読書メーター KADOKAWA Group

2023年3月の読書メーターまとめ

よっち
読んだ本
123
読んだページ
37200ページ
感想・レビュー
123
ナイス
5692ナイス

2023年3月に読んだ本
123

2023年3月のお気に入られ登録
6

  • ひー坊
  • ままこ
  • キン
  • 緑黄色 BEAVER
  • おーいし
  • s C

2023年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

よっち
2020年、中2の夏休みの始まりに、また変なことを言い出した成瀬あかり。全力で我が道を突き進む彼女を周囲の視点から浮き彫りにしてゆく青春小説。閉店を控える西武大津店に毎日通って中継に映ると言い出し、幼馴染の島崎とM-1に挑戦したり、自身の髪で長期実験を初め、膳所の祭りの司会も務めたり。地元への愛に溢れていて、突然突拍子もない行動をする存在感に周囲も目をそらせなくて、自身が思うところを自由に突き進んで、様々なところに影響を与えていく成瀬が痛快で、認め合う島崎との友情や広島の西浦くんとの距離感も良かったです。
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2023年3月にナイスが最も多かったつぶやき

よっち

2023年2月の読書メーター 読んだ本の数:110冊 読んだページ数:33506ページ ナイス数:4863ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/385946/summary/monthly/2023/2

