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2024年9月の読書メーターまとめ

ヴェネツィア
読んだ本
112
読んだページ
16604ページ
感想・レビュー
112
ナイス
47030ナイス

2024年9月に読んだ本
112

2024年9月のお気に入り登録
29

  • テレワーク大好きっ子
  • K.S
  • coffee
  • nonpono
  • Tomu
  • ごんきっく
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  • ねむねむ
  • 枝豆
  • ojipan16
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  • G❗️襄
  • オンダちゃん
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  • 宵待草
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  • みみず
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  • V8おじさんと空飛ぶコロッケ
  • 月見草
  • たどまる
  • クリスタル東京
  • tonnura007
  • にこ
  • K2
  • フォンテーヌ赤井
  • Yo
  • タンバリン

2024年9月のお気に入られ登録
28

  • unitcircle
  • テレワーク大好きっ子
  • K.S
  • coffee
  • nonpono
  • Tomu
  • ごんきっく
  • Kemumu
  • ねむねむ
  • 枝豆
  • ojipan16
  • SSC19817
  • イクト
  • G❗️襄
  • こよ
  • ジムニーおやじ
  • キュアレフトの本棚
  • みみず
  • ゴルディロックス
  • V8おじさんと空飛ぶコロッケ
  • sae
  • 月見草
  • たどまる
  • クリスタル東京
  • tonnura007
  • にこ
  • フォンテーヌ赤井
  • Yo

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ヴェネツィア
ネタバレ3つの連作短篇を収録。冒頭の「春に翔ぶ」を読んでいる段階では、不覚にもこれらの3作が『汝、星の如く』の続編であることに全く気がつかず、単体の作品として読んでいた。もっとも、そのように読んでも(あるいは見方によれば、そのように読んだ方が)十分によくできた作品である。北原が明日見さんの子どもを自分の子として引き受けたところまでは予想通りであったが、結末は予想を遥かに超えて小説的であった。2番目の「星を編む」※は、前作とは強い連関を示すが、この中ではやや独立した作品である。そして、最後の「波を渡る」で⇒
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月にナイスが最も多かったつぶやき

ヴェネツィア

8月はページ数、冊数ともに過去最高になりました。皆さま、今月もどうぞよろしくお願いします。☆2024年8月の読書メーター 読んだ本の数:111冊 読んだページ数:16212ページ ナイス数:44896ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/157091/summary/monthly/2024/8

8月はページ数、冊数ともに過去最高になりました。皆さま、今月もどうぞよろしくお願いします。☆2024年8月の読書メーター 読んだ本の数:111冊 読んだページ数:16212ページ ナイス数:44896ナイス  ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/157091/summary/monthly/2024/8
のっち♬
2024/09/01 14:03

ヴェネツィアさんも爆読されていますね📚ベトナム、いつか行ってみたいものです🛫今月もどうぞよろしくお願いします。

ヴェネツィア
2024/09/01 14:11

のっちさん、こんにちは。私はベトナムにはホイアンにしか行ったことがありません。しかも1週間くらいしか滞在しなかったのですが、雰囲気は十分に味わえたかと思います。

が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
112

ヴェネツィア
1947年、マティス74歳の出版。腸疾患の手術で体力の落ちていたマティスが、それでも創作意欲を燃やして切り絵の技法で作り上げた一連の作品集。自由闊達な発想で描かれ"JAZZ"と銘打たれた。全20点のリトグラフを収録。オリジナルは270部限定であったらしい。表紙の「イカロス」がそうであるように、抽象だが、題材を含めて具象の面影を残している。また、物語的な要素を多く内包するようだ。一方、"Monsieur Loyal"(ドゴールのこと)のように茶目っ気たっぷりの楽しい作品もある。
まゆこ@低浮上
2024/10/01 08:59

ヴェネツィアさん、おはようございます。こちらの作品集、とても興味をひかれたので、わたしも読んでみたいと思います。いつもありがとうございます☆

ヴェネツィア
2024/10/01 09:03

まゆこさん、図書館にあればぜひ読んでみてください。マティス晩年の作品です。

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ヴェネツィア
著者の松浦啓一氏は、どうやら日本の魚研究の第一人者であった人のようだ。本書には実に様々な魚が登場するが、ここでは主として生態学的な立場からの解説が中心である。これを読んでいると、生態においては魚類と哺乳類や鳥類(時には昆虫も)との垣根が低いことがよくわかる。魚は擬態もするし、托卵もするし、偽装だってする。このあたりが一番面白い。魚の形態もまた生態と絡めて説明されている。そして、最後は魚食の未来に警鐘を鳴らす。日本の漁業者は2012年現在、わずかに17万人しかいないそうだ(1961年には70万人)。
ヴェネツィア
2024/09/30 17:00

知らなかったこと、あるいは間違った思い込みもたくさんあることに気づかされる。例えば、「地球に存在する水量のうち、海水が97.4%を占め、陸水はわずかに2.6%に過ぎない。陸水の76.4%は氷河であり、地下水が22.8%、残りのわずか0.8%が河川、湖沼、土壌中の水分である」ーなんとそうだったのか!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
フランク・アッシュ作。アッシュはアメリカの児童文学・絵本作家。コトリとおはなししていたクマくんが、お月さまをかじってみたくなって、一念発起。とうとうロケットを組み立てて月へ。そして、念願のように月を食べて戻って来るというお話。絵は薄い色の枠線の中を、それよりは幾分濃い色で塗りつぶすというやや変わった技法。クマくんの表情を含めて、随分とぼけた味わいの絵本。どうやら、このクマくんはシリーズ化されていて、いずれもかなり人気作のようだ。
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ヴェネツィア
チューリップがひと時見せる詩的幻想を描く。登場するのは洋傘直しと園丁だけだが、時おり(洋傘直し、洋傘直し…)といった不思議なナレーションが挿入される。それは、同時に読者をも入眠に誘い込むかのようだ。私たちもまた、導かれチューリップの咲く庭に迷い込む。これらは一場の夢であり、何物をも後に残さないのだが、それゆえにいっそう純化された幻想世界にしばし酔うことになる。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
西垣敬子氏は、中村哲氏とはまた違った形でアフガニスタンに関心を持ち続け、支援してきた人。本書は彼女がアフガン・テキスタイルのコレクションを開陳したもの。刺繍布から始まるが、奇抜なといっていいほどに色鮮やかである。文様はイスラミックを基調に、柔らかな風情を加味したもの。次いでの民族衣装もとってもカラフル。施された刺繍文様が実に細やか。ミフラーヴ(礼拝時に壁に掛ける)もまた赤が美しい。こうして見ると、アフガニスタンのテキスタイルは本来はきわめて陽気で光あふれるものだったことがよくわかる。
ヴェネツィア
2024/09/29 16:55

後段には「アフガニスタン義肢装具支援の会」によるアピールと現状報告が写真入りで紹介されている。そして、これは現在進行形である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ちょっと珍しいイギリスのYA小説。この分野も作者のジェニー・ヴァレンタインも初読。登場人物たちが、なかなかにユニーク、かつ全員が一癖も二癖もあるタイプ。主人公二人が交互に語る構成をとる。まずはサムから。彼は故あって田舎を捨てて、単身でロンドンにやってきた。17歳。次いでボヘミア(変わった名前だが、ロマの血を引いているらしい)。10歳の女の子。そして、その母親のチエリーはネグレクトで、男性およびアルコール依存症。アパートの家主のスティーヴ(中では一番普通か)。謎の世話焼きオババのイザベル。得体の知れない⇒
ルカ
2024/09/29 20:48

面白そうですね!この作家さんは「ヴァイオレットがぼくに残してくれたもの 」で賞も取っているようです。図書館にあるようなので読んでみたいです。

ヴェネツィア
2024/09/30 07:58

ルカさん、『ヴァイオレット…』がデビュー作のようです。早々に発注しました。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ニューヨーク生まれの作家、ジェイン・ヨーレンの文、同じくニューヨーク出身の画家、ジョン=ショーエンヘールの絵。お話も絵も、いわゆるファンタジーではない。手法はむしろ徹底したリアリズムである。にもかかわらず、この本がファンタジックでもあるのは、ひとえに自然が持つ深遠な広大さによるものである。それは冬の大地であり、夜の底深さであり、大みみずくが生存することの不思議と、彼らと私たちが同時代を共存できることの幸福である。文章は原文で読めば、おそらくは詩的なリズムが時を刻むのだろう。絵も最初のページの農場の⇒
うりこ
2024/09/29 11:01

ヴェネツィアさん、ナイスありがとうございました。いつもヴェネツィアさんの的確で美しいレビューに目からウロコ!読ませていただくのを楽しみにしています。

ヴェネツィア
2024/09/29 15:07

うりこさん、ありがとうございます。美しくはありませんが、これからもせっせとレビューを書いていきます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレ3つの連作短篇を収録。冒頭の「春に翔ぶ」を読んでいる段階では、不覚にもこれらの3作が『汝、星の如く』の続編であることに全く気がつかず、単体の作品として読んでいた。もっとも、そのように読んでも(あるいは見方によれば、そのように読んだ方が)十分によくできた作品である。北原が明日見さんの子どもを自分の子として引き受けたところまでは予想通りであったが、結末は予想を遥かに超えて小説的であった。2番目の「星を編む」※は、前作とは強い連関を示すが、この中ではやや独立した作品である。そして、最後の「波を渡る」で⇒
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ジェームズ・リーブズ文、エドワード・アーディゾーニ絵。二人はともにイギリスの人。原話はグリム童話。矢川澄子の訳。訳文はこなれていて、童話向きの文体になっているが、全体に文字の多い絵本。小学校中学年以上が対象か。ただし、お話はいたって寓話的。今、空に月があるのはピーターさま(ペテロの英語読み)がそうなさったから。絵は版画にところどころ彩 色をほどこしたもの。1971年初版にしては随分古めかしい感じを受ける。これもまた幼児にはあまりよろこばれそうにもない。絵入りの読み物といったところ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
読む前に想像していたものとは随分違っていた。まず、これが絵本だとは思っていなかった。それはいい。次には、「食」の持つ宿命的な残酷さを通して、生きてあることの尊厳や意味を問いかける本だと勝手に予想していた。ところが、これがそうではなかった。なんとも甘いのである。これでは思索や熟考からはほど遠く、単なる感傷である。しかも、最終ページの教訓めいた述懐にいたっては、もはや感性の崩壊である(それは言い過ぎか)。『北の国から』で、蛍が空知川の岸辺で母親を見送りながら、けなげに耐えるシーンがあったが⇒
るるりら
2024/11/01 16:50

たしかにこの本は、生き物を食すということの残酷さから、食べるということの尊厳を 描いた本ではないですね。ヴェネチアさんのお話を読んで、漢字の「美」と、言う文字を思いました。羊が大きいと、「美」になったらしいです。食は、元来私たちに喜びと健康を与えてくれます。けれど、食べられる側に こんな話をさせられたら、食に美なんて感じなくなりそうです。

ヴェネツィア
2024/11/01 16:56

るるりらさん、コメントありがとうございます。美の起源はそんなふうに言われていますね。私たちが食べることも、ある種の「業」なのでしょう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
珍しいイスラエルのSF作品が16篇+シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロテムによる「イスラエルSFの歴史について」。さらにロバート・シルヴァーバーグの「まえがき」まで付いた、なかなかに豪華な陣容。ここに取り上げられているのは、私には全く初めての作家ばかり。また、編集者の好みを反映しているのか、スペース系のSFが見当たらない。というよりは、全体を通してSFらしさが希薄なのである。それがイスラエルSFの特質なのか、現代のSF界の潮流なのかは私にはわからないのだが。
にいたけ
2024/09/27 17:04

