読書メーター KADOKAWA Group

2024年4月の読書メーターまとめ

ヴェネツィア
読んだ本
71
読んだページ
13051ページ
感想・レビュー
71
ナイス
35907ナイス

2024年4月に読んだ本
71

2024年4月のお気に入り登録
27

  • おわか
  • Anemone Pink
  • 荒川叶
  • ぶぶ ひこ
  • みー
  • れれ
  • シャビ
  • ホコ
  • かおりん
  • Alm1111
  • Porco
  • 河イルカ
  • ひかる
  • さとさとし
  • katsumi
  • ともりん
  • kinoko
  • 海猫兄弟
  • si
  • sleepy
  • てってけてー
  • 加瀬しもん
  • かわかみ
  • まり
  • りー
  • kakekoe
  • 読解力を鍛え上げたい高二

2024年4月のお気に入られ登録
27

  • おわか
  • Anemone Pink
  • 荒川叶
  • ぶぶ ひこ
  • みー
  • れれ
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  • Alm1111
  • Porco
  • 河イルカ
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  • 読解力を鍛え上げたい高二

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ヴェネツィア
「十二月の都大路上下ル」を枕に表題作がこれに続く。単にページ数を整えるためのようにも見えるが、しいて関連付けるなら、見えないはずの過去の情景がそこに立ち現れた物語ということになるだろうか。「八月の御所グラウンド」では、亡き霊が生身の姿で登場するので、より発展型とも言える。どちらも万城目学らしい作品で、京都の風物を背景に(あるいはそれに頼り切って)物語が展開する。農学部グラウンドでの出征学徒壮行会を描き「生きたかっただろうな」の言葉で彼らの無念に想いを馳せ、五山の送り火で追悼したところが物語の核心だろうか。
ヴェネツィア
2024/04/04 04:59

ガラスの文鎮さん、たしかに梨木香歩の描く京都は、京都に頼っているという感じは全くありませんね。

朗読者
2024/10/24 12:41

梨木さんは滋賀も素晴らしく描かれますね♪

が「ナイス!」と言っています。

2024年4月にナイスが最も多かったつぶやき

ヴェネツィア

東日本大震災の年の4月から読書メーターに参加し、これで満13年が経過しました。今月から14年生です。皆さまこれからもお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

東日本大震災の年の4月から読書メーターに参加し、これで満13年が経過しました。今月から14年生です。皆さまこれからもお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
瑞穂
2024/04/04 22:47

14年目おめでとうございます!ヴェネツィアさんの健康を祈念しつつ、本の感想を楽しみにしています☺️

ヴェネツィア
2024/04/05 05:30

瑞穂さん、ありがとうございます。今月の後半は旅行で、来月は入院と手術でペースは落ちそうですが、途切れないようにしたいと思っています。

が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
71

ヴェネツィア
著者の小杉泰氏は京都大学に籍を置くイスラーム学者。序で著者は「イスラームという宗教は、私たちにとってまだ異文化に属する。それに触れて、生き生きとしたイスラーム像を獲得するために、小さな発見を重ねたい」と述べている。そうだったらいいなと思いつつ読み進めたのだが、新書にしては随分本格的なイスラーム紹介書である。ことに、イスラームの歴史の部分が長く(イスラームの理解のためには必須なのだろうが)、そうとうに苦戦することになった。もう少し入門的なイスラーム文化から勉強し直す必要がありそうだ。
うに
2024/04/30 18:39

ナイスありがとうございます。イスラムに関する読み物としては、私は師岡カリーマエルサムニーの「イスラームから考える」が大好きです。絶版ですが図書館にあったり、古本で手に入れられたりしますので、もしよろしければ是非に。

ヴェネツィア
2024/04/30 18:41

うにさん、ご紹介ありがとうございます。探してみます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『注文の多い料理店』の中の1篇。賢治には珍しく軍隊と軍人(烏)の戦いを描く。もっとも、相手はただ1羽だけの山烏なので戦闘というほどではない。それでも山烏の命は失われるのであるが。戦いの前夜の烏の大尉の七つのマジエルの星への祈り「わたくしはわたくしにきまったように力いっぱいたたかいます、みんなみんなあなたのお考えのとおりです」や末尾近くの「どうか憎にくむことのできない敵を殺さないでいいように早くこの世界がなりますように」との祈りは、私にはキリスト教徒のそれのように思える。もちろん、賢治が熱心な法華信者で⇒
ヴェネツィア
2024/04/30 15:48

法華経は初期の大乗仏典にあるようですから、遅くとも紀元1世紀には成立していたでしょう。ヘレニズム文化の流入が仏典の編纂を促したとの説もあるようですが、この時まだキリスト教はごく初期の段階でした。

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/04/30 16:09

そうなんです!確かに法華経の成立にはヘレニズム文化とインド文化が関係している可能性があるようですね!この時のキリスト教は初期なんですが、当時インドに原始キリスト教のトマスさんが布教に訪れていたようです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
半沢直樹シリーズの第5弾。今のところ最新作。時間軸は戻って、半沢の大阪西支店融資課長時代の活躍を描く。プロット展開の軸は従来と全く変わらず、散々な目に会わされた半沢が最後に倍返しで逆襲するというもの。例えは古いが、昔の力道山以来のパターンである。それでも飽きることがないのは、その都度新たな趣向が凝らされているからにほかならない。今回のそれは2つ用意されていた。一つの基軸がM&Aであり、これに彩りを添えるのがアルルカンの絵である。およそ結び付きそうにない要素のようだが、これこそがまさに池井戸潤の着想と⇒
drago @竜王戦観戦中。
2024/04/30 09:46

おはようございます。 「力道山以来のパターン」に、思わずにやけてしまいました~。 仰るとおり喩えとしては古すぎるけど、まさにその通りですもんね。(^^;

ヴェネツィア
2024/04/30 11:02

dragoさん、力道山ご存知でしたか。ちなみに、水戸黄門も似たようなパターンですね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。五・七調の文語定型詩。「竹行李小きをになひ 雲しろき飯場を出でぬ」の表現からは、この詩の語り手(へんな言い方だが)は季節労働者のように見えるが、やはり賢治自身なのだろうか。末尾の「廐肥もぬれたり」は、霧雨の中を独りで行く孤独と寂寥感を表象するかのようだ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これを知識としてではなく、実用書として読むことになるとは思いもよらなかった。済生会山形済生病院の浦山雅弘氏・川口清氏の監修。法研という初めて聞く出版社。イラストや図が豊富に入っていて、見やすく素人にもよくわかる。胃がん・大腸がんのメカニズムと治療法、そして術後の生活、さらには経済的支援にいたるまで網羅されていて、至れり尽くせりといった感じである。ただ、残念なのは2012年の出版なので、最新医療のロボット手術がないこと。実は、私が選んだのはコレ。「ダ・ヴィンチ」という名前がついている。
ガーネット
2024/05/10 07:16

読書メーター、復帰後はほぼレビューのみの活動にしていたため、ヴェネツィアさんが闘病の最中におられたと存じ上げず、驚いております。お加減は、いかがでしょうか。当事者でない立場からは、何を言っても薄くなりがちですけれども、読書メーターでの長いお付き合いの上で、心からご回復を祈っております。

ヴェネツィア
2024/05/10 07:33

ガーネットさん、ありがとうございます。手術も上手くいき、今日から復帰しました。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
小説の巻頭に置かれた「冬の雨」は痛みに始まる物語として定位される。以下にはそこから次第に脈絡をたどって行くごとく、縷々物語が展開してゆくのだが、文体も小説作法も私が了解していた梨木香歩のそれとはかなり異質なものであるようだ。後段において(最初から気づいていた読者もいるかもしれないが)これが『f 植物園の巣穴』の続編であることがわかり、そこで再度幻想世界に回帰して安心もし、納得もするのである。最初の違和感は、主人公たちの命名の仰々しさにもあったのだろうか。あるいは痛みが導く物語に共振することが躊躇われた⇒
ヴェネツィア
2024/04/28 16:58