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2023年3月の感想・レビュー一覧
123

よっち
帝国軍の侵略により国王も逃げ出し、滅亡の危機に瀕する小国カルケド。残された娘の王女シビーユを天才将軍バルカが支えて危機的状況を覆す一発逆転ファンタジー。平民出身の侍従武官から将軍に抜擢された17歳の天才バルカが、自らとの結婚をちらつかせる幼馴染でもある王女シビーユ相手に、俄然やる気になって和平交渉に邪魔な砦を寡兵で落としたり、大貴族の内乱を解決する展開で、その鮮やかな逆転劇は天才というよりは用意周到なタイプのそれでしたけど、モテたいと言いつつ実は一途で王女の良き理解者でもあるバルカがなかなか良かったです。
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よっち
世界最硬の防御魔法を操る天才魔法士ロート。ポンコツ可愛くてチョロい車椅子の第三皇女クレルとその護衛執事を務める彼が、持ち込まれた事件を解決する最愛主従譚。愛ある毒舌に逐一可愛い反応をするクレルを愛でながら、日々お世話をするロートの下に届く、国宝「魔鍵」を護ってほしいという依頼。イチャつきながら解決に乗り出した二人が、国を揺るがす危機に直面して、黒幕が明らかにする複雑な理由も受け止めて、知れば知るほど規格外なロートの圧倒的な力で解決した上で、クレルの願いにも見事応えてみせたその結末はなかなか良かったですね。
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よっち
文化祭1日目は一ノ瀬さんと共に笹木さんや有希ちゃんたち後輩組を案内した渉。その埋め合わせとばかりに、2日目は愛華や圭と出し物を満喫する第八弾。色んな出店を回って愛華や圭のイベントらしい可愛さを摂取してホクホクの渉。さらにファッションショーで金髪お嬢様・茉莉花の雄姿を見届けて、充実の文化祭を終えるはずだった彼が直面した事件。それ自体は仕方なかったのかなと感じるわけなんですけど、周囲の関係性の変化だったり、わかりやすい一ノ瀬さんの様子が少なからず愛華に影響を与えているのは間違いなくて、今後の展開が楽しみです。
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よっち
ガリ勉地味眼鏡として二度目の人生に慣れてきたかつての悪女レティシア。そんな中、一度目の人生では王太子アグスティンの愛人だった男爵令嬢ヒセラが、実は魔女だと判明する第二弾。二度目の人生でアグスティンの婚約者に選ばれてしまった親友アロンドラ。レティの喜ぶ姿が見たくて頑張っちゃったり、彼女の危機と見たらやり過ぎと思うくらい過剰反応したり、カミロさん実は一番ヤバいのでは…と思わせる片鱗をたびたび見せてくれて、アグスティンがやや割食った感もありましたけど、一度目では何とも辛い結末だった二人が幸せそうで良かったです。
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よっち
藤原顕光が悪霊左府として、京に混乱を起こした翌年。顕光も正気を取り戻し、安倍晴明と藤原実資は共に宮中の新年行事に忙しく立ち回る一方で、その背後で蘆屋道満が復活する第四弾。晴明への怨恨を一層深めて、呪を乞う女房、度重なる役人の怪死、延暦寺の僧を襲う姫の生霊など、様々な事件を起こして都を騒がせ始める道満。怪異の背後にある陰謀を知った晴明たちが、葵祭の最中に起きた事件に巻き込まれてゆく展開で、婉子女王とのじれったい関係では実資がそんなこと考えていたのかと思いましたけど、そんな矢先の急展開は…続きが気になります。
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よっち
チーナと晴れて恋人同士になった伊織。三学期に入って生徒会長が転校のため就任した代理の生徒会長が校則への恋愛禁止の追加を提案する第三弾。独りよがりの思惑に振り回そうとする新生徒会長相手に仲間たちと協力して対抗しようとする伊織たち。異文化交流会の一幕や、フレンドシップデーでの姉・詩織の一件だったりと、相変わらず周囲にはどうもあれな人物が多かったですね…まあそれに対抗する伊織たちも負けてなかったですけど(苦笑)それぞれの進路が見えてくる中で、もどかしいことになっていた二人もきちんと向き合えた結末で良かったです。
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よっち
ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年。核兵器の使用も懸念される非道で残酷な戦争を終結させる方法を模索する一冊。現段階で想定される五つのシナリオと、迷走するロシアの目標と戦争終結への見通し。ベトナム、アフガニスタン、イラク、シリアなど各地の戦争・内戦はどう終わらせたのか。和平調停・仲介の動き、経済制裁の効果、戦争終結に向けた課題などを取り上げる中で、日本の役割についても言及されていましたが、読めば読むほど泥沼に陥りそうで、早期の解決は見えてこないですね…あとは東部とクリミアの扱いもポイントになりそうです。
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よっち
魔王ぬらりひょんからの依頼で怪談会に出席することになった皓と青児。百物語怪談会に潜む悲しい真実が明らかになる美少年探偵とペット扱い助手の妖怪事件簿の第八弾。凜堂兄弟が探偵社を設立するきっかけとなる、まだ10代の少年だった彼らの活躍。他の参加者は一癖も二癖もある強者ばかりの百物語に恐る恐る加わる青児。わりとひやひやする展開でしたけど、皓と青児に感じる信頼関係や、二人が出会ったことでお互いに少しずつ変わってきた部分もあるのかな感じる中、それを吹き飛ばすような強烈なエピローグが衝撃的すぎて続きが気になりますね。
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よっち
夏休み終了で同棲生活も解消したものの、改めて恋人として付き合うことになった朱莉と求。朱莉は地元に帰るものの、今度は求が実家に帰省する第四弾。しかし受験生の朱莉から模試の判定が落ちていることを告白されて、成績を復活させた時のご褒美を提示する求。頑張った朱莉が高校で文化祭デートをする展開で、後輩女子たちに慕われる求の姿、朱莉の日常を知らなかったり、お互い不安になることはあっても、ちゃんとお互い話し合える二人の関係がいいですよね。二人をいい感じにふりまわすみのりや、求の実家猫ノワールもいい感じに効いていました。
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よっち
ロンディニア魔法学園に入学後、冬に開催される学園祭。そして一大イベントであるラグブライの公式戦が開催され、フェリシアはスタメンで出場する第二弾。学園祭のパフォーマンス大会で優勝したり、復活祭のダンスパーティーで男友達のマルカムと踊ったり、と慌ただしくも楽しい日々を送るフェリシア。しかしラグブライの試合前に届く、両親を誘拐したという手紙。逆恨みに巻き込まれても、気のいいお人好しな気性はどこまでもブレなくて、慕われているけど鈍感なフェリシアと周囲の関係、彼女がどこまで成長するのかも気になるところではあります。
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よっち
自作した美少女3Dモデルのダウンロード数が全く伸びず悩む高校生・賀藤琥珀。頭を抱えていた琥珀がCG制作の師匠から「その素材使ってVTuberになれば?」とアドバイスを受けるVtuber小説。配信用の機材まで揃ってしまい、バーチャルサキュバスメイドのショコラとしてデビューした琥珀。料理したりゲーム実況したり、ペット紹介動画がまさかの反響で、あっという間に人気者になるのに、肝心の3Dモデルはほとんど売れない展開には苦笑いでしたけど、調子に乗りやすい姉に絡まれながら、いろいろ繋がりもできてきた今後が楽しみです。
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よっち
いつの時代にも書物を愛し、書物に愛される人々がいた。巻物から冊子へ、音読から朗読へ、西洋における書物と人が織りなすエピソードを紹介する一冊。二千年近く前の文書版や、楔形文字を綴った蝋板、最古の書記。BOOKの語源、冊子本の登場、中世の授業風景、音読・朗読・黙読などの読書スタイルの変化、写字生の仕事場、回転式書架やルネサンス期の古い書体の復活、活版印刷本登場と情報爆発時代、写本偽作者や愛書狂、ペーパーバックのことなど、通史というより象徴的なエピソードを紹介するような内容でしたが、なかなか興味深く読みました。
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よっち
ユウが千春にプロポーズをしてから数ヶ月後。結婚に向けて着々と準備を進める中、両家顔合わせのためユウの母親がアメリカから帰国することになる番外編。今回は雪緒が登場する幸せ宅配編に到るまでを繋ぐ、千春が会社を辞めてユウと共に2人で『くま弁』を切り盛りする時期を描いたエピソード。共に過ごす機会ができるものの、距離を縮めたい気持ちが空回りする展開で、ただ相手に気を遣いすぎてすれ違っただけで、周囲もフォローしたくなる二人だけに、しっかり話し合いすれば解決する話でしたね。保護猫のカイも登場してなかなか可愛かったです。
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よっち
ネット・スマホ依存症対策条例が施行された近未来の香川県から、女子高生の美優が大阪へやってきた大阪観光サイバーパンクの表題作ほか八作品のSF短編集。売れないファンタジー作家がゴーストライターを引き受けた理由、中世の南仏を舞台とした貴族少女と吟遊詩人の出会い、詩をテーマとした三つの掌編、スマホゲーム開発をめぐる知的遊戯、表題作のほか存在していないオーストリアSF作家の架空伝記や、百合SFアンソロジー。実在の歴史をモチーフに虚構を織り交ぜて、いかにもありそうなそれっぽい雰囲気を作り出す作家の上手さを感じました。
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よっち
相変わらず薬膳師と妃の二重生活で、周囲にばれないかとひやひやの毎日を送る董胡。年明けて元日、ライバルである青龍の宮から第一后・翠蓮姫が患う病に関して使いがやってくる第四弾。正体がばれることを恐れつつ、医師としての強い思いから診療のため青龍の宮へ赴く董胡。調べるうちに董胡からすればあり得ないほどひどい処方に気づく展開で、献身的ゆえに危機に董胡状況を救う黎司という構図は良かったですね。ただ相変わらず董胡が正体を開かせない中で、その正体を知る掴みどころのない玄武公の嫡男・尊武の存在は不気味なものがありますね…。
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よっち
都に現れた妖を退けた春蘭と仲望。同じ頃、華国に疫病が広がりはじめるが、国は病を収める動きを見せず、この地の守り神も沈黙を続ける中、皇帝は強引に宴を開催する第二弾。少し距離が近づいたものの、一向に春蘭の真名を盗んだ兄のことを話さない仲望。生きる糧を得るために妓楼で占い師を始め、余興として出席した宴で皇帝に目をつけられてしまう春蘭。現状を憂い何とかしようとする人はいるものの、享楽的な思考を持つ皇帝はあえて悪手を打ってきてますね…。それを何とか回避しようとする奔走した結果、自らが窮地に陥りそうな春蘭が心配です。
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よっち
ネット空間にはもともと人を孤立化させ、分断してしまう仕組みが組み込まれている。炎上しない、人を傷つけない、無意識に差別しないため、どんな点に気をつければいいのかを考える一冊。バッシングされる皇族問題にどう対処すべきか、炎上する萌えキャラ問、なぜSNSでは冷静に対話できないのか、ジェンダーで間違いが起きやすいのか、スマホ時代の公共性など、実際にTwitterでネガティブな発言をしているのは40万人に1人程度でしかなくて、それに対処していくことや冷静にもっと知ってもらう/知る工夫や努力の必要性も感じますね…。
