読書メーター KADOKAWA Group

2024年8月の読書メーターまとめ

ヴェネツィア
読んだ本
111
読んだページ
16212ページ
感想・レビュー
111
ナイス
44893ナイス

2024年8月に読んだ本
111

2024年8月のお気に入り登録
21

  • 西園寺カトリーヌ
  • 鶏肉
  • モグ
  • 鴨
  • Greatzebra
  • sis
  • くり
  • テロメア
  • babochan0517
  • リードっち
  • ザキ
  • Fyu Anz
  • humihumi-neko
  • yu
  • 🐰
  • shimachip
  • marumaru
  • かにみそ
  • wakaba
  • maaaaly2
  • かっくん

2024年8月のお気に入られ登録
21

  • 西園寺カトリーヌ
  • 鶏肉
  • モグ
  • 鴨
  • Greatzebra
  • くり
  • テロメア
  • babochan0517
  • しみず
  • リードっち
  • ザキ
  • Fyu Anz
  • humihumi-neko
  • yu
  • 🐰
  • shimachip
  • marumaru
  • かにみそ
  • wakaba
  • maaaaly2
  • かっくん

2024年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ヴェネツィア
タイトルも、人物像の造形も、文体も、読後感も、『スピノザの診察室』を先に読んだ身には、すべてこれ習作であったかのような思いがする。もちろん、本書もけっして完成度が低いというわけではない。むしろ、よくできた作品だと思う。でも、「神様」から「スピノザ」へは進化の跡が著しいのである。とりわけ、文体においては、ここではまだ漱石の『草枕』の仮構を纏う必要があったのだが、やがてそれは柔らかな脱皮を遂げる。一方、終末医療においては、より厳しさを高めながら、主人公を自立させて行くのである。
酔拳2
2024/08/15 17:11

スピノザを読みたい気持ちがより高まりました!

ヴェネツィア
2024/08/15 17:14

酔拳2さん、私はスピノザをお薦めします。

が「ナイス!」と言っています。

2024年8月にナイスが最も多かったつぶやき

ヴェネツィア

7月もまずは快調なペースでした。今月もどうぞよろしくお願いします。☆2024年7月の読書メーター 読んだ本の数:97冊 読んだページ数:14173ページ ナイス数:42861ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/157091/summary/monthly/2024/7

7月もまずは快調なペースでした。今月もどうぞよろしくお願いします。☆2024年7月の読書メーター 読んだ本の数:97冊 読んだページ数:14173ページ ナイス数:42861ナイス  ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/157091/summary/monthly/2024/7
Himeko is not cat
2024/08/01 22:27

ヴェネツィアさん、こんばんは!暑いですね😵体調崩されてないですか。私は7月は全然読めませんでした🙄ヴェネツィアさんのレビューで興味を持った本がいくつもありました。今月はどんどん読みたいです😊✨

ヴェネツィア
2024/08/02 07:46

Himekoさん、今月はさらに暑くなりそうです。Himekoさんも体調管理にはお気をつけください。

が「ナイス!」と言っています。

2024年8月の感想・レビュー一覧
111

ヴェネツィア
北欧ミステリーとして人気があるヘニング・マンケルの刑事ヴァランダー・シリーズとは別の独立した作品。冒頭で、いきなりスウェーデン北部の寒村で起こった、村人のほぼ全員を惨殺する事件が提示される。この上巻では、第1部がヘッシュヴァレン村での展開(さほどの進展は見せないが)、そして第2部ではいきなり150年前のアメリカ西部で新たな物語が始まる、という構成である。いずれこれらは有機的に結びついていくものと思われるが、なかなかに遠大な構想を持っているようだ。主人公のロスリン(女性裁判官)をはじめ、登場人物たちは⇒
ヴェネツィア
2024/08/31 17:08

⇒けっして魅力がないわけではないが、総じて地味な印象である。事件の構想の大きさに比して、解決ははなばなしくではなく、密やかに解決していくのではないだろうか。ともかく、下巻へ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のリュシー・ロー(名前からすれば中国系か)は、中国学者で、フランス人類博物館の民族音楽ならびに楽器収集部門を担当する人。中国の楽器や音楽に関する著書があるようだ。さて、本書だが、図鑑と銘打ってはいるが、地域別、あるいは楽器の種類別といった体系的な編集をとっているわけではない。どちらかといえば、エッセイ風に民族楽器、あるいは音楽を自由に語りつつ、写真でそれを見せるといった体裁である。読み物として面白くはあるが、これで民族楽器が十分に理解できるかと言えば、さあどうだろうか。個々の楽器や民族はとても⇒
ヴェネツィア
2024/08/31 16:53

⇒興味深いのだけれど。この本で初めて見る楽器もいくつもあった。インドのサーランギフランス・ピレネーで発見されたという旧石器時代の笛、各地のブルローラー、モンゴルの馬頭琴(名前は知っていたが写真で見るのは初めて)、バンバラ族(マリ)のワサンバなど。音を聴けないのが残念である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ロンドンのおしゃれな女性たち15軒のお部屋を訪問。多くは一人暮らしのアパートだと思われる。見せてくれた人のほとんどはデザイナー。全体にはニューヨークとの類似性が感じられるが、中にはパンクっぽい意匠のインテリアでコーディネイトされているものも。一方、パリ風のものもあり、なかなかに多様でもある。特徴としては、黒を活かすことでメリハリを強調したデザインが目立つだろうか。また、中にはかなり広そうなお部屋もあるが、総じて床面積は狭そうだ。それだけに工夫の跡も見られ、日本でも参考になるかもしれない。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
日本全国47都道府県の伝統食を紹介する。色々な切り口からのアプローチがあるが、例えば「日本雑煮地図」。これによれば、角もちと丸もちは、フォッサマグナを境界とはせずに中京圏から東が角、西が丸であるようだ。ところが、もちを焼くと煮るとでは今度は中京圏から西が煮る派となる(九州は焼く)。全国の特色ある郷土料理のオンパレードで、いずれも垂涎ものだが、私自身は西に文化的背景を持つので、東(とりわけ東北)に珍しいと思うものが多かった。ちなみに今を時めく江戸前鮨も、もとはといえば江戸の郷土料理だ。
mike
2024/08/31 08:39

文化を比べる話は好物です。頂いていきます(⁠^⁠^⁠)

ヴェネツィア
2024/08/31 08:45

mikeさん、見てるだけでワクワクしますよ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
夜の鳥を描いた詩。スタイルこそは古い(七・五調の文語定型詩)が、詩境は象徴詩を思わせる。第1連の結び「くわくこう一羽北に過ぎたり」も鮮やかだが、第2連の「寒天質(アガーチナス)の闇に溶けたり」は、さらに透明感を増し、同時に深く神秘的である。賢治の詩、まさにここにあり、といった輝きである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
"Fallingwater"と称される、この建物はペンシルヴェニア州、ミル・ランにカウフマンの別邸として建てられた。フランク・ロイド・ライトの作品の一つで1936年に竣工している。森の中にあり、文字通りに滝の上をまたぐような格好である。建物の外貌は、やはり木々の生い茂る夏と、紅葉の美しい秋が最も映えるが、冬枯れた佇まいもそれはそれで捨てがたいものがある。内部空間が、これまた贅沢の限りを尽くしているのだが、こちらは暖炉に火のある冬にこそ真価を見せそうである。ライトの良さが凝縮されたような建造物。
ジュンコ
2024/08/31 08:23

昨年、美術館でフランク・ロイド・ライトの展覧会見ました。美しい建築ドローイングでした。いつか実物を見てみたいなと思っています。

ヴェネツィア
2024/08/31 08:27

ジュンコさん、私も実物は見たことがないのですが、ぜひ見てみたいものです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これを読んでいると、西欧とはいうものの、古代ギリシャ人の感性や理想とする生き方は、キリスト教受容以降の人たちのそれとは大いに違っているような気がする。ソクラテスの潔さは、やはりギリシャの神々に対する責任の取り方であるのかもしれないが、クリスチャンと違って、より人間中心的であるようだ。つまり、ギリシャの神々は絶対者ではないのだろう。それは、『クリトン』において一層に顕著だが、ソクラテスの、法に対して置かれる信頼と遵守と、自分を死刑という境遇に追い込んだ告発者やアテネの人々の犯した誤りとの矛盾の止揚を⇒
ヴェネツィア
2024/08/30 16:37

⇒ソクラテス自身は、あるいはプラトンはどのように考えていたのだろうか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『東方見聞録』は、マルコ・ポーロが戦役でジェノヴァに捉えられ、その獄中での口述筆記をルスティケロ・ダ・ピサが採録編纂したものであるらしい。1271年から1295年にわたる実に長い長い旅であった。口述されたものにしては、随分と微に入り細にわたる詳細なものである。具体的な数字も記され(ただし行程に関しては疑問もあるが)国名や人名もはなはだ多岐にわたっている。上巻では大都(カーンの都。今の北京)までの紆余曲折の旅と、カーンその人、および元の諸制度や都の様子などが詳述される現代の我々にとっても興味深いもの。
ヴェネツィア
2024/08/30 07:31

全訳版を読むのは初めて。なお、本書はルイギ・フォスコーロ・ベネデットのイタリア語訳(原書は、古フランス語)『マルコ・ポーロ旅行記』のアルド・リッチ英訳本の全訳。日本語版は全2巻。続いて第2巻へ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
写真史家の小沢健志の編著。タイトルのように幕末から明治期の美人を写した写真の集大成である。モデルとなっているのは、大別すると概ね2種類の女性たち。芸者さんたちか貴顕に属する女性たちである。したがって、市井の女性のものは、ここにはほとんど見当たらない。貴顕の女性たちは装束が華やかだ。伊藤博文夫人・梅子さん(元は芸者であったらしい)、陸奥亮子(陸奥宗光夫人)さんをはじめ、いずれもなかなかに美貌である。「明治の美人コンクール」(明治41年、時事新報社)には、たくさんの応募があったようだ。いずれも豊かなお家の⇒
ヴェネツィア
2024/08/29 16:27

⇒令嬢たちである。第1等に輝いたのは末広ヒロ子さん。表紙写真の女性である。全身像では残念ながら姿勢がよくないのだが、バストアップでは現代的な風貌に写っている。各県代表では山形美人の3人が目元がパッチリとして秋田美人風である。続いて「東京百美人」だが、こちらは芸者さんたちのようだ。みなさん、なかなかに艶やかである。なお、西郷従道夫人をはじめ、薩摩の美人たちは現代的かつ個性的である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
原話はイソップの寓話だが、本書はラ・フォンテーヌ版。内容はほとんで変わらない。見どころはやはりブライアン・ワイルドスミスの絵。他のものに比べると抽象の度合いが低いか。ただし、全体にラフなタッチが心がけられているようだ。その分、いつもに増して力強い絵である。なにしろ、中心をなすのは北風の暴威なのであるから。一方、逃げまどう動物たちの表情まで描き分けるなど、芸の細やかさも見せている。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
田丸雅智は初読。ここには20篇のショート・ストーリーズが並ぶ。様々な表情やスタイルがある。巻頭の「ふぐの恩返し」は、まるで落語の間合いである。甘さの中にビターを含んだ「蜜」。「O型免許」は惚けた味わいの物語。「壁画の人々」や「修正駅」、「部屋釣り」あたりは、安部公房風の軽やかなシュールの趣き。ポール・ギャリコの『猫語の教科書』へのオマージュのような「アドネコ」。作品集全体のタイトル『海色の壜』からすれば、最後に置かれた「海酒」が最も意に叶うか。
ヴェネツィア
2024/08/29 07:55

