう。また、彼女たちのファンがいるとすれば、そのコーフンも共有されるかもしれない。しかし、客観的な表現においてそれを伝える技術が不足しているように思われる。その上、構成意識にも乏しいようだ。角川書店の編集部はこれでいいのか。それとも、私が無理難題を⇒
ヴェネツィア
2024/10/20 16:37

⇒言っているクレーマーなのだろうか。そうかもしれない。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレ登場人物がやたらに多い。住宅地の10家族24人と昭子、由歌と主要な人物だけで26人を数える。また、普通は階級的にも、暮らし方の上でも、もう少し統一感があってしかるべきなのだが、この住宅地に限っては世帯構成や生活感も全くバラバラである(この点の不自然感は否めない)。したがって、それを繋ぐ役割をするのが逃亡犯の昭子である。初出が「小説推理」なのだが、ミステリーというわけではない。では、何なのだと言えば、実は最後までよくわからない。しかも、最後はあちこちの家庭の問題までが解決して、メデタシメデタシである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
巻五から巻九までが、この中巻に収められている。この巻では鹿野園、王舎城などの仏跡を巡り、後半は東印度の鳩摩羅王と行を共にする。絵師にとっても、このあたりからはなかなかに苦しいところだ。なにしろ範と仰ぐ宋の絵師たちでさえ、仏跡の地や辺境の地、まして印度(本文でも天竺ではなく印度の表記)は見たことがなかったであろうから。それでも、鳩摩羅王と曲女城に向かうあたりは象に乗って行くなど、せいいっぱいの印度化が図られている。ただし、彼ら一行の装束は全くの中国風ではあるのだが。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
いしかわこうじ作。いたってシンプルな仕掛け絵本。まほうつかいとはいうものの、その魔法もまたリンゴや風船が大きくなったりと、これまたシンプルでわかりやすい。絵も背景がなく、まほうつかいと、その対象物にのみ焦点があたっていて、これまたわかりやすさの極み。べったりと塗られた絵もそれを一層助長する(引き立てる)。おそらく幼児を対象にしているのだと思われる。絵本入門の第2段階といったところだろうか。
yomineko
2024/10/20 07:59

ヴェネツィアさん、おはようございます🌞仕掛け絵本なんですね😊読みたい本に登録させて頂きました📚

ヴェネツィア
2024/10/20 08:01

yominekoさん、おはようございます。仕掛け絵本とはいっても、いたって単純なものです。へんにゴテゴテしてなくていいかもしれません。Simple is best?

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
イーハトーブ童話だが、残念ながら未完のようだ。イーハトーブの首都マリアというのも、ハームキヤの町というのも初めて見た。他の童話にも登場するのだろうか。毒蛾をめぐる物語だが、コワック大学校での研究が進みつつあるというところで中断。まさか、これで終わりではないだろう。この先の展開も主題も想像がつかない。これまた賢治童話の懐の深さを示すか。
Johnnycake
2024/10/20 07:10

毒蛾のエピソードそのものは「ポラーノの広場」だったかに登場しますね。キャンベラには今の時期から毎年蛾が渡ってくる(毒蛾ではありませんが)のですが、最初の年に賢治に毒蛾の話があったなと思ったものでした。

ヴェネツィア
2024/10/20 07:19

Johnnycakeさん、『ポラーノの広場』に毒蛾が登場していましたか。そうすると、これはその習作めいた位置づけになるのかもしれません。ご教示感謝!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の小栗献氏は、教団の牧師であり、讃美歌委員を務める。かつて、ケルン・ボン日本語教会牧師として赴任。その間にドイツ各地のコラールの故郷を訪ね、『礼拝と音楽』に連載。本書はそれをまとめて再編集したもの。巻頭はもちろん「神はわが砦」のルター。以下、フスとボヘミア兄弟団、フィリップ・ニコライ、マルティン・リンカルト、パウル・ゲルハルトなど13人のドイツの讃美歌作者の軌跡を追ってゆく。今までなにげなく歌っていた讃美歌も、それぞれに来歴のあることがわかり、理解が大いに深まったように思う。
ヴェネツィア
2024/10/19 16:45

これまではボンヘッファーくらいしか、その讃美歌の成立を考えてこなかったが、今回あらためてルターもそうだが、リンカルトを知れたのが大きな収穫だった。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『玄奘三蔵絵』は、解説によれば絵所絵師の共同制作であり、大和絵を基調としながらも、宋画の技法を加味した新様式とのこと。13世紀後期。この上巻では少年時代の玄奘にはじまり、インド行きの決意(夢に須弥山に登る)、出立、高昌国、天山山脈越え、ガンガーにいたる巻四まで。玄奘が実際に西域に赴いたのは唐の時代だが、日本の絵師たちは当然に唐の風俗を知る由もない。そのあたりは宋画を拠り所にしつつ、想像を膨らませて描いていったのだろう。もっとも、ガンガーの海賊あたりになってきても、依然として中国風なのだが。
ヴェネツィア
2024/10/20 05:30

Yoshihiro Yamamotoさん、絵巻のシリーズはこれ以外にも何種類か出ているようです。

Yoshihiro Yamamoto
2024/10/20 08:07

おはようございます。そうですね。図書館でググったら、大量に出てきました。今後、少しずつ読んでいきたいと思っています。ご紹介いただき感謝しています🙇‍♂️

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
興安(ヒンガン)◎作、三木卓◎文。先に興安の絵があって、それに詩人の三木卓が文をつけたもの。興安はフフホト(内モンゴル)で生まれ育ち、師範大学美術科を卒業後に来日。東京学芸大学大学院で日本画を専攻し修了。まず絵だが、これはリアリズムに徹した(ただしカエルは心もち擬人化)水彩画。カエルと草の緑、そして空の青が美しい。自然とともにあることの喜びを謳いあげる。三木卓の文もまた、限りない優しさに満ちている。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
電車の中での二人(若い古物商と大学生)の掛け合い漫才のようなやりとりを軽妙なタッチで写したもの。これもあまり賢治らしくない印象。二人の会話はまったく噛み合うことがなく、それぞれに自己主張を繰り返すばかり。途中に“Was fr ein Gesicht du hast !” “Nein, mein Jngling, sage moch einmal, was fr ein Gesicht du machst !”とドイツ語をはさむが、これもあまり意味があるものとも思えない。なんだか奇妙な作品である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレ2008年の作品。時の東京都知事(石原時代)の不法滞在外国人一掃政策によって日本に取り残された無国籍の少年たち(+少女が1人)と救急救命士、織田の物語。舞台は新宿歌舞伎町界隈。中国マフィアも暗躍する、馳星周が最も得意とするヴァイオレンス小説である。ふとしたきっかけから笑加に関わることになった織田が、彼ら無国籍者のコミュニティに深く肩入れしてゆく。最後にはすべてを投げうってまで。馳のヴァイオレンス小説が単なるヴァイオレンスに留まらないのは、そこに哀切なまでの抒情が潜むからである。本作はまさにそうだ。⇒
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
タイトルは『博物館のひみつ』だが、かといって何か秘密が明らかにされるというわけではない。子どもたちの興味を引くためにあえて、ということだろう。小学校高学年くらいを対象に博物館のあれこれを豊富な図版、写真入りで解説したもの。目玉はやはり恐竜標本の展示のようだ。ちなみに恐竜の化石の再現展示が見られるのは、国立科学博物館、群馬県立自然史博物館、ミュージアムパーク茨城自然博物館、富山市科学博物館、豊橋市自然史博物館、大阪市立自然史博物館、北九州市立いのちのたび博物館などである。すべて行ってみたいものである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
たなかひかる 作。この人は、お笑い芸人、ギャグ漫画家、絵本作家と多彩な肩書を持っているらしい。さて、この本書だが、泣く子も黙るナンセンス絵本。おばけの かわを むいたら 、おすもうさん、でんしゃ、ホットドッグ…。おばけの かわってバナナのようにむけるんだ。絵本の中ではもうかわをむき放題。これでおばけはちっとも怖くない。そうなんだけれど、最後はやっぱり怖い!
N島
2024/10/18 08:32