ロバート・シルヴァーバーク☺️久々の響き。イスラエルSFとは珍しいですね👀

ヴェネツィア
2024/09/27 17:12

にいたけさん、珍しいでしょう。そういえば、シルヴァーバーグは私も久しぶりです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
チカップ美恵子氏は、アイヌ文様刺繍家・詩人。2010年、急性骨髄性白血病で逝去。享年61歳であった。本書は彼女が残した刺繍と詩、エッセイを編集したもの。詩はあまり私の好みとは言えないが、刺繍作品はいずれも見事である。基本的にはアイヌの人たちの間で伝承されてきた文様を、作家独特の優れた感性で、現代的な意匠として定位させたもの。色彩もまた伝統色を基本としながら、時には大胆な色遣いもなされる。刺繍が施された布そのものとしても 美しいが、私はアイヌの人々の纏う伝統衣装になった時に、一層本領を発揮するように思う。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
林明子・作。お話らしいお話はない。月が出て、雲に隠れて、再び真ん丸の姿を現して…というもの。となると、やはり生命は絵か。これまたいたってシンプルだけど、お月さまの表情と、2匹の影ネコがアクセントを添える。低年齢向きだろうが、読み聞かせで喜んでもらえるのだろうかと、ちょっと心配にもなる。
ヴェネツィア
2024/09/27 17:15

seacalfさん、そこまで反応してくれるのであれば買った甲斐があるというもの。1歳5か月でそれなら、今後が大いに楽しみですね。

seacalf
2024/09/27 17:19

ヴェネツィアさん、ありがとうございます。想像以上の反応を示してくれるので、読み聞かせが楽しみな毎日です。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ヘヴンリー・ハウスのシリーズにもあったのだが、こちらの『世界現代住宅全集』版は写真や図版がはるかに大きい。このサヴォワ邸はフランスのポワッシーに建てられているのだが、私はこれまでこの建物に限らず、いずれも立地がきわめて重要なものだと考えてきた。ところが、本書の巻頭言を書いている隈研吾氏によれば、サヴォワ邸は20世紀アメリカの、商品としての住宅の幕開けを告げるようなものであるらしいのである。「それはかつてのいかなる建築よりも見事に大地から切断されており」と言うのである。そうだったのかと目から鱗という次第。
tyfk
2024/09/27 01:12

近代建築の五原則「ピロティ、屋上庭園、自由な設計図、水平連続窓、自由なファサード」だそうです

ヴェネツィア
2024/09/27 05:08

tyfkさん、そのようですね。でも、それを実現できるのは豪邸でないと無理でしょう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
第ニ巻は、主に北インドの伝説の地と仏跡を巡って行く。また、アショーカ王やカニシカ王縁の地も踏査する。シラーヴァスティ国には、かの祇園精舎があり、これはアショーカ王が建てたものである。続いてルンビニーは佛陀降誕の地であり、生まれるなり「天上天下唯我独尊」と言われた伝説が伝えられる。そして、釈迦落飾の聖蹟、さらには釈迦入滅のアジタヴァティーを訪ねている。このあたりの記述は実に淡々としているが、玄奘には感涙ものの地だったのではないか。あるいは仏典そのものを求める玄奘には、ともかく見ておくといっただけであったか。
ヴェネツィア
2024/09/26 13:40

インドは現在でも多言語地域だが、玄奘には言葉の上での苦労はなかったのだろうか。これまたそうした記述が見当たらないのでわからないが、おそらくは行く先々で案内者がいたのだろう。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
デヴ・ペティ文、マイク・ボルト絵。子どもカエルの「オレ」がカエルをやめてネコになると言い出した。それがだめなら、ウサギに。そしてブタに。さらにはフクロウに。最後にオオカミに出会って…といったお話。すべて会話文で構成され、生き生きとしたリズムとステップが信条。絵は、ちょっとディズニーっぽく、立体感を強調したスタイル。テーマからはややもすると教訓めいたものになりがちだが、そうはならず軽快に進行し、「あっムシだ」で終わる小気味よさ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『注文の多い料理店』の初版は、盛岡市の杜陵出版と東京光源社から出版されたが、それはわずかに1000部で、ほとんど自費出版同然であったようだ。さて、その序文だが、いかにも賢治らしい自然体で語られ、へんに意気込んだところは全く見られない。彼は序文に言う「わたくしにもまた、わけがわからない」と。こんな風にしか書けなかったのだと。賢治の童話がすべからく詩性を帯びているのは、まさにその故であろうと思われる。
宵待草
2024/09/27 00:33

追伸 『注文の多い料理店』に付いては『序文』を読むべき!との事ですね!❇️ ヴェネツィアさんには、何時も感心します!💫 此れからも、色々とご教示下さいね!🍀 宵待草

ヴェネツィア
2024/09/27 05:13

宵待草さん、ありがとうございます。『注文の多い料理店』は賢治の童話デビュー作ですが(そもそも生前に出版された童話はこれだけ)完成度はいたって高いですね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
この小説のテーマは、美咲の側から見れば「疎外」である。まずは小学校から中学、高校と女子生徒たちは2分法で分類される。「かわいい子」と「それ以外の子」である。大学に進んでもそれは基本的には変わらない。次に学歴によって差別化がはかられる。頂点に君臨するのはもちろん東大である。そして、被害者になった時、そこには匿名者からの徹底した弾劾が待っている。主人公の美咲が受けたのは、これらのすべてであった。加害の側にいる者たちはとうとう自分たちが加害者であることの自覚がなかった。彼らの両親もまたそうである。問題の事件の⇒
john
2024/09/30 20:20

ナイスありがとうございます。この本に出てくる東大生、兵庫県知事に似ていませんか?自分は悪くない、俺は知事なんだぞ、こんなことで辞めなきゃいけないのか、という亡くなった人への想像力の欠如。人は自分が偉いと思うと他人への思いやりがなくなってしまうのかな?

ヴェネツィア
2024/09/30 20:30

johnさん、そうかも知れません。想像力の欠如は人をどこまでも(本人はそれと知らずに)残酷にすると思います。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の田中敦子氏は工芸、染織、着物をフィールドにフリーランスで取材、執筆、編集、プロデュースを行ってきた人。インドを源流とする更紗が、世界に広まったのは大航海時代以降とのことで、思ったほど古い時 代のことではなかったようだ。もちろんインドでは古く、インダス文明の時代に既にその原型があったそうだ。本書はインド更紗を多角的に考察、紹介する。私には更紗といえば藍のイメージが浮かぶが、赤、黄色などを活かしたものも多い。図柄についても、もっぱら抽象柄かと思っていたが、カラムカリと呼ばれる手描きの絵を染め付けた⇒
ヴェネツィア
2024/09/25 12:42

⇒ものもあり、その神話的なモチーフには強く惹かれる。後半は更紗の工房を訪ねてサンガネール、バグルー、アノーキの工房を訪ねてゆく。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ヒグチユウコ作。ワニと少女の道ならぬ恋の物語。『ロミオとジュリエット』の禁断の恋もなんのその。こちらは種族を超越した恋である。そもそも二人の(?)出会いからして、シュールレアリスムのデペイズマン(巷間よく知られたところでは、ロートレアモンの「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の出会い」)そのものではないか。絵はヒグチユウコらしく徹底してクールなリアリズムに徹している。それだけに最後のページのキマイラが一層に衝撃的である。100%大人向き。かと思ったが、子どもたちは案外にもすんなりとシュールな物語を受け入れるかも。
ヴェネツィア
2024/09/26 07:38

おそらく後悔することはないでしょう。

Himeko is not cat
2024/09/26 23:28

そう思います😋

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
「文語詩未定稿」の1篇。五・七調の文語定型詩である。詩の前半はいくぶん距離を置いた中景から、そして後段は寺にぐんと接近しクローズアップされた景を詠んだものだろう。晴れ渡った日の夕暮れに近い時刻だろうか。寺には固有名が与えられていないが、「義経の彩ある像」から中尊寺と知れるのだろう(タイトルは賢治が付したものではなさそうだ)。詩の生命をしいて求めるとするならば、最後の行の「そらごと」にあるか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の切畑健氏は日本の伝統服飾の研究者。本書では、もっぱら歌舞伎衣装をとりあげている。巻頭は鳥居清忠の「浮絵劇場図」※。今に残る琴平の金丸座とよく似た造りである。演目はどうやら歌舞伎十八番の内「暫」と見受けられる。以下にはまさに絢爛豪華な衣装のオンパレード。派手である。「助六」※2の衣装が地味に見えるくらい。敵役の意休と花魁の揚巻などはその極み。表紙の「宝船鶴亀模様打掛」などは、もはやバロキスムの極み。歌舞伎衣装はこうでなければ。
ヴェネツィア
2024/09/24 16:57

※「浮絵」=西欧風の遠近法を用いて描かれた新しい技法。ここでは劇場の後方から舞台に向かって遠近法が駆使され効果をあげている。※2「助六」=正式名称は由縁江戸桜」。なお、助六は主人公の名前(実は曽我五郎)。

ヴェネツィア
2024/09/24 17:27

訂正:「助六」の正式名称は「助六由縁江戸桜」(すけろくゆかりのえどざくら)です。最初の部分が消えていました。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
内田麟太郎・作、荒井良二・絵。本書は小学館児童出版文化賞を受賞。お話というほどのものはなく、「このおじさんは わらいません」→「…ていても」というナンセンスな受け答えが繰り返される。絵も、それを上回るナンセンスで応えている。ことに傑作だと思ったのは、ラクダのページとオオカミのページ。そして、最後にそれまではけっして笑わなかった月のニヒルな笑い。大人は十分に楽しめる。さて、子どもたちにはうけるかな?
ヴェネツィア
2024/09/24 06:56

他の方たちの感想を読むと「だじゃれ」とするものが多かったのだが、私はこれは「だじゃれ」の域を超えたナンセンスであると思う。突き進めば『不思議の国のアリス』やシュールレアリスムにまで行きつくような。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
「聴竹居」は大山崎、天王山の中腹に建築家の藤井厚ニの自邸として建てられたもの。四季折々の写真とともに眺める建物はまことに風情あるものである。和風建築として最も顕著な特徴は、西側斜面の木陰から建物の床下に空気を引き込むクールチューブが設けられていること。『徒然草』第55段に「家のつくりやうは夏をむねとすべし」とあるが、まさにそれを体現したものである。1928年の建造なのだが、それにしては台所は案外にもモダンな印象。その他、各室はそれぞれに個性的な佇まいを見せる。もちろん、庭の景との調和は言うまでもない。
ヴェネツィア
2024/09/23 09:34

後半には藤井厚ニの手がけた香里園の「八木邸」も紹介されている。こちらは和の外観を持ちなぎら、内部の意匠は洋館の趣きである。もし、実際に住むならこちらか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の市田ひろみ氏は、会社勤務、女優、美容師を経て、現在は服飾評論家・エッセイスト。これまでに度々海外を取材し、その結果を紹介するのが本書。カラー図版が美しいが、分析や論述が一切なく、すべてを写真に語らせる。これはこれでいいのだが、やはり何らかの著者のコメントが欲しいところだ。例えば、これらの意匠の違いは民族による特質なのか、あるいは地域的な共通項を持つのかがよくわからない。あるいは技法に拠る特質も顕著に認められそうだ。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
なかえよしを作、絵は上野紀子。高い木の上に美味しそうなりんごがいっぱい。とりがやってきて一つとり、さるがやってきて一つとり、ぞうがやってきて…。みんなそれぞれに得意技があるのだけれど、ねずみくんにはない。ところが最後にあしかがやってきて…というお話。繰り返しのリズムがとっても楽しい。絵はモノクロームの鉛筆画で、りんごだけが赤いシグナルのよう。
ほのぼの
2024/09/23 09:12

今年は『ねずみくんのチョッキ』誕生50周年ということでイベント開催のニュースをたくさん目にしました。作者のお二人がご夫婦である事も今回初めて知りました。末永く続いて欲しいシリーズです。😺

ヴェネツィア
2024/09/23 09:37

ほのぼのさん、私は全く初めての出会いでした。なかなかに息の合ったコンビネーションですね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
安部公房の死後、フロッピー・ディスクから発見された。安倍の最後の小説ということになるが、残念ながら未完。というより、ここからどんな風に構想を広げようとしていたのかも不明である。表題の「飛ぶ男」は小説の冒頭でいきなり現れる。空中を浮遊し、時速2、3キロで移動しているところを3人に目撃され、そのうちの1人である女に空気銃で撃たれる。保根の一人称で語られるが、小説全体が荒唐無稽でありながら、細部は強いリアリティを持つ『箱男』などに見られるスタイルである。なお、「飛ぶ男」は、父親によって「追われる男」でもある。
モトラッド
2024/09/23 11:30