いわゆるショートショートには星新一の先例があるが、ここにある作品群はそのスタイルを踏襲しつつも、新しい感覚(星の感覚も新しかったし、今もそうだが)と着想で語られた物語群である。ここの作品に深みを求めるのは意味がないが、軽みの中に漂う感覚がいいのだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
想像していたよりも、ずっと入門的なものだった。もう少し体系的な楽器の発達史かと思っていたのだが。実質的には楽器を網羅的に示す事典といったところ。せめてもの慰めはいくつか珍しい楽器が登場することか。といってもそれほどはないのだけれど。例を挙げれば、ツタンカーメンのトランペット、セルパン、ラッシャンバスーン、ビュッサン、アドルフ・サックス作の奇妙なトロンボーンやサクソルンといったあたり。オーケストラ楽器の入門書としては有用であるかもしれない。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
2006年の出版なので、もうかれこれ20年近く前のものだが下川裕治の筆力は、それをあたかも今年の夏のごとくに伝える。そもそも貧乏旅行ライターと目される下川が何故に甲子園?と思ったが、彼の父親は長く高校野球の監督を務めていたらしい。さて、本書は石垣島の八重山商工の野球部に密着したルポルタージュだが、それは同時に八重山文化論といった趣きを帯びることにもなる。なにしろ監督の伊志嶺も、選手たちも、そして応援席の人たちも、そのことごとくが八重山気質なのである。その年は、みんなにとって暑い熱い甲子園の夏であった。
ヴェネツィア
2024/09/26 17:41

枝豆さん、臨場感があっておもしろかったでしょう。

枝豆
2024/09/26 18:33

ですね~。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
原話はグリム童話。ブライアン・ワイルドスミスの絵。お話は簡略化されてはいるが、概ね原話通り。絵はホフマン版と同じく、物語の時代を現代に置き換えている。また、具象と抽象とを混淆させるのが特徴のワイルドスミスには珍しく、線画を彩色した具象画。画家の初期の頃のものかと思われる。それでも、いつもながら色彩の乱舞する美しさは、この絵本でも遺憾なく発揮されている。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
最初はタイトルの意味がわからなかったのだが、「ビジテリアン」というのはヴェジタリアンのことだった。これは創作のようにも見えるのだが、やはり1931年に実際に花巻でこのような大会が行われたものの見聞記なのだろうか。これによればヴェジタリアンは同情派と予防派に大別されるらしい。賢治はこれをさらに整理し、大乗派(他の動物の敵なるを選び食べる)、絶対派(けして何をも食べぬ)、折衷派(あっさりしたものは食べる)に3分類する。この見聞記が後の『ビジテリアン大祭』に結実してゆくのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
安藤忠雄の初期の代表作の一つ。この建物は様々な意味において実にユニークである。まずは立地。大阪市住吉区の、文字通り長屋の中央部分である。床面積の大きさはわずかに14.1m×3.3m。この長屋の写真を見るに、かなり奇妙である。両隣のお家の人はクレームをつけなかったのだろうか。周辺の景観に馴染んでいるというよりは、あきらかに異質である。もっとも、今ではすっかり溶け込んでいるのだろうが。次にこの床面積でありながら、中央には中庭が配されている。いわばパティオであろう。雨の日は傘をささないとトイレにも行けない⇒
ヴェネツィア
2024/08/27 15:59

⇒とか、信じられないような話まである。にもかかわらず、どうやら住み心地はいいらしい。もちろん、私も可能ならこの家に住んでみたいと思う。たとえ、多少の不便があったとしてもである。ほんとうに面白く、とてつもなく魅力的な家である。安藤忠雄以外は考え付きそうもない。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ゴンド・アート※の第一人者バッジュ・シャーム作、ギーター・ヴォルフ文。中央インドのゴンド民族の神話・伝承を絵画化したもの。内容はまさに創世記(宇宙と人類の始まり)である。未生の魚にはじまり、水、大気、ミミズと泥、7種の土、時、季節、聖なる種、原初の卵、芸術の誕生、死と再生の順で語られる。いずれも未だ見たことがない絵である。とりわけ凄いと思ったのは「聖なる種」の絵。「時」の意匠も素晴らしい。いずれも宇宙の根源からもたらされたものの如くである。それは、世界のいずれの神話とも通底しうるのではないかと思うほどに。
yuppi
2024/09/02 19:49

こんばんは。『夜の木』に魅了されました。偶然入手したのは10刷でした。タムラ堂のサイトです。 https://www.tamura-do.com/%E5%A4%9C%E3%81%AE%E6%9C%A8/ 10刷までの表紙の絵を見ることが出来ます。無印が出版している『みなそこ』もお勧めです https://bookmeter.com/books/20212413

ヴェネツィア
2024/09/03 04:56

yuppiさん、『夜の木』は版ごとに表紙が違うという凝りようなのですね。いずれも素晴らしいゴンド・アートで。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
下巻では辰村ばかりか、戸塚までが並外れた硬骨漢ぶりと有能ぶりとを発揮する。しかも、ここで上巻の3人が固い結束を持っていた大阪と現在とが決定的に繋がることになる。そして、辰村のハードボイルドが(それは別名、瘦せ我慢とも言うが)読者をも突き放すほどに冴えわたる。戸村とそうなってもいいと迫っていた美貌の上司の立花はおろか、積年にわたって愛していた明子の「駆け落ちしよう」との提案までも振り切るのである。明子への想いを断ちがたいが故に独身を通してきたにも関わらず。もっとも、それゆえにこそ読者には清々しく映るのだが。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
主人公の辰村は大手広告代理店の副部長であり、小説も広告業界をめぐって展開してゆくのだが、一見したところ企業小説に見えつつ、奥行きがありそうだ。しかも、辰村の感性や振る舞いは、一介のサラリーマンというよりはハードボイルドの主人公であるかのようだ。チャンドラーが描くフィリップ・マーロウのような。タフであるばかりではなく、過去の影もそうだし、悔恨を抱えた寂寥感、潔さなど条件は十分すぎるくらいに揃っている。また、小説の構造も単線的ではなく、今後も複雑な綯い交ぜのような手法で展開していきそうである。
瑞子
2024/08/27 08:45

ヴェネツィアさん、バーのマスター出てきますよね、そのマスターが、テロリストのパラソルにも出てくるとか。

ヴェネツィア
2024/08/27 12:33

そのようですね。私は『テロリストのパラソル』は読んだものの、忘れていますが。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
タイトルにある「青い目が見た」とは、何とも古めかしい表現だが、本書は幕末頃に琉球にやってきた欧米の人たちの描いた(文筆で、また絵で)琉球王国の風景であり、人物(ほとんどが男性)、文物、動植物が紹介されている。出典は「マクロード航海記」(1817年)、「デュモン・デュビレ世界漫遊記」(1834年)、「バジル・ホール航海記」(1840年)等である。いずれも、極めて貴重な記録であり、往時の琉球はかくのごとくであったかと、読者をも懐旧の想いに誘う。なんと平和なというのがその最大の印象ではあるまいか。
ヴェネツィア
2024/08/26 14:11

「大琉球の人々は武器を持たない」というバジル・ホールの話を聞いたナポレオンが仰天したと伝えられているそうだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
湯本香樹実・文、酒井駒子・絵の内向ゴールデンコンビによる絵本。どちらも期待を裏切らない。文はけっしてダイレクトに書かないところがいい。まして優れているのは絵。終始モノトーンで「ぼく」の内面世界を描いてゆく。橋の直線的な硬質さと、少年の柔らかな描線を対比させる技法も秀逸。最後のカラーページはこれでもいいような気もするが、むしろその前で終わる方が余韻が深かったのではないか。小学校高学年、あるいは中学生以上向き。そして、内向を愛する全ての人に推薦!
ガーネット
2024/10/15 09:11

敬愛するゴールデンコンビによる絵本に、ご縁を結んでくださり、ありがとうございます。ゆっくりと、自分もそこに居るつもりで、子どもになったり、おじさんになったり、川になったりしながら読みました。坐禅や瞑想をした後のような、しんとした気持ちになりました。

ヴェネツィア
2024/10/15 11:12

ガーネットさん、これはいい絵本ですよね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書は静岡雙葉中学校1年生の理科レポート集。理科第2分野(生物・地学)の清 邦彦先生の製作する『リカちゃん新聞』からの抜粋である。中学1年生のものだから、もちろん他愛のないものもあれば、中には見込みのありそうなものもある。例えば「Sさんがお風呂に入ったら、お湯が5cm上がりました。お母さんが入ったら、8cm上がりました」これなどは、アルキメデスの原理の萌芽である。「Tさんが、夜の外の気温をはかったら、だんだん下がってゆきました。地球の真うしろに太陽がある午前0時が一番下がるのかなと考えました」これなどは⇒
ヴェネツィア
2024/08/25 16:19

⇒もう一歩踏み込んで追求すればいいのに惜しいなと思う。そんな例はたくさんあるのだが、通常の授業の時には無理でも、夏休みの自由研究の課題にすれば面白いと思うものは多い。楽しそうな授業だ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
日頃は馴染みの薄い和楽器。本書に従えば、和楽器の活躍するシーンは雅楽、能、狂言、歌舞伎、文楽、祭、現代邦楽である。いずれも享受する側からは何度も経験があるが、和楽器には尺八以外は触れたこともない。これまでに見たことも聴いたこともない(合奏で聴いたのかもしれないが)楽器もいくつか。和琴(古典文学では馴染みだが)、八雲琴などの撥弦楽器。舞や狂言(歌舞伎や文楽のそれを含めて)を伴わない器楽だけのコンサート(というのだろうか?)には足を運んだことがない。私には実に縁遠い世界である。
mitu
2024/08/25 17:38

ヴェネツィアさん、こんにちは。2年程、ご近所なので花柳界の事務をお手伝いした事が有りますが外を通ると聞こえてきていた邦楽の実物を見ることが出来ましたが、芸姑さんは若い頃は日舞(そこでは花柳流)で舞姿をお座敷のお客様にお見せしますが、少し年配になると楽器に変わります。毎日、何かしらの師匠がみえて、お稽古に余念が有りません。常磐津、長唄、清元等。他に笛や、鼓、三味線等です。人間国宝ではありませんが何かの称号をお持ちの70過ぎた芸姑さんの三味線の音合わせみたいなパラパラと弾かれたのが聴こえた時は魅了されました。

ヴェネツィア
2024/08/25 19:27

mituさん、そんな永井荷風の世界のような環境なら魅了されそうです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ラ・フォンテーヌの原話。ブライアン・ワイルドスミスの絵。お話は巷間によく知られたもの。この絵本もやはり、その生命は絵にある。表紙にも鮮やかなようにライオンのオレンジと背景の緑が冴える。基本的にはこれと同じように動物は具象、背景は抽象で描かれる。美術的にもひときわ優れている。ワナにかかったライオンを案じてやってきた動物たちの表現は見事。ヒョウもマンドリルもオカピー(?)も。こういう絵本で育つと、あるいは美的センスが涵養されるだろうか。こんな風に描いてもいいのだと。
yomineko
2024/08/26 16:53

こんばんは~🌸🌸🌸絵が良い感じですね(#^.^#)読みたい本に登録させて頂きました📙

ヴェネツィア
2024/08/26 17:05

yominekoさん、こんばんは。ワイルドスミスの絵はどれも美術的にも優れていると思います。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
何度目かの再読。賢治童話の中でもよく知られた1篇。明記されていないが、これもやはりイーハトーブ童話だろうか。いずれにしても、その環境に置いた方がゴーシュの孤独と、作品の持つ寂寥感が活きてきそうだ。ゴーシュ※は孤独であるとはいうものの、猫やかっこうに対する態度はけっして褒められたものではない。結果として夜の練習ばかりか、彼らとの邂逅がゴーシュの腕を上げるにもかかわらずである。最後のゴーシュの反省の言葉が微笑ましい。※ゴーシュはフランス語の「左」。この場合は、反骨精神というよりは、はぐれものか。
ヴェネツィア
2024/08/24 17:30