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よっち
人生の喜怒哀楽を繊細に掬いあげる恋と愛と性と怪。どんな時も気持ちに寄り添う、甘くてスパイシーで苦くしょっぱい13の連作短編集。プロポーズに自らが人魚だと告げる女性、敏くて鈍い男が世の中をBL世界にしたり、双子に嫁いだ似た者同士の提案、歳の離れた従兄への恋心、地下アイドルの同級生を密かに推すモデルの女子高生、ホームから落ちて死んで生まれ変わり妻に拾われた猫、亡くなった彼になりすますウィルス、一目惚れして買った真っ赤なソファが語る持ち主の30代など、積み重ねられてゆくどうにもならない想いがとても印象的でした。
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よっち
800kmの行軍を成し遂げて、無事〈エラー517〉を克服した秋人とフィリアたち。しかし休む間もなく、彼らの元へ救いの手を求める正体不明の声が届く第三弾。全ての始まりとなったシステム《アルカディア》の開発者にして、秋人たちをここまで導いた《JUNO》。救出した彼女の口から明かされる、死を超越した子供たちの秘密と《アルカディア》完全破壊の方法。全てを終わらせるためテレサ社の本拠地、楽園都市ティーラに向かう展開で、戦い続けることに疑問を持った彼らが、その決着に自分たちで考えて下した決断はなかなか良かったですね。
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よっち
京都府警に持ち込まれた傷害致死事件。母親の虐待を疑う京都府警は、大学で法医解剖医を務める加賀谷千夏に検死と司法解剖を依頼する法医学ミステリ。異様な姿で死亡した引きこもりの大学生の死因、河川敷で発見された首のない遺体の死因、発見された足だけの遺体の真相、同時に発見されたのに腐敗した死体と凍結した死体が並んでいた理由。新人助手・久住とのコンビで真摯に取り組む精緻な解剖描写と、事件の真相を導き出す千夏の推理力が目を引きましたが、毎話ごとに違う関係者視点で角度を変えて千夏の様子が語られる構図も興味深かったですね。
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よっち
時には戦車傭兵や交易で金を稼ぎつつ、戦車で旅するフォクシーと仲間たち。訪れた街で商売敵に誘拐されかけていた令嬢レオナを偶然助けるファンタジー。発掘された戦車を運用する傭兵同士の戦いでは、フォクシーたちの乗る74式戦車が大活躍。しかし一方で金食い虫な戦車の部品調達や維持に四苦八苦する戦車傭兵達の姿も描かれ、武力では敵わない戦車傭兵団にカネで復讐することを決意し、盤外ではフィクシーたちの協力も仰ぎながら、商品取引所でマネーバトルを仕掛けたレオナの覚悟は圧巻でした。そんな彼女も加わっての今後の展開が楽しみです。
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よっち
未来からやってきた花嫁トウカさんのもう一つの目的。病に倒れた姉・夏美に対する悔恨を解消すべく白馬にもう一度協力を依頼する第二弾。夏美と再会したトウカと夏美の家族に対する想い。幼馴染や冬花の妹・春音と一緒にプールやゲームセンターで遊ぶ二人の微笑ましいひとときもありましたけど、過去を変えても避けられない現実に直面して自分に何ができるのか。冬花の想いをしっかり受け止めて寄り添い、一緒に乗り越えた王子はカッコよかったですね。時には喧嘩しながらもお互いかけがえのない存在になってゆく二人の関係がなかなか良かったです。
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よっち
名家の父親の庶子でやや複雑な境遇の中学生・灰瀬譲。彼と出会って即プロポーズしてきた、ちょっと変わった許嫁・白河白亜との日々を描く青春小説。中学生離れしたスタイルで可愛い名家の長女・白亜と一緒に、学校をサボったり、譲の家で母親に会って気に入られ、彼女の両親にも挨拶。事態は猛スピードで目まぐるしく進むのに、時折垣間見せる表情や不可解な出来事から、実は白亜のことを意外と知らないことに気づく譲。見えていた構図をガラリと変えてゆく彼女を巡る事情に、二人でこれからどう向き合うのか。今後の展開が気になるシリーズですね。
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よっち
魔剣計画を進めるフィレットの魔手に囚われたエルフィーネ。闇に堕ちて虚無の裂け目に消えてしまった彼女を救うため、そしてもう一人の不死者の魔王との決戦に備えて、レオニスはある決意をする第十二弾。六英雄の龍神を倒したレオニスの前に現れる獣王、聖剣学院にも竜王と海王が押しかける中、エルフィーネを救うための手段を模索するリーセリアたち。第〇四戦術都市での決戦に向けて物語の構図も少し変わりましたけど、魅力的なキャラたちのエピソードも絡めながら、ヒロインたちにもそれぞれらしい見せ場があって、今回も安定の面白さでしたね。
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よっち
事故にあって、記憶を失った目覚めたらなぜか彼女が三人もいた高校生の真田勇紀。それでも一切過去の記憶がない、とんでもない不安の中で学校生活が始まる青春小説。勇紀の彼女だと主張する、家のお世話担当の幼馴染・湊明日香、同じクラスのカリスマモデル・有栖川紗季、そして勇紀のことを推す小動物系オタク後輩・笛乃ひな。三者三様の魅力ある彼女たちと、徐々に浮き彫りになる学校内の構図。未だ過去を思い出せない状況で彼女たちの事情に振り回されながらも、その苦境を放っておけず我が身を省みず奔走する勇紀と三人のこれからが楽しみです。
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よっち
あの「やり直し」の始まりから十年が経ち、再び辿り着いた十年後の未来。厳しい現実に直面して、別の生き方も知った橋場恭也が、一度は離れた創作の世界に戻ってくる第十二弾。過去最大の壁に対して、再結集したチームきたやま渾身の企画を通すために挑んだ茉平社長へのゲーム企画のプレゼン。もたらされた夢のような変化と、だからこそ突きつけられる現実に恭也が下した決断。最後まで簡単には上手くいかないところがこの物語らしかったですけど、多くの人たちの心を揺さぶって紆余曲折を積み重ねた末に辿り着いたこの結末は本当に良かったですね。
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よっち
借金を残して亡くなった父の意思を継いて二級建築士となった楠さくら。持ち込まれるリフォーム案件に持前のまっすぐさで幸福を呼ぶ驚きの提案をするお仕事小説。みんなが幸せになるクライアントに寄り添う設計を心掛けるさくらが向き合うスポーツ用品店の改装、和菓子屋店二号店の設計、そして因縁の相手とのコンペ、コテージのリニューアル。借金返済をする決意を固めた家族はなかなか大変な境遇でしたけど、仕事でもどうすれば依頼主が一番幸せになれるのか真摯に向き合う姿勢が感じられて、そんな彼女たちがきちんと報われる結末で良かったです。
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よっち
「みつば」の街を舞台に11歳から42歳、それぞれの選択に向き合う登場人物たちを描いた10編の短編集。高校野球観戦にいたヤジを飛ばすオヤジ、トラウマの東京タワー、大丈夫なバカ親子、チャリにはねられた話、事故で人生を棒に振った男女の数奇な運命、芽が出ない作家と拾った一万円をどうするか、家に泊めてあげて欲しい妻の元カレの事情、同窓会で出会った昔好きだった女子との再会、カートを片付けるおじさん、元カノを見返すために10キロ走る就活生。一つ一つの物語はわりと短くて、いかにもなありふれた日常がなかなか良かったですね。
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よっち
突如始まった悪役令嬢として名高い桐生彩音との同居生活。その関係も変わりつつある中で、浩之の幼馴染で快活少女・智美と少しおっとりな涼子がとある事情から大喧嘩に発展する第二弾。その勢いにあたふたするしかない浩之とは裏腹に、周りの友達はなぜか察する2人の喧嘩の原因。そこに現れた後輩・秀明との再会が膠着した状況を動かす展開で、明らかにされてゆく三人の幼馴染の過去、その状況を変えたのは許嫁の彩音の存在で、どこかで本音をぶつけ合う必要があった三人の関係の再構築、そんな中での彩音のささやかな主張がとても印象的でしたね。
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よっち
余命1年の宣告を受けた高校2年の月島誠。静かに日々を過ごす彼が想いを寄せる翼から映画制作部に誘われ、事態が思わぬ方向に転がり始める青春ラブストーリー。活動を重ねてゆくうちに互いに惹かれ合ってゆく二人。一方で残酷にも確実に迫っているのを実感させる命の刻限。そこで余命のことを知らない翼が悲しまないよう、ある作戦を実行しようとする誠。幸せな日々だと実感してしまうからこそ、彼女を悲しませたくないと懸命に考える誠の想いが切なくて、映画制作部の仲間たちとの絆、そして時を越えて彼女に届く真摯な思いが心に響く物語でした。
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よっち
良彦の祖父・敏益の生前最期の御用を描いた表題作をはじめ、書き下ろし番外編小説を3本収録し、本編のその後の様子や、良彦や黄金たちの御用や日常も明らかになる番外編。かつての姿を取り戻したい神様に美味しいものの一緒に食べ歩きを提案する敏益、平安時代の有名な刀工「三条小鍛冶宗近命」の願い、神職を志すも資金に悩む良彦やバイトを始めた穂乃香たちの後日談。登場人物プロフや各巻振り返り、著者が答える御用人Q&Aといった作品ガイド要素も良かったですけど、何より思ってみなかったサプライズには今後に向けて期待感が高まりました。
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よっち
「三層には『竜』が出るらしい」。かつての仲間を失った因縁の地『偽竜鱗湖』に流れる噂を耳にしたシオンが、その真偽を確かめるべくグランドギルドが高ランク冒険者に依頼した『特異調査』に仲間と帯同する第二弾。共に行動するクレアドールの圧倒的な戦力で、瞬く間に三層を進んでいくシオンたち。しかしそこで出会い、圧倒的な力をの差を見せつける竜との絶体絶命の邂逅。そこからの思ってもみなかった展開と、気づいてしまったシオンの葛藤があって、やや駆け足気味だったのは残念でしたけど、その選択がもたらした結末はなかなか良かったです。
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よっち
ダンジョン「バベルの大穴」が存在し、人智を超えた「怪物」が存在する世界。ある事件をきっかけに攻略のヒントを聞く異能を宿した凡人探索者・味山只人が、やがて絶対最強へと至る冒険譚。相棒である最強の探索者アレタ・アシュフィールドに助けられる毎日で、周囲からは「アレタの腰巾着」と揶揄される味山。けれど腑分けされた部位"耳"の力と聞こえてくるヒントを頼りに、これまでギリギリの戦いを何度もくぐり抜けてきた彼には、各国政府が目をつけ、アシュも気に入るだけの何かがあるんですよね。未だ謎も多い彼らの今後の活躍が楽しみです。
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よっち
大人気VTuberアンリエッタとアイドル声優の八住ひよりが『推し』の大学生・天童蒼馬。ある日彼が住むマンションに、なんと『推し』たちが引っ越してくる半同棲ラブコメ。上京したてのエッタ様こと静に寂しいから夕飯を一緒に食べてほしいとお願いされて、喜んでいた蒼馬が目の当たりにする彼女たちの思ってもみなかった姿。そんな彼女たちの胃袋を美味しいご飯ですっかり掴んでしまい、さらには十年ぶりに再会した幼馴染の後輩・真冬も加わって、三者三様の魅力あるヒロインたちとのカオスな関係がこれからどう変わってゆくのか楽しみですね。