⇒のであったか。読後にあらためて本作の評価を試みるとすれば、どうも『f植物園の巣穴』には及ばないようである。整合性が気に入らないのかとも思う。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
最初は未完の童話かと思った。即座に再読したのだが、やはりこれはこれで完結しているようだ。ガドルフはあてどもない旅を続けているのだが、旅の目的も、またどこからどこに向かっているのかもわからない。時刻は黄昏から夜。激しい雷雨である。ともかくもたどり着いたのは「巨きなまっ黒な家」。彼がそこで見たものは百合の花の一群と、突然に現れて格闘する二人の大きな男である。それらが幻想であったのか現実であったのかはわからない。しかし、おそらくはこれら一連の記述のすべては夢だったのだろう。物語の論理は夢のそれであるが故に。
ガーネット
2024/05/15 21:51

ヴェネツィアさんのこのレビューに、妙に引っ張られる不思議な感じを受けて、図書館でこのお話が収録されている本を探しました。岩崎書店の『宮沢賢治童話全集』の第4巻を読んでみたところ、巻末に堀尾青史さんという方の解説があり、「このお話は、岩手病院での賢治の初恋を詠んだ短歌がもとになっているのでは」とのことでした。大男の戦いは、風神雷神のようだと思ったり、折れた百合への愛着が急に消えたのを怪訝に思っていましたが、あっさりした解説に、手品の種明かしをされたみたいなガッカリした気分になりました…(°_°)

ヴェネツィア
2024/05/16 03:42

ガーネットさん、解説もあくまでも一つの解釈を示しているに過ぎません。ことに賢治の作品は多様な解釈を可能にすると思います。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
青空文庫では文語詩未定稿に分類されている1篇。なんとも崇高な詩である。世界観は仏教的汎神論とでも言おうか、人格化された月天子が薄明から夜の空にあって、賢治を含む我々はそれを仰ぎ見るのである。月天子は、最初は「ちらとのぞき」、やがて「ひかりを野にぞながしたま」ふのである。かくして、月天子はその涼やかな光によって世を遍く照らしたまふ。賢治の祈りは昇華され、私たちの祈りがその地平にまで運ばれてゆく。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ドン・ウィンズロウのデビュー作にして、若きフィリップ・マーロウともいうべきニール・ケアリーの鮮烈な初登場。このニール、喧嘩には滅法弱いが心はタフ・ガイ。しかもほんとうの意味での優しさを持ち、恋は成就ではなく、あくまでも忍ぶ恋に徹する心意気。父親役の探偵ジョーとの感情の交歓もいい感じだ。この分量でありながら、けっして飽きさせることのないプロット展開。コリンとの追跡レースなどスリルと緊張の持続も見事。さらには、ややマイナーな作家、スモレットの初版本などというマニアックな興味を与えてもくれる。実に面白い。
ヴェネツィア
2024/04/27 16:52

ミサさん、難解なところは全くありません。初版本のくだりも本好きには大いに楽しめます。

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/04/27 16:55

ありがとうございます✨いただきます😋

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
未完なのか、あるいはこれで完成稿であるのか、判断に迷う小説。また、リアリズムのようにも、幻想物語のようにも見える。いずれにしても、その世界は暗く陰鬱であり、しかも何か根源的な恐怖のような感覚を喚起してくる。主人、息子ら、四匹か五匹の巨きな馬、一人の女、そして私。どうやら私と女とは彼らに捕われているようなのである。この物語に流れる時間は夜であり、一瞬ガタリという音がした以外は無音である。不穏で不安な時間が止まったかのように、それでいて延々と流れ続ける。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレ江戸川乱歩賞を受賞した呉勝浩のデビュー作。ただし、受賞時には難点も指摘され、本書は2度の改作を経た決定稿。奇妙なタイトルだが、読めば納得する。過去の殺人事件と現在時の事件とが交錯しつつ、最後には見事に結実してゆく。二人の探偵役の反目といった、他には類を見ない構成も目を引く。内包されるテーマもけっして単線的ではなく、奥行きも十分にある。報道映像が伝えることは、はたして真実かが問われるのであるが、結論的に言えば、どのように伝えようともそれらはフィクションであるというのが作家の見解である。そのことはまた表題の⇒
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
坂本龍一の自伝。文体からすれば、どうやら聞き書きのようだ。彼が生まれた1952年から2001までを語っている。これを読んでいて思うのは、学校教育がはたしてどれだけ役に立つかということ。坂本龍一は高校あたりから、ろくすっぽ授業に出ていない。芸大時代も音楽学部にいるよりも美術学部とジャズ喫茶に入りびたり、大学院でも卒業製作くらいしかこなしていない。もっとも、幼少期から蓄積された音楽的教養は十分に彼を涵養したようであるが。また、この人は音楽仲間にも恵まれ、海外からも早くから認められるなど順風満帆な音楽家⇒
heaven of 20
2024/04/25 17:05

私もこの本読みました。内容についてまた思い返した時にまた読みたいと思います。

ヴェネツィア
2024/04/25 17:07

heaven of 20さん、再読に耐える本ですね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
志水辰夫は初読。展開の速いサスペンス・ミステリー。ハードボイルドだが、主人公の波多野は元高校の国語の教員であり、一般的な意味のタフ・ガイではない。実際、殴られたり蹴られたりと散々な目にあっている。ただ、心意気においてはなかなかに不屈な闘志を見せてはいる。そして本書は同時に雅子との12年越しの恋愛小説でもあるのだが、彼らの愛のあり方やその表現は、昭和レトロの趣きである。すなわち、演歌めいた古さは否めない。また、波多野がかつての教え子を探しに篠山(兵庫県)から東京にやって来るという設定にも幾分か無理を感じ⇒
ヴェネツィア
2024/04/25 15:37

sheemerさん、カッコいいスーパーヒーローはもう古いのでしょうね。

宵待草
2024/04/25 19:17

ヴェネツィアさん こんばんは!🌃 無事にご帰国、良かったです!🍀 暫く、ゆったりと、過ごされて下さいね!💫 宵待草

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のポール・デイヴィスは理論物理学者であり、また同時に科学解説者として名高いようだ。たしかに「未来への行き方」、「過去への行き方」、「タイムマシンのつくりかた」、「タイムマシンに関するQ&A」からなる本書の構成も実にすっきりしているし、最初はまだしも低い難易度で語り始められる。ただ、いわゆる「ウラシマ効果」あたりは理解が及ぶが、しだいに難解になっていき、ブラックホールあたりからは理解のほどもかなり怪しくなってくる。「負の量子真空エネルギーは、たった1枚の鏡でも作りだすことができる」にいたっては、もはや⇒
ヴェネツィア
2024/04/23 19:39

⇒さあ、そういうものですかとキツネに抓まれたにも等しい状態。気軽に読めそうだと思った自分の限界がはるか手前にあったことを知ることになった。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書の主役はゾウだが、著者はゾウのというよりは、生態系全体を見通し、併せて野生動物を保護するといった立場の研究者。ここでいう「ゾウの道」は、物理的な意味でのそれと、ゾウ自身の生との両方を荷なっている。ゾウを核としながら、ゾウと他の動植物との関係性や、ゾウ(あるいは野生動物)と人間の関係など、様々な意味で示唆的である。大型のものだと7トンにもなろうかというゾウ。しかも、彼らは大きな群で移動する。ややもすると、自然の破壊者に見えかねないが、実はゾウは「アンブレラ・スピーシーズ」であり、多くの動植物の共生に⇒
Johnnycake
2024/04/22 08:40