こういう本で子供のメタ認知能力を高めたいと思います。

ヴェネツィア
2024/10/18 08:37

N島さん、どうなんでしょう。少なくても時には突き抜けた発想が必要なことは伝わるでしょうか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。七・五調の定型をとる。童話風の物語詩とでもいうべきもの。なんだか、のどかである。「山はかすみてめくるめき」といった表現も楽しいし、ことに最終聯の「かくてくわりんの実は黄ばみ 池にぬなはの枯るゝころ をみなとなりしそのをとめ 園をば町に売りてけり」の飄々とした感じは賢治の別の側面を見るようだ。明るい賢治である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ケン・リュウをはじめとした、現代のSF界を担う精鋭たちが描いた、AIを題材にしたSFが16篇。オーストラリアのジョナサン・ストラーン編。期待は随分大きかったのだが、訳文にはかなり不満が残る。すべてではないが、中には仲間内だけで通じる同人誌といったレベルの訳も散見される。日本語の表現として十分に彫琢されているとはとても言い難いのである。これではSFの価値そのものを下げてしまいかねない。また、いずれも短篇ということもあってか、スケール感に乏しいのも残念である。AIディックの『アンドロイドは電気羊…』や⇒
ヴェネツィア
2024/10/17 16:50

⇒神林長平の『膚絵の下』のような、震えるような世界観の展開が得られないのである。それは、私のSF観、あるいはSFに求めるものが古いのであるかも知れないとも思う。篇中から、しいて1篇を選ぶとすればアレステア・レナレズ「人形芝居」か。なお、渡邊利道の解説に見られる分析は見事である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のアンドリュー・ローソンは、英国ガーデンフォトグラファー界の第一人者とのこと。本書では、ジヴェルニーのモネの庭を徹底的に紹介する。浮世絵に啓発された、名高い太鼓橋のある庭である。写真の季節は初夏か。橋の上には藤が垂れ下がり、全体には鬱蒼とした印象。水面には睡蓮が浮かぶ。ただ以下は庭というよりは、庭の花々がアップで迫る。写真は確かに美しい。種類の多さにも感心する。色も殊の外に鮮やかだ。ただ、これでは庭よりも花が主役になっている。最後はモネの絵「睡蓮の池と日本の橋」で締めくくられはするのだが。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
M.B.ゴフスタイン作。ゴフスタインはセントポール(ミネソタ州)生まれの絵本作家。おばあちゃんが、はこぶねの思い出(といっても、はこぶねは生涯の間ずっと彼女とともにあった)を語る。とっても静かで、そしてハートウオーミングなお話。生涯の終りを間もなく迎える彼女は言う。「よろこびとかなしみは にじのよう、それがわたしをあたためてくれる おひさまのように」。この人はいろんなタッチの絵を描くようだが、今回はモノクロームの線画。いたってシンプルながら味わい深い。合言葉は「ながさは三百キュービット」。お薦め!
まゆこ@低浮上
2024/10/17 10:21

ヴェネツィアさん、こんにちは。こちらの本、素敵なレビューでとても興味をそそられました。わたしも読んでみたいと思います。いつもありがとうございます。

ヴェネツィア
2024/10/17 10:48

まゆこさん、この人の本は初めてでしたが、静謐な感動がやってきます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
㈣はチュンセ(兄)とポーセ(妹)の物語だが、「永訣の朝」を想わずにはいられない。もっとも、賢治は妹としにいじわるはしなかっただろうが。病みついて、もはや命も危うくなったポーセにチュンセは「雨雪あめゆきとって来てやろか。」と言う。そして、それをポーセに食べさせる。それがポーセの最期だった。「おもてはうすくらくてみぞれがびちょびちょ降っていました」という情景もまた同じだ。最後の「ほんとうの幸福をさがさなければいけない」というのも、また賢治が後半生に希求し続けたことだった。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
PIE International編の世界の民族衣装写真集。表紙のアンデス高地民をはじめ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、アメリカ大陸の民族衣装を綺麗な写真で紹介する。今回の企画で特によかったのは、子どもたちの衣装写真が多かったこと。民族衣装に身を包むと、ことのほか可愛い。ノルウェイにスイス、ブルガリア。アフリカではエチオピアの衣装が異彩を放つ。アジアはタイのカレン・パドゥン族の子どもたちも、もう首を長くし始めている。一部にはおじさんたちの衣装もあるが、大半は女性のもの。男には民族衣装は似合わない?
ヴェネツィア
2024/10/16 16:48

PIE Internationalの写真集は往々にして編集が大雑把なのだが(例えばフランスとはいっても、ブルターニュとアルザスとプロヴァンスでは全く違うだろうに)今回は一応は撮影地を明記していた。ただし、それでも依然として大雑把感は否めないが。

ヴェネツィア
2024/10/16 16:53

私が自分で所有しているのはブータンの「ゴ」(ブータン旅行のお土産にもらった)と、バリ島の正装(これはお祭りに参加するために買った)と、チロルのジャケット(これはザルツブルク音楽祭に着ていくのに買った。ジャケットを持って行っていなかったのだ)。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
木村裕一◎作、あべ弘士◎絵。あらしのよるに、出会うはずのない二人が山の中の小屋で出会う。やぎとおおかみである。そして、真っ暗闇の中で、二人の間に奇妙な友情が育まれる。絵は一風変わった線画。部分的にカラー。ヘタウマな絵だが、不思議な感じの味わいがある。次の日はどうやら快晴のよう。お昼に、再びこの小屋で再会の約束をするのだが…。第2巻の『あるはれたひに』に続くようだ。ヤギ危うしなのだが、この友情の行方やいかに。
ヴェネツィア
2024/10/16 09:24