辛口レビューしてしまいましたが…。あの『箱男』では、完成作が原稿用紙300枚に対し、書きつぶした量は3000枚を超えたとのこと。それを考えると、フロッピーに残された『(未完)飛ぶ男』が、全体の何割なのか、前半~後半のどの辺の物なのか等々、分からない事ばかり。空の上の安部先生に伺うしかないが… 色々、空想を巡らすのも、この未完作品に対する楽しみ方かもしれません。

ヴェネツィア
2024/09/23 14:23

モトラッドさん、なにしろあまりにも断片的すぎますから、なんともいえないところですね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
安部公房には高校生の頃から関心を持ち続けていたのだが、今回このアルバムを見て、あらためて作家そのものへの関心を呼び覚まされた次第。つまり、これまで安倍の私生活にはほとんど関心を払ってこなかったのである。それはひとえに作品の持つ強いインパクトの故であったのかもしれない。例えば、今回初めて知ったことは、安部公房の自筆原稿がきわめて整っていて読みやすいこと。また、彼が無類のカーマニアであったことなど。もっとも考えてみれば、機械への偏愛は随所に見られたのだから、いわばそれも当然であったのだろう。
ヴェネツィア
2024/09/23 05:13

えかさん、そういう目で見直してみると、他にもいくつか出てくるかもしれません。

ヴェネツィア
2024/09/23 05:14

ドライさん、ご指摘ありがとうございました。訂正しました。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書は鑑賞者向けではなく、ひたすらに実作者に向けて技法やアイディアをいたって実践的なレベルで解説したもの。とはいっても豊富な実例が鮮明なカラー写真で紹介されているので、鑑賞という行為も十分に許容する。まずは必要な工具・道具類から。そして基本テクニック。ネックレスやブレスレット、指輪などの製作。Step2は「パーツを作らず心に浮かぶイメージを玉に込める」ー駒野幸子の世界ーと、いきなり高度な(最)上級編である。Step3も「パーツを作りさまざまな花を咲かせる」ー磯谷桂の世界ーとこれまた(最)上級の世界である。
ヴェネツィア
2024/09/22 17:07

写真でとはいえ、こんなにたくさんの(しかも様々な)トンボ玉をまとめて見たのは初めて。なんでもそうだが、工芸の世界の奥深さにただただ感嘆!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
『世界現代住宅全集』の03はオランダの建築家レム・コールハースとOMA(Office for Metropolitan Architecture)による「ヴィラ・ダラヴァ」(パリ郊外・1985-91)と「ボルドーの家」(1994-98)である。一見してこの両者に共通するのは、透明ガラスの多用である。専門的にはともかく、素人目からはミース・ファン・デル・ローエのファーンズワース邸との類似を思う。ことにはヴィラ・ダラヴァがそうなのだが、建築物としての大胆さにおいてはボルドーの家が一層に際立つだろう。
ヴェネツィア
2024/09/22 16:52

また、ヴィラ・ダラヴァでは直線が空間を画するが、一方のボルドーの家ではそれに斜めの線や円形、あるいは曲線が配置されたりもする。いずれも、かなりに先端的な住宅である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これも高校1年生以来の再読。今あらためて読むと、あれこれと小説としての瑕瑾が目立つ。数え上げればキリがないほどなのだが、まず「ぼく」(語り手)の高校時代の友人(現在は家業の農業を手伝っている)の筑波が、この時代にブルガリアに行くことがそうだ。また、そこで彼がろくに英語さえもできないのに、村の有力者の娘と恋に落ちるというのも、あまりありそうもない。さらには彼のブルガリア再訪のためのイコンをめぐる作り話も出来すぎだ。そして、極め付きが寒さに耐えかねて国宝級の5つのイコンを焚き木にして燃やしてしまうという結末⇒
ヴェネツィア
2024/09/22 13:44

である。イコンを燃やして、果たしていかほどの暖がとれるというのか。かかった費用からすれば、当時の金額で200万円に近いにもかかわらずである。では、当時の私は何にそれほど惹かれていたのか。おそらくはソフィアという響きとヨーロッパへの強烈なまでの憧れが強い吸引力を持っていたのだと思う。では、それは何時頃に生まれたのか。おそらくは小学校1年生の時にもらって愛読していたアンデルセン童話集が影響していたのだろう。世に「六つ子の魂百まで」というではないか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文はトニ&スレイド・モリスン母子(スレイドは次男)、絵はイラストレーターのシャドラ・ストリックランド。お話は、雨の日にルイーズ(小学校3,4年生くらいの女の子)が、何カ所か彼女にとって怖い場所を通って図書館への冒険行を試みる。そうして、たどり着いた図書館はまさに夢の世界というもの。絵はクレヨン(or鉛筆?)の枠線に水彩絵の具の彩色だろうか。主人公は黒人の女の子で、背景に描かれているのはおそらく南部の街。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
北欧のプリントファブリックを美しいカラーページで紹介する。「ボロス」や「ファニー・アロンセン」をはじめ、スウェーデンのデザイナーの手になるものが多いが、日本でも大人気のフィンランドの「マリメッコ」も。全体としては、「北欧」とくくれる共通項はたしかにあるようだ。色遣いは基本的には中間色が多いが、時には赤をうまくあしらっている。描かれる素材は、花や動物、ファンタジーや民族衣装など様々。プリントファブリックなので幸いにそれほど高価というわけではないので、欲しくなるようなものばかりである。
ヴェネツィア
2024/09/21 16:58

とりわけ触手が動くのは、スカンセン野外博物館を描いたクロス、民族衣装のシリーズ、クリスマス用のクロスなどだが、これらを見に行くためだけに北欧へ行っても後悔しないだろうと思われるものばかりだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレ第二次大戦における戦争犯罪をテーマにした小説。主人公は西部方面軍防空作戦室情報主任(中尉)を務めていた琢也であり、小説は一貫して彼を視点人物として語られる。大戦末期に、彼は墜落し日本軍の捕虜となったB29爆撃機の搭乗兵を上官の命令で斬首している。戦後、占領軍は日本の警察を駆使して戦犯を次々に逮捕し、裁判にかけていった。そして、その多くには絞首刑が言い渡された。琢也は逮捕される寸前に逃げ、それから数年にわたる逃亡生活を余儀なくされる。作家は、その間の日本の戦後のありさまを克明に描いてゆく。最後には疲れ果て⇒
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ミース・ファン・デル・ローエの住宅建築を代表するのが、このファーンズワース邸である。立地はシカゴの西方60マイル、フォックス河畔の28000㎡に及ぶ広大な敷地である。これがファーンズワースの別邸であったことが設計に大きく関わったと思われる。というのも、この邸の外面は総ガラス張りという、実に意表を突いたものであるからだ。ここに住むのは、さすがに勇気がいるが、イリノイの大自然に包まれた別邸と思えば、これほどのものもないだろう。編者の五十嵐太郎氏は「シンプルかつミニマルに還元されたモダニズム」と評している。
Himeko is not cat
2024/09/22 08:35

四季折々の写真を飾っておきたくなるファンズワース邸。さすがに今の年齢の私は住みたいとは思わないけれど、若い時はミースやバウハウスが最高にカッコ良かったです!less is moreの世界ですね✨

ヴェネツィア
2024/09/22 08:39

Himekoさん、"Less is more"は解説でも語られていました。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
鈴木のりたけ作。グラフィック・デザイナーを経て絵本作家になった。本書の主人公は小学校2年生くらいの男の子。彼が遭遇した様々な大ピンチを描く。冒頭は「ぎゅうにゅうがこぼれた」(表紙)。たしかに大ピンチである。他にも「パンがくろこげ」だとか、「トイレのかみがない」など、いたって日常的である。子どもたちはそうした大ピンチをかいくぐって大きくなってゆくのだ。自分自身の大ピンチを振り返ってみると…小学校2年生の時に豆電球の表面の舌触りを確かめようと口に入れて味わっていると(なぜそんなバカなことをするのだ!)⇒
ヴェネツィア
2024/09/23 09:38

みつちゃさん、他の誰のよりも大大ピンチじゃないですか。

みつちや
2024/09/23 11:23

子供の頃って考えると肝が冷えることばかり。陰で泣くほど大人しい方でしたが好奇心は旺盛。だから今は本を読んでるんだと思います。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の長谷川淑子氏は日本の七宝をリードする実作者。各地で七宝の個展、グループ展を開催。本書は「新技法シリーズ」の1冊として出版されているので、技術的な解説が中心である。私は実作の経験が全くないので、判断の基準を持たないが、専門的な技法が開陳されているが、素人にもわかりやすく、また豊富な図解入りで懇切丁寧に説明されているように思われる。カラーの実例も多く、見ているだけでも、七宝の世界の広さと美しさを堪能できる。
ヴェネツィア
2024/09/20 16:23

巻末には七宝絵具や電気七宝炉などの専門店の広告まであり、これから始めてみようとする人には便利そうだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
(感想は「龍の子太郎」のみ)この作品は、講談社児童文学新人賞、国際アンデルセン賞優良賞、サンケイ新聞児童出版文化賞を受賞するなど、評価の高い松谷みよ子の1960年代の代表作。人形劇になるなど人気作でもある。人気の秘密は色々とあるだろうが、まずは主人公の造型が時代を超えた普遍性を持っていることが大きいだろう。そして、赤鬼、天狗、雷、龍(母)、あやと物語を構成する人物たちの魅力がこれを支えている。また、文体の上からはオノマトペの効果を最大限に活かしていることも見逃せない。
ヴェネツィア
2024/09/20 16:11

これが太郎の成長物語であり、同時に英雄譚であるといった古典的なプロットの安定性が大人たちをも安心させるのだろうと思われる。なお、『ふたりのイーダ』の感想は別稿で書いています。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
玄奘が長安を立ったのが629年。そして帰朝したのが645年。実に足かけ17年に及ぶ西域と印度への旅であった。巻末に付された地図を見るだけでも気が遠くなりそうである。唐の勢力が直接及ばない、文字通り辺境の地(西域)、あるいは異世界(インド)に向かったのは、ひとえに玄奘のあくなき宗教的な情熱の故であっただろう。この第一巻ではガンダーラまでが語られる。どうやら天山山脈に沿っての行程だったようだ。タシュケント、ブハラ、サマルカンド、バーミヤンといったお馴染みのシルクロードの町が登場する。もう既に遥か彼方である。
ヴェネツィア
2024/09/20 11:13

この巻では、説話的な章段はあまり見られないが、屈支国の王と王弟の説話が語られている。また、説話ではないが印度総説の中で、ブラーフマナ、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラの記述が見られ、互いに通婚が行われないことなどを述べている。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
エドアルド・ペチシカ文、絵はヘレナ・ズマトリーコバー。二人ともチェコの人。お話は雪の日にはじまり、春、夏を経て秋にリンゴの実を得るまでを叙情豊かに語るもの。基本的にはリアリズムであり、動物たちがしゃべるが、ファンタジックな要素は薄い。これを支える絵は、いかにもチェコという構図とタッチである。はっきりとした枠線に、これまたはっきりとした彩色が施されている。そこはかとなくほのぼのとした絵本だ。
ガジュマル
2024/09/20 11:24

「百聞は一見にしかず」ですね。色々手に取ってみようと思います♪

ヴェネツィア
2024/09/20 11:37

ぜひご自身で見てみてください。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ピーター・スパイアー作。この人はアムステルダム生まれだが、主にニューヨークで活躍した絵本作家。コールデコット賞をはじめ、数々の賞を受けるなど輝かしい経歴の持ち主である。本書はもっぱら絵が語る。ペンに水彩で丁寧に彩色された細密な絵である。エデンの園にいるアダムとイヴを思わせる冒頭のページから、最終ページのカラフルで賑やかな、アメリカの理想を体現するような光景までを描き切る。登場するのは、延べ16000人にもおよぶ人、人、人。全体を貫流するテーマと主張はきわめてはっきりしている。すなわち、多様性こそが価値だ⇒
ヴェネツィア
2024/09/19 19:49