小原秀雄先生には40年ほど前に一度だけお会いしたことがあるのですが、その時思ったのは、色々なことに「何故?」を投げかける姿勢が凄いなということでした。鹿の角は何故2対なのか?というお話をされてて、そんなこと疑問に思ったこともなかったーと思いました。以来自分も「何故?」を持っていたいなと思ってはいるのですが…。

ヴェネツィア
2024/04/22 08:41

Jonnycakeさん、私はこの人の本は初めて読んだのですが、あれこれと実に示唆に富んだ内容でした。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
タイトルは本書が内包する様々な問題や要素をシンボリックに表したもの。これ以外にも、世代差や、都会と田舎の生活感の違い、あるいは生き方の選択など複数の、そしてそれらが相互に絡み合った事柄をプロットに乗せてゆく。この作家の特徴でもあるが、進行はいたって軽快で、深刻な問題でありながらも明るさを失わない。主人公の雅志は、多くの問題をを一気に解決する手段として、田舎でヒマワリ号の仕事をする決断を下すのだが、それは当然に周囲の者たちにも大きな影響を及ぼすことになる。その最大のものは息子の息吹の将来像の転換だろう。
ヴェネツィア
2024/04/22 07:15

内容もそうだし、今回はさらに文体までが重松清にそっくりである。しいて言えば重松の持つほろ苦さを払拭した、さらなる明るさが違いかと思うくらいに。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレ狩人が、いつの間にか狩られる側にといった「ブレード・ランナー」を思わせる外枠の中に、アンドレ・ブルトンと謎の青年フー・メイの物語を内包する、本書はそんな物語構造を持って語られる。ブルトンの物語の発想の核となるのは「オートマティスム」(自動筆記)だろう。本書ではこれが拡張され、フー・メイによって書かれた「時の黄金」が引き金となり、時間の本質の渦世界と現実世界が交錯する状況を描き出している。そして同時にそれは、ブルトン自身を含め、シュール・レアリスムに関わった何人もの芸術家たちの変死の謎に挑む試みでもあった。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
超能力を有した少年、あるいは進化した(もしくは潜在的な能力に目覚めた)少年の物語。東野圭吾らしいサスペンス性は備えているが、やや異質なミステリー。作家の着想は案外「新人類」なる言葉が用いられた頃に、そこからプロットを展開していったのかも知れない。進化の系統樹を前にした時、その頂点に立つ人間を見て、誰しもがふと疑問に思ったことがあるのではないだろうか。ほんとうにここが進化の終わりなのかと。すなわち、人類を凌駕する存在がこれから誕生するのではないかと。東野もそう考えたのだろうが、彼はなかなかに慎重でもあった⇒
ヴェネツィア
2024/04/19 09:44

⇒それが潜在能力の存在である。私たちの持つ能力の全てを私たち自身が駆使しているとは限らない。いつか、それに気づいて、その能力を発揮する人間(幸島の猿がそうだったように、最初は子どもである)が生まれるのではないかと。そして、それは(これまた幸島の猿たちがそうだったように)徐々に、やがて爆発的に拡がっていくのだと。この時に取り残されるのは、大人のとりわけ男たちである。「新人類」+幸島✕想像力=この作品なのではないだろうか。

ヴェネツィア
2024/04/19 11:20

数式を間違えていました。正しくは(新人類+幸島)✕想像力=この作品。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
7つの短篇から構成される。共通項は、いずれもが動物と関わりを持つこと。ただ裏表紙には「動物小説集」とあるが、動物はあくまでも素材であり、描かれている主体は、それらと関わる人間であり、同時にその者の置かれた環境である。さらに言えば、それぞれの環境は、私たちの日常からは概ね遠いそれである。けっして非日常というわけではないが、少なくても私たちの想像の埒外にあるようなものではある。その意味で最も特徴的なのは、「海馬」であり、次いでは羆撃ちを描く「銃を置く」だろう。また、作家のそもそもの着想を開いた宇和島の⇒
mike
2024/04/18 09:53

これ読みたいんですよね。吉村さんの動物の短編集、面白そうです。

ヴェネツィア
2024/04/18 11:08

mikeさん、この短編集は地味ですが、味わいはなかなかです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
宮部みゆき初のSF短編集。8つの作品から成るが、「聖痕」などはSFというよりもオカルトといった内容である。また、他のものも設定こそはSFではあるものの、いずれも作品の本質は別のところにありそうである。解説の大森実などは、興奮気味に先行のSF作品と重ね合わせて語っているが、私は宮部みゆきとSFとの相性は必ずしも良くなかったのではないかと、いささか懐疑的である。例えば巻頭の「母の法律」などは、設定の説明に追われるあまりに小説のスピード感を犠牲にしているばかりか、冗長さをもたらす結果になっていたりするのである。
月をみるもの
2024/07/13 11:04

自分も長らく 宮部さんの SF 作品について「設定こそはSFではあるものの、いずれも作品の本質は別のところにありそう」と思ってたのですが、今回この短編集を読んでその印象が覆されました。というか、年をとって SF とはなにか? という不毛な(?)問いから解放されただけかもしれません (^^;)

ヴェネツィア
2024/07/13 15:21

月をみるものさん、私は依然としてSFには拘りがあります。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ジョン・レノン伝の空白期(やや言い過ぎだが、あまり言及されてこなかった時期)を想像性と創造性を持って埋めるような小説。巻末にレノンを語るいくつかの資料が掲げられているが、この作品のどこまでが事実で、どこからがフィクションなのかは私にはわからない。ただ、レノンの隠遁時代の心情は、あるいはこんな風であったかも知れないとは思う。もっとも、もう亡くなっているとはいえ、こんなことを書いていいのかと心配になる。亡霊(精霊?)たちとの邂逅はいいのだが、あのレノンが便秘に苦しむなどという設定は、ファンが許さないのでは。
ヴェネツィア
2024/04/16 19:35

いえ、プレスリーは名前が出る程度だったかと。

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/04/16 20:39

おはようございます🌞そうなんですか。なんでもニクソン大統領の命令だったそうで、発覚したのが今から三年前なんです。これは続編を今執筆中かもしれないですね😆

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
「おれ」の一人称で語られる。彼はどうやら、この病院の医師の富沢先生であるらしい。病院の中庭に花壇を作ろうとしているらしいのだが、それにしては「夕方までいろいろ踊る」などと言ったりもしている。そんな彼を病院中の人々が注視している。すなわち、そこは彼にとっては一種の舞台なのである。そして、彼はその花壇に花を植えるのではなく、抽象模様を描き出そうとしているようにも見える。「あんまり過鋭な官能体おれを撲ってやりたいと思った」との結語がまたよくわからない。しかも、これで完結しているのかどうかも不分明なのである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『ノーサイド・ゲーム』と似ていなくもないが、こちらが先か。小説のリズムと構成は、「序・破・急」で展開する。バブル後の不況に喘ぐ企業(いずこもそうだが、ここでの主役は青島製作所)と、リストラ・解散の危機を抱えた野球部とが、巧みに重ね合わされながら、長い序を静々と歩んでゆく。破は新たなエース沖原のゴシップ記事と株主総会である。そして、その後に待っているのが、怒濤の急。すべてが収斂し、痛快な結末に向けてひた走る。掉尾を飾る主人公は、なんと「破」で登場した城戸志眞である。しかも、大団円の後にもう一つの結末までが⇒
ヴェネツィア
2024/04/15 11:41