本書は日本図書館協会選定図書、第42回産経児童出版文化賞JR賞受賞、第26回講談社出版文化賞絵本賞受賞と、なかなかに華々しい経歴を誇る。読み聞かせなら、続編を用意しておかないと、子どもたちが納得しそうもない。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
やすい まさかず 作、ちから 絵。作者についても画家についても、ともに情報がない。お話の前半は夜の日で、懐中電灯を持って学校へ。後半は昼の日で、いつまでも暗くならない。「あとがき」によれば、この話は空想から生まれたとあるのだが、ノルウェイやスウェーデンの高緯度地方では、それって普通に(現実に)起こることだと思うのだが。絵は黄色を背景にした鉛筆画。かなり素人っぽいタッチである。出版は「絵本工房もくもく」となっているが、所在地も書かれていない。趣味で作った絵本なのだろうか。それにしては頒価1500円と高い。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
初読だとばかり思って読み進めていたが、大事なお金をピンでとめるところで、子供時代に読んだことを思い出した。そうすると、一気に懐旧の思いが込み上げてきた。自分にはケストナー体験はないと思い込んでいたが、実は密かにケストナーの洗礼を受けていたのだった。大人になってしまった今では、残念なことにその都度ハラハラできなくなってしまったけれど。思えば、あの体験こそ読書の原体験の一つだったのだ。そんなことを思い出させてくれる貴重な物語である。もちろん、今もその生命を失ってはいないだろう。
ヴェネツィア
2024/10/15 17:10

そんなこともあって、ケストナーで1冊を選ぶとすれば、やはりこれだ。

だいだい(橙)
2024/10/15 17:45

「10枚の絵がせつめいする」ですよね。このシリーズ、大好きです!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
「カーブの向う」は、安部公房らしさが横溢した作品である。"不条理"の世界を描くのだが、カフカのそれが外に立ち塞がる不条理であるなら(典型的なのは『審判』、『城』あたりか)安部公房のそれは、内に向かって限りなく沈潜してゆく不条理である。かくして、アイデンテンティテイはやがて崩壊の危機を迎えることになる。立ち返れば、そもそも自己の存立基盤そのものまでが怪しいのであるから。これに比べれば「ユープケッチャ」の方は、ユーモラスな要素を孕んでいる。これはこれで、またしても安部公房らしい小説なのである。
ヴェネツィア
2024/10/15 17:02

これらは安部公房の晩年に属する作品だが、彼の小説の一つの到達点を示すものであるかもしれない。『壁』からは遠くまで来たようでもあり、やはりそこに回帰したようでもある。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『図書館にまいこんだこどもの大質問』が好評で、その続編として新たに本書が。主旨は同じで、図書館のレファランスに寄せられた質問に図書館員たちが知恵を絞って答える(応える)というもの。Q3「6匹のくまが出てくる本をまた読みたい」ーこれなどはレファランスの得意分野のようだが、これがなかなかに手ごわい。「6匹のくま」というところが難物。追加情報の「めがねをかけた人が出てくる」、「大きい本」からとうとうたどりついたのが『ウォーリーをさがせ!』。正解だった。でも、まさか6匹のくまからウォーリーとは。
ヴェネツィア
2024/10/15 06:44

中には図書館のレファランスに聞くのは、お門違いなのでは?というような質問も。Q12「さっき見た鳥の名前を知りたい」ーもちろん、一緒に鳥を見ていたわけではないのだが、それでも正解にたどり着く。Q9「サンタクロースのそりを引いているトナカイはオス・メスどちらか?」。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
おばけ絵本シリーズの西平あかね 作。今回も「さくぴー」と「たろぼう」のおばけ兄妹の冒険譚。上下の空間をたっぷり取るために縦サイズ。嵐の中でゲタを落としてしまった、から傘おばけのぴこちゃんのゲタを探して地底探検というお話。絵はいつもの小学生の絵日記風のヘタウマ絵。地下の洞窟探検というところが今回の眼目か。
yomineko
2024/10/15 09:46

ヴェネツィアさん、おはようございます🌞今、お化けがマイブームです(笑)読みたい本に登録させて頂きました📚

ヴェネツィア
2024/10/15 11:10

yominekoさん、おはようございます。この人はシリーズで何冊かあるようです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これまでの㈠と㈡は仏教説話といった趣きだったが、ここに来て一転して顕微鏡の解説。ほぼ脈絡はなさそうなのだが、末尾に「更に小さなものをも明かに見て、すこしも誤らない人はむかしから決して少くありません。この人たちは自分のこころを修めたのです」と精神修養で締めくくり、かろうじてこれまでとの連関性がたどれそうではある。顕微鏡の解説自体は、門外漢の私には、ほおお、そういうものですか、とただただ拝聴するしかない。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
寛弘5(1008)年の秋から同7(1010)年正月まで。全体はもっとあり、他は散逸したとの説もあるが不明。そもそも日記とはいっても、近代以降のそれとは、そのあり方も意味も違う。また、王朝期のものでも、『土佐日記』、『和泉式部日記』などいくつもが残されているが、それぞれにその性格はかなり違っている。さて、この『紫式部日記』だが、後半には作者自身の感想や考えが示される部分が多くなるが、前半では宮中の宮仕えの記録といった趣きが強いようだ。中でもハイライトは敦成親王(後の後一条天皇)誕生の前後である。⇒
宵待草
2024/10/14 19:00

ヴェネツィアさん こんばんは!🌃 興味深くレビューを拝読しました!💫 3年前の秋に、五島美術館『国宝 紫式部日記絵巻』の公開時に鑑賞した折に、国文学者:小谷野純一の『紫式部日記の世界へ』を既読・レビューしました。 源氏物語にしても紫式部日記にしても、かなりの書籍が発刊されて居て、選書&既読には迷います。 宮崎荘平の本書は📝させていただきますね!🍀 何時も沢山の良書の、ご紹介・レビューに学びを頂き、有り難うございます!🙋 気温が下がり始めていますので、お互いに体調に留意したいと思います!✨ 宵待草

ヴェネツィア
2024/10/15 04:22

宵待草さん、『紫式部日記』の全文を読んだのは初めてでしたが、たいへん興味深いものでした。お薦めです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
かなりよく編集された江戸の芸能紹介本。図版もたくさんあり、そのお蔭もあって、臨場感を持って客席の興奮が伝わってくる。劇場を描いた絵は、思いの外に浮き絵(西洋風の遠近法を用いた絵)の技法を用いたものが多かった。とにかく、客席と役者の距離の近いのは現代の歌舞伎との大きな違い。琴平の金丸座に行けば実感できるが、花道(ちなみにこれは歌舞伎の発明)などは、客席の中といった配置である。見世物、落語、軽業、珍獣と、江戸の大衆娯楽は花盛り。また、よくぞこれだけ貴重な絵が残ったもの。編者(川添裕)のセンスも光る。
ヴェネツィア
2024/10/14 10:37

江戸の歌舞伎を見てみたかった。演目は、やはり『東海道四谷怪談』か『助六』。せめて、金丸座でも。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
エイミー・クローズ・ローゼンタールとトム・リヒテンヘルドの共作。二人はどちらもアメリカの人。名前からはユダヤ系かと思われる。描かれているのはアヒルなのか、ウサギなのか?左向きだと見ればアヒル、右向きだとウサギというトロンプ・ルイユ(?)の絵がカギ。思い込みを捨てればわかる相手の立場。最後のアリクイvsブラキオサウルスの絵も絶妙。読み聞かせではウサギ派が多数を占めそうな気がするが、さてどうだろう。
えか
2024/10/14 08:42

この表紙の絵、もしかしたら、その国の言語が左から書き始めるのか、その反対か、でも、見え方が変わってきそうだよね。芝居の上手下手から考えると目の動きは向かって右から左に行くよね。その場合はウサギさんに見えそう。これは、右利きの人の目線かもね。