⇒ということである。これまたアメリカが掲げる理想そのものである。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
岸本葉子のモンゴル紀行。写真は水村孝。出版社の企画もののようで、カメラマンを含め、スタッフが何人かが同行。そのような紀行なので、モンゴルのポイントはいくつか押さえてはいるものの、迫力がなく観光旅行めいているのは残念。まずはウランバートルだが、この町は旧ソ連時代に急造された新興都市の典型を示す、およそ面白みのないもの。これを下回るのはブラティスラバの駅前風景くらいか。もっとも、ブラティスラバの旧市街は素晴らしいので、総合ではウランバートルの完敗である。続いて草原地帯とゴビ砂漠にも踏み込むのだが、これまた⇒
ヴェネツィア
2024/09/19 17:03

⇒既定の観光ルートを行くようで、驚きにも面白みにも欠ける。モンゴルを紹介する紀行が少ないだけにまことに残念である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これも高校1年生の時以来の再読。五木寛之のデビュー作。今読むとプロットも単純だし、幕切れも実にあっけないのだが、当時はロシア(とロシア文学)に対する熱い憧憬の思いで読ん でいた。主人公の北見が奏でるブルースと、単身でモスクワに乗り込むという行為にも憧れを抱いていたのだろう。これまた今読むと、西側世界に焦がれるモスクワの若者たちのナイーフ さには驚くばかり。 もっとも、それはモスクワの若者たちばかりではなく、北見も外交官の白瀬もまた、今の世の私たちよりは遥かに真摯な思いで生きていたのだろう。
クラムボン
2024/09/21 08:58

五木寛之の初期作品ですが、最近東京書籍から「五木寛之セレクション」と題してテーマ別作品集が4冊刊行されています(国際ミステリー集、音楽名作小説集、異国ロマンス集、サスペンス小説集) 今のところ読んだのは第1巻の「国際ミステリー集」だけですが、作品の選択も巻末の佐藤優との対談も良かったですよ。ヴェネチアさん、これからも五木寛之の初期作品を読むようでしたら、こちらも選択肢の一つに加えてみたら如何でしょうか。

ヴェネツィア
2024/09/21 09:04

クラムボンさん、おすすめありがとうございます。ただただ懐旧から読んでいました。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
伊勢に参詣した後は京、大坂まで脚を伸ばし、帰途は木曾街道から善光寺を巡り、めでたく帰江。続編『木曾街道膝栗毛』の予告付き。一九は執筆に際して、実際に取材旅行を敢行していた。現代と違って、各地のローカルな情報がなかなか江戸に届かなかったためである。また、編を重ねるごとに読者が増え、旅のガイドブックとしての実用性が高まったためでもあった。作中でも五編下に一九の偽物が登場する。これも実際に起こったことを物語に取り込んだもの。さらには、五編追加では髪結いの場面が描かれるが、これも読者からの疑問、すなわち⇒
ヴェネツィア
2024/09/19 08:23

⇒弥次郎兵衛、喜多八は道中一度も髪結いをしないのはおかしいとの指摘に即刻答えたものである。マンネリを心配していた一九にはまさに渡りに舟だった。実地の取材、宣伝(道中の店も、自身の新作も)、読者からの声、と『膝栗毛』は商業ジャーナリズムを主導してもいたのである。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
タネリと自然(それは藤蔓であったり、風であったり、蜂であったりと実に様々な形をとるのだが)との独特な触れ合いを描く童話。自然は美しく、そしてまた厳然とそこに存在するのだが、それにしてもタネリは孤独だ。わずかに母親こそ登場するものの、それ以外ここには全く人間が登場しない。タネリの友だちは不在なのである。それに対してタネリが直接的に寂しさや孤独を表明するわけではない。それはひとえに読者の側からのそれなのだが。
ヴェネツィア
2024/09/18 16:51

息子が幼稚園児の頃、やはり彼には友だちがいなかった。そのことを訴える彼に妻が「たっちゃんにはレオン(カメレオン)もミャーちゃん(猫)もちゃんといるよ」と言うと、彼は「ニンゲンのともだちがほしいよう」と激しく泣いた。そんな彼は若くして逝ってしまって今はもういない。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者のジョン・ギロウは30年以上にわたって世界を旅し、織物の蒐集、研究を行ってきた。本書はいわばその集大成のようなもの。まずは「様々な素材」から。獣皮、羊毛をはじめとした動物の毛、フェルト(なんと最古のスキタイの古墳のものは紀元前500年)、綿、絹、樹皮、亜麻、ラフィア等。次いでは織り方の様々。これも実に多様だ。そして染色技法、針の技法と続く。貴重な写真が多数収録されていて、門外漢の私などはただただ感嘆しつつ眺めるのみ。これらを見ていると、おそらくは現代の先端のデザイナーたちにも大きな刺激を与えている⇒
ヴェネツィア
2024/09/18 16:41

⇒ものと思われる。とりわけそんな気がするのがケンゾーである。またイッセイなども。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
江戸期最大のベストセラーにしてロングセラーの膝栗毛。発端は、全体の中ではやや浮いた感じもするが、最初に弥次郎兵衛と喜多八の人物造型を固めておきたかったのだろうか。二人の東海道の道中を描くロードノヴェルであるから、作家にとってはマンネリの怖れが常に付き纏っただろう。それには各宿場での名物ものの紹介などでしのぎつつ、逆にはその都度新たな人物を登場させるという利点もあった。また、当初は純然たる戯作のつもりであっただろう。そのことは、本書が狂歌を散りばめた歌物語の構想をとっていることからもうかがい知れる。
ヴェネツィア
2024/09/18 12:09

版を重ねるうちに(あるいは一九自身も予想していなかったかもしれないが)、本書は次第に実用的なガイドブックと認識されるようにもなった。そして、そうなると各地の名物、名産は言うに及ばず、例えば大井川の渡しの場面のように値段の相場もわかる仕掛けは大いに喜ばれたに違いない。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
中新井純子・作。この人は日本絵本大賞他を受賞しているイラストレーター出身の絵本作家。お話というものはなく、各ページに「びりびり」や「ぴっ」などのオノマトペのみ。絵も、絵というよりはイラスト。色彩もフォルムもいたってシンプル。その分インパクトはいたって強い。幼児向けだろうが、読み聞かせに繰り返し登場し、長く愛好されるのではないだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
童話作品だが、これで一応は完結しているようにも、あるいは未完のようにも見える。主人公の尋常3年生か4年生の頃の回想という形式をとる。回想時の年齢は不詳だが、まだ大人になってはいないと思われる。場所は楢渡の崖で、火山灰に埋もれた「毒々しく赤い」溶岩流といった地形であった。馬番の理助の導きで、その近くの蕈(キノコ)の密生地に行くのだが、1年目は理助に欺かれる。そして2年目に友人と訪れ、この度は蕈を手に入れる。それらのことが話題の中心であるように見えるが、実態は赤い崖の地が持つ神秘的な力の表出にあると思われる。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
神奈川県二宮町にある吉田五十八の自邸。1944年に疎開先であるこの地に建てられた。新興(近代)数寄屋といわれるスタイルである。吉田は日本の伝統建築に近代性を与える鍵は「明朗化」にあるという。すなわち「横の線」をすっきりと整理することがその具体的な実践であった。もっとも、写真で見るだけでは十分にその神髄が伝わらないと思われる。この建築の良さを知るには、実際に体感する必要がありそうだ。さらにいえば、住むことで各部屋(概ね6畳か4畳半)と庭や採光のあり方がしみじみと感得できるだろう。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
谷川俊太郎・文、柚木沙弥郎・絵。「そしたら そしたら」と次々に展開してゆく連想ゲームのような絵本。でも次のページではどうなるのか全くわからない思いっきり大胆な構想。そして、どのページにも登場する常套的な(あえてそうしているのだと思われる)オノマトペ。それを支える(というよりも、どちらが主であるかわからない)柚木の絵がこれまた力強い描線と構図。最後は再び循環するのも面白いし、おまけのすごろくも楽しい。おすすめ絵本。
ヴェネツィア
2024/09/17 10:45

北海道ですか。いいですねえ。今年はまだ寒くなくて、涼しくて快適だったでしょう。

yomineko
2024/09/17 10:55

最高でした\(^o^)/もう猫がいなければ帰って来ていなかったと思います😊会社に凄く立派な宿泊施設があり、仕事もそこでやらせて頂き、至れり尽くせりでした。涼しさがもう嬉しくて、朝晩は15度でしたが、半袖でお散歩しましたよ🎐🎐🎐🎐

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
後半の「ましろきそら」の繰り返しは明るい希望が見えないでもないが、それにしても最初の詠い出し「たゞかたくなのみをわぶる」は、定型からもはずれ一層に悲痛なまでの淋しさを伝えてくる。そして、これに続く「なにをかひとにうらむべき」は、そうした哀しみがさらに内向してゆくかのごとくである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ネタバレ本作は第171回芥川賞受賞作なのだが、直木賞だと聞いても納得しそうな文体、内容である。芥川賞と直木賞は本来的には大きく異なるが、時として近接したり、またオーヴァーラップすることもある。山田詠美の作品がそれを端的に物語っているだろう。さて、本書だが、外装修繕の会社に勤める波多のサラリーマンとしての煩悶(そこには家庭で夫たること、また父親であることも含まれる)と、それとは本来は何の関係もなかったはずのバリ山行とが並行して語られてゆく。最終的にはそこから解脱し(は言い過ぎだが)自己を取り戻す物語である。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
東西ドイツの統合、そしてEUの拡大とヨーロッパの国境の様子やあり方も甚だしく変容しつつある。私が旧東ドイツへの国境を越えたのはもう統合されてからであったし、列車であったので、いつの間に東ドイツ地域に入ったのかはわからなかった。ただ、車窓からの風景が単調になり殺風景になったといった変化は感じられた。他の国境越えもほとんどが列車だったが、最も劇的な変化を感じたのはシンプロン峠を越えてのイタリアからのスイス入りと、スロヴェニアからやはり峠越えでオーストリアに入った時である。今や国境といっても何があるわけでも⇒
wassermusik
2024/09/16 14:24

日本に住んでいると国境の存在が明確に感じ難いですね。島国、特に大陸から切り離されていると地図上で分かっていても他国の存在を身体で強く感じられません。飛行機で着陸すると周りの人々や景色で異国だなと思えますが、何故か過去に見たり読んだりしたその国についての知識と比べてみて違和感を抱いたりします。ここは本当にベルリン? その点、列車や車移動だと順応し易いですね。面白そうな本なので読んでみたいです。

ヴェネツィア
2024/09/16 15:50

wassermuusikさん、統合前の東西ドイツの国境は、これぞ国境という感じがひしひしと伝わったでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ふくだすぐる作。みんながお腹をすかせているところにたった一つのりんご。それをお猿が奪って逃走し、みんなが追いかける…というお話。2度の「…ふりをした」が、いわばお話のミソか。ただ、あかちゃんお猿は、お話としてはちょっと反則気味。絵は一見、小学生の絵のようにも見えるが、そこはさすがにプロ。動物たちの表情の変化や構図は上手い。
ヴェネツィア
2024/09/16 07:54

草食動物も肉食動物も、アフリカのサヴァンナにいるライオンも北方に生息するクマもニホンザルもみんな共生。生態系のことが気にならないでもないが、絵本だからいいのかな。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
朝比奈秋は初読。この人は本作以前に三島由紀夫文学賞をはじめ、既にいくつかの文学賞を受賞しており、医師との二足の草鞋ながら、作家としてこれ以上ないくらいに華々しい活躍である。タイトルの意味は作中で明かされるが、相補相克をシンボリックに表す陰陽図(陰陽魚とも)をサンショウウオに見立てたものであり、これはそのまま主人公の杏と瞬の暗喩でもある。小説のテーマは単に「私」というアイデンティティを超え、意識もしくは思惟することの本質に迫ろうとするところが斬新である。また、それを語る話法にも工夫が凝らされており、⇒
ヴェネツィア
2024/09/15 16:51

⇒読者もともに彼らの混乱と困惑とに巻き込んで行くのである。ただ、設定が相当な程度に特異であるために(あり得ないことではなく、本作でも言及されているようにアビー&ブリタニーの例もある)あるいは小説世界への投入が困難であるかもしれない。父親の特殊な出生の状況が先に語られているが、これとてもやや説明的に過ぎるようにも思う。