⇒用意されていた。あたかもプリーストリーばりの終幕であった。畢生のエンターテイメント小説。直木賞はだてじゃない。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
表題作を含めて3つの短篇から構成される。まずは、田中さんシリーズの正編ともいうべき『遠くへ行きたい』。語り手の「わたし」と佐知子(+石井君)の物語。のんちゃんとの邂逅、そして木戸先生を伏線に、後半の重大な秘密へと導いて行く構造。流れはとってもスムーズで上手くはあるが、逆に先行きが心配にもなる。続いては『私を月に連れてって』。これは大家さんの家のニート賢人の物語。いわば外伝とでもいうべき位置づけ。そして最後が『夜を越えて』。こちらは『遠くへ行きたい』を補完する補遺篇か。これら一連の物語は、明らかに続編の⇒
ヴェネツィア
2024/04/14 14:43

⇒存在を志向している。鈴木るりかさんがこれらを書いたのが高校生の時。そんな彼女も今や綺羅星の如く作家を排出してきた稲門の大学生。大きな岐路かと思う。これまではこれで十分だったが、今から本格的な作家となるためには大きく踏み出す必要がありそうだ。このままでは、ティーンズ小説の作家にとどまるだろう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿に分類されているが、この詩に関しては完成稿と見てもよさそうである。詩は各2行からなる13連で構成されるが、いずれも詠い出しは「雪のたんぼの」(最後の助詞は「に」であったり「を」であったりする)であり(第7連と第8連は「たんぼのゆきの」と変奏される)、これが各連末の「からすなり」と呼応して詩全体に軽快なリズムを生み出している。そして、それがカラスの動きのメタファーとしても機能しているのである。なお、こうした手法は白秋の童謡に見られる。賢治の白秋への関心のほどは不明。
ヴェネツィア
2024/04/14 13:55

ミサさん、なるほど。よくご存知で。

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/04/14 14:01

問題はどちらがこの手法を先に発案したのかって事ですね🤔

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
上巻の感想では、本書を「荒唐無稽」と評していたが、あらためて考えると、より肯定的なニュアンスを持つ「奇想天外」とすべきだったかと思う。さすがに中国四大奇書と称されるだけあって、日本的な発想では生まれてこないような壮大なスケールかつ、大胆な構成である。意外だったのは、玄奘三蔵の存在感の薄さというか、主体性の弱さである。その代わりにというか、孫悟空が単に痛快な暴れ者ではなく、思慮分別も備えた存在であったことが物語全体の構想を支えていたようである。ただ、面白くはあったが、もう一度読むかといえばそれはなさそうだ。
ヴェネツィア
2024/06/15 16:37

ikedama99さん、今日にいたるまでコメントに気が付きませんでした。岩波の全訳版は小さな文字で全10巻でしたね。これと『水滸伝』は相当に手ごわいです。

ヴェネツィア
2024/06/15 16:39

Mikyさん、やはり今日までコメントに気づきませんでした。「永遠のエニグマ」とは、様々な点で意味深そうです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『注文の多い料理店』中の1篇。篇中の10作の中では、やや人気が薄いかとも思われるが、こうしてあらためてこれだけを読んでみるとなかなかに味わい深い。ここでは清作、絵かき、柏の木、ふくろふなど登場するすべての生き物の間にいっさいの差異がない。それは宮沢賢治の作品に通底するものであるが、ここではそれがことのほか、いわばあっけらかんと表出されている。かしはばやしの中で大気は限りなく透明であり、それが「カンカラカンのカアン」という、限りなく明るい響きで森に冴えわたるのである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
絵本や映画、アニメにゲーム等さまざまな媒体で知られた『西遊記』。おそらく日本でもほぼ全ての人が孫悟空の名には馴染みがあるはずである。原拠をたどれば更に遡れそうだが、明代(16世紀)の白話小説である。したがって荒唐無稽をものともしない。空間的には天帝の都から閻魔庁にいたるまで、時間のスパンも数百年は瞬く間。人間界も天界も幽冥界も怪異の世界にも、およそ境界がない。そして主人公の孫悟空は、もうしたい放題。玄奘三蔵に従っての天竺行への後半からようやくプロットも定まってくるようだ。
ヴェネツィア
2024/04/12 16:29

裏表紙の惹句には「おもしろさを凝縮して見事に訳出した読み物『西遊記』の決定版」とあるが、凝縮というか要は抄訳版である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。定型を崩すが、自由律というわけではない。わずか6行しかないが、悲愁が詠われた詩である。「薄明穹」は『春と修羅』でも用いられているようだが、どうやら賢治の造語。「穹」は、プラネタリウムのドームのような(比喩が逆なのだが)天球。そこに「黒き血痕」というのだが、この隠喩は難解。「なが恋敵」のことを言うのだろうか。いずれにしてもそこには強い感情が籠められているだろう。詩の後半は明るくはなるが、詠み人には苦い思いが残る。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレ自衛隊ルポルタージュの第2弾は航空自衛隊篇。著者(杉山隆男)による戦闘機F15の体験搭乗記から。よく乗ったなと思う。私には絶対に無理。乗ってみたいという人は多そうだが、私は乗ってみたいとさえ思わない。さて、本書で初めて知ったことも多い。戦闘機のパイロットたちは自分の愛機というのを持たないそうなのだ。一方、整備員(機付長と機付員というらしい)は、それぞれに担当する機が決まっていて、文字通り愛機を偏愛するのである。このルポルタージュ全体を通しては、航空自衛隊は(海上や陸上もそうなのかも知れないが)、常に⇒
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
なかなかにいい感じで始まるのだが、残念ながら未完。構想が続かなくなったか。主人公の学者のアラムハラドやセララバアドという名前もエキゾティックで、かつ郷愁をそそられるような響きを持っている。音感からはイスラム世界が想像されるが、しいてモデルを捜すとすれば、シルクロードのオアシス都市カシュガールあたりか。アラムハラドの授業のスタイルも好感が持てる。未完に終わってしまったことは、かえすがえすも残念である。
N島
2024/04/11 11:04

アラブ人ともペルシャ人ともつかない語感が面白いですね。

ヴェネツィア
2024/04/11 11:22

N島さん、音感からはペルシャ人を想像しましたが、お話の中にパミール高原が登場するので、カシュガルあたりかと見当をつけました。もちろん、フィクションですけれど。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
宮沢賢治はこれまでにほとんどを読んだと思っていたが、この作品は初めて。「ペネタ形」や「パッセン大街道」といった賢治独特の造語にワクワクする。ただ、お話は途中の展開もだが、結末はさらにあっけない。三疋の蛙たちのやり取りや、ルラ蛙とその父蛙ののんびりした風情を楽しむべきものかと思う。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
歌人(フラワーしげる)でもある著者の短編集。蕃東国という架空世界を共有し、ゆるやかな繋がりを持つ5つの作品から成る。蕃東国は日本海にある島国だが、時代は王朝期のようにも中世のようにも見える。全編ともに朧げな幻想譚であり、澁澤龍彦の小説を思わせないでもない。また、巻頭の「雨竜見物」は偽芥川の趣きを帯びる。この作品と巻末の「気獣と宝玉」が小説としての面白みにおいては一頭地を抜くか。ことに命の危険に身をさらし、苦労の果てに宝玉を手にするが、最後の最後で肩透かしが待っていた。これはなんとも鮮やかな幕切れである。
ヴェネツィア
2024/04/10 16:43