ヴェネツィア
2024/10/14 08:45

えかさん、なるほど。右利き左利きは全く考えませんでした。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
手紙㈠に続く仏教説話の第2弾。仏教に明るくないので、残念ながら出典があるものやらそうでないのやらわからない。インドのアショウカ大王の事績として語られる。玄奘の『大唐西域記』にもいくつかのアショカ王の物語が語られていたが、これもそうした仏教伝承の一つか。対するのは「いやしい職業の女」だが、こちらはマグダラのマリアを思わせる。奇跡を起こすのは「まことのこころ」と、やや教訓めくが、同時に普遍的な真理でもあるのだろう。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
恐竜観には世代差があるらしい。今では「鳥の恐竜起源説」は常識であるらしいのだが、1996年に恐竜に興味を持っていたかどうかでそこが大きく違うそうだ。1970年代くらいから恐竜研究も急速に進み、かくして世代差が生まれてきたらしい。空を飛ぶ鳥を見て「あ!恐竜だ」と思う世代と、動物園のワニを見て「恐竜の親戚だ」と思う世代と。古い世代の思い描く恐竜はトカゲみたいだが、今の恐竜の絵は羽毛が生えていて、たしかに見るからに鳥に近い。本書は、そうした「鳥の恐竜起源説」を豊富な図解入りで懇切丁寧に解き明かしてくれる。
syota
2024/10/22 23:56

ヴェネツィアさんのレビューに惹かれて読んでみました。恐竜といえばゴジラのように尻尾と後ろ足で直立していたと子供の頃刷り込まれた世代には隔世の感のある内容で、胃石の話や翼の進化など、興味深い内容を楽しく読むことができました。良い本をご紹介いただき、ありがとうございました。

ヴェネツィア
2024/10/23 06:28

syotaさん、恐竜研究の進歩と自分の恐竜観の古さを再確認することになりますね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の筧菜奈子氏によれば、日本は文様大国であるそうな。たしかに、縄文時代の文字通り縄目文に始まって、今に至るも身の回りのあちこちに文様が散見される。お皿の裏に梅鉢の文様があったり、そもそも和皿の文様そのものもそうだ。着物の柄にもあるし、歌舞伎などを見に行こうものなら文様尽くしの感がある。見渡してみれば、街中にもたくさんあるようで、ことに京都などは文様の街である。著者も京都に移ってから文様に目を開かれたらしい。北野天満宮や清明神社なんて、まさに文様の宝庫。東京にも神田明神をはじめ文様探検の地には事欠かない。
ヴェネツィア
2024/10/13 16:04

最近では紋付を着ることがなくなったので、家紋も廃れつつあるのだろうか。それとも、それぞれのお家の家紋はみんな知っていて、その限りでは未だ健在なのだろうか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
絵と文は谷内こうた。極端に言葉の少ない絵本。ここでは想像力が喚起され、想像世界に誘われる。絵は、いわばそのための補助的な役割を果たす。シンプルだけど美しく、幻想性を併せ持った温かみのある絵だ。この世界の延長上には『銀河鉄道の夜』をはじめ、無限の空想世界が広がっている。
mitu
2024/10/13 08:57

ヴェネツィアさん、おはようございます😊作者名をタップすると、読メは、作者の著作が、出るようになっていますので、文字本と違い絵本だと、表紙が表れてどんな作品なのか、なんとなく作風がわかったりしますね。これと言って傾向が掴めない未熟者ですが、魅力的な絵が並んでいました。図書館で探してみたいです。

ヴェネツィア
2024/10/13 13:06

mituさん、こんにちは。ぜひ探してみてください。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
一匹の竜を主人公とした「捨身」の物語。テーマが、ほとんど生のまま提示されていて、わかりやす過ぎるのが欠点か。もっとも、見方を変えれば、そうした文体にこそ賢治の希求が素直に表出されているということなのかも知れない。そもそも、作品を解釈しようとすることが傲慢であるといえば、そうに違いない。(二)以下もこんな感じなのだろうか。そういえば、タイトルは『手紙』だが、誰が誰に宛てたものなのだろう。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ディケンズの『二都物語』をベースに、デュマをさらに一層通俗化した手法で書けば、こんな風になるだろうか。時は1872年。バスティーユ襲撃の3年後、ジロンド党がそしてジャコバン党が勢威を奮うフランス。そしてフランスの王党派を支援する対岸のイギリス、就中「紅はこべ」の一党の物語。紅はこべの快刀乱麻の活躍を描くが、彼の正体はかなり早い段階で読者にはわかる。同時に物語のおおよそのプロットもまた。社交界の華、マルグリートが彩りを添えるのだが、彼女は実は何の役にも立たない…どころか、単なる足手まといでしかない。⇒
歩月るな
2024/11/18 01:34

どうして選ばれているのか、自分の感想を見なおしたところ【持ち込みした出版社に全部断られて、仕方ないから戯曲化して上演したら大ヒットしちゃって、出版社の手のひらクルーで「小説版出しませんか!」とお声が掛かって出た本】という事だからだと思います。学びがありますよね。(個人の感想です)

ヴェネツィア
2024/11/18 08:06

歩月るなさん、情報をありがとうございます。ガーディアンは、人気と価値評価は全く別物であると考えないのでしょうかね。時々、こういうのがあります。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
08はイタリアの巨匠カルロ・スカルパ。ウーディネの"Casa Veritti"(1950年代)とベルドリーノの"Casa Ottolenghi"(1970年代)が代表的な住宅建築として紹介される。まずはヴェリッティ邸だが、外観で特筆すべきは見る角度によって印象がかなり違うこと、庭との空間配置が快適な住環境を生み出していそうなことなどである。内部は随所に木が配されていてぬくもり感があることが顕著な特徴である。もう一つのオットレンギ邸はガルダ湖の湖畔に位置するようだが、ローマ時代の遺跡が現代に蘇ったかの⇒
ヴェネツィア
2024/10/12 09:05

Himekoさん、さすがによくご存知ですね。スカルパはヴェネツィア生まれで、大学もヴェネツィアですね。

Himeko is not cat
2024/10/12 20:33

ヴェネツィアと言えば、スプリッツです🥂ワインじゃないけど…😋

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
西原あかね 作。さきちゃんとたろうたち人間の家族と昼夜反転した生活を送っているおばけの家族を描く。アイディアとすれば、それだけといえばそれだけ。絵は素人っぽい。子どもの描いた絵日記といった風情。それが味といえば味。人間の家族もおばけの家族も一緒。怖くない(?)おばけ絵本。
ヴェネツィア
2024/10/12 07:26

私の感想ではあまり面白そうには見えないだろうが、なかなかの人気絵本。やはり、おばけには興味津々で、怖くないところがいい?