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よっち
突然失踪してしまった虎太郎。そんな彼を探すため再び丹後の地を訪れたれんげが、鬼に取り憑かれて別人のようになった虎太郎に遭遇する第十弾。鬼となった彼を元に戻すために奔走するれんげが出会った不思議な3人の子供たち。そして現れる古の鬼退治伝説に関連する、額に鏡をつけた白い犬の存在。実際に歴史書の中で敗者の歴史が歪められて伝わる、というのはわりとある話のような気がしますが、今回の事件でも何とか乗り越えてようやく仲直りした二人が、これからどういう関係に落ち着くのか、そろそろ幸せになる二人がみたいところではあります。
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よっち
日本代表選手となり一躍注目を集める天才カヌー少女・恵梨香。それぞれが進路も意識するようになってゆくカヌー部女子たちの青春を描く熱く切ない部活小説第五弾。大会で思いがけない事態に見舞われる恵梨香、自らの進路に悩む三年生になった希衣、そしてそれぞれの事情に振り回されるライバルたち。初心者だった舞奈の成長っぷりもなかなか良かったですけど、人間としてもいろいろ成長してゆく恵梨香、複雑な思いを自らの成長に繋げてみせた希衣など、群像劇的な物語の中で、それぞれが葛藤に向き合って未来を紡いでゆく、なかなか熱い物語でした。
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よっち
今まで何人もの幽霊を助けてきた高校生・天。コンビニ前で出会ったセーラー服姿の幽霊・陽菜との運命的な出会いが、止まっていた時間を再び動かしていく青春小説。当初うんざりしていた天が懇願される、コンビニでバイトする姉を守って欲しいという陽菜の願い。それをきっかけに彼女の姉・舞衣と交流するようになって判明してゆくそれぞれが抱える過去。数奇な運命を繋げた陽菜の心残りを何とか解決したいと奔走する不器用な天もポイントで、過去だけでなくいつの間にか芽生えていた想いにも向き合ってゆく結末が、とても優しくて温かい物語でした。
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よっち
この想いを知ったなら、同じ身体ではいられない。憧れと畏れが幻想を呼び寄せる、緻密で繊細な六篇の連作短編集。彼氏よりソファの肌触りに執着する女。妊娠で豹変して別れた妻と、父に会う娘の悲壮な覚悟。すれ違いかけている恋人への複雑な想い。身体から出た石を交わし合う恋人たち。父を意識するあまり役に投影して自ら白木蓮の花に姿を変えた夫。身に花を咲かせる世界で転がり込んできた猫のような彼女と彼との結末。確かにあった愛は必ずしも上手くいくとは限らなくて、そんな自らの思いに向き合うそれぞれの姿がとても印象的な短編集でした。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
2020年、中2の夏休みの始まりに、また変なことを言い出した成瀬あかり。全力で我が道を突き進む彼女を周囲の視点から浮き彫りにしてゆく青春小説。閉店を控える西武大津店に毎日通って中継に映ると言い出し、幼馴染の島崎とM-1に挑戦したり、自身の髪で長期実験を初め、膳所の祭りの司会も務めたり。地元への愛に溢れていて、突然突拍子もない行動をする存在感に周囲も目をそらせなくて、自身が思うところを自由に突き進んで、様々なところに影響を与えていく成瀬が痛快で、認め合う島崎との友情や広島の西浦くんとの距離感も良かったです。
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よっち
コロナ禍、インフレ、DXなど激変するビジネス環境下で、「売れない問題」にどう対応するのか。実践マーケターが、多くの具体例から解いた一冊。PDCAの繰り返しを推進するにしても、いかに最適なアプローチに近づけるのか、売る側視点での施策はなく、買う側からの目線で考える重要性を訴えた内容で、商品の必要性、費用対効果、認識されているか、魅力が伝わっているか、きちんと購入に結び付けられているのか、ターゲットへのルートを明確にして分かりやすく、そして買いやすさをもう一度顧客側の目線から考え直してみる必要性を感じました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
神奈川県を中心に展開する明治42年創業の老舗書店「有隣堂」が作った企業公式YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」がどのように生まれたのか、制作チーム自らが語った一冊。社長の鶴の一声から始まって、登録者数や再生回数が全く伸びなかったチャンネル開設当初から、チャンネルリニューアルの決断、失敗してしまった動画企画など、現在に至るまでの紆余曲折について語る内容で、結局のところ突き抜けた好きやすごいを熱く語るようになったから今があるんでしょうね。一般人目線のMCブッコローもポイントなのかなと思いました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
過去の苦い事件から家裁調査官を辞め、妹の専業主夫代わりの日々を送る白石洛。友人の刑事・和井田からかつて担当した少年・薩摩治郎が死体となって発見されたことを知らされるサスペンスミステリ。治郎の自宅を訪れて判明する監禁虐待されていた女性たち。なぜ治郎は監禁したのか、史上最悪の監禁犯を殺したのは誰なのか。強権的な父や無力な母、家政婦や庭師、精神医を通じて明らかになる凄惨な背景。中学生二人の動向も絡めて組み上げられる構図に覚えた違和感の正体は見事打破されましたけど、根深く逃げられないその連鎖には戦慄を覚えました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
過去最高額を更新した21年度税収67兆円。集められた税金は無駄なく活用されているのか。約3年にわたって粘り強く取材を続けてきた若手新聞記者が、税金の無駄遣いの実態を明らかにした一冊。素朴な疑問から取材を始めて明らかになってゆく、一般社団法人を介した中抜きを黙認する政府。政府も内訳の詳細が分からない五輪予算。コロナ禍におけるゼロゼロ融資の不正利用。孫の小遣いとなる中山間地域への補助金。使われぬまま放置される巨額の基金。余っているとは言わなけれど、こういうところはもう少し引き締めるべきなのではとは感じますね。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
脳科学界の中野信子氏と演劇界の鴻上尚史氏が、対談で心地良く生きるためのコミュニケーションについて語り、息苦しさから抜け出すいくつかのヒントを見出そうとする一冊。中途半端に壊れた世間に残る強い同調圧力や、枠組みを疑わせない教育、親から受け取る価値観の呪いに縛られ、コミュニケーションに悩み、息苦しさからなかなか逃れられずにいる今の状況。揉めた時に何とかする力を身につけて、何でも自分で解決しようと思わないこと、枠組みを疑わせない教育から抜け出すことができれば、閉塞感のある状況も少しは楽になるかもしれないですね。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
意欲をくじく配属・異動、繰り返される組織改編…。一見運だけで決まるように見える人事という名のブラックボックスに対して実態調査のメスを入れて、人事異動や昇進についての各種のパターンをデータが浮かび上がらせた一冊。初期配属をどう受け止めるのか、10年で3部署配属で見極める会社が1/3、使い分ける異動方針、キャリア採用の配属、適材適所と適所適材の違い、目配りされないミドルパフォーマー、管理職になれる人となれない人、役員候補やタレントマネジメントなど、どこでも試行錯誤はしてるでしょうし、その中でどうするかですね。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
神戸の高校生・熊丸かりんが、従兄の大学生・栗原慧に訳してもらった祖母の遺品であるドイツ語の本。そこに描かれる十九世紀末の寄宿学校を舞台にした少女たちの物語。その本に描かれる赤ずきん伝説の残るドレスデン郊外の森、学校でささやかれる幽霊狼の噂、校内に隠された予言の書と宝物の言い伝え、読み進めるうちに物語と現実を結ぶ奇妙な糸に気づく二人。物語の中で描かれるロッテと個性豊かなルームメイトたちの寄宿学校の様子や、それぞれの謎解きのエピソードがなかなか楽しくて、そこから伏線が解き明かされてゆくとても素敵な物語でした。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
仲良し兄弟の小学生五年生の晶と高校生の達。晶にとって誰よりも尊敬できる兄なのに、他の人から見ると「普通じゃない」らしい達と交わした言葉を大切に生きてゆく家族小説。物知りで絵が上手く、面白いことを沢山教えてくれて、けれどコミュニケーションが苦手で不登校、集中すると走り出してしまう癖がある達。同級生たちや大家さんとの会話を通じて「普通」とは何か、初めて意識する世間に晶が戸惑い葛藤して、さらに意外な事実や思わぬ展開にも直面しましたが、それでも晶が兄を大切に思う気持ちは揺るがなくて、とても優しい家族の物語でした。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
採算が取れなくて出版社では出せない本を出したい、などの理由で増えているひとり出版社。どうやってひとり出版社で本をつくるのか?どうやって運営していくのか?自身も運営する著者が、その運営についてまとめた一冊。企画から著者との交渉、原価計算から本のデザインをどう考えるか、どうやって出版流通に乗せるのかなど、分かりやすく説明されていました。校正と校閲の違い、印刷コスト節約のために16ページの倍数にする、原価内の紙代の占める大きさ、翻訳本を作るにはなど、アンケートでは副業をされている方も意外といて興味深かったです。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
久慈島で繰り返される争いをなくすため、大八洲のどこかにあるという金属の鉱脈を探しに、久慈島の東にある最大の島、秋津島を目指して隼人と鷹士が海を渡る第二弾。黒潮に乗って目指すは東海の美野、そして淡海、北陸、最高峰の不二の山へと向かう展開で、鷹士が複雑な想いを抱く因縁の相手との再会があって、美野での出会いが二人を少しずつ変えていって、苦難に遭いながらも仲間思いでどこまでも真っすぐな隼人と、少しずつ自分らしさを持ち始めた鷹士の成長が眩しかったです。そんな彼らがこれからどんな道を歩むのか続きを楽しみにしています。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
大学生になったリュート。社会人として働き始めたルナ。それぞれが夢や事情を抱えたまま年齢を重ねた三年後を描く大学生編の第六弾。大学生と社会人となったリュートとルナ、編集者を目指してバイトする海愛、ユースケとアカリの関係、関谷と笑琉とニッシーのあれから三年が経過した現在地。環境が変わって上手くいくことばかりでもなくて、岐路に立たされていたり葛藤を抱えていたり、様々なリアルな現実に直面する彼らが、変わらない思いだったり、変わることを決断したり、苦悩しながら自らの選択を決断してゆく姿にいろいろ考えてしまいました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
不眠症に悩む高校生・半崎獏也が、深夜の公園でカップ焼きそばを食べる後輩少女・小比類巻君鳥と出会ってぐっすり眠れるよう手伝いをしてもらう、後輩ちゃんと二人きりの夜ふかしラブコメ。自分の家に来てほしいといきなり提案してきて、隙あらば獏也をおちょくる君鳥ちゃん。そんな彼女と不眠症解消に向けてドキドキの試行錯誤を続ける中で、明らかになってゆく獏也が不眠症になった原因。ガラリと構図が変わる後半で彼女が協力してくれた理由も明らかになりましたが、今度は彼女の苦悩を何とかしたいと獏也が頑張る関係がなかなか良かったですね。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