ヴェネツィア
2024/09/15 16:53

萩尾望都の『半神』を想起するが、あれはいわば20世紀型のアイデンティティの物語であり、こちらは21世紀型の意識の物語か。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ストックホルムにある27軒のアパートを訪ねてゆく。お部屋を見せてくれるのは、今回もデザイナーなどギョーカイの女性たち。表紙のリヴィングは広そうだが、概ね実際は、それほど面積がなさそうだ。それでも広々として見えるのは、余計な家具がないことと、インテリアに関するセンスのよさゆえだろう。色調は全体にはシックでありながら、要所要所が巧みにカラフルだ。それが大人のムードを演出するのに効果を上げている。そして、それは同時にストックホルムらしさでもあるのだろう。
ヴェネツィア
2024/09/15 16:23

本書のタイトルは『北欧ストックホルムのアパルトマン』としているが、スウェーデン語ではアパートは"lägenhet"である。この言葉には一般に馴染みがないのはわかるが、ではなぜアパートとせずにアパルトマンとフランス語にしたのか。おそらくは、アパートでは安っぽく響くし、かといって本来の意味を知っているだけにマンションとは名乗りにくい。そこで、無理を承知でアパルトマンとすることで安っぽさを回避しつつ、都会的なセンスを示したつもりというのが著者たちの思惑だったと想像される。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
初めて読んだのは、高校1年生の時だった。私はこの小説の向こうに五木を通してロシアを望見していたのだった。そして、早稲田の露文に痛切な憧れを抱いていたのである。ここに引用されていた「われ蒼ざめた馬を見たり。その馬にまたがれる者の名を死と言う。冥府その後にしたがえり」というロープシンの言葉に、文学の持つ力を感じ、全身に震えのような感覚を覚えていたのだった。ここからは、レールモントフやドストエフスキーまではほんの1歩だったのである。実に久しぶりに再読したが、あの感覚が全的に蘇ることはなかった。そこにはこれまで⇒
みも
2024/09/15 22:44

若い頃…僕も五木に惹かれました…僕は、その東欧の匂いに酔い、高き壁が聳えるソ連圏の国々に思いを馳せました。悔恨…ヴェネチアさんからは想像し難い言葉に意外な一面を垣間見た気がしています。僕も同時に懐古心を呼び覚ましました。

ヴェネツィア
2024/09/16 04:55

みもさんもでしたか。私は久しぶりにこの作品を読んで、胸を熱くしました。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ジョシュ・ファンク文、スティーヴィ・ルイス絵のコンビによるニューヨーク公共図書館シリーズの1冊。今回は2頭のライオン(ペイシェンスとフォーティテュード)による夜のマンハッタン探検。絵では2頭ともけっこう高齢に見えるが、100歳を優に越えているのだからむしろこれがリアルな姿か。2頭が巡るのはタイムズスクウェア、セントラルパーク、たくさんある図書館の分館(88もあるそうだ)、ハーレム、アッパーイーストサイドからローワー・マンハッタンからさらにはハイライン公園を経るというもの。
ヴェネツィア
2024/09/15 08:23

アリスやアンデルセンも登場し、楽しく美しい1冊。こうして見ると夜のニューヨークはまさにワンダーランド。現実もこうだといいのだけれど。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
先日読んだ東京書籍版と同じアルヴァ・アールト設計のマイレア邸(本書ではVilla Mairea)だが、こちらはずっと大きなサイズの写真で見ごたえがある。立地は想像していたよりももっと森の中のようだ。玄関は個人宅というよりはホテルのエントランスみたいで、これはそぐわないように思う。プールもあるが、さて年間に何日使えることやら。冬の景は雪こそ少なそうだが、さすがに寒そうな風情。天井の高い室内空間はいいが、細い木を敷き並べた天井材はチープな感じがしないでもない。
すぶたのまるやき
2024/09/14 23:08

ヴェネツィアさんの選ぶ本は気になる本が多いですね。アアルトは建築も素晴らしいですが、家具が有名ですよね。現在流通している形の椅子やスツールも、アアルトらしさが多いですから。

ヴェネツィア
2024/09/15 06:49

すぶたのまるやきさん、私は知らなかったのですが、アアルトの家具は高く評価されているようです。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
下巻に入ってスピード感は上がるが、同時に凄惨さは増してゆく。そもそもの発端であったルボーによる列車内でのグランモラン裁判長の殺害、そしてジャックによるセヴリーヌの殺害、さらにはミザールの毒殺事件、フロールによる列車転覆事故で多数の死者が出る。これではもう獣人ばかりではないか。ラストシーンがまた凄まじい。疾駆する機関車でのジャックとペクーの死闘は、両者の転落死によって終わる。さらには、この先に貨物列車に載せられている多数の兵士たちの悲劇が待ち受けている。それは大事故であるかもしれないし、たとえ免れた⇒
だいだい(橙)
2024/09/14 23:28

読んだ時の衝撃を思い出しました。そうなんですよね。本当に救いがない。でもこの救いのなさが当時の(子供の)私にはなぜか救いだったことも思い出しました。ありがとうございます。近々再読してみたいと思います。

ヴェネツィア
2024/09/15 06:47

だいだいさん、小説全体もそうですが、ラストシーンの予告する先は真っ暗闇です。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ピカソの陶芸作品だけを集めたもの。思っていたよりもたくさんある。巻頭に並ぶのはヴィーナスとタナグラの数々。いずれもプリミティブな味わいであったり、古代ギリシャの光を感じさせるものがあったり。次いではモチーフごとに。まずはジャクリーヌ。そしてフクロウ。ピカソはフクロウのギョロリとした丸い目が自分に似ているとして、お気に入りのモチーフだったようで、かなりたくさん製作している。そして、ピカソといえば鳩。さらには闘牛とヤギ、魚もバリエーションが多数。絵画では、ピカソは何度も変貌を重ねたが、陶芸はそれに比べれば⇒
ヴェネツィア
2024/09/14 11:15

⇒ずっと一貫性があるように見える。巻末に作品リストが付されているが、陶芸作品は個人蔵のものが多いようだ。美術館に入っているものでは、やはりアンティーブのピカソ美術館が圧倒的に優勢である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
かがくいひろし作。本書は講談社絵本新人賞を受賞した、著者のデビュー作。50歳での絵本作家デビューであったらしい。タイトルは韻を踏んでいて、表紙絵とともに暖かな雰囲気が伝わる。お話は食べられることを怖れた鏡餅が逃げ出して、という他愛もないもの。やはり独特のタッチの絵が生命だろう。最後のページの犬、猫、鶏、ミミズはご愛敬か。かなりの人気絵本のようなのだが、私には何がそんなにアピールするのか今一つよくわからない。なお、全国学校図書館協議会選定図書にも選ばれている。
なつ
2024/09/14 09:00

久しぶりのコメント失礼します!かがくいさんは今年の巡回展で知りました。彼の作品の背景を知ることができて興味深かったです😄 https://kagakuihiroshi.com/

ヴェネツィア
2024/09/14 09:16

なつさん、皆さんの感想を読みましたが、子どもたちには大ウケのようです。かがくいさんは、せっかく絵本作家として成功しながら、54歳で急逝されたとのこと。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
七・五調の文語定型詩。なんとも難解な詩である。1行目「白日雲の角に入り」白日はいい。だが、雲の角という表現は初めて見た。この「角」がよくわからない。2行目「害条桐を辞し堕ちぬ」ーこれはもう全くお手上げである。主語は「害条」か。聞いたこともない言葉である。桐を辞しもまたイメージできない。これらに比べると後半の2行「黒き豚は巣を出でて キャベヂの茎を穿ちたり」は、かろうじてイメージが浮かぶか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これもレオ=レオニの作。訳は谷川俊太郎。としよりうさぎに「りんごにてだしはしないこと」と言われていた二匹の子うさぎは、へびにすすめられてりんごを食べてしまう。てっきりエデンの園のアダムとイヴのお話のように展開するのだと思ったが、意外にもへびは温厚であった。一方、きつねはここでも悪役である。結局はほんわかしたお話なのだが、レオニの絵がこれを大きく飛躍させている。タイトルロールはうさぎだが、実質的な主役はヘビ。しかもカラフルで愛らしいヘビである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これ自体で自立した小説だが、同時にルーゴン・マッカール叢書の第17巻に位置付けられる。主人公のジャック・ランチエは『居酒屋』のジェルヴェーズの息子である。最初はルボーが主人公かと思ったし、ルボーもまた「獣人」の資格は十分に満たしている。書かれたのは1890年であり、まさに世紀末なのだが、この小説にはあまりその影を落としてはいないようだ。むしろ、ロマンティシズムを廃し、リアリズムに徹することこそがゾラの選んだ方法なのだろう。また、本書では鉄道が大きな役割を果たすし、それは隠喩的な働きをもしていそうである。⇒
ヴェネツィア
2024/09/14 05:15

だいだいさん、ゾラを3冊も読んでいる人は少ないでしょう。なにしろいずれも本が分厚いボリュームですから。

だいだい(橙)
2024/09/14 10:49

そうなんですね。子供の時だからこそ読めたのかもしれませんね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
南方熊楠が採集し、スケッチに描き留めた菌類図譜。A4判サイズの画用紙に描かれていた資料をミナカタ・ソサエティが整理。全部で4782葉あり、うち1689種は新種であったらしい。本書はワタリウム美術館がさらに編集したもの。おおむねどのページもキノコの水彩画と細かな文字の英文で覚え書きが(かなりギッシリと)付されている。観察力はもちろんだが、画力も相当なもの。巻頭言を書いている和多利恵津子氏は、現代美術のヨーゼフ・ボイスやサイ・トゥウォンブリに比肩するものとして扱っているほど。熊楠といえば粘菌の研究を⇒
ヴェネツィア
2024/09/13 08:01

⇒想起するが、この菌類図譜の成果も驚異的なレベルかと思う。また、目にも鮮やかな絵とデザインは美術的にも価値がありそうだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
この巻はマイレア邸である。所在地はフィンランド西部の港町ボリからさらに20分くらい(車で)離れた、森の小高い丘の上に建っている。敷地はそうとうに広い。設計は20世紀を代表する建築家の一人であるアルヴァー・アールト。本書では設計のためのスケッチを多数収録していて、プランの推移を知ることができる。外観はコンクリートに木を多用するもので、そうしたところはフィンランドらしいかと思う。室内はもちろん、木がふんだんに用いられている。なお、随所に日本建築からの発想も取り入れられているようだ。
ヴェネツィア
2024/09/12 16:57

アルヴァー・アールトの建築はフィンランド国内に多数あるばかりか、ヨーロッパ各地にも15カ所くらい点在するようだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
戦後に書かれた(1949年)最初の小説だが、少なくても表面的には戦争の影はない。戦中はナチスに迫害されたケストナーにとっては、むしろそうしたものを払拭した明るい世の中を描きたかったのかもしれない。もっとも、物語の前提になっているのが両親の離婚なので、明るいばかりではないのだが。この物語はロッテとルイーゼのそっくりな双子の存在が前提になっており、次いでは互いの境遇を交換するというアイディアが物語を大きく動かしてゆく。イレーネ・ゲルラハという敵役も必須であったが、それは物語をわかりやすく、単純化する役割⇒
ヴェネツィア
2024/09/12 16:40

⇒を果たすのである。構成はかくも、よく言えば明快、意地悪な言い方をすると見え透いたものであるが、それらを吹き飛ばすくらいにロッテとルイーゼが魅力的である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
マリア・カラスの評伝。写真多数。著者はレンツォ・アッレーグリとロベルト・アッレーグリ父娘。二人は共に著名なジャーナリスト。さすがにカラスだけあって、思い出を語るのもカルロ・マリア・ジュリーニやフランコ・ゼッフレッリ等である。「カラス神話」と言われるほどに逸話が多い、いわば波乱万丈の生涯である。とはいっても、それは常に栄光と礼賛に包まれていたのだが。一般にオペラ歌手はその全盛期が短いのだが、カラスに限ればそれは随分長かった。さすがに晩年は孤独であったと伝えられるが、それでも写真からはとてもそうは見えない。
tacchiniyan
2024/09/12 18:04