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
七・五調の定型詩。これは賢治の幻想を詠ったものだろうか。「おん舎利」が「燐光をはな」つというのであるから。その直前の「こゝろさびしくおろがめば」に込められた痛切な寂寥感が胸を打つ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
2000年の3月14日から6月18日まで、国立西洋美術館で開催された「ピカソ 子どもの世界」展に際して編集されたもの。本書での収録は、ほぼ制作年代順のようだ。巻頭にはピカソの家族の写真に次いで初期の印象派風の絵から。続いては、青の時代、桃色の時代と進んでゆく。すべて子どもの絵なのだが、それでも様式の変遷を全く同じようにたどれるのが興味深い。その後のキューブの時代には、やはりキューブな子どもの絵である。最後を飾るのは素描の「フルート奏者と子ども」。子どもの絵だけでピカソを堪能できる充実の1冊。お薦め!
ヴェネツィア
2024/10/11 17:17

全ページいい絵で溢れているのだが、ついつい娘のマヤを描いた絵に肩入れしてしまう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
瀬名垣の陽に対して、真志喜の陰。そして、動と静。さらには、漂泊者と定住者といったように、この二人はことごとく対象的であり、それが小説の構造を決定づけてもいる。ただし、陰である真志喜が定住者として定点(恒星のごとく)にいる周囲を、動の瀬名垣が(惑星のように)周回するのである。また、真志喜と父親の間の葛藤は、親子であることや世代間のものではなく、非凡者と凡庸な者との間に生じた齟齬である。ここでも、真志喜は動くことはない。古書の世界を舞台にした、静かなる情念の世界が展開する。月魚が跳ねるシーンはまさに幽玄の境。
ショースケ
2024/10/11 11:13

恒星と惑星、素晴らしいレビューです 言い当ててます!またこの世界観を読みたくなりました

ヴェネツィア
2024/10/11 11:32

ショースケさん、ありがとうございます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
作者のドン=フリーマンはカリフォルニア生まれの絵本作家。お話はセイヤー君(11歳くらいの男の子)と、おもちゃのくまのビーディーくんとの愛情物語。なお、ビーディーくんは、擬熊化される。絵はモノクロームの木版画。セイヤーくんは往年のアメリカの子どもらしい描き方。ビーディーくんの行動は少年らしさに溢れている。1954年刊と古いのだが、その古さがかつての良きアメリカを表象する。
yomineko
2024/10/11 08:28

おはようございます🌞図書館にありました😊読みたい本に登録させて頂きました📚

ヴェネツィア
2024/10/11 08:43

yominekoさん、おはようございます。古典的アメリカ絵本です。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これも文語詩未定稿の1篇。七・五調の定型をとってはいるが、メモに近い段階だったのではないだろうか。難解というよりは、不分明な部分が多いのである。まず第1連の「ながともがら」という時の、「な」が誰を指しているのかわからない。したがって「ともがら」もまた不明である。次いで、第2連の「このことば」という時の「この」の指示内容がわからない。そんなこんなで、詩全体の想念もよくわからないままなのである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『ミーハー歌舞伎』(東京書籍。これはお薦め!)の田口章子 編著。百鬼丸の切り絵が各ページを彩る。入門的な歌舞伎解説書としては最適の1冊かと思う。巻頭を飾るのは、やはり『助六』。このお芝居は、わかりやすくて面白くて粋でカッコイイ。敵討ちと花魁との恋と、江戸の人たちの大好きなものがてんこ盛り。もちろん、今見ても痛快。以下「厳選作品集」では『仮名手本忠臣蔵』から5つも採られている。「時代物」から19作、「世話物」からは15作を紹介、解説。お薦め!
新田新一
2024/10/10 09:45

良いレビューを有難うございます。この本をぜひ読んでみたくなりました。演劇が好きなので歌舞伎にも関心を持っていましたが、どこから始めたらよいか分かりませんでした。この本をきっかけにしたいです。

ヴェネツィア
2024/10/10 10:24

新田新一さん、これは歌舞伎入門には最適の一書だと思います。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ディック・ブルーナのおばけ絵本。うさこちゃんがおばけに変身(表紙の絵)。日頃は表情の乏しいうさこちゃんだけど、おばけになると目がくっきり。おお、怖い怖い。お友だちの「あーは」と「うぃるめん」のすたこらさっさと逃げて行く様子が可愛い。大人から見れば、うさこちゃんのおばけ変装は愛敬があるように見えるが、子どもたちはどうなのだろう。やっぱり「うさこちゃん、かわいい!」だろうか。
ヴェネツィア
2024/10/10 16:59

yominekoさん、こんにちは。かわいいといえばかわいいです。そして、それだけといえばそれだけですが。

yomineko
2024/10/11 07:37

おはようございます🌞可愛いだけと聞いてうちの猫達を思い出しました(笑)

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文体の整合性からすれば、完成稿だと思われる。ただ、印象的には、こんな終わり方なのかと半ば茫然とする。ほんと うにこれでいいのか、と賢治に問いかけたくなるのである。㈠ で「土神の方は正直で狐は少し不正直だったかも知れません」と設定されていたが、狐は樺につい見栄をはって背伸びしすぎてしまうが、何ほどの悪意があるわけでもなく、「不正直」というほどでもなさそうだ。一方の土神は「正直」であったかもしれないが、その発露のあり方は明らかに過剰である。根底には樺への想いと、万事にスマートな狐への嫉妬心があったのだろう。
kaoru
2024/10/09 18:02

悲しい終わり方でしたね。賢治は自分にもこの狐に似た部分があると自覚していたのかもしれません。そして土神に似た暴力性をいくぶん備えていることも。

ヴェネツィア
2024/10/09 18:11

kaoruさん、たしかに賢治に内在する暴力を自ら暴いたのかも知れません。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
1938年。スペイン内戦の年。堀田善衛21歳。行動型ではなく思索型の堀田が国際義勇軍に馳せ参じたとは思わないが、それでもこの内戦は彼にその後もずっと続くカタルーニャへの特別な思いを与え続けた。本書もほとんど一貫してそれが影を落としている。スペイン、とりわけカタルーニャはその時代に生きた者たち(例えばジョージ・オーウェルがそうだ)のその後の生き方をも特別なものにしていくのだろう。堀田にとっての「情熱の行方」は向かうべき方向を失い、ひたすらに過去に沈潜する方向性を与えることで蘇らせたのだろう。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著書のカトリーヌ・ルグランはパリで活躍する服飾デザイナー。本書は、彼女が世界の様々な地域の民族衣装を蒐集する旅の記録でもある。写真も著書によるものだが、プロの写真家並の実力のようだ。さて、蒐集の旅はベトナム北部から。花モン、白モン、黒モン、さらにはボイ族、ヤオ族の鮮やかで、しかもデザイン性にも極めて優れた衣装の数々である。技法は刺繍にアップリケなどが駆使される。そして、世界に広く分布する藍染である。続いてはインド。グジャラートのラバーリー遊牧民の衣装が最も凝っていて、目にも鮮やかである。男性たちの衣装も⇒
ヴェネツィア
2024/10/09 11:53