Johnnycakeさん、どうやらその「不器用」がぴったりのようですね。英語は考えませんでした。 ちなみにフランス語のスペルは“gauche”です。

Johnnycake
2024/08/24 18:32

英語の綴りも同じです。フランス語から来ていると思います。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ストックホルムの29のキッチンを訪問する。一方では、シンクにレンジに広々とした調理台を備えたフル・キッチンがあるかと思えば、また一方では、おままごとのようなキッチンがある。また、総じてテーブルがそれほど大きいようには見えないが、これで子どもを含めて3人、あるいは4人家族の家庭の食器がすべて乗るのだろうかと、他人ごとながら、いささか心配になる。それとも、ストックホルムでもドイツなみに家庭での料理はシンプルなのだろうか。いくつか謎が残るのだが、全体にいずこも明るく美しいキッチンである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ある時は箱根駅伝、そしてまたある時は便利屋稼業、はたまた林業にも。変幻自在、稀代の物語作家、三浦しをんの今回はなんと百合小説。着想の原点になったのは、おそらく太宰の『女生徒』だと思われる。往復書簡の形式はルソーの『新エロイーズ』からか。物語の舞台の聖フランチェスカは、作家の母校、横浜雙葉中高校がモデルだろう。「のの」と「はな」それぞれの造形が絶妙。しかも、二人とも次第に成長してゆくにつれて文体も変化してゆく細やかさ。どのように収束するのだろうと思っていたが、もうこれしかないエンディングであった。⇒
mae.dat
2024/08/24 12:19

ドロップアウト中の本書。別の方もてエンディングに言及されていて。そろそろ再開しようかなぁ。

ヴェネツィア
2024/08/24 13:37

mae.datさん、このエンディングには不満な声が多いのですが、私はこれしかないという評価です。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ささきまき作・絵。たった一匹だけ生き残ったおおかみ。仲間探しの旅に出る。うさぎにはうさぎの仲間が、やぎにはやぎの仲間がいるけど、おおかみはどこにもいない…というロンリー・ウルフのお話。主人公のおおかみはシャドーで描かれる。背景はヨーロッパの街(しいていえばドイツか)。とっても雰囲気が出ていていい感じである。やぎの修道士たちが並んで教会に入って行くが、これがまたピッタリきまっている。ぶたの青空市も、うしの晩餐の光景もいい。
ヴェネツィア
2024/08/24 08:13

感想も多く、かなりの人気絵本。最終場面は多様な解釈ができそうだ。私は孤独を受容する潔さと、受容せざるを得ない孤独の淋しさの併存をとる。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
健康食品のやずや発行の食紀行。スリランカ、台湾、上海とアジアの3カ所、および江差・奥尻、石垣・与那国など日本国内9カ所を巡る。サイズも大きく、写真も美しい。これを読んでいて感じるのは、日本列島がおよそ食においても、随分多様で地域的な変化に富んでいるということ。国内では、食材の豊富さで、やはり沖縄にかなう地域はなさそうだ。能登もなかなかのものだが、一日も早い復興を願う。また、青森の食材なども捨てがたい魅力だ。
たまきら
2024/08/25 08:45

この本持ってます!時々読み返してはうっとりしてます~♪

ヴェネツィア
2024/08/25 10:30

たまきらさん、魅力的な郷土料理がたくさんありますよね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のサンドラ・ヘフェリンさんは独日のハーフ(私は用いない語だが、ご本人の用語なので)。ドイツ語、日本語を共に母語とするバイリンガル(英語も含めたトライリンガルかも)。ミュンヘンで生まれ育ち、現在は東京在住。タイトルは、文字通りの意味と、ドイツの女性たちの独立心が旺盛で自由なライフスタイルを表象するものとの両義から。靴を核とした日常的な位相での日独比較文化論といった趣き。この人にあっては、生活すること=思索することである。したがって、何でもが考察の対象になるし、彼女はそれを楽しみながら行うのである。
yomineko
2024/08/23 17:03

ヴェネツィアさん、ダブルの方がかなり肯定感があるのに中々浸透していなくて、ハーフが一人歩きしている感じですね!

混沌
2024/08/23 22:31

うちのバイトに、日本人の血(遺伝子)がクオーターいますよ。ユダヤ系が1/4 あとはどこだか忘れました。 なるほど文化ベースでダブルなんですね。私はとっさに遺伝子が浮かぶので、〇〇人のダブルと言ったら、ふつうに生粋の〇〇人だと思っちゃいます。まあ、突き詰めれば全人類混血ですが。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ショーン・タン作。この作家にしては長い詞書が随所にあるが、訴求力が大きいのは絵だ。(本書では)一万五千年の昔から犬と人間の間には「深くて暗い河」があった。「誰も渡れぬ」その河を、どちら側からということなく越えたのは何時のことであったのか。タンの絵はひたむきにこの河を描き、そこには互いに圧倒的なまでの孤独がそれぞれにあった。邂逅が横断歩道の上というのは、いささか残念な気もするが、最後のページでは互いの影もあり、光がそこにある。犬を愛するすべての人に…強推薦!
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
七・五調を基準とする文語定型詩。タイトルには「セレナーデ」とあるが、賢治の恋する相手「ルーノのきみ」は誰なのだろう。あるいは、実態はなく、とうとうそれは幻であるのかもしれない。もっとも、幻であるにしては繰り返される「きみはいまさず」のフレーズはなんとも哀切に響くのだけれど。透明感と哀調のトーンが支配するセレナーデ。まことに賢治に相応しいか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
J・G・バラード中期の代表作の一つのようだが、SFではない。ロンドン中心部に建てられた40階建ての高層アパートの住民たちを描くのだが、たしかに架空の情景であり装置なのだが、そうした状況に人間(この場合、ほとんどは高学歴、高収入の人たち)を置いてみるといった、ある種の実験めいた小説である。ただ、1975年の作品にしては、40階建てがとんでもなく高層ビルのように描かれているところが不思議だ。また、居住階によって生じるヒエラルキー(上層階ほどヒエラルキーも高い)というのも、そうなのだろうかという思いが残る。
ヴェネツィア
2024/08/22 17:02

小説は時間を追うほどにディストピアの様相を濃くしてゆくが、それは暫時にではなく、ほとんど瞬く間に急進化してゆくのである。あるいは、読むに際してはリアリズム小説の視点を捨てる必要があるのかもしれない。安部公房の小説を読むスタンスこそが相応しいのかも。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
屋久島の写真集+山田勇氏(京都大学東南アジア研究センター教授)の解説と梅棹忠夫氏の紀行。副題に「多様性の回廊」とあるが、屋久島は亜熱帯~亜寒帯までの気候区分を一つの島(面積はわずかに504.88㎡)の中に持つという稀有な環境である。本書は、海岸部から始まって、次第に高度を上げ、樹氷の森までを描く。また、屋久島の自然を特徴づけるもう一つの要素は大量の降雨。気象庁の観測地点としては全国一位の年平均4651.5mmを記録する。これはとりわけ温帯域に反映されるようで、数々の滝や水流の景観を提供する。森林と豊富な⇒
ヴェネツィア
2024/08/22 07:24

⇒植物相を観察できるのもまたこれ故である。写真は水越武。本のサイズも大きく、写真も迫力に富む。頒価3800円はいささか高いような気もするが、まずは妥当なところか。

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ヴェネツィア
かくれんぼ絵本『ミッケ!』の今回は「たからじま」。もっとも、宝島とはいっても、最初の3シーンは町(駅、広場、店)。次が地図でそこから宝島探検の始まりである。相変わらず、指定のグッズを探すのは至難の業。ジオラマでこれらを作って撮影したスタッフもさぞや苦労したことだろう。さぞやお金も手間暇もかかったに違いないと思わせる出来映え。それを思えば、一所懸命に探さないとという気にもなる。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。これも七・五調の文語定型詩。詩の情景は朧気ながら、駅の待合室を詠ったものなのだろう。物語詩めくが、この情景の先の動きはない。こことても凍りついたかのように静かである。登場するのは「淫れめ」、「村長」、「村長の孫の学生」、「商人」、「軍服に身を包んだ公務員」、そして「われ」(すなわち、そこにいた私)である。互いの間に交渉や交歓は一切ない。それどころか、私を含めて、みんなそれぞれの思惑にうち沈んでいる。表象するのは淋しさと停車場の孤独か。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
長編小説だが、登場人物は潤と孝(+潤の母親)だけ。それでこのページ数を書き上げるのだから、筆力はあるのだろう。しかも、緊張感もなんとか最後まで持続させている。エンディングは孝の希望通りになるか、それともこのようになるかのどちらかしかなかっただろう。この二者択一なら、やはりこちらか。一方、御嶽に神の存在を信じる(信じたい、もしくは信じるしかない)潤と、無神論者の孝といった二元論的な対立は、葛藤と緊張をささえるが、逆に言えば単純化をも生み出してしまいかねないだろう。
ヴェネツィア
2024/08/21 16:46

馳星周自身は、こうした山岳小説を書きたかったのだろうが、初期からの馳の読者としては、何も馳が書かなくてもと思ってしまう。馳にはやはりノワール小説を期待するからだ。

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ヴェネツィア
北欧には行ったことがないのだが、最も興味を惹かれるのはストックホルム。本書はストックホルムのカップルの住まい21軒にお邪魔するという企画。ほぼ共通するのは、やはり明るく機能的で、かつカラフルであること。それぞれのカップルの趣味を反映して、部屋の色遣いは個性的。また、置物の類は割合 よく見られるものの、室内に家具はあまり置かれていないように見える。部屋全体はさほど広そうには見えないが、住空間としてはこれで十分なのだろう。
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ヴェネツィア
元はロシアの昔話。イギリスの童話作家アーサー・ランサムの文。ワルシャワ生まれで、現在はアメリカで活躍するユリー・シュルヴィッツの絵。シュルヴィッツは、本書でコールデコット賞を受賞。お話は3人兄弟※の3男が、神様の御加護と旅の仲間たちの助けもあって、数々の難題を克服して最後は王女様とめでたく結婚するというもの。なんだか微笑ましい。絵は横幅の広い(A4ヨコ向き)サイズを活かして、広々としたロシアの大地を描く。お城などもロシア風。船も登場人物たちの動きや表情もいい。ただし、主人公はあまりパッとしないが。
ヴェネツィア
2024/08/21 15:57

原語もそうですか。ロシア語だとニュアンスは軽くなるのでしょうか。トルストイにも『イワンのばか』というのがありましたね。

yomineko
2024/08/21 15:59

ロシアで馬鹿といえばイワンのばかですよね。日本の方が「愚息」等ありますが、ロシアではそんなに子どもにバカバカ言わないですよ~

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ヴェネツィア
不世出の歌姫マリア・カラスの写真集。巻頭は両親、姉と一緒に写したカラス1歳の写真。そして最後はレーニエ大公夫妻らに見送られる葬儀の出棺シーン。カラスの54歳の生涯の終焉だった。こうして並べられてみると、20代の頃はふくよかだったようだ。オペラ歌手としての全盛は30代前半くらいだっただろうか。少なくても写真から見ればそのように見える。そして、ども写真でもそうなのだが、彼女は常に圧倒的なまでの存在感を持って迫って来る。かのオナシスやカラヤンと写っているものにおいてもそうだ。舞台衣装に包まれた時などは、もはや⇒
ヴェネツィア
2024/08/20 16:56