誕生日プレゼントとして陰キャな日比谷為明ところに送り込まれた美少女型スマートフォン「エクストラ」。彼女と出会って「だめ明」の冴えない日々が激変するボーイミーツガール。唇紋認証で為明のスマホとして登録され、転校生扱いで登校したらクラスのみんなとIDを交換して、一躍人気者になるエクストラ。高性能のはずなのにドジっ子っぷりを炸裂させる彼女のミスで、結果的にクラスの女の子たちと仲良くなる展開で、彼女に振り回される為明の発想や言動はドン引きでしたが、いろいろありそうなヒロインたちの今後が気になるところではあります。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
賢者殺しの冤罪で『アインズバーグ監獄学院』に送られた皇帝候補ライアン。さらに魔力ゼロとして蔑まれる『絶唱者』と暴露された彼が、監獄で裏切りの姫と呼ばれる魔族ルナーラと運命的な出会いを果たすファンタジー。辛い過去から魔族を憎みながら、ルナーラの思いを知り反撃を企てる協力関係を結ぶライアン。第三棟のトップ・アーサーとの因縁や孤児院時代の幼馴染ロルも絡めながら、それぞれの因縁にも繋がる事件に巻き込まれる中、少しずつ信頼関係を築いてゆくその絆で過去を乗り越えて、二人で新たな希望を見出す展開には胸が熱くなりました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
夏休み。久し振りに母の実家を訪ねた高校生・空木悠護が出会った少女。かつて悠護が保護してチュンと名付けた雀が生者と死者の境を彷徨う魂ハザマとなって、あの世とこの世を繋ぐひと夏のあやかし奇譚。悠護と人の姿で遊びたいと願ったチュン。悠護が幼い頃に約束した少女えりなも合流して、四枚羽のスズメや彷徨うタヌキ、動かない犬、見つめる猫といった助けを求めて訪ねてくるハザマたちの願いを叶える展開で、同時にえりなや悠護が抱える悩みにも向き合い、チュンがハザマになった理由にまで繋がってゆく、切ないけれどとても優しい物語でした。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
学校一モテると言われながら、実は童貞という秘密を抱える高校生・鏑木隼。彼が高校入試での運命的な出会いから片想いしている、人気者の仲村日和が困っていたところを救って付き合い始める青春ラブコメ。軽い感じで付き合い始めたものの、以前から隼を意識していて噂とは裏腹に『未経験』の日和。探り合い見栄を張ったデート中もドキドキを抑えられず、強がりやハプニングが心の距離を近づけていく様子が微笑ましくて、経験不足ゆえの戸惑いやすれ違いも、かけがえのない大切な存在だからこそ乗り越えてみせた二人の結末はなかなか良かったですね。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
人外の仕業と噂される事件の謎を解くことで、怪異を封じる力を持つ混河葉介。捜査六課の刑事・白羽奏から依頼を受け、葉介と助手を務める妹の夕緋が、放火と焼死事件が起きた伊地瑠村を訪れる伝奇ミステリ。幼馴染に起きた不可解な出来事の真相を求め、怪異を管理する混河家の一員として、村長の姪・春宮由芽らの協力を得て捜査を進める中で明らかになってゆく、伊地瑠村の焔狐にまつわる奇妙な伝承。そして失踪した由芽の祖母の存在も絡めた事件の真相。役割分担する探偵コンビの関係や混河家も未だ謎めいていて、今後の展開が楽しみな物語ですね。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
夏祭りでフラれたあの日から、あいりと話すことができずにいた葉。彼女の真意を知りたいと考えていた葉が、あいりの友人・藤沢からの後押しで、彼女の自宅を一人訪ねる第三弾。あいりの自宅へ訪問した葉が気づく、かつて中学一年生の夏休みに出会った初恋の人が住んでいた馴染みのある家。思い出してゆく泣き虫で、不器用で、人見知りでとても優しい女の子との思い出。一方で変わり果てた新を放っておける葉でもなくて、全てが繋がってゆく中、心揺れる彼が選択を迫られるその結末はそう来たか…と思いましたけど、これはこれで納得のラストでした。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
「2.43」で清陰高校のライバル校として登場する福蜂工業のバレー部、柔道部、釣り部や、どこか繋がりがある他校の部活動を通じて揺れ動く高校生たちの青春が描かれる連作短編集。努力を惜しまない登場人物たちの届かないがゆえの悔しい思いだったり、不器用な人間関係や恋心だったりと甘酸っぱい青春してるなあと思いましたけど、それが後できちんと成長したり変わった関係がフォローされていて嬉しいですね。ひとつひとつの繊細なエピソードが様々なところで繋がってひとつの世界を形成していて、なるほどなと唸らされた心地よい読後感でした。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
迫るバレンタインデー。温水の妹・佳樹が手作りチョコを贈るのはまさかの兄以外!?思わぬ展開に動揺を隠せない温水に対し、焼塩の案で桃園中学に潜入調査することになる第五弾。佳樹のデートを八奈見と追跡したり、なぜか朝雲さんと中学に変装しての潜入調査。そして疑惑の橘くんと幼馴染ゴンちゃん、そして佳樹が高校の文化祭にやってくる展開で、それぞれに存在を主張するヒロインたちに対して、佳樹もその有能っぷりを見せつけたり、禁断の短編を提出したりとなかなか突き抜けてましたね…他のヒロインたちも負けないよう頑張ってほしい(苦笑)
が「ナイス!」と言っています。
よっち
最初は怒られてばかりだったものの、最近は着実に成長しているところを見せている亜季。知的財産部の一員として早く一人前になったと認めてもらうべく、仕事でますます奮闘する第二弾。悩ましい人気商品の立体商標問題、知財と絡む複雑な社内政治に巻き込まれたり、懸案だった特許査定問題への取り組みなど、仕事の見込みは甘いもののなかなか鋭い着眼点を見せたり、北脇の意図をきちんと汲み取ってみせたり着実に亜季の成長が感じられて、インターンでやってきた彼の存在もお互いにいい刺激になりましたかね。しかし今後の展開が気になる結末です。
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よっち
宋の科挙に合格した心優しい青年・梨生が、地方官として赴任する道中で、水鬼に転じ川に縛られた男・心怡と出会う中華幻想怪奇譚。お人好しな性格で見届け役として心怡を従者に雇った梨生が、主簿として発見された遺体を検死するたびに幽鬼が見えるようになってしまい、それを活かして心怡や県尉の開武と人肉食事件や首のない死体といった事件の真相に迫る過程で、関係者たちの複雑な想いもまた垣間見えてくる展開でしたけど、知県の智項が抱える秘密は今後何かに活きてくるのか、要所で出没する謎めいた薫彩華の存在も気になるところではあります。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
北鎌倉で和菓子職人をしながら日本茶カフェを営む眞白。彼女と幼馴染二人を取り巻く人々やそれぞれの修復が綴られる青春ダイアリー。複雑な生い立ちで両親に引け目を感じている眞白、相貌失認症のような状況で学校に馴染めなかった夏樹、そして祖母に厳しく育てられた反動で神社の跡継ぎをゆるく務める桜士郎。それぞれが抱えるものを理解して寄り添ってくれる、不器用だけれどかけがえのない確かな絆があって、引きこもりで美味しい料理を作る夏樹の叔父・玄も交えた関係がこれからどう変わってゆくのか、その続きをまた読んでみたいと思いました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
カメルーンで生まれて人間に匹敵する知能を持ち、手話を介して人と会話もできるニシローランドゴリラのローズ。アメリカに渡り動物園で暮らすようになった彼女が、4歳の人間の子どもを助けるためにという理由で夫を殺されてしまうリーガルミステリ。人と普通に会話をするローズがアメリカに見出した希望。夫を殺された理不尽に裁判を起こしたことで突きつけられる、人であることを前提とした法と倫理の現実。プロレスまで出てくるとは思いませんでしたが、視点や立場が変わればまたいろいろと違ったものが見えてくるその展開に正直驚かされました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
実力派作家の書き下ろしと百合文芸小説コンテスト発の新鋭が競演する、八編のアンソロジー。斜線堂さんの選挙に絶対行きたくない見解の相違、小野さんの私たちが失った三年間、櫛木さんの夫とその愛人と三人の奇妙な同居生活、宮木さんの教師とパートナーの別離と女子高生、アサウラさんの彼氏ができた友達を拉致する話、坂崎さんの嘘つき姫とみんなの嘘、南木さんのとある魔術師の恋の物語、深緑さんの恋人を助けないと崩壊する世界と運命。思っていたよりもカオスな関係が描かれていて、作品によっては好みが分かれそうですが興味深く読めました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
九州北部にある小さな星母島。1年前大野麦生と一緒に戻ってきて託児所併設の民宿を営むようになった千尋。島の「母子岩」と呼ばれる名所にご利益を求めて様々な人々が訪れる連作短編集。育児と仕事の両立に苦しむ妻、千尋に興味を持ち探りを入れるライター三崎塔子、子宝を願う娘と母の関係、千尋を育ててくれた政子とその孫まつりと息子の陽太、そして掴みどころのない同居人・麦生との関係。一見ドライに見える千尋も訪れる人たちや周囲の人たちと同じように悩むこともあって、そんな彼女だからこそ寄り添える優しさがとても印象的な物語でした。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
清の第十七皇子・愛新覚羅永璘お抱えの糕點師見習いとして働く仏華ハーフのマリー。御年八十の乾隆帝の譲位も迫る中、難題に直面しながらも夢を目指し奮闘する激動の第七弾。菓子職人として独立したいだけなのに、周囲がその存在を放っておいてはくれないマリーの現状。敬愛する宣教師の死、ますます混迷を極めてゆく祖国の状況、そして敬愛する主人夫妻や自身にも次々と降りかかる受難。なかなか難しい立ち位置にいるがゆえに、彼女自身もまた理不尽な状況に陥りがちでしたけど、周囲の助けも得ながら苦難を乗り越える展開はなかなか良かったです。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
フィオレ聖都市で微妙な立場にあった知識の聖女ジュリエッタが、四百年前の誓約を持ち出されて、敗戦間近のイゼルタ皇国の新たな皇王ルキノと結婚することになる聖女と皇王の大逆転ファンタジー。継承順位は低かったのに処刑覚悟で皇王となり、敗戦後の民の生活を守るべく奔走するルキノの優しさを知った相棒ジュリエッタが見出した勝機。何もかもが足りない現状を踏まえて、数少ない手札を上手く使って駆け引きを繰り広げて、そこから見事逆転してみせた手腕は見事でしたけど、まだまだ苦難の道は続きそうな彼らの活躍が楽しみな新シリーズですね。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
悪魔ダンタリオンの使い魔となった人間の少女ニニ。時は経ち突然ダンタリオンが人間界に召喚されてしまい、ひとり魔界に取り残されたニニはあることを決意して魔女マーガレットのもとを訪れる第二弾。自分の不在にニニを案じて守ってくれるユニコーンと契約させるダンタリオン。レヴィアタンの眷属のセイレーンの抱えていた想い、魔女マーガレットにニニが告げた願い、そしてテオを取り戻すためにコカトリスの卵を探すニニ。型破りな使い魔に翻弄されるダンタリオンでしたけどニニはどこまでも一途で、周囲も見守る二人の関係がとても良かったです。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
動物病院で顔見知りになった猫の飼い主・鴨井心晴とようやくお友達になれた女子高校生の三隅藍。両片想いなのに恋に受験に犬猫といろいろあってなかなか進まないじれったい歳の差恋愛ストーリー第二弾。偶然公園で拾った子猫にプンプリブイッコと名付けて世話することになった心晴。予備校でずっと気になっていた女の子・林真菜と話せた藍。諸事情から学校に連れて行くことになり皆に可愛がられる子猫の愛されっぷりが微笑ましかったですが、いろいろ上手くいかず不安を抱えていた藍も逃げずに向き合って、いい感じに結末を迎えられて良かったです。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