ミサさん、西崎憲の高等技です。

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/04/10 16:49

是非読んでみたいです😊

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
30疋のあまがえるが1疋のとのさまがえるの計略にはまって、難渋するというお話。怪しい勘定のとのさまがえるも、悪というほどのことはなく、「王さまの新らしいご命令」の前にはなすすべもなく泣き崩れるほかなかったのである。他愛のないお話といえばそうなのだが、王さまの命令であまがえるたちの困難が、いとも容易く解決してしまうというあたりに、童話としての限界のようなものを感じてしまう。でも、『カイロ団長』というタイトルはなかなかに魅力的。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
この巻も辞典的な使い方をするのだろうが、技法であったり、題材であったりと統一感を欠くことこの上ない。ルネサンスに関係することを雑多に寄せ集めた印象。また、典型例として提示される絵画にも、なぜこれがと思うものも少なくない。掲げられている絵画群は美しいが、読み物としては散漫であり、辞典としても項目の配列がよくわからず、どうにも使い勝手の良くない編集である。イタリア・ルネサンスの多角的な側面は理解できなくもないが。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
くれよんのくろくんを主人公にしたシリーズの1冊。お話は、夜、おばけに連れ去られて(?)次々に仲間のくれよんたちがいなくなり、くろくんが見事に解決というもの。子どもたちにとって身近な存在であるクレヨンとおばけとを抱き合わせたという印象。絵も背景が整理されていてわかりやすい。ハイライトは、くろくんの黒が鮮やかな、夜空と流星のシーン。ちょっと小太りのねずみの一家が、いささか奇妙でもあり、また微笑ましくもある。
yomineko
2024/04/09 06:54

ヴェネツィアさん、おはようございます😊楽しそうですね✨✨✨読みたい本に登録させて頂きました📚

ヴェネツィア
2024/04/09 07:12

yominekoさん、おはようございます。評判はいいようですが、私はお薦めとまでは。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
いいタイトルだが、これはもちろんロブ・グリエ脚本、アラン・レネ演出の映画から採られている。林和清の第3歌集で三部構成から成っている。京都の地にあることを踏まえた歌が多いように思う。もっとも、やたらに地名を振りかざすことはしないのだが。「ふりむけば落武者ばかり群れていた芙蓉の寺のぬかる庭土」。この歌もそうなのだが、死や死者を詠ったものもことさらに多い。「北上の五月よかつて師は言ひきたましひと風はおなじ語源と」。これは亡き師、塚本邦雄を偲ぶ歌。塚本の弟子であったらしいが、私にはあまりそのようには見えない。
えか
2024/04/08 17:10

ヴェネツィアさん、このタイトルで、僕も、ロブ=グリエの映画を思い出しました。ヴェネツィアさんのレビューを読む限りでは、映画を意識したようでも、関係なさそうにも思えますね。久しぶりに、ロブ=グリエの小説を読みたくなりました。

ヴェネツィア
2024/04/08 17:20

えかさん、あとがきでも書いていますから、映画を意識して付けられています。ただ、歌の内容との相関はあまりなさそうです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
絵葉書の黄金時代は1898年から1918年とされているようだ。すなわち、第1次世界大戦の終了とともに幕を閉じることになるのだが、この時期にアール・ヌーヴォーの絵葉書がヨーロッパの各国で製作された。中でも質・量ともに群を抜くのがオーストリアである。イギリスやフランスのそれがミュシャ風であったり、ロートレック風であったりした中で、オーストリアでは独自の絵葉書文化が醸成されていた。ウィーンにはいくつももそうした芸術家集団(それは同時に多分に商業的でもあったのだが)が存在した。K・モーザー、R・キルヒナーと⇒
ヴェネツィア
2024/04/08 16:51

⇒作家たちがその牽引車となっていた。他にもR・カルヴァッハなど注目すべき人たちがそれこそ綺羅星のごとく参集していたのである。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文はアメリカの作家ストックトン。『若草物語』のオルコットや『小公子』のバーネットらとともに児童雑誌「セント・ニコラス」で活躍した人。絵はモーリス・センダック。絵本というよりは、挿絵入りのお話本といったところか。主題は「胡蝶の夢」などに通じるような東洋的な発想が根幹にありそうで、ある意味では難解である。絵も抑え気味に描かれているが、ドラゴンはさすがの圧巻。しかし、その一方、あかんぼう(準主役)は全く可愛くない。日米の、あるいは時代による好みの差だろうか。
おか
2024/04/08 10:14

赤ん坊は全く可愛くないのかぁ、、、 迷う(笑)

ヴェネツィア
2024/04/08 10:53

おかさん、可愛くないのです、これが全く。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書はアール・ヌーヴォー巡りヨーロッパ巡礼の旅といった趣き。まずは聖地ブリュッセルから。個々の建物がそれほど大きくないので目立たないが、内外部の意匠は見事なアール・ヌーヴォーで統一されている。オルタ、アンカールなどたくさんの設計者を輩出した。フランスにはパリのギマール(メトロのアビス駅がよく知られる)。そしてラヴィロット(表紙はこの人が設計したアパート)。ガウディを思わせるファサードである。さらにはアール・ヌーヴォーの街ナンシー。オットー・ワグナーのウイーンは言うに及ばずという風格と貫禄である。
ヴェネツィア
2024/04/08 08:35

『魔女の宅急便』の舞台はスウェーデンのヴィスビー島とストックホルムでは?

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/04/08 08:53

見てきました!ストックホルムはそのまんま『魔女の宅急便』ですね😳でもタリンの旧市街という説は一体……でも素晴らしい街ですねhttps://youtu.be/Dhn1krLASig?si=I9KPcoBpaS_aw-yn

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文はアメリカの児童文学作家のE・H・ミナリック。絵はモーリス・センダック。お話はとっても温かく(ただし、多分に母親の温かさに依拠しているが)、時に幻想的でもある。センダックの絵は、ここではペン画にわずかに彩色されたもの。適度な擬人化がなされているが、お話に呼応するように母ぐまの愛情に満ち満ちたもの。家庭での読み聞かせにはよさそうだが、こども園等では注意が必要だろう。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
書肆侃侃房の「現代歌人シリーズ」はこれで7冊目だが、私にとっての衝撃度は本書が一頭地を抜いている。著者、大森静佳の第2歌集。歌集のタイトルは、フランスの彫刻家カミーユ・クローデルから。ちなみにモネの最初の妻もカミーユだった。巻頭の1首「狂うのはいつも水際 蜻蛉来てオフィーリア来て秋ははなやぐ」。そして「釘いくつ抜いても壁に消えのこるイエスのてのひらに雨が降る」がこれに続く。最初からもう圧倒的な力で歌の世界に飲み込まれる。そして、歌集のいずれの歌も心に染み入って来るしらべを有している。
ヴェネツィア
2024/04/08 05:58

ミサさん、震えるような歌が犇めいています。

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/04/08 07:51

ヴェネ様、そんな事聞いたら読む前から震えてしまいます(笑)

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
解説はファン・バセゴーダ・ノネール、フランソワ・ルネ・ロラン他・撮影。出版は六耀社というややマイナーなところから。ガウディの写真集は多数あるが、それらの中にあって、十分にその存在価値を主張できる一書。編集方針もやや特異で、通常は巻頭に来るサグラダ・ファミリアが、ここでは終盤近くに。巻頭から数ページはガウディの図版。ことに卒業制作で描かれた大学講堂の設計・横断面図は見ごたえあり。これに続く建築物もカサ・ビセンスから。主階にある小部屋の天井のトロンプ・ルイユは初めて見たが、実に壮観。
ヴェネツィア
2024/04/07 16:44

頒価20000円と、いささか高価な上に、1985年の刊行なのでおそらくは絶版かと思われる。図書館にあればぜひ。お薦め!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
聖書と神話を題材にした絵が188点。アルファベット順に編集されており、図像辞典として有用である。聖書と神話は別々の巻の方がいいようにも思うが、古典期の画題としてはこの2つが圧倒的、というよりはほとんどすべてであった。また、裸体の表現としては神話に仮託するのが便利でもあったようだ。さて、聖書篇だが、聖母マリアの項目では、もっぱら受胎告知が選ばれているのだが(表紙もロヒール・ファン・デル・ウェイデンのそれ)フラ・アンジェリコ、ロット、ペルジーノの選定根拠がよくわからない。また、解説がついているものの、様式の⇒
びわこっこ
2024/04/07 14:53