⇒圧巻であり、それはカラス自身をさえも超越する。

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ヴェネツィア
著者の高階秀爾が序にいう「歴史的枠組はその意味を失い芸術家たちは拠り所を奪われて何の標識もない原野に投げ出され」た1970年代以降の、いわゆるポストモダンのアート作品が30作。多くは絵画だが、技法は実に様々である。高階は「衝撃」と評し、また時には「たしかな手応えを持つ幻影」などと語るが、素人目にはこれらの作品を前にして戸惑うものが大半である。かろうじて私にわかったような気にさせてくれるのは、安田佐智種[Flying #31] 、呉亜沙[ absence]、池田学[方舟]あたりか。
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ヴェネツィア
タイで性転換手術を受けることになった能町みね子さんの体験記。今は「性別適合手術」と言うらしい。世の人たちに知られざるこの手術。私もタマと陰茎を除去するだけかとばかり思っていたが、現在のレベルはとてもそんなものではないようだ。興味のある方はぜひ本書を(と宣伝に加担する)。でも、何のためにそこまで…という疑問も。ともかく、微に入り細にわたって書かれている。相当にたいへんな手術であるようだ。読んでいて頗る面白いが(それこそ彼女の筆力)ある種の悲壮感や困惑も伝わってくる。彼女自身、何のためにの思いは消えない⇒
ヴェネツィア
2024/08/21 15:55

埋め込んだ人工◯は役に立つんでしょうかね。

たまきら
2024/08/21 16:10

わわわ、おなかがヒュッとします…。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ナジャ作。ナジャはアレクサンドリアに生まれ、4歳でフランスに移住した児童文学作家。「モモ」はシリーズ化され、既刊も何冊かあるようだ。今回のモモは写真を始めることにし、ガムを口に、サングラスをかけて次々とみんなの写真を撮っていく。アリ、ワニのアルフレド、そしてキャロリーヌとポーリーヌ、ピラニア、ゾウ、かば、ピンクフラミンゴ…。モモは他者とのコミュニケーションを強く求めているのだろう。裏を返せば、モモは孤独なのだ。ラストシーンからは移り気なところも。それもまた孤独の表象か。絵は、上手いのかヘタなのか不明。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ラ・フォンテーヌ版の「うさぎとかめ」。イソップのそれとほぼ同じ。絵は、ピアニストとの2足の草鞋で活躍したブライアン・ワイルドスミス。お話は単純そのものなので、この絵本の真価はもっぱら絵に。水彩絵の具を薄めないで、そのままに塗りたくったような技法が、ここでも大いに成功を収めている。主人公のうさぎとかめもいいが、実は今回はその他大勢の動物たちが見どころか。アライグマもいるし、ネコもリスもフクロウもキツネもいる。お話を聞いた後で、動物探しもできそうだ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
4篇からなる作品集。巻頭の表題作「リリエンタールの末裔」(いいタイトルだ。実はこれに魅かれて購入した)は、長編『華竜の宮』(私は未読)と同じ世界を背景にしたものであるらしい。そのせいか、未完であるかのような感が残る。続く「マグネフィオ」は、菜月の和也に対する態度に違和感が残る上に、二人で行ったイタリア料理店のメイン・ディッシュがパエリアというのは、いくらなんでも変だ。こうなると、この人の技術的な蘊蓄もなんだか怪しく見えてしまう。「ナイト・ブルーの記録」は、著者得意の海洋ものらしいが、これも私には⇒
ヴェネツィア
2024/08/19 17:13

⇒今一つ強く訴えかけるものが感じられなかった。最後に置かれた中編「幻のクロノメーター」は、SFとしての要素は薄いが(この内容ならむしろ全くない方がよかったように思う)ジョン・ハリソンのマリン・クロノメーターの製作秘話として興味深かった。なお、この作品はD・ソベルの『経度への挑戦』に触発されて書かれたのではないかと思う。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
細部にまで手が込んだ素晴らしい編集。各料理ごとに、美しい江戸料理の写真があって「料理覚え書き」(松下幸子氏)、「料理人細工帖」(榎木伊太郎氏)、「食養生講釈」(桑木崇秀氏)の解説がそれぞれに付く。こうしたお料理が25種類+大名の正月料理。いずれも垂涎もの。こうして見ると、いわゆる和食というのは、江戸時代に完成形を見たのだとわかる。一見したところはシンプル見えるが、実は下ごしらえなど見えないところに工夫が凝らされ、手間暇をかけられているのだろう。これは世界遺産になるのも当然か。
パライバトルマリン
2024/08/19 22:25

本筋とは違うとは思うのですがダイエット向きですね。

ヴェネツィア
2024/08/20 14:54

パライバトルマリンさん、たしかにお料理自体はそうなのですが、その代わりお酒が進みます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の松原始氏は、現在のカラス研究の第一人者(たぶん)。タイトルだが、著者が冒頭でしきりに言い訳しているように、実は本書はカラスの飼い方を指南したものでは全くない。私は一向にかまわないのだが。では、何なのかというと、これはカラスを中心とした鳥類の(霊長類も一部登場しているが)動物行動学入門といった趣きの本である。かのコンラート・ローレンツの衣鉢を継ぐ研究の一端を披歴してくれているのが、まさに本書である。時々脱線するものの、実に面白い。この学問は面白くないといかんのだと言わんばかりである。もちろん、⇒
トムトム
2024/08/21 21:48

エサをあげたことはありません。ただの顔見知りです😁

ヴェネツィア
2024/08/22 05:01

トムトムさんはカラスのお友だちまで!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ミャンマー、ラオス、ヴェトナム、中国雲南省が国境を接するあたり。文字通りにアジアの最深奥部である。この地域には、実に多彩、多様な民族がそれぞれの文化を纏いながら生活している。シリーズ全体の共通テーマたる「身体装飾」という点では、既刊の2冊に大きく引き離されている。なにしろ、こと身体装飾に限れば、ミャンマーのパダウン族(カレン族系)の首に輪っかを次々と嵌めていって、首を異様に長くする、いわゆる 首長族。もう一つは、顔を含めた全身に入れ墨を施すレイトゥ・チン族。それくらいしかない。しかし、その一方で⇒
ヴェネツィア
2024/08/18 14:54

⇒この地域の人々の民族衣装の華麗なること、そしてそれぞれが見事なまでに個性的であることには、あらためて驚くばかり。ことに目を引くのは、貴州省東南苗族の女性たちの正装。各地に散らばるモン族の黒を基調とした衣装も素晴らしい。被り物もまた個性的である。この巻はさながらアジア深奥民族衣装大辞典の感を呈している。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
監修の田中久美子氏は、フランス中世・近世美術史の研究者。本書は「主婦は再びつぶやく」とあって、前の巻の人気に乗じて続編として出版されたようだ。ただ、私には何がいいのかさっぱりわからない。内容も『名画で学ぶ主婦業』のタイトルに呼応しないし、美術史を装って恣意的に絵が並べられ、そこに全く意味不明なつぶやきが付されているだけ。頒価は1200円と高くはないが、それはほとんど「ドブゼニ」である。しばらくぶりの酷評だが、あまりの杜撰さに立腹のあまり。
Nat
2024/09/14 17:17

ヴェネツィア さん、私も前作を読んだ時???の嵐でした。主婦業と関係がある名画を集めたものかと思っていたので。でも関係なく作品を楽しむってことで続編も借りてみました。図書館で借りているので気楽に作品を味わいました。

ヴェネツィア
2024/09/14 17:39

Natさん、自費で購入していれば腹立たしいでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
原話はリトアニアの民話。再話は内田莉莎子、堀内誠一の、いつもながら達者な絵。お話は、貧しいきこりの小さなパンを盗んだちいさなあくまが、おおきなあくまたちにおこられ、なんとかきこりを助けようと奮闘するというもの。最後はきこりもちいさなあくまも幸せでよかった、よかったのだが、これでは 悪魔どころか、ほとんど天使である。絵はメリハリがはっきりしていて、表情もいたってわかりやすい。主人公のちいさなあくまは子どもたちに人気がありそうだ。
ヴェネツィア
2024/08/18 13:31

BoatLessOneさん、ありがとうございます。リトアニア民話は珍しいですね。

yomineko
2024/08/18 14:06

飛ばしてしまう感じでしょうか。では私は目指していきたいです(#^.^#)

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
1970~80年代に書かれたもので、単行本に未収録の作品を集めた短篇集。この時期の皆川は小説誌からの依頼と自分がほんとうに書きたいものとのギャップに悩んでいたらしい。そうすると、この作品集に収録されたものは案外にも皆川が書きたかったもの、あるいは少なくても書きたいように書いた作品なのではないだろうか。ここには様々な題材、スタイルがあるが、比較的共通するのは、末尾の一文の後に、あえて書かれなかった真の怖さが存在することである。もちろん、その一文は暗示に留まるのではなく、強くそのことを示唆している。
ヴェネツィア
2024/08/23 15:50

まゆこさんは、これで皆川作品のほとんどを読了ですか?私はまだ4作くらいしか読んでいません。おいおい読んで行こうとは思っているのですが。

まゆこ
2024/08/23 17:47

返信ありがとうございます。いえいえ、わたしも皆川作品をほとんど読んだとは言えません;;本自体、読める期と読めない期の波が激しいので…。わたしもおいおい読んでいきたいと思っています。

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ヴェネツィア
植田明志の2013年から2020年にいたる間の造形をまとめたもの。私は今回、この本を通じて初めて知った造形作家だが、熱烈でマニアックなファンがいるのではないかと思われる。出版社も玄光社と、これも初めて。さて、植田の造形だが、初めて見る身には結構ショッキングな印象である。全体の表象はグロテスクで、眼が不気味な視線を放っている。絵画で似たものをしいて探すとすれば、ヒエロニムス・ボッシュだろう。EXHIBION2013-2017のはじめあたりがことにそうだ。また、寺山修司の演劇世界にも通ずるものがありそうだ。
ヴェネツィア
2024/08/17 15:39

表紙の写真からは、素材が金属のように見えるが、粘土による造形であるようだ。また、この写真ではわかりにくいが、細部にいたるまで相当に細密である。

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ヴェネツィア
テキスタイル・デザイナーや建築家など、コペンハーゲンに住む20組のカップルのお家にお邪魔する試み。表紙の写真もそうなのだが、特徴的なのは2点。まず緑や赤の原色が部屋のアクセントに用いられていること。そして、このお家もそうなのだが、プラスティックの椅子がダイニングやリビングによくあること。どの部屋も北欧らしく明るく機能的なのだが、私の感覚からはミスマッチ感が否めない。この家だけではないので、どうやらこれはコペンハーゲンの人たちには比較的共通する趣味・嗜好のようだ。印象的には子ども部屋に見えたりもするのだが。
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ヴェネツィア
五味太郎の監修・製作。タイトル通りに言葉の図鑑。今回は形容詞をはじめとした連体修飾語を扱っている。総数は16×16=256語を集める。絵の描き分け、とりわけ表情の多彩さを表現するにはそれ相応の工夫と、才覚とが必要だろう。どのページも、升目に並んでいる絵を大いに楽しめる。読み聞かせの後は、子どもたちと形容詞ごっこ(表情を作る)ができそうだ。
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ヴェネツィア
本書の著者のディートリヒ・ボンヘッファーは牧師であり、神学者。彼はナチスに対する抵抗運動に参与し、ヒトラー暗殺計画など反政府活動を行っていたとして、逮捕され、いくつかの収容所を経て、フロッセンンビュルク強制収容所で処刑された。戦争の終結(=ナチス崩壊)のわずか1か月前であった。本書は、ボンヘッファーが獄中で書いた小説の草稿である。内容的には自伝的な要素を含むとされているが、ドイツ教養小説であり、ブランデンブルク地方の典型的な市民階級の青春時代の1日を描いたものである。ボンヘッファーにとって、こうした⇒
ヴェネツィア
2024/08/16 17:07