「誰でもいいから、彼女になってくれんもんかね」「本当に誰でもいい? 私でも?」他愛ない会話から、クリスマスまでの期限つきで三浦拓海と早川夏帆がお試し恋人になる青春ラブコメ。放課後の帰り道や、休日のお出かけ。夏帆の想いに寄り添う拓海、好奇心旺盛で無防備な夏帆が、じゃれあうように楽しむ恋人の距離感。お互いそろそろ本物の恋人関係を意識していろいろ考え出す中、良くも悪くも暴走気味な夏帆の気持ちが空回りして、もどかしくなる展開もありましたけど、友人たちのフォローもあって乗り越えた二人の結末がとても素敵な物語でした。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
左龍・龍貢への正式な禅譲のため、一時別々の国へ出立するはずだった蓮珠と翔央。そこへ『龍義本隊・華国連合軍の一隊が栄秋へ向けて放たれた』と一報が入る第九弾。連合軍の目的は郭家の捕縛。急ぎ皇帝執務室へ戻ったもののこのまま双子が栄秋を出れば間違いなく民が人質にされるという厳しい状況の中、双子の皇帝が打って出た大胆な作戦。ここに至るまでの経緯もわりと急展開でしたけど、今回は今回でまた思ってもみなかった形での結末となって、さすがにこれだと未決着な部分が多すぎるので、どういう結末になるのか続巻に期待したいところです。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
ロキ・ファミリア三首領、都市最高位に到達す。その一報に多くの者が祝福の声を上げ、希望の未来を夢見る中、主神ロキが思い出の振り返りを提案する始まりの三人の物語。地上に降り立ったロキが出会う、勇気と絶望を見て自らフィンと名乗り覚悟を決めた小人族の少年。外の世界に憧れてエルフの里を覚悟を決めたハイエルフの王女リヴェリアと従者アイナ、そして飢えた心を殺して鉱夫として怪力を振るっていたガレスとの邂逅。今ではお互いを深く理解して何かと暴走しがちな若者を諭す彼らにも、こんな大人気なく衝突する時代があったんですね(苦笑)
が「ナイス!」と言っています。
よっち
奇跡を叶えて日常という名の後日談に浸る君塚君彦。だがある日、世界平和を象徴する《聖還の儀》という式典で、人類の記憶に異変が起きていることが判明。過去に乗り越えた災厄の記録を振り返り検証を始める第八弾。君彦と強烈な出会い方をしたもう一人のパートナー、魔法少女・リローデッドとの短くも鮮烈な非日常の記憶。彼女が調律者となって我が身を省みずに叶えたい想い、そしてともに戦って過去の因縁を乗り越えた先にあった彼女との結末がなかなか印象的でした。少しずつ明らかになってゆく展開の中、彼の物語がどう紡がれるのか続巻に期待。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
事故で意識不明となってしまった漫画家を目指すフリーター宇佐見太一。高校時代に自分が描いた漫画『食べもの探偵トモアキの事件簿』の世界で目覚めてしまうクロスオーバーミステリ。食べものの声を聞き事件を解決する奇妙な探偵トモアキの助手をしつつ、現実世界への帰還を目指すが徐々に意識の境界が揺らぎはじめてしまう太一。一方でふとしたきっかけから再会した宇佐見のかつての同級生・沙月が、彼に目覚めさせるため試行錯誤する展開で、交錯する夢と現実はややカオスな印象はあったものの、二人が迎えたエピローグはなかなか良かったですね。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
七十一歳となった現在、レビー小体型認知症を患い介護を受けながら暮らす祖父。小学校教師である孫娘の楓が身の回りで生じた謎について話して聞かせると、かつて小学校の切れ者の校長だった知性が生き生きと働きを取り戻す連作短編ミステリ。古書に挟まれていた訃報記事の謎、居酒屋での密室殺人事件、プールから消えたマドンナ先生、全員で33人のクラスメイト、容疑者にされた同僚の岩田先生、碑文谷さんとストーカーの正体など、時折切なさを感じさせながらも、岩田やミステリ好きの四季との関係も絡めながら描かれるストーリーは良かったです。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
30年以上金融機関で投資に携わってきた著者が、細かいことではなく、そもそもなんでここに投資すべきなのか、具体的な投資の話から日本のバブルなど歴史までを取り上げて教える一冊。そもそも資本主義とは何か、証券会社、銀行、保険会社は何を考えてセールスしているのか、お金を借りることの本当の意味、投資をする前に知っておくべきこと、外国に投資するとはどういうことか、日本の経済は今どんな状態なのか、景気についてどう考えるか、バブル崩壊やリーマンショックなどから何を学ぶのかなど、本当に基本的なことで大切なことを学べました。
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よっち
今と変わらない五人組のままでいたいと願っていた。それぞれが濁った感情を内に秘めたまま。しかしそれぞれの想いが恋愛も友情も、全てを壊してゆく秘密の恋の物語の第三弾。関係を秘めたままでいようとする純也と夜瑠。何も知らず夜瑠に恋を伝えようとする新太郎。彼に協力するふりをしながら恋の成就を企む火乃子。不穏な空気に孤独感を深める青嵐。そこからの行き着くところまで止まらない激動の展開、何とか取り戻そうとする彼女の奔走もありましたけど、もう一度ぶつかりあえた彼らだからこそ、いつかまたみんなで笑い合える日を迎えて欲しい。
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よっち
仮面舞踏街をを陰で支配するBT社から流出し、街の在り方すらも変えた規格外の《怪物サプリ》。欲望渦巻き騒がしくなる夜に、幻想清掃の面々が害獣駆除に駆り出される第二弾。亡き後輩のためサプリ流出事件捜査の依頼主を買って出た命。そして誘われる死人形の廃ビル、SNSで伝染・増殖する最悪の都市伝説に挑む零士・月・蛍の三人。普通の暮らしに憧れる二人の足元を見る楢崎のゲスさが極まってますが、ネリや命たちのキャラの掘り下げもしつつ、歪んだ欲望を発露させた今回の惨劇を収束させるべく奔走する熱い展開とその結末は良かったですね。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
最推しアイドル・鐘月かりんの「卒業」を半年も引きずる若手女性声優・仙宮すずね。そんな彼女の事務所に新人声優として鐘月かりんが現れるガールズラブコメ。内心完全に浮かれつつ表向きでは平静を装い、一定の距離を保とうとするすずね。先輩後輩としての関係でいようと決めたはずが、ぐいぐい距離を詰めてきて意外な一面を見せる彼女を意識せずにはいられなくて、必死に隠していたのに気づかれてしまうお互いの想い。そしてシビアな声優業界の現実も描きながら、巻き込まれてゆくトラブルの中で絆を深めてゆく二人の関係はなかなか良かったです。
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よっち
オリバーたちが入学する五年前。魔法使いの家に生まれながら落ちこぼれと蔑まれた少年・ゴッドフレイが「魔法使いの地獄」と称される名門キンバリー魔法学校の合格通知を得て人生が一変する外伝。失敗だらけの受験行脚で得たひとつきりの合格通知。初歩の呪文ひとつ満足にこなせない状態で入学し、他の生徒たちからは笑いものにされる日々。カルロスの危機を救った転機から、志を持つゴッドフレイのバカ正直に向き合う姿勢に心揺さぶられ、慕うようになってゆく仲間たちがいて、彼の今があるんですね。ティムとオフィーリアのコンビが良かったです。
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よっち
四年生への進級を控えたオリバーたち。恒例の長期休暇に、彼らは仲間の故郷への帰省旅行を計画した。剣花団のメンバーにテレサとマルコを加え、連合各国を巡る船旅が始まる第十一弾。カティの故郷、連合北方の湖水国でカティの両親が語る異端が絡む過去の悔恨。英魔法国南部のシェラの実家で出会った豪快なシェラの母とケンタウロスの英雄と戦ったエピソード。満喫する仲間たちの様子だったり、オリバーに対する二家の評価も興味深かったですけど、各キャラの掘り下げもさらに進んで、マルコとテレサそれぞれのエピソードもなかなか良かったですね。
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よっち
純の誕生日に琉実と那織から誘われて一緒に向かった横浜でのデート。かつて付き合っていた琉実にとっても思い出の場所で、純が二人に自分の想いを告げる第五弾。双子と純の関係を一度は変えることになった琉実の告白から純と二人で過ごした甘酸っぱい日々。同時に不可避だった葛藤と罪悪感、そして関係性が変わっても些細な部分が目についてしまう三人の距離感。これまで積み重ねられてきた関係性を思えば必然の結末でしたけど、彼女の複雑な思いが面倒くさくても、それは三人の関係性がやはり不可欠だからで、必要なことなんだろうなと感じました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
瞳を覗き込むことで過去を読み取り追体験する大学生・紙透窈一。退屈な大学生活の最中、野良猫の瞳を通じて未来視の少女・柚葉美里と出会うボーイ・ミーツ・ガール。猫の瞳越しに過去の世界と会話が成立する中でミリが依頼する、これから周囲で起きる連続殺人事件が起きる運命を変えて欲しいという願い。演劇部に入部して探る中で浮かび上がる人間関係、容易には変えられない運命、そして彼女の言葉を巡る真相。詰め込まれた要素がやや多く消化不良だった感もありましたが、提示されたヒントから気づいてたどり着いて見せた結末は悪くなかったです。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
迷い込んだ異界「幽世」でどうにか居場所を得た漢方診療科の薬剤師・空洞淵霧瑚。今度は祓い屋の朱雀院の相談で、とり憑いた悪魔を祓う「エクソシスト」と一緒に会うことになる第三弾。エクソシストとして烏丸姉妹の姉・倫蛇が見せる悪魔祓いの真相。そして神秘の探求者・錬金術師の違和感に気づく霧瑚。彼女たちが見せる奇跡は果たして本物なのか、あるいは詐術なのか。綺翠とともに事件の背後にある《病》の解明を試みる展開で、出番としては今回やや控えめな綺翠でしたけど、彼女を怒らせちゃいけないんだな…と今回でしみじみ思いました(苦笑)
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よっち
突然、身に覚えのない同級生へのストーカー行為を告発された大学生・牟田幸司。周囲の犯人扱いに追い詰められてゆく幸司に冤罪の研究する先輩・紗雪が疑いを晴らすために協力する連作短編集。二人が挑むストーカー扱いされた裏に潜んでいたもう一つの事件、ドローンを破壊したという自白の真相、冤罪痴漢事件に隠されていた真実、そして紗雪の父にまつわる冤罪事件の究明。読んでいると冤罪に繋がる証拠や自白、証言に対する信頼性のあやふやさが恐ろしくなりますが、信じてくれる人の想いや思い込みを覆してゆく展開には救われるものがありました。
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よっち
「国道」なのに、こんな道!1車線、ガードレールなし、離合不能、超急勾配、超急カーブ、未舗装、ホコ天…場合によっては通行できないこともある「酷道」を紹介したガイド。青森から九州まで実走した53本紹介されている国道はどれもなかなかのインパクトがあって、自分が知っている身近な国道とのあまりの乖離にこんな道があるのかと驚かされました。ただそもそもの話として多くの酷道は生まれつきのもので、全国的な幹線道路としての国道に指定されるということは、国道らしく整備することが目的なのだということを知ってなるほどと思いました。
山口透析鉄
2024/08/31 17:59