「カルメン」のCD(EMI)を何度も聴いています。演奏と歌唱が素晴らしいです。

ヴェネツィア
2024/09/12 18:16

tacchiniyanさん、私のカルメンの原点です。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ウィリアム・スタイグ作。スタイグは本書で全米図書賞、銀の絵筆賞(オランダ)を受賞しているばかりか、他の作品でもコールデコット賞、フェニックス賞を受賞するなど絵本作家としては輝かしい経歴の持ち主。本書は看板に「ネコやその他きけんな動物のちりょうはおことわり」と掲げているのにやってきたキツネ。はてさてチュー先生とおくさんの計略は…というお話。キツネはまたしても嫌われ者。もっとも、本書ではヤンワリとソフトではあるが。スタイグの絵が素晴らしい。中景もだが、アップでいっそう本領を発揮する。キツネの狡猾そうな⇒
宵待草
2024/09/12 08:42

ヴェネツィアさん おはようございます。 『歯いしゃのチュー先生』のレビューを嬉しく拝読しました!❇️ ウィリアム・スタイグは、好きな絵本作家の一人です。 特に蔵書絵本の『ロバのシルベスターとまほうの小石』は、大のお気に入り絵本の一冊です!💕 何時も、一般書籍から、美術書籍、絵本に至るまでの、幅広い選書&レビューを感心しつつ、楽しみに拝読して居ます、有り難うございます!🙋 残暑の今日も穏やかな、良きひと日で在ります様に!✨ 宵待草

ヴェネツィア
2024/09/12 09:12

宵待草さん、いつもありがとうございます。私はこれがスタイグとの初めての出会いでした。他のものも探してみます。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
最初の写真が築地本願寺での葬儀というのは悪趣味。これなら、まだ市谷駐屯地での演説シーンの方がましだと思う。続いてはおおむね編年体で(ただし最初は学習院初等科入学の頃だが)1歳からはじまって、再び葬儀の場まで。自筆原稿の写真が多いのは貴重。カラーページは紹介されることの多い大田区南馬込の三島邸。いつも思うが、およそ三島のイメージにそぐわない少女趣味の(は言い過ぎか)白亜の洋館である。自衛隊での体験入隊で訓練を受ける写真などもあるが、著作権の関係か「血と薔薇」のマゾヒスティックな写真はない。
madoque
2024/09/12 00:29

少女趣味、意外とあってる、当時、ニュースで自宅みたときに違和感がなったかと、そのあたり澁澤龍彦と根底で繋がってる感じがする、と

ヴェネツィア
2024/09/12 07:06

madoqueさん、これが澁澤邸だとそんなものかなと思いそうです。普通に想像すれば、三島邸は純和風かと。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
昭和の大女優、和楽京子(石田鈴)の一代記を、ごく普通の青年、一心の目を通して語るという趣向。和楽には特定のモデルはなく、何人かの女優のエピソードを踏まえながらも、創造された女性かと思われる。一心が初めて彼女に会ったのは、すでに女優を引退して十数年後であり、彼女は老境にさしかかろうとしていた。吉田修一が上手いのは、そんな彼女の持つオーラの力を随所に感じさせることである。一心はしだいに彼女に魅かれていくのだが、読者もまた彼女の像を一心の視点に重ね合わせて行くのである。もちろん作家は彼女の光と影(それは長崎の⇒
ヴェネツィア
2024/09/11 17:04

⇒被爆と大いに関わるのだが)を描き出すのであり、そこに鈴を超えた女優、和楽京子をトータルに現出させてゆく。最後の3行が甘すぎるのはまことに残念である。なお、ケーキを切り分けるシーンなど、微細な感情の在り処を表出する芸の細かさも見せる。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
朝鮮民族に伝わる神話。白頭山は北朝鮮と中国吉林省の国境地帯にある火山。標高2744m。天地創造から始まる壮大な物語。特徴的なのは、原初には2つの太陽と2つの月があったとすること。白頭巨人と黒龍巨人の壮絶な戦いは、変身合戦を交えるなど、吉備国に伝わる温羅伝説との相通性もあり興味深い。韓国のイラストレーターのリュウ・チェスク作。絵も内容に呼応して力強い描線が特徴。スケール感も大きい。
はる
2024/09/11 12:26

ヴェネツィアさん、とても気になって色々ググりました。倉敷市のHPに温羅伝説を古代史として推論したページがありました。桃太郎の鬼退治を大和と吉備勢力の構図で語り、その中に血吸川の鉄の話が有りました。鉄はヤマタノオロチと思ってましたので、意外だったのですが、資源領有を巡るものだったのかな?とか、タタラ技術が渡来技術で渡来人が持ってきた伝承をオーバーラップさせた内容になったのかなとか、古代ロマンへの尽きない夢になりました。

ヴェネツィア
2024/09/11 12:53

はるさん、温羅伝説はいろいろと興味深いでしょう。私の入口は『雨月物語』の「吉備津の釜」からでした。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
あまり童話らしくはないが、それでもしいて分類するならばやはり童話なのだろう。卒業式の一場面がニュースフィルムのように切り取られる一方、大礼服に身を包んだ校長と、級長の富沢の内心が描かれる。なかなかに緊迫した場面ではある。富沢は後年の三島の『奔馬』の主人公の勲を思わせないでもない。この緊張のあり方がそうなのだろう。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
残りのページ数が少なくなるにつれて、どんなエンディングが用意されているのだろうかと楽しみであるよりも、むしろ心配しつつ読み進めていたのだが、最後は唐突とも思える結末であった。母親(魔女)との魔法による直接対決は予想通りであるにしてもあっけない上に、正と邪が二元論的な対立を見せてしまうのは残念である。これまでに語られてきた膨大なとも思えるSF作品に並ぶばかりか、そこに新たなページを(できれば金字塔をうち立てるごとく)付加するべく企図されたはずの本書。各賞において評価は高いが、期待値には遠く及ばなかった。
ヴェネツィア
2024/09/10 17:22

原題は"AMONG OTHERS"。邦訳題は、なんとか原題を活かす方向で考えられなかったものか。また、作品の中ではSFとファンタジーは区別されているのだが、昨今のヒューゴー賞やネビュラ賞はこれを区別せずに包括的に扱っているようだ。そして、本書を見る限りでは、SFがファンタジーに包摂されて行きつつあるかのような印象を受ける。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の鈴木孝寿氏は松下電器在勤中に欧州本部長等を務め、その間1981年~1983年までバルセロナに滞在。いわばアマチュアなのだが、本書は研究者の書くレベルに比しても全く遜色がない。最初にカタルーニャとバルセロナの歴史から説き起こし、カタルーニャ美術界の動向と、スペイン内戦期のたいへんな時期のカタルーニャ美術を語る。次いで、ロマネスク期のコレクションの解説(この部分こそがカタルーニャ美術館の最も貴重なコレクションである)、そしてそれ以降のモデルニスム・コレクションへと考察を進めて行く。
ヴェネツィア
2024/09/10 13:55

写真の少ないこと(しかもモノクロのみ)が唯一の欠点である。筑摩書房の頒価を上げないための措置だろうが、どうせ部数は少ないのだから思い切って大盤振る舞いして欲しかったところだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
谷川俊太郎+アムネスティ・インターナショナル作。いせひでこの絵。ハンサムで仕事でも有能なシランさん。社会的関心はあまり高くない。そんなシランさんが突然に逮捕される。雨の日にも傘をささなかったという罪状で。投獄され、社会的に抹殺されたシランさんに、世界のあちこちから励ましのお手紙が…といったお話。ヒューマニズムの底の浅さを感じる。アムネスティの広報をもくろむ絵本だが、逆にその限界をこそ示してしまっているようだ。それは、罪状を反政府活動にしなかった点に顕著に表れている。
だいだい(橙)
2024/09/10 09:58

アムネスティ、正直あまり好きになれません。知人が熱心に活動していて一度誘われましたが、新興宗教団体みたいでした・・・(すみません)。一番活動が必要なのは日本よりも中国とか北朝鮮だと思いますけどね。そういうところでは無力なのだろうから、正直無意味な気がしています。

ヴェネツィア
2024/09/10 10:43

だいだいさん、私はアムネスティについてはおおよそのところしか知りませんが、この絵本からはおよそ期待が持てないような気がします。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書はヒューゴー賞、ネビュラ賞、さらには英国幻想文学大賞を受賞しているのだが、上巻を読む限りでは幻想文学大賞はともかく、ヒューゴー、ネビュラ両賞の理由が全くわからない。少なくてもこれまでのところはSFという要素がおよそ見当たらないからである。モリ(主人公、15歳の少女)の日記の中にはたくさんのSF作品が登場するが、彼女の書評めいた言説が下されるばかりである。母親はどうやら魔女であり、モリ自身も魔法使いの素養がありそうなこと、またモルの死とモリの足の怪我の秘密も明かされていない。下巻では一気に展開するか。
ヴェネツィア
2024/09/09 17:51

モリが最高度のSFと位置付けているのは、トールキンとル・グイン。これは私も全面的に賛成だが、トールキンをSFという範疇に入れるとすれば、ヒューゴー、ネビュラ両賞の選考も同様の立場をとっているのだろうか。あるいは、私がSFとファンタジーを分けて考えているのがもはや古いのだろうか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
表題からすれば、二人で酒を酌み交わしている情景が描かれているのだろう。冒頭は「嘆きあひ」に始まるが、互いに何を嘆いているのだろう。それが具体的に明かされることはない。みぞれの降る三月の宵に二人はひたすらにかこち嘆くのである。文語定型詩にしても詠うスタイルは古く、高踏的な言い回しが目立つ。「かくてわが  ふるさとにこそ」、「すだけるは 孔雀ならずや ああなんぞ  南の鳥を ここにして  悲しましむる」といった表現がそうである。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の露木宏氏は装身具史研究家。氏の目的別分類によれば、それは5つの効能ということになる。①「自己を美しく装う」②「邪を払い、招福を願う」③「信仰・宗教の証」④「財産」⑤「民族のアイデンティティと誇り」がそれである。本書では、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ各地域の銀の装飾品を紹介している。銀の装飾はおそらくは古代から現代にいたるまで営々と作られて来たと思われるが、本書ではそうした歴史的な所産ではなく、あくまでも各国、各地域の装身具に目を向けている。いずれも逸品揃いで目移りすること必定である。
ヴェネツィア
2024/09/09 16:44

いずれも見ているだけでも眼福この上ないが、私が思うこれはという逸品は、パキスタン北部山岳地帯のコヒスタン族の首飾り、ウズベキスタンのこれも首飾り、オマーンの儀礼用短剣、イエメンの装飾品のすべて、モロッコの短剣、ナバホ族のターコイスと銀の装飾品など、もうキリがない。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
鉄のゲージツ家・怪人、篠原勝之・作。お話は、深海に住む闇色アンコウがイルカの半身を飲み込んで、キマイラのアニールに。そのままの姿で世界の海を巡洋して、再び太平洋の底の深海へというもの。お話も絵も、シュールレアリスムそのもの。とりわけ、バラバラ人間たちが空から降って来るあたりの絵はシュールの極み。また、全ページが黒一色で覆われており、これも奇怪さを大いに助長する。およそどう見ても子ども向きではない。この本を楽しめる子どもがいるとすれば、もうブルトンも脱帽の真正シュールの申し子。実に珍しい絵本。
オスカー
2024/09/09 10:36

検索して内容をチラ見しました。クマさんがこんな絵本を出していたとは知らなかったです。大人向けですね〜子どもは見たら怖い!と感じるのでは😅 https://aucview.aucfan.com/yahoo/x567853737/

ヴェネツィア
2024/09/09 15:03

オスカーさん、おそらく子どもは怖がるでしょうね。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これは未完の童話なのだろうか。それとも、賢治が農学校の学生たちを引率して行った地質実習の様子を再現したものなのだろうか。そのいずれにしても、文章はまだ推敲の余地がありそうだ。あるいは、このままの方が臨場感があっていいだろうか。また、生徒たちの名前に変わったものが多いのは、実記だとすればあえて変名にしているのだろう。先生としての賢治の様子がよくわかるが、教師としては実証的ないい先生だったと思われる。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書の刊行は1983年。それでタイトルが「ソ連」なのである。したがって現在は交戦状態にあるウクライナやバルト三国なども、この時点ではソヴィエト連邦の内にあった。編集も今は無きノーボスチ通信社。40年も経てば、もはや昔々だろうか。写真集だが、カラーページは少なく、大半はモノクローム。このあたりにも時代と、そしてなによりもソ連が影を落としているようだ。工業礼賛めいた編集もまたそうだ。それでも、ここで紹介されている地方都市にはぜひ行ってみたいと思わせる魅力に溢れている。
ヴェネツィア
2024/09/08 16:36