⇒真っ当な市民生活は、それ自体がナチスに対するアンチ・テーゼであり、かくあるべきドイツの姿だったのだと思われる。

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ヴェネツィア
本書は副題に謳うように、幕末明治の妖怪絵師たちを集めたもの。主として歌川一門に属する国芳門下の絵師たちである。本書の編著者の悳 俊彦によれば、彼らは「師匠の影響下にスタートしながらも、その師を乗り越えることのできた浮世絵師はごくわずかしかいなかった」との評価を下されているが、これでもまだ控えめで実際には一人もいなかったのだろう。幕末は日本の世紀末といった様相を呈していたし、明治になればなったで、彼らの絵はもはやアナクロニズムに埋没するしかなかったのではないか。そうした中でも歌川芳艶の⇒
ヴェネツィア
2024/08/16 16:51

⇒「太平記焼山越之図」や河鍋暁斎の絵は無視できないものがあるだろうか。

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ヴェネツィア
今回のレオ=レオニは鉛筆画のうさぎと切り紙のうさぎのお話。どちらもシンプルながら、うさぎの可愛さがよく出ている。そして、レオ=レオニの画力が示されるのはリアルにんじん。色鉛筆画だろうか。読み聞かせの後は、絵も真似られるし、切り紙もできそうだ。さらに他の動物への応用も効きそうだ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
エッセイがすこぶる面白いと評判の三浦しをん。これまでに随分たくさんのエッセイを上梓しているが、私は初挑戦。冒頭部分からしばらくは、一人称の代名詞も「俺」だし、文体もいたって男っぽい。これまで三浦しをんを女性だと思っていたのは勘違いだったのかと、思わずgoogle検索してしまった。そこから先も、読者への自己解放は相当なもの。お部屋は荒れ放題(そこまでは言ってなかったかも)、風呂にはとんと入らない。ご飯を作るのも面倒、と破天荒な生活ぶりを披露する。大丈夫。私たち読者はそれしきで三浦しをんを嫌いにはならない。
いっしー
2024/08/16 00:13

そう、わたしたちはそれしきで三浦しをんを嫌いにはならない。

ヴェネツィア
2024/08/16 04:51

いっしーさん、なんのこれしき。

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ヴェネツィア
著者のお二人は北名古屋市歴史民俗資料館の学芸員。ここは別名を昭和日常博物館といい、懐かしの昭和グッズをこれでもかというくらいに集めている。まずスバル360の登場である。もちろん昭和の茶の間や町並みも再現されている。カタカタ。あったなあ、そういうの。皆さまはご存知だろうか?セルロイドのお面。装着した時の匂いまでまざまざと甦る。日光写真もあったなあ。でも、あんなもの何が面白かったのだろう。野球盤。いったい何ゲームしたこと やら。平凡パンチ。ちょっと危険な大人の世界への入口だったなあ。
カピバラKS
2024/08/25 17:34

昭和日常博物館に行ってきました。駄菓子屋とオート三輪が特に懐かしかったです😊

ヴェネツィア
2024/08/25 19:29

カピバラさん、ミゼットなんていうのがありましたね。駄菓子屋と紙芝居、ロバのパン屋なども懐かしいです。

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ヴェネツィア
本書は、共同通信社が有する数々の写真から子どもたちをピックアップしたもの。第2次大戦の特徴の一つは軍人の死者よりも民間人の死者が多かったこと。子どもたちも例外なく戦争に巻き込まれていった。被写体の中心が子どもであるだけに、やりきれない思いにとらわれる。空爆で焼け出された子どもたち、片脚を失って義足で妹を庇いながら街を離れていく子どももいる。それでも彼らはともかくこの時点では生きている。瓦礫の下にも何人もの子どもたちがいるのだろう。一方、少年兵の姿も記録されている。いずれにしても、子どもたちには⇒
ヴェネツィア
2024/08/15 11:21

⇒究極の逃げ場は奪われているのである。間もなく8月15日の正午。昭和天皇の敗戦の辞(いわゆる玉音放送)がラジオから流れた時間である。「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び...」というあれである。私はさすがにライブで聞いたわけではないが。

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ヴェネツィア
みやこしあきこ作。私はこの絵本作家は初めてだが、すでにいくつかの賞を得ているようだ。また、今作の作風がこの作家の一般的なスタイルなのか、あるいはこれがやや特殊なのかもわからないが、とにかく雰囲気のある絵だ。表紙もそうであるように、強調された遠近法の消失点の向こうは、おそらく深い深い闇である。描かれているウサギの母子の無表情が何か怖いようでもある。日常の裏側の夜の世界は、こんなにも神秘に満ちている。しかも、そうでありながらも、ここで描かれているのは夜の日常である。
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ヴェネツィア
ネタバレこの作品がステイシー・ウィリンガムのデビュー作なのだが、細部にいたるまでの緻密な彫琢、そして終始失われることのない強固な一貫性からは、とてもそうとは思えないほどである。納得のいきかねる点をしいて上げるとすれば、20年を経て、何故に今それが再燃しなければならなかったのかということくらいか。また、作者の意図的なミスリードと思われる点もなきにしもあらずだが、それも最後には読者が了解できる形で終結する。冒頭のニーチェの引用も意味深いし、最後の一文もまたこの長編の掉尾を飾るにふさわしい。
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ヴェネツィア
著者の工藤あゆみは、これまでプレミオサンフェデーレ大賞(2011/2012ミラノ)2位やボローニャ国際絵本原画展(2012)入賞など、高い評価を受けて来た。この本の評価も高いようだが、いささか難解でもある。数字では測れないものを測ろうというのが、本書の試み。例えば「本能と理性の温度差を計る」、「心変わりの速さを計る」など。見方によれば、随分哲学的な命題である。絵は表紙にあるような、ヘタウマ脱力系。ひたすらこれ一本である。何かしらいいのはわかる。でも、それを分析的に語ることは残念ながら私にはできない。
枝豆
2024/08/22 22:29

ここでも活躍、ヴェネツィアさん。お勧めの本、読みましたよ。凄っく良かった。又、ご紹介お願い致します🙇。

ヴェネツィア
2024/08/23 03:49

枝豆さん、良かったでしょう。

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ヴェネツィア
マイケル・ローゼン(イギリスの作家)作、絵はやはりイギリスの絵本作家のクェンティン・ブレイク。お話も絵も、全ページ悲しみの表象をひたすらに描いた異色の絵本。直接的には「私」が愛する息子を喪った悲しみなのだが、そればかりではなく、人間が抱える生きることにおいて本質的な悲しみを描く。絵は線画にラフに彩色されたものだが、これまた悲しみの表現に、限りなく似つかわしい。
ヴェネツィア
2024/08/14 08:02

悲しむことは案外に難しい。私も息子を亡くしているが、こんなに(こんな風に)悲しむことができなかった。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
3つの作品から構成。共通項は、まず、いずれも物語の核となるのが車であること。それぞれ、田舎のポルシェ(軽トラ)、ボルボ、ロケバスである。そして2つ目。いずれも互いによく知らないカップル(「ボルボ」はカップルとはいささか違うが)の物語であること。篠田節子は、こうしたシチュエーションで物語を組み立てて行く。方法的にも、おそらくは人物と車を設定し…というものであったと思われる。いずれも、すごく感動的だということはないが、それでも篠田の練達の業を十分に楽しむことができる。いつもながら上手い作家である。
ヴェネツィア
2024/08/13 16:44

【ネタバレを含む】表題作は、ひょうっとして恋の花咲くことに…と思ったが、さすがにそれはなかった。軽妙ながら、強いリアリティがありよくできた作品。「ボルボ」の愛惜もなかなか。しかし、私は「ロケバスアリア」をとりたい。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の井形慶子は『ミスター・パートナー』の編集長をつとめる傍ら、これまでイギリスに関する本を多数上梓している。日本は住宅事情に恵まれず、とにかく住居が狭いというのが通念だと思われるが、2017年の調査では、日本の平均床面積95㎡に対して、イギリスのそれはなんと76㎡であるらしい。本書では豪壮なマナーハウスなどではなく、もっぱらイギリスの小さな家を紹介しているのだが、写真で見る限りではとても小さくは見えない。それどころか、余裕すら感じられるのである。エクステリア、インテリアともにセンスに溢れ、⇒
おか
2024/08/17 15:16

ヴェネツィアさん 教えて下さり ありがとうございますヾ(๑╹◡╹)ノ"

ヴェネツィア
2024/08/17 15:22

おかさん、気に入っていただけたようで嬉しいです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
原話はフランスの民話。山口智子・再話。絵はグラフィック・デザイナー出身の絵本作家、堀内誠一。お話は、彦一話のように、子どもがとんちを働かせてオニをやっつけるというもの。主人公の少年の名前が変わっていてピトシャン・ピトショという。絵は読み聞かせを想定しているのかと思うくらい、何もかもがクッキリとしたフォルム。オニが一番おもしろい造型だが、背景もちゃんと南フランスらしく描かれている。
Johnnycake
2024/08/13 07:36

わー、懐かしい。子供達が小さい頃よく読み聞かせてました。ピトシャンピトショですよね。子供達は絵も好きだったし、名前の響きも面白がってました。

ヴェネツィア
2024/08/13 07:38

Jonnycakeさん、このピトサン・ピトショというのは由来がわかりませんが、何なのでしょうね。音はとぅても面白いので、フランスでもそれで十分だったのかもしれませんが。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
タイトルからは食品添加物の問題を告発するように見えるが、実は食にまつわるタブーを実践的に語ったもの。ヒンドゥー教徒が牛を、イスラム教徒がブタを食べないことなどがよく知られている。今の日本では、そうした宗教的な禁忌はないが、近代以前は半ば菜食主義者のごとき食生活を送ってきた。すなわち、米と味噌を基本とした食であった。森枝は、そうした風土における食のサイクルを重視する。例えばインドでは、乳と豆、そして豊饒な野菜と香辛料が菜食を可能にしたと考えるのである。旧約聖書やイスラム教徒の場合も、そうだとまでは⇒
ヴェネツィア
2024/08/12 16:40

⇒言わないが、そうした視座を示して見せるのである。世界中の、時には辺境で食を追求してきた森枝だけになかなかの説得力である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
一人旅を通じて得られた再生の物語。著者の西加奈子さんが行った島がモデルになっている(さて、どこだろう。瀬戸内海には高級なホテルがいくつかあるが)ようだ。この小説の着想はそこで得られたのだろうが、残念ながら安直な感じは否めない。島で出会い、百合(主人公であり、小説の視点人物)に大きく関わるのは、お金持ちの西欧人と元はアメリカの大学で物理学教授をしていたバーテンダーなのだが、その破天荒な設定自体が、リアリティを捨てている。また、百合の姉に対するコンプレックスとトラウマも、そしてその解消にしてもそうだ。
ヴェネツィア
2024/08/30 07:11

福田愛来さん、私のお薦めは『サラバ!』、(『さくら』)、『夜が明ける』、『おまじない』、『窓の魚』、『円卓』、(『炎上する君』)、『通天閣』、『地下の鳩』といったところでしょうか。

織田作
2024/08/30 18:04

ありがとうございます!読んでみます!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のジョルジュ・バルビエはフランスのイラストレーター。主な活躍年代は1910~1930年頃。ジャポニスム、シノワズリーの影響を受けたアール・デコ様式のイラストレーションで知られる。本書はまさに彼の最盛期の、しかも真骨頂を示すもの。いずれも優雅で、美しく、しかもモダンである。日本では、ちょうど大正期のモガの時代にあたるだろうか。彼女たちのお手本そのものといったコスチュームのイラストが並ぶ。ここではジャポニスムばかりではなく、南洋風があったり、インドがイメージされていたり、また時にはギリシャ風であったりと⇒
ヴェネツィア
2024/08/12 12:34