⇒紹介されるが、多様な形のターバン以外はあまり見るべきものもなさそうだ。男性の衣装が華やかなのは中米である。形は違うが、女性のそれと色遣いや刺繍のセンスは同じようだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文のティエリー・ロブレヒトも、絵のフィリップ・ホーセンスもブリュッセルの人。見開きには「オランダ絵本」とあるが、正しくはベルギー絵本。「わたし」がほんとうのことを言わない時に、ないしょおばけが口から飛び出して、とうとうおばけでいっぱいに、というお話。やや教訓めいたところが気になるが、まあ許容範囲内か。絵は主人公の女の子もおばけも人形劇の人形のようで好感度が高いか。添え物のネコやイヌもいい感じだ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
小説作法としては、芥川の『藪の中』を踏襲しているだろう。緋紗子には特定のモデルはないようだが、俤としては谷崎の春琴あたりか。古都、金沢(明記されてはいないが)で起こった帝銀事件ばりの殺人事件を巡って、何人もが自分の知り得た情報を語る。起筆から展開部まではスリリングで、登場人物たちも緋紗子を別格としつつ、それぞれは相応に魅力的である。ただし、この手法からは読者にも真犯人の予想はつくし、その意味ではミステリーとしての妙味にはやや乏しいか。また、物語の終盤近くまでは緊張感を保っていたが、最後の謎解きに⇒
酔拳2
2024/10/12 19:21

さすがヴェネツィアさん、考察が深いわー

ヴェネツィア
2024/10/12 19:23

酔拳2さん、ありがとうございます。そう言われると、なんだか恥ずかしくなります。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
モディリアーニの絵は、表紙の作品がそうであるように、たちどころにそれがモディリアーニであることがわかる。初期作品の例えば「リヴォルノの乞食」のように、濃密なセザンヌ色を示す作品を例外とすれば、彫刻を含めて、どの作品もモディリアーニ色を強く発光している。しかも、それらはそこはかとない憂愁を孕んでいるのである。モディリアーニが、私たちの思うモディリアーニになったのは、何時からであったか。1913年の「ポール・アレクサンドルの肖像」には、すでにその兆しが見える。そうすると、彫刻家から再び画家に戻った時あたり⇒
ヴェネツィア
2024/10/08 17:04

たしかに。私のフランスへのあくなき憧憬も、文学とともに映画にも大きく触発されていました。

kaoru
2024/10/08 17:22

わかります。あの時代の日本人にとってフランスはある意味「夢の国」だったと感じます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ささき まき 作。お話は、いたるところからおばけがゾロゾロ。最後は「しんごちゃん あそぼう!」と誘いに、というもの。眼目はやはり絵。漫画チックではあるが、明快でわかりやすい。また、おばけの造型もシンプル、かつ怖くないような配慮(?)がなされている。でも、おばけたちが集団で「あそぼう」ってやって来たら、やっぱり怖いかな?
ヴェネツィア
2024/10/08 10:54

yominekoさん、おはようございます。この人の絵が好きなら楽しめます。

yomineko
2024/10/08 11:09

ささきまきさん=佐々木マキさんですよね?この方の絵はとてもかわいいので好きです😊

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
07はジェフリー・バワの登場である。紹介されるのは、2邸。バワが最初に設計したのがベントータに建てられたLunuganga。自邸である。小規模で外観には大きな特徴は見られないが、内部空間が素晴らしい。二川由夫のいう、まさに「楽園」である。スリランカは、コロンボやガル(ゴール)に、いわゆるコロニアル様式の建築が多く残されているが、バワのそれは明らかにそれらを越えたポスト・コロニアルを指向する。コロンボの33rd Laneは、さらに一層それを徹底したものである。これまた外観こそ古びてはいるが、内部はほとんど⇒
ヴェネツィア
2024/10/07 16:14

⇒夢の国ともいうべき、再びの「楽園」である。バワの建築の実物はアフンガラ(スリランカ)のホテルを見たが、なんとも独特の様式であり、これがバワかと、ただただ見惚れるばかりであった。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
この年齢になって初めて『飛ぶ教室』を読んだ。少年時にケストナー体験がなかったのである。その頃に読んでいれば、ギムナジウムに強い憧れを持っていただろうと思う。この物語は二つの世代を扱っている。すなわち、今の5年生のジョニーやマルティンたちと、かつてはここの生徒であったベク先生や禁煙さんたちの時代である。そして、物語はいとも易易とそうした世代を超えてゆく。ギムナジウムには懐旧と未来への希望とが共存しているのである。誰にとっても、キルヒベルクのギムナジウムはそんな永遠の場所である。
おか
2024/10/10 09:08

自分のレビューを探しましたが無くなってました( ´艸`)でも 今も昔も同じ この作品好きです

ヴェネツィア
2024/10/10 09:19

おかさん、この作品を好きだというのはよく理解できます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
作者のデイヴィッド・メリングはイギリスのイラストレーター。ある夜、ベッドで本を読んでいた女の子、ボーのところにおばけたちがやって来た。ボーが連れていかれたのは立派な図書館。だけど本は1冊もない。そこで、ボーとおばけたちは一緒にお話を作ることに…。イラストレーターだけあって、やはり勝負所は絵。主人公のボ-はちょっと漫画っぽいけれど、図書館を下から見上げた絵、また逆に上から見下ろす絵は迫力がある。おばけたちの造型も全く怖くはないので、これなら小さな子どもたちも安心。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のロビン・メイは情報がなくて、どういう人なのかよくわからない。訳と解説のバーグランド・薫氏は英語の教員のようだ。さて本書だが、ハロウィーンのあれこれについて歴史的に述べていて、それなりに面白くはあるのだが、どこまで信じていいのやらわからない。というのは、出典が一切示されていない上に「昔、スコットランドでは…」という調子で語るのだが、その「昔」とは何時のことなのかが明示されることがないからである。絵も随所にあるのだが、これまた作者も時代も不明のままに提示されている。残念。
Johnnycake
2024/10/06 19:24

Robin Mayは70年代に歴史関連の本(子供向け?)を何冊か出版した方のようです。https://www.thriftbooks.com/a/robin-may/491921/?srsltid=AfmBOopIBwzwPgEDac5_c2DMAAtOd_8pMp0MUv925eXhIrXHrY9H_9JB

ヴェネツィア
2024/10/06 19:44

Johnnycakeさん、ロビン・メイの情報をありがとうございます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
5つの短篇から構成。5篇すべて成瀬が主人公。今回、島崎は影が薄い。巻頭の「ときめきっ子タイム」では、二番煎じ、柳の下のドジョウという気もしていたが、二つ目の「成瀬慶彦の憂鬱」あたりからは、徐々に成瀬らしさが出てきて、「やめたいクレーマー」からはもう全開の成瀬オーラである。続く「コンビーフはうまい」も何度も笑ってしまう。もちろん、成瀬本人はいたってクールだ。それは巻末の「探さないでください」でも全く同様。つまり、成瀬本人はいたって真剣なのだが、それ故に周囲の普通が浮き上がってしまうという構造なのだろう。
よう
2024/11/14 14:36

ナイスありがとうございます。今回は島崎影が薄かったですよね。

ヴェネツィア
2024/11/14 15:35

ようさん、こんにちは。そうですね。次回には復活するのではないでしょうか。第3弾は間違いなくありそうですから。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
モーリス・センダックの作品。少年ミッキー(顔は老けているけれど、4歳くらいか)の真夜中の冒険。ファンタジーだが、舞台が台所というところがユニーク。ただ、幻想譚とはいえ、裸でケーキのねり粉に飛び込んだり、ミルクに全身でどっぷり浸かるという発想は日本にはなさそうだ。おそらく清潔観の違いから、日本では眉を顰める人もいそうだ。絵は基本的にポップアート風のリアリズムだが、それだけに一層そうした違いが際立つだろう。
ヴェネツィア
2024/10/06 08:13