この方などが出ているCBC「道との遭遇」Tverで視聴しています。結構、興味深いです。

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よっち
西暦80万2700年、人類滅亡後の地球。支配者である高等知的生命体「玲伎種」と、蘇生させて小説を執筆させる歴史上の名だたる文豪たちの交渉役である〈巡稿者〉メアリ・カヴァンが、ささやかで重大な反逆を試みるSF小説。生まれた場所も時代も違う作家たちの凝縮された人生。そして数万年も歪んだ共著を強いられ続けて、次第に才能を枯渇させてゆく作家たちの狂気。壮大なスケールで積み重ねられてゆく描写の中で、作家にとって小説や創作とは何か、本質を問い続ける展開は圧巻でしたが、理解できたのかと言われると考えてしまう作品です…。
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よっち
好色で酒好きで暴力癖のある最後の文士と呼ばれた作家・須賀庸一。作品が全て私小説だと宣言されていた彼の死後、娘に託された文章でその真相が明らかになってゆく物語。弟・堅次との複雑な関係、家を飛び出した経緯、作家となった兄弟が抱えた秘密、妻との出会いからの変化と、弟が書いたことを小説とするために実践する兄の変化、そして兄弟の相克に至るまで、作家であり続けるためにそこまでしなければならないのか、何が虚構で何が現実なのか、複雑に絡み合う壮絶な展開でしたけど、その娘に届いた手紙の意味を思うとドキッとしてしまいました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
距離をとろうとする蠱師の高良と、彼に対する心境が変わりつつある澪。「二十歳まで生きられない」と呪いをかけられた少女と、前世からの宿縁で繋がる少年の物語第三弾。御所人形の呪いと高良が姿を見せない理由。拾ってしまったカフスボタンと禁断の恋の真相。高良との久しぶりの再会。そしてお祓いをする旧家での出来事。護衛として転校してきた羽鳥との関係や、妹を守りたい兄・漣の葛藤、その友人・日下部の複雑な思いなど、周辺の掘り下げも進んでだいぶ解像度が上がってきましたが、やはり何より澪と高良の不器用で繊細な距離感がいいですね。
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よっち
宮廷を騒がせた帝の子懐妊の真相。後に歴史に記される、雷帝と妖后と共に生きた人々の物語第八弾。千古の計らいで歴史の陰に伏せられた事実。帝と千古の手によって貴族ではなく、民のための国へと変えようという政治。謎多き男・秋光の正体に心揺れる千古。そして千古の心を認め待つ帝。物語が終わりに向かうのを感じる中で、帝との関係を肯定的に見る意識の変化を感じつつも、どこか煮え切らず決断できない千古。そこで最後に残ったのはやはり秋光との関係で、彼の決断はやや意外な気もしましたけど、それぞれの選択が描かれた結末は良かったです。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
結界を破り首都に侵入した炎魔をなんとか食い止めた灯子たち。しかし天然の火を手にした〈蜘蛛〉の進攻が静かに始まる第三弾。亡き兄の思いを胸に願い文を届けるため神族の住む神宮に向かう明楽、〈蜘蛛〉の進攻を止めるため、自身が作った武器を手に工場地帯に向かう煌四。そしてひとり逃がされ燠火家の娘・綺羅と再会する灯子の前に現れた神族。登場人物が多くそれぞれの視点で進むストーリーはやや混沌としていましたが、苦しい状況でも諦めない彼らの抗う姿が印象的で、この物語がどういう結末に向かうのか、現段階では読めませんが続巻に期待。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
皆が仲良く、のどかな田舎町で起こった毒「おしるこ」事件。毎年行われる秋祭りで誰かがおしるこの鍋に農薬を入れて多数の死者が出てしまい、それをきっかけに全てが変わってゆくノンストップミステリ。当時の状況から犯人は町民に絞られ、誰もが疑心暗鬼となって新事実が明らかになるたびに、取り憑かれたように疑わしい人を追い詰める日々。その容疑者は果たして真犯人だったのか…自己保身や仄暗い複雑な感情も絡めながら、だからこそその可能性に気づいた時、失ってしまうかもしれない恐怖に葛藤して追い詰められてゆく焦燥が生々しかったです。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
第二の呪殺島事件から一年。突然、姿を消した古陶里の手がかりを求めていた真白は、彼女が「壱六八島」の領主の血縁であることをつきとめる民俗学ミステリー第三弾。島に到着した真白が、道中で発見した遺体。一族の者に出会った真白が知る、必ず双子で何らかの病を生まれる呪いの業と、忌み子の存在。古陶里はどのような形で関わっているのか、なぜ一人で島に向かったのか、業の深い因縁に立ち向かった結末はなかなかに陰惨でほろ苦くもありましたが、一緒に過去を乗り越えた二人がこれからどう変わってゆくのか、また続巻に期待したくなりました。
が「ナイス!」と言っています。
よっち
結婚直前で婚約破棄をされてしまい、職と家と恋人の全てを失ってしまった明日彼方。そんな27歳独身無職が、突然男子高校生&4歳児と同居することになる不器用な家族の絆の物語。幼馴染の家に居候中の身で、従姉の葬儀で親戚中の心ない言葉にさらされる忘れ形見の兄妹を放っておけず、引き取る決意をする彼方。警戒心MAXの兄・幸希と甘えたい盛りの妹・咲希相手の手探りの同居生活は、距離感も掴めず難しいものがありましたけど、周囲に支えられお互いのことを知ってゆく彼女たちの、不器用だけれど優しくて温かい関係がなかなか良かったです。
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よっち
性を越境する異性装になぜ我々は惹かれるのか?そうした物語にはどんな意味が込められているのか。伝統的な男女観が崩れ、男女らしさが問い直されている現代、異性装を軸に社会的、文化的な在り方を気鋭の研究者8人が論じる一冊。男装で戦う巴御前から「とりかへばや物語」、歌舞伎「三人吉三」、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」など、歴史の中の物語で多く描かれてきた異性装。マンガやラノベ、宝塚や男の娘などもテーマとして扱いながら、様々なフィクションの形で異性装がどういう位置づけで描かれ、語られてきたのかを興味深く読みました。
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よっち
神通力を持つ者たちが超難関の国家資格「神さま」を目指す「神さま学校」に、推薦合格で入学してしまったナギ。神通力があるのかもわからず成績は最下位なのに、なぜか大人気の「神さま」月読命がナギの担当教師になる第二弾。自らの持つ力が依然として判然としないまま、所属する神社が決まらない月読命を師匠とすることになったナギ。体育祭・夏休み・遊園地といった学生らしいイベントも挟みながらナギの能力の謎にも迫る展開で、だいぶいろいろなことが判明した感もありましたけど、兄たけるも絡む組織に目をつけられた今後が気になりますね…。
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よっち
どんな紙でも見分けられる紙鑑定士・渡部の事務所に持ち込まれる一風変わった依頼。新たな相棒・フィギュア作家の團と共に、紙を巡る3つの事件に挑む連作短編集第二弾。野良猫虐待事件を解決したフィギュア造形の蘊蓄、父を喪った少年の心を開いた印刷業界の蘊蓄、さらに、凶器が消えた奇妙な殺人事件の謎を暴いたコスプレの知識と、一見関係なさそうに見えてさりげなく紙が関わっていた事件を、意外と守備範囲が広い新キャラ・團とのコンビで解決してゆく展開は、物語としても幅が広がってきているのが感じられて、また違った面白さがありました。
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よっち
第50回星雲賞に輝いた10万桁まで円周率を求めよという秦の始皇帝の命を受け、300万の兵を借りて前代未聞の人列計算機を起動する荊軻を描いた「円」など、「三体」の著者・劉慈欣によるSF短編集。麻薬密輸のために投入する驚愕の秘密兵器、貧村の子供教育に人生を捧げてきた教師の信じられない結果をもたらした最後の授業、漢詩に魅せられた超高度な異星種属が立ち上げた壮大なプロジェクト、もう一つの五輪、世界を変えた少女の夢など、ひとつひとつは短くても思ったよりスケールの大きい短編が多くて、なかなか濃厚な一冊を楽しめました。
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よっち
新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した立原尚吾と大土井紘。大学卒業した二人が名監督への弟子入りとYouTube発信という真逆の道を選ぶクリエイター小説。名監督の助監督になったものの自分の作品をなかなか表に出せない尚吾の葛藤、YouTubeで注目を集めながらそのクオリティに疑問を感じてしまう紘。同様に激変する表現者の世界に対する紘の仕事仲間、尚吾の先輩や同棲相手、後輩たちの苦悩や試行錯誤で実感のこもった言葉が突き刺さりましたけど、彼らが追い求めた先に見えてくるそれぞれの形がとても印象的な物語でした。
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よっち
疲労と憂鬱を溜め込んだ重たい体で帰宅して、スマホで「料理好きの男子大学生」の動画を見るのが唯一の癒しになっている彼女たちが、推しの彼に誘われて美味しい肉料理を振る舞われる暗黒童話的連作短編集。素敵なレシピを解説付きでアップしてくれる彼の動画にハマる、寄生マウント女に何もかも奪われた女、クズ男に金も身体も巻き上げられる純情女子大生、そして同担拒否SNS粘着女の所業とその末路。読んでいて途中から感じていた違和感が最後に顕在化していく結末にはやっぱり…と思いましたが、それをにこやかにやり遂げる彼に戦慄しました。
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よっち
仲間の仇たる五人の魔王のうち王立魔術学院に潜伏する魔王の正体を見抜き、討伐を果たした学院教官エルロス。教え子たち無事二年生に進級したものの、息つく間もなく上級生の失踪事件が発生する第二弾。失踪事件の調査に乗り出したエルロスのもとを訪ねてきた帝国からの留学生エマの事情。彼女の情報をもとに犯人探しに協力する中で浮かび上がる学院に潜むもうひとりの魔王。魔王にもいろいろいるんだな…と思わせる展開でしたけど、各所に潜む魔王たちと駆け引きを繰り広げながら、生徒たちとともに事態の解決に挑む展開はなかなか良かったですね。
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よっち
こんなトンデモ話一体誰が信じるのか。普通の人ならそう考えるが、SNS上では想像を超えるほど多くの人々が妄説を発信し続けている。実体を伴わないからこそ恐ろしい、ネット世界のデマ、陰謀論、カルトの脅威を分析した一冊。スマホの中で急速に広まる光の戦士と闇の政府論、SNS時代のスピリチュアル、検索すればするほどデマを信じてしまう罠、生きる意味を見つけられない人々が禁断の魅力を持つスマホ教。やや散漫とした印象ではありましたが、見たいものしか見ないが成立してしまうからこそ、フェイクニュースも拡散しやすいんですよね…。
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よっち
三年前に小学校教師を辞めた石村。今は夜勤の警備員として働く彼が、勤務先で置引未遂を犯した10歳の少女との出会いが、立ち止まっていた彼を動かし始める物語。昼の世界から逃げ込むようにして選んだ仕事をして、他人と深く関わらずに生きようと決めていた石村が出会う、自分の子供時代を思い出すような少女。そこから思い出してゆく自分の子供時代の過酷な環境、そして自分を犠牲にしてまで誰かを助けた教師時代の出来事にはいろいろ考えさせられましたけど、不器用な彼を知って寄り添ってくれる人がいて、希望を見いだせる結末で良かったです。
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よっち
古代ギリシャから現代イギリスまで、古今東西の貴族の歴史を丁寧に辿り、いかに貴族階級が形成され、彼らがどのような社会的役割を担い、なぜ多くの国で衰退していったのかを解き明かす一冊。古代ギリシャやローマ、古代中国や中世ヨーロッパといった具体的な事例を取り上げながら、どのようにして貴族階級が形成されて、そして産業構造や戦争の変化によって変容していったのか。中世ヨーロッパの貴族が没落してゆく中で、それでも残り続けたイギリス貴族のなかなかハードな状況でしたけど、それと明治維新後の華族制度の比較は興味深かったですね。
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よっち
「血統とその起源」から人類史を読み解く、中南米やアフリカ諸国など欧米に支配された民族の視点から見た歴史も踏まえ、最新の遺伝子学の成果も押さえて多元的に解説する世界史。日本人を始めとする世界の各民族がどのような遺伝子構造から変遷を辿ったのか。それは侵略ややむを得ない事情による移動、文化の破壊や変容、迫害、強制、民族の混血や消滅の歴史でもあって、700p以上のボリュームでしたがどうしてそのようなことが起きたのか、各国史の中では見落とされがちな部分のアプローチもわりと多くて、とても興味深く読むことができました。
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よっち