⇒実に多彩なエキゾティズムが横溢する。ことファッションについていえば、私の一番好きな様式がこれかと思う。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
レオ=レオニ作。きらわれものの、ねずみのアレクサンダとアニー少年に可愛がられていて幸せな、ぜんまいねずみのウィリー。まほうのとかげまで登場して、短いわりには起伏に富んだお話。絵は背景も含めて、いつもより力が入っている感じだ。ねずみの造型を見ていて思うのだが、こんなにシンプルなのにこれで十分にねずみとして通用し、なおかつ可愛い。その秘密はどこにあるのだろう。抽象化の巧みさか、あるいは目や耳、しっぽと身体のバランスなのだろうか。まほうとかげの色彩も絶妙。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書の編・著者のリサ・エルドリッジは(私は知らないが)相当に高名なメイクアップ・アーティストであるらしい。ケイト・ウィンスレット、ケイティ・ペリー、キーラ・ナイトリー、エマ・ワトソン(これまた一人も知らないが)等にメイクを施しているとのこと。さて、本書では化粧の歴史を古代からたどる。赤、白、黒が化粧の三原色であると説く。その古代の代表はネフェルティティである。現代の化粧史を飾るのはミーナ・クマリ、ブリジット・バルドー、オードリー・ヘップバーンあたりから、アンジェリカ・ヒューストン、マレーネ・ディトリッヒ⇒
ヴェネツィア
2024/08/11 19:50

Jonnycakeさんはよくご存知ですね。お蔭でケイト・ウィンスレットはわかりました。

Johnnycake
2024/08/11 20:11

アメリカの俳優さん達は知らない人が多いのですが、イギリス映画やドラマはよく観ます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
タイトルも、人物像の造形も、文体も、読後感も、『スピノザの診察室』を先に読んだ身には、すべてこれ習作であったかのような思いがする。もちろん、本書もけっして完成度が低いというわけではない。むしろ、よくできた作品だと思う。でも、「神様」から「スピノザ」へは進化の跡が著しいのである。とりわけ、文体においては、ここではまだ漱石の『草枕』の仮構を纏う必要があったのだが、やがてそれは柔らかな脱皮を遂げる。一方、終末医療においては、より厳しさを高めながら、主人公を自立させて行くのである。
酔拳2
2024/08/15 17:11

スピノザを読みたい気持ちがより高まりました!

ヴェネツィア
2024/08/15 17:14

酔拳2さん、私はスピノザをお薦めします。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ニューヨーク名所の公共図書館入り口に鎮座する2頭のライオン、ペイシェンスとフォーティチュードのお話。文はジョシュ・ファンク、絵はスティーヴィ・ルイス。もうすぐ朝なのに図書館探検に出かけたまま帰ってこないペイシェンスを相棒のフォーティチュードが探しに行くというお話。絵と相まって、あの広いニューヨーク公共図書館の一部を案内するといった趣向。さすがに壮麗な図書館で、まるで美術館である。絵は、ディズニーのアニメのような立体感と光の処理の仕方だなあと思いながら読み進めていたが、巻末の紹介文を見ると、ルイスは⇒
ヴェネツィア
2024/08/11 08:06

⇒最初はアニメーションの仕事をしており、後に絵本作家に転じたようだ。アニメーション世代にはとっつきやすい絵だろう。なお、この2頭のライオン像は大人気で、何人かの絵本作家が取り上げているようだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。五・七調の定型詩。全体的に宗教的な感じが強く漂う詩である。そのこととも関わるが、神秘的なムードを湛えた詩でもある。それを強調するのが、2度繰り返される「鳴るや み神楽」のフレーズである。そして、その後を受けた詩の後半は、さらに宗教性と神秘性が加速し、「日天子奔せ出でたまふ」に収斂してゆく。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレマーク・トウェインのミステリー。そもそも原題が"Pudd'nhead Wilson"(プリン頭のウィルソン?)なのだが、どうしてこんなタイトルにしたのだろう。実際は「まぬけ」どころか大いに活躍するのだが。物語の冒頭ちかくでウィルソンがみんなの指紋を採集するシーンがあるが、現代の読者ならともかく、当時の人たちにはあるいは不可解な行為であったかもしれない。予想通りに結局これが犯人逮捕の決め手になるのである。当時としては、やはりよほど斬新なアイディアだったのだろう。この小説の成否はひとえにその点にかかっていた⇒
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
なかなかに実用性の高い本。サイズもそこそこに抑えられていて、ハンドバッグはともかく、デイパックなら余裕の携行性。公共交通機関の案内や地図も適切。編集も気が利いている。通り一遍のガイドブックを凌駕する。1.「拝観指南」で基礎知識を仕入れたら、2.「世界遺産」の16社寺。最後の宇治上神社は知らなかった。続いて3.「見どころ」を仏像、庭、アート、建築の観点から。そして4.「京の四季」、最後は5.「ご利益」まで、至れり尽くせりである。有名どころはほぼ尽くされていると言っていい。ただし、類書によくあるような⇒
みゃーこ
2024/08/10 11:39

なかなか面白い

ヴェネツィア
2024/08/10 15:37

みゃーこさん、役に立ちそうなカタログでしょう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文は脚本家の宮内婦貴子、絵は、いせひでこ。文だが、2つ気に入らない点がある。まず「おさびし山」というネーミングがそうだ。次に、桜の大木を切って風車にしてしまうこと。よりによって、何故に風車なのだろう。脚本家の作品なので、ドラマティックであることを求めたのかもしれないが、そうだとすれば、それは的外れだろう。一方、いせひでこの絵は水彩の良さが遺憾なく発揮された秀逸な絵である。抒情に溢れ、各ページに描かれるクマがそれこそ生きることの淋しさを自ずと喚起する。
おか
2024/08/10 21:26

うわぁ 読むか読まないか迷ってしまう。。。どうしよう いせさんの絵を目当てに見る(笑)ことにしようかな。。。

ヴェネツィア
2024/08/11 07:44

おかさん、いせひでこさん目当てで十分に値打ちがあります。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ヒロシマへの原爆投下が8月6日午前8時15分、そしてナガサキに投下されたのが8月9日午前11時02分であった。本書は長崎で原爆を受けた子どもたちの証言記録である。全体は5部からなっており、第1部「原子雲の下に生きて」(証言集)、第2部「せんそうはいやだ」(子どもたちの詩と散文)、第3部「小さき十字架を負いて」(回想記)、第4部「四十五年目の証言ー山里小・中学校卒業生たちの現在」、第五部「遺言」から構成される。いずれも貴重な記録であり、また当然のことながら実に悲惨な記憶と記録である。
ヴェネツィア
2024/08/09 16:51

よく知られているように、長崎の爆心地は浦上であり、そのすぐ近くにあったのが山里小学校である。長崎の証言を読んでいて特徴的だと思うのは、この地が浦上天主堂を擁していたためか、あるいは長崎という土地柄かキリスト教色が強いことである。市内中心部には中町天主堂もある。また、カトリックだけではなく、オランダ坂の麓には活水女学校(現・活水女子大学)もあり、プロテスタントの信仰も根付いていた。そんな町にキリスト教国を標榜するアメリカは原爆を投下したのである。79年目の8月9日に。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ジャン・カルズーの出自は今一つはっきりとしないのだが、1930年のアンデパンダン展でデビューしたパリ在住の画家である。幾何学的な直線の林立する風景が最もカルズーらしい絵だろうが、初期には曲線のマッスな絵もあるようだ。また、その後しばらくは室内と、その部屋の扉が開かれた室外の光景とを独特の遠近法で描いたものが続く。やがて、代表作の一つともいうべき「ジゼル」(1954年)以下にカルズーらしさの横溢する釘のような直線が乱立する絵が並ぶ。やや狂気じみていなくもない。少なくても不安を喚起する絵である。
ヴェネツィア
2024/08/09 16:36

画集最後の1枚『サン・マルタン運河』(1985年)は、一応は具象画なのだが、過度なばかりに強調された遠近法で描かれた作品で、そこに木々の枝がこれまた過剰にあって、それがあるゆえにカルズーであることを主張しているかのごとくである。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
原話はよく知られたグリム童話。イギリスの絵本作家バーナデット・ワッツの絵と文。まず文だが、原話と対照していないので、原話との忠実度はわからないが、ところどころよくわからないところがある。その最たるものは、目が見えなくなった王子が森を彷徨う何年間かの間にラプンツェルが双子の子どもを産み育てているというくだりである。そして、この誰の子とも知れぬ子どもたちと王子、ラプンツェルは幸せに暮らしたというのだが。絵はパステル・トーンの柔らかいタッチ。ラプンツェルにもう少し個性が欲しいところだ。
ヴェネツィア
2024/08/09 07:56

誤読していました。双子の子どもは王子との間の子だったのですね。そして、その前のページにある「王子は…中略…いとしいつまを うしなったかなしみにうちひしがれ…」の「いとしいつま」はラプンツェルのことでした。反省🐒

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本写真集は「子どもたちに世界に!被爆の記録を贈る会」の尽力で、米国立公文書館、米空軍視聴覚資料センター、米海軍写真センター、米陸軍視聴覚センターなどに保存されていた写真を入手したものが中心になっている。ここには写真323枚が収録されているが、30枚を除いてはすべてアメリカ側の資料である。印象としては冷静沈着に被爆の実相、および犠牲者を眺めているものがほとんどである。つまり、その視点は、共感や寄り添いではなくあくまでも資料収集ということなのだろう。⇒
ヴェネツィア
2024/08/08 17:02

被爆2日前と被爆3日後の爆心地周辺および浦上駅周辺の写真が残されているが(いずれも偵察機から撮影したものだろう)2日前には人家が密集していたのが、3日後のそれはもう見事なまでに何もない。ここにいた人たちはことごとく被爆し、多くの人たちが亡くなったはずである。長崎は広島の原爆ドームのようなシンボルを持たない。直下に近い、浦上天主堂は解体されてしまった。中町天主堂は残るが、爆心地からはやや遠いか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
江戸のダンディズムを①「武士とダンディズム」②「傾きファッションの登場」③「通と粋のダンディズム」④「アウトローの伊達姿」といった観点から語って行く。もちろん、視覚資料入り。①では、古くは「源頼朝像」から。もっとも、これは衣冠束帯姿なので、武士のというわけでもない。武将たちが綺羅を競う『蒙古襲来絵詞』あたりの絵巻が中世期の武士のダンディズム。近世には本田忠勝の「黒糸縅胴丸具足」や黒田長政の具足に、派手派手しい陣羽織。刀剣に鍔に印籠といった装身具。②の傾き者たちは、半ば倒錯と暴力の世界。⇒
ヴェネツィア
2024/08/08 14:29

⇒③の通人たちは、なんといってもお金がかかっている。したがって、貧乏人に可能なのは④のアウトローということに。なお、表紙は歌川豊国が描く団十郎の『助六』。江戸のダンディズムは、ここに極まるか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
浜田廣介・作の名高い童話。ひじょうに日本的なお話かと思う。全体に漂うウエットなムード。幾分教訓めいた結末。しかもそれが浪花節めいたものであること、など。この作品の価値を否定するものではないが、私にはどうも少し恥ずかしさの感覚が残る。絵はいもとようこ。この作品には多くの人が描いた実に様々なヴァージョンがありそうだ。その中にあって、いもとの絵は比較的リアルなタッチ。おにが(赤おにも青おにも)子どもではなく、中年のオヤジめいている点が特徴的だ。胸毛があって、無精ひげが生えているあたり、悲哀を漂わせているような。
とよぽん
2024/08/09 08:01