我が子への最初のクリスマスプレゼントの本でした。孫にも同じ本を贈りました。

ヴェネツィア
2024/04/07 16:18

びわこっこさん、それは素敵なプレゼントを。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
五味太郎の絵本。復活節にサンタクロースというのも季節はずれだが…。サンタさんが、ねずみさんのおうちからはじまって、次々にクリスマス・プレゼントを届けるというお話。もっぱら絵がこの絵本の生命。濃く塗ってコントラストが鮮やかな絵。小さな子どもにもわかりやすそうだ。「しかけ絵本」とあるけれど、ポップアップではない。さりげなく窓が設けられているだけ。ところが、これが後半になるほどに威力を発揮していく。最後の2ページは、みんなとっても幸せ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
メトロポリタン美術館蔵の六曲一双屏風。右半分に『保元物語』、左半分に『平治物語』を配する。16世紀初頭に描かれたようだ。作者は不詳だが、土佐光信筆として伝えられてきた。保元・平治の乱は一連のものとはいえ、それを同一画面に展開する構図は珍しいか。スケールがうまく掴めないのだが、それぞれの場面の描写は細密を極めており、また極めて迫真力に富むものである。合戦の場面もそうだが、斬首など実に生々しく描き出されている。実物を見てみたいものだが、鑑賞には相当に時間を有しそうだ。
ヴェネツィア
2024/04/06 16:53

メトロポリタン美術館もそうだが、ボストン美術館には流出したさらに大量の日本美術作品が蔵されている。貴重なコレクションとして大事にされているのはいいのだが、なんだか複雑な思いではある。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
限りなく軽やかな詠いぶり。五・七・五・七・七の定型がなければ飛んで行ってしまいそうだ。しかし、それでいながら、あるいはそうであるがゆえに自由律を指向することなく、基本的にはあくまでも定型にとどまっている。語彙も技巧も、よく言えば若々しく現代的。一方、ややもすれば通俗に堕する危険を孕んでいる。例えば、こんな歌「おれたちははーはー姫の脳に降りハートを熱し肚まで落ちた」。この歌人はBL小説も書いているらしいのだが、歌には直接的にではないが、そうした俤が揺曳する。
うたかた
2024/04/06 17:02

こんにちは✨読んでみたいなぁ、と感じ、読みたい本に追加させて頂きました♪

ヴェネツィア
2024/04/06 17:12

うたかたさん、図書館にあるといいですね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これだけ明治期の建築が一堂に会したのを見ると、まさに壮観である。よくこれだけ残っていたなとも思う。巻頭を飾るのは旧開智学校だが、たしかに学校建築は商業的なものよりも有利であっただろう。これは立石清重の設計である。しかも、単に洋風建築というのではなく、独特の意匠が過剰なまでに凝らされている。山形師範学校本館も、これまた見事。屋根の上に聳える特徴的な塔屋がいい。本書には石造の建築物も多数紹介されているが、私の好みは断然木造にあり、写真を見ているだけで幸福な気分になるほどである。
ヴェネツィア
2024/04/06 16:29

全国から集めた明治建築が157。他にも金丸座など魅力的な建物がいっぱい。広岡祐の写真もいい。

ヴェネツィア
2024/04/06 16:30

最初の感想が消えてしまいました。ナイスをくださった方々ご容赦。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文はアメリカの児童文学作家・詩人のシャーロット・ゾロトウ。絵はモーリス・センダック。おんなのこがお母さんの誕生日のプレゼント選びを、うさぎさんに依頼し、二人で探しに行くというお話。赤、黄色、緑、青とそれぞれ同じことが繰り返されるのだが、そのリズムに生命があるのだろう。一方、『かいじゅうたちのいるところ』のイメージが強いセンダックだが、ここの絵のタッチはかなり違う。書かれていなければ、センダックとはわからないほど。なお、うさぎの擬人化が独特。
Johnnycake
2024/04/06 08:55

子供たちに読み聞かせしていた児童書集(絵本だと丸ごと収録・児童書だと一部収録)の中に入っていた一冊です。懐かしいです。うさぎがあんまり可愛くないなぁと思いながら読んでいた記憶が…。

ヴェネツィア
2024/04/06 09:44

Jonnycakeさん、たしかにうさぎの形象は独特で、あのクールさがいいのかなと思います。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文・構成は松谷みよ子。お話というよりはリズミカルな自由詩といった趣き。この繰り返しのリズムは、小さな子どもにも心地いいと思われる。「あかちゃんの本」とあるけれど、実際は2歳くらいから?例えば1歳の子どもは、これがネコだとわかるだろうか?0歳児ではどうだろうか。考えてみれば、抽象化というのは驚異的なまでの能力だ。実際のネコとは似ても似つかないのに、私たちにはそれがネコだとわかる。ネコ自身やイヌには不可能な能力である。私たちは「いいおかお」という表情だって、たちどころに了解するのだから。
えか
2024/04/06 08:19

ヴェネツィアさん、抽象化の驚異といえば、僕は、チワワもセントバーナードもダックスフントも、全部が犬なんだ、って、理解できることに、自分自身、びっくりしています。例えば、他の惑星に降り立った人類が、これらの動物を発見して、同じ種の動物と気づくかな。科学者でも、別種の生物にしちゃうんじゃないかな、と、考えてしまいます。

ヴェネツィア
2024/04/06 08:37

えかさん、それは私も常々思います。こうした抽象化の能力というのはどのように発達してきたのでしょうね。きっとそういう研究もあるのでしょう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
光森裕樹は、これまでに角川短歌賞、現代歌人協会賞を受賞している。タイトルからはエキセントリックな歌を想像するが、実際は実生活に根ざした実感を深みから詠う歌人。妻の分娩時に立ち会った時の連作詠「陣痛の斧に打たるる其の者の夫なら強くおさへつけよ、と」。そして、おそらくは未熟児として生まれた我が子に寄り添う一連の歌群「保育器はしろく灯りて双の手の差し入れ口を窓越しに見つ」。同一主題の変奏、あるいは連想から生まれる類歌群など、強い執着を見せる歌人である。想いの強さが歌の強さに反映されているのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
日本の作家6人と韓国の作家6人による競作集。韓国の人の名前はわかりにくいが大半は女性作家で、比較的新しい世代の人たち。完全版は未読なのだが、こちらは小説版。日本の作家たちは、おおむね純文学とエンターテインメントの中間的な立ち位置(ややエンターテインメント小説寄りか)。韓国側は翻訳でもあり、私にはそのあたりのことはわからない。ただフェミニズムを標榜している割には総じて作品が軽い印象である。否、むしろフェミニズムを真っ向から掲げて云々というよりは、それはより自然体で語られるべきもの、という時代になったのか。
ヴェネツィア
2024/04/05 16:40

篇中では、(しいて言えば)日本語のものでは西加奈子『韓国人の女の子』、韓国語の小説ではハン・ガン『京都、ファサード』が眼を惹くか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
タイトルもそうだが、「はちとはちとが はちあわせ」や「こうもりの こもり」、「いるかは いるかい」といった具合に全ページにわたって言葉遊びを絵にした絵本。駄洒落と言ってしまえばそうなのだが、絵の軽妙さとあいまってこれがなかなか楽しい。自分でバリエーションを考えることもできる。読み聞かせの後、子どもたちがあれこれと考えだしてくれれば大成功。いささか難しいかも知れないが。そう。簡単そうに見えて案外これがそんなに簡単ではないのだ。
fragro
2024/04/06 06:38