若い頃、新潟からナホトカに船で渡り、さらにハバロフスクからはシベリア鉄道でモスクワ、そしてフィンランドまで行ってみたいものだと、かなり痛切に念願していた。与謝野晶子はそれを実現したが、私はどうやら若き日の夢に終わりそうだ。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
本書は著者の大平一枝氏が、昭和10〜40年代(とりわけ20〜30年代)の日本映画のセリフから蒐集した言葉集。「職場編」、「恋愛編」など全6章のシーンに編集され、それぞれの言葉に短い説明が付されている。そして、それだけ。読み物としての楽しみはほぼない(少なくても私にはそうだ)。また、これを活用する場面も全く思い浮かばない。さらには、こうして集めてみると、自ずと昭和という時代の世相が顕わになるかといえば、それほどでもない。つまり、愚にもつかないというのが私の結論である。
ヴェネツィア
2024/09/08 13:25

酷評になってしまいました。著者ならびに著者のファンの方、あるいはこの本を大いに楽しめたという方々には申し訳ありませんでした。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文は松居直。この人は福音館の創業者にして文筆家でもある。絵の蔡皋は中国湖南省の画家。陶淵明の『桃花源記』に基づく絵本。お話はほぼ原話のまま。したがって、設定年代も晋代。独特のタッチで描かれた絵が素晴らしい。とりわけ斜め上から俯瞰された絵に威力を発揮するようだ。桃花の異境は、ことさらに美化されることがなく、常に桃花こそ咲いているものの、むしろ普通の山里である。そして、まさにそこに画家の強い意図が反映されていると見るべきだろう。すなわち、桃源郷それ自体は特別な地なのではなく、いつでもどこにでも実現可能な地⇒
ヴェネツィア
2024/09/08 08:28

⇒であるのだと。もっとも、物語はこの桃源郷をとうとう見つけることができず、伝説化してゆくという結末になるのだが。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
ルイス・バラガンが自邸、兼アトリエとして建てた家。メキシコ・シティ南西部の下町で低所得者の街であったタクバヤ地区の一帯を分譲し、その1区画にあるようだ。外観は得体の知れない感じである。塔を擁した凸凹の建物である。用途も不明に見えるが、スパイのアジトだと言われれば納得しそうだ。ただし、赤、ピンク、黄色、黒と壁面は所々カラフルである。自邸部分の内装は、どの部屋にもやたらに階段があることを除けば、意外にシック。スペイン風の梁と階段や床が木製で、そこに赤(時々、金)を配したメキシコらしいセンスである。
Himeko is not cat
2024/09/07 20:23

私もこの本を欲しくなりました!アマゾンでは買えないみたいなので、古本屋で探そうかな。メキシコらしさがあるんですよね✨

ヴェネツィア
2024/09/08 05:21

Himekoさん、随所にメキシコらしさが溢れています。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
死を物語の核に据えた短篇が7つ。三浦しをんの短篇は初めてだが、この人はじっくりと構想を積み上げて行く長編の方が、より本領を発揮できそうに思う。けっして短編が良くないという意味ではないのだけれど。ただ、ここにあるいずれの短篇も、何かを積み残したかのようなものが残ることも確かである。それ故にか、なんとなく終わったという感もまた拭えない。すなわち、読後に強い余韻が襲って来ないということが不満なのかもしれない。あるいは、それはそれぞれの作品の主題の構成が理詰めに過ぎるのでもあるだろうか。
tomatona
2024/09/09 09:00

三浦しをんさんの短編なら「きみはポラリス」が私は好きです!

ヴェネツィア
2024/09/09 15:02

tomatonaさん、そうでした。『きみはポラリス』がありました。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
作者のジェラルド・ローズは香港生まれでイギリスのイラストレーター。妻のエリザベスとのコンビでケイト・グリナウェイ賞も受賞している。お話は、王さま(インドのマハラジャ)の宮殿の広間のトラの敷物を羨んだトラが、生身のままで敷物になりすまし…最後はめでたしめでたし、というもの。本書の真骨頂はやはり絵。まず、どのページもとってもカラフルで躍動感に溢れている。また、マハラジャ宮殿と、そこにいる人々の様子がエキゾティックで魅力的なこと、表情のデフォルメも面白い。リアルだが、惚けた味わいのトラも楽しい。
ヴェネツィア
2024/09/07 08:05

この作家は今まで知らなかったが、もっと読んでみたくなる。お薦め。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
これまた難解な詩である。ここで詠われているのは、はたして何なのか。かたちは「収得に似て」(これ自体も意味不明である)、「面赤く鼻たくましき」これはまだいい。獅子舞の頭のようなものを想像すればいいのか。「その云ふや声肝にあり」は、まだしも「その行くや犠を索むる」がまたしても不明だが、全体としては人智を超えた強大な怪物のようなものを詠んだのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
現代ドイツの大きな転換点となった、1919年、1933年、1945年のそれぞれをタイトルに冠した3部作の2作目。ヒトラー台頭の年である。その前年まで民衆の支持は、社会民主党と共産党とが拮抗していた。ところが、左派には往往にしてあることなのだが、路線闘争と主導権争いから、この2党は互いに相手を毛嫌いしていた。今こそ大同団結が望まれる時にである。その間隙を衝いて登場してきたのがヒトラーのナチスだった。社会民主党も共産党もコミンテルンも、そしてブルジョアジーも等しくヒトラーを過小評価していた。どうせなにほどの⇒
てん子(^_-)
2024/09/07 22:58

と、無理言ってすみません💦素晴らしい作品なので推しすぎました。

ヴェネツィア
2024/09/08 05:20

てん子さん、ありがとうございます。ぜひ読みたいと思っています。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
著者の福島菊次郎はフリーの社会派カメラマン。本書は1950年代から80年代まで、瀬戸内の離島の様々なシーンを撮り続けたもの。いわば離島に定点を据えた時代の証言である。50年代は島にも戦争の後遺症が残る。また、戦後の復興からも取り残されたような暮らしである。漁船は依然として手漕ぎの舟である。60年代。世は高度経済成長に向けて走り出したが、島にはさしたる変化もなかった。対岸の徳山の化学工場から多量の水銀が流されるまでは。この頃から瀬戸内の島々は衰退し、滅びに向かい始める。水無瀬島のように無人島となる島が⇒
ヴェネツィア
2024/09/06 12:29

⇒出現する。一方、祝島には原発がやって来た。カメラは、これに断固反対する島民たち(高齢者が多い)を追うが、決起集会に向かう老人たちの表情や姿には三里塚のそれが重なる。空間を限定し、一方時間のスパンをとった写真の数々は、実に貴重なドキュメンタリーとなった。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
アンディ・ウォーホル初期の、まだほとんど無名時代に、レザー製品を扱うFleming-Joff社の注文を受けて製作したイラスト集を編集したもの。アンディは部類の「セレブ中毒」(あとがき)であったらしく、本書にもジャクリーン・ケネディやグレース王妃など、たくさんのセレブリティが実名で登場する。そして、すべてのページにいるのがボア(ヘビ)のノア。ある時はブーツに、またある時は帽子に、時には椅子にもシャツにも、枕にも。まさに変幻自在で ある。なにしろコマーシャル・アートでもあるので、見る人に不快感を与えたのでは⇒
ヴェネツィア
2024/09/06 08:22

⇒逆効果。したがって、いずれも可愛いノアである。アンディ・ウォーホルの、あるいはアメリカン・ポップアートのファン必見!

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
未完の戯曲。蒼冷と純黒の二人の対話から成る。彼らの語る言葉は多分に詩的なのだが、その内容は不条理劇のごとくであり、ベケットを想起する。ただ、どう評価していいのかは全くわからない。それは未完の故ではなく、賢治の意図を図りかねるが故にである。賢治に内包される詩的世界、あるいは物語世界の果てしなさを思う。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
この後編では、カーンの大都を離れ福建への旅程、そしてザイトゥン(泉州)の港を立ってから帰国の途に向かうのだが、まずはインドに関する報告がなされ、それに続いてチパング島が登場する。チパングは「東のかた、大陸から千五百マイルの大洋中にある、とても大きな島」であり、「礼節の正しい優雅な偶像教徒の国」である。この後に名高いくだりが続く。すなわち「この国ではいたる所に黄金が見つかるものだから国人は誰でも莫大な黄金を所有している」ー中略ー「この国の一大宮殿は、それこそ純金ずくめで出来ている」、「この宮殿の屋根は⇒
ヴェネツィア
2024/09/05 17:04

⇒すべて純金でふかれている」、「宮殿内に数ある各部屋の床も、全部が指二本 幅の厚さをもつ純金で敷き詰められている。このほか広間といわず窓といわず、いっさいがすべて黄金造りである」と語られ、これがかの「黄金の島ジパング伝説」である。この後に無尽蔵の富を伝え聞いたクビライ・カーンが「二人の重臣の歩騎の大軍と大艦隊を授けてこの島国に向かわせた」と記され、暴風雨によって大打撃を受けながらも、再上陸し一端は首都を占領したが、反撃にあって降伏したとの顛末が述べられている。時に1269年のことであった。

ヴェネツィア
2024/09/05 17:05

年号や経緯は多少違うが、黄金の島云々はともかくとして、概ねは史実通りか。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
この巻で取り上げられるのは、イームズ・ハウスである。映像作家でもあったイームズ夫妻が、自分たちの住居として建てたもので、ロスアンジェルスの西の端のパシフィック・パリセーズという高級住宅街にある。系統からいえば、ピエール・コーニング等のケーススタディハウスに属し、この建物はその#8である。住宅街とはいうものの、周囲は結構鬱蒼とした森に囲まれており、カリフォルニアらしい樹木層の中にある。建物そのものの外観は、素っ気ないくらいにシンプルな方形である。2階建てであることを除けば、典型的なケーススタディハウス⇒
ヴェネツィア
2024/09/05 11:11

⇒なのだろう。建物本体は軽量鉄骨構造だろうか。かなり軽そうな(つまり重厚感が全くない)印象である。終の棲家からは限りなく遠そうである。内部空間もまた森の中にいるという感じである。ただし、自然と一体というには、建物は全くウッディではなく、いたって人工的である。

が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
文のリウ・スーユエンも、絵のリン・シャオペイもともに台湾の絵本作家。お話は、子どもたちが恐竜バスで図書館へ。でも、図書館では恐竜は大きすぎて明らかに邪魔。そこで移動図書館の運搬車に、というもので、一応オリジナリティはある。絵はアメリカの絵本のタッチに似ているか。恐竜はここでもブロントザウルスのような草食恐竜。それはそうだろう。ティラノサウルスがこんなところに出てくれば、もはやそこはジュラシック・パーク。恐竜をはじめ、子どもたちや背景も可愛い。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
「宗谷㈠」とは独立した詩のようだ。ともに宗谷岬を詠むのだが、この時、宗谷は北海道の果てではあっても日本の最果てではなかった。すなわち、海峡の向こうに横たわるサガレン(サハリン=樺太)が当時は日本の領土であったのだから。そうはいっても、北のまた北の地という表象は強く表れている。賢治はその宗谷の岬の突端での夜明けを歌い上げるのである。やはり賢治には南ではなく、北の地こそが限りなく似つかわしい。
が「ナイス!」と言っています。
ヴェネツィア
京の街の大路、小路の合わせて138を詳述する。これだけ詳しいガイドブックはそうそうはないだろうと思われる。もっとも、ずっしりと重く、大判でもあるので携行するには全く不向きだが。以下はいたって私的な見解を。大路で歩いて楽しいと思えるのは、四条通くらいか。小路なら、まずは八坂通から二年坂、産寧坂、清水坂の東山ゴールデンルートを押さえておきたいところ。鴨川端から東山に抜ける裏ルートの一つ新門前通は両脇に骨董店が並び(しかも観光客が多くない)なかなかに風情のある通り。京都に何を求めるかにもよるが、なにしろ⇒
ヴェネツィア
2024/09/05 03:05

フクさん、この本はかなり詳しく街路が紹介されています。涼しくなってきましたから京都散策などいかがですか?