「ないたあかおに」の絵については、いけだたつおさんの絵がいいと思っています。いもとようこさんの絵と随分違ったおもむきがあります。

ヴェネツィア
2024/08/09 08:06

とよぽんさん、この作品にはたくさんの絵がありそうですね。いけだたつおさんのものを探してみます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
未完の童話。村を挙げての密造酒作りを摘発しようとする税務署長の冒険を描くが、構想も文体も、あまり賢治らしくない。とりわけ囚われの身となった署長が援軍に救われ、急転直下解決に向かうというのも乱暴だ。そして、滑稽味はあるが抒情はどこにもない。しいて言えば潜入の5日後を語る結末部がわずかに。また、この部分を見ると、一応はこれで完結しているようにも見える。無理矢理に終わらせたのかも知れない。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書は石沢麻衣の芥川賞作『貝に続く場所にて』に続いて書かれた著者の第2作目の長編であるが、小説としての難易度はきわめて高い。まず構想そのものがいたって特異である。旧東ドイツの田舎町マインケロートを舞台に物語は展開する。面作者のディアナの静、舞踏家グエットの動、そして局外者(主たる語り手でもある)の望といった構図まではわかりやすい。ところが、この町の住人たち全員が肖像面を持っているのである。しかも、この面は時として主体的な行動を起こすことがある。フローラの失踪に始まる、その後の展開は錯綜した夢幻の中で⇒
ヴェネツィア
2024/08/09 04:39

みたかさん、私も『貝に続く場所にて』は古井由吉との相通性を感じました。古井→堀江→石沢と繋がるラインは、日本文学の主流を行くものだと思います。

みたか
2024/08/09 11:43

ありがとうございます。同じ感想を持つ方がいて安心しました。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
高校3年生の時の国語の教科書で読んで以来、実に久々の再読。初出は1935年の「思想」。90年ほども前のものだが、和辻の考察は十分に今も通用するだろうし、そればかりか依然として現代的な問題をも孕んでいる。和辻は言う。「伎楽面が顔面における「人」を積極的に強調し純粋化しているとすれば、能面はそれを消極的に徹底せしめたと言えるであろう」。そして能面を「徹底的に人らしい表情を抜き去った面」とする。その否定のうちにあるはずの能面だが、ひとたび役者が被ると「面が肢体を獲得」するのである。この項の結論として和辻は⇒
ヴェネツィア
2024/08/07 12:44

次のように言う。「面は元来人体から肢体や頭を抜き去ってただ顔面だけを残したものである。しかるにその面は再び肢体を獲得する」。まさに卓見である。

ヴェネツィア
2024/08/07 16:38

みあさん、ご指摘ありがとうございました。訂正しました。本書は『月の三相』との関連から急遽思い出して再読しました。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
北欧随一の大都会ストックホルム。25の子ども部屋を紹介。いずれもセンスはいたって都会的。総じてカラフルで、アクセントとなる色遣い(部屋によってそれぞれ異なるのだが)がとってもお上手。一方、トータルに概観して、これがストックホルムならではの特徴といったものはない。それは見方をかえれば、それぞれの部屋が個性的であるということでもある。ストックホルムは北欧の中でもとりわけ個性が強いのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ターシャ・テューダーのコーギビル・シリーズの1冊。今回はなんとサスペンス・ミステリー。コーギー犬ケイレブの大活躍の巻である。お話は、大切なゲストのゼビュロン・ラクーンを歓待すべく、鶏のベーブを盗み出したアライグマたちを追って、ケイレブの大活躍、最後は気球に乗っての大活劇というもの。絵は、いつものターシャとはいうものの、構図や色遣いはそうだが、タッチは心なしかラフに(もちろん意識的に)描いているようだ。それがケイレブの冒険物語に効果を上げていると思われる。
宵待草
2024/08/07 08:49

ヴェネツィアさん おはようございます。 大好きなターシャ・テューダーの『コーギビル・シリーズ』を掲載下さり、嬉しくレビューを拝読しました!💫 此の本は既読が、読書メーター登録時のかなり以前で、レビューを掲載して居ませんが、共読本が一冊加わり幸いです!🍀 登録以前の既読本を思うに、ヴェネツィアさんとは、かなりの共読本の冊数と、思われますので光栄です!🌟 暑さ厳しき日々、体調は如何ですか? 此れから更に猛暑ですので、お互いに体調に留意したいと思います!✨ 何時も、有り難うございます!🙋 宵待草

ヴェネツィア
2024/08/07 08:55

宵待草さん、こちらこそほんとうにいつもありがとうございます。今日も暑くなりそうです。私はもともとは夏が大好きなのですが、さすがにこのところは厳しい暑さが続いてスタミナ切れを起こしています。宵待草さんもお身体大切に。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
原爆ドームをほぼ北端とし、平和大通りを南端とする、元安川の対岸の中州の広い面積を占有するのが現在の平和記念公園である。ここは、戦前には広島有数の繁華街を形成しており、多くの人たちが暮らしを営んでいた。そこが中島地区である。よく知られているように、原爆リトルボーイの投下目標は相生橋であり、風がなかった8月6日の当日、ほぼその狙い通りに島病院の上空600mでそれは炸裂した。かろうじてその姿をとどめた広島県産業奨励館(原爆ドーム)以外の建物は、ほとんど一瞬にして灰燼と化した。本書は、その中島地区の実相を⇒
ヴェネツィア
2024/08/06 16:39

⇒可能な限り追い求め、犠牲となった人々を追悼する試みである。被爆40周年に朝日新聞広島支局の徹底した取材(にもかかわらず不明なことは依然として多い)に基づいて編集、出版された。79年目の8.6の日に。

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ヴェネツィア
14件のお家の子ども部屋を探訪。他の子ども部屋との違いで一番目に付くのは、子どもの数が多いこと。一人っ子が5組、2人が4組、3人が3組、そして5人と6人が各1組という内わけ。フィンランドは昨年から急激に出生率が下がったが、それ以前は他の北欧諸国ともども比較的出生率は安定していた。さすがに6人も子どもがいるお部屋はキンダーランド化しているが、総じては広く、天井は高く、明るく開放的である。北欧諸国は冬が長く、その間は夜も長いので室内空間を大切にするのだろう。
ヴェネツィア
2024/08/07 16:45

洋書好きな読書モンガーさん、フィンランド人が黄色人種というのは、私は違うように思います。言語的にはフィンランド語はアルタイ語族系に属し、淵源はアジアにあるようですが。それはさておき、子育てはそんな感じでしたか。ドイツでは子どもは犬と変わらない扱いだとは聞いたことがあります。私の体験でも子どもたちが騒いでいたという記憶はありません。

洋書好きな読書モンガー
2024/08/08 08:10

蒙古斑ありますよ。フィンランド人。でも北欧に1500年くらい住んでるせいか髪の毛は茶色が多いですね。言葉の文法とか日本語に良く似てます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
原話はフランスの民話(再話・山口智子)、絵はグラフィック出身の絵本作家、堀内誠一。森に住むきこりの夫婦が2度にわたっておおかみを撃退するというお話。絵は太く力強い描線が特徴。遠近感のデフォルメも絵本ならでは。おおかみの表現は躍動感がありながらも、漫画っぽい表情のためにそれほどは怖くない。子どもを意識した表現だろうか。
yomineko
2024/08/06 07:29

ヴェネツィアさん、おはようございます🌞きこりもおおかみも大好きですので読みたい本に登録させて頂きました📚森も好きです🌳🍀🌳

ヴェネツィア
2024/08/06 07:35

yominekoさん、おはようございます。堀内誠一は人気の絵本作家ですね。スピード感のある絵本でした。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
前半は定型のようなそうでないような。後半は賢治には珍しい英語の詩。冒頭の「聖なる窓」との語りかけはわかる。それを受けた2行目の「そらのひかりはうす青み」も大丈夫だ。ところが、3行目の転がわからない。「汚点ある幕はひるがへる」ー何故ここに汚点が出てくるのか。英語の部分は、そのものの意味はわかるが、窓の何を礼賛しているのだろうか。光ならわかるが、そうでもないようなのだ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
原爆ドームが1996年に世界遺産に登録されたのを機に、当地の中国新聞社が、ドーム保存から語り起こし、21世紀への提言までをまとめたもの。原爆ドームは、現在でこそ核廃絶のためのシンボルとして誰知らぬ者がない存在だが、かつては保存と廃棄の間で揺れ動いていた時期もあった。よくぞ残したと思う。1981年にこの地に来た故ヨハネス・パウロ2世教皇はドームの前で「過去を振り返ることは将来に責任を担うことです。広島市は、最初の核爆撃の記憶を呼び起こす遺物を平和をつくるための記念碑とされましたが、その賢明な決断に対して心⇒
ヴェネツィア
2024/08/05 16:37

⇒からの敬意を表し、称賛せずにはおられません」と述べた。また、原爆ドームを訪れたサルトルは「この廃墟は、あの殺りくが、決して二度と起こらないために、みんなが生き、かつ戦うわれわれの意思のあかしである」と語り、未来への提言としている。79年目の8.6を前に。

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ヴェネツィア
コペンハーゲンに住むデザイナーやフォトグラファーといった、いわゆるギョーカイの人たちのお家の子ども部屋。したがって、これらが普通なのか、あるいはやや特殊なのかはわからない。また、日本とは住環境も違うし、子育ての方法や意識もかなり違うようだ。本書のお家では、かなり小さな子どもも自分のお部屋を持っている。もちろん親たちが整えたものだが、いずれもカラフルで機能性もいたってよさそうだ。子ども用の家具やドールハウスなどもすっきりと収まって、相当にいい住環境である。テレビなどは当然置かれていない。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
レオ=レオニ作、谷川俊太郎・訳。3匹のかえるが暮らしていたが、そのうちの1匹ジェシカが、とても目立つ石を持って帰ってきた。どうやらそれは、にわとりのたまごらしい。卵から孵ったのはワニのあかちゃん…というお話。レオニの絵の中ではフォルムの強いもの。とりわけ3匹のかえるがそうだ。絵の具の緑も鮮やか。一方、たまごや石の質感には工夫が凝らされている。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
久しぶりのアガサ・クリスティ。この巻はミス・マープルのシリーズの1冊。この作品の魅力を決定づける要素は大きくは2つ。まず最初は、やはりミス・マープルの名探偵ぶり。彼女の方法は、安楽椅子探偵ではないものの、フォテスキューの邸に留まったままで、行動を起こすわけではなく、ただ関係者の何人かと話をするだけ。そこから卓越した推理を組み立てて行くのである。2つめは、事件がマザー・グースの歌に沿って展開してゆくこと。ミステリーとマザー・グースといえば、先蹤にヴァン・ダインの『僧正殺人事件』が挙げられる。⇒
ヴェネツィア
2024/08/05 04:59

100冊くらいあるのでは?