御感想を拝読する直前、書名だけ目に入ったときに「ワニ皮になる?」と頭の中で変換していました。汚れちまった悲しみに没入してしまっているようです。

ヴェネツィア
2024/04/06 06:42

fragroさん、そういう変換も可能ですね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
遅れてきた幕末、あるいは文明開化の近代が糊塗しようとした江戸の暗部、そうしたものが凝縮されたのが月岡芳年である。「幽霊図」の持つ怖さと妖艶さの混在。日高川を渡らんとする清姫の凄艶。近代と王朝が混在する夕顔。構図もまた時に極めて大胆である。例えば「月百姿 大物海上月」。あるいは奥州安達が原のサディズム。それは本来グロテスクな構図でありながら、美に昇華させる芳年の絵。近代に咲き残ったアダ花と言えば、そうには違いない。
中村です
2024/04/05 08:40

こんにちは。この表紙、既視感があると思ったらずーっと長いこと家にある本でした😅。自分が買ったわけでないので、ちゃんと開いて見たことがありません。ヴェネツィアさんの感想を読んで、この機会に開いて見ようかと思いました😄。

ヴェネツィア
2024/04/05 08:55

中村ですさん、それはぜひこの機会に。感想を待っています。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
「ブリュッケ」は1905年に設立され、1913年に解散した芸術家集団である。その後もドイツ表現主義の潮流として1920年代の初め頃まで大きな影響力を残した。第1次世界大戦を間近に控えた不穏な時期であったし、この芸術運動も色濃くそうした世相を反映している。何人もの芸術家がブリュッケとその周辺に参集したが、まずはエーリヒ・ヘッケル。モノクロームの版画と油彩画を残している。印象的に言えば、セザンヌとマチス、そして時にはピカソを思わせるタッチと色彩である。続いてキルヒナー。こちらはより毒々しく迫ってくるが⇒
ヴェネツィア
2024/04/04 17:09

⇒やはり後期印象派との近接点は感じられる。そしてオットー・ミューラー。ムンクやアンソール、あるいはゴーギャンに似ていなくもない。最後はロットルフ。ことさらに強い線の声高な調子の版画。絵はマッスの赤が、これまた強く主張する。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
典型的なジュブナイル小説。高楼方子の意識に強くあったのは『秘密の花園』と『ナルニア国物語』だろう。全編にわたって、この2作の影が色濃く反映する。物語の構造も先行作と同様に異境訪問譚である。ここではそれが主人公のフー子にとって、二重の異境として設定されるところが特徴的である。すなわち、日常からひとまずは汀舘(函館がモデルだと思われる)へ。そして、そこから魔法の庭へと誘われるのである。フー子が12歳の少女に設定されていたこともあって、冒険そのものはそれほど大活劇というわけではない。しかし、再び日常へと⇒
あおき
2024/06/20 23:31

私この本すごく好きなんです! ヴェネツィアさんが読んでくださって嬉しいです✨

ヴェネツィア
2024/06/21 04:34

あおきさん、この作家の作品は初めてでしたが、好きな人がたくさんいるだろうと感じられる物語でした。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のナカムラクニオ氏は荻窪のブックカフェ「6次元」店主。著者がかつてフリーランスで旅番組などのディレクターとして番組制作に携わる傍ら各国の書店を巡り、この本が生まれたようだ。印象が古くならないようにと写真ではなく、たくさんの絵が付されている。それにしても世界には実にいろんな本屋さんがあるものだ。ユニークなところでは、モンゴルのラクダが巡回してくる本屋や、文字がないパプア・ニューギニアの小さな小さな書店など。本屋さんを通して見ても世界は広いと痛感させられる。
ゆずな
2024/04/05 03:11

Shakespeare and Company、とっても良いです!雰囲気、ラインナップ、レイアウト、歴史的背景、グッズなど全てが素晴らしいです。2年連続で誕生日に行きました😂混雑時は並びますが、平日であれば2階の閲覧室でゆっくり試読できます。

ヴェネツィア
2024/04/05 05:19

ゆずなさんは行かれたんですね。しかも、2年も続けて。それは羨望の限り。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ターシャ・テューダーのポップアップブック。文章からも大人向きの絵本だと思われる。ただ、最初の見開きはともかく、それ以外はポップアップの効果がほとんど見られない。絵は細密画なみに丁寧だ。コーギー・コテージの四季が克明に描かれているので、ターシャ・テューダーさんのファンは大歓迎だろう。これを読んでいると、テューダーさんたちの生活は限りなくアーミッシュのそれに近いものだと思われる。
瑞子
2024/04/04 11:12

ヴェネツィアさん、こんにちは。ターシャ・テューダーは、結構高齢になってから、写真家に自給自足をしているおばあさんがいるらしい、と見出されて、そこから世界的に有名になったとか。人生何が起こるかわからないですね。

ヴェネツィア
2024/04/04 14:00

瑞子さん、そうだったのですか。絵を見る限りでは、まるでアーミッシュです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
およそ宮沢賢治にしか書けない童話。時には赤や黄色の焔をあげてもえているように見えたり、また時には冷く美く澄んでいたりもする「貝の火という宝珠」。賢治の愛する結晶世界である。これが物語の中を縦横無尽に駆け巡る。物語は途中までは慢心を諫めるお話であるかのように展開するが、最後のシーンはもはや宮沢賢治の独擅場である。全く目が見えなくなったホモイ。強く「泣くな」と言う父親。朝の鐘を高く鳴らすツリガネソウ。それ自体が自立した真に美しい童話である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ドール衣装に包まれた歌人本人の写真(三品鐘・撮影)が随所に散りばめられているせいか、歌群までがナルシスティックな装いを帯びているかのようだ。いずれにしても、歌の多くは多かれ少なかれセクシュアリティを纏っている。もしくは身体性を伴っている。雅語や特殊な漢語は用いられることはなく、平易な言葉で歌われている。ただ、時として上の句の表現と乖離したかのような表現が下の句に現れ、そこに独特の表象を生み出すのも、この歌人の歌の特徴の一つかと思う。例えば「くせのある毛髪にワックス伸ばしあなたはみんなあかのたにんだ」。
ヴェネツィア
2024/04/04 07:47

たまきらさん、読んでみてください。感想を待っています。

たまきら
2024/04/04 08:46

はい!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
「十二月の都大路上下ル」を枕に表題作がこれに続く。単にページ数を整えるためのようにも見えるが、しいて関連付けるなら、見えないはずの過去の情景がそこに立ち現れた物語ということになるだろうか。「八月の御所グラウンド」では、亡き霊が生身の姿で登場するので、より発展型とも言える。どちらも万城目学らしい作品で、京都の風物を背景に(あるいはそれに頼り切って)物語が展開する。農学部グラウンドでの出征学徒壮行会を描き「生きたかっただろうな」の言葉で彼らの無念に想いを馳せ、五山の送り火で追悼したところが物語の核心だろうか。
ヴェネツィア
2024/04/04 04:59

ガラスの文鎮さん、たしかに梨木香歩の描く京都は、京都に頼っているという感じは全くありませんね。

朗読者
2024/10/24 12:41

梨木さんは滋賀も素晴らしく描かれますね♪

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
リースベット・スレーヘルス作。この人はベルギーの絵本作家。女子パウロ会の訳編。本書は子どもたちに向けてイースターとは何かを伝えようとするもの。ただ、本文の中ではわずかに「ふっかつさいはね、イエスさまが じゅうじかのうえで しんだあと また いきて てんにかえられたことを よろこぶひ」との説明があるだけで、後はイースターエッグや、イースターウサギの記述に終始する。これでは印象に残るのはウサギとタマゴばかりになるのでは?絵は太い描線に水彩絵の具を塗りつけたシンプルなもの。幼児向けを意識しているかと思われる。
yomineko
2024/04/03 08:20