ヴェネツィア
2024/09/05 03:06

テディさん、完全制覇はおそらく京都に住んでいても難しそうです。歩いていると、こんなところにこんなものがという楽しみの多い街ですね。

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ヴェネツィア
この本を読むまでは、ネコと一緒にヨーロッパを旅することができるなんて思いもよらなかった。著者は写真家?なんとこれまでにネコのノロと旅した国が37カ国。ほとんどがヨーロッパだが+マグレブと中近東も何カ国か。旅するには幾分手ごわそうだが、アラブ諸国の人々は部類のネコ好きなのだとか。一方、ネコ旅に最も適した国々は南欧諸国。ごく当たり前のように受け入れてくれるようだ。一番やっかいなのは、おそらく動物検疫。これをクリアしないと入国も出国もできない。EU諸国にはイヌ、ネコ専用のパスポートまであるそうだ。
曲月斎
2024/09/13 09:31

今年で、カレンダーが終わるらしいですね。

ヴェネツィア
2024/09/13 11:07

曲月斎さん、そうなんですか。それは残念。ネタ切れでしょうか。

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ヴェネツィア
フランスの絵本作家エリック・バトゥー作。お話は、赤いお城の国と青いお城の国の戦争の顛末を語るもの。戦争を題材にしているにしては、テーマの処理が安直すぎるように思われる。また、全体としてもそうだが、個々の場面も図式的である。わかりやすいといえばそうなのだが。絵は特徴的で、王さまを含め、すべての人物たちがアップで描かれることがなく、すべて遠景から俯瞰的に眺める構図をとっている。したがって、兵隊たちもなんだかおもちゃの兵隊のようで、一層に現実性を欠く結果になっている。
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ヴェネツィア
ネタバレ小池真理子が得意とする怪談咄。ホラーというのは当たらないし、似合わない。あくまでも異形をモノガタル短篇が6つ。ホラーとの決定的な違いは、このモノたちの怖さがあくまでもケハイにあることだろう。巻頭の「面」は、結びが大声で語り過ぎるために、このケハイを逆に壊してしまったか。この点では続く「森の奥の家」、「日影歯科医院」、「ゾフィーの手袋」には隙がない。「山荘奇譚」は、影のようなモノが最後に姿を現すが、怖さでは一番か。そして、末尾の「緋色の窓」のロマネスクで物語集が閉じられる。
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ヴェネツィア
耽美とマゾヒズム趣味の横溢する短篇。こうした内容、文体の調子からは谷崎潤一郎の、例えば『痴人の愛』あるいは『春琴抄』が思い浮かぶ。乱歩は谷崎より8歳年少だったが、ほぼ同時代を生きたのであり、彼らにはこうしたモダニズムが共通するだろう。その上で乱歩のこの作品に特徴的なのは、手紙を二重構造にすることによる探偵趣味である。小説の末尾は種明かしのように見えなくもないが、それでもなお薄気味悪さは残るのである。すなわち、小説全体が持つロマネスクな世界は、同時に仮構を超えたリアリティをも併せ持っていたということになる。
ヴェネツィア
2024/09/03 16:36

yominekoさん、たしかにこれは感じ悪いですね。乱歩は上手い。

yomineko
2024/09/03 16:37

凄いお話ですよね✨✨✨さすがだと思います!!!

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ヴェネツィア
著者のキャロライン・クラブトゥリーはイギリスの刺繍家、クリスティーン・ショーはテキスタイル・アーティスト。本書は世界のキルトを扱うが、編集方針がやや変わっていて、第1章「素材」、第2章「用途」、第3章」構造」と、それぞれ機能別になっている。したがって、国や地域、民族ごとの特性はサンプルに掲げられた画像と解説から自分で読み取ることになる。キルトの実作者にとっては、おそらくこの方がいいのだろうが、そうではない私のような読者には、これはこれでありがたいようなそうでもないような。画像の美しさ、鮮明さは群を抜く。
ヴェネツィア
2024/09/08 14:26

宵待草さん、さすがに力のこもった、しかもキルトの本質を見事についたレビューですね。感服しました。

宵待草
2024/09/08 14:38

追伸 レビューの最後に、ヴェネツィアさんのお名前を、ヴェネチアさんと記して仕舞い間違えまして、ごめんなさい!🙇💦 過分なコメントを頂き恐縮して居ます!😔&有り難う!🙋 宵待草

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ヴェネツィア
くさのだいすけ・文、やぶうちまさゆき・絵。ペットに飼うのが恐竜という点を除いては日常の光景である。したがって、お話もなんらファンタジックというわけではない。それほど恐竜が現代生活に溶け込んでいるのである。もっとも、もし恐竜を飼育するのなら、こんなこともあんなことも考えないといけない、という思考法の訓練という側面はあるだろう。絵も徹底してリアリズム。主人公は草食恐竜のブロントザウルスのようだ。
ヴェネツィア
2024/09/03 07:05

巻末の「とうろくかーど」は、いいアイディア。恐竜についての説明的な部分はこれでわかる仕組み。たいじゅう15とん。

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ヴェネツィア
五・七調定型詩。意味のとり難い詩である。前半はまだ叙景詩として意味は明瞭である。「たんぽゝの白き毛をふく」からは季節は晩春から夏なのだろう。後半の「スリッパ小屋」がよくわからない。「あらたなる艱苦ひらく」は、これから続くであろう労働の苦しさを言ったものなのだろうか。
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ヴェネツィア
昔懐かしい夏休みの一日。家庭にエアコンがなく、扇風機が活躍しているところから、1970年代後半か1980年代前半くらいかと思われる。午前中は近くのプールに行って、お昼ごはんには素麺を食べて、午後はスイカ(カブトムシの飼育も)、そして夜にはお祭りと夜店。もう完全な夏休みフルコースである。夜店のハイライトはなんといっても金魚すくい。ヨーヨー釣りやスーパーボールも懐かしい。そして掉尾を飾るのが打ち上げ花火だ。麻生和子の絵もまたレトロムードに溢れている。裏表紙を絵日記で締めくくるのも、実に上手い手法。
Himeko is not cat
2024/09/02 23:07

同じく😋

ヴェネツィア
2024/09/03 04:51

おかさん、Himekoさん、そうですよね。

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ヴェネツィア
ジャポニスムは日本趣味の意だが、それはあくまでもヨーロッパ人(特にはフランス人)の想起する日本美である。すなわち、日本人が思う「和」からはほど遠い。しかし、こうして見ると、それは見事なまでの進化を遂げてもいる。例えば「ヤポンセ・ロッケン」ーこれはオランダの東インド会社が持ち帰った日本の意匠をオランダで男性の室内着として改良されたもの。ジャポニスムの最も早い一例である。19世紀以降は各国で多くの女性用のドレスが生まれた。現代においてもジャポニスムは健在であり、多くのデザイナーたちがこれを取り入れている。
ヴェネツィア
2024/09/02 08:05

ディオールしかり、シャネルもまたしかりである。また、そればかりかケンゾーをはじめ、日本人のデザイナーたちも多く参入している。全体には地味な色遣いのイッセイ、モノトーンが基調の川久保玲や山本耀司なども、それぞれに華やかなジャポニスム・モードを展開している。

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ヴェネツィア
ビルギッタにとっては、かつて若き日に理想とも仰いだマオイズム。その頃、パリでは学生たちが中心になって「5月革命」の嵐が吹き荒れていたし、その余波はスウェーデンにも及んでいたのだろう。当時、ヨーロッパ(ことにフランスで)人気を博していたのがマオイズムだった。ところが、長じて訪れることになった北京はすっかり様変わりしていた。それでも彼女にはなお夢の残影はあった。追う立場から、いつの間にか追われる身になったビルギッタ。下巻の後半のサスペンスは、読者もまた身の毛のよだつスリリングな展開である。物語の結末は深い⇒
ヴェネツィア
2024/09/01 17:19

⇒余韻を残して終わる。凄惨な大量殺人から始まったこの物語だが、思いがけず遠くまでやって来たものだ。なお、ヤ・ルーは中国で強大な権力を持っていたのであるから、自ら最後の決着をというのはリアリティを欠くように思われる。

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ヴェネツィア
サウス・ケンジントンにある世界でも有数の自然史博物館。標本8000万点以上、蔵書100万冊以上、絵画50万点以上の膨大なコレクションを誇る。1881年に竣工した建物もネオ・ゴシックの堂々たる威容である。さすがに探検の伝統では他に追随を許さなかったグレート・ブリテンだけあって、コレクションに寄与した人材もまた豊富。ダーウィンの『種の起源』は当然のこととして、マリア・ジビーラ・メーリアンやフェルナンド・バウアー、オーデュポンなど綺羅星のごとくである。1日どころか1週間、いや1ヶ月いても飽きることはないだろう。
ヴェネツィア
2024/09/01 16:46

館内図が付いていないのは残念。どの部屋に真っ先に向かうだろう。やはり恐竜と化石の部屋だろうか。また、古代エジプトのネコのミイラの写真もあったが、江戸期の日本はこれをせっせと輸入していたのだと思えば、感慨もわく。ちなみに、その時期に日本から買い取った人魚のミイラは展示されてはいないだろう。

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ヴェネツィア
一時期は心酔するくらいに耽読していた澁澤龍彦。写真も多くは見たことのあるものだが、こうしてまとめて見ると、感慨もまた一入である。そして、これも以前から思っていたことだが、澁澤の交友範囲にいた人々の、なんと見事なまでに文学の先端であったことか。三島由紀夫、稲垣足穂、唐十郎、種村季弘、四谷シモン、鷲巣繁男、加藤郁乎、土方巽、凄まじいばかりの錚々たる顔ぶれである。そして、このアルバムでは、彼らの真ん中に鎮座する常に年齢不詳の澁澤龍彦。こんな時代が確かにあったのである。
なるみ
2024/09/03 06:57

篠山紀信氏撮影による、澁澤龍彦邸の写真が巻頭を飾る、『夢の博物館』、わたしの蔵書の中で、秘宝であります。

ヴェネツィア
2024/09/03 07:06

それはたしかに秘宝に値しますね。

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ヴェネツィア
1931年、パリ近郊ポワシーに建てられたサヴォワ邸は、コルビュジエの代表作であるばかりか、20世紀の名建築として、つとに名高い。それはコルビュジエ自身が提唱した「近代建築の5原則」を理想的な形で実現しているからとされている。すなわち、5原則とは〈ピロティ〉、〈屋上庭園〉、〈自由な立面〉、〈水平連続窓〉、〈自由な平面〉である。もっとも、住むには難点もあったようで、依頼主のサヴォワ夫人が雨漏りがするとのクレームを寄せたりしているらしい。ゴシック、バロック趣味の私の嗜好からは、このシンプル過ぎる外観は⇒
あ 
2024/09/03 18:59

藤森照信さんは名建築という触れ込みだが「これがひどい」と書いておられました笑…私もそう思います。五原則というなら、丹下健三の広島平和祈念資料館のほうが美しいですよね。

ヴェネツィア
2024/09/03 19:53

あさん、私もこの建物の美しさが残念ながらわかりません。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/11/30(4741日経過)
記録初日
2011/04/07(4978日経過)
読んだ本
7025冊(1日平均1.41冊)
読んだページ
1687121ページ(1日平均338ページ)
感想・レビュー
6935件(投稿率98.7%)
本棚
57棚
性別
職業
専門職
自己紹介

2011年4月からの参加で、14年目にはいりました。一番よく読んでいるのは日本文学、次いでは翻訳文学です。読むジャンルの幅は広い(半ばは意識的にそうしています)のですが、何でも手当たり次第に読むというわけではありません。特に誇れるものはありませんが、連続読書日数は初日から4969日(2024年11月12日現在)、冊数は6988冊になりました。胃癌で入院中も、海外旅行中も毎日読んできました。さて、どこまで伸ばせることやら。

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