清潔観の危惧は一部はあたっていたが、さすがにセンダック。かなりの人気本だった。この独特のファンタジーがすべて吹き飛ばしてしまうようだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の仙石宗久氏は、NPO法人有職文化研究所を主宰する。写真も多く、また美しい。個々の説明も適格にして簡潔で、きわめて要領よく、わかりやすく述べられている。平安朝の有職故実の入門書としては絶好の一書である。十二単をはじめとして王朝女性の装束が紹介されるが、男性篇も童篇もあり、さらには宮中の遊びの紹介まで。衣冠装束などは、実際に着てみたくなる。図書館にあれば、ぜひ一読を。王朝気分に浸れること必定である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレ1934年のマリー=ロールとヴェルナー。そして、1944年のそれぞれの二人。物語は一見、全く別個に進むようだが、そこには実は目には見えない紐帯があったのだろう。互いの空間と時間とが少しずつ近接して行き、そしてとうとう一点に収斂する。しかし、そんな二人がが現実の時間を共に過ごしたのは、わずかに数時間くらいだった。それは連合軍による総攻撃の日であった。ナチスを、そしてノルマンディーの作戦を描く、こんな方法もあったのである。読後感はあまりにも哀切である。あのダイアモンドは誰をも救わなかったのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
上野そら・文、くまくら珠美・絵。文と絵のコンビネーションがとってもうまくかみ合っている。文はネコ(名前は不明)の一人称語り(漱石の『吾輩は猫である』の現代版なのである)。「げぼく」4歳から18年間を経て、先に逝く。「…だから、げぼく。 泣くな」から後は、読者が泣いてしまうだろう。「わたし」(ネコ)と「げぼく」の愛情の物語。絵もよくこれに応えている。けっして上手くはないのだが(しかも、いささか漫画的でもある)ネコの表情は実によくとらえている。ネコ好きにはお薦め!
ヴェネツィア
2024/10/05 08:58

出典をもう一つ。ポール・ギャリコ『猫語の教科書』。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
宮沢賢治の写真といえば、この本の表紙にも採用されている、花巻農学校付近で撮られたものと、手帳に書かれていた自筆の「雨ニモマケズ」くらいしか見たことがなかった。今回のこのアルバムでは、妹トシの写真や賢治の描いた絵(これが相当な優れもの)などもあり、また『注文の多い料理店』の広告チラシなど、資料的にもなかなかに充実したものであった。そして、自筆草稿の写真も多く、賢治が推敲を重ねていたこともよくわかる。さらには、教材図など科学者、教育者としての賢治像も垣間見ることができた。ページ数の割には充実した1冊であった。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
貞観19年1月、玄奘は多数の経典を持って長安に帰着する。実に16年ぶりのことであった。『大唐西域記』には、旅の苦労が語られることはないが、実際には想像を絶する苦難の旅路であったことだろう。さて、これまでは説話的な章段にばかり眼を奪われてきたが、地誌の記録として見れば、これまた膨大にして貴重きわまりないものでもあった。辨機の「讃」の末尾には「『山海經』の闕を補い…」とあるが、先行のどのような文献よりも詳細な報告でもあった。例えば「烏茶国は周囲七千余里。国の大都城は周囲二十余里ある。」以下まだ詳細に⇒
ヴェネツィア
2024/10/04 11:21

この国の様子が語られる。それは他の国についても同様であり、唐の対外戦略ヤ世界観の形成に大きく寄与したものと思われる。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
かつて一時代を画したマリー・ホール・エッツ作。古いタッチではあるが、それもむしろ味わいといえなくはない。お話はある日、野原に遊びに行った「わたし」(5歳くらいの女の子)が、ばったやかえるや、かめとお友達になりたいのだけれど、誰も相手をしてくれない。とうとうあきらめて水辺に腰かけていると…というもの。絵はラフな描線に登場人物(動物)たちだけをスポット彩色したもの。素朴な良さがあり、少なくても大人はクラシックな感覚を楽しめるだろう。子どもたちはどうだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
月の夜に電信柱の隊列が行進するといった、硬派のファンタジー。軍歌にのって高らかに歌い上げられるオノマトペも「ドツテテドツテテ、ドツテテド」と硬く重い。どうかとは思うが、時々、賢治にはこうした軍隊趣味めいたものがあるようだ。賢治もまた時代の子だったということか。その一方ではエスペラント運動などにも関わり、グローバルな指向も併せ持っているのだが。物語では「電気総長」という発想もユニークで、これまた賢治らしい。翻れば、そもそもこの作品の基調を成す鉄道趣味もまたそうだ。こちらは擬人化されつつも、強い存在感を放つ。
えか
2024/10/03 23:36

電気総長が走っている汽車に乗り込んで、室内灯を直すのがカッコいいです。あんな目立つ行進していて、汽車の乗客には、見つかってはいけないのも、お間抜けで楽しいです🤣。

ヴェネツィア
2024/10/04 05:05

えかさん、なるほど。それがえかさんが、この作品をこよなく愛する最大のポイントだったのですね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
7つの短篇を収録。これらすべての中核にあるのが、世田谷代田にある木造アパートの木暮荘。巻頭の「シンプリーヘブン」を読んでいる時には、三浦しをん作品の中でも最も通俗的かななどと思っていた。「心身」においてもそれは変わらない。ところが、「柱の実り」あたりから、しをんさんはしだいに暴走しはじめる。「黒い飲み物」では、一層アクセルがかかる。「穴」にいたるも、このスピード感は維持される。「ピース」では、もはや疾駆する勢いだ。そして、とうとう巻末の「嘘の味」にいたって寂しく落着する。その頃には、私たち読者が木暮荘⇒
ヴェネツィア
2024/10/03 08:53

⇒を見る眼は、もはや親密と懐旧の想いに溢れている。続編の含みを残してはいるが、どうなのだろう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の山口遼氏は長く宝飾品ビジネスに携わる傍ら、歴史的な研究も続けてきた斯界の専門家。本書は、いわばその成果を開陳したものだが、この分量ではとても宝飾芸術の歴史を語るには不十分だろう。美しく煌びやかな写真が多数付されてはいるものの、個々の時代や様式のサンプルや説明があまりにも少なく、たとえ概観だけするにしても十分とはいえないだろう。せめて、古典篇と近・現代篇の2分冊にすればよかったのにと思う。巻末には専門用語の解説や美術館案内など有用な付録も。
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寮美千子・作。篠崎三朗・絵。お話は、前後をアップルパイでくるんで、中はひたすらにリンゴ讃。文章は白秋ばりの詩的リズムが活きている。絵はラフな描線に大胆な彩色が施されたインパクトの強いタッチで描かれる。主人公の女の子も背景も幸せ感が横溢する。
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童話作品だが未完のようだ。タイトルは「けだもの」というのだが(賢治自身が付けたかどうかわからない)登場する動物たちには野獣性や狂暴性は全く見られず、ライオンやキツネ、タヌキなど、むしろ親しみやすそうな動物ばかりである。また、彼らはそれぞれ服を着ている。よくわからないのが、動物たちが野生状態にあるのか、それとも檻の中にいるのか(そうであったとしても、自由に外には出られそうだ)が今一つ判然としないことである。ライオンは王としてやたらに威張っているのだが、さてこの後どのように展開するはずであったのか。
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『世界現代住宅全集』06はスティーヴン・ホールの「ストレット・ハウス」と「"Y"ハウス」である。前者が1989-92年、後者は1997-99年とかなり新しい現代住宅建築である。「ストレット・ハウス」はダラス(テキサス州)郊外(というより森の中)に建てられた、豪邸ともいうべき偉容を誇っている。二川由夫氏は、ホールの住宅を、バルトークの「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」を引き合いに出して説明するのだが、かえって理解が遠のきそうだ(私はバルトークが苦手なのである)そこで、直観的な印象を述べると⇒
ヴェネツィア
2024/10/02 16:42