過去の亡霊のような固定観念、いったん敷かれたレール、著名な経営者などの一部の人が勝手に作り、「ビジョン」として喧伝される「古びた未来」の数々…それらの未来像を壊して、真にイノベーティブな未来を誰もが語れるようになる方法を示す一冊。何の期待も抱けない現状をどうすれば変えられるのか。既存の物語を自分たちが新しく変える事が重要で、これまでもフィクションが未来を変えてきたように、ぶっ飛んだSF思考が未来を変える力を持つと信じて、新しい未来を描いて今何をすべきかを考える。そういうマインドの重要性を改めて感じました。
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よっち
育たない胸に、どうしてこんなに悩んでいるのだろう。いくつ年を重ねても、いつも人生に自信を持てない。生きづらい世の中との隔たりをやわらかく溶かす4篇の小胸小説。推し俳優が巨乳元モデルを結婚したことによって、「F」であることに取り憑かれてしまう女性、「夜、トレンチコートの中にブラジャーを着けた男が出る」という噂、他人の幸せを願う授乳室荒らし、サッカー部のマネジャーは皆大きいと思う行き場のない想い。傍から見たら分からなくても、それが閉塞感やコンプレックスに繋がってしまう、行き場のない思いや心理描写が秀逸でした。
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よっち
VTuber黎明期を支えた伝説的V星乃マナ。憧れの存在の卒業、そして一時代の終わりのような出来事にしんみりする淡雪の許に、驚愕の依頼が届く第六弾。配信者として相変わらずぶっとんだ配信を続けながら、中の人が抱えた重い過去に向き合う淡雪。動物園はなかかなかあれな感じで苦笑いしたけど、なかなかしんどい過去があった淡雪や家族のことだったり、伝説の人星野マナとの卒業イベントでかなりしんみりとしてしまいましたけど、彼女にとってライブオンという居場所や仲間たちの存在がかけがえのないなりつつあるのを改めて感じましたね…。
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よっち
フェンド連邦での激闘の後、『灯』に与えられた十四日間の休暇。離島でバカンスを楽しむ少女たちに、クラウスは「最終日前日まで、全員集合してはならない」という謎の指令を下す第九弾。島に伝わる大海賊の伝説、呪われた殺人事件、そしてクラウスの許嫁を名乗る少女との出会い。休日を満喫して散り散りに動いた十三日間の記憶を繋ぎ合わせて、消えた仲間の行方を追う展開でしたが、あっけらかんとしているように見える彼女の新たな一面が垣間見えましたね。新たに課された任務で彼女たちがどんな活躍を見せてくれるのか、今後の展開が楽しみです。
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よっち
コロナ禍がもたらした幾つもの「こんなはずじゃなかった」。市役所に開設されたこころの相談室に持ち込まれる切実な悩みと想いに、二人のカウンセラーが向き合ってゆく連作短編ミステリ。カウンセラーの晴川と正木のもとに持ち込まれる、コロナによって将来の夢を見失った女子高生、婚約破棄された男性、幸せな未来を失った一児の母、人としての尊厳を奪われたホームレス、そして生きる気力を失った学生。いかにもありそうなエピソードに隠された事情を卓越した観察力や洞察力で見抜いて、解決に導いてゆくそれぞれの結末はなかなか良かったですね。
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よっち
演劇界の重鎮・海山彼の秘蔵っ子・南未来哉とのダブルキャストに抜擢された若手アクション俳優・二藤勝。未来哉と芸術祭の主演男優賞をかけて勝負する第二弾。池袋芸術祭で目玉演目『オネーギン』に挑むことになった勝。最初は未来哉の演技に圧倒された彼が、ライバルとしてお互い刺激し合える存在へと変化してゆく二人。演劇のためには妥協しないカイトには驚かされましたけど、やはり悩める若者たちには道標となって的確に導いてくれる存在は大きいですね。お互いに相手を認め意識する存在として、今後も関わりが増えそうな二人のこれからに期待。
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よっち
突然会社の倒産を告げられ、いきなり無職になってしまったデザイナーの遠山健一。安定した転職先を求めたはずが、コピーライター天津孔明の個人事務所でフリーランスとして働くことになってしまうお仕事小説。変わり者の天津とコンビを組む事になった健一。戸惑いながらも二人で組んでの仕事に見出してゆく楽しみ、そして倒産のきっかけとなった企業での出来レースコンペと法人化。不安を乗り越えて厳しい状況にも可能性を信じて立ち向かった勇気、その中での自身の成長とこれまでの縁、力を尽くした先にあった結末がなかなか印象に残る物語でした。
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よっち
仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。案内されたレファレンスコーナーで司書さんが一風変わった選書をしてくれる物語。婦人服販売に行き詰まりを感じる女性社員、雑貨店主を夢見る経理部員、子供を生んだ雑誌編集者の複雑な想い、夢破れ仕事も辞めたニート、そして定年退職した夫。無愛想なのに聞き上手なインパクト抜群の司書さんが、適切なオススメとちょっと変わった一冊とともに渡してくれる付録が印象的で、意外な本との出会いをきっかけに新しい道を見出してゆく、そんな著者さんらしさが詰まった物語でした。
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よっち
まもなく十七歳の誕生日を迎えようとしている従兄弟同士の直樹と隆。毎年同様、直樹と典子の兄妹が隆の住む花の里の家を訪れ、二人の少年を繋ぐ悲劇の幕が上がるホラーミステリ。なぜか母親の美紀子に対して冷淡な態度をとってしまい、夜部屋を訪れる何者かの気配に苛立つようになってゆく隆。息子の目の中に恐れていた兆しを見つけて絶望する美紀子の異変があって、直樹もまたが因縁に絡め取られてゆく様子はなかなか恐ろしかったですが、姉妹でもある二人の母の覚悟がこの物語の転機となってゆく中で、猫の三代の存在がいい感じに効いていました。
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よっち
ホンジュラスでメキシコの過激派組織ゼッディウムと死闘を繰り広げた後、日本への帰国の道筋が不明だった優莉結衣。長男・架祷斗との最終決戦前の空白を埋めるスピンオフ小説。パスポートもないため豆とコーヒーを輸出する船に潜入して北朝鮮に辿り着いた結衣。そこから日本潜入スパイの養成機関に拾われ、やはりそうなりますよねという感じの過酷なサバイバルが待ち構える展開でしたけど、普通ならどこかで野垂れ死んでもおかしくない中、日本への帰国方法がまさかのそれですか…と絶句しましたけど、成功させてしまうのが結衣なんですよね(苦笑)
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よっち
猫、犬、馬、人形など、異質な存在との交歓によって導かれるカタルシス、人と人ならざるものとの間の愛のありようを描いた6編の連作短編集。家族との平穏な日々、バンドマンの恋人が置いていった犬と暮らす女性、捨てられた余命幾ばくもない猫を引き取る出版社社員、カゴバックが持ち主と寄り添った一生、乗馬に夢中になっていた少女の数奇な人生、そしてシベリア抑留を経験した老人が出会った看護婦。愛とは何ぞやと突き詰めてゆくと確かに人に限った話ではないな…と読んでましたが、後半部分の方がやはり著者さんらしいなとは思いました(苦笑)
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よっち
東大卒&東大生作家・市川憂人、伊与原新、新川帆立、辻堂ゆめ、結城真一郎、浅野皓生の各氏による東大ミステリアンソロジー。憧れの従姉の痕跡を探すために加入した文芸サークル、地震研に突然届いた1枚のはがき、ミステリ作家・帆立が親友と挑む農学部で起きた盗難事件、熱烈な恋を一瞬にして冷めさせた「片面」の意味、美しく完璧な妻が提示した新居の条件、卒業生の医師を取材した学生メディアに届いた告発状。新川帆立さんの話が強烈なインパクトでしたけど、東大生ならではの苦悩や東大あるあるなども描かれていてなかなか興味深かったです。
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よっち
北部に逃れ連合国から援軍を得たゴードンたちに反撃を受け、窮地に立たされたレオ。その救援に向かうことになったアルが北部の貴族たちの力を得るべく動き出す第十一弾。補給物資を届ける作戦を考える過程で出会った、帝国最速だが戦力外とされていた竜騎士フィン。助力を得るために訪れた侯爵家で、窮地に陥っていたところをアルに救われた北部最大の公爵家の孫娘シャル。膠着した局面を打開するためには北部貴族たちの力が必要で、それを打開するためのキーマンと出会い、その思いに応えたことで風向きも変わりましたかね。ここからの反撃に期待。
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よっち
家庭の事情から、知り合いのダイビングショップに居候することになった行足葵。引っ越した日に散歩した砂浜で、ダイビングを楽しむ小麦色の肌と碧眼の南国少女・島﨑ナイアと出会う青春小説。夏空のように表情豊かで、強烈な印象を残した彼女は居候先の看板娘で、海が大好きなナイアに誘われて一緒にダイビングを始める葵。天真爛漫でちょっとアバウトなところもある彼女にぐいぐい引っ張られて、葵の過去の傷も癒やされてゆく展開でしたけど、そんな彼女が陥った窮地に焦らず寄り添って、その笑顔を取り戻してみせた結末はなかなか良かったですね。
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よっち
男嫌いという噂がある同級生の美人双子・新条姉妹が家で強盗に襲われていた所を変装して助けた堂本隼人。彼が助けてくれたカボチャの人だと知った姉妹が、自分たちの愛に溺れさせようとアプローチしてくるハーレムラブコメ。「愛し合って子供を産みたい」と甘えてくる妹・藍那と「隼人様に隷属したいの」とメイド姿で奉仕したがる姉・亜利沙。彼女たちの母・咲奈にも彼女たちの家で歓待されて、両親を失っていた隼人がその温もりを受け入れてゆく展開で、危うさも感じさせる彼女たちの重すぎる愛を受け止め溺れる隼人との関係がなかなか鮮烈でした。
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よっち
隣の席のひねくれた副委員長・鍵坂君孝と毒舌全開で口喧嘩する、クラス委員で人望の厚い美少女・友利梓。そんな彼女の裏アカを偶然見つけてしまうギャップ萌え青春ラブコメ。実際には口やかましくいろいろ言ってくるのに、偶然見つけた彼女の裏アカは自分へのデレツイートばかりという構図に、戸惑いながら徐々に楽しむようになってゆく君孝。トークと並行展開する梓の超絶ツイートスキルには笑いましたけど、気づかれてないと思っていつも余裕たっぷりな彼女のギャップが可愛くて、彼女の窮地にはしっかりカッコいい姿を見せる君孝が良かったです。
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よっち
新天地での宗主から貿易商にジョブチェンジして、新たな旅路に出た勇斗一行。キプロスなどを経由しつつ、その最終目的地へと向かう第二十四弾。過ぎたる文明を封印して圧制を敷いていた宗主に、新天地にて《鋼》に謀反の兆し…というイベントを起こして、晴れて自由の身になった元《鋼》の大宗主・勇斗。円熟した彼に比べれば歴史に残る英傑も形無しだったり、ヨルゲンの回想エピもありましたけど、息子世代も順調に成長している姿を見せてくれたりで、信長の登場で思ったより巻数が延びましたけど、物語を最後まで描ききった感がある完結巻でした。
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よっち
玲衣の祖父で遠見家の当主である総一朗により、玲衣の異母妹・琴音の婚約者に指名された晴人。それを阻止したい玲衣はついに目を背け続けてきた遠見家の因縁に向き合うことを決意する第三弾。その話に乗り気で遠見家主催のクリスマスパーティで婚約を公表する計画を立てる琴音。一方従姉の雨音もまた晴人への想いが抑えきれなくなってゆく展開で、ヒロインたちに慕われる晴人という構図とはいえ、追い詰められた状況で打開する選択肢が実質的に限られていた感もありましたけど、覚悟を決めて難局をどうにか一緒に乗り越えた二人の今後に改めて期待。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/08/23(4149日経過)
記録初日
2013/07/27(4176日経過)
読んだ本
12292冊(1日平均2.94冊)
読んだページ
3581583ページ(1日平均857ページ)
感想・レビュー
12182件(投稿率99.1%)
本棚
70棚
性別
血液型
B型
職業
専門職
現住所
埼玉県
外部サイト
URL/ブログ
https://yocchi.hatenablog.com/
自己紹介

こんにちは。普段は図書館と書籍仕入れに関わるお仕事をしています。仕事のついでに面白そうな本がないか探していて、とりあえず自分が読みたいと思った本さえ読めてさえいれば、わりとまあいいかと思えてしまう行動原理が少し残念な人。

好きなジャンルはボーイミーツガール、青春小説、部活小説、お仕事小説、ミステリ、冒険・中華ファンタジー、歴史・戦記、SFなど。コメディ調より落ち着いた雰囲気の物語志向。意外な展開や難解さがウリのお話も嫌いではないですが、どちらかというとベタで王道な構図が分かりやすい、最後は良かったなと思えるお話が好みです。

基本的には著者買いが多いですが、興味を持ったらテーマやジャンル・作家などにはあまりこだわらず何でも読みます。人に本を薦めるのが趣味の本を読むついでに人生を送る雑食系読書廃人。

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