えか
2024/08/05 05:02

🤭ふふふ、本棚の一角が真っ赤です。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
「シャビーシック」は英語とフランス語をミックスしたものだが、この造語はいつの間にかパリで定着したらしい。「シャビー」は「使い込まれた・味のある」の意だが、それにさらにシックを加えた美意識であるようだ。本書に紹介されたパリの数々のインテリアは、すべてこの美意識に叶うものばかり。表紙のアンティークな飾り戸棚も、相当にくたびれた風情を出している。私たちの住空間がこうならないのは、まず第一に天井の高さ、窓の大きさ、そして梁がむき出しの天井といった資本が決定的に欠けているからである。住空間全体の色合いのシックさは⇒
陽@宇宙望遠鏡⭐︎星と宇宙とロケットが好き
2024/08/04 09:24

シャビーシック、インテリア好きな主に専業主婦に大人気ですよね。IKEAや中古家具の白いペンキ塗り直しやサンドペーパーで擦ったりDIYもします。15年くらい前に憧れていました。ライフスタイルも合わせて取り入れている感じです。古民家に住んでたり、日本の伝統的な民芸品を取り入れたり、天然素材生地の服装やお料理グッズも古くなっても良い品を長く使うスタイルの事を総じてあらわすイメージで使っていました。ドライフラワーを飾ったりするのも古ぼけてをあらわすのですね。

ヴェネツィア
2024/08/04 13:48

陽さん、日本でもすでにシャビーシックは定着しているのですね。私は全く知りませんでした。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
カリフォルニア生まれで、現在はイギリスに住む児童文学作家ジュディ・ヒンドレイの文と、ロンドン生まれの写真家・挿絵画家のヘレン・クレイグの絵。お話は木のうろにお引越ししたロージーのもとに、遠くからたくさんのお友達がやって来る。ハメルンの笛吹きやティンカー・ベル、プーさんから、なぜかネコマタまで(いずれも、もどきである)。この絵本は何といっても、絵が生命。明るく楽しく、幻想的でもある。ピノキオもいた!こうして絵の中から知っているものを探し出す楽しみも。
yomineko
2024/08/04 07:12

ヴェネツィアさん、おはようございます🌞おひっこし!楽しそうですね😊読みたい本に登録させて頂きました📚

ヴェネツィア
2024/08/04 07:24

yominekoさん、おはようございます。茫洋としたメルヘンティックな絵本でした。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。七・五調の文語定型詩。全体を覆う詩境は暗鬱である。時刻は漆黒の夜から夜明けまでなのだが、東の空が朱に染まってもなお心は晴れないかのようだ。慈悲心鳥の鳴き声が一層にその感を深くする。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
北欧といってもそれぞれ個性があるだろうに、ここではストックホルム、コペンハーゲン、ヘルシンキから集めてきたデザインが一緒に扱われている。共通点は認めないではないが、ちょっと大雑把に過ぎるようだ。さて、あえてトータルに語るとすれば、北欧デザインはシンプルなフォルムにヴィヴィッドなカラーリングが特徴か。それはインテリアにもテーブルウエアにも共通しそうだ。アラビアやイッタラ、そしてマリメッコあたりが日本でもよく知られている。リビングとダイニングを北欧調で統一すれば、明るく快適な朝を迎えることができそうだ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
山崎るり子の詩に石黒亜矢子の絵。各見開きページごとに、それぞれのおばけが登場し、そこに詩(というよりは童謡に近いか)が添えられる。最後にはキツネせんせいのクイズも。なお「いりぐち」と巻末の「おばけたちは」は、子どもたちが本気で怖がりそうだ。絵は強いメリハリがあって、なかなかの迫力。途中には百鬼夜行図などもあり、妖怪絵の本道を行くか。水木しげるの絵に似ていないこともない。少なくても発想は同じだ。
ヴェネツィア
2024/08/03 20:25

私はホラーはともかく、スプラッターは苦手です。

yomineko
2024/08/04 06:22

おはようございます🌞あ~スプラッター、嫌ですよね~

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
3つの合戦絵巻を収録。『前九年合戦絵詞』と『平治物語絵巻』はともに13世紀後半、『結城合戦絵詞』は15世紀末の成立とされる。『前九年合戦絵詞』(絵師不詳)と『平治物語絵巻』(絵師は伝・土佐伊予守隆成)は、馬や武者たちの甲冑などの表現がよく似ており、同系統の絵師によって描かれたものと思われる。『平治物語絵巻』は前半は余白の部分が大きいのだが、後半の清盛勢の進軍からは、血が吹き飛び、首が落ちるなど凄まじいが、微細な表情までを描く表現は実に躍動感に富んでいる。
ヴェネツィア
2024/08/03 08:07

『結城合戦絵詞』は時代も違うが、二者とは全く違った表現をとっており、これはこれで興味深い。絵は基本的にリアリズムだが、紙芝居絵のような風情。

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ヴェネツィア
文語詩未定稿の1篇。七・五調の文語定型詩である。タイトルに「隅田川」を冠しているが、実景というよりは、半ば想像のうちに詠ったものではないだろうか。リズムや詩想は北原白秋の詩を思わせる。賢治らしさを探そうと思うのだが、残念ながら私にはそれを見出すことができなかった。
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ヴェネツィア
著者の野村進は、この本のための調査と執筆に6年の歳月をかけたそうだ。結果はまさにそれに見合う労作。著者渾身のルポルタージュである。「ある男が『ボースン鳥』という聞き慣れない鳥の名を耳にしたことから、この長い物語は始まる」。1914年のことであった。この男、山口百次郎を軸にサイパンの戦前、戦中、戦後が語られる。だが、それは通史的に語られるのではない。何人もの証言や記録によりながら、その何人もの人々の生きた証をたどって行くのである。サイパンは彼らの夢の跡であり、親族を失った墓標の島であった。
ヴェネツィア
2024/08/02 16:37

ここでは何人もの人々の運命が語られるのだが、私には収容所で「勝ち組」の日本人たちに惨殺された桂男に最も魅かれるし、同時に人間の持つ浅薄さと残酷さを思う。

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ヴェネツィア
この巻はインド文明圏。身体装飾という点では前回のアフリカ篇に比べれば地味かと思う。身体への加工は、鼻ピアスと大きなイヤリング(場合によっては何個も)くらい。入れ墨の習慣は少なく、アルナチャルプラデシュ州のアパタニ族の人たちくらいである。ただし、ここの女性たちは、顔への入れ墨はもちろん、両方の鼻翼に穴を開け、10円玉大の木片をはめ込んでいる。民族的にはチベット系のように見える。また、この巻で思いを新たにしたのはインドは広いということ。オリッサ州のボンダ族の人々の写真などは、アフリカにしか見えないのである。
ヴェネツィア
2024/08/02 08:10

インドはまた民族衣装のカラフルさ多様さにおいても、また文字通りまさに宝庫である。表紙の写真はお祭りなどの特別なシーンのものだが、日常においても民族衣装の着用率は高いそうだ。

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ヴェネツィア
あきやまただし作・絵。1964年東京生まれの絵本作家。一寸法師サイズの牛の子ども「まめうし」が主人公。お話というほどのものはなく、このまめうしの一日を描く。絵は、まめうしも、他の動物たちも背景も、いずれもデザイン化されたタッチで描かれる。デフォルメも効いていて、楽しい絵だ。ただ、この絵本、どういうわけか人気がなくて、レビューはこれが初めて。どうしたのだろう。
宵待草
2024/08/02 17:53

ヴェネツィアさん お暑うございます!😵💦 あきやまただしの『まめうしくんシリーズ』は楽しくて、私は『まめうしくんとこんにちは』を蔵書して居ます。 お暑いですが体調は如何ですか? 呉々もご自愛願います!💫 8月もどうぞ宜しくお願い致します!✨ 宵待草 

ヴェネツィア
2024/08/02 20:35

宵待草さん、さすがですね。私はあきやまただしとは、今回の絵本が全く初めての出会いでした。

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ヴェネツィア
古代ギリシャのシュンポシオンとはこのようなものであったのか。何人かが一堂に会してお酒を飲みながらのエロス談義が展開される。最初に口火を切るのは、この日のテーマの提案者であり、座長を務めるパイドロス。エロスは最も古くから存在し最高の道徳原理であるとする。次いではパウサニアス。彼は善きエロスと低俗なエロスがあるが、讃えるべきは善きエロス、すなわち少年愛であるとする。3人目はエリュクシマコス。彼はエロスを宇宙の支配原理であるという。そして、アリストパネス。彼は完全性への欲求こそがエロスの本質であるとする。⇒
ヴェネツィア
2024/08/01 16:42

⇒さらにはアガトス。エロスとは美しいものを指すというのが彼の主張である。ここでようやく真打、ソクラテスの登場であるが、彼は自説を直接に展開するのではなく、ディオティマにもっぱら語らせるのである。そこに本編の特質もあり、同時にわかりにくさもあるのではないか。その後は酔っぱらったアルキビアデスがソクラテスをひたすらに礼賛し、なかば煙に巻かれたような形で終わる。シュンポシオンという形式をとったために、臨場感は大いにあった。

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ヴェネツィア
石川美南の第一歌集。長らく絶版になっていたものだが、17年ぶりに「現代短歌クラシックス」の1冊として再刊された。まずタイトルがなかなかに魅力的だ。「半分は砂に埋もれてゐる部屋よ教授の指の化石を拾う」ーもちろん仮想世界である。安部公房の『砂の女』が連想される。あるいは歌人もまたそうであったか。この人の歌の多くは生活の実感をストレートに詠むことはない。いずれも物語世界めいた中での感覚の閃きを言葉のリズムに乗せて歌う。「マンホールにそろそろと耳当てて聞くみみず一家のいがみあう声」。この軽妙さもまた、この歌人の⇒
ガーネット
2024/08/27 18:12

ヴェネツィアさんのこのレビューから、先日の『短篇集(柴田元幸編)』を読みました。「〜の話」と形式を限定されてはいても、石川美南さんの歌の世界、楽しかったです(^-^)御礼の個別メッセージも、だいぶ前に送りましたが、もしかして届いてないかも…と、思いまして。改めて、ありがとうございました♪

ヴェネツィア
2024/08/28 08:38

ガーネットさん、いただいたメッセージには気が付きませんでした。申し訳ありません。お返事はあらためて。

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ヴェネツィア
著者のリチャード・ステンプはイギリスの美術史研究者。ルネサンス期の彫刻で学位を得ている。本書は『ルネサンス美術解読図鑑』と銘打ち、副題は「イタリア美術の隠されたシンボリズムを読み解く」。原題は"The Secret Language of the Renaissance"であり、その限りでは副題がこれに近い。これをルネサンス美術解説とするならば、わからなくはないのだが、解読図鑑としてははなはだ使い勝手が悪いということになる。私の望むものは、個々のシンボルごとに例を挙げ、その意味を解説してくれる⇒
ヴェネツィア
2024/08/01 11:23

⇒といったものであった。また、例に挙げられた絵画そのものが少ないことも不満であった。

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ヴェネツィア
『ロージーのおさんぽ』のパット・ハッチンス作。お話は、おかあさんが焼いたクッキーを子どもたち2人で食べようとしていたところに、お友だち2人がやってきて、さらにまた4人と増えてゆく…というもの。なんだか、割り算の概念を教えようとしているようで、あまり感心しない。絵はアメリカの家庭を思わせる(実際はイギリス)明るさ。リアリズムを基調とする。なお、子どもたちのカラーの多様性にに配慮するなど、人権意識によったもの。
ヴェネツィア
2024/08/01 08:52

ロージーとは随分趣きが違います。

yomineko
2024/08/01 08:54

そうなのですね😊楽しみです🐓

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/11/30(4768日経過)
記録初日
2011/04/07(5005日経過)
読んだ本
7096冊(1日平均1.42冊)
読んだページ
1698516ページ(1日平均339ページ)
感想・レビュー
7006件(投稿率98.7%)
本棚
57棚
性別
職業
専門職
自己紹介

2011年4月からの参加で、14年目にはいりました。一番よく読んでいるのは日本文学、次いでは翻訳文学です。読むジャンルの幅は広い(半ばは意識的にそうしています)のですが、何でも手当たり次第に読むというわけではありません。特に誇れるものはありませんが、連続読書日数は初日から4969日(2024年11月12日現在)、冊数は6988冊になりました。胃癌で入院中も、海外旅行中も毎日読んできました。さて、どこまで伸ばせることやら。

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