ヴェネツィアさん、そうなんですね🥚でも「うさぎがたまごを探すイベント」として日本では説明されいる場合もあるかと思います(笑)

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/04/03 12:05

子供の反応を見ながら、情報を増やしていくっていう説明方法も出来そうですよね🐰🥚

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
日本近世文学会70周年記念出版。本書は、この学会がこれまで行ってきた活動の一つである「和本リテラシー」の一環として生まれた「ビブリオグラフ和本」を中心に編集されたもの。和本は地味と言えば地味だが、独特の味わいもある。ここでは文字、挿絵、版木、刷りと多角的に、しかもビジュアルに和本の面白さ、楽しみを開陳していく。中には日本で最初の太陽系図『遠西観象図説』など貴重で興味深いものも。全体には、もう少し華やかでもいいと思うのだが、学会の編集なので硬さが取れ切らないか。
ヴェネツィア
2024/04/03 07:26

第2部「研究のバックヤード」は、一般向けというよりは近世文学(あるいは日本文学一般)の若き研究者に向けたものという印象。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
わずか4行しかない文語詩未定稿の中の1篇。タイトルを手掛かりにするならば、山深い樵の村にも春が巡り来て、青年団が総出でしだれ桜を截り、開墾に汗する情景から希望を詠ったものか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
佐藤弓生は2001年に角川短歌賞を受賞している。本書は第4歌集。巻頭歌「はじめての駅なつかしい夏の午後きいたことない讃美歌に似て」ー一見わかりやすそうにも見えるし、また不思議な感覚をそこに見ることも可能だ。幻想派歌人と目されているようだが、それも肯ける歌群である。漱石の『夢十夜』や朔太郎の『月に吠える』を俤にした一連の歌もある。また「熱帯の嵐にねむりゆがむまでくだけてさけてちる月」のように実朝の『金槐集』を連想させる(本歌取りと呼ぶには離れすぎているので)歌もあり、なかなかに多彩な歌の世界が広がる。
ヴェネツィア
2024/04/02 17:23

歌集のタイ収録歌「天は傘のやさしさにして傘の内いずこもモーヴ色のあめふる」から。モーヴ色というのは初めて聞いたが、調べてみると、なるほどこんな色であったか。

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ヴェネツィア
東京のフレンチレストランのシェフが4人、そして大阪からは2人のシェフが参加。文字通り垂涎もののお料理がズラリと並ぶ。かつてフランス料理界では日本料理に触発されてヌーヴェル・キュイジーヌが誕生したが、こちらの日本のシェフたちは根っからのヌーヴェルフレンチの申し子に見える。メインよりもアミューズとオードブルにより魅かれるお料理が多い。色彩も実に鮮やか。フレンチなので、食材を生のままで供することはあまりないが、その加工の仕方の念の入りようは、これぞプロフェッショナルと感嘆するばかり。
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ヴェネツィア
以前からこの本の存在は知っていたが、手に取るのは初めて。面白い。発想も絵も。ヨシタケシンスケは初読だが、他の本も探してみよう。大人も子どもも一緒に楽しめそうだ。想像力を羽ばたかせればどこまでも行くことができる。これは、その意味で果てしない物語なのだ。そして、りんごを他のもの、例えばアリに置き換えることもできる。簡略でなんだか惚けたような絵も、その簡略さのゆえに好ましい。つまり、絵が語り過ぎないのだ。そうはいっても肝心なところでは(例えばメカりんご)十分細密に語っている。
Himeko is not cat
2024/04/14 16:47

読みました!メカりんご、めっちゃ好きです。

ヴェネツィア
2024/04/14 16:59

Himekoさん、面白いですよね。あの発想と絵。

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ヴェネツィア
これもまた文語詩未定稿の1編なのだが、タイトルの「開墾」と内容とが一致しない。ここからまだ詩は展開するはずであったのか。このままでも未完の感じはしないのだが、詩形式においては藤村の『若菜集』あたり、そして内容は白秋の抒情詩を思わせる歌いぶりである。しいていえば、前半の二連が藤村風、後半が白秋ばりか。
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ヴェネツィア
ここで言う「緊急事態下」は、どうやら世界がコロナに席巻されていた時のことであるようだ。この共通テーマのもとでの5人の作家たちによる競作(最後の瀬戸夏子「MINE」以外はすべて「文藝」2021年春季号)。これらの作家のうち、尾崎世界観は初読。最も力量の安定しているのは、金原ひとみ「腹を空かせた勇者ども」。コロナ下での女子中学生の日常をこの人らしい筆致で描き出す。他の4人は多かれ少なかれディストピアSF風なのだが、いずれも身の丈に合っていないとの印象を免れない。したがって、文学としての衝撃度も今一つである。
ヴェネツィア
2024/04/01 15:00

金原ひとみ「腹を空かせた勇者ども」は、実際の女子中学生が読めばどう評価するのかはわからないが、少なくても私が読む限りでは、これが極めてリアルな日常であるように見える。

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ヴェネツィア
メキシコ料理といっても全くといっていいほど乏しいイメージしかない。タコスとトルティージャ、後は食材としてのアボガド、そしてテキーラくらいか。メキシコ料理が2010年に世界遺産に登録されていたのは私には意外だった。サルサ・ソース一つをとっても実にさまざまな種類があるようだ。また、地方料理もそれぞれかなり大きな特色がありそうだ(面積は日本の5倍近いのだから当然か)。なお、表紙写真はトリ肉のモレ。ビターチョコレートのかかった、ちょっと珍しいお料理である(本文にレシピ付き)。
こひた
2024/04/01 21:39

ラテン系文学もお好きなヴェネツィアさんに孔子に論語ですいません,アボカドとアボガドどっちだっけと調べてみたら発音はカに近いけどスペ語の弁護士とスペルが近くて移入するときに混乱があったらしいです(スペイン人でも結構混乱してそう)

ヴェネツィア
2024/04/02 05:21

こひたさん、アボカドの方がよかったのですか。私は最初がアボガドだったので、ずっとアボガドを用いていましたが、これからはアボカドに改めます。

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ヴェネツィア
グリム童話。絵はイギリスのベルナデッテ・ワッツ。ヨリンデとヨリンゲルというのは、知らないお話だった。ヨリンデが魔女にヨナキウグイスに姿を変えられてしまい(そんな女性が他に7000人もいた)、ヨリンゲルが救い出すというもの。葛藤や、ヨリンデ救出のための艱難辛苦があるわけでもなく、赤い花によって案外にも簡単に解決する。この絵本の生命はやはり絵だ。独特のタッチで描かれるワッツの絵は、絵本のためというよりは、一層に絵画的だ(人物だけがそうではないが)。既知の画家の中ではしいていえばシャガールを思わせるか。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/11/30(4768日経過)
記録初日
2011/04/07(5005日経過)
読んだ本
7098冊(1日平均1.42冊)
読んだページ
1698800ページ(1日平均339ページ)
感想・レビュー
7008件(投稿率98.7%)
本棚
57棚
性別
職業
専門職
自己紹介

2011年4月からの参加で、14年目にはいりました。一番よく読んでいるのは日本文学、次いでは翻訳文学です。読むジャンルの幅は広い(半ばは意識的にそうしています)のですが、何でも手当たり次第に読むというわけではありません。特に誇れるものはありませんが、連続読書日数は初日から4969日(2024年11月12日現在)、冊数は6988冊になりました。胃癌で入院中も、海外旅行中も毎日読んできました。さて、どこまで伸ばせることやら。

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