⇒外部はいくつもの丸屋根を持つことと、個人宅にしてはかなりに大きなこと以外にはそれほど変わったところもなさそうに見えるが、内部空間はあたかも絵画のようだ。しいていえばダリの絵、あるいはマグリットの絵(ただし、マグリットの曲線に対して、こちらは直線が多用されているので似ていないのだが)か。なんだか、迷宮に彷徨いこんだかのような気分に捉われるのである。一方"Y"ハウスの外観は開拓部落のパヴィリオンのようだ。こちらの内部空間は存外に機能的なようだ。

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吉田友和の台湾紀行。この人は何度か台湾を旅行しているようだが、今回は反時計回りに台湾一周を試みる。台北→台中→台南→高尾→台東→花蓮→台北+馬祖島の旅である。ぜひとも試みてみたくなるルートである。ただこの人の紀行は、やたらに食べることばかりなのが欠点とも長所とも言える。また、旅に今一つ強い個性が感じられないのも残念である。もっとも、今回は馬祖島というハイライトがあったのだが。ただ、せっかくそこまで行きながら、わずか数時間で台北に戻ってしまうところなどが、旅に深みを与えない理由なのではないだろうか。
ヴェネツィア
2024/10/02 16:50

キヌギヌさん、上にも挙げた、高野秀行、下川裕治、蔵前仁一、沢木耕太郎あたりはお薦めです。

キヌギヌ
2024/10/03 19:20

ありがとうございます!!探してみますね!

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フランク・アッシュ作。クマくんとお月さまシリーズの1冊。お話は他愛もないといえば他愛もないもの。ひたすらに"innocent"なクマくんは、お月さまとお話ができて幸せなのだが、なんだか能天気なお話でもある。もっとも、それは大人の目からであって、子どもたちの受け止め方はずっと肯定的なのだろう。絵は、いつもの太い枠線にベタ塗りのスタイル。シンプルなフォルムでの勝負である。
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短いながら完結した童話。完成稿だと思われる。うまくいかないことがあると、それをひと(他者)のせいにしてしまうツェねずみ。悪いヤツというほどのことはなく、見方によっては憎めない存在でもあるのだけれど。でも、そうした態度のせいで、次第に誰からも相手にされなくなってしまう。ツェねずみは孤独なのである。ほんとうはそんなつもりではなかったはずなのに、結果的には自分自身を疎外してしまう。ほのかにあわれな物語。賢治のツェねずみを見る眼は優しい。
クマシカ
2024/10/01 18:35

ツェねずみというタイトルが可愛すぎてすぐ読みました。宮沢賢治は短編でも独特で読み進められないことが多いのですがこの作品は絵本にもありそうでとても読みやすかったです。

ヴェネツィア
2024/10/01 19:08

クマシカさん、賢治童話の大半は未完ですが、これは幸いにも完結しているようです。奥が深くて、なかなかそこに到達できません。

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月村了衛は初読。終始一貫して緊張感を失わない筆力である。読者もまた、そのスリリングな展開を追体験することになる。作中の場面のほとんどを占めるのは、狭い潜水艦の中である。したがって、登場人物同士の関係性はいたって緊密にならざるを得ない。しかも、元来が共和国(北朝鮮)海軍軍人という狭小な世界の中のさらなる小世界である。本書は、そうしたややもするとマイナスに働きかねない要素を実に巧みに小説としての長所に変えて行く。潜水艦を乗っ取っての脱北。そして、そんな彼らの命綱でもある拉致被害者の珠代。小説だからこそ可能⇒
ヴェネツィア
2024/10/01 16:47

⇒だと言えばそうだが、手に汗握る面白さが読んでいる間ずっと継続し続ける稀有な小説。そして、これは共和国、また日本の海上保安庁や自衛隊(それはすなわち日本政府ということでもあるが)の構造の持つ本質を浮き彫りにする小説でもある。エンターテインメント小説としてはお薦め。

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著者の金子量重氏は、元アジア民族造形館理事長。本書はアジアのほぼ全域から採取した「衣」と「食の器」を写真で紹介し、個々に解説を付したもの。前半の「衣」は、やや資料が少ない上に偏りがあるようだ。また、博物館的に並べられているので、生き生きとした躍動感が感じられないのは残念である。それに比べると、後半の食器の方が充実しているようだ。形も、焼き物としての土や温度の違いなど実に多様である。ことに興味を惹かれたのが、スマトラ島トバのバタック族の医薬入れ。惚れ惚れするほどに素晴らしい 造形である。また、実用的な⇒
ヴェネツィア
2024/10/01 12:09

⇒ものでは、イスファハーン(イラン)の食器類が、色合いといい、形といい、これまた他には類を見ない風合いである。なお、この文化圏はタシケント(ウズベキスタン)あたりにまで及ぶようだ。

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ヴェネツィア
文のエドナ・ミッチェル・プレストンは、ほとんど情報がないが、アメリカの児童文学作家だろう。絵のバーバラ・クーニーの方は、これまでに多数の著書があるアメリカの絵本作家。小さなガチョウは生まれて初めて月を見た。好奇心にあふれたガチョウの月にまつわる顛末を描くお話。この絵本の価値を決定づけるのはやはり絵。モノクロームで描かれる静かな夜に黄色い光で輝く月がなんとも神秘的だ。また身体の動きで表出されるガチョウも、読者に実に繊細な感情を喚起する。
ヴェネツィア
2024/10/01 06:53

原題の"SQUAWK TO THE MOON, LITTLE GOOSE"に対して邦題は『おつきさん どうしたの』。もう少し、現代の趣きを活かせなかったものだろうか。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/11/30(4741日経過)
記録初日
2011/04/07(4978日経過)
読んだ本
7025冊(1日平均1.41冊)
読んだページ
1687121ページ(1日平均338ページ)
感想・レビュー
6935件(投稿率98.7%)
本棚
57棚
性別
職業
専門職
自己紹介

2011年4月からの参加で、14年目にはいりました。一番よく読んでいるのは日本文学、次いでは翻訳文学です。読むジャンルの幅は広い(半ばは意識的にそうしています)のですが、何でも手当たり次第に読むというわけではありません。特に誇れるものはありませんが、連続読書日数は初日から4969日(2024年11月12日現在)、冊数は6988冊になりました。胃癌で入院中も、海外旅行中も毎日読んできました。さて、どこまで伸ばせることやら。

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